放映=8月25日(日曜日)テレビ東京午前9時、日経サテライトニュース午後5時
ゲスト=山内 雅夫さん(やまのうち まさお、西洋占星術研究家)
正直申し上げて、30分の番組とそれに備えた付け刃の勉強で私自身が「分かった」とはとても言い切れません。ですから、この「後記」にもちょっと素っ頓狂なところが有るかも知れない。しかし、今回の番組からいくつか非常に興味あるメッセージが読みとれたことは確かです。
本論に入る前にちょっと楽屋裏を言いますと、まず英語で「astrology」を「アストロジー」と呼ぶのか、発音により近い「アストラロジー」と呼ぶのかで、ちょっとスタッフの間で議論になりました。「astro」はご存じの通り「天体、天文、星」、「logy」は「学問」。つまり「astrology」は基本的には二つの単語の寄り集まりである。表記としては「アストラロジー」の方が近い。しかし、日本ではどちらかというと「アストロジー」と呼ぶ方が一般的です。ウーン。こういう時に迷う。結局「アストロジー」で統一することにしました。正直言って、「一般的」で、「発音しやすい方」
(^_^)を選びました。
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山内さんは、「星で占う」ことを表すもう一つの言葉「horoscope」から話を始めれらました。
「horoscope」はもともとギリシャ語で、「horo」とは「hour」(時間)を指し、「scope」は「見る」を指すのだそうです。つまり、「星占い」とは「時間を見る」ということだとおっしゃった。なぜ、「星占い」が「時間を見る」なのか。それは、天体の動きはほぼ確実に「いつの時点で、どこにあるか」が過去、現在、未来にわったって分かるからだそうです。世の中で、「これほど確実に予測できるモノはない」と。
そして、そうした確実な星の動き、または星の位置関係(「座相」というのだそうです)がどのような時に、何が起こってきたかを占星術師たちは「何千年にも渡って調べてきた」と山内さんはおっしいます。過去の同じ星の座相の下で、地球上に何が起きたか。そこから何が予測できるか....が星占いの大きな柱だと。
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では、どんな星を対象としているのか。山内さんは、占星術は「太陽と月、それに“水星”、“金星”、“火星”、“木星”、“土星”、“天王星”、“海王星”、“冥王星”の八つの惑星」が対象であり、「その動きから未来の道筋を予言する」とおっしゃいます。ここで一つ非常に重要なのは、占星術は「学校で教えている地動説」ではなく、「地球を中心で見る天動説」で出来ており、「占星術がうさんくさい」と見られる最大の理由はここにあると指摘される。山内さんには天球儀をおもちいただきましたが、むろんそれは地球を中心に作られている。
そしてその地球から見て、一つ一つの惑星が一つの星座(牡牛座とか)を通過する期間(つまり星座にとどまるという意味ですが)は以下のようであるおっしゃいます。
月 2.5日
水星 18日
金星 23日
太陽 30日
火星 46日
木星 約1年
土星 2.5年
天王星 7.4年
海王星 14.4年
冥王星 20.4年
そして過去の例から、それぞれの星が星座にとどまる期間やその組み合わせにより、過去色々なことが起きてきたし、そこから一定の事象が未来についても予測できるとおっしゃいます。
例えば、
火星 逆行期(?)には、不吉なことが起きる。例えば今年9月だと4日から 27日
金星 特に牡牛座にある時は、トレンドを押し上げる(吉兆)
火星 変動があったときは、利子率の変動が起きる
木星 これが現れたときは上昇機運
土星 不況の星
などなど。
組み合わせも重要だそうです。木星と土星が一つの星座で会合するのは20年に一度だそうですが、その時は大きな出来事があり、総じて経済は極めて強い上昇気流に乗るそうです。例えば1980年。レーガン政権がスタートしたときですが、第二次オイルショックを経て日本は力強い経済の拡大に入った。次は2000年。山内さんは、それまでははっきりした経済の回復の兆しは出ないだろうと予測される。
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山内さんが番組の中で多分強調しきれなかったであろう(無論おっしゃってましたが)ポイントは、ユダヤ教にしろアラブのイスラム教、キリスト教にしろ、「一神教」の世界の人々は
「astrology」に非常に親しんでいるし、それによって行動、例えば投資行動を決めている場合もあり、「占星術」は国際政治、国際経済の一つの符丁なわけだから、知らなければ何が起こっているのか分からないし、損をするということです。ここから山内さんは、
「占星術は国際言語、コードネームだ」
「占星術情報は、最大のインサイダー情報だ」
と強調されます。
この言葉は、ビデオ出演された森本さん(国際証券)の話にも通じます。森本さんは、1988年に「これからは外国人投資家も東京の株式市場に入ってくる。彼らの行動様式を見る上にも、
astrologyは必要だと思った」と。これは市場に参加している人間にとって非常に重要なことです。市場は自分が動かしているわけではない。多くの人の参加によって動いている。そして、その「多くの人」が例えばastrologyに強い関心を払っているとしたら、市場に参加している人間としてそれを知らねばならないと思います。森本さんは、それを1988年からやっていたということになる。ちょっと、感心しました。
確かに日本人はあまり信じたがらないのですが、アメリカのような合理的な社会の政治にも「占星術」はかなり深く入っている。最近ではレーガン大統領が有名でした。日本の新聞でも何回か取り上げられたことがある。アメリカの新聞もどちらかというと近代合理主義のメディア媒体ですから、批判的な見方をしていたように覚えています。
番組では紹介できませんでしたが、レーガン大統領に占星術に基づく智恵を授けていたその人は
Joan Quiqleyという女性です。山内さんが見せてくれた資料で非常に面白かったのは、来年の5月16日から17日のかけてニューヨークのインターコンチネンタル・ホテルで、
「ASTROLOGY & STOCK MARKET FORECASTING CONFERENCE」
というかなり立派であろう会合が開かれ、そこにはこのJoan Quiqleyも出席する。インターコンチは立派なホテルです。少なくとも、日本の株式市場以上に、アメリカの株式市場にastrologyは入り込んでいるようです。
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山内さんはさらに、市場に参加しているのは「多くの人」だが、株にしろ為替にしろ「実際に市場を動かしている人は少数の人だ」とおっしゃる。それは、大量の資本を動かしているという意味よりも、象徴的な、人々を先導する動きをする人がいる、という意味でしょう。彼らも、後に付いてくる多くの投資家とその資本を待たねば市場を動かせない。為替市場でも、株式市場でも「あの人はこうしたそうだ」「こうしているそうだ」といった類の噂が出るのは、その類の人が存在することを示しています。そして、その「少数の人」の中には、astrologyに強い関心を払っている人が多いと。だから、「占星術は国際言語、コードネーム」であり、「占星術情報は、最大のインサイダー情報だ」と山内さんはおっしゃる。
もう一つ。一神教の世界では宇宙は「マクロコスモ」であり、人間は「ミクロコスモ」で、マクロコスモの動きはミクロコスモの動きに大きな影響を与えると指摘される。人間をミクロコスモ的存在と考える見方は、徐々にその他の世界でも台頭してきているようで、最近興味を持って読んでいる「波動」なんてのもちょっとその考え方が入っている。むろん、まだ勉強不足ですが。
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色々疑問はあります。
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まだまだいっぱいあります。しかし一つ明らかなのは、近代合理主義も万能ではないということが徐々に明らかになるにつけ、再びastrologyや易学などに関心が集まってきているということです。山内さんも、「私の時代は、気違い扱いされた。今の方が聞いてもらえる」とおっしゃっている。女性週刊誌の「星占い」は、大盛況。astrologyを学んでいらっしゃる方からは、「これこそ合理」という声がかかりそうですが、確かに今はまだ手の届かない星には夢がある。この夢と現実とを結ぶ、
astrologyにも、「夢」と「現実」の両方が宿っていそうだ。
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最後になりましたが、山内さんは元NHKの経済番組ディレクター。毎年年初に「今年を占う」てな番組を手がけていて、そこからastrologyに関心をもたれたとか。番組で紹介した山内さんの本「ビジネスチャンス 占星術」もNHK出版から出ている。
(ycaster 96/08/26)