Essay

<VRMスペシャルコーナー-Cyberchat>

このコーナーには、私が先にインターネット、およびデジタル社会に関して行った「ネットワーク・アンケート」※への主な返答を掲載します。アンケートに応じていただいた方も、他の方々がどのようなリターンをされているかご興味がおありでしょう。文章の頭に、アンケートそのものを掲載してあります。ただし、リターン・メイルの名前は略させていただきました。すべての文章は、名称など一部を除き原文です。ご意見のある方、私までメール下さい。

 「VRM」は、Valuable Return Mail」の略です。ただし、リターンメールの確度についてはご自身でご判断ください。


※ みなさん、こんにちは。

実は、インターネットやデジタル技術に関するご意見を募集しています。先日「フォーサイト」(新潮社)の伊藤編集長と食事をした際に、「いちインターネット・ユーザーとして」、以下のようなポイントを中心に文書を書くことを約束しました。

① インターネットの現状
② ネットが社会に及ぼす影響力
③ ネットが抱える問題点
④ ネットの今後の展開
⑤ またインターネットの元になっている「デジタル技術の経済に及ぼす影響」

 むろん、自分勝手な印象を書くのも良いのですが、せっかく新しい時代に入って、 色々なツールがあるのに、それを使わない手はないと考えたわけです。

 皆さんがインターネットやデジタル技術に関してどのような印象(その影響力、功罪、今後の展開などに関し)をお持ちか、よろしければお聞きしたいのです。アメリカでも、インターネットのトラフィック量は過去2年間に25倍に増えるなど、いわば爆発状態で、当然ながらevolveの最中であって、今から「こうなる」とはとても予測できない状況です。しかし、既に今出てきている経済的、社会的、政治的影響(プラスもマイナスも)を把握し、今後の展望を考えてみるのも良い機会と思いました。無論、頂いたメールの引用に関しては、別途相談させていただきますが、「いろいろな分野の人の参加型文章にしたい」と思っていますので、ぜひご意見を頂きたいと思います。何か文章を書くときに、インターネット上でこうした呼びかけをし、サーベイすること自体が新しい事象だと思います。

 メールをいただければもう少し詳細にお知らせいたします。これとほとんど同じ文章を小生のインターネット上のホームページ(http://www2.gol.com/users/ycaster)のcyberdiaryにも掲載して有ります。ご覧のブラウザがネットスケープの場合は、そこで「メール」をクリックすれば、直ちにメールソフトが起動します。
Good day to you !
                       http://www2.gol.com/users/ycaster

YOICHI ITOH さん、こんにちは。
インターネットについての印象とのアンケートについて。
○インターネットへアクセスした場所

1・八重洲ブックセンターの6階

・・勝手に触れる機械が設置してあり、いつも他に利用者がいないので、気兼ねなく試す
事ができる。

2・最近東京駅の八重洲側に開店した、ソフマップのインターネット館。

・・数台の機械が並んでいるが、競争は激しい。
じっくりは無理。

3・自宅の機械でダイアルアップ接続

・・マイクロソフト・ネットワークを通じて
アクセス。初回の2時間無料アクセスの
みで脱会。

・・月間誌ASCII付録のホットカフェで
無料接続。

 基本的に金をかける事には慎重です。もちろん本当に継続的に使用するメリットが確認できたならば、日経新聞を取るのをやめてインターネットに乗り換える事は十分考えられる。その場合、許容できる費用は、電話代は別にして、新聞購読料の1ヶ月分の4~5千円が一応の目処でしょうか。マイクロソフト・ネットワークの場合、月間2時間のアクセズで月使用料が2千円ですから、大きくのめりこまない限り費用的には、十分許容範囲に入ってきている。

○インターネットを使用しての感想

 仕組みとしての面白さは大いに感じたが、エクスプローラでホームページを読むだけなら、金をつぎ込む程のものでは無いと感じた。また、ダイアルアップ接続の場合、24、400BPSのモデムでは速度的に大へん遅いし、6分ほどかかる大きなファイルをダウンロードした時、突然回線が切れて、いままでの努力が水の泡になるという悲惨な事を2度体験し、まだまだインフラの整備が出来上がっていないなと感じた。

 もっともこれはマイクロソフト・ネットワーク固有も問題なのかも知れませんが例えばNIFTYやPC-VANなら、再開すれば途切れた部分から始める事ができるが、現在のところMSエクスプローラにはそういう機能が無いように思う。MSエクスプローラもActive-Xコントロールが サポートされた事から、早々に対応するとはおもいますが。杉並ケーブルテレビの様な形で高速な回線が家庭に引かれる事が一番でしょう。しかし、この間報道された料金についての新聞記事によると、高速な回線は結構

 使用料が高い。道のりは遠いようです。

○インターネットの魅力とは

 例えば自分が銀行の利用者だとして、複数の銀行に取引が有り、ファームバンキングの契約をして、銀行取引の照会をしようとする場合、手順としては取引銀行の数だけ「電話をかけて」「電話をきる」という作業を繰り返す必要がある。銀行がインターネットに仮想店舗を設けており、自分もインターネットに加入していれば、「電話をかける」のは一度でいいし、あとは銀行をネットサーフィンすればよい事になる。

 つまり接続性が格段に良くなるというのが、やはりインターネットの魅力であるが、お互いがインターネットに接続する手段を持たなければ利点を生かせないという意味で、インフラ整備が進まないとやはり絵に描いたもちに終わってしまうのかなという気もします。

 それと、接続性が良くなる事で、提供できるサービスの内容にも可能性が広まった。もっとも具体的なサービスの内容という点では今後様々なアイデアが生まれるだろうし、それを実現するActiveXコントロールなどが開発されてプラウザに埋め込まれたりするだろう。

 むしろ銀行協会が積極的にそのようなものを標準化して、無償配布するぐらいの事をすれば、「電子金融の衝撃・・銀行が消える日」などという事も、もしかしたら回避できるのかも知れない。

インターネットで処理する事

各種申込書の送付・・融資申込書・信用状開設依頼書・送金依頼書

決算報告書・試算表 ・・会計システムから直接データを送受する。

金融機関取引状況一覧表・・取引銀行全行に残高照会し、そのまま集計して、ま
た銀行に集計データを送り戻す。

また、海外との接続性も良くなる事から、信用状取引における船積書類の受け渡しなども、インターネットを通じるメリットがあります。

インボイス・パッキングリスト・B/Lのイメージ・データを送付

輸出者-->現地銀行-->当地銀行-->輸入者

| | |

譲渡連絡 譲渡連絡 譲渡連絡

船会社

B/L管理------------------->貨物引渡

韓国・中国のみならず、アジアにおいても、標準的な航海日数よりも銀行における船積書類の処理の期間が長い事から、輸入貨物の引取りに際してL/Gの発行が必要となり、また航空便の場合リリース・オーダーの発行が必須である事から関係者すべてにとって無駄な手続きが発生しています。力のある大手企業の場合はB/Lを直送させたり、荷受人を輸入者にさせたりして銀行取引としては極めて例外的な処置により実質的には無駄な手続きを回避していますが、これは対症療法でしかない。銀行・船会社・航空会社、またある場合には損害保険会社が一体となって認証システムを確立すれば、便利だとおもうのですが。

 以上、ごく一般的な幼稚な回答となりましたが、ご参考になれば幸いです。

 伊藤 さんこんばんわ

 インターネットについてですが、私はまだあまり理解していないので、私自身感じていることでお答えしたいと思います。

 それの持つ能力は凄いものがあると思います。ただ、現状で、従来のパソコン通信とどれだけ違いがあるのか、と感じています。単に、パソ通の集合体がインターネットではないのは解っているつもりです。

 しかし、どうしてもインターネットでなければならない理由が私の場合見当たりません。これについては、今後、在宅勤務などで必要になる可能性があるとは感じています。が、個人が趣味で使う限りにおいては、やはり大騒ぎする程のものではないでしょう。

 現在感じる問題点は、第一にセキュリティーでしょう。その性質上、完全なシステムは不可能だと思います。ウイルスと同じで、必ず方法は有るはずです。しかも、一般ユーザーのレベルでは、その方法を想像することすら出来ない訳ですから、かなり危険なものであることを認識して利用して行く以外ないと思います。

 私の知人に、メールですら注意して使っている人がいます。あまり重要でない大きなファイルはインターネット経由で送信し、重要なものはニフティーを使っています。私の場合も、特に気にする内容のメールを送るわけではないのですが、出来るだけインターネット経由のメールは使わないようにしています。

 私の用途での一番の問題は、英語です。WWWを見ることが殆ど全てなのですが、日本のHPには、殆ど見るべきものがないように思います。わずかに、伊藤さんのHPのように、個人で開設されているページがあるくらいです。やはり見たいのは海外ですね。ここが問題で、辞書片手で見るわけにも行かず、かと言って、解らないままサーフしていても仕方ありません。2つ程翻訳ソフトを使いましたが、あまり精度が良いとは言えません。日本だけの問題なのでしょうが、翻訳ソフトの発展が必要だと思います。今のFEPのように、安価で高性能な翻訳ソフトの出現を心待ちにしています。

 以上、インターネット初心者(ただしネットおたく(^^;)の感じること書いてみました。文章を書くことが苦手ですので、読みにくい点はお許し下さい。

 遅くなりましたが、まだお役に立てるかもしれませんので、アンケートにお答えします。インターネットは文化面では、電気や、鉄道、自動車、ラジオ、TVと同様、社会には不可欠で便利さを提供するもの、「社会基盤」になっていくでしょう。そしてこれまでの「社会基盤」と同様、便利さが安易さと受け取られたり、自由で統制できないことが無節操と考えられて、堕落だと避難されることもあると思います。

 悪いところもあるが、不可欠のものとして、社会の新しい要素が一つ増えるのだと思います。インターネットとTVは、自動車と鉄道の関係と同じですね。後者は大量輸送・通信に向く、そして前者に首位を奪われる。前者は使用者の自由意志で動き回れるが、他人に危害を加える恐れがあり、使用者の技量・モラルが求められる。とすると、インターネットは国境を越え国家の統制が利かないと言われますが、免許制度はあり得るかもしれない。

 生活面で考えるなら、インターネット関連産業・商品はGDPを押し上げるとか、新情報源だとか言われますが、情報自体ではなく「媒体」です。人を豊かにする「財」と言うよりはむしろ更に財布を細らせ、部屋を狭くする物が現れたと感じています。

 と考えるのは、チャットやネットサーフィンなら、時間がもったいないからです。私は別に多忙な人間だと自慢しているのではありません。TVもインターネットもいろいろなことを見聞できますが、すぐ2~3時間は経ってしまい、しかも外に出て実際に体験るのではないのに、実体験と同じ時間がかかります。図書館に行ったり新聞をあさる時間は節約できますが、時間を作ってはくれない。例えば、帰宅後の時間を子供と過ごすか、気晴らしにTVを見るか、インターネットに接続するか、時間配分でかち合うものが一つ増えてしまう。貴重な時間を使うならやはり実体験がもっとも価値があるでしょう。しかも接続機器という生活必需品が増え、接続機器のために今でもせまい家の中が更に狭くなる。実は、会社で他の人のインターネットを覗いただけで、私はまだインターネットに接続しておらず、パソコン通信しか経験していません。(5:22 96/09/09)

インターネットの将来についてのアンケートについて1

今回は、否定的な立場から書いてみようと思います。まず、巷間指摘されている事のまとめから、

=========================

1、情報ギャップを拡大する
老人、低所得者など、情報社会での弱者の固定化につながる。

2、時間が足らない
終わらない、つい時間が経ってしまいいつまでもアクセスしてしまう。

3、トラフィックの増加の今後の影響
ネットワークの全面的崩壊につながるのではないか。
ボブ・メトカフらの指摘(ニューズウィーク日本版96/07/03)

4、誤った、不確実な情報、悪意の情報、偏った見方の情報の伝播
その情報が正確なものかどうかの判断は結構難しい。
相場の世界に置き換えて考えると、納得されると思います。

5、本当に情報が必要か
新聞は取っているだけで、まともには読まない。百科事典は買ったもののひい
     た事は数えるほどしかない。というような、大多数の国民の状況で、インター
     ネットの多量の情報は必要なのか。

6、一般個人の情報処理能力の不足

例えば、電子メール受信文書をどのように処理するかの訓練をわれわれは受け
     てこなかった。

野口悠紀夫さんのような人でも「電子メールは1日5通が限度」といっている。

    (月刊ダイヤモンド別冊 インターネット超時間術)
それなら、われわれ普通の人は?

7、個人として発言するという訓練のない社会での発展性は
米国等に比べ、論理的に自分の意見を持つ。という教育を受けてこなかった。
     会社では、上役の意見に迎合するだけで、表だって反論をするということは見
     られない。このような社会では、自分を表現しているホームページが空疎なも
     のになりがちである。なぜなら、意見を発表すると言う訓練を受けていれば、
     当然違った立場の人間から反論がくる事に慣れており、よりエレガントにまた、
     より論理的に表現しようとする態度が身についているはずだから。

8、民主主義が広がるのではなく、強力なドグマの方が広がりやすい

使っているうちに自分がアクセスするサイトは、限定されてくる事が多い。つ
     まり「好み」にあっているサイトばかりを見るようになる。
例えば、星占いに興味を 持つ人は、星占いは正しいと主張しているサイトば
     かりを見て、それに対する反論をあまり見る機会がなくなる。一種の洗脳状態
     におかれる危険性が大きいといえよう。
実際私も、マイクロソフトに洗脳されそうだったが、仕事として比較する必要
     があるためネットスケープのサイトにもアクセスするようになった。また、第
     3者のオンラインマガジンの評価記事などを読む事でかろうじてバランスを保
     っている状態です。

=========================
とはいえ、動き出した汽車は止められないでしょう。
次は、こうなったらいいなと思う未来図でも、考えたいと思います。

インターネットの現状

 銀行内LANの担当者が必ずしもインターネットでさくさく遊んでる人ではない、ということは、使えても使わない人もけっこう多いのかも。技術はあるけど、見るだけで、自分からは発信しない、あるいは発信するとしても日本語だけ、画像がそれを助けているものの、回線状況によっては、超おっそ~いダウンロードしかできないため、日本から世界に向けての効果的な情報発信ができているとは思えない。

② ネットが社会に及ぼす影響力

個人が情報発信ができる、ということは、今まで権力の側だけにしかなかった情報操作能力が、個人の手に入り、反対意見、サブカルチャー、少数民族などの自己主張がしやすくなった。逆に言えば、権力による大衆操作が困難になる。

 旧来的な意味での「政党」や「組合」、「同窓会」、「親戚」などのネットワークが形骸化し、より価値観を共有するような形でのネットワーキングが可能となる。貧富の差に加えコンピュータリタラシーによる情報格差という形でより深刻に社会を分断する。

③ ネットが抱える問題点

一市民として建設的な情報発信をするためにインターネットを積極的な意味で使う人ばかりなら良いのですが、現状は「匿名で不特定多数に発信することができる」点を利用し、反社会的な目的に使用される可能性がある。

仕事も速くなるが、トラブルの波及も速くなる。資金決済に関してのシステミックリスクなど、一部のトラブルが全体に波及するリスクをシステムが内包することになる。

④ ネットの今後の展開

義務教育レベルでインターネットの普及、一般企業、官公庁のLAN化、一人一台体制の推進により、とりあえず使うということについては、平等化の方向へ。ネットの上での評価はタイトルとは比例しないため、ネットの使い方により新たな意味での選別が行われていく。「取締役に平社員からメールがいかないようにLANが作れないか。」などの相談があるなど、導入する側が反動的だと、使われないままかも。家庭にどういう形で浸透させていくかが今後の課題。

⑤ またインターネットの元になっている「デジタル技術の経済に及ぼす影響」

 一家に一台パソコン時代となり、より速く、より大量の情報伝達が可能となれば、在宅勤務の選択余地も広がり、通信販売、ホームバンキング、新聞、雑誌、映画などの消費形態も変わる。つまりライフスタイルが変化する。また、大企業が既存の業態で収益を上げ続けるという保証はなくなり、ベンチャー企業も大企業に比べ遜色のない生産・販売手段を安価に手に入れることにより、対等な競争相手となる可能性がある。

 発展途上国の企業は今まで旧来の汎用機やアナログ回線などに投資してこなかったため(減価償却する必要がない)、一気に最新の設備を備えはじめている。当然、競争力が飛躍的に上がってくる。「デジタル」な知的資産は安易にコピーができることから、著作権の侵害あるいは、著作権の形骸化が進む。いろいろな手段で著作権を守ることにこそビジネスチャンスが出てくる。例えばマイクロソフトオフィスプレインストールとか。

きゃ~長くなっちゃった~

☆ 伊藤 洋一さん ☆

いつもお世話になっています。

お答えになっているかどうか分かりませんが、ネットワークを相場に絡めて考えを述べてみます。

********************************

ネットワークの発達により相場のボラティリティは低下する(仮説)

 昔むかしネットワークがなかった頃、人々は電話やファックスやテレックスで情報を伝達していました。銀行のカスタマーディーラーや証券会社の営業マンは、価格は今いくらか、市場で何が起こっているか、どんなニュースが出たかを顧客に教えてあげればご飯が食べられました。多くの参加者は市場で何が起こっているか、どんなニュースが出ているか知らなかったために市場はいつも不安定でした。また良い情報を人より早く手に入れられれば相場で儲けることが出来ました。

 その後ネットワークが誕生すると大手顧客は情報武装に乗り出し、セルサイドとバイサイドの情報量はほぼ同じになり、分析力や営業力のない営業マンは職を失いました。また情報が一瞬で大口参加者のなかを駆けめぐるようになったため相場にサプライズが少なくなり、相場のボラティリティは低下しました。重大ニュースが出ても常にどこかでそれを予想していた人が存在するため、相場はあまりニュースに反応しなくなりました。しかしそれらの情報はコストが高く、多くの小口の投資家や個人はそうした情報を容易には入手できませんでした。従って彼らの多くは依然として銀行や証券会社のレポートやアドバイスに従って投資していました。相場は平時は静かでしたがたまに大きく動きました。

 現在はネットワークが発達し、個人の投資家も含めて、誰でも無料か、極めて安い値段で業者と同じレベルの情報を共有できるようになりました。投資家は今までいかに情報に対して相対的に高い手数料を業者に払っていたか気づき、手数料は引き下げられました。付加価値の高い情報を発信できない業者は存続できなくなりました。また従来情報の受け手だったものが情報の発信をすることも簡単になり、情報量はますます飛躍的に増加し、相場はますます動かなくなりました。

 これから先、政府や研究機関の発表する一次情報はだれでも同時に入手することが出来るようになります。JAVAなどの技術を使えば、今まで個人にとっては膨大な手間のかかっていたチャート(罫線)も低料金でリアルタイムで見られるようになるでしょう。

ネットワークの発達は、たとえば全国の高校生が雑誌を見て同時に同じような格好をするのと同じように、相場においても地理的、時間的な裁定を不可能にするでしょう。流動性のあるすべての相場は売り手、買い手共に満足できる「ある水準」に収斂していくのではないかと思います。そして「ある水準」は毎日のあふれるような情報によって毎日少しずつ変わっていき、決して劇的に動くことはなくなるのではないでしょうか。

|(2) ネットが社会に及ぼす影響力

|個人が情報発信ができる、ということは、今まで権力の側だけにしか
|なかった情報操作能力が、個人の手に入り、反対意見、サブカルチャー
|、少数民族などの自己主張がしやすくなった。逆に言えば、権力による
|大衆操作が困難になる。
|

|旧来的な意味での「政党」や「組合」、「同窓会」、「親戚」などの
|ネットワークが形骸化し、より価値観を共有するような形での
|ネットワーキングが可能となる。

 1985年,フランスのシステム・エンジニアの書いたSFに,以下のような一
節がありました。

----------------------------------------------------------------------

「国家とは,各集団の利益をめざす個人のグループをなんとかうまくとりまと
めようとする政体によって固められた,ひとつのモザイクなのです。少なくと
もそうあるべきものでしょう。ところがそれとは反対に<論理上の国>には,
共通の願望と利害を持つ個人たちしか含まれていないのです。それらの個人た
ちは同じ価値を認め,同じ目的のために行動します……したがって同じプログ
ラムのために活動したり,同じ命令に服従したりできます……彼らが地球上の
どこにいようともね!」
----------------------------------------------------------------------

『ヴァチカン復活プログラム』

ティエリ・ブルトン[著]三輪 秀彦[訳]早川書房[発行]
----------------------------------------------------------------------

 今から10年以上も前のSFなので,<論理上の国>を実現する道具立てとし
ては,超大型コンピューターと,人工衛星のネットワーク,一個数百ドルの小
型パラボラアンテナが登場します。今ならば,インターネットが主役でしょう
ね。


私がインターネット等について考えた事をざっと書いてみました。質問の番号にあわせて並べてみました。

  1. は無しです。
  2. 伊藤さんもDIARYで書かれていましたが、まず、新聞や通信社含めた情報産業はかなり変化するのではないでしょうか。また、情報の価値といいますか、今までは一部の人だけの情報だったものが多数の人がその情報に触れられるという事で、情報による競争優位が一方で縮小し、一方その波に乗れない人(企業)ではますます、差が拡大していくと思います。私は経理部に勤務していますが、銀行借入の交渉を行う場合、予備知識として最新 の金利や金融動向の知識を持っておきたいわけですが、新聞では,なかなか得られない情報(例えばスワップレート)なんかも今までは金融機関経由(ロイター等の情報端末からの)の情報が、ある程度は直接収集出来、非常に便利です。つまり一般企業でもお金をかけなくても情報が収集し易くなったと思います。
  3. ネットが抱える問題点といえないかもしれませんが、通信にかかる費用が問題だと思います。やはり規制緩和が必要でしょうか。
  4. ネットの今後の展開は日本においてはより情報がリアルタイムに情報開示が進むと思います。米国のSECみたいに上場企業の財務情報が無料ですぐに取り出せるようになったらいいと思うのですが。もちろん情報収集にとどまらず商取引や日常生活にも密着したものになると思います。
  5. デジタル技術の発達が情報の伝達速度を向上させた事により経済はボーダーレス化しより地球規模で経済を考えていかなくてはならないようになると思いますしすでにそうなりつつあると思います。

☆伊藤 洋一 さんへ

>>実は、インターネットやデジタル技術に関するご意見を募集しています。先日「フォ

>>ーサイト」(新潮社)

 フォーサイトですか。定期購読しておりますので、いつも伊藤さんの文章を興味深く拝読させて頂いております(^^)。大学時代の恩師の文章が読めなくなって以来同誌については若干寂しい思いをしておりましたので、枯れ木も山の何とやらということで若干私見を述べさせていただきます。

>>既に今出てきている経済的、社会的、政治的影響(プ

>>ラスもマイナスも)を把握し、今後の展望を考えてみるのも良い機会と思いました。

 いろいろな切り口があるでしょうが、私としては巷にあふれる(南洋にも日本語の本を売っている本屋が何軒かあります)インターネット本的な通説への反論(というかいちゃもん)を切り口にさせていただきます。その種の大抵の本には「インターネットを利用すると情報の入手についての垣根が低くなる。というのは、ひとたびインターネットにアクセスすれば世界中どこのサイトにもアクセス出来るからである。だからインターネットに参加すればみんな平等だし、社会全体を大きく変えるものだ。」とかいう美辞麗句が並んでいます。はたしてこれは事実でしょうか?

 インターネットを利用すれば情報の入手が容易になるということについては、既に同趣旨の意見(中身はもっと濃いですが)の意見が出ていますし、私自身についても似たようなことが言えます。ほんの数年前、大学を出て会社に入った頃は、前日の海外市況をReutersやTelerateやブルバでチェックするのと英字新聞

を会社で読むために毎日早くに出社していました。それが今では、毎朝朝ご飯を食べながら前日のNY(と欧州)の相場と主要海外紙の記事がインターネット経由で読めるようになったのですからたいした物です。しかも、米国ものの経済統計にいたってはプレスリリースまで一緒に読めます。これは出社時間に関係なく退社時間が一定という生活を送っている私にとっては非常にありがたいことです(^^) また、このように情報の入手が容易になりその流通速度が早くなった結果、社会全体の効率が向上する(マーケットの効率性の議論ですね)というのも事実でしょう。

 しかし、だからといって「インターネットの上ではみんな平等」だの「社会全体を大きく変える」だのと言えるか、というと話はややこしくなります。個人的意見としてはむしろその逆で、むしろ「インターネットを使える階層(or集団)はますます便利になり、逆にインターネットを使えない階層(or集団)はますますctach upが困難になる」と言う意味で、ある種の差別の固定化機能を持つのではないかと思います。これは、インターネットに限った話ではなく、むしろインターネット(の発展)を含む情報伝達手段の進歩・多様化という事実自体の論理的帰結なのでしょうが。

 この点、もう10年近く前になりますが、佐和隆光京大教授が面白い指摘をしておられます。(「経済学における保守とリベラル」、岩波書店、1988年参照)。佐和先生は80年代中盤の「高度情報化」ブーム(例のニューメディアとかですね。因みに、今をときめくISDN回線というのは、実はこのときから存在しています)の際、高度情報化社会が到来すれば東京と地方の格差がなくなるという説があったものの、実際に起きたのは東京一極集中の激化であったという事実を指摘されています。その理由として、佐和先生は、情報伝達手段が進歩した結果、一度ネットワークに乗って誰にでもアクセスできるようになった情報には価値がなくなり、むしろface to faceでしか得られない情報に価値が生じるようになるため、と説明されています。

 ネットワークに乗ってしまった情報には価値がない、という佐和先生の当時のご意見が正しいかどうかは別として、情報ネットワークが発達しそこに流れる情報の量が増大した結果、そのネットワークに情報を流したり、ネットワークにアクセスすることのできる地位にある集団の優位が高まり、その結果として既存の社会的地位の格差がむしろ固定化してしまった、ということは事実として言えるのではないでしょうか。

 具体例をいくつかあげてみましょう。日本の例でいいますと、確かに上記の佐和先生の意見はあたっています。もし情報伝達手段の進歩で日本中どこに居ても情報のアクセスが平等に出来るならば、極端な話、東京にいてもどこにいても同じということになります。むしろ、相対的にコストの高い東京を離れて地方に出る動きが強まっても良いはずです。ところが、実際にはそんなことは起きず、バブル期に東京に集中したさまざまの機能はそのまま東京にとどまっています。インターネット上のホームページを見た所で、発信されている情報は相も変わらず東京発のものが中心で、地方発信のページというのは特産品の通信販売ものばかりというのが正直な所ではないでしょうか。「そんなことはない。インターネットに参加すれば自分でも情報発信できる。」とかいう方もおられるでしょう。確かに理屈の上ではそうです。しかし、実際のところ、「情報を発信できる」ことと、「発信した情報がみんなに読んでもらえ、社会的影響力を持つに至る」ということは別問題です。世のインターネット参加者の大多数はインターネットを扱った雑誌を道標としつつインターネットを楽しんでいることと思いますが、その雑誌というのは例外なく東京で出版されているというのが現状です。

 米国についても、違った意味で同様の「固定化」効果が見られます。ここ数年の経済のディス・インフレーション化の理由として労働者の賃金上昇圧力の低下が指摘されますが、これをもうちょっと詳しく見ますと、賃金が延び悩んでいるのは大多数の一般労働者でして、ホワイトカラーの方はそうでもありまりません。この際、ホワイトカラーと一般労働者を分けるものさしの一つとして、高度化した情報ネットワークを使って仕事ができるだけの能力-具体的には高等教育-を持っているかどうかが問われている、というのはまず疑いのないところでしょう。

 このように社会の「情報化」が進展する中で結構壮絶な争いがあったのは事実です。例えばアメリカでは三大ネットワークの地位が低下してCNNがシェアを大きく伸ばすというようなことはありました。しかし、この争いとて、言ってみればエスタブリッシュメントの中の争いに過ぎず、社会秩序そのものをひっくり返すような大きな影響や変化を伴ったものではありません。いわば、「小金持ちが大金持ちと争って成り上がる」喧嘩であって、かつてのアメリカン・ドリームのように、それこそ身一つでアメリカにやってきた移民が大金持ちになる、というようなものではありません。アメリカのハイテク・ベンチャー企業にしたところで、その「創業者」たちの華麗な学歴を見る限り、「小金持ちが大金持ちになる」例に過ぎず、一流大学に行けるだけの金も奨学金をもらえるだけの成績も取れない人間には、最初からレースに参加する資格すらないというのが実情ではないでしょうか。

 何やら暗い話を延々と書いてしまいましたが、インターネットに代表される情報伝達手段の高度化がいろいろな面で大きな影響を与えていることは確かに事実ですし、私もそれを否定したりはしません。実際、南洋方面におけるこの方面の状況にはすごいものがあります。法律で禁止されている(^^)シンガポールやマレーシアなどを除き、たいていの国の主要都市-それこそタイのバンコクからカンボジアのプノンペンに至るまで-では町中に衛生放送受信用のパラボラアンテナが乱立しています。また、インターネットも着実に定着しつつあり、例えばマレーシアではほぼリアル・タイムで株価が見れるようにまでなっています。

 しかし、このような華やかさの反面、依然数多くの都市でスラム街が成長中であり、パラボラアンテナやインターネットとは無縁の人々が貧困に喘いでいる姿が見られることも事実です。ある意味で、「高度情報化社会」の華やかさと限界を如実に示す光景と言えるでしょう。

伊藤様(ycasterさんとお呼びした方がよいのでしょうか)はじめまして

投資顧問会社勤務 夢酔と申します

「住信為替ニュース」いつも拝見させていただいております

さて、FKINYU MES(9)#80>「皆さんがインターネットやデジタル技術に関してどのような印象をお持ちか...とのことですので若干思う所を...

1. ネットワークの現状と将来>BBS・INETでなにができるか?!

誰もが一度は尋ねられた質問 ... コンピュータって何ができるの??

 と同じだと思うんです ... INETでなにができるか?!

商用BBSやINETの普及で距離と時差を克服する「道」はできました。

 で、問題は この「道」で「何を=どんな情報を」伝えるか?!

 だと思います。

2. 「受け手」から「出し手」へ

これまで情報は「受けるもの」でした。新聞は買うもの。TVは見るもの。

商用BBSも初期は様々なサービスを「運営者側が」提供していたと思います。

INETもそうでした。WWWもネットサーフィン=他人の作った頁を閲覧すること

を売り物にしていました。インターネットカフェの存在が象的です。

次のステージとして、現在は「発信」に脚光が当たっています。

3. ネットの影響力と問題点>玉石混交と素朴な疑問

さて、その「発信」ですが、個人の意見を出版物として世に問うためには

これまで乗り越えなければならない数々の障害がありました。商用BBSやINET

の登場で「誰もが簡単」に意見を発表できるようになった反面、「質による

差別化」が失われた感が私にはあります。「玉石混交」はそれはそれで楽しい

のですが、「悪貨が良貨を駆逐する」のもまた真実だと思います。

根本の所では「人には他人に伝えるべき(あるいは伝えなければならない)

情報が果たしてどれだけあるのか...という素朴な疑問もまたあります。

4. ネットの世界は一般的か?

それはさておき、ちょっと違う話題をご紹介したいと思います。

ある政党がINET上にHPを開設しました。HP開設が他政党に先駆けていたために

開設自体が新聞にも大きく取り上げられたのですが、そのHPに対するアクセス

数はNTT/HPの新着情報に登録されてから飛躍的に増大したそうです(ヒアリング)

私はこの話を「一般のメディアとINETは予想されているほどリンクされてない」

ことの(ひとつの)証明と考えました。新聞で事件を発見したらTVをチェック

するが、INETをチェックするには至っていない...と。

INETはすばらしいツールですが、一般社会への影響力をうんぬんするには未だ

早いかなと考えています。

5. 時間が解決するか?

長所 双方向性・即時性・画像映像 ...

短所 利用者層の偏り・玉石混交・安全性(安定性)...

こうして見ると、短所は長い間利用されていれば改善されてくるのでは...

と思わせる内容ばかりですね。単に私が楽観的すぎるのか?!染まったのか?!

6. 最後に

INETが繁盛した最大の要因は「プロバイダーの料金はあくまでINETへの

接続料金のみで、有料サービスの料金徴収を代行しなかったこと」だと考えて

います。BBSのように「課金するシステム」が無かった...と。

そしてこのことが今後の拡大の最大の障害になるような(なっている)気が

しています。

 ご無沙汰しています。

 アンケートは出張先(初めてオーストラリアに行きました)で読んでいたのですが持っていったノート型パソコンのアダプターを接続を間違えて壊してしまったので返事ができませんでした。もう既に執筆済みではあると思いますが、出張にパソコンを持ち歩いている身として最近感じる事。

>① インターネットの現状

(中国等という国を想定しているのですが)従来の価値観を変えるという点では凶器になり得る危うさを備えているという事について、気が付いている人が少ない(知っていても他のメリットを優先させているため知らない振りをしている)と思われる事が気になります。中国やシンガポールで自由なアクセスに規制をかけているのは善意に解釈すれば社会を守る為の政府によるpreventive measuresである訳で、

>② ネットが社会に及ぼす影響力とも関連するのですが、「暴走」「扇動」といった悪意に満ちた活動に歯止めがかけられないのではないかと危惧します。

>③ ネットが抱える問題点としては上記を踏まえ国をまたがり総括・監督する人達が存在しないという事ではないでしょうか。私は別に官僚の手先で規制を作る事に努力をしている訳ではないのですが、大衆は決して利口ではなく恐ろしいものだと考えており、使い方を間違えると大変危ないツールであると思います。(最近毛沢東の医師であったDr.Liの"The Private Life of Chairman Mao"の読みすぎでうかね?)

>④ネットの今後の展開

悪用されない事を祈ります。
>⑤またインターネットの元になっている「デジタル技術の経済に及ぼす影響」

情報が従来より安く手に入る。
家で買い物が出来る。
本を買わなくても良い。
CDも買わなくても良い。
調べ物が安価でできる。

 う~ん、どうも商社の仕事が益々なくなる気がして。
情報のために住友金属が今まで年20億為替の手数料を商社に払っていたとすれば、ネットの方が安いでしょうね。

 家で買い物ができるとなったら、従来までの買い物を行うためのインフラ、そのインフラの整備・運営を行って給料をもらっていた人たちはどうなるのであろうか? ビル・ゲイツは今でも本をよく読んでおり、その効能を時々書き物で記すケースが多いのですが、ネットが普及したら「ハウツーもの」や都度書き換えを要する書物(時刻表とか)なんて売れなくなるんじゃないですかね?

 良く分からないのですが、ネットが行き着くところまで行けば無くなる仕事もあるんじゃなかろうかと思います。上記の例で言えば、買い物にいかない事により交通機関の収入が減少する、小売り店の売り上げが減る、帰りにお茶を飲む喫茶店の経営が悪化する。

 でも仕事がなくなる分、増える仕事もある訳で。それだけの電子インフラの維持・発展のための分野明らかに人手不足となるのでしょうか?

結論:

 インターネットの発展は世の中の雇用バランスを大幅に崩す事が間違いない、様な気がする。イチローじゃないですが、「商社もかわなくちゃ」と思うのですが、変わる事の出来る物理的スピードを例えばインターネットの発展のスピードが完全に上回っている。(うちの会社も大変だ)

 アンケート内容とは別なのですが、最近感じるのは「日本語」のデメリット。大変なんですよ、海外のアクセスポイントでつなげると文字化けはひどいわ、普通のメールでも半角がよめなくなったり。英語だとあの26文字だけですものね。とりとめないですがご参考までに。

 とはいえ、ネットの将来に悲観的でも否定的でもありません。割とオフィシャルにもプライベートにも活用しているつもりです。アマチュア・オーケストラをやっているのですが、30数名中ほとんどが自分のメールアドレスをもっている。練習の連絡、演奏会のための仕事の打ち合せ、全てメール(とファックス)。作ったのは私ではありませんが、コンテンツにはだいぶ足を入れました。宜しければ遊びにきて下さい: http://www.asahi-net.or.jp/~md2t-tgc/(現在執筆者募集中)

 そうそう、マイクロソフト・ネットワークに入ってみました。マイクロソフトのソフトをまさしく使う為にあるネットワーク。そのうちまた報告します。