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2016
04/03
Sun

記憶に残る祭り

day by day

 (20:40)見ながら「やはり変わったお祭りだな」と思いました。子供の頃から参加し、そして見ているのに。大体十二支の寅と申の年だけに開催される、つまり6年に一回というのが珍しいし、場合によっては死者が出てもおかしくない危険度満載の側面を持つのも珍しい。

 祭りの正式な名前は「式年造営御柱大祭」と言って、全国の神社にある「式年造営」の一種なのですが、主人公が柱で、それがまたこれだけ規模の大きいものは他に例が無い。

正に今木が坂をおちんとしている 今回は出雲出身の大学時代からの友人である土江君を誘って諏訪に来て、高校の同級生の丸茂君のお世話になったのですが、なぜ出雲出身の土江君を誘ったかというと、そもそも諏訪の大社は出雲との関係が深いと考えられている。私の祖父もそう言っていた。なので、彼に祭りを見てもらって出雲の祭りとの比較をしてもらおうと思ったからです。

 そしたら意外なことに「出雲にはこんな祭りはない。しかし生き生きした良い祭りで、感動した。記憶に残る」との一言。そうなんだ。そう言えば「出雲で祭り」というニュースはあまり聞かない。それが私には新鮮だった。

 今夜7時のNHKニュースを見ながらこの文章を書いていたら、そこでもやっていましたが、祭りのハイライトは二つ。「木落し」と「川越え」です。諏訪大社は上社と下社からなり、上社には前宮と本宮が、下社には春宮と秋宮がある。「木落し」はその4つの神社の各4本の御柱、全部で合計16本実施され、「川越え」は上社の二つの神社の8本についてある。いずれも「お清め」の意味合いがあると考えられる。かつこうした危険な難行を通過した木には、やはり神が宿るとも考えられる。

 そもそも御柱とは神社の回りに配置される四本の巨大な柱です。一乃柱から四乃柱まで各宮にあり、それぞれ「一」が一番大きい。それを各柱1000以上の氏子が10数キロを曳行し、急坂を落とし、高い土手から川に木を落とし、そして引き上げる。「急坂を落とす」のを「木落とし」といい、「高い土手から川に木を落とし、そして引き上げる」を「川越え」という。

実に凄まじい砂煙です とにかく木はでかくて重い。今回は長さが18メートル、総重量は10トンを優に超えると聞いた。「四乃柱」から徐々に重くなって、一番重いのが上社の場合は「本宮一乃柱」で、参加地区はどこもこの「本一」を取りたい。今年は実に96年ぶりに私の友人が多くいる地区が取って、その曳行長が高校の同級生の宮下君。

 この2日、3日の週末に行われ、4日にも行われるのは上社の「山出し」。これは木を切った(今回は適当な木がなく、他から運び込んだと聞いた)山奥から里まで木を曳行することを指し、連休に「里引き」が行われる。これは里で木を引き、神社の所定の位置に立てるまで。

 ハイライトの「木落し」と「川越え」は3日と4日の予定で、3日に私が見たのは本1、前1、本2、前2、本3の木落としと、本1、前1、本2の川越え。むろん「木落し」と「川越え」は1キロ弱離れた場所で行われているので、全部を完全に見たわけではないのですが、できる限り見たし、各所にパブリックビューポイントがあって同時進行のものもチェックできる。

 でも「変わったな」と思いました。私が子供の頃は「色」が無かった。しかし今の御柱祭りは実にカラフルです。それはナイス。そしてエンタメ化している。それは賛成できることと、うーんちょっとと思うことも。一つはっきりしているのは、同じ曳行でも実に個性が出てきたこと。これは各地区の曳行長の個性かも知れない。

 「木落し」は茅野駅から歩いて15分ほどの「木落し公園」で行われる。全長は40メートル弱、傾斜角度27度。きついですよ。そこから木を落とす。曳行中に極めて危険な箇所の一つのハイライトで、特に下社の「木落し」は危険。木が容易に転がるから。

木落とし公園の裏手。ここで木を上げてせり出させ、そして落とす でも以前からは変わった。木の落とし方の手順にしても、川越の仕方にしても「随分差が出来た」と思いました。私は性格的には派手な方が好きですが、前1の川越えなど、今までに見られなかった数の人が川に飛び込んでいた。暖かかったせい ? これは面白かった。あと演出もなかなか凝った地区が多かった。歌まで作っていたりして。

 上社の御柱8本と下社の御柱8本の曳行で一番違うのは「メドデコ」の有無です。メドデコとは、写真で見れる角(大木から突き出した)の部分です。御柱の前部と後部に穴をあけて差し込み、V字形に取り付ける木の柱を指す。

 漢字を当てると「目処梃子(めどでこ)」。それぞれのメドデコに氏子たちが鈴なりに乗って気勢を上げ、おんべを振りながら進む姿は上社側だけの勇壮な光景ですが、起源については諸説あり、上社の曳行路がまだ舗装されていなかった時代、ぬかるんだ土から脱出するために付けたとも。メドデコを左右に振ると、勢いを付けて前に進める。明治期ごろに導入されたらしい。

 4日も三本の「木落し」と五本の「川越え」が行われるが、諏訪は休みです。今は上社の神事が進行中。次に下社のそれが行われて、全部が終わるのは初夏かな。実に長いお祭りで、この「期間の長さ」も特徴かな。

 さすがに4日は見れない。次の「木落し」と「川越え」はもう寅の年にしか来ない。今度はまだ小さい娘の娘を連れてきたい、と土江。ははは。

21:40
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