(14:30)まだ考えをとりまとめ中で、いろいろな人と意見交換している最中なのですが、というFOMCが公表したProjection Materialsをつらつら見ながら、「FOMCはアメリカ経済に対する基本的な考え方を大きく変えたのではないか」と思いました。
朝の文章を書いた後、もう一度資料を見直したのです。目が止まったのはPCEインフレ見通しの所でした。今年三月の予想ではアメリカのインフレ率見通しは2018年が1.9%、2019年が2.0%、2020年が2.1%と僅かながら上がっていた。
つまり前回まではFOMCは「インフレ率は緩やかだが、今後は徐々に上がる」という見立てだったのだ。これは従来型の考え方に基づいていたと思われる。「失業率低下→賃金上昇→コストプッシュインフレ」という図式だ。「失業率の低下はインフレ率を押し上げる」との。
しかし今回のインフレ率見通しは、極めて特徴的だ。それは2018年に2.1%に大きく上げたあとは、「もう上昇ペースは変わらない」との見通しを下している。2019年も2.1%の上昇、2020年もそう。そして長期的には逆に下がって2.0になる、と言っている。
声明の第一パラグラフを見ても分かるが、FOMCは「文句のつけようがないほど景気が良い」と見ている。にも関わらず、インフレ率は上がらないと判断。筆者はこの点に大いに着目した。
何よりも驚くのはFOMCが2020年の米失業率を3.5%に見込んでいることだ。これは長期的に見て理想とされるアメリカの通常時失業率4.5%を実に1%も下回る。
ということは、「低失業率が続いてもインフレ上昇率は加速しない」とFRBが確信していることになる。つまり「低失業率はインフレ上昇要因としては弱い」と。これは大きな考え方の転換でしょう。言ってみればFOMCは「アメリカ経済の質が変わった」と判断していると言える。
問題は失業率がずっと危険なほど低い水準でもなぜパウエルは「賃金は物価全般を上げるほどには上がらん」と思ったかだ。いろいろ考えられる。
などなどが考えられる。例えば、韓国では当然賃金は下方圧力を受ける。2000万人の低賃金労働者圧力生ずる可能性が出てきたからだ。ま、考えをまとめ中です。ご意見あったら、下さい。