日々のライブな情報ページ

2014
10/31
Fri

close call

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 (14:15)日銀が発表した「量的・質的金融緩和」の拡大という日銀の声明文を読んで一番興味深いと思ったのは、「賛成5 反対4」という僅差の決定だったという部分です。二案件とも。

 だって「5 対 4」ということは、一人でも反対に回っていたら決まらなかった措置、ということです。ということは、「日銀は決断した」といっても、過去の日銀の歴史の中では例のない「close call」だったということです。FOMCでも反対者は一人、ないし二人です。

 脚気反応としては、マーケットでの大幅な株高と円安は理解できる。タイミングとしてはアメリカが今週QE3の打ち切りを決めた直後だけに、円相場全般に与えた影響は一段と大きい。国際的にどう評価されるのかは不明。円安には反発も出てくる。ただし一つ言えるのは「ECBは何をしている」という声が、特に欧州では出るでしょう。

 私は日銀が何かするにしても、政府の行動とのパッケージだと思っていたので、その意味でびっくりした。パッケージとは政府の消費増税決定と、それと対になる形での日銀の新たな緩和措置です。

 しかし考えてみれば、消費税論議が政治的に決着するのを待っていたら、その前に「景気が腰折れ色を強めてしまう」と日銀が考えたのでしょう。だから、「私たちはもうやりましたから」と日銀が安倍政権に刃を突きつけた、とも理解できる。だから阿部さんは歓迎するでしょうが、その後に迫られた責任は重いということです。

 はっきりしているのは、「今のままでは2%の物価上昇率を実現する」という黒田日銀始まって以来の目標を「達成できなくなった」との日銀内での判断でしょう。だって副総裁の一人は辞めざるを得ない。声明文は追加緩和の背景として二つ挙げている。一つは消費増税以降の景気の足踏み、そして原油価格の低下傾向。

 日銀の方々の頭にあるのは引き続き「デフレ懸念」ということです。マーケットには今回の日銀の措置はインパクトを与えた。問題は実体経済に与える影響です。多分日銀は再び「迂回経路」を予測している。

 「株が上がる」→「消費が増える」→「生産が増える」→「それによって雇用が増えて」→「一般国民の所得が増えて」→「また消費が増える」.....という好循環です。もう一つは「円安になる」→「輸出が増える」→「企業が高収益になって」→「投資が増える」です。

 しかしこの二つの「迂回経路」「循環経路」とも、ところどころで「経路狭隘」の現実がある。狭隘になった経路を広げる策がまだまだ希薄だと思う。そういう意味では、「マーケット的にはサプライズ、しかし実体経済への波及は????」といったところでしょう。

14:47
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