Essay

<インターネット・ラジオ-Cyberchat>

 いよいよ始まりました。日本におけるインターネットでのライブ・ラジオ放送配信。つまり、ラジオの受信機やCSデジタル放送で聞くのと同じ放送がインターネットに接続したパソコンのスピーカーからそのままライブ(番組予告表そのままに)で出てくるサービス。

 このサービスを開始したのはラジオたんぱ。このページから同社のインターネット・ラジオのページに飛んで、インターネット・エクスプローラーの5.0を使っている人なら左上の「IE」のバナーをクリックすればそのまま、ブラウザーにネットスケープを使っている人は MEDIA PLAYER をダウンロードすれば、それで放送がスピーカーから流れ出す仕組み。

 今この文章をたんぱの放送を聞きながら書いていますが、音声は明瞭です。今までラジオたんぱの放送は専用受信機があっても音が大きくなったり小さくなったりして聞きにくかった。その問題が、インターネット放送では完全に解消している。

 私も「ラジオたんぱ」ではソニーさんの提供で毎週金曜日の午後11時40分から30分の番組(Round Up WORLD NOW !、番組表で確認下さい)を持っていて、小野慶子さんと毎週放送をしていますが、この放送も日本時間の金曜日の午後11時40分にこのサイトにアクセスしていただければ聞けます。世界中で。(^-^)

 考えてみれば、私はこれまでもずっとブルームバーグ・ラジオを聴いて、ニューヨークの交通事情に詳しかったり、マンハッタンの天気を知っている。逆に、日本で放送している私の番組をニューヨークのネット利用者が聞けても何もおかしくないわけです。技術的には。インターネットは今世界で1億7000万人程度いるらしい。日本の利用者は様々な統計の誤差はありますが、大体その一割の1600万~1700万人。今までたんぱの受信機がどの程度出ていたのか知りませんが、インターネットの世界になると急に潜在的聴取者の層は広まる。是非、ニューヨークやロンドンなどなどにいる日本人の方々にも番組を聞いていただきたいと思います。
  ――――――――――
  インターネット放送は、将来の放送の一つの姿だろうと思います。このラジオたんぱの放送はライブで、放送番組の蓄積をしてはいない。例えば、土曜日になって金曜日の番組を聞きたいといったニーズには今は応えられない。だから利用者が録音テープを回さねばならない事情は変わっていない。しかし考えれば、送り手のサイドにはデータがあるわけですから、それがリトリーブ出来るようにすることは出来る。回線の性能が上がり、回線料金が安くなれば利用者は音声ファイルのファイル名を確認して何時でもダウンしたり、聴取できるわけです。

 こうなれば、もう新しい時代ですね。ラジオにしろ、テレビにしろもう数年もするとすべてデジタルになる。FM だ、AM だ、さては短波だというラジオの波の区別は何もなくなるし、もっと言えばラジオとテレビの境界も限りなく曖昧になる。あまり外には出ていない話かもしれませんが、放送局の中では新しい時代をどう迎え、それにどう取り組むかが大きな課題になっている。いずれにせよ、この放送の世界も劇的に変化する。ノウハウを貯めて、トライ・アンド・エラーを重ね、アイデアを先に実現していった方が、勝者になるんでしょうね。
  ――――――――――
  ヤフーで調べると、インターネット上には既に数え切れないほどのラジオ局が出来ている。有名な放送局がネット上に作ったものもあれば、個人が趣味で運営しているものまで。実は、ネット上で音を出すのは私でも簡単です。時間が長くなると大変ですが、それでもやろうと思えば出来る。

 調べて分かったのですが、大変なのは「音楽」なのです。音楽には全部著作権がある。放送局は包括的にレコード会社などと音楽を使用できる契約を結んでいる。しかし、個人は音楽を自分で作らない限り、また著作権の対象にならない限り承認を取らねばならない。これは大変な事です。

 しかし、ネットラジオ、ネットテレビは今後いくつかの障害を乗り越えて、すさまじい勢いで伸びるでしょう。地下にいようと大きなビルの陰に居ようと、ラインがつながっていれば綺麗な音と映像をネットは拾える。国境を簡単に越える。欧州でベルリンの壁が落ちた一つの大きな要因は、「cross-boarder viewing」と言われる国境を越えての情報の伝達だったと言われるが、今後は boarder(国境)など情報伝達の面では非常に陰の薄いものになる。
ycaster 99/07/01)