少し前から気になっていた「とてつもない日本」をゲットして、興味深く読みました。政治家の本は一応目を通すのです。書いた人がどういう考え方かが分かる。
まあ題名からも分かるとおり、前向きな本です。しかも国際感覚のある人だから、偏狭なところがない。「日本力」などでの私の主張と似たところがある。でも私よりアジアへの思い入れが強いかな。
安倍さんと同じように祖父に時代を作った人を同じように持つ麻生さんですが、祖先をどう思っているかは相当違う感じがする。麻生さんはどこから見ても九州の探鉱主の孫で、経営者という印象がする。対して、安倍さんはどちらかというとおぼっちゃん。それが本にもかなり出ている。
しかし読んでいて、安倍さんよりはかなり「頭の柔らかい人」という印象がやはりする。それは経営者としていろいろな局面で判断を下し、いろいろな人にも会っているからでしょう。外務大臣になってからも長いし、その間も世界中を飛び回っている。
本を書くきっかけは、「前回の総裁選で予想外に若者に受けたからだ」と素直に書いている。日本のソフトパワーに触れている点でも、私は共感できる。靖国神社について、かねての持論をかなり長く述べていて、傾聴に値すると思う。
政治家がこうした自分の思いを本に出してくると言うのは、なかなか良い。安倍さんに対する考え方も、あの本のおかげでかなり固まった。麻生さんの本はそれぞれの問題に対する具体的なアプローチはないが、全体的な考え方は分かる。読み始めるとあっという間に読める本です。