2003
05月

2003年05月の日記

日記

2003年05月31日

 (09:16)ニューヨークの佐々木君が教えてくれたサイトです。彼曰く「ヤンキースの熱狂的なファンが作っているサイト」だそうですが、その左下に「Are you happy so far with the play of Matsui?」というアンケート・コーナーがある。「これまでのところ、松井のプレーには満足しているかい.....」というのです。

 「これまでのところ」というのは、当たり前ですが常に移動する。私がこのサイトにアクセスして、上から二番目にチェックして進んだのは、土曜日の午前九時です。そのときの結果は以下の通りだった。

Are you happy so far with the play of Matsui?

Yes, he is awesome! 377 (27%)
Yes, doing what he should. 363 (26%)
So-So, not very impressed. 194 (14%)
No, he's overpaid. 307 (22%)
No, trade him or cut him. 132 (9%)
1373 Total votes

 総投票数が1373票のうち、「やるべきことをやっている」までの満足派が740票、53%。だから、ヤンキースファンも松井をまずは認めているということです。ただしこれは28日の試合で二塁打を二本打った、うち一本は試合を決める一本になったことを受けた結果です。

 この28日の試合に彼は言っていたらしい。メールの中に次のような実体験を入れてくれました。引用します。

 ところで松井スペシャルで書かれていた28日の試合、ちゃんとこの目で見ましたよ。

 驚いたのは実際松井への風当たりが強かったということ。オーナーの発言や一部マスコミでのバッシングが影響しているのでしょうが、私の右後方に座っていた数人のファンが、私の55番のユニフォームを見咎めて聞こえよがしに松井の悪口をがなりたてていました。相手は巨漢の酔っ払いということもあり相手にしません(出来ません?)でしたが、かなり口汚く罵っていましたのでこちらも頭に来ました。連中はそのうち何処かに消えてしまったのですが、松井が活躍してくれて本当にホッとしました。

 上げて下げる。ニューヨークのマスコミにはその傾向が特に強いのですが、松井には本当にそれをはねのけ欲しい。まあ、彼の目がかなり鋭く、そして振りも鋭くなってきましたから、少し安心ですが。数試合に一本は、大きいのが欲しい。

2003年05月30日

 (15:16)6ヶ月ぶりの月足陽線ですか。本当に久しぶりですね。まあ陰線ばかりが続くはずもない。当たり前でもある。去年の11月以来。日経平均株価で見た東京市場のチャートです。多くの銘柄の中で凄く目立つのは、何と言っても電機株の堅調と自動車株ではトヨタの150円高。

 電機株には、日中から外人の買いが伝えられていた。しかし引けにかけて一番大きな動きを見せたのは、トヨタです。90円高くらいで推移していたのが、引けにかけて大きな買いが入ったのでしょう。2860円での引け。前日引値は2710円だから、これは大きな上げです。これだけ大型の株がこれだけ大きく上げるのは、材料があったか、大口の買いがあったかのどちらか。

 指数として引値で8400円台にファームの乗ってきたことは、東京市場にとって心強い限りです。日本経済の病根の一つは株安ですから。まあでも、株の専門家の人たちは、「数ヶ月は強いが....」という言い方で警戒的ですが。

2003年05月30日

 (10:16)今朝の日経の一面の特集記事の中に面白い事実がひっそり記述されている。「米財務省は最近、為替相場の動きを監視している部門を縮小し、担当者の一部をイラク復興担当に転配した。」とある。一面の左の文章の中です。

 この文章を読みながら、先日ワシントンから日本に短期間来たある人の話を思い出していました。彼が言うには、「最近、為替相場を見る米財務省の為替課(日本で言う)が、財務省の本館から出されて、別の建物に移された」、と言うのです。

 もしこの二つが本当だとすると、米財務省の為替担当部署は「人員を削減された上に、財務長官などがいる本館から追い払われて、別の建物に移された」ということになる。為替ディーラー出身のルービンが財務長官だった時代とは、アメリカの為替政策、その比重が大きく変わったと言うことです。為替相場が大きく動いても、担当者が財務長官の部屋に駆け込んで報告をする、というようなことは希有になる、ということです。

 それがドル為替相場のどちらへの方向を意味しているということではありませんが。それは状況によって違う。一つ言えるのは、為替相場に米ブッシュ政権の関心が向くのは、相当相場が動いて、株式市場や物価情勢に大きな影響が出た時ということでしょう。

2003年05月30日

 (10:16)「jazz」を辞書で調べる。と、むろん音楽の一ジャンルとしての「ジャズ」もあるのですが、名詞のリストの最後の方に「5 《話》…やらなにやら」という意味も。調べることは賢くなることですな。シカゴの「all that jazz」は、この意味のjazz です。

 ネットをいろいろ調べると、「all that jazz」にはいろいろな意味が付与されている。「徒然なるままに」という翻訳があると思えば、「人生あれやこれや」というのもある。まあ、そういう感覚で使う慣用語です。「人生いろいろ」と言っても良い。

 というのも、全く初日とは知らずに赤坂アクト・シアターで行われたミュージカル「CHICAGO」を見に行ったのです。インターネットでチケットを取って。見て、もっとも印象に残る言葉の一つが「all that jazz」。今までは聞き流していた。大体の意味を想像して。これで分かった。

 劇場は、超満員でした。映画はもう見てあるので、どう違うかも興味があった。圧倒的にミュージカルの勝ちです。私にはそう思えた。動きがシャープで見ていて気持ちがよい。むろんリチャード・ギアはいないし、タップもない。しかし、アクトレスたちの動きや歌は見るに値するし、賞賛にも値する。時代背景は似ています。何でもありの、かつてのシカゴ。最初が、「murder, greed........」ですから、つかみも良い。

 最近流行の、台詞が日本語訳になって舞台の両サイドに翻訳の出るパターンですから、筋も追える。これはナイスです。オペラなどで始まったことですが、今はこれがないとやはり筋を追い切れない。自分の英語力の情けなさを知らされるのですが。

 「all that jazz」がそういう意味なら、「razzle dazzle」はナンだ......。

razzle-dazzle

《略式》

1 見掛けのきらびやかさ;はでな活動;はでな演技[宣伝など]
2 《the 〜》ばか騒ぎ
3 〔アメフト〕複雑なトリックプレー.

 なるほど。面白いミュージカルでした。ブロードウエーの力量が良く出ていると思う。

2003年05月29日

 (10:16)久しぶりにこのページ(松井スペシャル)を更新しました。

2003年05月28日

 (17:16)あらら、竹中さんは9月に辞める方向ですか。ニューヨーク・タイムズにはかなり詳しく出ている。

 現役の大臣の去就が海外の新聞に載るのは珍しいが、それは彼がニューヨークを中心に海外で「次の職」探しをしているかららしい。この新聞は、竹中さんと話した北米の学校関係者3人の話を聞いている。

 こんなニュースがびしばし出るようでは、なかなか仕事はうまくいなんでしょうな。

2003年05月28日

 (08:16)本当に縁とはいなものです。昨日はただただ中華を食べることを楽しむ会を行ったのです。私ともう一人の中華好きをコアに6人の人間が集まって。だから、初対面の人もいるし、まだ二回しか会ってないという人もいるという相互にとって面白い会合。

 で私ともう一人男性がいた。私は会った瞬間から「どこかで見た...」と思っていたのです。職業当てクイズまでして楽しんでいた。音楽プロデューサーまで判明した段階で、その男性が一枚のCDを配った。「こういうことをしています...」と。そのCDの上に書いてある名前を見て「えっ」っというようなものです。

 そのCDの上には高橋洋子と書いてある。この名前を見てピンときました。なぜなら、この歌手の歌は今年の初めに、確か2月だと思ったのですが、セルリアンタワーのこの店で、三浦、竹村両君と聞いたことがある。この店をその日に選んだのは、まったく偶然ですが。

 で「この歌手のライブに一回行ったことがある....」と言ったら、そこから話が広がった。彼女の名前を言ったら、「私そこに居ました....」という。それでパット思い出しました。髪型や顔の印象で。彼女の観客席から見て右側にいた人です。そのときはキーボードをやっていた。

 大森さんという作曲家だったのです。その話でしばし盛り上がりました。最近思うのは、「it's a small world」。こういうこともありました。会社でここ数年は常に私から数メートルで働いていたH君がロンドンに赴任した。送別会を開いてあげたりした。彼が行ってしまばくしたら、TBSラジオのこの番組の私の担当者のYさんが、「伊藤さん、Hさんをご存じですか....」と。そりゃ知ってますわな。

 で、「何で」と言ったら、「今後Hさんの留守宅を4年間借りることになりました....」と。彼女は今度結婚する。で、もうH君の保有していた東京の家に住んでいると。これには笑ったな。最近本当に思うのです。ある程度長く生きると、どこかでいろいろなところで人とは縁が出来ていると。だから、全く知らない人と会っても、この人とはどこかで縁があるかもしれないと思うと、結構楽しめる。

 あと同時通訳者、金融関係の女性二人、アナウンサーなどなど。おもろかった。メンバーリングは。しかし、六本木ヒルズで相当マスコミで騒がれた店でしたが、ありゃいかん。全然ダメ。良い意味でうるさい連中の集まりなので、来る従業員にいろいろ言っていたら料理長まで出てきたのですが、そのときに思いっきり印象を言いました。

 もう二度と行きません。やはり店は値段だけで決めてはいけないと思いました。踏み固められた評判が絶対必要だと。最後は本国を調べてみないといけない。

2003年05月27日

 (08:16)今朝の朝日新聞の天声人語によると、昨日の話題にしたSARSのスーパースプレッダーは、中国では「毒王」と翻訳されているそうだ。凄まじい名前ですね。中国語の語感は日本語のそれとは違うのでしょうが。

 では、「silent super spreader」は何というのですかね。その件については、この記事にはない。しかし台湾では、「毒王」の他に「超級伝染者」という呼び方もあるそうだ。この方が翻訳に忠実で、たとえ自分に付けられても許せる気がする。「毒王」はちょっとね。

 「silent super spreader」は何と呼ばれているのか気になりますね。日本は翻訳する努力を払わずに、どうもそのまま使いそう。中国はそうじゃないでしょ。

2003年05月26日

 (17:16)台湾の医者が日本を去った時から10日たって、日本では「やっぱし日本は大丈夫だった」という安心感と同時に、一種の満足感が見られる。しかしそうだろうか、というニュースがトロントから。

 WHOがトロントに「安全宣言」を出したのは今月14日。それから10日以上たった今になって、感染者8人と死者3人が出ている。感染経路が分からないが、このSARS菌、かなりのくせ者ではないのか。

 この病気の感染には、 SUPER SPREADER 、スーパースプレッダーといわれる強力な媒介者(人間)の存在が知られている。菌をまき散らす人だ。何らかの原因で免疫力が著しく弱くなった人とも言われるが、正確な原因は不明らしい。

 しかしそのスプレッダーには、SILENT SUPER SPREADER と言われる発病せずに保菌する人がいるらしいということが分かってきている。これはシンガポールで確認されている。たとえば二人の SILENT SUPER SPREADER を経由しながら菌がパスされたとしたら、20日間以上は誰も発病しないということになる。いやもっと長い期間かもしれない。

 トロントの再発の原因はまだ報じられていない。この菌は、たとえば対外に出た体液の中などでは、相当長く生きるらしい。またプラスチックの上でも2日間は生きるという。まだまだいろいろな感染ルートが考えられそうで、安心はできない。

 通常、WHOがSARSに対して安全宣言を出すのは20日に渡って新たな患者が出なかったとき、と言われる。ということは、トロントではほぼ30日後に患者が出たということだ。感染源が新たに国外から持ち込まれたとしたら話は簡単だが、国内から再発したとなるとややこしい。ウイルスが素早く変化する特質も指摘されており、また湿度が高い夏、秋には活動が鈍化して乾燥状態になる今年の冬には再び猛威をふるうという予測もある。慢心は危険と言うことだ。
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 ところで今日は面白い話を聞きました。行きつけの歯医者がこういうのです。「伊藤さん、歯槽膿漏は人間にしかないことを知っています」と。彼の説はこうなのです。人間は動物の中で唯一食物に熱をかけて食べる。その熱が繰り返し口の中の骨にかかることによって骨が弱体化し、それが歯槽膿漏の原因だ、と。通常は口の中の菌が歯槽膿漏を惹起すると考えられているのです。彼は「そうではない」と。

 「じゃ、新説として発表したら」と私。「今準備しているんです」と医者。彼によると、人間が飼うペットには、歯槽膿漏が激しいのだそうです。だから種の病気ではなく、食べるものの病気だと彼は主張する。いや、私は別にタダの虫歯の治療に言っただけなのですが、私の顔を見るなり彼はその新説を披露してきた。<^!^>

2003年05月25日

 (00:16)ああ、この人だったのか。金曜日に一仕事終えて、南青山の BODY AND SOUL に行ったのです。3人で。そしたら、超満員。知り合いの店の人がなんとか場所を見つけてくれて入ったのですが、その理由が分かった。どうも人気ジャズピアニストらしい。

 誰だろうと思っていたら、この人でした。「木住野」と書いて、「きしの」と読むらしい。えらく人気があったのですが、済みません、私は知りませんでした。しかし、しばらく聞いていて「SOUNDS NICE」だなと思いました。

 一緒にいた人間と一緒に「癒し系ジャズ」と命名しました。本人が気に入るかどうか知りませんが。店のご主人の関さんが、「びっくりしちゃった。美人は得ね....」ですと。そうですな。今こうして彼女のHPを見ると、コマーシャルなどに頻繁に登場しているような。まだCDは買ってありませんが。

 音楽家といえば、この方が日曜日のこの番組に出るようです。私は全然知らなかったのですが、彼の熱烈なファンである遠い親戚が「(あなたが)出ている番組に出るらしいので.....」と。ファンサイトには、かなり前からどの番組に出るなどの告知が出ているようで、皆それを見ている。たぶん木住野さんのコンサートも、ファンサイトで知ってファンが押しかけたのでしょう。山崎さんは、EZでは久しぶりのナマ出演。

 彼の未完成というアルバムは面白い。曲が4曲しかないのに2枚のディスクが入っている。MEDIA PLAYER で再生してみたら、一枚はCD、もう一枚はDVDでした。DVDは結構笑える。6月25日には「アトリエ」というアルバムが出るようですね。

2003年05月23日

 (00:16)あらら、地区ごとの犯罪発生密度をクリックしていくと、自分の住んでいる町が何色か分かる....。自分が住んでいる杉並区を見ると一安心で、赤くないのですが、近くには赤に近い場所がある。そうか、高円寺から阿佐ヶ谷の辺はあまり芳しくないのか....。

 でも中野に比べて、阿佐ヶ谷がこうも違うとは思いませんでした。身近なところでも、マップがかなり違う。この地図を教えてくれたkimuraさん、tks。

2003年05月23日

 (00:15)おおや〜ついに出たのですか、という感じ。この本です。JCIF(国際金融情報センター)の元理事長・大場さんから、「いつか本になる」とずっと聞いていたのです。その時は確か、「読売から出ると思う」とおっしゃっていた。

 それが中公新書として出ているのですが、それはアンダースタンダブルです。なぜなら中公には確か読売の資本が入っていたと思う。ですから、最初に話があった時から出版社は別に変わったわけではない。中を読むと、昔大場さんから聞いたり、もらった集に入っていたモノもあるが、良質なジョークは何回読んでも笑える。新作、新収集もいっぱいある。

 私もジョークのサイトを持っていますが(2003年版はここ)、ジョークは会話と人間関係の潤滑油です。一読を勧めます。一冊に目を通すと、神経が行き届いた本であることが分かる。
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 そういえば、この人が日本に来ていて、いつだったか夕方にkanbei君ともどもお茶しました。元気そうだった。またまた奥さんが expecting だそうで、そりゃ凄いと。

 この人のHPも相当充実してきている。うーん、誰かのHPのスタイルに似てきているな。σ(^^) 茶色の使い方なんかも。居心地の悪い場所でのおちゃっこで、変な連中がいっぱいいて、特に携帯電話の声がでかい奴が気になったが、あれは誰だっけ。腹に響く声で、今話題の格闘技系。もうあそこは使うのはやめよう.....と。

2003年05月22日

 (08:15)「ミューチップ」の「ミュー」で思い出しました。この御仁(HPのフロントが大きく変わりましたね)とその友達と、ある会合のあとに西麻布にあるミューズなる店に行きました。もう何時だったか忘れましたが。

 うーん、今でもある六本木の one-eyed jackのかつての姿にフォーマットは似ていて、それでいて客層がすっごく若くなった感じ。今は国際色バーのようになっていますが、以前はルーレットあり、ブラックジャックありだった。そのかつての one-eyed jack と違うのは、muse が若者風クラブだということ。

 ご一緒した御仁によると、それでも西麻布のこの店は渋谷の同様の店に比べると客層はかなり上だそうで、としたら渋谷はどうなっているんだろうな、と。全般的印象は、遊び場。価格帯は非常に抑えてある印象。ブランコまであったな。

 しばらくブラックジャックをやっていましたが、結構調子よかった。かなり勝ちましたが、当然ながら勝ってもお金になるわけではない。「預かり証」をもらえるだけで、それがあとで飲み物などになるのでしょう。また行くかどうかは不明ですが。しかし、西麻布のあそこの地下にあんな店があるとは知らなかった。

2003年05月22日

 (00:15)昨日のユーロの話を見た岸君が、このニュースの存在を教えてくれました。これは面白い。BSジャパンの番組でIPV6を取り上げたときにやったものです。そう「ミューチップ」。あまりにも面白いので、記事が喪失しないように、ここに残します。

日立のICチップをユーロ紙幣が採用へ

 欧州中央銀行(ECB)は、欧州単一通貨ユーロの紙幣偽造防止のため、日立製作所が開発した偽造不可能な世界最小のICチップ「ミューチップ」を採用する方向で同社と交渉に入った。決まれば偽造防止で中央銀行がICチップを使う初のケースとなる。関係筋が19日、明らかにした。

 米ドルに次ぐ主要通貨で、欧州連合(EU)域内で約3億人が使うユーロに採用が決まれば米国、日本をはじめ他の国・地域の通貨当局も採用検討に動くのは必至。偽造防止のほか、盗難予防や物流管理にも応用できる同チップが世界標準を獲得し、地盤沈下が著しい国内ハイテク産業復活の起爆剤となる可能性もでてきた。ECBとの交渉について、日立幹部は「(いい方向に向け)話が進んでいる」と説明している。

 日立は98年、紙幣の偽造防止を主目的にミューチップの開発に着手、現在は0・4ミリ角のチップを商品化している。超小型で、紙に刷り込むことができ、既に05年に開催される日本国際博覧会(愛知万博)の入場券にも、入場者数を管理するため埋め込むことが決まっている。

 ミューチップはバーコードと違って、電磁波を出す。つまりそれを読み取る機械を持っている人がいれば、そのチップの入った紙幣を持っている人の持参金が分かる(仮にチップ内の情報が金額を示していれば)。日本も来年万、五千、千の各紙幣を刷り替えるそうですが、そこには使われるのですかね。ミューチップの市場は極めて大きい。面白いニュースです。
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 まだグリーンスパンの議会証言が続いていますが、「JAPAN」という単語がいっぱい出てきますね。グリーンスパンの日本理解、情報分析力はそうとうなものと理解しました。「文化」が日本的現象(巨大赤字下の超低金利)の背景だと。

2003年05月21日

 (23:15)久しぶりに最初から最後までテレビ(CNBC)でグリーンスパンの議会証言を聞いていましたが、そのあまりにもの短時間に驚愕しました。短い筈です。全文をプリントにかけたら、A4で3枚とちょっと。こんな短いグリーンスパンの議会証言は見たことがない。

 なぜか。結論を下す時期ではない、ということでしょう。彼は言う。

Mr. Chairman, the economic information received in recent weeks has not, in my judgment, materially altered the outlook. Nonetheless, the economy continues to be buffeted by strong cross currents. Recent readings on production and employment have been on the weak side, but the economic fundamentals--including the improved conditions in financial markets and the continued growth in productivity--augur well for the future.
 これが証言の最終パラです。今まで述べていたことと同じ。「cross currents」(多くの相反する流れ)があるが、将来を睨むとaugur well for...だと。またまた最後にややこしい単語を使っている。辞書を見ると、『augur ill [well] for... …にとって縁起が悪い[よい]』と。つまり、将来を睨むとアメリカ経済はまだついていると予測していると。

 端的に言えば、今はごたごたいろいろしゃべる時期ではない、ということでしょう。今議員の質問が続いていますが、今のところドルに関する質問もないし、その他の鋭い質問もない。証言が終わった段階でダウは徐々に値を戻している。
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 上の文章をを書いてしばらくして、ドルとデフレに対する質問が出ました。ドルに対しては「財務長官がスポークスマン。one voice が必要」というのが彼の答えだったと思う。デフレに関しては、一番熱心に語っていた。「アメリカ経済が陥る可能性は少ないが、詳細に検討する価値がある問題」だと。Q AND Aの方が聞いていて面白い。

2003年05月21日

 (07:45)あれっ、ユーロはいくらでスタートしたっけ、と思って1999年1月4日のこれを読み返すと、以下のような文章があった。

 レート算出時に採用した相場によると、1ユーロは対米ドルでは1.16675 ドル、対円では132 円80 銭となった。主要国通貨間の取引は4日開始だが、既にドルとユーロとの外為取引については1月1日にインドの外為市場で最初の大口取引が報告されている。元旦のウォール・ストリート・ジャーナルが報じたところによると、インドの国営銀行と一部の顧客が1月1日に1ユーロ=1.17ドルをやや上回る相場で500万ユーロを買ったという。第一号の取引は若干ユーロ高・ドル安の相場だったことになる。
 「レート算出時」というのは、1998年の大晦日を指す。欧州連合(EU)蔵相理事会が新通貨ユーロと参加欧州各国通貨との交換レート(conversion rates)を発表した。1ユーロ=1.95583 ドイツ・マルク、1ユーロ=6.55957 フレンチ・フラン、1ユーロ=1936.27 イタリア・リラなど。その時のコンバージョン・レートから算出したユーロの実際取引開始前の理論値が、「対米ドルでは1.16675 ドル、対円では132 円80 銭」ということです。まあ一応、このレートをユーロ誕生レートと呼べる。

 しかしこの当時のユーロレートは誕生当初ということもあって、かなり大きな変動をしている。例えば、ある証券会社の当時のレポートを読み直すと、1999年1月4日の東京市場の午後5時のレートは、「1ドル=113円88銭,1ユーロ=1.1856ドル」とあった。つまり、ユーロはご祝儀もあって、最初は上昇した。この記録から単純計算すると、1ユーロ=135円。ユーロの対域外通貨との為替レートはEU蔵相理事会が決定しないから、取り上げるメディア(マスコミ)によってまちまちな筈です。

 しかし、一つだけ明らかなことがある。今朝の為替レートを見ると、1ユーロが1.1725ドル、136円78銭。つまり、ユーロは1999年1月1日の誕生日当時か、それを上回る水準になった。1999年の誕生日から今までのユーロの対ドルのチャートを見ると、それはそれは見事なダブルボトム形成の、つまり座り心地がそれほど悪くない瓶型をしている。驚くべきは、下値が1ユーロ=0.82ドル前後にあるということだ。何という strikes back。

 しかし考えてみると、この間にそれほど欧州経済が強くなったわけではない。だから当然「U.S. dollar's slide could push Europe closer to recession」(ウォール・ストリート・ジャーナル)となる。経済的にはこの見出しが示す通りである。

 しかし、政治的にはどうだろうか。イラクとの戦争で見事な勝利を収めたアメリカのドルがユーロ誕生日のレートを下回って「負け組」に。一方で、イラクとの戦争で深刻な内部対立に直面したEUの通貨が、「勝ち組」になって世界中で買われている。歴史はパラドックスに満ちているという訳です。この点はヨーロッパの連中は満足でしょう。為替市場で見る限り、ヨーロッパが勝ち組でアメリカが負け組に見える。しかし複雑なのは、この為替舞台のシナリオを書いているのは、アメリカだと言うことです。

 で問題は、この後ユーロはどこに向かうか。まあここ当面という動きで見るならば、up でしょうね。対ドル、対円で。ただし、今週22日のECB理事会では利下げあるかもしれない。そしたら、ユーロが一端下落してもおかしくない。それとも、FOMCとのサプライジングな協調利下げ ?

2003年05月19日

 (07:45)「潜伏期のSARS患者の他人への感染力は弱い」(BSジャパンの番組に出た国立病院東京災害医療センター副院長の林茂樹さん)「感染はほぼない」(厚生労働省)といっても、やはり23日までは日本での二次感染が本当になかったのか気になる。なぜなら、潜伏の最長が10日間だとして、台湾の医者が日本を去ったのが13日だからだ。それから10日後は23日。

 日曜日の夕方だったと思ったのですが、旧知の台湾(台北)在住の早田さんに電話しました。早田さんは台湾通信を主唱している。数年前台湾に行ったときにお世話になった。彼の話によれば、

  1. 台湾でも彼が取った行動(日本への旅行など)には批判が強い
  2. 感染者はほとんどが病院関係者
  3. 台湾経済がSARSで受けた打撃は極めて甚大
 などでした。私がそれに関連して私が気になったのは、日曜日のウォール・ストリート・ジャーナルに載った台湾の新しい衛生相の以下の発言です。
TAIPEI, Taiwan -- Taiwan announced its biggest jump in SARS cases Saturday, with 34 new people infected, and the island's new health minister said the outbreak has been worsened by sick people not being honest about their illnesses and infecting health workers.

Chen Chien-jen, a respected epidemiologist, was sworn in as health chief Saturday after his predecessor, Twu Shiing-jer, resigned Friday to take responsibility for the epidemic of severe acute respiratory syndrome, which has shut two hospitals in the capital.

"Sick people have been hiding their symptoms and starting outbreaks at hospitals," Mr. Chen said, without elaborating.

 台湾の感染者の大部分は医療関係者です。今朝の新聞にも「台湾で院内感染拡大」という記事がある。それを前提に台湾衛生相の発言「発病した人が症状を隠すことをしており、病院での感染者急増を引き起している」を読むと、事態の深刻さが分かる。台湾の医療関係者には一般的に言ってもこの病気に対する警戒感が弱いのではないかと思ってしまう。

 これとの関連では、先週のフジテレビの番組でもそうでしたし、他のテレビに出た北京からの帰国組の日本人の発言が思い出される。彼らは、感染地帯から帰ってきたという理由だけで、家に閉じこもり、10日間は家族ともなるべく接触しないという判断を自分で下している。医者でもない彼らが取っている行動は、極めて理性的なものだと思う。

 それに比べれば、台湾のこの26才の医師が取った行動は、outrageous であり、日本の厚生労働省が強い不快感を表明しているのは理解できる。それにしても、行く先として名前を公表したホテル、レストランなどは損失は甚大ではないか。感染者が一人も出ないことを期待したい。

2003年05月18日

 (19:45)テレビの野球放送を見ていて、「こういうサービスをしてくれないかな」と。何かというと、今のテレビは大体ステレオ放送になっている。で右から(左でもいいが)球場の音を出す、そして左からアナウンサーの声や解説者の音声を出す。

 というのは、アナウンサーの声や解説者の解説が、時により「too much」に聞こえるのです。で、球場にいるように球場内の音だけ聞いて野球を見たい、と。むろん技術的には可能。しかし、ステレオで球場全体の音を視聴者に聞かせたいという向きには、右と左で音を分けてしまうのは難しい。

 でも、結構ニーズはあると思うのですが。

2003年05月17日

 (13:45)いろいろな人と電話をしたり、電話をもらったり。で、いろいろな図式が浮かび上がってきている。

 一つは、他の新聞にりそなが求める公的資金の規模が1兆円と出ているのに、日経にだけは2兆円と出ている話。これは業界関係者の間でも、「2兆円では(不良債権処理や株の含み損処理では)多すぎる」というのが一般的な見方。仮に2兆円が正しいとしてです。

 では何故か。昨日の市場では関西のある銀行(名前は伏せます)がりそなグループに参加するという噂があったそうだ。そこも経営は良くない。で、りそなに多めに公的資金を入れるとしたら、そうした不振にあえぐ一部地方銀行の体制立て直しを視野に入れてのものではないか、というのだ。つまり、こうした一部の銀行をりそなという国有銀行の傘下に入れて、経営を一体化するのである。一括処理の考え方だ。一回の公的資金投入で、より多くの銀行の再編にメドを付ける、という視点。

 次に、りそなのどの部分が痛んでいたのか。周知の通り、りそなは寄り合い所帯。あさひと大和が合体し、大和が存続会社になった。今朝の朝日の3面の最後の方に以下の表現がある。「あさひ銀行を担当していた監査法人が、りそなの母体となった大和銀行を担当して驚いたそうだ」と。ある政府関係者(一人)の話として載っている。

 私が聞いた範囲でも、この政府関係者の話は正鵠を射ているようだ。つまり、大和サイドの資産の痛みが非常に進んでいて、内部での回復が難しいところまで進んでおり、今回の事態になったと。そう見ている人が多かった。りそなは先に増資をしているので、この間にファクトの公開などで隠蔽があったとしたら、今後大きな問題になる。

 りそなの各支店では、週明けからの対応に向けて行員が週末返上で準備をしているそうだ。ただし、「公的資金が入る」という話であって破綻ではない。営業も今まで通り。取り付けとかの心配は低いのでは、という認識だという。あと、土曜日の午後には公的資金導入に関わる申請にからみ取締役会を開き、引責辞任する役員などが決まる予定。一気に全員が辞任するのでは業務が回らないので、上の方から何人かが辞めるのでしょう。まあ、綱引きが展開されるに違いない。
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 それはそうとして、りそなの行き詰まりの一つの原因は「税効果資本」の見方の厳格化。将来の黒字を見込んでの税効果資本だから、黒字見通しが悪くなれば資本は毀損する。その関係はりそなだけの話ではないので、週明けの市場では日本の金融システムへの不安感は高まるでしょう。

 それにしても、デフレ下での株安では日本の金融機関の経営体力は徐々に蝕まれていくばかり。日本経済全体の活力も低下する。経済危機にどう対応するかが、秋からの政治の季節を迎える小泉政権にとっての最大の課題となる。

2003年05月17日

 (01:45)携帯電話の速報が入ったのは、17日の午前零時29分でした。まだ家に帰り着く前。家に帰ってネットを見たら、大部分の新聞のサイトでは零時20分頃にアップされている。りそなホールディングスの「1兆円規模の公的資金の注入申請」(朝日)です。

 理由は、2003年3月末の連結自己資本比率が、健全性の基準の4%を下回ったためだという。4%を下回ったというのは驚きで、不良債権の増加、株式の下落がこの銀行の経営基盤を著しく毀損していたことが分かる。そういえば、金曜日の夕方にある金融関係者がその可能性を示唆していたが、そのときは「またか」と思っていた。実際になるとは。

 このニュースを聞いてしばらくして為替相場の動きを携帯で見た。今は非常に便利なサイトがあるのです。ほぼリアルでそのときそのときの為替相場が分かる。見ると、片足115円。あらら....ってなもんですな。「日本の金融システムの脆弱性」に関するニュースですから、ちょっとは円が売られるのかと思った。(その後少し円安に移行)

 で、ニューヨークに電話したのです。秋山君が出て、しばらく話をしていたのですが、「ニューヨークは円をどうこうしようという雰囲気ではないですから....」と。そうか、関心があまりないのか。しかし、週明けの東京市場では、株、債券、為替市場にそれぞれ影響が出て、それは大きなものになるでしょう。株には下げ圧力、為替には円安圧力(対欧州通貨には顕著です)、債券には利回り低下圧力に見える。

 ついでにそのときは知らなかったので、16日発表の消費者物価の動きを聞く。19ヶ月ぶりの下落幅だと。その後ネットを見たら以下の記事。

WASHINGTON -- Consumer prices registered their biggest drop in 19 months in April. The decline was largely due to a slump in gasoline prices as the war in Iraq wound down, but highlights the Federal Reserve's worry that the risk of deflation is real.

Meanwhile, home-building activity slowed more than expected in April, suggesting that the hot housing market is cooling, and consumer sentiment improved in May as the war's end helped restore some much-needed confidence in the economy.

The consumer-price index fell 0.3%, after a 0.3% increase in March, the Labor Department said Friday. Energy prices fell for the first time since December. The core index, which excludes volatile food and energy items, held steady for a second consecutive month.

 ここでも下げの主因は石油価格の下落ですが、「FRBのデフレ懸念を強めるもの」だとそりゃそうだ。下げ幅は0.3%。ただしコアは横ばいで、消費者物価レベルのデフレ圧力の方が、卸売り物価レベルのそれより依然として小さいことが鮮明。しばらく金融市場は、デフレの付け回し競争含みで、がたがたしそうですな。

2003年05月16日

 (19:45)本を二冊紹介しましょう。一冊は医者しか知らない危険な話という本で、先の日曜日にフジテレビの番組に著者の中原さんがいらっしたときに、「伊藤さん、これをどうぞ」ということで一冊もらったもの。

 週刊誌に連載した一連の文章を一冊にまとめたもののようで、文章そのものは古いが、しかし依然として現代的な課題を数多く取り上げていて、おもしろかった。常識の中や、気がつかないところに医療・健康リスクがいろいろあることが分かる。中でも「サッカーは子供の体に悪い」「コンタクトで失明が急増中」「人間ドックが病気を作る」「病院船の建造を急げ」などがおもしろかった。眼鏡ではなく、コンタクトの人は多いのでは。一読の価値ありですかね。

 もう一冊は、今月の20日に出版される本です。ですから、紀伊国屋のデータベースにもまだなかった。題名は「隠すマスコミ、騙されるマスコミ」というのです。文春新書です。この出版社の人と何かの会合で会ったら持っていたので、さっそくゲットさせていただいたもの。

 要するにメディアとしてのマスコミの持つ力と限界、その脆弱性、報道の信憑性の担保の問題などなどを扱っている。現実よりも、メディアの報道の方が現実になりやすい環境のなかで、メディアをどう見るべきか、何を真実だと判断すれば良いのか、など奥深い問題を考えさせてくれる。

 しかし、本は具体的で読みやすい。ニューヨーク・タイムズの記者が現場にも行かずにインターネットで記事をねつ造していた事件が大きく取り上げられているが、この本は第六章の「総括」の中で、著者がボストンにいた時代(90年代の後半)にすでにネットを使う記事作成がかなり活発になっていたことなどを指摘して、現在の問題を透視している面があるのがおもしろい。メディアもテクノロジーは使わないわけにはいかない、しかしそればかりに頼って記事も書けない。この両方を使いこなせるマスコミ人が必要だ、ということでしょう。

2003年05月15日

 (23:45)ふーん、45年ぶりの次は56年ぶり、ね。

 何かというと、45年ぶりはアメリカの10年債の利回り。低水準の記録としての。4月の小売売上高が予想外に弱かったと発表された後の14日の米債券市場の動き。

 次の56年ぶりは、15日に発表された米卸売物価の低下幅。ウォール・ストリート・ジャーナルは先ほどアップされた記事で、

Wholesale prices registered the biggest decline in at least 56 years in April, highlighting the Federal Reserve's concern about the economy facing a deflation risk for the first time since the Great Depression.
 と書いて、大恐慌以来のデフレ・リスクを指摘。これに関連するヨーロッパサイドのニュースを拾ってみると、ドイツの今年1−3月のGDP伸び率が前期に続き二期連続マイナスになった。

 アメリカの4月の卸売物価の大幅低下(56年ぶり)は、原油価格の大幅な低下を背景としたもの。ということは、15日のニューヨークの債券市場では、再び債券利回りが大きく低下するに違いない。14日の段階で、米10年債の利回りは3.52%になった。

 米卸売物価の下げ幅は、1.9%。3月は1.5%のアップだった。しかし、この「56年ぶり」も、確かではない。だから上の英文の表現は、「at least」になっている。なぜなら、米政府が卸売物価指数統計を取り始めたのは1947年。つまり、それ以前の統計はないから56年ぶりとなっているわけで、実際には例えば80年ぶりといった状況かもしれない。

 原油の価格下落が主因だとしたら、一時的かというとそうでもない。なぜなら、エネルギーなど変動の激しいアイテムを除いたコアの物価も、0.9%低下した。これは、過去10年で最大の下げ。つまり卸売物価段階では、アメリカの物価は明らかに下落基調に入った。4月の米消費者物価は16日金曜日に発表される。卸売り段階の物価下落が、どの程度消費者物価レベルに転移しているかがポイント。

 いずれにせよ、世界の先進国の物価環境はイラク戦争後に改めてデフレの方向に向かっている、と言える。

2003年05月15日

 (13:45)今年は米韓相互防衛条約締結から50周年だそうだ。知りませんでしたが、盧武鉉大統領の訪米とその成果に関して私が一番興味があるのは、北朝鮮政策です。それは、米韓共同声明の中に入っている。

 特に私が一番気になっていたのは、ニューヨーク・タイムズのこの記事に示された「対北朝鮮での核政策の基本を、生産させないではなく輸出させない方向にブッシュ大統領が舵を切りつつある」とされたアメリカの政策の行方でした。これだと保有を許すように読める。しかし以下の声明を読むと、この疑念はかなり晴れる。

North Korea

President Bush and President Roh reaffirmed that they will not tolerate nuclear weapons in North Korea. They noted with serious concern North Korea's statements about reprocessing, possession of nuclear weapons, and its threat to demonstrate or transfer these weapons. They stressed that escalatory moves by North Korea will only lead to its greater isolation and a more desperate situation in the North.

Both leaders reiterated their strong commitment to work for the complete, verifiable and irreversible elimination of North Korea's nuclear weapons program through peaceful means based on international cooperation. They welcomed the role played by China at the April 23-25 trilateral talks in Beijing. They agreed that the Republic of Korea and Japan are essential for a successful and comprehensive settlement and that Russia and other nations can also play a constructive role in multilateral diplomacy. While noting that increased threats to peace and stability on the peninsula would require consideration of further steps, they expressed confidence that a peaceful resolution can be achieved.

Noting that the United States and the Republic of Korea are the two leading donors of humanitarian food assistance to North Korea, the two Presidents reaffirmed that humanitarian assistance is provided without linkage to political developments and noted the need to ensure that the assistance goes to those in need. President Bush stressed that North Korea's nuclear programs stand in the way of the bold approach and the ability of the international community to consider comprehensive steps to assist the many needs of the North Korean people.

President Roh outlined his Peace and Prosperity Policy and President Bush reiterated his support for the process of South-North reconciliation. President Bush noted that the Republic of Korea has used this dialogue channel to call upon the North to resolve the nuclear issue. President Roh stated that future inter-Korean exchanges and cooperation will be conducted in light of developments on the North Korean nuclear issue. The two leaders reaffirmed their commitment to maintaining close coordination between the U.S. and ROK governments on this issue as well as in trilateral consultations with Japan.

  1. 北朝鮮における核兵器の存在を我慢しない、容認しない
  2. 北朝鮮のエスカレートする瀬戸際政策は、北の孤立深刻化と絶望的状況の一段悪化につながる
  3. 政治的状況に関係なく人道援助は続けるが、ブッシュ大統領は北朝鮮の核開発が国際社会の北朝鮮国民支援における大胆で包括的なアプローチの障害になっているとの認識を示した
 といった点が重要だと思う。「1」について言えば、「the complete, verifiable and irreversible elimination of North Korea's nuclear weapons program」という表現がそれを明確にしている。「完全で、検証可能で、そして後戻りができない形での北朝鮮の核兵器計画の放棄」という表現である。だから、アメリカは「北朝鮮の核兵器そのものを許さない」という方向を確認したと言える。これは日本、中国、韓国の方針・立場と一致する。

 ではそれをどうやって達成するか。声明では「through peaceful means based on international cooperation.」(国際協力をベースにした平和的手段を通じて)となっている。声明で最初に出てきた米韓以外の国は中国で、それは4月の下旬に行われた米中朝の三者会談の主催国ということで、また北朝鮮にそうはいっても一番発言力のある国として米韓も期待しているという意味で当然でしょう。その後に登場するのが日本やロシアというわけです。

 声明を注意深く読むと、「平和的手段」を強調しているものの、一方で「increased threats to peace and stability on the peninsula would require consideration of further steps」(朝鮮半島における平和と安定への脅威増大は、新たな措置の検討が必要になる)ことに留意(note)をしている。アメリカは北朝鮮との対決において、軍事オプションを放棄していないということで、この姿勢は正しいと思う。相手と対峙するときに、最初から何枚かのカードを使わないと言ってしまうのは間違っている。

 驚いたのは、これだけの声明が出たのに両首脳が実際に会った時間は、執務室での30分だけだったという点。フォトセッションがあって、挨拶し、そして話し始めたらすぐ30分などたってしまう。ということは、今回の米韓首脳会談は中身よりも犬猿の仲とも言えた二人がまず会ったということが重要だったのではないか。盧武鉉は、今回の会談が良かった点として、彼自身の初めての訪米でブッシュ大統領と「個人的な関係を築けたこと」と言っている。要するにあまり実質的な交渉や話し合いはしていない。

 だから、「平和的解決」を強調してみても、二人の間に具体的なシナリオが用意されているわけではない。「further steps」と言ってみても、何がさらなる措置なのかが検討されている訳でもない。客観的環境としては、北朝鮮包囲網が徐々に狭まってきている、ということでしょう。これに北朝鮮がどう反応してくるかが、ここ一両日の関心事です。

2003年05月15日

 (11:45)今朝の新聞に載っているようないわゆる「株価対策」では株が落ちるのは当然と言えるでしょうね。「株価対策」という言葉で市場に期待させては裏切ることの連続。最初から大して妙手がないのだから、「対策」「対策」などとこれ見よがしに言わなければ良いのに。

 日本の株価はすでにちょっとしたきっかけさえあれば上げに転じて良い水準まで来ている。企業の解散価値から見ても、対GDPでの時価総額のレベルから見ても、総合利回りから見ても。とすると、日本の今のシステムは、知らず知らずのうちに「株を自然に買えない」環境を作ってしまっていて、それを変えられないでいる、と言える。

 だから、そういうものを一つ一つ取り除くだけでよいのです。何よりも必要なのは、株を買いやすくする、その前提として買うに値するものにするということが必要で、今回のそれもそうですが、肝心な点を素通りしているから「対策」にならない。

 環境に配慮しながらも市場経済を今後も続けていくのが日本の経済にとって一番良い、という筆者の基本的な考え方。そのためには、企業をお金を投ずるに値する活力あるものにする、その企業にお金を投ずることが罰則的でないようにする、というのが政策の基本です。市場経済の核心は市場ですから、それを育むのです。

 そこにお金を持ち込む人は、市場経済を育成する人ですからそれを勧奨するシステムにする。具体的には株式投資に関わる諸税制を懲罰的でなく、優先的にする。キャピタルゲインなどに対する税は軽くし、株の相続に関わる税制を軽くするのです。

 次に企業の活動を最大限自由にする。それは規制緩和です。企業は法律で縛らなくても、今は「環境に優しい」とか「社会的責任を心得ている」とかの判断基準で、消費者、市場から選別されている。内部告発もある。だから、「企業は黙っていると悪いことをする」という前提で懲罰的になっている考え方をなるべく自由にしてやる必要がある。

 そういう基本的なことをしていけば、市場は蘇るはずです。小泉政権が出来たころに閣僚たちが好んで使った言葉は、「骨太」です。でもこの言葉はどこに行ってしまったのでしょう。「Where is honebuto ?」と問いたい。今の小泉政権から出てくる政策は、「骨細」なものばかりです。なんとも残念。

2003年05月15日

 (06:45)「あれ.....」と思って、「pan」とか「pana」を辞書で引いてみる。直ぐ思い出すのは「pan-american」とか「panasonic」とかなので、それを念頭に置いて。「pan」とは「ギリシャ神話に出てくる音楽好きの牧童」とか「汎」とかの意味がある。「pana」も同じような意味が。

 そこからpanasonic を考えてみると、なかなか良い名前だと言うことが分かる。sonic はsony の「so」とも通じていて、これはラテン語の sonus から来ているのでしょう。要するに「音」です。ということは panasonic とは「汎音」。いい名前じゃないですか。

 とすると、例の団体の名前が「panawave」だとすると、「あれ、電磁波好き」なのかな、と。さらにもうちょっと調べていくと、panaceaには「万能薬」「あらゆる問題の解決策」のあとに「治療の女神」という意味もある。もしかしたら、この最後の意味で「pana」と付けたのかもしれませんが、それにしても人騒がせな団体ですね。

2003年05月14日

 (16:45)連休も明け、大学で90分授業を二本続けてやったら、とっても疲れました。やはり人間が連続して話していられる時間はせいぜい100分前後ではないでしょうか。講演会だって大体が一時間10分くらい喋って、あとはQ and Aなのに。

 ところで13日は六本木ヒルズの森ビルタワーでしたっけ、あそこの51階から東京を見下ろす機会があって、番組の中で森社長が「あ、ここも、そこも」と言っていた意味が良く分かりました。東京は上から見ると非常に茫漠とした都市です。夜はいろいろなものが隠れてまだ見れるが、昼間はちょっと頂けませんな。

 もっとも小生は、東京でも皇居回りは非常に奇麗で、世界の都市と比べても劣らないと思っているのです。4月の連休の最中でしたか早朝に千葉に出かける用事があって、東京駅の京葉線のホームに向かった。時間が早かったので、桜田門でタクシーを降りてあと皇居の中を通りながら歩いたのです。

 そしたら、その奇麗なこと。奇麗に整えられた砂利の道と緑鮮やかな松。そして、お堀の豊かな水。世界の都市でこれほど水と緑を豊かに備えた中心部はない。それは素晴らしいと思うのです。

 ところがそれ以外がいけない。計画性が全くないのです。ということは、皇居周りは良いとして、それ以外の部分については東京はまだまだ改善の余地大いにありということです。東京の中心に建った森ビルに登ってそんなことを考えていました。

 確かに高いな、と思うのは、「東京タワー」が目の前に見えることです。ま、機会があったら一度ご覧ください。東京という街が良く分かる。

2003年05月13日

 (13:45)中国の一部の知識人は、「SARSは、中国にとっての9.11」と言っているそうだ。そうでしょう。トロントなど一部の地域で依然として燻ってはいるものの、SARSは徐々に「中国の病」になりつつある。全世界の感染者の半分以上は、中国の人々になりつつある。

 初期の隠蔽体質もそうだが、基本的に中国の医療システムが遅れているのが蔓延の背景と言ったら怒られるだろうか。システムの中には、人々の危機管理意識、能力も入る。アメリカにとっての9.11がアメリカの人々にとってショックだったのと同じように、やっと国際社会にデビューを開始した中国の人々、特に新指導部にとっては今回の事はショックに違いない。2008年にはオリンピックも控えている。

 9.11でショックに揺らいだアメリカに対するのと同じように、日本はこの事態に直面している中国を支援すべきではないのか。第一、いくら日本の検疫体制を整備しても、お隣の中国で病気が治まらない限りは、ちっとも危険性から開放されない。だから、第一に病気の制御で出来ることをすべきである。

 第二に、依然として中国の進歩はまだら模様だということである。上海に行くと、そのめざましさに目を奪われる。しかし、上海は中国のごく一部だ。一昨年行った中国の重慶からまだ先の中国は、それは凄まじい状況だった。ああいう地帯にこの病気が広がったと思うと身の毛がよだつ。

 よって、中国の幅広い近代化に日本は尽力できることがあるのではないか。なぜなら、日本は「横並び」と非難されるが、ある意味では医療から何からレベルは世界から見てそれほど遅れているわけではない。日本はまだ世界の基準から見れば、総じて富が分散したレベルの高い国だ。

 中国は違う。まだらの弱いところに病気が広がれば、中国はがたがたになる可能性がある。これは危険だ。日本は自分自身の為にも、中国におけるSARS拡大阻止で最大限の協力をすべきだろう。それが21世紀の日中関係の改善の礎になると考える。

2003年05月12日

 (17:15)4月の末だったか、ヤンキースタジアムで試合を見ながら隣にいた佐々木君に、「粘る」って英語で何て言うのかな......なんて話していたのです。日本人には独特の語感で伝わる表現であって、英語にすると途端に難しくなる言葉というのはある。バッターがすごい投手の投球をファウルで逃げている場面を想像して下さい。

 その時は、「stay alive」かな.....なんて話だったのです。実際に放送でこの表現をアナウンサーが使っているのをその後聞いたがあるし、前のアメリカ人がこの表現を使っていた。でも、表現には実はいろいろある。その後幾つか彼がアメリカの野球放送を聞いていて知らせてくれました。

  1. Zeile is really hanging in there
  2. keep at the bat alive
 などでしょうか。hanging in there は「粘っている」という現在進行形にすると一番ぴったしくる表現のような気がする。あれこれ苦労しながら「hang」している状態です。keep at the bat alive は容易に思いつかない表現。これは「stay alive」と共通する面がある。なぜなら、「stay at the bat alive」と表現しても通用しそうだからです。とすると、「hanging in there」が一番「粘っている」に近い表現なんでしょうな。
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 英語の表現の話が出たので、ここで一冊英語の本を紹介しましょう。これははっきり言って、「読み終える本」ではない。いつも手近なところに置いて、暇な時間を見つけては眺める本です。この本の事です。

 実はこの本はニューヨークにも持って行きました。他の本は全部ニューヨークに置いてきたが(ディーリング・ルームに置いてきた)、この本だけはもって帰ってきました。いつまでたっても読み終わらないのです。インド・ヨーロッパ語がいかに根っこでは繋がっているかの良い証明です。

 そういえばアクアとハイドロの違いは知りませんでした。この本には本当にいろいろなことが書いてある。ちょっと時間が空いたときなどにどこかから引っ張り出して読んでいると飽きない。そういう本です。結構面白い。

2003年05月11日

 (00:15)土曜日のBSジャパンの番組テーマは「IPV6」とそれがもたらすユビキタス社会でした。自分でやっていてもいろいろ勉強になって面白かった。以下は番組の為に私が書いたエッセイです。
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 『IT革命に新たな波!IPv6が社会を変える!』と題しての今回の番組。でも私が番組の中で一番驚いたのは、ゲストの東京大学大学院助教授であり、日本のネット環境のレベルアップに尽力されている江?浩さんが、「テレビ初登場」だという点だった。私は江崎さんが講演会などの場で活躍しておられるのを何回も見て知っているだけに、はっきり言って驚愕した。

 なぜそうなのか。恐らく日本が誇る技術の集積、そして我々の生活を大きく変えるかもしれないこのテクノロジーが「よく理解できない」ということだろう。そもそも名前が良くない。今回の我々の番組も見出しに「IPv6」という単語を使った。「アイピーバージョンシックス」と呼ぶ。短く「ブイロク」とも。

 しかし、この単語を知っている人はそもそも少ない。理解している人はもっと少ない。ここから、「自分には迂遠なこと」と理解してしまうことが多いのではないか。だから、地上波でも容易に取り上げない。しかし、実はすでに我々の身の回りで静かに使われ始めているし、プライバシーの問題を含めて今後の我々の生活とその安全にとって非常に大きく影響する問題なのである。重要なのは、この技術が明らかに経済を変える、という点だ。  番組では「より具体的に」ということで、東京駅の前にある新丸ビル一階のガレリアV6でのビデオから番組を始めた。ここには、IPv6普及・高度化推進協議会に参加する企業の新技術利用の新・試作製品が展示されている。興味のある方は、一度訪れると良いと思う。冷蔵庫の中に入っているカメラ、IPv6デジカメシステム、IP電話、ホームゲートウェイ、それにオンデマンド・システムなどなど。これらは迂遠の技術ではないのだ。すぐそこまできている。OSとしてのウィンドウズXPは、既にIPv6対応である。

 IPv6を考える上で一番重要なのは、今のIPv4から「何月何日に一斉に切り替わる」といった性格のものではない、ということである。IPv4のシステムの中で、徐々にバージョンアップが行われ、いつしかIPv6の世界になっているということである。何が違うかというと、IPv6ではネット上のアドレスがほぼ無限に使えると言うこと。誰にでも何にでもネット上の住所を与えることができる。IPv4では、人類の数にも満たない43億個しかなかった。つまり、使い勝手が大幅にアップし、多様になると言うことだ。

 番組で江崎さんの話を聞きながら「これから一番インパクトがあるな」と思ったのは、チップの話である。今までのバーコードと違って、チップは自ら電磁波を発したり、刺激されると発する。ということは、このチップを製品につけIPv6のシステムに乗せると、生産から流通、そして消費に至るまで商品の流れをほぼ正確に捕捉できる。チップにはいろいろなものがあるが、もっとも小さいミューチップだと見えるか見えないかの小ささである。これさえ付けておけば、生産、流通、小売り過程での製品管理が完璧にできる。これは経済活動に革命を起こすだろう。経済の無駄はなくなり、より地球に優しい経済を樹立することも可能だ。無駄排除と言えば、汐留の松下電工のビルではIPv6の技術を使って冷暖房が必要な箇所を関知して、冷暖房に必要なエネルギーを管理し、エネルギー使用量を大幅に減らすことに成功したという。

 つまり、IPv6の世界はコンピューターの世界から、今我々の身の回りにある様々な商品をいかに有効かつ機能的に機能させるかという形で、非常に身近な形で我々の生活を変えるということだ。携帯電話で家の冷蔵庫の中身を調べて、買い物をして変えるとか、テレビ電話を簡単に使いこなすとか。つまり、経済における「距離」の感覚が大きく変わると言うことである。

 しかしチップは様々な情報を発信できるだけに、使いようによっては個人のプライバシーを侵す危険なものになる。あらゆる技術がそうであるように、両刃の剣だ。そうしたリスクを承知し、必要な法的枠組みを作りながら、新技術を活用していくことが必要だろう。ビデオ出演したIPv6の先導役・村井慶応大学教授が「(日本は新技術で先頭を走っている)ライバルは北欧ぐらいしかいない」という状況なのだから、日本が自慢して良いし、ブロードバンド化が先行しているこの国の再建に力となるだろう。

2003年05月10日

 (23:55)ははは、このニュースは面白い。私もブラインドタッチがほぼ完璧で、真っ暗なところでも文章を打つことが出来る。例えば睡眠モードに入った長距離飛行機の中で、ライトを付けずに文章を打つとか。

 しかし、しかし、数字の入力がブラインドでは出来ない。まだ確認しながらなので、このキーボードには興味はあるが、特に買う意志はないですな。でも、面白い商品だと思う。意表を突いている。大量販売は無理でしょうがね。

2003年05月10日

 (14:42)今週末に街で聞いた噂や、私自身の目で見たことから。

  1. 駅売りのスポーツ紙が売れない
  2. あちこちで店は凄まじい勢いで変わってきている(入れ替わってきている)
  3. 馴染みの店も、経営者が変わったり
 最初の情報は、業界に詳しい人からきいたものです。駅売りの新聞、特にスポーツ紙を買う人の層というのは大体想像がつく。職業を問わず、壮年以上の男性が多い。ということは、そういう層の男性の購買力が落ちているということです。むろん、松井が抜けた後の日本のプロ野球がおもしろくない、ということもあるかもしれない。しかしスポーツ紙はアメリカ情報も載せている。また阪神が活躍している間は日本のスポーツ紙は売れるというのが今までの常識だったらしい。それが今回はどうやら生きていないようなのである。

 次の店の入れ替わりは、青山とか骨董通りを通って私が見た印象である。たとえば、今週の後半だったと思ったが、青山3丁目から青山北団地の短い間を歩いたら、道路の左サイドに今まで見たこともない店がいくつもオープンしている。連休中にオープンした店がどうも多いようだ。店の人と話をしていて分かった。

 しかしそれらの店に人が入っている雰囲気はない。この地方に詳しいコーヒー屋さんの経営者によると、あの辺では小さい店でも家賃は100万円するらしい。月です。とすると、かなりお客が入っていなければならないはずで、店に来る客ばかりが客ではないにしても、店の回転の速さには理由があるように思える。

 三番目の件でショックだったのは、すごく好きだった青山タストバンに行ったのですが、ドアの雰囲気からして違う。「あれ....」と思っていると、知らない従業員が出てくる。「さらにあれ....」。店の中も天井とか違っている。知っている従業員もいたので、「どうしたの...」と聞いたら、

「従業員」 店の経営者が変わったんですよ....
「私」   誰に....?
「従業員」 大阪の不動産関係の方に....
「私」   へえ、そう......

 今新しい経営者の下で経営形態を変えている最中なんでしょう。ですから、軽々しくは言えない。しかし、馴染んだ従業員がいる馴染みの店というのは貴重です。それが変わってしまうのは寂しい。料金体系もちょっと変わったようだし、どうなることやら。

2003年05月09日

 (14:42)それにしても、この銀行はどうなっているんでしょうか。夕べ8時頃に送金をしようと思ったら、反応しない。どうしたんだろう....。

 今朝HPをよくよく見ると、システムがダウンしていて午前9時頃には回復の予定、と。ところが全然ダメ。これを書いているのは午後2時過ぎですが、まだダウン。ということは銀行がほぼ一日仕えないということです。

 この銀行にメインの資金を預けていて、それを送金する必要がある人などはどうしたんでしょうかね。私の場合は他の銀行を使いましたが。何が原因か知りませんが、この銀行は私の記憶だと日本最初のネット銀行。それがこの長いダウン。しっかりして欲しいですね。

2003年05月08日

 (22:42)FRB声明の影響は徐々に金融市場に広がっている。日本の新聞はあまりその重要性が分かっていないようだが、例えば今日のフィナンシャル・タイムズなどを読むと、この声明に関する記事が4本もあった。

 なぜ重要かというと、パラダイムが変わるからです。ものの値段には我々はインフレ時代に育ったが故に、将来の「物価上昇分」を織り込ませている。土地でも株価でもそうです。しかし、インフレの時代でなくデフレの時代でそれへの対処が重要だよ、ということになり、かつ脱デフレが容易でないということが認識として広がると、土地、株の値段から「インフレ・プレミアム分」が徐々に抜けることになる。日本はその代表的な例だと思うのです。

 つまり、モノの値段のベースが変わってくる。当然金融市場の状況から言うと、金利は大幅に下がる。声明後のアメリカがそうだった。急激な金利低下。日本はすでにゼロ金利です。デフレの初期においては、日本がそうだったのですが「価格レベル」への強い疑念が生まれる。それが今のアメリカで生じたら、住宅価格などは大きな調整に見舞われる可能性が高い。

 FTの見出しの一つは、「Global slowdown raises spectre of Germany and US following Japan into deflation」で、その後の最初の文章がふるっている。「低インフレで経済を運営するのは、低空での飛行に似ている」。そうですよ、景気悪化余地がない。月々のインフレ率統計には差がありますが、ドイツ、アメリカでもコアのインフレ率は2%を切っている。異例な低水準です。

 今後はイラク戦争が終わって石油価格が落ちてくる。コア以外の物価指標も低下する可能性が強いことを示している。この問題は考えれば考えるほど、パラダイムの変化につながる話です。来週はアメリカで二つの物価統計が発表される。市場はその数字に注目するでしょう。

2003年05月07日

 (07:42)今回のFOMC声明はなかなか味のある文章ですね。こんな味のある声明文は久しぶり。とりあえずは今までのグリーンスパンの「地政的リスクが終われば景気は良くなる可能性が強い」との楽観的見方を大切にしている。現状では、景気リスクはバランス状態だと。だからとりあえず、短期金利の誘導目標は据え置くと。

 この声明の驚愕すべきところは、その後に明記されている。米金融政策が抱えた新たなリスクの所在として「the probability of an unwelcome substantial fall in inflation」(歓迎できないインフレ率の大幅低下の可能性)を「though minor(実際に発生する可能性は小さい)」としながらも挙げてリスクとして明確に認識し、そのリスクは「that of a pickup in inflation from its already low level」(既に低い水準からインフレ率が上昇するリスク)より大きいとした点。つまり、アメリカの金融政策がはっきりと「デフレ警戒モード」に入ったということだ。ということは、極論を言えば景気が比較的好調でも、デフレの危険性が高まれば連邦準備制度理事会(FRB)は利下げをする、と宣言したに等しい。

 声明の枢要部分は以下の通り。

The Federal Open Market Committee decided to keep its target for the federal funds rate unchanged at 1-1/4 percent.

Recent readings on production and employment, though mostly reflecting decisions made before the conclusion of hostilities, have proven disappointing. However, the ebbing of geopolitical tensions has rolled back oil prices, bolstered consumer confidence, and strengthened debt and equity markets. These developments, along with the accommodative stance of monetary policy and ongoing growth in productivity, should foster an improving economic climate over time.

Although the timing and extent of that improvement remain uncertain, the Committee perceives that over the next few quarters the upside and downside risks to the attainment of sustainable growth are roughly equal. In contrast, over the same period, the probability of an unwelcome substantial fall in inflation, though minor, exceeds that of a pickup in inflation from its already low level. The Committee believes that, taken together, the balance of risks to achieving its goals is weighted toward weakness over the foreseeable future.

 この声明を分析したウォール・ストリート・ジャーナルの書き出しの文章がこの声明の重要性を物語っている。
WASHINGTON -- The Federal Reserve left interest rates unchanged but signaled a major break from over 40 years of central-bank strategy by hinting it may cut interest rates later solely to keep the inflation rate from dropping further.
 どういう事かというと、戦後ずっとFRBの金融政策の最大の目標は「インフレを押さえ込むこと」だった。70年代、80年代の高率インフレの時代を振り返ってみれば、それがよく分かる。ところが今回のFOMCの声明は、「インフレ率が既に低い水準から一段と下がることを阻止するために発動する」可能性を強く示唆した。つまり、今後アメリカの金融政策はインフレ率を引き上げる為に発動する可能性を示唆したのである。

 この意味合いを十分に理解すれば、6日のニューヨーク市場の株高・ドル安はよく理解できる。利下げの可能性は、従来になく増したと言うことだからだ。では、「インフレ率の一段の望ましくない低下」をどうやって防ぐか。実は利下げというツールの発動余地は徐々に限られてきている。なにせ金利はゼロ以下には出来ないからだ。現在は1.25%。FRBも実質ゼロ金利政策が視野に入ってきたと言える。

 FRBは着実に日銀の悩みに近づきつつある。FRBが望ましいと考えているアメリカのインフレ率は1〜2%だと言われる。過去40年来の「インフレ抑制」から「インフレ引き上げ」に米金融政策が転換したと言うことは、それだけ我々が過去に経験したことのない世界に生きている、ということです。

2003年05月06日

 (19:42)ははは、面白いものを送ってもらいました。少少年ジャンプ英語版の5月号年ジャンプの英語版5月号。漫画はゴルゴ13が載っていた雑誌(名前は忘れました)を大学生から社会人になって暫くまで読んだ記憶がありますが、ニューヨーク赴任で途切れ、その後は読んでない。ですから知らないのですが、日本文化の英語圏進出となればそれはそれなりきに興味がある。

 サイトが用意されていてここに表紙があります。一号は25万部刷ったそうで、目標は100万部だそうですが、その後の売れ行きはどうでしょうか。バンコクの紀伊国屋にあったのを、竹中さんのご厚意で送って頂きました。掲載した写真は、目次(contents)ページ。

 じっくり見ていると、いろいろ面白いことに気づく。絶対日本語バージョンにないだろうなと思われる表現はたとえば表紙の「read right to left」に、裏表紙にある「open other side」でしょう。英語圏の人が反対から本を読みかねないので、読む方向を示したもの。

 私は普段ジャンプを読んでいないので、漫画に比較的詳しくこの雑誌の日本語版をいつも読んでいる周りの人間にちょっと見てもらいました。ドラゴン・ボールなどはどうも古いバージョンが掲載されているらしい。それもかなり。まあ翻訳とかいろいろ時間がかかるからでしょう。ドラゴン・ボールは海外でアニメになっているので、それに足を揃える必要があるのかもしれない。

 しかし、「one piece」などは日本でも今人気の漫画らしい。少し読みましたが、面白いのかどうかは英語が分かる子供達に聞いてみなければ分からないな、と思いました。しかし、日本の文化がこうした飾らない形で出て行くのは良いことだと思います。日本はかっこつけたものしか今まで海外に出そうとしなかった。「漫画なんて....」と自分で決めつけて。

 しかし格好をつける必要はないと思うのです。そのままを出して、それを理解してもらえれば良い。ダメならダメで良い。カラオケだって、誰が日本の文化輸出の代表格になると考えたでしょうか。ものだけでなく、いろいろなものを輸出する国になるべきで、その意味でジャンプの輸出、英語バージョンは面白い試みだと思うのです。

 集英社としては、カードやDVDなどとの複合販売を狙っているとも思える。年間予約は、月一冊12冊分で30ドル弱(厳密には29.95ドル=3600円弱)というのは一冊300円で、これは安いんですかね。

2003年05月05日

 (21:42)北朝鮮が核兵器用のプルトニウムを抽出・生産するのを阻止するのは難しいという状況判断の下で、対北朝鮮での核政策の基本を「生産させないではなく輸出させない」方向にブッシュ大統領が舵を切りつつある、とのニューヨーク・タイムズの記事が本当だとしたら望ましくない動きだと思う。記事はここにあります。

 従来のアメリカの政策は、北には核を持たせないだった。前任のクリントンもそう。北朝鮮を取り囲む主要国も、この点では軌を一にしてきた。中国の朝鮮半島政策の基本は「非核化」だし、韓国も北朝鮮の核保有には反対。日本も当然そうである。

 こうした中でアメリカが「保有は認めるが、輸出は認めない」という政策に舵を切るのは、極めて危険だと思う。なぜなら、北朝鮮の核保有を認めれば韓国、そして日本も将来核武装の必要性が高まるからで、それは地域の安定に寄与しないと考える。「輸出は認めない」と言っても、どうやって監視し、阻止するのか。

 アメリカの政策転換の背景には、この記事によれば、盧武鉉政権が「いかなる軍事行動も検討しない方針を明確にしているため」という。軍事行動をクリントン大統領が検討した1994年とは「状況が違う」ということらしい。

 この記事の内容がブッシュ政権の政策になるかどうかは知りませんが、特に北に関する問題では日本の安全保障に直接関わる問題だけに、日本もきちんと意見をもって米、中、韓、ロと緊密に協議して、安全保障上のリスクを軽減する方向で努力すべきだろう。

2003年05月04日

 (12:42)ニューヨークの佐々木君が送ってくれた写真などを入れて、このページをアップデートしました。

2003年05月02日

 (12:42)松井とイチロー直接対決のニューヨーク3連戦が終わりました。うーん、二人とも「活躍」にはほど遠い。ま、期待が先行しすぎていたんでしょうね。でも、わざわざニューヨークまで試合を見に行った私のような人間、でなくとも日本や各地で見守っていた人間にはやはり「期待外れ」だったと言えると思う。3試合のうち、最低1試合は二人のどちらかに試合を決めて欲しかった。

 二人のパフォーマンスが期待を下回るのを見ながら、30日にニューヨークで買ったニューヨーク・ポストのスポーツ欄、ジョエル・シャーマンのコラム「Soriano's the best Japanese import」を思い出していました。彼はこう言うのです。「日本からの最高の輸入品は松井でもイチローでもない。実はソリアーノだ」と。

 ドミニカ出身のソリアーノがなぜ「日本からの輸入品」なのか。実はご存じの方もおられると思うのですが、ドミニカにある広島カープの野球アカデミーの出身なのです。そして実際に少ない試合ですが、日本でカープの為に試合を出ている。マイナーだったそうですが。

 彼はこの時のことをこう言っている。「自分はホームシックになったが、日本における野球の扱われ方でも病気になった。まるで仕事のようだった。それは楽しい野球ではなかった。感情というものがなかったんだ....」と。ソリアーノがドミニカと広島の間を行ったりきたりしたのは1995年から2年間。

 98年のシーズンに関しては、ソリアーノは最初からアメリカを目指した。エージェントを雇って。それがダン野村です。野茂と同じ方法でまず日本のリーグを抜け、そして大リーグを目指した。彼を獲得したのがヤンキースということです。ドジャース、メッツ、インディアンズ、そしてダイアモンド・バックスが彼を争ったという。その段階では、大変なタレントだということがメジャーどの球団も分かったと言うことでしょう。

 その後の活躍は凄まじい。シャーマンは彼をこう表現します。

Soriano, late of the Hiroshima Carp, was the star nevertheless, able to out-run and out-hit Suzuki and able to out-power Matsui. Soriano ia a unique hybrid, displaying more talents than the od Ed Sullivan.
 走りとヒットでイチローに勝り、パワーで松井に勝る。必ずしも外れていない。unique hybridというのは、確かに当たっている。四番でもあり、一番でもある。守備もうまい。希望を言えば、イチローと松井には二人がかりでもソリアーノに勝てないような状況から早く脱して欲しい、ということですが。ま、シーズンは長い。二人にはアメリカの球界で still alive して欲しい、と思っているのです。

2003年05月01日

 (21:42)完全禁煙派の小生としては載せたくない情報なのですが、自分でこのサイトの下で投げた問題なので、その後の情報をアップします。ニューヨークの42番街、マジソンとパークの間にあるグランド・セントラル・ステーションの地下にあるオイスター・バーに、公的場所での全面禁煙が施行されたニューヨーク市に公然と(ー。ー)yー゜゜゜=煙草が吸える場所があるのはなぜか、という問題について。

 この問題については、かねて知り合いでニューヨーク在住の飛騨さんから二通のメールを頂きました。

★メールその?= さて、オイスターバーでの喫煙についてですが、小生も疑問に思っておりました。 NY市のルールは、従業員の間接喫煙を避けるために、従業員が立ち入る 場所では全面禁煙とする、というものであったと理解しています。よって、 レストラン、バーに拘らず、従業員が立ち入る場所では喫煙できない筈です。 ただ、例外的に、従業員の入らない特別な場所を設けた場合は認められています。 しかし、グラセン内では、小生の知る限り、オイスターバーのほか、 Campbell Apartmentというバーでも、従業員がいる場所で喫煙が許されています。

 これについて、伝聞情報でソースが明らかではありませんが、Grand Central駅は、 MTA(Metropolitan Transportation Authority)の管轄であり、NY州管下にある。 そして、MTA内は、NYPDではなく、MTA Policeが取り締まっている。よって、 今回のNY市の規制が適用されない、という話を聞いたことがあります。 ちょっと眉唾な情報ではありますが、なんとなく納得してしまいました。 実際のところどうなのか、何か情報が入ったらまたメールします。

なお、ご存知かも知れませんが、上記の話に出てきたCampbell Apartmentは 「グラセンにこんなところがあったのか!」という感じのバーです。 歴史を感じさせる、天井が高くて贅沢な空間です。食事は出ませんが、少人数で 軽くワンショットというシチュエーションにいいと思います。(Tel:212-953-0409)

★メールその?= MTAに照会したところ、以下のような回答が返ってきました。先ほどのメールに書いた伝聞情報はほぼ正確であったようです。

 Thank you for your inquiry regarding smoking in Grand Central Terminal restaurants.
 Grand Central Terminal is operated by the Metropolitan Transportation Authority, a public state agency, rather than by the City of New York. As such, it is governed by state law, which does not currently prohibit smoking in designated, separate areas of restaurants.

 We appreciate your patronage.

 Sincerely,

 難問が一つ解決。この英語を厳格に読むと、別にオイスター・バーだけでなく、グランド・セントラル・ステーション下にあるレストラン全部、ということです。飛騨さん、ありがとうございました。あ、喫煙派の人はグランドステーションの下に行くんですな。合法的にニューヨークのパブリック・プレースで喫煙したかったら。

2003年05月01日

 (14:42)来るといつも思うのですが、考えようによってはニューヨークはきったない街ですよ。ゴミはあちこちに落ちている、劣化したビルはあちこちにあり壁が剥げていたり、変色している。、セントラルパークも繊細さは感じない。地球の岩盤がそのまま出ているユニークな公園で、繊細さよりも感じるとしたら力強さです。おまけにニューヨークの道路の劣化はひどく、凸凹。しかも舗装も汚い。

 しかし魅力があるんだな、とても。なんでしょうね。一つはメルティング・ポットだからでしょうか。人種ばかりでなく、実に様々な職業の連中がいて、それが自然に解け合っている。日中マンハッタンを歩いても背広姿に会うことはそれほど多くない。それはウォール街でもそうなのです。丸の内や大手町を歩いて背広姿以外の人やOL以外を探すのが難しいのとは対象的です。それもいろいろな連中がいる。

 食べること、ミュージカル、オペラ、バレー、スポーツなんでも一流があるし、なくても来る、ということも魅力でしょうね。しかしその一方で、危険が一杯の街でもある。成功も失敗もあるし、物理的にはやはり東京より危ないんでしょう。まあ、東京もかなり危険な、そういう意味では都会らしくなってきましたが。

 今回街を歩いて感じたのは、日本人が少なくなったのではないかな....ということでした。70年代の後半からずっと定期的にニューヨークに来ている人間の単なる印象ですが。ニューヨークの日本人向けの夜の店が暇なことは既に書きました。しかし、街を歩いても日本人が少ない。松井目当てで日本から来た人を入れてもです。

 そうした中で、昔からの知り合い、同僚が何人もニューヨークで元気に仕事をしていてくれるのはうれしい限りです。ニューヨークに来る価値があるというもの。昔住んでいたニューヨークの63丁目のブロードウェーの店でk君夫妻と朝飯を食べながら外を見ていたら、やたら expecting(出産予定者)が通る。「そうか、アメリカは出産ラッシュなのか....」と思っていたら、銀行のディーリング・ルームもそうでした。

 僭越小僧も父親になり、クロタケこと武井君は近く、そしてそれから少しして林君の子供が生まれると。どうも全部女の子らしい。ディーリング・ルームに働く父親の子供は女の子が多い、という噂は昔からあるが、ぴったり。佐々木君や以前からいるアメリカ人も皆元気そうで良かった。僭越小僧こと秋山が30代の後半だと聞いて驚愕したら、武井は40だと。へえ、ってなもんですな。

 僕は知らなかったのですが、アメリカでは 「baby shower」というのがあるらしい。29日に小生も参加しました。ディーリング・ルームの昼。子供がらみの3人に内緒でピザや寿司の出前を頼み、全員でお祝い。ははは、なかなか楽しかった。3人が英語でスピーチしたのですが、まだうまく喋れない奴、うますぎる奴、長い奴(ドルもロングかい、、、、)。三人三葉で面白かった。bookshelf を調べたらbaby shower は「赤ちゃん誕生を控えた女性への贈り物持ち寄りパーティー」とあった。あれ、本当は奥さんがパーティーには必要だったのでは。ま、いいですよ、職場ではダンナのための職場のパーティーになったということで。

 ほんの短い間ですが、定点観測は必要なんです。前回来たのは2001年のテロの直後でしたからもう一年半もたってしまった。ニューヨークは一年に一回は来たい場所です。タクシーの運転手に 「How is business ?」 と聞いたら、「Business is ok.」と。ま、この運転手、家庭生活はめちゃめちゃだが、仕事はなんとかと答えたのかもしれない。<^!^>しかし、全体にはニューヨークは元気に見えた。ビーチェはめちゃ混んでいた。

 変わったと思ったのは、34丁目のメーシーズの前に機関銃を抱えた州兵がいたこと。確か二人だったと思った。夜中でしたが。この近くにはニューヨークのもう一つの象徴、エンパイアがある。佐々木君によれば、全米の警戒レベルはオレンジからイエローに落とされたのだが、ニューヨークは変わらないそうな。

 グランド・ゼロにも行きました。においはさすがになくなっていた。テロ直後に行った時の、ウォール街の臭いと埃は凄まじかった。積もっていましたからね。あれはなくなった。しかしニューヨーク証取の前は何か大きな工事をしていました。多分、今になっても全米からグランド・ゼロを見に来る人が多いのでしょう。しかし、バッテリーパークから遊覧船が出る光景は戻っていて、よかったと。

 ゼロの後にはどんなビルが出来るんでしょうね。設計はドイツの会社が落としたんでしたっけ。あ、それからちょっと安心したのはチャイナ・タウンに28日の昼に行ったのですが、天気が良かったせいもあったのか、人出がすごかった。市長が人集めに乗り出すほど閑散としていると聞いていたので、よかったと。相変わらず、リトル・イタリーの方が静かでした。まあこちらは主に夜でしょうが。

 リトル・イタリーと言えば、ニューヨークでも夜のレストランはフレンチからイタリアンに傾斜してきているそうです。あれ、これは対イラク戦争後の話 ? そんなことはない。このところのトレンドだそうです。フレンチは世界中で落ち目ですな。私もイタリアン派です。フレンチは肩が凝る。イタリアンは皆で喋りまくりながら食べれる。ナイス。

 ヤンキースの松井君はどうやら、国連の近くのトランプタワーに住んでいるようです。最初に日本でも報道の対象になって、松井君があたかも「ここは高すぎるのでやめました.....」てな調子で話していた。ここにはジーターとかヤンキースの何人かが入っているようです。

 松井選手は日本にいるときから、おきまりのレストランを作って、たとえば飯田橋のあるレストランなどに頻繁に出入りしていたらしい。そのレストランには「松井部屋」というのがありました。ニューヨークではどうするんでしょうね。

 実はニューヨークでも、日本食屋で食べることが多くなるらしい。ニューヨークの山本さんが滞在中にメールをくれて、そこにはこう書いてありました。

 昨日(4/28)、ミッドタウンのとある日本食レストランに行くと、 席がない程の満員でした。この2週間ほどは、日本からの駐在員の減少でNYの 日本食レストランはどこも閑古鳥が鳴く状態に近く、閉店も相次いでいる。

 そんな中で、「なんで?」と思いつつ、何とか席に着くと、そのレストランの社 長曰く「松井が来てるんですよ」とのこと。事前にちょっと情報が漏れているの か、人が集まってくる。一目松井を見ようとなかなか客が帰らない。それで満員 というわけです。私は、時間もないので適当なところで、店を出ましたが。

 ははは、携帯電話か何かで「松井が来ている」ということで、街中の日本人に情報が伝わったのでしょうね。松井君も大変だ。ニューヨークで使われている携帯電話では、やっと携帯メールが出来るようになったそうな。それも威力を発揮したのかも。でも、早く奥さんもらった方が良いのでは.....。ほんまに余計なお世話ですが......

2003年05月01日

 (10:42)「インチキな反米主義者・マヌケな親米主義者」(フランソワ・ルベル アスキー・コミュニケーションズ)は、世界で図抜けた存在になってしまったアメリカと世界(国、機関、有識者、個人など)が現在どう付き合っているのか、望ましい立ち位置より偏見に満ちたものなのではないのか、もしそうだとしたら考え方の座標をどこに置いたら良いのかを考える上で非常に考えさせられる本だ。

 「アメリカとの付き合い方」では、恐らく民族的紐帯もあってあまり悩むことのないイギリスやオーストラリアなどの国を除いては、どの国にとっても頭の痛い、大きな問題だろう。フランスしかり、ドイツしかり、日本もそうである。アメリカは飛び抜けた軍事費(世界全体の4割、近い将来5割に達する)を持ち、その軍事力は今のところ invinsible に見える。またアメリカ経済は確かに弱いところもあるが、総じて見れば総人口が伸び続ける中で、また変化に対する受容性の高さ故に世界各国経済の中では相対的に高い成長力を誇る。アメリカのGDPは世界全体の3割を占める。

 重要なのは、アメリカと言う国が我々が現象的に目にするハリウッドやブロードウエーの華やかさ、市場中心主義にもかかわらず非常にイデオロギー色の強い、かつ戦略的な国だということだ。日本のような、どちらかと言えば自然国家(海に囲まれていることもあって)とはかなり違う。建国の意志からして、宗教色と戦略性に溢れている。

 著者は、「今の世界にはアメリカを嘲笑し、ブッシュを馬鹿だとする論調に満ちあふれている」と指摘し、そうした中で反米だけを頼りに、自分のレゾンデートルを証明しようとする国、国際機関、有識者、そして個人が多い、と述べる。確かに。反米を述べることが、あたかもインテリの証明であるような風潮はある。著者はフランス人で主にフランスの読者を念頭に置いて書いたと思われるし、事実フランスでこの本は爆発的に売れたのだが、日本にも言えるだろう。

 しかし著者は「そうだろうか」と問いかける。あちこちで「(反米論調には)論理のすり替え」が行われていないか、と。たとえば、パレスチナ問題ではアメリカは「なぜ調停に出て行かない」と世界各国から言われ続けている。コソボでもそうだった。しかし一方では、出て行くと「出過ぎ」と言われ、介入主義と非難される。介入主義という意味では、アフガニスタンもそうだったし、イラクについてもそういう意見を持つ人はいる。著者は欧州人らしく、「一体ヨーロッパはコソボの問題を自分で解決する力があっただろうか」と述べる。そういう状況なのに、アメリカが介入するとそれを批判するだけで良いのか、と。

 実はこの本を読む前に、マイケル・ムーア監督の「アホでインチキなアメリカ白人」(でしたっけ、現代は Stupid American Whitemen だったと思った)を読んだのですが、この二つの本の対比は鮮明だ。フランス人がアメリカを擁護し、アメリカ人がアメリカをこきおろしている。アメリカ人が自分たちをアホでインチキという一方で、フランスの知識人がフランスのアメリカ人観(アホでインチキ)を痛烈に批判しているのである。

 印象を言うと、マイケル・ムーアの本は「確かにアメリカそういうところはある。しかし全体を見ているのだろうか」というもので、総じて言うならばフランス人の著者が書いた本の方がよりバランスが取れているように思う。

 フランソワ・ルベルは、今の世界にはアメリカを嘲笑し、ブッシュを馬鹿だとする論調が満ちあふれている。それが行き過ぎるが故に、たとえばフセインのイラク体制を是認したり、金正日の北朝鮮政権を受容し、それと対決しているアメリカを批判しようと言う傾向も見える。しかしいったいそうだろうか、と問いかける。多くの反米論調が客観的分析に基づくのではなく、ただただアメリカが嫌い」「強いものが嫌い」という感情に突き動かされているのではないかと自問し、「それは、否定できない事実」と結論づけている。フランスを含めて多くの国にいる反米主義者の主張は、実に自己矛盾に満ちていると断定。

 マイケル・ムーアはアカデミー賞の授賞式で「shame on you」とブッシュを痛烈に批判した。イラクのように何もしていない国に対して攻撃をしかることがいかに野蛮で無謀であるか、と。しかし、この本の主張に従えば、マイケル・ムーアのような人間が存在を許されること自体、アメリカのすばらしさである。なぜなら、イラクや北朝鮮のような国では彼のような人間の存在そのものが許されず、確実に消去されるからである。

 この本は、「どの国にも良い点と悪い点がある」と主張し、それをバランスよく見てやることの必要性を主張する。そのバランス感覚をなくせば、ただ単に冷笑主義に陥って、自らも抱えている欠陥を忘れ、自己改革のチャンスを失う、と。ヨーロッパはその対米冷笑主義故に、世界における存在意義を失いつつあるとこの本は主張する。  日本人にとっても、「バランスある対米観」は重要だろう。単純な「反戦感情」でアメリカを批判することは簡単だが、それではフセイン体制下で死んでいった何万、金正日体制下で死んでいった何十万の人々の命をどう考えるか、という問題もあるからだ。

 恐らく問題は、解決策の提示力だろう。国際問題の解決力とは、それを履行し、遂行する力の存在を必要とする。それが望ましくないことであろうと、それが現実である。北朝鮮が交渉の相手としてアメリカしか望まないのは、そうした客観的な事実を鮮明に示している。

 これからも日本、日本人、フランス、フランス人、ドイツ、ロシアその他もろもろにとって、「アメリカとの付き合い方」は重要になる。アメリカと言っても多様な国で、その方針が常に一定なわけではない。しかしアメリカという国には、自然国家群が持たない独特のイデオロギーと使命感(他の国にとってはしばしば迷惑だが)がある。この国は様々な角度から冷静に、客観的に見て、考え方や行動に選択、それに立ち位置の確定を行うべきだろう。その意味で、「インチキな反米主義者・マヌケな親米主義者」は推薦です。