2003
12月

2003年12月の日記

日記

2003年12月31日

 (25:38)今年もこのお寺への午前零時前後でのお参りが、行く年の最後、来る年の最初の行事でした。御輿が出て、中で厄除けをして貰って、とこれもいつもの年の瀬。

 去年とずいぶん違うと言えば、年の瀬のテレビでしょうか。昔のローマを知っているわけではないのですが、3チャンネルで展開された格闘技バトルを見ながら人間対人間、動物対人間の戦いを楽しんだローマの市民に日本人も似てきているのかな...と。

 それにしても、リングに上がったときから曙とボブ・サップでは勝負にならない、ということが明確でした。数分間も続く相撲の試合というのはそう多くはない。「二ヶ月絞った」というが、そりゃ無理でしょう。あの腹、あの胸では、サップのそれに叶うわけはなかった。ご家族も来ていたというのに、無様な敗北でした。

 それにしても、吉田も、桜庭も負け。誰か主要な選手で日本人は勝ったのでしょうか。年賀状を書きながら、他のことをしながら時々見ていただけなので知りませんが。なんとかく騒々しい年の瀬、年末最後の日のテレビ、という印象でした。

 インドに行くと書いたら、何人の方から「こういう人が居る」という連絡をメールで頂きました。ありがとうございます。メールシステムは向こうに行っても確立できると思うので、適宜連絡をとって行きたいと思います。

 それでは、皆様には良い年末・年始をお過ごし下さい。

2003年12月29日

 (24:38)都心も大分人が少なくなってきました。人が多くなっているのは、例えば小松の空港とか、長野県の諏訪の駅周辺とか。日本全体を見ると、東京とか大阪とかドーナツの中心から輪が外側に散っている感じ。年が明けると、またドーナツの輪が小さくなるのでしょう。

 夜忘年の食事会のあと六本木ヒルズに行きましたが、けやき通りの人通りも大分少なくなっていた。人が少ないと、面白いもので同じ輝きのイリュミネーションも、人が多いときほど圧倒的ではない。どこか寂しい。印象というのは、かなり違うもんですね、外的条件で。

 ところで、個人的な事で恐縮ですが、来年は年明け早々に「世界の主要地域」になりかかっているインドに行く予定にしています。一週間ほど。初めて。「わしもインドで考えた」(椎名誠)、「深い河」(遠藤周作)などで「ぜひ一度」と以前から思っていました。デリーをベースにし、動き回る予定です。

 まあ「空気を吸いに行く」程度の気楽な旅です。インドに楽しいお友達をお持ちでしたらご紹介下さい。通信状態はあまり日本と変わらないでしょうから、インドからも発信できると思います。

 多分、面白い国なんだろうと思います。先入観があるわけではない。なるべく持たずに、この眼で見ることが出来れば、ということです。

2003年12月28日

 (25:54)福井の後日談です。いや、当日談ですが。この寿司ですが、実は福井からの帰り、羽田空港から京急、山の手を経てJR新宿駅西口から丸ノ内線に向かっている途中で、視線の右側に入ってきたのです。

 「あんりゃ」というものです。実は忙しくて福井ではお土産を買えなかった。あの広い羽田空港を歩き回るのも嫌。しかたがないな、と思っていたら、福井のテレビ局でゲストに来て下さった矢部さんの寿司が新宿で売られている。びっくりしました。

 新宿駅の西口を使っている人は見てくださいね。丸ノ内線新宿駅の西口出口を出て、JRの新宿駅に向かうケースでは左側です。まさに若狭の焼き鯖寿司のポスターが。売っているのは、その裏側の店舗です。

 確か羽田空港では一個900円と聞いていたが、この新宿駅の売り場では1000円で売っていた。まあ、近くで買えるならいいかも。こんな偶然ってあるものですね。

2003年12月27日

 (23:54)雪の福井に来ています。といっても、それほど凄い雪ではない。道もまともに歩けます。朝東京から来たのですが、実は東京も雪でした。タクシーの運転手さんに聞いたら、朝の3時くらいから降り始めて、午前5時にはやんだとか。

 早起きして福井テレビさんから頼まれた仕事をしに来たのです。空港に着いたら、東京では降り止んでいた雪が、こちらではまた降っていた。当地に来たのは、この地方の元気企業の話の関係で。正月用のテレビ番組を作る仕事です。福井といえば繊維。しかし、繊維に関する話は、日本中どこに行ってもあまり良くない。岐阜もそうだったし、愛媛のタオルもそうだった。福井もきついだろうな、と一般的には思える。

 しかし、そうした中で地元の人たちも知らない元気企業を見つけよう、育てようという番組。フリーターから一転、兄弟(兄、妹)二人とパソコン教室を立ち上げて、今や全国に80以上の店を持つウォンツ、羽田空港の新名物焼き鯖寿司を作っている「海の恵み」という会社、トナーカートリッジのリサイクルで業績を伸ばす白崎コーポレーション、大豆をベースに健康に気を遣った商品を次々に開発しているドーシタ製粉、それにたとえば風呂場でも使える畳、その他異色の畳を作っているダイヤロン

 ウォンツと海の恵みの二つの会社の社長さんにはスタジオにまで来ていただいたのですが、二つとも従業員の数は少ない。しかし、今までにない手法で商売を広げていらっしゃる。なかなかユニークなのです。「焼き鯖寿司」は昔から福井の味らしいし、この会社の発展を支えている矢部みち子さんのおばあちゃんも作っていた。しかし、矢部さんはこれを「日本航空の」そして「東京の味」にしようとし、それにある程度成功した。今や羽田で売れる弁当の代表格になりつつある。

 焼き鯖と焼き鯛を食べてみましたが、おいしかったな。私は空の旅に一番頭に来ると言えば、あの機内食のまずさ、個性のなさなのです。で矢部さんに提案したのは、お客として少しプレミア(数百円)を支払っても良いから、機内で向かう先の、またはそこから帰ってくる地元の特産品(福井だったら焼き鯖)を食べられたら、飛行機の旅が楽しくなるのでは、ということ。

 そしたら矢部さんも「実現させたいんです....」と。こんな簡単なことに航空会社の人はなぜ気が付かないのですかね。長距離・長時間で飢える、という時以外は機内食に手が伸びないのは、個性も味もないからなのですが、「焼き鯖」のような商品はそれを変えてくれる、と思いました。

 その他の企業も面白かったな。風呂場の畳はユニークだし、白崎のリサイクル可能なトナーカートリッジもそうです。環境と企業の社会的責任という意味でも、意義のある事業内容だと思います。繊維がダメ、鯖江の眼鏡もダメ、という具合に福井は日本全国の地方と同じような呻吟している。しかし、そうした中でこうした企業の目が伸び始めているのは心強い限りでした。

 でもね、一つ言えるのはイマイチ「宣伝不足」なのかな。口コミで評判が伸びるのを狙っている、という面はあるのでしょうが、イマイチ加速しないのは、その辺に課題があると思いました。アナウンサーの福田さん、番組を企画した林さん、そして番組をそう指揮した山田さんには、いろいろお世話になりました。福井テレビが見られる地域の方々には、正月二日の午前7時台の後半から一時間番組として流されると言うことなので、お楽しみに。

2003年12月25日

 (23:54)シーズンになって夜初めて行ったのですが、「これは綺麗だな....」と。表参道が催しをやめてから、町並みの中でのイリュミネーションはあまり記憶に残るところがなかったのですが、六本木ヒルズの麻布よりにある「けやき通り」(でしたっけ)のそれは綺麗でした。シロとブルーの色調で。木はちょっと可哀想でしたが。

 六本木交差点を下りてきても良いし、麻布の方向からフード・マガジンの前を抜けてもいいのですが、例の数字がちかちか出ているところから、グランド・ハイアットの方向に抜けるところまで。

 サイトを見ると、この通りだけでなくヒルズ全体に「ホワイトクリスマス・イルミネーション」という催しをしているらしい。結構な人ででした。「これは新名所」と思いながら食事を一緒にした3人と歩きました。12月31日まで開催とか。時間のある方は行かれると良いと思います。

2003年12月24日

 (23:45)和菓子もそうですが、時間の過ごし方もちょっと和風でしたかね。夕方からはこの研究会に。長唄、囃子の世界です。国立劇場の小劇場は久しぶりでした。きちんとした劇場で長唄・囃子を鑑賞するのは恐らく初めて。いろいろ勉強になりました。

 リンク先のページの下の方にプログラムがあるのですが、前提として藤舎は「としゃ」と読むようです。この名前の人が一杯いるので、京都から大挙して上京していた方々の中から知り合いの一人の方に聞いたら、「親戚同士もいますが、そうでない人もいます」と。つまり芸名なんですな。

 演奏を聴きながら、頭の中には次々と疑問が涌いてくる。

  1. 小鼓を演奏している人が、演奏の直前に鼓をなめるようにしているのは何故か
  2. 前列の人は演奏していないときは手を袴の中に入れるが、後ろの人は入れないのは何故か
  3. それぞれが担当している楽器(三味線、笛、大鼓、小鼓、太鼓など)は、それぞれが専門職で他はやらないのか
  4. 一門の方は全員で何人いるのか
  5. どういう人が一門に入るのか、他に流派はあるのか
  6. 曲は誰がいつ頃作曲し、今でも作られているのか
  7. 演奏する人は楽譜のようなものを全く見ないが、全部覚えているのか
  8. 演奏活動で、これだけの人全員がプロとして、その仕事だけで食べていけるのか
  9. 声の出し方はかなり特殊なように見えるが、練習のコツはあるのか
 などなど。早めに行って見ていたら劇場内も最初はパラパラでしたので、「この程度かな」と思っていたら、直前に超満員となった。どういう人々かというと、まあ一門の門下生とか長唄・囃子を習っていそうな御中年のご婦人が多いのですが、若い人達も結構多い。

 演奏を聞いていて「間の音楽」だな、と思いました。音と音の間だ、声と声の間だの「ま」が非常に緊張感があって良い。唄は聞き取れる部分と聞き取れない部分があって、事前に知っていた方がおもしろみが増すんでしょうね。それはオペラに似ている。

 演目は難しい漢字を使ったものが多い。しかしこの世界の人は決して仮名をつけくれないのです。「舌出三番叟」は最初読めなかったな。「猩々」は、大酒飲みもいるし、蜻蛉も蠅もいるので分かる。一番「これは面白い」と思ったのは、「娘七種」ですかね。テンポがあって、印象に残った曲でした。

2003年12月24日

 (23:32)ははは、21日の日曜日でしたかね、阿佐ヶ谷の商店街を歩いていたのです。すっごい人出で、自転車を押すのがやっとといった具合。街を歩くのが好きなのです。

 はっと気づいたら、商店街の入り口の比較的有名な和菓子屋さんに、「和菓子 on Christmas」という看板を見つけた。見た瞬間に、「これは面白い」と思いました。クリスマスというと大体が「ケーキ」。しかし、ケーキは最近では何もなくても食べますよね。しかも平日のケーキの方がしばしば美味しい。

 というのも、クリスマスのケーキは大量に作りますから、特に美味しいと思ったことは最近数年間はなかったのです。何か変わったものでクリスマスを祝えないか、と思っていたのです。で、見つけたのがこの和菓子。これを贈ったら歓迎してくれるだろうと思った二カ所を含めて、自宅にも送っておいたら、24日の午前中に届きました。

 掲載した写真は私が撮ったものではない。贈った先の人が思わず撮った写真を送ってくれたので、それを拝借して掲載します。

 どうです、かわいいでしょう。「KAWAII」はすっかり世界の言葉になっていて、これでネットを検索するとフランス語、英語などいろいろな言葉で解説が出てくる。でも、この和菓子は確かに「kawaii」。最近見つけたものの中では、比較的秀逸。しかし、まだ小生は食べてありません。

 もうちょっと眺めてから食べようかな、と思っているのです。

2003年12月22日

 (18:56)一年の最後なのでこのコーナーに、ちょっと違った角度からの年末のメッセージを書き残したら、ある人から「私もベット・ミドラーが好きです。特にWind Beneath My Wingsは....」というメール。

 この曲は、「Experience The Divine」の「From A Distance」の7曲後にある。良い歌だとは思っていたのですが、言われてしげしげと歌詞を見て、これは彼女が本当に具体的に誰かを思い描いて書いた曲なのだな、と思いました。誰なんでしょうね。で、この曲が好きだといった人はまた、誰を思い浮かべているのでしょうか。

Wind Beneath My Wings
by Larry Henley and Jeff Silbar
from the soundtrack to "Beaches"

Ohhhh, oh, oh, oh, ohhh.
It must have been cold there in my shadow,
to never have sunlight on your face.
You were content to let me shine, that's your way.
You always walked a step behind.

So I was the one with all the glory,
while you were the one with all the strain.
A beautiful face without a name for so long.
A beautiful smile to hide the pain.

Did you ever know that you're my hero,
and everything I would like to be?
I can fly higher than an eagle,
for you are the wind beneath my wings.

It might have appeared to go unnoticed,
but I've got it all here in my heart.
I want you to know I know the truth, of course I know it.
I would be nothing without you.

Did you ever know that you're my hero?
You're everything I wish I could be.
I could fly higher than an eagle,
for you are the wind beneath my wings.

Did I ever tell you you're my hero?
You're everything, everything I wish I could be.
Oh, and I, I could fly higher than an eagle,
for you are the wind beneath my wings,
'cause you are the wind beneath my wings.

Oh, the wind beneath my wings.
You, you, you, you are the wind beneath my wings.
Fly, fly, fly away. You let me fly so high.
Oh, you, you, you, the wind beneath my wings.
Oh, you, you, you, the wind beneath my wings.

Fly, fly, fly high against the sky,
so high I almost touch the sky.
Thank you, thank you,
thank God for you, the wind beneath my wings.

2003年12月21日

 (18:34)北朝鮮の金正日はどういう気持ちで一連の動きを見ているんでしょうか。多分、相当焦っているに違いない。困窮化する国内、狭まる包囲網。

 リビアが核兵器など大量破壊兵器の開発を進めていたことを認め、その即時廃棄を約束したことは、ブッシュ大統領にとっては大きな政治的収穫です。イラクではいろいろしくじっている。しかし、この「静かな外交」の成果は大きい。

 アメリカから制裁を受けていて経済の成長が阻害されているということもあるが、今回のリビアの決定は、イラクに対する強硬姿勢が生んだ副産物でしょう。レーガンの対ソ強硬姿勢がソ連の崩壊を招来したようなものです。今回の話しは、リビアが米英に接触してきて話しが進んだという。

 As the Libyan government takes these essential steps and demonstrates its seriousness, its good faith will be returned. Libya can regain a secure and respected place among the nations, and over time, achieve far better relations with the United States. The Libyan people are heirs to an ancient and respected culture, and their country lies at the center of a vital region. As Libya becomes a more peaceful nation, it can be a source of stability in Africa and the Middle East.

  Should Libya pursue internal reform, America will be ready to help its people to build a more free and prosperous country. Great Britain shares this commitment, and Prime Minister Blair and I welcome today's declaration by Colonel Ghadafi. Because Libya has a troubled history with America and Britain, we will be vigilant in ensuring its government lives up to all its responsibilities. Yet, as we have found with other nations, old hostilities do not need to go on forever. And I hope that other leaders will find an example in Libya's announcement today. ブッシュ演説から

 強硬論はしばしば弊害だけを生むように言われる。しかし、希望した結果をもたらすのが早いのは、しばしば懐柔策よりも強硬策であることを想起させる。

2003年12月20日

 (06:34)今のところ毎日新聞の記事だけですが、どうせ行くならこういう発想が必要なんじゃないですかね。賛成です。

 防衛庁は19日、イラク南部のサマワに派遣する陸上自衛隊の部隊で、警備の助手や調整役として地元住民を雇用する方針を固めた。イラクでは米軍などへの反発が強まっており、陸自の安全確保には住民感情が大きく影響すると判断。地元でも仕事を求める声が強いため、雇用対策につなげることで人道復興支援色を強調する狙いもある。

 雇用を検討しているのは治安情報の収集など部隊警備の助手▽部隊の活動場所の選定などにおける地元との交渉役▽運転手▽通訳――など。具体的な人数などはさらに調整し、武器を携行した警備を要請することは考えていないという。

 サマワの部族長側が地元の経済復興を要請。サマワはフセイン政権時代の圧制で公共施設やインフラの整備が遅れるなど経済的に困窮している点も考慮した。

 あるテレビ番組を見ていたら、サマワの人々は日本の自衛隊と一緒に日本企業が来て、それで「我々を雇ってくれる」と考えているそうだ。それはそうだろう。「日本...」と言えば、まず想起するのはその経済力だろう。なにせ今のイラクの人々が一番渇望しているのは仕事。この両方が期待として繋がると、「日本は職を持ってくる...」となりがちだと思われる。

 自衛隊の役割としては筋違いの発想だが、他の国々と違う軍隊派遣の視点としては良いと思う。ただし、本来のところでは、これは新生イラクという国全体を作る中で考えていかねばならない問題であって、行った自衛隊が努力しても最初から焼け石に水の側面があることは覚悟すべきだ。ただし、地元住民との親和関係を保つ上では、一つの方法だ。

2003年12月19日

 (23:29)友人の紹介で事前に予約していたのでインフルエンザの予防接種を金曜日に受けましたが、木曜日でしたかね、テレビの番組でご一緒した中原英臣先生が、「あんなもの必要ないですよ...」と番組中だったか、間の雑談の中だったか。

 「じゃ、どうすれば良いのですか.....」と小生。「かかった、と思ったらタミフルをお医者さんに処方して貰えば良いのです...」と先生。「今は良い薬があるんですから...」とも。なんじゃい、タミフルとはと思って調べたら、ここかしこにサイトがありました。

 自分で薬局で買ってくる、というわけにはいかないし、お医者さんがタミフルを必ず処方してくれるのかも知りません。まあでも、知っておいて損ではないなと思ってここにその名称を記しておきます。

 私もほとんど風邪をひかない人間で、最近一回ひいた以外は過去10年にほとんど記憶がないのですが、中原先生は「26年ひいていません....」と。当たり前の話しですが、「うがい、手洗い、そして湿度を保つ」が何にも増しての風邪、インフルエンザの予防法らしい。まあそうですわな。

2003年12月18日

 (06:34)また出てきましたな、1.35という数字が。前回は確か英デーリー・テレグラフに「ECBはユーロが1ユーロ=1.35ドルになったら、ヨーロッパへの資本輸入規制を検討する」と出た、と思った。今回は、「1.35ドルまでは介入しない」という形で。

 この報道(Market Newsによる匿名ECB筋の発言報道)を受けて、17日の海外市場ではユーロが大きく上昇して、1.24ドル台を示現。ポンドも11年ぶりの対ドル高値、スイス・フランも7年ぶりの高値。特に欧州サイドに強材料のあるでもないのにドルが下がって、ヨーロッパの通貨が上がる。

The dollar also fell to a fresh 11-year low against the British pound around $1.7665, as well as a seven-year low at 1.2514 Swiss francs. The U.S. currency has been in a sharp retreat during the North American session, after the publication of a newswire report that intervention from the European Central Bank to halt the euro's appreciation is unlikely for a while yet.

The report from Market News, quoting unnamed ECB sources, said that as long as the euro's appreciation remains orderly, there will be no intervention until the common currency hits $1.35. The ECB declined to comment on the report.

 ユーロ高やヨーロッパ通貨高に付いていくべきか、そろそろ方向転換すべきか。思案のしどころですが.....。日本のマスコミはまた「円高進行」と報道するんでしょうね。しかし、一方で円は欧州通貨に対しては「円安進行」。この辺まで目配りできるマスコミは日本には少ない。

2003年12月17日

 (08:34)住宅着工が19年ぶりの高水準、消費者物価のコアが40年ぶりの低水準、鉱工業生産は4年ぶりの増加....とアメリカ経済は引き続き強い。前日はフセイン拘束にもかかわらず下げた株だが、火曜日のニューヨーク市場はダウを中心に大幅高。

 住宅着工高は1984年2月以来19年ぶりに年率200万戸を超えて、11月は207万戸となった。低金利もそろそろ終わり、という印象が消費者に高まって着工が増えたせいかもしれませんが、それにしてもアメリカ人の家を建てるという意欲は依然として強い、ということになる。11月は10月比4.5%の増加。

 11月の米消費者物価指数は全体で前月比0.2%低下。これで過去一年の米消費者物価上昇率は1.8%という低率になった。もっと驚くのは、食料品とエネルギーを除くコアの指数。11月はコアも0.1%の低下でこれは1982年以来の月間下落。この結果、コア指数の過去一年間の上昇率は1.1%になったが、これは1963年以来の最低だそうだ。つまり年間ベースで見て、アメリカのインフレ率は40年ぶりの低水準、ということ。

 鉱工業生産の増加は、資本財の生産の増加に伴うもの。企業活動は活発化している、ということになる。11月の伸び率は0.9%で、これは事前にエコノミストが予想したよりもはるかに高い伸びだという。加えて言うと、設備稼働率は上昇。懸念を抱かれながら、アメリカ経済は走っているということです。

2003年12月17日

 (07:25)昨日読んだ新聞記事で一番印象に残ったのは、「IBM to Export Highly Paid Jobs To India,China」(IBM、インド、中国に高賃金職を輸出へ)というものでした。どんな highly paid jobs かというと、コンピューター・ソフトウエアのプログラマー達のそれ。英文の最初の内容は以下のようなものでしたが、IBMといえばアメリカの企業でも職が安定していて、もっともアメリカ人が憧れる、尊敬される会社です。そこでもプログラマー職のインドなどへの移管が始まったと言える。

  In one of the largest moves to "offshore" highly paid U.S. software jobs, International Business Machines Corp. has told its managers to plan on moving the work of as many as 4,730 programmers to India, China and elsewhere.

  The unannounced plan, outlined in company documents viewed by The Wall Street Journal, would replace thousands of workers at IBM facilities in Southbury, Conn., Poughkeepsie, N.Y., Raleigh, N.C., Dallas, Boulder, Colo., and elsewhere in the U.S. Already, the managers have been told, IBM has hired 500 engineers in India to take on some of the work that will be moved.

  IBM calls its plan, first presented internally to some midlevel managers in October, "Global Sourcing." It involves people in its Application Management Services group, a part of IBM's giant global-services operations, which comprise more than half IBM's 315,000 employees.

 つまり、「global sourcing」(世界的調達)という名目の下に、IBM内の4730人分の企業向けアップリケーション・ソフト関連のプログラマー職をインド、中国に移管し、その関連のアメリカ国内の雇用機会を減じる、ということです。

 アメリカの企業が製造業の職だけではなくて、サービス産業の職、特にこうしたコンピューター・ソフトウエア関連を外だしし始めていることはよく知られていました。それがIBMに広がっても驚くべき事ではないかもしれない。この記事によると、今はこの種の職に対してIBMは米国内で年間7万5000ドルから10万ドルを支払っている。

 これに対して、インドで大卒(bachelor)、さらにはマスターの資格保持のソフトウエア・プログラマーを雇うと、年間1万ドルから2万ドルで済むという。これだけ見ると約5分の一で済むことになる。インドのシンさんが、「海外からソフトウエアの企業が大挙して(インドに)進出してきている」と言っているのは頷ける。

 では4730人が誰で、今後どういう形でアメリカ国内で職を失うかは来年になってから発表されるが、通告が行われた後は対象者はIBM社内で他の職を見つけられるかどうかで60日間の猶予を与えられるようです。しかし「それはなかなか難しい」というのが一般的な見方のようです。なぜなら、IBMの他の部門も雇用を絞り込んでいる最中だから。では対象者はどうなるのかといえば、大部分はIBMから出て行くことになる。

 IBM以外のアメリカの会社でも、「global sourcing」の動きは顕著になっている。インターナショナル・データ、アクセンチュアなどの会社が既に動き出しており、前者は2007年までに全情報技術関連職の23%(現在5%)を海外に流出させる、としている。ガートナー・グループなど業界調査会社によると、来年末までにアメリカ国内のコンピューター・サービス企業の職の約一割が海外に出る見込みだという。

 もっとも、インフラ整備など雇用の総コストを比較すると、例えばインドではビルから建て直さないといけないなどの背景があって、一つのソフトウエア職を生み出すには5万ドルがかかるのだそうです。雇用は企業にとっては賃金だけではない。インフラ整備も保険関係もある。しかし、それでも同様のアメリカにおける一人分の雇用コスト10万ドルに比べると半分。職はまだ動くと言うことです。

2003年12月16日

 (07:26)月曜日の引け段階の株価が、先週末比で東京では大幅高、香港では反落の終わりだったので、ニューヨークはどうなるかなと見ていたら、同地の株価は寄りつきこそ高かったものの、あとはずるずると下げて引値は−19.34ドル、Nasdaqは−30.74ポイント。読みとしては、香港の勝ち。

 「年初来で凄く上がっていた。フセインの拘束を大部分の投資家は織り込んでいたのでは」というニューヨーク安の解説になっている。それは事実です。香港の方もこのところ8日連続だったか高値を更新していた。良い材料が出たときが「格好の利食い場」ということになったし、ニューヨークもそういう展開だった。「ニューヨークは大幅高になる」と上がった東京の株価は、ちょっと「ハシゴを外された」形。

 しかし、長い目で見れば世界の株式市場にとって潜在的には良い材料には違いない。ビンラーディン、オマルとともに、フセインが逃げ続けている世界では、「テロのリスク」がそうでない場合よりも高い。そうでない場合の第一号として、フセインが拘束されたと考えるのが自然です。象徴のないテロはなかなか難しい。「象徴」という意味では、ビンラーディンの方が象徴性は高いのですが。

 しかしキリスト教対イスラム教という全体の流れがあり、イスラム教徒が自国の地に異教徒の軍隊がいることに民衆レベルで強い反発していることから見ると、フセインに続きビンラーディンやオマルが捕まっても、「反抗」は続くとも考えられる。フセイン拘束は区切りだが、劇的に情勢が変わるわけではない、という意味ではニューヨークや香港の株価の反応は十分理解できる。しかし地合いは良い、と理解できる。

 拘束されカタールに移送されたとも伝えられるフセインが旧政権幹部の所在に関する供述を始め、それに基づいて幹部何人かが拘束された、というニュースがもし本当だとしたら、フセインという人の人柄が分かるし、それがショックな人が多いだろうな、という気がする。イラク人の間にそういうフセイン像が広がるかどうか。

 予想されたことですが、イラクの一部地域では「捕まったのは影武者。本物が出現した」との噂が広がったという。イラク情勢は一筋縄ではいかない。当面一番アメリカにとって頭が痛いのは、「どう裁くか」でしょう。ブッシュはこの点について、「イラクの人々に重要な役割が与えられねばならない」と述べている。

 「完全にイラク人に任される」と言っているわけではない。「重要」とは何を言うのか、そして刑が確定したときに彼に対するイラクの人々の感情がどうなっているのか。今から予想するのは難しいのですが。

2003年12月15日

 (23:26)日曜日の夜から世界中に流れたフセイン拘束のニュースは大きかった。イラクの情勢がどのように展開するかについては、私はそれほど楽観的ではないのですが、アメリカのサイドにとって「大きな収穫」でしょう。今後拘束されたフセインが今後何を喋り、どう裁かれるのかは大きな問題になる。

 それにしても、穴蔵に居るときのフセインの心情はどうだったのでしょうか。66才で穴蔵の中に隠れていて、「しばらく隠れていれば米軍は去る」と思いながら穴の中に居たのでしょうが。それにしても、「抵抗もせずに捕まるとは信じられない」というティクリートの住民の意見は、彼の虚像がいかにフセイン中に広まっていたかが分かる。彼をよく知る人ほど、「自害するよりは、何年でも監獄に入る道を選ぶだろう」という見方をしていたそうですが。

 月曜日には、バグダッドの北部で四輪駆動車を使った自爆テロがあり、8人のイラク人警察官が死亡したという。またイラク各地で拘束直後に見られた「歓喜の渦」は収まって静かになったという。他民族、複数イスラム教宗派を抱えるイラクが今後どう収まってどういう国になるのかは今後の大きな問題だし、まだ誰にも分からない印象もする。

 それにしても、フセイン拘束に関するバグダッドでの記者会見は実に良く「calculated」(計算)されていた。ブレマーがまずしゃべり、統治評議会の代表が喋り、そしてサンチェス司令官という順序。かつ映像が完璧に用意されていて、それが世界中にまず流されて、誰もがサダムの捕捉を納得する構成。アメリカは広報の国だ、という印象が強かった会見でした。

2003年12月12日

 (18:26)私がずぼらしていたら、ちゃんと調べてくれた方がいました。小原さんは毎日外務省のサイトで毎日何が企画されているのか調べておられるそうで、以下のメールをいただきました。今週の水曜日に夜9時から1時間半ほど一緒に時間を過ごしたインド人がいったい誰だったか、という点です。

 小原です。シンさんが登場されたのは12月8日であれば外務省主催シンポジウム「インド:台頭するグローバル・パワー -新時代の日印協力戦略-」を、三田共用会議所(東京)において開催した。

 このシンポジウムは、(財)日印協会及び日印経済委員会、朝日新聞社の後援を得て開催され、日本、インド、米国、中国からのパネリスト及びモデレーターに加え、150名以 上の有識者及び財界、メディア関係者等が参加した。(以上外務省のサイトから)でしょう。N.K.シン・インド計画委員会委員・前首相経済顧問。

 いろいろな方で出会いがありますね。外務省のサイトは毎日CHKしておりインドシンポジウムが開催されることは知っていました。中国同様インドには注目しています。

 私自身もキーワードを頼りにこのサイトを探したのですが、外務省のサイトにはリードは残っているがコンテンツは抜かれてサイトがない。まあ、終わったら消すのが自然なんでしょうね。そうです、そうです、この方です。なるほど。夜だったせいでしょうが、気さくなおっさんというかんじでした。

2003年12月11日

 (22:26)大阪には三時間ちょっといて戻ってきましたが、今日は本当に珍しかった。帰りの電車に乗り込もうとすると、にこにここちらを見ている人がいる。この研究所(サイトがずいぶん綺麗になったな)の前社長の岡本さん。むろん一緒にいろいろなことをしました。奇遇でした。

 ところで、これは水曜日の話なのですが、ひょんな事からインドの経済政策の策定に一定の発言権のある人と1時間くらい話をする機会がありましたが、その話が結構面白かった。もともと予定にはなかったのですが、知り合いの通訳がこのインドの方に「六本木ヒルズに行きたい」と言われて困っていたので、たまたまその地域にいた小生が夜9時過ぎから付き合ったという次第。

 最近読んだフィナンシャル・タイムズの記事で「インドは爆発的発展の端緒に立っている」という記事を思い出してその話をしたら、以下のようなことを言っていた。

  1. インドの来年の成長率は7%プラスになる
  2. 中でも、サービス産業(ソフトウエアなど)が11%プラスの高い成長率を持ち、また製造業が10%前後になりそう
  3. アメリカがインドに高い投資をしているし、中国はインドにインドは中国に進出しつつある
  4. しかし、インドに問題がないかと言えばそうではない。政治(今の政府も24の政党の連立)は大きな課題だし、経済格差(地方による)も大きいし、宗教(インドはインドネシアに次いで世界二番目のイスラム教徒数を誇る国)も大きな問題を孕んでいる
 などと言っていた。その話はしなかったのですが、インドではカースト制度がどうなるか、も大きいでしょう。

 話していて面白かったのは、このシンさんという方は経済産業省か財務省の主催した日本企業のインドでのビジネス機会に関するセミナーの為に奥さん同伴で日本に来ていて、そこでパネラーか何かをした方らしいのです。彼は「日本は今のままでは、インドへの進出が遅れて、中国とともに発展の機会を迎えているインドでのチャンスを失う」ということでした。

 アメリカの企業がソフトウエアなどサービスの部門をインドに移す動きを示している中で、インドでの雇用機会が増加し、それがインドの経済活動を活発化している。つまり、インドは中国と並んで先進国からの投資で経済の発展が加速しているのです。彼が話しの最初で「インドの成長率は7%プラス」と言ったのは、そのFTの記事を引用して小生が「来年のインドの成長率は6%になるそうだが」と言ったことに対して、「いやそうじゃない、7%プラスだ」と言ったのです。

 面白いことを言っていたな。シンさんが小生の方に向かって小声になって、「分かるでしょう。巨像同士のチョメチョメでは、周りが揺れる.....」と。奥さんに聞こえないような声で、彼は確かにそういったと思う。彼に言われてそうなんだ、と思ったことですがインドの企業は中国に、中国の企業はインドに盛んに進出しているのだそうです。今まではこの隣接する巨大国は仲が悪いと思っていた。そうではないというのです。

 中国は13億、インドは実態はどのくらいでしょうか。まあ10億として、合計23億の人口、世界人口の三分の一以上。その二カ国が本格的に経済関係を深めて、しかも高い成長率を実現しつつあるとしたら、世界経済における高い成長ファクターになる、と私は考えました。うーん、一回も行ったことのないインドに行きたくなったな。

 このインド人夫妻はかなり以前に日本に暫く住んだことがあると言っていました。そして、最近の日本の新名所は六本木ヒルズだと知っていたのでしょう。で見たくなった。小生が森ビルは上海にも大きなビルを建設している、と言ったら、森ビルのトップにインドではムンバイとニューデリーに絶対ビルを建てるべきだ、と言っておいてくれと盛んに言っていました。

2003年12月11日

 (14:26)大阪に来て、暇な時間を見つけてちょこっとこの欄を書いているのですが、新幹線の中で実に久しぶりな方にお会いしました。ここの理事長を退任された大場元財務省財務官。うーん2年ぶりくらいかもしれない。

 暫く大場さんの席に行って話していたのですが、「どこにいらっしゃるのですか」と聞くと、岐阜県あたりの金融機関に行かれるとか。「いや、内海が海外、私が国内を担当しているのです」と。つまり、一種のトップセールスというか、各金融機関とのトップ同士の意見交換などをしていらっしゃるご様子。

 「地銀も結構大変だから....」と。この組織は確か金融機関の拠出で成り立っている部分があるので、時々訪問して意見交換かたがたつながりを強固なものにしていらっしゃるのでしょう。理事長を退任されても結構大変なんだな、と思いました。

 血色が相変わらずよろしかったので、「ゴルフは..」とお聞きしたら、「いやね最近はあまり...」というお返事。昔大場さんをテレビのゲストにお招きしたら、夕方の収録で昼間はゴルフに行かれた後だったことを鮮明に覚えているのです。リンパ腺か何かの手術をされたそうな。

 ジョーク本は...と話を向けたら、「おかげさまで5刷りまで行きました」。まあ232万冊も売れないでしょうが、5刷りまで行ったのは素晴らしい。それでも面白いファックスやら何やらがいろいろ来るそうで、まあだからとうこうということはなく、楽しまれておられるようですが。京都でお別れ。お元気そうで良かった。

2003年12月11日

 (07:26)世の中には、忙しいのにちゃんと才能を発揮する余裕がある人、というのがいらっしゃるものですな。実は先日掲載したイマジンの替え歌の日本語訳を考えたのもそうなのですが、その方はD証券のTさんという方。そして今回はこの方、先のFOMCの12月9日の声明の肝心部分を大阪弁で訳されたのだそうです。それがニューヨークの武井君を経由して小生のところに送られてきましたから、それを掲載しましょう。

 小生は時々大阪弁らしきものは口をついて出るが、ピュアではない。よって、以下に掲載する大阪弁訳が完全なものかどうかは、関知するものではありません。まあ、同じ関西弁といっても、またまた地域によって分化すること甚だしいでしょうが、全体を楽しんで下さい。

 委員会は、金融政策をゆるゆるにしとることが、基調的な生産性がごっつう伸びとることと一緒になって、今んとこは経済活動の大事な助けになっとるとまだ信じてんねん。前の集会の後に生産がええ感じで増えた証拠もあるし、労働市場もちょびちょび良うなってきとるようや。コア消費者物価の上がり方はぱっとせえへんし、低いままやないかと思っとる。

 委員会では、これから何四半期か先について、長続きできるような成長を達成できるかどうかについてのリスクは、上にも下にもだいたいおんなじくらいやないかということになっとる。かなわへんぐらいにインフレが低くなる確率は最近数ヵ月で小さくなってきて、インフレが上がる確率とほとんどおんなじになってきたみたいやね。そやけど、インフレが低いし、資源の利用もたるんだ状況やから、委員会は緩和策をかなり長いこと続けられると信じてんねん。

2003年12月10日

 (18:56)出張ばかり多かった過去2週間も、やっと明日の大阪日帰りが終われば一段落。ちょっと年末をゆっくり過ごしたいな.....なんてところなんですが、ぎりぎりになってもう一つある。

 まあ出張は新しい情報と人との出会い、知り合いとの再会がありますから、別に悪いことではない。あまり重ならなければ。今治ではいつも松山に行くとお会いする戸田さんとか柏木さんに会うのが楽しみなのです。今回もしこたま飲んでしまった。そして来年早々の再会も約束。ははは。

 今週の火曜日だったと思ったのですが、毎週書いているマネックス・メールに今治のことを以下のように書いたら、今治出身の方から長いメールをもらいました。やはりご出身の街のことが気になるようです。

 なんでそういう話になったのか忘れましたが、月曜日の宴席は方言大会になって、四国の一つの方言として「むつこい」を覚えました。「むつこい顔」とかいろいろな形で使う単語らしい。火曜日に東京に帰ってきた後、萬久満にいる女性で、広末涼子と同じ高校、確か一年違い(従って高知県出身)という女性にその話をしたら、「高知でも使う...」と。ということは、四国全域で使うのかな。

 まあ、あちこちの方言を言い合うと、それが頭に残る。ひょっとした時に、出てくるかも。あちこちに行って方言を覚えるのもおもろいな....と。いつも思うのは、同じ日本でもこれだけ言葉は多様になる。世界の言語が増殖する過程というのは、タイムマシンで見ると実に面白いだろうな、なんて考えました。来年の高知行きが楽しみ。

 週初の二日間を出張で四国・愛媛県の今治で過ごしました。松山、今治、そして海を渡った尾道あたりは、これまでも何回も出張で来ているところ。海の仕事(造船、海運など)をしている企業の方々が多いので、為替とか金利には敏感で話していても皆さんの興味がキーンであるのが分かるのが気持ちよい。一隻船を造ろうとしたら、巨額の資金が必要になる。また運賃はドル建てですから、ドルの動向(特にドル安)には神経質です。

 もともと私はこの地域は好きなのです。なぜなら、海の仕事というのは国の範疇を超えていて、発想そのものが国際的であること、しかもその中できちんと収益を上げて、独自の経営基盤を築き上げた企業、企業家が多いことによる。つまり、話していて面白い人たちが多いのです。皆さん、自分の判断で動ける人たちばかり。独立独歩の空気が良い。

 その愛媛県、そして四国全体がどうなっているかというと、船関係は外航船を中心にきわめて順調。中国向けのバラ積み船の運賃は国際的に見ても最悪期の8倍とか9倍になっている。だから、造船発注も多い。今治でも、景気の良い話が聞かれました。しかし、船全体が良いかというと、内航船(国内対象の海運会社)企業は厳しいということで、その企業の業容によって大きいな差が生じている。

 四国で景気が良いのは、紙もそうです。日本の製紙業界は整理が相当進んで、企業の数もかなり絞られてきている。四国には整理後も残ったいくつかの製紙企業がある。そうした状況で、景気の拡大が進み始めて、中国も動き始めた。だから、紙会社の株価も堅調です。しかし、では四国全体が景況が良いかというと、たとえばタオル業界はどん底。繁盛しているところとそうでないところがくっきりと色分けされている。今治を歩いても、景気の良いホテルが顔色の良い人々を収容しているかと思えば、その直ぐ近くの商店街はひなびた状況になってきた、といった状況。

まあこの状況が、日本全国の地方の街の縮図かもしれない。つまり、景気の良い業種をいくつ抱えているか、がポイントになる。そういう意味では、今治とか松山、それに尾道というしまなみ海道(街道)沿いは日本では地方でも力強い方でしょう。こういう地方が増えて欲しい、と思っているのですが。

2003年12月10日

 (06:56)FOMCが下した結論はまたしても微妙なもの。これだけ微妙な判断を下されたら、株式市場は判断に困ってしまうでしょう。だから、ダウで朝方1万ドルを回復した株価も、あとはハイテク株を中心に下げた。

 一番注目されていた「can be maintained for a considerable period」の文言(今年7月のFOMC以来使われている)はキープしました。しかし、先月に「 the probability, though minor, of an unwelcome fall in inflation exceeds that of a rise in inflation from its already low level. 」と言っていた部分は、

The probability of an unwelcome fall in inflation has diminished in recent months and now appears almost equal to that of a rise in inflation.(インフレが歓迎されざる形で低下する危険性はここ数ヶ月で減少し、今やインフレが上昇する可能性とほぼ同等になった)
 とした。つまり、10月には「デフレのリスクの方がインフレのリスクよりも大きい」と言っていた評価を、「デフレのリスクは減退し、インフレのリスクと同等になった」と言っている。そして先月その後に続く文言として「on balance, the risk of inflation becoming undesirably low remains the predominant concern for the foreseeable future(俯瞰するならば、予見しうる将来におけるもっとも大きな懸念は、引き続きインフレのリスクが望ましくないほど低下することである)」としていた部分は、インフレとデフレのリスクが均等になっても超緩和政策を続ける根拠としての「with inflation quite low and resource use slack(だが、インフレ率は極めて低く、設備稼働には余裕が見られる)」ことを挙げている。

 FOMCとしての景気判断の引き上げもくっきりと見られる。先月は「spending is firming, and the labor market appears to be stabilizing(設備投資・支出はしっかりしてきているし、労働市場も安定してきている)」としていた部分を「output is expanding briskly, and the labor market appears to be improving modestly(生産は活発に拡大してきているし、労働市場は徐々に改善してきているように見える)」とした。単語が持つ印象としても、「stabilizing」と「improving」では、受ける語感がかなり違う。

 つまり結論はこうです。FOMCは超緩和政策からの出口に向けて、歩を半歩進めた。今回のFOMCの声明全文は以下の通りです。

For immediate release The Federal Open Market Committee decided today to keep its target for the federal funds rate at 1 percent.

The Committee continues to believe that an accommodative stance of monetary policy, coupled with robust underlying growth in productivity, is providing important ongoing support to economic activity. The evidence accumulated over the intermeeting period confirms that output is expanding briskly, and the labor market appears to be improving modestly. Increases in core consumer prices are muted and expected to remain low.

The Committee perceives that the upside and downside risks to the attainment of sustainable growth for the next few quarters are roughly equal. The probability of an unwelcome fall in inflation has diminished in recent months and now appears almost equal to that of a rise in inflation. However, with inflation quite low and resource use slack, the Committee believes that policy accommodation can be maintained for a considerable period.

Voting for the FOMC monetary policy action were: Alan Greenspan, Chairman; Timothy F. Geithner, Vice Chairman; Ben S. Bernanke; Susan S. Bies; J. Alfred Broaddus, Jr.; Roger W. Ferguson, Jr.; Edward M. Gramlich; Jack Guynn; Donald L. Kohn; Michael H. Moskow; Mark W. Olson; and Robert T. Parry.

2003年12月08日

 (16:56)今週は出張が多くて週の後半には大阪に行くのですが、今は愛媛県の今治にいます。今治は今まで何度も来ているのですが、今回は初めてのお泊まり。泊まるのはこのホテルですが、なかなか立派なホテル。人口11万だそうですが、ホテルからすればそうは見えない。

 このホテルは地元では有名な造船会社さんが造ったと聞いた。税金対策で作ったとも言われているそうですが、今は宿泊客が多くてホテル自体でも経営は良好なそうで、今は外航船の好況と相まってこの会社は非常に経営が良いらしい。

 外航船、つまり国際的な海運市場の良さはすでにこのコーナーでも取り上げました。取り上げた直後に日経ビジネスに同じような記事が載っていました。しかし、内航船の経営は厳しいようで、二極化が顕著とか。「二極化」はいろいろなところで進行している。

 街の様子もかなり景況全体を移している。つまり、海は外航を中心に良いが、タオルはダメということらしい。店によって繁盛しているところとそうでないところがくっきりと色分けされている。まあ今治も、日本全国の地方の街の縮図かもしれない。

2003年12月06日

 (09:56)ニューヨークの武井君が、「こんなものが手に入りましたので、お送りします」として、以下のコメント付きで「imagine」の替え歌、しかもクリーブランド連銀作(ほんとかな...)というのを送ってくれました。

 来週はJohn Lennonの命日ですが、クリーブランド連銀がImagineの替え歌を作っています。

 ブッシュ政権の経済政策を批判する内容があまりにも素晴らしいため、日本語訳までしてしまいました。添付したPDFファイルを御覧ください。1ページ目が英語、2ページ目が日本語です。ジョン・レノンのオリジナルの歌詞と比べると、よりいっそう皮肉がはっきりと分かると思います。

 彼が「来週」と言っているのは、確か8日です。私のビートルズに関する考え方はここに掲載しているので、それを読んで頂ければ良いのですが、この替え歌はなかなかよく出来ている。

 笑ってしまったのは、武井君のメールをもらったときにたまたま「Let it Be... Naked 」を聞いているときで、「このアルバムの出来は悪いな....」と思っていた。このアルバムより、この替え歌の方が良い。

 「失業がなく、予算均衡を夢想し、貿易赤字もない...」と。そんなことになったら、今はユーロに対して弱いドルは急騰しますわな。では、PDFファイル上のイマジン替え歌バージョンをお楽しみ下さい。和訳は、彼が送ってきてくれたもの、そのままです。

2003年12月04日

 (22:56)ユーロの強さには本当に驚く。今日の昼頃でしたかね。イギリスのデイリー・テレグラフに書き出し以下のようなニュースが流れた。普通に読めば、「いよいよ欧州も強すぎるユーロに堪忍袋の緒を切らせた」「資本流入規制」と聞いて、ユーロ売り・ドル買いや円買いを想起する。

 その通りになったのですが、ほんのつかの間。直ぐにユーロは対ドル、対円で反発に転じた。まあここには掲載しませんでしたが、「ユーロ当局が資本輸入規制を行うトリガーは1ユーロ=1.35ドルの時になる可能性が強い」となっているので、「先の話」であることは確かなのですが。今のユーロ高には、非常に大きな、そして決意を伴うドルからユーロへの資金の流れがある、と見ることができる。

The European Commission is examining the legal basis for 1970s-style exchange controls to stop the euro surging to destructive levels.

A team working for Pedro Solbes, economics commissioner, claims Brussels may lawfully impose "quantitative restrictions" on capital inflows, clearing the way for a crisis response if the dollar continues to fall.

The document, drafted last month on the orders of Mr Solbes's director-general, Klaus Regling, concludes: "Should extremely disturbing capital movements endanger the operation of economic and monetary union, Article 59 EC provides for the possibility to adopt restrictive measures for a period not exceeding six months.

Any decision would be taken by EU finance ministers under qualified majority voting, leaving Britain with no veto.

2003年12月04日

 (20:56)夕方から毎年この時期に行われる「年末エコノミスト懇親会」に出かけました。毎年ホテル・オークラの別館の地下の部屋。これは代わりばえしない。しかし、久しく会ってない人などに会えるのが良いところです。

 まず会ったのが水口章さんかな。アラブの専門家。ずっと昔からの知り合いで、今は敬愛大学の先生。イラクの情勢などの話をしばらくして、その後は田口さん、市岡さん、原田さん......。ダイキンの水野さん....などなど。

 久しぶりといえば、リチャード・クーさんにはいつも書いたものはお互いに見合っているのですが、実際には1年ぶりくらいだったかな。彼の書いたものは野村アメリカを通じて向こうにも行っているのですが、アメリカの空気の変化というようなことを言っていました。かつての自由な国ではなくなった、と。

 先週のEZ!TVでアメリカのイラクからの「出口論」が欠如しているといった発言に、「全く賛成」と。彼があの番組を見ているとは知らなかった。あと池尾さんとか本間さんなど大学の先生方に会ったかな。黒田さんに来年の予想を聞いたら、「来年11月末時点でドル・円は120円、日経平均は1万5000円」と。そうだ、そろそろ来年の予想を書かねば。

2003年12月04日

 (06:23)木曜日の石油輸出国機構(OPEC)総会を控えて、石油のニュースが多い。日本はドル安の中で石油価格が高止まりしていることをあまり気にしていないが、産油国などは価格の動向とドルのトレンドの両方が気になるのでしょう。以下のサウジの石油相の話はなかなか産油国側の話しとしては、「そうだろうな」と。見出しは「Saudi Oil Czar Suggests OPEC Will Keep Crude Prices High」です。

VIENNA -- The oil minister of Saudi Arabia, the de facto leader of OPEC, suggested the cartel will aim to keep oil prices higher than it otherwise would because a weak dollar is eroding the value of member nations' petroleum-export revenue.

The statement Wednesday by Ali Naimi came as the dollar set a record low against the euro for a fourth-straight trading day, leaving the currency down some 15% since the start of the year.

Since the spring of 2000, the Organization of Petroleum Exporting Countries has targeted oil prices in a range of $22-$28 a barrel, pledging to vary production levels to keep prices within this band, preferably around $25 a barrel.

On Tuesday, the latest day for which OPEC has compiled price data, the cartel's benchmark basket of crudes closed above the band at $28.43 a barrel. U.S. benchmark crude, usually priced several dollars higher than the OPEC basket, was trading at $30.78 a barrel.

Mr. Naimi, in Vienna for a gathering of the cartel's oil ministers Thursday, told reporters that the dollar has depreciated by some 35% in the past three years. He said the current price band didn't need to be changed. But he also suggested that OPEC wants a higher oil price. The aim, he said, was to keep the price of oil within the cartel's current band, but using "the purchasing power of the old, good dollar."

 もう目に付いた石油の話しは、お隣の中国の石油需要とその今後の見通しに関する記事です。これの方が長期的に世界の石油市場の行方を考える上で重要です。見出しは「China's Growing Thirst for Oil Remakes the Global Market」で、中味はなかなか深刻な話しです。中国とアメリカが石油を取り合うかもしれない、という。
With its factories working overtime, and its consumers on course to buy almost two million cars this year, China is developing a world-class thirst for oil. And its hunt for steady supplies is reshaping the global energy market, the environment and world politics.

China -- which this year surpassed Japan as the No. 2 petroleum user after the U.S. -- is increasing its oil purchases even faster than it is pumping up its brawny economy. Imports for the first 10 months of 2003 are up 30% from the year-earlier period. The International Energy Agency expects imports to double to some four million barrels a day by 2010. By 2030, the IEA expects China to be importing about 10 million barrels a day, roughly what the U.S. brings in now. Domestic oil output, meanwhile, is flat.

 「今年最初の10ヶ月の中国の石油輸入量が昨年同期の30%増」「日本を抜いて石油の世界第二位の消費国になった」とインプレッシブな文章が並ぶ。もっと刺激的なことはずっと記事の後に書いているのですが。ま、今後の世界経済と市場を考える上で、見逃せない視点でしょう。

2003年12月03日

 (23:23)雑誌「選択」の編集長だった阿部重夫氏がこの雑誌を去ったことを2週間ほど前に誰かから聞いて知っていたので、今週の初めに届いた同誌については、「早く見たい」と思っていたのですが。今日、やっと見ました。12月は野暮用が多く、なかなか時間がない(ここを更新しない理由にしているわけですが)。

 二点で興味があった。「この雑誌が今後どうなるか」「阿部氏は今どうしているか」である。この雑誌の巻頭は確か編集長が行うインタビューだったが、12月号は編集長ではなく外部の人に小沢・民主党副党首をインタビューしてもらって、それを載せている。それに関する言い訳は最後にあって、「今後も(インタビューには)最適な人を」と書いてある。

 ということは、阿部さんの代わりの編集長は見つかっていない、ということでしょう。阿部氏は、彼が日経にいたときから知っていて、彼が日経を辞めたときにも驚いたし、ロンドンに行ったときも、選択に入ったときもそうだった。最近では彼自身の文章は朝日で見かけることが多かったかな。ちょっと捻った文章を書く人です。

 何があったかは聞いてはいますが、それは伝聞。確か同じ年だったと思ったので、今は何をしているのか、と思っているのです。あとはやはり存在感のある雑誌だったので、内容がどう変化するか、ということでしょうか。興味の対象は。

 誰か言っていたな、「主要新聞社の社会部長経験者を編集長に狙っている」と。その話しがその後どうなったかは知りません。ところで、阿部氏がリンクを張った文章の中で「年下の友を失った。京都弁で色白。入院4カ月で急逝した」と書いているのは、恐らく日経ビジネスの編集長でもあった小林さんの事でしょうか。

 たまたま3日に、書評を書いていることもあって日経ビジネスの編集部の3人の方と夕食をしましたが、小林さんの話が出た。本当に急だったんですな。彼も自分の雑誌にはインタビューを載せていたな。雑誌のインタビューはやはり編集長でないとしまらない、と思う。小林さんのインタビューは結構好きでしたね。「選択」もどうすることやら。

2003年12月01日

 (08:23)イラクで日本人外交官二人が殺害されたことで私が思うのは、アメリカもイラクからの出口戦略を見失っている中で、日本の自衛隊を今送って有益なのかどうか、またイラクのより多くの人々に歓迎されることが出来るのだろうか、という点だ。日本の有為な人材を誰が見ても厳しい環境に送るのなら、今後のイラクがどういう国になるのか、そしてその国造りに貢献できるという展望が見えなければならない、と思うのです。本音のところで、「リスクはあるがその価値があるので行ってもらう」と言えるような状況が生み出せるかどうかだ。

 今はそれがない。アメリカも今後のイラクに対する図式を描ききれないでいる。最初は選挙と憲法の制定が先行して、それから政府を作り....と言っていた。しかしそれがうまく行きそうもない、来年の大統領選挙に間に合わないと判断すると、まず「暫定政府」を来年の6月に作ってイラク人に権限を委譲する案を出した。しかし最近イラクの統治評議会はシーア派の主張を受けて、「まず選挙」と言い出している。つまり混迷しているのだ。

 一方で職がなく、イラク政権時代には抑圧との引き替えに数々(食料、燃料、家など)与えられていた物資を買えなくなった、もらえなくなった民衆の不満は充満している。いろいろな情報を総合すると、実際にテロ活動を行っている活動家の数はそれほど多くない(アメリカは5000と言っている)が、その活動を黙認する、または支援する民衆の空気というのは強くあるらしい。民衆の間では、「テロリストは見つけたら当局に突き出す」という雰囲気はないようである。

 「安全だから行く」「安全なところもある」という論理は既に使用不可能になってきている。アメリカ軍の判断だと、イラク側の全ての攻撃が緻密に計算された、コーディネートされたものではないにせよ、かなりの程度組織的に行われているという。ということは、自衛隊が行ったら安全と思われる場所に行ってもターゲットになる可能性がある、ということだ。ターゲットになることが分かっている状況で、十分な人道支援、復興援助は難しいだろう。

 今のイラクの統治の枠組みがアメリカ中心ではなく、イラクの人々がもっと素直に受け入れられる形になったときの方が、日本の貢献もうまく行くのではないか、と思う。むしろ日本は、イラクの新しい枠組みの創出に尽力すべきだろう。これなくして今のままイラクに行っても、その貢献度は小さいように思える。そうした状況が出来ない限り、日本が人・モノを送るにしても最小限にとどめるべきだと思う。

2003年11月30日

 (09:01)笑ってはいけないのですが、とっても面白かったので残しておきます。ある天ぷら屋さんでの話し。私たちが入ってカウンターで食べていたのです。そしたら、直ぐ横に熟年のカップルが入ってきた。うーん、どこかアンバランスな。

 二人は「お好みで」といって食べ始めてその後順調だったのですが、しばらくして男性の方が突然「ふなすって何 ?」と店全体に聞こえるような大きな声で聞いたのです。天ぷらの材で「ふなす」っていうのは何かな、と思った瞬間に思い付きました。「小」はしばしば字を崩すと「ふ」に見える。それをそのまま大きな声に出してしまったのです。つまりそれは、「小なす」だったのです。

 慌てたのは板さんです。それと一緒にいた女性。板さんは沈黙。一緒にいた女性もしばらく言葉を失っていた。ま、カワイイおっちゃんだったのです。分からないことを聞いたのは間違いではない。でも周囲の人を緊張させてしまったことは確かで......

2003年11月29日

 (23:01)久しぶりにシャワーを浴びました。音楽の。しかもちょっと渋い。エリック・クラプトン日本ツアー。土曜日から6回武道館でやるらしいのですが、初回と言うこともあってあの大きな会場が全館満員。

 「最初から立つのはきついな」と思って行ったのですが、全館起立になったのは最後の4曲ぐらいでちょうど良かったと。まあ普通のロックではなく、聞き込む感じのコンサートですから。でも相変わらずギターはうまいし、歌も良かった。

 音楽のシャワーは家でも浴びることが出来る。しかし、コンサート会場にはもう一つのシャワーがあるんですな。それは光、照明のシャワー。あれは良い。まあユーミンの光のページェントに比べれば抑え気味ですが、印象に残りました。最後は「over the rainbow」を歌っていました。いろいろな経験をした人ですから、思いもあったのでしょう。

 それにしても日本語がうまい。「こんばんは....」の挨拶でコンサートが始まって、曲が終わると「どうも」ですからね。「どうも」は10数回言っていた。まあ数少ない日本語しか知らないのかもしれないが、それにしてもちょっと感心したコンサートでした。

2003年11月28日

 (04:01)午前3時過ぎに前の晩の打ち上げでちょっと飲んでいたこともあって喉が渇いて目を覚ましたのです。夜中でも目を覚ますとケイタイで最新ニュースをチェックする癖が付いている。見たら驚くニュース。「ブッシュがバグダッドを訪問した」と。

 そのニュースを見ながら、直ぐに三つのことが頭に浮かびました。

  1. 「突然、隠密に、発表もせず」とある。「そりゃそうだよな」と。最近でもDHLの民間機がロケット攻撃を受けた。バグダッドの空港に着陸する機にアメリカの大統領が乗っているなんて事前に発表された折りには、大変なターゲットになってしまう。それだけイラクが危険だということです

  2. 次に、「来年の大統領選挙対策、アメリカ国民へのメッセージとしてはうまい」という点です。明らかにこれはサプライズです。しかも在イラクの約600人のアメリカ兵士と大統領が過ごした日は、アメリカの感謝祭の当日。これは国民うけする。兵士に感謝の気持ちを表している

  3. 三番目に思ったのは、「ではイラクの人々はこの訪問をどう受け止めたのか」という点です。ブッシュの訪問の狙いは明らかにアメリカ(兵士、国民など)です。戦後の統治がうまくいっていないことに不満を募らせているイラク国民に向けたメッセージがなかったとしたら、「なんだ何の為に来たのか」とイラク国民は思うだろうし、普通一国の大統領が別の国を訪問するときには事前発表があり、準備があり...ということで事が運ぶ。ということは、今のイラクはブッシュから「国の扱い」を受けていない、ということです。イラクの人々はこれを快くは思わないだろう、あたかもブッシュは災害救助で国内出動した軍隊を慰問するかのようにイラクを訪問している、と考えました
 そう思った後で、アメリカの新聞を読んだら面白いことがいろいろ書いてあったのですが、その前にブッシュがバグダッドで何をしゃべったかを拾ってみると、以下の通りです。

 「"You are defending the American people from danger and we are grateful," Bush told some 600 soldiers who were stunned and delighted by his appearance.」(あなたたち=イラク駐留アメリカ兵士=は、アメリカ国民を危険から守っており、我々は感謝している)

 「"You are defeating the terrorists here in Iraq," he said, "so we don't have to face them in our own country."」(あなた達はここイラクでテロリストたちを打ち負かしつつあり、それであるが故にアメリカ国民は国内でテロリストに直面しないで済んでいる)

 「"they hope we will run."」(テロリストは、我々が逃げ出すのを望んでいる)

 「"We did not charge hundreds of miles into the heart of Iraq, pay a bitter cost of casualties, defeat a ruthless dictator and liberate 25 million people only to retreat before a band of thugs and assassins," 」(われわれは、一部の残忍な連中や暗殺者を前にして逃げ出すために、何百マイルも行軍してイラクの中心に達し、悲しい犠牲者を出しながらも無慈悲な独裁者を打ち負かし、2500万人のイラク国民を解放したのではない)

 など。まあもっと何か言ったのでしょうが、これを見る限りイラクの国民に対するメッセージはない。顔は完全にアメリカに向いている。ブッシュがアメリカをいかに極秘裏に出国したかについては、以下のような英文がある。翻訳するのが面倒なのでそのまま掲載しますが、要するに

  1. 夫人のローラさんにも直前まで言わなかったし、ブッシュのテキサスのランチで感謝祭休日を過ごす予定で、事実過ごした(ブッシュ抜きで)両親には全く知らせなかったし、この訪問を知っていたのはブッシュ政権の中でも極一部に限られた超隠密行動だった
  2. ブッシュはランチ(ranch)をこっそり抜けて近くの空港に行き、そこからアンドリュース空軍基地に行き、バグダッドに向かった。バグダッドに着く前にブッシュがイラクに向かっていることがマスコミに漏れたら引き返す予定だった。ブッシュの電撃的なイラク訪問は、ブッシュが帰りの飛行機に搭乗して離陸してから発表された
  3. 飛行機には4人の記者、カメラクルーと一部の側近だけが乗って、バグダッドに到着するときには窓を暗くするなど、ターゲットになることを最小にする努力を払った
  4. バグダッドには2時間半滞在し、VIP(ブレマーだと思っていた人が多かったようだ)が来るからと集められた600人のアメリカ兵士と感謝祭の食事をした

 

The president's plane -- its lights darkened and windows closed to minimize chances of making it a target -- landed under a crescent moon at Baghdad International Airport.

Mr. Bush flew in on the plane he most often uses, and White House officials went to extraordinary lengths to keep the trip a secret, fearing its disclosure would prompt terrorist attempts to kill him.

The news of Mr. Bush's trip wasn't released until he was in the air on the way back to the U.S. "If this breaks while we're in the air we're turning around," White House communications director Dan Bartlett told reporters on the flight to Baghdad.
 ――――――――――
Plans for the trip were tightly held among a handful of senior aides. First lady Laura Bush, preparing a Thanksgiving Day dinner, was not told until Tuesday or Wednesday. Mr. Bush's parents, former President George H.W. Bush and Barbara Bush, were invited to his ranch for the holiday but weren't informed.

The president had slipped away from his Texas ranch in an unmarked vehicle and was driven to a nearby airport, where he climbed aboard Air Force One on the back stairs rather than the front.

 うーん.....。

2003年11月27日

 (06:31)GDPデータなど比較的過去の数字だけではなく、もっと近過去の景気の状態を示す指標も、アメリカでは全部上向いてきている。感謝祭の前日に出た10月の耐久財受注(3.3%アップ)、週間失業保険申請者数(11000人減)、同月の個人所得と支出は予想以上の良い数字だったし、ベージュブックも書き出しは

Reports received from the District Banks suggest that the economy continued to expand in October and early November. Descriptions of the pace of growth varied somewhat. But improvements appeared to be reasonably broadly based, with most districts noting growth in a number of industries. Overall, wages and prices of finished goods and services remained fairly stable, although some increases in input prices were noted.
 と、最近では一番強い表現になっている。これで、数末の雇用統計が良かったら、イラクではテロで悩むアメリカ経済は、数多ある懸念(双子の赤字など)にもかかわらず、カレントの視点では懸念がない状態になる。

 週間失業者申請者数(35万1000人)は、34ヶ月ぶりの低い水準。予想は「2000人の増加」だった。耐久財受注は0.6%増が予想。出た数字は繰り返すが3.3%アップ。10月の個人所得は0.4%の増加(前月は0.3%アップ)で、一方支出は横ばい。フトコロ状態はわずかに改善という状況。

 フロリダ州だったかどこかの予備選挙でブッシュが大勝したそうだが、この数字では現役は強い。株は感謝祭前の薄商いながら、ダウで15.63ドル、Nasdaqで10.27ポイント、SPで4.56ポイント上昇。にもかかわらず、債券利回りは10年債で4%の前半にあって、金利の大幅上昇は起きていない。テロ懸念もあって株式の上げが抑制されている分だけ、お金は債券に向かっている。

 強い経済指標にもかかわらず、ドルが弱い。昨日も強い指標が出ている最中に、同通貨は対ユーロで1.17ドル台から1.19ドル台に急落した。介入が入ってばからしくてやっていられない円に対しても、ドルは大きく下げて今朝現在では109円からみ。おもしろい形です。これだけアメリカ経済が強いときにドルが上がらないとしたら、「いつ上がるのか」と問いたい人も多いでしょうね。

 とにかく水曜日は終わり、アメリカはサンクスギビングに入る。テロさえなければ、良い感謝祭になる、ということです。ドルを除いては。(今見ているCNBCは、アルカイダがアメリカに対する severe new attackを警告している、と報道。本当かどうか分かりませんが。)

2003年11月26日

 (23:56)かねてから付き合いのある尾道の船主と久しぶりに会って食事をしながらいろいろな話をしましたが、予想通り威勢の良い話が出てきました。どの航路かは忘れましたが、一日8000ドルだった運賃が最近は70000ドルに上がっている、という。

 「異常です」とこの船主。ではすぐ沈静化するかというと、「中国ですよ。ですから、2008年の北京オリンピック、2010年の上海万博までは」と息の長い話。それまで高運賃が続くということではないでしょうが、市場の基調は強いのでは、と見ているということでしょう。

 黒字が巨大化するなかで元の切り上げ圧力を受けている中国の「輸入意欲」は強い。アメリカと貿易戦争状態になったから、そうでない国からの輸入には中国は力を入れるでしょう。恩恵を受けているのは、日本の鉄鋼メーカーなど中国のインフラ建設に寄与できる企業です。

 中国はその国際政治でとっている独自の立場もあり、テロにもあいにくい。ある意味では、非常にバランスの取れた外交姿勢をとっている。そうした点も今後の「安定した成長」を予感させる。なにしろ箱が大きいので、多少の動きが世界経済に与える影響は大きい。中国とアメリカが健康体なら、日本も経済の立ち直りは楽になる。

 それにしても、尾道とか今治とか松山当たりの海関係の経営者は好きだな。内航は別にして外航の連中は、皆目が世界に向いている。そりゃそうだ。海運は、それ自体が国際的な仕事。船主の中には、瀬戸内海の島におられながらディーリング・ルームを持って常に為替をウォッチしている、というような強者もいるらしい。昼は農作業をして、夜は為替をチェック。

 一般的に言うと、瀬戸内海の海運関係の人々にとって一番良いシナリオは、「低金利・ドル高」。ドル高はドルで運賃が入ってくるから、低金利は船を作りのにお金をいっぱい借りているため。彼らにとって懸念はドル、ということでしょう。

 景気には必ず波がある。今の海の好況にも沈静化するときがあるでしょう。彼の見方もそうだった。しかし中国故に、日本の海運業界の好況はしばらくは続きそうですな。

2003年11月25日

 (23:31)またまた素晴らしい数字のオンパレード。一ヶ月前に「7.2%」と出て市場を驚かした第三・四半期の成長率は年率8.2%のプラスに改訂された。これは1984年第一・四半期以来の高い伸び率。

 その中味も良い。上方改訂は、主に企業の設備投資の伸びを反映したもの。過剰だと言われる消費ではなく、「企業の将来に向けた投資」の伸びを背景としている。企業の設備投資が伸びれば、生産性の上昇というファクターがあっても、労働者の雇用の伸びや、将来のアメリカ経済の生産力の増強を予感できる。

 加えて、米企業の収益は同四半期に30%も増加した。これは年間としては、19年ぶりの対前年度比の伸びだという。米企業の収益は、歴史上初めて「1兆ドルの水準を超えた」とウォール・ストリート・ジャーナル。

 同時に発表されたコンファランス・ボードの消費者景気信頼感も良い数字だ。11月は91.7(1985年=100)と、10月の81.7から大幅に改善した。The Present Situation Indexも11月は80.1と10月の67.0から大幅アップ。

 11月の場合には、今後半年の間にアメリカ経済の景況が良くなると予想した消費者は10月の23.5%から24.1%に上昇した。逆に今後半年間で「悪くなる」と予想した人は、11%から7.1%に減少した。担当者は言う。

“Consumer confidence is now at its highest level since the Fall of 2002,” says Lynn Franco, Director of The Conference Board’s Consumer Research Center. “The improvement in the Present Situation Index, especially in the jobs component, suggests that consumers believe a slow but sure labor market turnaround is underway. The rise in expectations is a signal that consumers will end this year much more upbeat than when the year began.”
 まあ市場の反応は複雑でしょうね。この文章を書いている時点では、ニューヨークの株はダウが下がっている。昨日大きく上げていましたから、「buy the rumour,sell the fact」になっているのでしょう。但し日本時間の早朝のニューヨークのクローズ時点でどうなっているかは分からない。普段慣れ親しんだ消費者景気信頼感の調査対象は以下のようです。
The Consumer Confidence Survey is based on a representative sample of 5,000 U.S. households. The monthly survey is conducted for The Conference Board by NFO WorldGroup. NFO is one of TNS group of companies (LSE: TNN). The cutoff date for November’s preliminary results was the 17th.
 昨日もどこかに書きましたが、アメリカ経済に対する見方は、国内の楽観的な見方と国外のどちらかというと悲観的な見方に分裂している。我々日本人など国外勢は、「双子の赤字、イラクでの苦境などなど」を理由に、「アメリカ経済大丈夫かな」と見ている。

 対して、アメリカ国内の人々、特に消費者は非常に楽観的です。それがコンファランス・ボードの調査にも表れている。この二つの見方で揺れているのがニューヨークの株価、ドル相場というわけです。恐らくこれは、タイムスパンの差とも言える。どちらがプリベイルするかは時間が証明してくれるでしょう。

2003年11月24日

 (23:28)ははは、久しぶりに大学の先輩とゴルフをしました。先輩と言っても、行きつけの萬久満の戸田さんです。どうも2年先輩。今週行って食事をしている最中にあっという間にそういう話しになった。

 楽しみにしていたのは、「シングルも前半」という腕前でした。私のゴルフはしばしば遊びのゴルフで、時にスコアも付けない。今日もその通りのスコアだったのですが、うーん、戸田さんもちょっと不調だったんでしょうね。ものすごく不満そうでしたが、「90超え」。トリもありましたし、ドライビングはスプーンの人にオーバードライブもされていたし。

 まあ、しばしば「拍手....」というショットはありました。しかし変わってもいる。なにせ下からのパットより、上からのパットが好きという、変わった人でその通りだった。下からのパットはかならずショート。上からの変なパットをねじ込む。本当はうまいのかもしれない。ま、外野がうるさかったからな。

 行ったのが大利根というコース。清水さんが持っているコースで名門らしいのですが、まあ真っ平ら。18ホールを歩いて回っても全然疲れない。あれならもっとプレーに力を入れるのだった、と思ったが後の祭り。

 帰りに銀座のソニービルに寄ったのですが、凄い人出でした。年末の雰囲気が徐々に出てきた。しかし、ゴルフ場でも思ったし銀座を歩いていても思ったのですが、「黒」または「黒系」を来ている人が圧倒的に多い。韓国の人達も黒が好きですが、日本も黒が圧倒的に多くなってきた。どうしてでしょうね。食事の時にもそういう話しになったのですが、往事のカラフルさが消えて、まあ落ち着いてきた....というか。

2003年11月24日

 (06:28)昨日の番組のゲストは、中東問題専門家の大野元裕さんでしたが、彼が使った「アルカイダ・チルドレン」という言葉は面白かった。日本でも武部チルドレンとか土井チルドレンなどと言う。

 実は私はこの言葉、つまり「アルカイダ・チルドレン」をアメリカのメディアで見たことはない。検索してもなかなか出てこない。もっとも、大野さんは「アメリカではこういう使われ方もする」と言っていた。まあだから私が見たことがないと言って、ないわけではないでしょう。彼が言うんだから。

 意味としては、「アルカイダの直接的な教えを受けているわけではないが、その考え方に影響された連中」という意味らしい。アルカイダはもともと、非常に緩やかなネットワークだと言われている。誰かが絶対的な指揮権を持つというような形ではなく。

 アルカイダに対しては、相当強力な掃討作戦が行われていて、そのメンバーの数は減少している、力は減退していると言われる。むろんビンラーディンが捕まっていないので、組織としては残存しているが、往事の力はないとも見られる。しかし、アルカイダ関連とも思われる事件は続発している。それは、思想に共鳴した連中が緩やかな連携で事件を起こしているからだ、とも見られているからだろう。

 こうした「チルドレン」が世界各地に生まれているとしたら、それは現在の我々にとって大きな脅威だ。なんとしても阻止しなくてはならない。日本の何処かでも、そんなのが生まれていたら、海外からテロリストが来なくても事件は起きうる。大野さんが言うように、日本では武器・弾薬の入手が難しいので、それほど簡単ではないだろうが。

 混乱の続くイラクに関してのVTRを見ながらいつも思うのは、「失業率が80%を超えているような国では、政情は安定しないだろう」という点だ。昨日のVTRは「失業はいろいろな邪悪を生み出す」「収入がないから、若い連中は略奪、犯罪に走る」という発言が出ていた。それはそうだと思う。収入があってdecentな生活を始めれば、人と社会はそれほど荒れないものだ。

 今のイラクには全くそれがない。昨日のVTRではサマワの住民は野菜が買えない、と言っていた。野菜が食べられない、というのは酷い話しだ。インフレも酷いのだろう。ディナールだったか、イラクの従来の通貨は価値を失っているように見える。跋扈しているのはドルで、「ドルを持っている連中は、思う存分買っている」との声も。

 こうした状況が改善されなければ、豊かな資材と機材を持つ外国の軍隊は敵意の対象になっておかしくない。水やインフラが整ったとしても、仕事がなければ政情は安定しないと考えられる。仕事がなければ生活するに必要なものも買えないからだ。買えなければ、奪ってこようと考える連中が出てくる。

 水の供給やインフラの整備も必要だが、柱の石油産業を敏速に立ち上げ、国民のより多くの人が職に就けるようにする、というのが一番大きなイラク安定化のための仕事のような気がする。それが出来れば、イラク国内で不必要に大勢のアルカイダ・チルドレンが生まれることもなかろう。日本のそういうことで寄与できれば最高だと思うのだが。

2003年11月22日

 (23:28)一年ぶりに法事をしました。新井薬師さんで。良い天気で、あれだと集まって頂いた方々にも、足下の心配はなかった。良かった。明日も天気は良いようで。

 去年一周忌をやったばかりなので、三回忌は来年だと思っていた。そしたらもう今年だと、と誰かに言われました。どうしてそうなっているのか分かりませんが、「そうなっている」と言われると、そうするしかない。新井薬師の和尚さんには、いつもお世話になりっぱなしです。

 親戚や縁の会った方々に集まって頂いたのですが、一年たつといろいろなことが変わるもので、例えば一つ年上の従兄弟が今まで自動車会社に勤めていながら一回も海外の勤務がなかったのに、GMとの関係でまずデトロイトに行って、その後メキシコに行くという急遽の国際派転換、ということに驚いたり、99才で矍鑠としている親戚の叔母さんの話になったり。

 86才でまだ自転車を元気に乗っている、しかも雨の日は片手で傘をさしての運転が出来る父親のお姉さんも元気に見えられて、加齢というのもいろいろなタイプがあり、個性が強いなと思いました。

 親戚には同じ高校を出た先輩が一杯居たのですが、その一人の三村さんから、「今夜の日本テレビの夜7時からの番組に高校の校歌が出るらしい」と聞きました。

 半分冗談だと思っていたのですが、見ていたら「日本一素敵な最低大賞」とかいう番組に本当に出てきたのには驚きました。「素敵な最低」だから、両面があるということです。私の出た高校の何がそれに当たるかというと、校歌です。

 高校にいる間だから、「長い校歌だな」と思っていたのですが、番組はその校歌の長さを測っていて、その計測では18分59秒だった。その理由は、とにかく全部歌うと第一、第二で合わせて18番もある。興味がある人は歌詞ばかりでなく、リアルオーディオで聞いて頂ければ良いと思います。

 そう言えば、このリアルオーディオ版にも「日本一」とある。高校生の時は日本一だとは知らなかった。このリアルオーディオはそういう意味では懐かしい。私も全部歌ったのは、年に数回。日本テレビのアナウンサーの中にも、同じ高校出身者がいたのが面白かったな。昔から、マスコミなどには多い。

2003年11月21日

 (18:28)テロが続発している。日本時間の金曜日の午後に入ってきたニュースは、イラク・グダッドのパレスチナホテルとシェラトンホテル、それに石油省の建物なんでしょうか、もう一棟の政府ビルにロケットが打ち込まれて、負傷者が出たというもの。ただし死者は出ていない模様。

 日本の20日の夕方のイスタンブールでの二度目のテロ(イギリス領事館とHSBCを狙った)は27人の死者を出した。その前の15日の同じイスタンブールでのシナゴーグにおけるテロでは23人が死亡。トルコではたった一週間の間に50人もの人がテロで死亡したことになる。
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 トルコでのテロに関しては、アメリカの新聞などの見方は「イスラムと西洋の橋渡しの位置にいるトルコ」を狙い、その親西欧的な世俗主義的価値観を挫くことによって、西欧とイスラムとの分断を狙っている、との見方が強いようだ。

 トルコはイスラム教国でありながら、その西欧を直ちに望める位置関係からして、ダイナミックな経済発展を遂げた西欧に憧れてきたし、イスラム教国には珍しく酒も飲めるし、ポルノも許されている。世俗的な国家なのだ。イスラエルを最初に承認したイスラム国家であり、NATOに加盟し、そしてEUへの加盟を狙っている。しかし、「他のイスラム教国、特にアラブ諸国にはリップサービスをしながら」(ニューヨーク・タイムズ)という位置。

 これは、イスラムを絶対とするアラブ諸国からは猜疑の目で見られるし、特にアルカイダなど原理主義的な宗教団体からは目の敵にされておかしくない。今回は「イギリスが狙われた」と言われるが、私にはトルコで二度もテロが短期間に起こったことが重要で、テロリスト集団にはトルコを舞台にする理由があったと言うことだろう。彼らにしてみれば、イスラム教の国で英米の模範生が出てきては困るのである。模範生が増えることは、英米の枢軸がイスラム教諸国に突き刺さることを意味する。

 トルコは今でこそ政情がかなり落ち着いている状況だが、私の記憶でも軍部のクーデターが何回か過去に起きている。経済苦境が続いていること、加えて失業の増加などで若者の間にはフラストレーションが高まっている、と言われる。

 明らかにテロリスト達は、かなり組織的に弱い、しかし肝心なポイントを突いてきている。日本に対する攻撃が有効だと彼らが考える理由はありそうだ。なぜなら、イギリスに次ぐアメリカ支援国であり、アメリカが言うところの「有志国同盟」を挫こうとするには格好のターゲットとなりうるからだ。

 日本がテロの側に立つことはむろんない。どんなことがあろうと、そのほとんどが無実の人を殺すのは許されることではない。ではどうしてそのテロを減じていくか、が問題だろう。アメリカに出来ることは、恐らくテロの象徴的存在であるオマル、ビンラーディン、フセインなどトップを捕獲すること。テロが見返りのない行為であることを示さなければならない。

 その上で、やはりイスラム諸国で「不満」「鬱積」などなどが蓄積しないような努力をしなければならないだろう。それがないと、第二第三のテロ指導者が出てくる。日本はこの分野で出来そうなことがありそうだ。しかし、それでもテロ行為というものは消えない、と考える。数が減るくらいだろう。つまり、我々はそういう時代に生きていると言うことだ。
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 そうした時代は、金融市場も不安定になる。事実不安定になっている。昨日のニューヨークの株式市場など、トルコでのテロがなければ上がっておかしくない材料が揃っていたが、ホワイトハウスでの避難騒ぎもあって、株価は日本時間の午前5時頃から急速に下げた。ダウで100ドル近い下げ。それでも東京がしっかりしていたのは、勇気づけられる。何時までもアメリカ市場の後追いでは情けない。

 アメリカにはこのテロ以外に、たとえば貿易収支の赤字が巨額なことなど、いろいろな懸念材料がある。テロに加えて市場がそれを心配すると、市場の混乱が深まると考えたのか、グリーンスパンで彼は昨日の段階でこう言っている。

But in a speech Thursday to a conference sponsored by the Cato Institute and The Economist magazine in Washington, Mr. Greenspan said there was little evidence the current-account deficit was putting stress on world financial markets. For example, despite the dollar's decline, "inflation, the typical symptom of a weak currency, appears quiescent," and inflation expectations as reflected in long-term interest rates "have fluctuated in a relatively narrow range since early 2002."

Those remarks indicate Mr. Greenspan doesn't agree with some analysts who say the dollar's decline is contributing to inflationary pressure by making imports more expensive. Many Fed officials in recent weeks have emphasized the central bank's commitment to keep their short-term interest rate target, now at 1%, low for many more months because there is no upward pressure on inflation.

Mr. Greenspan said he had "little doubt" that if the deficit widened further, foreigners would eventually slow their investments in the U.S. But because the global financial system has become more flexible, "imbalance are likely to be adjusted well before they become potentially destabilizing." He said a current- account deficit equal to 5% of GDP wouldn't have been easily financed just a few decades ago, but the spread of specialized financial products and institutions and investors' willingness around the world to increase their foreign holdings have made the global financial system more flexible.

 確かにドルの下げはアメリカの金利を押し上げてはない。インフレ懸念も行き過ぎだろう。金融のツールが増えていて、資金調達も比較的容易になっていることも確かだ。彼は言う。「世界の金融システムは、従来より柔軟になっている」と。アメリカの通貨当局者として、事態の沈静化に心を砕いている、と言える。

 しかし彼がこういう事を言わざるを得ないまでに、市場が心配していることも確かである。市場はいずれテロ慣れするし、今までのケースを見ても、「アメリカの経常赤字」という周知の事実によって大きく動揺することもないだろう。そういう事態は徐々にプライスに織り込まれるものだ。しかし、それらのリンクを考えつくことがなかり難しい時代に我々が生きていることは確かである。