2005
10月

2005年10月の日記

日記

2005年10月31日

 (19:10)動きもあった、興味深い一日ですな。まだ終わっていませんが。今朝一番に新聞を読んで面白かったのは日経の「経済教室」。AOLのケーシーがタイム・ワーナーを買収した大きな理由は、事業の多角化という戦略的なものと言うよりは、浮き沈みの激しいネット企業を安定化させるための財務的な意味合いをもつもの、という指摘。なるほどと考えてみれば、じゃ、楽天とTBSはどうなの、という話になる。

 次はやはり、麻生さんの外務大臣就任かな。麻生さんは筋金入りの靖国参拝派。そして安倍官房長官もそう。ということは、来年は総理と併せて、内閣の重要三閣僚が揃って参拝と言うことになる。うーん、きっと8月15日。小泉さんは、必ず任期中に一回この日に行きたがっていると思う。ということは、「靖国参拝内閣」と言っても良い。中国はどう反応するのか。

 話は変わって恐縮なのですが、そういえば面白いものを地下鉄で見つけました。消火栓。しかもかなり大きな。車両の端にしっかりと取り付けてあって、その下に座っている人は、もし落ちてきたらさぞ大きな怪我をしそうな。あちこちにいろいろ指示が張ってある。使うときはこうしろ、と書いてあるような。あったかな....いままであんな消火栓が ?

 また話は変わりますが、週末にとっても良い映画を見ました。ちょっと古い映画です。「Smoke」(スモーク)というのです。今週一つ映画産業に関する番組をやる関係からいくつかの映画を見ていたのですが、これが一番良かったな。ニューヨークの話。シガーショップを舞台に、大人の物語が展開します。人生の意味のかなりの部分は、大舞台ではなくディテールに存在することが良く分かる。

 善行と悪行が微妙に交差する一人一人の人生。すぱっと切れない人々の生活。その一つ一つの交差が妙な温かみをもって迫ってくる。良い映画です。これは手元に置いておきたいという気持ちが出る。オギー、ルビー、ポール。ははは、一人一人が実在しそうな印象も。

 「これ」という主張があるわけではない。しかし、登場する人物が、実にリアルなのです。最後のクリスマスの話はいいな。皆さんも機会があったらどうぞ。いや、今日はまとまりのない話で恐縮です。

2005年10月30日

 (25:10)ワシントン・ポストの記事を読んでいたら、ブッシュ大統領の支持率(approval rating)が39%と同紙のこれまでの調査としたら最低に落ち込んだという。まあそうでしょうね、特に先週はブッシュにとって、大統領になって最大の危機の週だったといえる。

 チェイニー副大統領のリビー首席補佐官が起訴され、自分が選んだ最高裁判事候補(マイヤーさん)は保守派からの反発で自ら指名辞退という事態。ワシントン・ポストは彼が直面している問題として、「an unpopular war in Iraq, high energy prices, the costly challenge of rebuilding New Orleans, a fractured party, disaffected independent voters and little goodwill on Capitol Hill 」などを挙げ、もう一撃として「his prospects are particularly daunting.」と述べている。

 この記事によると、今ではアメリカで最も人気のあった大統領であるロナルド・レーガンもイラン・コントラ事件の直後には今のブッシュよりも低かったと言うから、ブッシュにリカバーのチャンスがないわけではない。彼にはあと3年の時間的リカバーチャンスがある。

 しかし、どうなんでしょうか。レーガンはどこかチャーミングだった。笑い顔は可愛かったし、喋りもうまかった。コミュニケーターとしても元俳優だからうまかった。しかし、ブッシュは元大統領の息子という生まれの良さがどうも生きていない。どこか粗雑な印象がする。私の印象だけかも知れませんが。

A Republican strategist, speaking on the condition of anonymity to offer a bark-off analysis of Bush's problems, was far gloomier, noting that the situation facing Bush is about as bad as it can get. "What's in front of him are very big structural problems," he said.

Ticking off a list that includes a looming winter energy crisis because of high heating oil and natural gas prices, an immigration fight that could further divide his party, negative perceptions of the economy despite strong growth numbers, and overall pessimism about the direction of the country, he added: "It's not like it's a one-shot deal where they hit bottom and then bounce back. I'm not sure they've reached bottom yet."

 ワシントン・ポストにも、上記のように内部からの「なかなか難しい」との見方が出ている。12月15日でしたっけ、イラクでは憲法に関する大きな動きがあり、来年には一般教書演説がある。その間にホワイトハウスの補佐官らの入れ替えがあるかも知れない。ちょっと正念場でしょうな、ここ数ヶ月のブッシュは。

2005年10月30日

 (08:10)「イスラムとは何か?」「特に、その過激派は何を考えているのか?」といった問題を真剣に考えないといけない時期ですかね。イラクでの数々の犯行だけではない。ニューデリーでの爆弾テロ(3回の爆発だという)、インドネシアでのキリスト教系高校に通う女子生徒3人の惨殺、そしてイラン大統領のイスラエル抹消発言まで。

 最近世界で起きているかなりの部分は、「イスラム、またはその過激派絡み」となっている。大部分のイスラム教徒が平和愛好であり、「立派な宗教だ」という意見が多いのは知っていますが、これだけ続くと「教」として今の時代に何か大きな異論があり、それを背景に現実の世界に刃を向けている気もする。

 私自身は今のところイスラムに関する深い知識もないので勉強しなければと思っているのですが、多数の人を殺したり、「国の抹消」を言い出すことが良い筈がない。筈がないのに、どうしてそういう発言が出てくるのか、行為が実際に行われるのか。

「イスラム過激派の犯行か」=【ニューデリー29日共同】インドの首都ニューデリーの中心部などにある市場など3カ所で29日午後5時40分(日本時間同9時10分)ごろ、ヒンズー教の大きな祭りを控え混雑する中で、ほぼ同時に爆弾を使ったとみられるテロがあった。PTI通信によると、50人が死亡、少なくとも70人が病院に搬送された。死者はさらに増える恐れがある。ニューデリーの日本大使館によると、同日夜の段階で日本人が被害に遭ったとの情報はない。

 ロイター通信によると、インドのシン首相はテロと断定した。治安当局は、ラシュカレトイバなどカシミールの分離独立を求めパキスタンなどを拠点に活動するイスラム過激派の犯行の可能性があるとみて捜査を開始。昨年来、対話路線が定着しつつあった両国関係に悪影響を与えることは確実だ。

「過激派か、女子高生3人を惨殺 インドネシア」=インドネシア東部スラウェシ島の中部ポソで29日朝、キリスト教会付属の高校に登校途中の女子生徒が何者かに襲われ、15歳の生徒3人が首を切断され殺害された。警察によると、うち1人の頭部は教会の前に置かれていた。ほかに、1人が重傷を負った。

 犯行の動機は不明だが、同島中部でくすぶる宗教抗争をあおる狙いでイスラム過激派などが実行したとの見方が強い。ユドヨノ大統領は記者会見し「野蛮な行為を非難する。抗争が続くよう望む勢力がある」と述べた。

「イラン大統領に非難集中 イスラエル抹消発言」=イランのアハマディネジャド大統領が最近「イスラエルは地図上から抹消されなければならない」と言明、これに対しイスラエル、米国はもちろん、原発支援などでイランと友好関係にあるロシアからも批判の声が上がるなど、発言が国際社会に波紋を広げている。

 イラン核問題の国連安全保障理事会付託をめぐり、欧米の圧力が一層強まるのは必至。11月の国際原子力機関(IAEA)理事会を前に、イランに対し国際社会からの非難が一段と集中しそうだ。

 「シオニズムなき世界」と題しテヘランで開かれた26日の反イスラエル集会。大統領は数千人の学生を前に「イスラエル抹消」を主張したほか、イスラエルを承認したイスラム諸国の指導者は「イスラム世界の降伏と敗北を認めている」などと怪気炎を上げた。

 インドのテロは、このところ高値修正気味のインドの株を押し下げる要因になると思われる。先週のSENSEXは引値で7685で、これは私の記憶では最近の高値から1000ポイント前後下げている。まあもっとも、その前の上げが急激でしたから。当然の修正という印象もしますが。

2005年10月29日

 (18:10)いけませんな。PCの調子がちょっと悪くて、私のデスクトップを製作してくれた友人に電話したのです。少し話していたら、「実は今入院しているのですよ....」と。私より一回りも若いのに、「どうしたの」と私。

 会っていないので詳細は不明ですが、「心筋梗塞の一歩手前....」と。ありゃ、いけませんな。ストレスが多い仕事をしていることは知っている。それにしても、緊急事態。まだ40台で。だから、「少し緊張を解いたら...」と言っておきました。ははは、あたしゃ最近必要があって健康診断したのですが、何から何まで肝臓も含めて「まった問題有りません。珍しいですね.....」と医者に言われてしまった。なんか複雑ですな。あまり「健康」と言われるのも。
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 まあでも、風邪さえもひいていられない事情もあるんですよ。特に来週は、自分でも楽しみなテレビの収録がある。NHKのBS1に隔月一回放送の「世界潮流2005」という番組があるのですが、次回は予定としては「銀幕戦争ー変貌する世界の映画市場」というタイトルの映画産業に関する番組なのですが、そこに出演して経済の視点を持ち込むことになっているのです。

 2時間の番組は別に珍しいことではないのですが、たった一つのテーマで話題を詰めていくというちょっとスリリングな番組。他の映画業界の専門家かつ出演者二人の意見を聞き出す、そして自分でも意見を述べるという役回りなので、ちょっと面白いなと思っているのです。

 うーん、NHKに出るのは以前BSのニュース番組にちょっと出たとき以来かな。何年ぶりだろう。各局いろいろ違いがあるのです。打ち合わせの仕方とか、スタジオの雰囲気とか。今回の収録は、ナマではないので楽と言えば楽ですが、しかしその分「はい、2時間で終わり」という雰囲気ではない。疑似生なんでしょうが。

 来週、確か火曜日だったと思うのですが、収録した番組は11月13日の日曜日、午後10時10分から零時までニュースのインターミッションを入れて2時間近くで放送される予定です。どんな番組になるか、私も楽しみ。

2005年10月28日

 (23:10)小学館の「SAPIO」という雑誌からは取材をされてはいましたが、送られてきた雑誌のタイトルと写真を見て、「ありゃ、そのまんまじゃないか....」と。まあ怒ってはいませんが、あまりにも発想がなぞられているので。

 『これが「日本力」の原点だ』というのが前面のタイトルで、その下の写真は「祭り」のシーン。「日本力」には、時代を表象する言葉になって欲しいと思っていたので、こういう形で使われるのに反対ではないのですが、「なんだ、タイトルについて一言言ってくれれば良いのに」という気持ちはある。

 それにしても、最近は雑誌の取材が多い。一つ一つは覚えていませんが、やはり「日本力」の関係ですが、確か金曜日には進藤晶子さんをインタビューアーにした雑誌のインタビューを受けた。

 本をなるべく多くの人に読んでもらいたいと思っているので、なるべく対応することにしているのです。

2005年10月27日

 (13:10)あらら、アメリカでも4戦で決着がついちゃいました。ネットを見ていたら、1−0でシカゴ・ホワイトソックスがアストロズに勝って優勝。3年間決して松井がつかめなかったチャンピオン・リングを、メジャー1年目の井口が。運、不運はあるんですよね。

 「実感がわかない。一年目からこういう経験が出来て良かった」という彼の感想は実感でしょう。「今年は全く満足していない。プレーオフから調子を落としていた....」とも彼はインタビューで述べていた。さらに、「来年も頑張る...」と。

 まあ来年もレギュラーは確実でしょうが、8回のワンアウト2塁の局面で代打を送られたのはちょっと悔しいのでは。あそこで打っていれば、喜びは倍加したであろうに。

 さあそこで、松井はどこに行く...............MVPはダイ(Dye)だそうだ。

2005年10月26日

 (25:45)トップ通過は重いのかな.........と。何かというと、日米のプロ野球です。今年はちょっと違うが、去年までは米大リーグでは3年連続してワイルドカードでプレーオフに進出したチームがチャンピオンになっている。去年のボストン・レッドソックスもそう。

 日本でも同じようなことが言える。去年は西武でしたっけ、そして今年はロッテ。ともにリーグ首位通過ではなかった。どうも、首位通過の旗色が悪いのだ。そしておそらく今後もこの傾向が続くような気がする。

 なぜ通常リーグ戦でトップのチームがいよいよチャンピオン決定の際に旗色が悪いのか。筆者の私見によれば、それは2位、または3位通過のチームには、トップ通過の「勝って当たり前」のプレッシャーがないためだと思う。リーグで打ち負かしてきたチームと対戦するときには、レギュラーシーズンで勝ったチームは、「勝って当たり前」と思う。今年や去年のソフトバンクのように。どちらの年もソフトバンクは固くなった。

 阪神にもそういう重荷があったのかもしれない。相手がソフトバンクだとちと違った闘いになったかも。「プレーオフ制の心理的効果」というようなことが言えるかもしれない。首位通過のチームの選手に、「負けられない」という気分にさせる。

 私は最近の傾向だけから見ているので、過去には違った傾向があったのかも。しかし、自分が選手だったらともう一度考えても、「レギュラーシーズンで2位に落としたチームに負けるわけにはいかない」と考えてしまうような気がする。

 しかし、長期戦と短期戦では明らかに戦い方が違う。阪神の戦い方、オーダーなどを見ていて、「ちょっと型を守りすぎた」きらいがあると思った。金本や今岡だって、打順を変えてやれば、つまり浜中などをクリーンアップに第三戦あたりから入れたら面白かったかも。

 その点ロッテは融通無碍だった。何せ、常に打順をいじっている。なんですって、レギュラーシーズンでも153種類(うろ覚えです)ですって。ロッテは修正も効いていた。第三戦に初めて藤川が出てきたとき、最初の回はロッテは全くあっていなかった。しかし次の回には明らかに藤川の球にバットがあっていた。この「修正力」がロッテの強さだったと思う。

2005年10月25日

 (21:45)ロッテ勝利のバレンタイン監督のインタビューを聞いていて、「ああ、この人は日本語が分かるんだ....」と思いました。インタビューアーが聞くと直ぐに英語で答えている。多分彼は日本語が相当分かる。

 しかし日本語で答えないのは、ジーコと同じで下手な日本語を喋るのが嫌いなんでしょう。もっともジーコの場合は、質問者の質問もいちおう通訳に日本語に直してもらっている。

 それにしても、ロッテは非常に阪神を研究し尽くした野球をしていると思う。解説の真弓が言っていたが、普通なら振る球も平然と見送っていた。藤川が出てきた最初の回だけロッテの打撃がおかしくなったが、その次の回には直ぐに修正されていた。

 3試合でロッテの得点は30点。対して阪神の生み出した点は2。これじゃ勝てない。ロッテは実は非常に緻密なデータ野球をやっているように思う。バレンタインがそれを持ち込んだと思う。

 阪神は、空白があったのかも知れないし、何があったか知らないが、とにかく選手から覇気が見えない。金本も一生懸命やっているんでしょうが、ことごとくうまくいっていない。今岡の方がまだ手応えはあるが、彼もヒットが一本じゃ。このまま負けたら、阪神の選手はショックでしょうな。
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 ところで、今日は一つレストランを紹介しましょう。このページに昨日入れたのですが、店の名前は「樋口」と言います。かつて北青山に穂積(ほずみ)という店がありました。。オフィスの直ぐ横にあったので、実に頻繁に行った。私が好きな「鯛茶」と「くずきり」をメニューにしてくれた店でもあった。しかし、この店は2000年ごろだったと思ったが、営業を終えてしまった。

 この店を閉める前に独立した料理人がいたのです。樋口さんで、私が好きな板さんでもあった。その彼が作った店が、神宮前にある。「樋口」である。穂積にいた仲居さんと結婚されて、今はお二人で商売をしている。最近行って、ここに穂積の良き味が残っていると感じたので、皆さんに紹介します。

 親子二代の板前さん。味がシャープなんだな。私の口にあうというか。2005年の10月に行って改めて思いました。「鯛茶」と「くずきり」もきちんと作ってもらえます。推薦の店ですが、ちょっと高い。しかし美味しい。電話番号は、03-3402-7038です。

2005年10月24日

 (26:45)二人に讃えられはしたが、グリーンスパンはFRB新議長指名の記者会見では一言も喋りませんでした。まあそうなんでしょうな。ブッシュが向かって左側にグリーンスパンを、右側にバーナンキを従えて来年2月からの新議長の指名を発表し、そしてその後にバーナンキが喋った。それで記者会見は終わり。少なくとも、ウォール・ストリート・ジャーナルのサイトに掲載されているVideoを見るとそうなる。

 ずっと「次は誰だろう」と見られていたFRBの新議長が指名された。この問題は、先週月曜日に取り上げたが、バーナンキは最初から最有力候補の一人だった。金融市場が最初から彼を本命と見なしていた理由は、

  1. とかく話が難解といわれるグリーンスパン議長の解説者として市場の信認が厚い
  2. 市場はバーナンキをグリーンスパン路線の継承者として見ていて、その点で安心感がある
  3. ブッシュ大統領は6月に開いたCEA委員長へのバーナンキ氏の就任式で、誕生日を迎えたバーナンキの娘にも祝福の言葉を贈った。ブッシュはバーナンキを側近として認めている
  4. 本人も意欲満々で、ワシントン中心部の議会の近くに家を買い、34年ぶりに首都に本拠を置いたプロ野球チーム「ナショナルズ」のファンになった
 など。そう言えば、ブッシュも指名記者会見でバーナンキの娘と息子の名前(アリサとジョー)を言っていた。むろん奥さんの名前も。「アン」さんからな。バーナンキの現職、出身地、学歴や経歴を簡単に記すと以下のようになる。
 ベン・バーナンキ(51)
 現職=CEA委員長
 出身地=ジョージア州オーガスタ市
 学歴=ハーバード大卒(マサチューセッツ工科大学で経済学博士号)
 官職=FRB理事(2002〜05)、CEA委員長(2005年6月〜 )

 バーナンキは、現在79才(1926年3月19日生まれ)のグリーンスパンに比べて28才若い。凄い若返りだと言える。これで恐らく福井さんは世界の中央銀行家の中で一番の年長になった。だからどうということもないが。経緯から言うと、ブッシュはかなり早い段階からグリーンスパンの後任をバーナンキに決めていた可能性がある。まあしかし、それは分からない。バーナンキはブッシュの後で喋って、
「"Our understanding of the best practice in monetary policy evolved during Alan Greenspan's tenure at the Fed and it will continue to evolve in the future. However, if I'm confirmed to this position, my first priority will be to maintain continuity with the policies and policy strategies established during the Greenspan years."」
 と述べている。そりゃそうでしょう。前任者を讃え、その政策と政策の枠組みを第一のプライオリティーとする。市場の評価も少なくともその発表の当日は良かった。ニューヨークのダウは170ドル弱の大幅上昇を見せたし、ドルも強かった。ボルカーからグリーンスパンに変わったときのような不安感は市場にはない。

 「ブッシュは、経済学のアカデミズムからも金融のプロからも特に賞賛はされないものの、安心コースの人物を選んだ」というのが評価のようだが、市場は「バーナンキはグリーンスパンよりはインフレにハト派だ」と読んだようだ。

 実際に最近の議会証言などを読むと、バーナンキはコアのインフレ率の安定などを強調している。「もしかしたら、来年2月からの利上げはない」と株式市場は読んだ。しかし、ドルも堅調だった。あちこちから、賞賛の声が聞こえる。議会の関係者の評判も良いようで、かなりスムーズな承認が予想される。賞賛の声を一部紹介する。

(グリーンスパンの言葉)「"Ben comes with superb academic credentials and important insights into the ways our economy functions. I have no doubt that he will be a credit to the nation." 」

(ヨーロッパ中央銀行総裁トリシェの言葉)「Ben Bernanke is a highly respected central banker, a remarkable economist and a man of experience. I will be very happy to have the possibility to develop with him the same highly close and fruitful cooperation, and enjoy the same confident and friendly personal relationship that I had with Alan Greenspan." 」

 どういう考え方の持ち主か。どうもインフレターゲット論者のようである。ウォール・ストリート・ジャーナルには、「A Bernanke Reader」というページがあって、そこに彼の今までの書いたことが代表例としていくつか挙がっているのですが、最初に以下のような文章が出てくる。
  "To ensure that monetary policy stays on track after Mr. Greenspan, the Fed should be thinking through its approach to monetary policy now. The Fed needs an approach that consolidates the gains of the Greenspan years and ensures that those successful policies will continue -- even if future Fed chairmen are less skillful or less committed to price stability than Mr. Greenspan has been. We think the best bet lies in a framework known as inflation targeting, which has been employed with great success in recent years by most of the world's biggest economies, except for Japan."
 直にグリーンスパン後の政策はどうすれば良いかに関して書いた部分だ。日本以外の主要中央銀行が採用している「inflation targeting」が良いと述べている。この問題に関する日銀の立場はよく知られている。インフレを抑えるときならいざしらず、デフレの時には有効ではないのでは....というものだったと思う。まあしかし、アメリカの新FRB議長の議論だとしたら、改めて「日本も」という話しになるかも知れない。少なくとも議論にはなる。

 口の周りに蓄えた髭。かなり白髪が交じっている。正直51才よりは年を取って見える。しかし逆に経年してもあれ以上は年寄りには見えないメリットがあるかも知れない。安全コース....の新議長の手腕が試されるのはこれからである。

2005年10月23日

 (23:45)ははは、ティープインパクトとロッテの強さに感動した日曜日でした。何を騒いでいるのだろうと思っていたのですが、レースを見たら「これは騒ぐ価値のある馬だ」と思いました。あの足は今まで見たことのない足で、前半を口を割るほど押さえていたのが印象的でした。

 ロッテの強さと阪神の弱さもある意味で凄まじかった。久しぶりに日米の野球をゆっくり見たのですが、ロッテの強さばかりが目立った。阪神の選手は、自分たちが情けなくなったのではないでしょうか。

 それにしても、今江という選手は素晴らしい。明るいし、ガッツが顔に出ているし。8打席8連続安打の日本シリーズ新記録。渡辺俊介も素晴らしかった。何よりも落ち着いているのがよい。「calm」という単語がピッタリの投手。  それに対して、阪神は金本、今岡が未だノーヒット。これじゃ勝てない。1イニング3ワイルドピッチというのも今の阪神を象徴している。しかしこのまま終わっては面白くない。アメリカでも試合が始まった。井口が第一試合を見る限り、ちょっと調子が悪い。それにしても、松井がいないのが寂しい。

2005年10月22日

 (20:45)おや、Suica が一歩街中に進み出ましたか。夕方所用があって近所のAMPMに行ったのです。そしたら、Suicaのあのマークが。店員の方に「あれ、スイカが使えるの....」とつい言ってしまった。

 「いえ、26日からです」と。そう言われて気が付いた。「26日から」と書いてありました。コンビニに行くといつも思うのです。「コインが増えて嫌だな....」と。それがスイカで払えれば、小銭のおつりがいらない。ナイスです。

 今までは私の記憶だとスイカは Newdaysなど駅に極近いコンビニでしか使えなかった。しかしそれがAMPMで使えるのは、これは良いという印象。記憶だとスイカには20000円まで入る。結構使いでがある。

 ところで、今日は久しぶりに「野球が見たい」と思って、10チャンネルに合わせました。ずっと見ていなかったので。しばらく見なかったものは見たくなる。ロッテは強かったですね。HRがポンポン出ていた。霧も野球としては珍しかった。明日も見たいと思うようなロッテの快勝でした。

2005年10月20日

 (05:45)今朝のウォール・ストリート・ジャーナルを見て、「なるほどね....」と。この記事は東京発になっているのですが、同紙の記者さん(JOSEPH B. WHITE という方)は東京モーターショーを見に来て新しい車に囲まれても、アメリカにおける新車販売動向が気になったらしくて、二人のショー参加自動車メーカー幹部に「アメリカの自動車販売の最新状況」を聞いたらしい。

 それが見出しとして、「Nissan CEO Says Auto Market In U.S. Is Stalling in October」となっていて、この記事によると「10月に入ってのアメリカの新車販売は酷いことになっている」らしい。まあ、数字は入っていないのですが。

Nissan CEO Says Auto Market In U.S. Is Stalling in October

By JOSEPH B. WHITE
Staff Reporter of THE WALL STREET JOURNAL
October 19, 2005 11:43 a.m.

TOKYO -- Carlos Ghosn, chief executive officer of French auto maker Renault SA and Japanese auto maker Nissan Motor Co., said the two weeks of October have been "terrible" in the U.S. market.

Mr. Ghosn, speaking on the sidelines of the Tokyo Motor Show, said a combination of factors, including the aftershocks of two hurricanes, the hangover from Detroit's summer vehicle clearance sales and concerns about rising energy prices appear to be combining to depress vehicle demand. "Now consumers are concerned high energy prices are here to stay. They are shifting their attitude," he said.

If the sales slowdown continues into November, "this will have an impact on all car manufacturers," he said.

"I've not been very bullish on the U.S. market," Mr. Ghosn said.

 でも「terrible」ってどのくらい酷いのでしょうか。また、ルノーや日産以外のメーカーの販売台数はどうなっているのでしょうか。この新聞が要因として挙げた「the aftershocks of two hurricanes, the hangover from Detroit's summer vehicle clearance sales and concerns about rising energy prices」(ハリケーンの後遺症、米メーカーによるこの夏の販売促進の後遺症、それにエネルギー価格上昇に対する懸念)は、確かに自動車販売にとっての足かせです。

2005年10月19日

 (23:45)午後はほとんど幕張にいました。東京モーターショーを見るため。実に久しぶり。会場が大きくて、あちこち見るのに難渋しました。まあ、239社も出展していますから、会場が大きくなるのはやむを得ないのでしょうが。車というモノも大きい。

 いろいろ感心することがありました。記憶に残っているのは

  1. トヨタのFine Xという車が、4輪が別々の燃料電池エンジンを持ち、車輪が独自に動く(コンピューター制御ですが)ことによって、その場で回転できるという特技を発揮したこと。この車はまた、車に乗る人を今の介護車のように椅子を動かして迎えに行けること。かつ、この車が燃料電池車の一種であること
  2. 燃料電池車といえば、ホンダの車も優れていた。むろん、実際に道路を走らせる車ではないが、フューチャリスティックで水素供給装置もそのうち家庭に置けるようになるとの説明も面白かった
  3. 韓国の現代(ヒュンダイ)を取材したときに、ペさんをCMに起用したことに関連して、「関心は明らかに高まっている。今までは女性がなにも韓国車を....」と嫌がるケースがあったが、今ではそういうことはなくなった。日本の同じ値段の車に比べると、400CC排気量が大きくなるし、日本での販売に力を入れていきたいと述べていたこと
  4. GMの副社長や東京代表とも話しをしたが、何か具体的に立て直し策があるわけではなかったこと。ちょっと厳しい質問だったのですが、「日本から撤退するのか....」と聞いたら、一生懸命否定したのが印象的。結局アメリカでも日本でも、消費者の気持ちをゲットできていない。しかし、多のメーカーは「GMは凄い会社だと思う」と言っていた。そうだろうか
  5. 車周りというか、音響システムの視点は凄まじいという印象。ipod nano などがうまくシステムに組み込まれていて、その音質もすばらしかった。家の今と車内の違いは本当になくなってきている。あとは、携帯電話のシステムをどう車の中に入れていくのかでしょう
 幕張はちょっと遠い。まあでも、行って良かったという印象。一般公開は、22日からです。

2005年10月19日

 (06:45)あらら、itunes のポッドキャストのダウンロードランキングで、ついに「伊藤 洋一のビジネストレンド」が2位までランクアップしてきました。見るたびにランクアップしている。もう上は一つしかありませんが。

 「itunes」を開き、「music stores」に行き、「Podcasts」をクリックすると、右側に「Today's トップ Podcasts」というランキングがあります。それを見てもらえばよい。毎日変わるので、皆さんが見るときには若干ランキングが変わっているのかも知れませんが。

 まあやっている限り、上に居た方が気分が良い。この録音は毎週木曜日に、銀座のオープンスタジオで、午後5時40分ごろにやっています。このオープンスタジオは、銀座8丁目の日航ホテルの4丁目サイド。

 その時間はなかなか凄いですよ。今はちょうど夜のとばりが降りる頃で、夜の蝶の方々が、新橋の方角から、はてまた日航ホテルを目指して頻繁に通る。スタジオから丸見え(向こうもこっちを見ていきますが)ですから、なかなか壮観なんですよ。

 ははは、木曜日の夕方に通りかかる機会があったら、立ち寄って下さい。木曜日は毎週そこで一本のナマ放送、もう一本の Podcast 作成を行っています。
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 ところで、昨日は久しぶりに玉ひでで軍鶏のすき焼きを頂きました。美味しかった。牛のすき焼きと違うのは、軍鶏のすき焼きは一つ一つが違う部位で、堅さや柔らかさの違う軍鶏肉を卵と絡めて食べられること。牛のすき焼きは、同じ部位を繰り返し食べるだけじゃないですか。軍鶏は、毎回違うのが良い。

 とりすき焼きといえば、神田のぼたんも有名ですが、あそこはいらっしゃる女性に怖い方が多い。しかし玉ひではお上品でいいですよ。

 玉ひでというと、「親子水入らずの親子丼」を思い浮かべる人が多いのでしょうが、昼でも夜でもやっている「とりすき焼き」もいいんですよ。昨日は本当に、「すき焼きは軍鶏肉に限る」と本当に思いました。寒くなってきたこの時期、推薦です。

2005年10月18日

 (06:45)今朝の毎日新聞のネットサイトには、興味深い記事がある。見出しは「楽天副社長:経営統合申し入れ問題、TBSの傘下入りも」というのです。記事は以下のようなものです。

 インターネット商店街最大手の楽天がTBSの筆頭株主になり、経営統合を申し入れた問題で、楽天の国重惇史副社長は17日、毎日新聞のインタビューに応じ、「我々はTBSの子会社になっても構わない」と述べ、経営権をTBSに渡しても資本提携を進めたいとの考えを示した。楽天が譲歩姿勢を見せることで、資本提携に慎重なTBSに対し、通信と放送の融合による新事業への協力を促した格好だ。
 ネット企業である楽天が、いかにTBSの持っているコンテンツを欲しがっているかを如実に物語っている。しかし、著作権とか問題は多いんですよ。私は、フジとライブドアの時もそれを言ってきた。この問題はちょっと違った視点で先週の土曜日に東京・中日新聞の「本音のコラム」に文章を寄せました。私の基本的なこの問題に対する考え方です。
 20世紀に切り替わる頃。今のIT・通信企業のように、アメリカで株価を乱舞させた企業群があった。驚くなかれ鉄道会社である。当時の鉄道は新興で新会社が次々に作られ、人々はお金と夢を集めた。

 いつの世でも新産業は期待とお金を集める。時価総額でTBS7千億円に対し、楽天1兆円。事業内容以上に、差は"産業としての新奇度"にある。鉄道会社に関心を寄せる向きもあるが、関心の先にあるのは不動産、人気球団で、鉄道ではない。鉄道は人と荷物を、通信は情報を運ぶ。機能は「運ぶ」ということ。しかし、運ぶツールとしての「鉄道軌道」や「有線・無線のシステム」に重要性はない。設置が済み、時間がたてば「当たり前」の存在だ。

 「放送と通信の融合」が言われる。しかし、この二つは最初から不可分だ。マルコーニの無線はモールス信号などの「電信」だったが、それが不特定多数に発受信されたことで「放送としてのラジオ」になった。重要になったのはコンテンツだ。「放送と通信」は最初から利用形態の差に過ぎない。ではなぜ騒ぐのか。

 価値観と倫理観を持つべきはずの「放送」(ラジオ、テレビ)に、本来はその両者を持たない「通信」(ネット企業)が入り込もうとしているからだ。しかし、このどちらが希少で強いかは明らかだ。鉄道と同じく通信が整理される立場にあり、運ばれる価値を持つもの(ソフト、コンテンツ)が残る。アメリカでは既に、メディアによる通信会社の買収が始まっている。日本もそうなる。

2005年10月17日

 (23:45)諏訪の実家にPCとスキャナーを持ち込んで、家にある古い写真をひたすらPCに取り込む作業をしました。4時間以上かかったかな。でも、じっくり探すと、「えーーーー」と驚くような写真がある。

 今のスキャナーは、例えば「逆光補正」とか、「セピア補正」(こういう名前ではなかった気がするのですが)とか、いろいろ補正してくれる。つまり古い写真がある程度蘇るのです。セピアのままの写真もいい。しかし、補正して当時の人間がくっきり浮き出すのも良い。

 凄い写真が見つかりましたよ。祖父までの写真があるのは自然ですが、その父親、そのまた父親、その奥さんなどなど。それらを全部デジタルで読み取った。古い新聞記事もあるんですよ。祖父が長野にいたときの話とか。読み取って整理して、親戚に配れば喜ぶじゃないですか。

 一つ気が付いたのは、我が家にない写真が、例えば従兄弟の家にあったりするのです。ある家で失われた写真が、ふっと別の親戚の家で出てきたりする。写真を撮った人が、相手に写真を手渡すのを忘れた場合だってある。だから徐々に機会を見て、あちこちにある写真をデジタル化して集められればと思うのです。

 うーん、はっきり言ってあまり意味はないかも知れない。しかし、なんか集めておきたい気がするのです。散逸する前に。集めておけば、あとで面白いことが出来そうな気がする。ははは、3年後の次の従兄弟会でプリントして見て、皆で批評するのも面白い。
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 夜は、市文化センターで、市が開催している年に一度の「諏訪市生涯学習講演会」。土曜日に従兄弟会、月曜日にこの講演とあったので、久しぶりにゆっくり諏訪にいたもの。もう親戚、高校の友人、近所の人など知っている人が多い講演会ですからね。

 しかし面白かった。小泉首相が靖国に行ったのでその話もしたし、楽天とTBSの話もした。あとは、日本力がらみです。故郷で講演するのもいいものだと思いました。

2005年10月16日

 (23:45)土曜日の昼過ぎから火曜日の朝まで諏訪に来ています。墓参りもあったりするのですが、土曜日の夜の楽しみは「従兄弟・従姉妹会」だった。初めて開く。父親の兄弟は7人で、その子供達は全部で16人いる。海外にいる人、受験生を抱えてこれない人などがいて、今回は本人が11人、本人は欠席だが配偶者がこれたケースが1件、本人も配偶者も来たケースが1件と、全部で13人集まりました。

 ははは、面白かったな。一番上が63、下が38。平均は51.53才でした。いろいろな職業の人がいるんですよ。へえ、という人もいる。まあ従姉妹・従兄弟ですから、うっすらとは何をしているのか知って居るんですが、現状を聞くのは面白かった。みんなちょっと長目になった。

 まあ近況報告だけでも、相当時間がかかったが、思い出もあったし、初めて聞くこともあるしで盛り上がりました。最も長く会っていなかったいとこ関係は、「36年ぶり」というものでした。全員の合計年齢を出したり、それの平均を算出したり。余興もやろうと思ったのですが、あまりにも話が盛り上がって時間切れでこの次ということで。

 最後にしたことは、次の開催の決定でした。毎年やるのはちょっと大変、といって5年後じゃ遠いということで、3年後の2008年の暮れに都内近郊某所でと決定。予約が取れるかどうかですが。
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 日曜日は従姉妹や兄弟を乗せて、美術館、博物館巡り。諏訪には一杯そういう美的欲求を満たせる館がある。手始めは原田泰治美術館。ちょうど原田さんと同じような作風のクロアチアの画家達の絵が多く来ていて、これも良かった。原田さんの絵では、「ザグレブの昼下がり」というのが何か印象に残りました。

 ニューヨークや世界のほかの土地を描いた絵もあり、建物が外にこぼれる形で傾いているのが特徴なのですが、やはり生まれ故郷の絵が一番落ち着いていて良い。諏訪湖の直ぐ近くにあります。

 その次に行ったのは北沢美術館ガラスの里。北沢美術館はいろいろあるのですが、この日はオールドノリタケを見に。良いガラス工芸品が展示されているのです。ここも独特の雰囲気があって良い。

 帰りの列車を取っている人もあって、最後が白樺湖にある世界の影絵・切り絵美術館に。ここの切り絵、影絵は素晴らしい。独特の作風があるのです。あれだけ白樺湖には行っているのに、中に入ったのは今回が初めてでした。その隣にある「猫ショップ」も面白かった。

 このサイトを見ても分かるのですが、白樺湖から蓼科にかけては、美術館、博物館が数多くある。本当はこれら全部見たかったのですが。

 そうそう、ある人の提案で車山に車を止めて、冷えた空気になった空に向かって大声で思いを叫んだのは、発想として面白かった。ははは。

2005年10月15日

 (08:45)河岸の窮状については、いろいろな方からメールをもらっていますが、目原君からもらったメールも興味深かった。彼はあるコンピューター会社勤務の先輩から聞いたことも参考に、以下のようなメールを送ってくれました。

 day by dayの漁師さんが携帯でトラック運転手と連絡を取って水揚げ先を決めているという話しですが、先日あるコンピューター会社勤務の大学の先輩が、漁師さんに水揚げをどこにするかを決めるのに使用するポスシステムの営業をしている話しを聞きました。

 どこでどの魚が不足し、値が高いかが検索できるといったことのようでした。先輩はその際、今自分は漁師さんにコンピューターを売っているといって笑っていました。

 携帯電話だけでなく、システム的に、つまりポス・システムで魚の仕向先を決めているとなれば、事態は構造的とも言える。ただし、河岸がただ流通の一つの基地としての立場から脱する可能性はあると思う。つまり、うまい寿司屋の集合期待とか、美味しい食べ物屋が並ぶ街とか。その方が築地が生き残る可能性が高いと思う。

2005年10月14日

 (18:45)今日日本のポッドキャスト・ランキングで占めた私のランキングは、4位と44位でした。ははは。4が三つも揃って縁起がよい。

 4位になったのは、NIKKEI NETを通じて入れるNIKKEI NET PODCASTの「伊藤 洋一のビジネストレンド」で、登録ポッドキャストが著しく増えている中では、非常に良いランクではないでしょうか。上位5位までを抜き出すと、順位は以下のようになっています。

  1. 日経ブロードバンドニュース
  2. TOKIO HOT 100
  3. 鶴光のオールナイトニッポン事件簿
  4. 伊藤 洋一のビジネストレンド
  5. 英語リスニング
 となっている。数日前は、私は確か18位かなにかだった。ははは、大幅なランクアップ。1位のブロードバンドニュースは毎日更新のもので、私のは週一ですから4位というのは、なかなかだと思います。毎週木曜日に収録し、翌週の月曜日にアップしていますので、引き続きよろしゅう。

 どう聞けるかというと、NIKKEI NET PODCASTに渡ってページを開いておきます。加えて、最新バージョンにバージョンアップした itunes (6が最新だと思います)を開き、NIKKEI NET PODCASTにあるブルーのアイコン「itunesに登録する」をitunes のソフトの上にドラッグ・アンド・ドロップして頂ければできあがりです。更新されるたびに最新がダウンロードされます。

 44位に入っているのは、ラジオNIKKEIから提供している「伊藤 洋一のRoundup World Now」で、これも一週間に一度です。将来の可能性としては、この「day by day」のコーナーのような原則毎日更新のような解説podcast を作ることも可能ですが、まあちょっとそれは考えましょう。

 アップルは今週アメリカで video podcast を発表した。情報伝達の方法はますます増えると言うことです。

2005年10月14日

 (18:39)昨日の河岸の業者の窮状に関する文章に対して、福岡の馬場さんが以下のメールをくれました。「そうだろうな」「へえ」という部分がありますので、以下に掲載します。

 私は、ベンチャー企業を手伝っていて、農水産物流通の自由化に大きなビジネスチャンスがあると見ています。以下、参考になるかどうかわかりませんが、情報としてお送りします。

○漁師は船の上から携帯電話で、運送会社のトラックと連絡をとって水揚げする漁港を決めているとか。漁師→仲買→小売が、通信手段の発達で直結するようになった。

○食品スーパーでは、産直野菜のコーナーを設けるところが増えていて、農家が直接スーーパーの棚に陳列販売している。地産地消の流れはどんどん強まっている。スーパーの集客の大きな目玉として一般化している。

 これらの背景には、農水省が、市場集中の原則を大きく変更していることがあります。武部さんがどれくらい活躍したかどうかは知りませんが、ここ数年でずいぶん変化していることは確かです。

 馬場さんはその例として、「●卸売市場法の一部を改正する法律 平成16年6月 農林水産省総合食料局」(参照http://www.maff.go.jp/sogo_shokuryo/oroshi_houritu.htm)などを指摘。

 「中抜き」は、日本経済のあちこちで機能している。それにどう対処するか、は今まで「中」で仕事していた人の大きな課題でしょう。

2005年10月13日

 (24:39)河岸について、今日は悲しい現実を聞きました。聞いただけで私には確認できないことがある。しかし、客観情勢から考えれば、十分そういう事態になっていることは理解できる。

 何かというと、それは今「河岸」(築地の)が直面している悲し環境であり、それがいずれ河岸で事業を行っている業者に及ぼす影響です。これは、複数の都内の日本食の店の主人から聞いたのです。それは、今までの河岸の大口顧客であった料亭の退潮、それに大手のスーパーなどの「直の仕入れルート確立」によって、河岸が経済の各所で起きている「中抜き」の事態に立ち至っており、河岸の多くの業者が極めて苦しい状況に置かれている、ということ。

 まあ、考えてみればそうですよね。河岸にとってのお客は、小粒な都内のお店などになってきている。流通業というのは、どう考えてもボリュームが経由しないと経営は成り立たない。大口の客がいなくなれば、扱い量が減る。減れば、手取りが少なくなる。河岸に店を構えるだけで結構なコストがかかるから、営業すればするほど赤字が貯まる、という構造になる。

 河岸はあと数年以内だと思うのですが、移転の予定。しかし、「移転する前に河岸の多くの業者はつぶれるだろう」とまで言う関係者も多い。まあ私も近くそれを実際に調査しに行こうと思っているのです。詳細はその時。
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 ところで、今日のウォール・ストリート・ジャーナルには、金融政策を巡る興味深い記事が多かった。備忘の為に書いておくと、「Global Inflation Signs Put Central Bankers on Alert」という記事は、ちょうど私が今週の月曜日に書いたこの分析に近いような内容。数日でも私の方が早かったというのが、ちょっと自慢ですな。

 あとは、「The Next Act at the Fed」という記事は、次のFRB議長の候補に関する記事で、日本ではあまり名前が紹介されていないコーン紙が筆頭に来ているという点で興味深い。「Stability Fanned Excess,Fed's Greenspan Warns」はいよいよ任期が近づきつつあるグリーンスパンの警告。そうなんですよ。「安定しているが故に、慢心によって過剰」が生ずる。パラドックスです。

 今週の福井総裁の記者会見を聞いていて、エコノミストの議論とは別に、中央銀行としては、日本の金融の正常化には相当な気を遣っているな、と分かる。それにしても、熱烈なタイガースファンである福井総裁の、村上ファンドの電鉄買収、それに伴いタイガース上場案に対する、「言いたいことはいっぱいあるが、言わない」というのは、なかなか深みのあるコメントだと。

 今週はTBSを巡る動きも急を告げた。河岸といい、TBSといい、タイガースといい、世の中きっちりと動いているな、という印象。

2005年10月13日

 (05:39)おお、いよいよテレビ番組も携帯して持ち運ぶ時代か.....。もちろん、その携帯手段は ipod。まるでラジオ番組やポッドキャスト用の番組をこうしてで持ち運ぶように。

 そう言われてみれば、「そういう方向だわな...」という話しですが、つい最近ポッドキャストが始まったばかりなので、「え、もう絵が....」と思うのですが、どうもスティーブン・ジョブがアメリカで発表したようなのです。今朝のウォール・ストリート・ジャーナルに出ている。しかもアップルは、ウォルト・ディズニーのABCテレビ部門との提携を発表。ABCの「"Desperate Housewives" and "Lost,"」(私は見たことがありませんが、人気なんでしょう)をitunes からダウンロード出来るという。まあ、言ってみれば video podcast。ウォール・ストリート・ジャーナルは以下のように報じている。

Apple Computer Inc. unveiled a version of its iPod device capable of playing video as well as music and said it will begin selling downloads of popular television shows, part of the company's ongoing effort to expand its position in digital entertainment.

Apple Chief Executive Steve Jobs introduced the new products at an event in Silicon Valley, where he also announced a ground-breaking deal with Walt Disney Co.'s ABC Television Group to sell a selection of TV episodes, including "Desperate Housewives" and "Lost," for $1.99 the day after they are aired.

The new iPod will also play music videos as well as short films from Pixar Animation Studios, which will be sold for $1.99 each on the iTunes Music Store.

Mr. Jobs, who is also chief executive of Pixar, was joined by Robert Iger, Disney's chief executive. Both men described the announcement as a watershed moment in the often-fractious relationship between Silicon Valley and the media industry, which has often feared its content will be pirated or misused on the Internet.

 動きは急ですね。日本のテレビ局の中でも、ニュースやドラマをネットに開放していくという動きはある。しかし、その対象はあくまでPCベースのマシンのような印象を受けるが、アップルはその先を行く。アップルのマシンは、スクリーンサイズが2.5インチ(1インチ=二・五四センチ)。最初の ipod より少し大きいくらいかな。だから、ちゃんと持ち運びが可能です。どのくらいマシンの容量が大きいのか分かりませんが。

 日本のソニー等々もこうした挑戦をどう受け止めるのか。消費者としては、面白いのですが。ただし音楽と違って、ビデオの場合はコンテンツを作っているサイドとどの程度合意が出来ているのか。それ次第でしょう。

2005年10月12日

 (19:39)神舟6号の成功裏での打ち上げは慶賀すべき事だが、ついこの間終わった中国共産党中央委員会第5回全体会議(5中全会)の「第11次5カ年規画(計画)」を横目で見ながらこのニュースを咀嚼すると、中国の有人宇宙飛行計画の持つ意味に新しい視点が浮かんでくる。

 温家宝首相が勝利宣言のように神舟の打ち上げ成功を発表している姿を見ながら、「本当に国威は発揚できたのか」と一つの尺度として株式市場を見たら、香港の株はなんと323ポイント、2.7%も下落していた。中国本土の株であるH株も大幅に安い。

 今日のアジア市場の中では、韓国の2.9%下落(サムソンの下げの響いた)に次ぐもので、そういう意味ではあまり国威が発揚されているとは思えない。13億の人口のうち5億人が発射成功をテレビでライブで見たと言うことだから、温家宝さんの言うことももっともだ。彼の顔には、「国民に政権の成果を示せた...」という安堵感が浮き出ていた。テレビで見ただけだが、胡錦涛の顔も紅潮していたように見えた。しかし、市場はこれが中国経済の発展に繋がるとは思わなかったということだ。

 市場が冷静なのも理由があると思う。「第11次5カ年規画(計画)」を見ると、有人飛行を成功させている割には、依然として中国経済が極めて低い発射台からの出発を余儀なくされているし、前進には時間がかかるのが分かる。日本でも報道されているとおり、中国はこの計画で2000年に比べて2010年の中国の国民一人当たりGDPを二倍にすることを目標としている。では「二倍」とはどのくらいか。政府発表には数字はなかったように見える。

 しかし、今日の午後に日本のロイターのネット情報ではこの点に関して「GDPを1600─1700ドル程度に増やすことに相当する」との上海紙報道がある。この数字にはかなり信憑性があると思う。なぜなら、私の記憶では中国の国民一人当たり平均GDPは2000年の時点では1000ドルをまだ下回っていて、たしか800ドルくらいだったからだ。だから二倍して1600〜1700ドルというのは妥当だ。

 最近は「和諧社会」の方が有名になってあまり言わなくなったが、2004年あたりの中国では、「中国は小康社会を目指す」とよく言われたものだ。「小康」とは、「誰でもが一息つける」という意味だ。まずまずの生活が出来る、と解釈してもいい。2004年の私の中国取材で中国の社会科学院の研究員は、「それは国民一人当たり3000ドルを意味する」と述べていた。

 今回の計画の一つのポイントは、「中国は2010年になってもそれにならない」点だと思う。同じロイター電には同紙の報道として、「この流れで行けば、2020年の1人当たりGDPは3000ドルに届き、中国は所得面で中堅国の仲間入りをする」と記述されているという。つまり「小康社会」に達するのに、中国は15年かかるということだ。中国は有人宇宙飛行船を打ち上げても、30000ドルの一人当たりGDPを誇る日本との経済格差は大きい。

 大きいのだから、神舟の相次ぐ打ち上げにかかる費用を例えば今回の5中全会でも議論になったはずの貧富の格差の縮小、農村社会の疲弊の緩和などに使えば良いと思うのだが、そうはならない事情がある。中国が神舟6号を打ち上げた中でも置かれている厳しい状況に関しては、12日の読売新聞に詳しかった。

『 (和諧社会を強調する)背景には、中国の経済・社会状況が、「黄金の発展期であると同時に、矛盾が最も先鋭化する時期を迎える」(中国紙)との判断がある。農地の強制収用で土地を失った「失地農民」は4000万人以上。経済的、社会的に弱い立場の民工(出稼ぎ労働者)は約1億5000万人に上る。一方で、役人の腐敗は深刻化している。民衆暴動は、過去10年で7倍以上に激増、昨年は約7万4000件に達し、共産党の政権基盤が揺らぎかねない状況だ。』
 成長を実現する、国民に経済的果実をあまねくもたらすのに時間がかかる(小康社会でもあと15年かかる)中で、胡錦涛・温家宝が政権としての威力を示すには、今回のような国民が熱中するであろう事を行うのが一番良い。政権サイドにはそういう読みが明らかにあると思う。中国でも「胡錦涛とは何物 ?」「なぜ彼が政権のトップに居るのか?」「彼はなぜ選ばれたのか?」という疑問がくすぶる中では、政権の成果と正統性を示す絶好の材料が神舟打ち上げにあると言える。それをオリンピック、万博とつなげていけば、おそらく胡錦涛政権は政権としては一応のマンデートを国民からもらえるような印象を受けるだろう。

 しかし一方で、彼の政権基盤は有人宇宙船のような打ち上げ花火的なイベントに依存せざるを得ない状況を続けているという点では、弱くなっているとも言える。何せ増え続ける暴動の数がそれを物語っている。格差に怒り、土地を取られて、腐敗に憤慨している民衆が、神舟6号の成功を見たからといって声を潜めるとは思えない

 慶賀すべき事ではあるが、特に中国が創造的な事業を始めたのではないという厳然たる事実の中で、極めて政治的意味合いが強い打ち上げであることだけは押さえておく必要があると思う。

2005年10月11日

 (24:39)最後の二試合は、松井は9打数0安打か。残念ですな。最初の2アウト1、3累から始まって、ことごとく「ここで松井の一発が出れば」と思える場面があったような。特に最終打席は.....。

 まあでもヤンキースの敗因は、普通の守備が出来なかったことのように思う。第二戦のロドリゲスの3塁ゴロエラーもそうだし、普通の守備が出来ていれば、この地区シリーズは勝てていたと思う。見ていて、「あまりにも人気チームで、守備練習が出来ていないのではないか」と思える場面があった。守備の悪いチームはやはり負ける。今回の右中間の守備もそう。

 打者も打てなかった。このシリーズのヤンキースの打者は、何か弱い感じに見えた。ロドリゲスもシーズン最後の勝負強さが見られなかったし、シェフィールドもそう。第3戦までは松井もまあまあの調子だったが、それでも「気合いが入っている」という印象はなかった。何なんでしょうね。レギュラーシーズン最後の追い上げで疲れてしまったような。

 松井がヤンキースに入って以降、ワールドシリーズで負け、リーグ優勝戦で負け、そして今回の地区シリーズでの負け、と徐々にワールドシリーズ優勝に手前、手前で敗戦を重ねている。

 ピッチャーも弱かった。特に中継ぎが酷かった。補強と同時に、選手を育てるシステムがどうなっているのか、という印象もした。来年はバーニーがいなくなる。最後のヤンキースタジアムでの最後の「バーニー、バーニー」という歓声は凄かった。来年はどういうチームになるのか、松井は残るのかどうか。

 まあ松井は残るんでしょうね。センターにまた戻るかも知れない。ちょっと今年はヤンキースはちょっとふがいないシーズンでした。極めて残念。

2005年10月11日

 (07:39)週明けのニューヨーク市場はまたまた下げて、ダウは5ヶ月ぶりの安値に。最大の原因は、デルファイのチャプター11申請を受けてGM株が一日で9.9%も下がったこと。恐らくGM要因を除けば、ニューヨークのダウはそれほど下げていない。

 今朝の日本の新聞ネットサイトには、「S&P、デルファイ破たん受けGM債格下げ」というニュースが載っている。例えば日経のサイトには、

 【NQNニューヨーク=千田浩之】格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は10日、米自動車最大手ゼネラル・モーターズ(GM)の長期債務格付けを投機的等級で上から2番目の「ダブルB」から1段階引き下げ、「ダブルBマイナス」にすると発表した。
 という書き出し。これでは、機関投資家はGM社債を全く買えない。S&PはGMの自動車部品の主要供給先であるデルファイが連邦破産法11条の適用を申請した結果、「GMの経営再建に支障が出る可能性が出てきた」ことを格下げの理由としている。

 具体的には、デルファイの人員削減で部品供給が滞る懸念があるほか、GMがデルファイの従業員の年金や退職後の医療費を一部負担する義務を負っているためだ。忘れてはならないのは、GMやデルファイが直面している危機は、米自動車業界全体の危機だということだ。

 先々週まで順調に上げてきた日本の株式市場にとっては、「予想されたアメリカ・リスクの顕現化」。さあ、今日はどう反応するんでしょうか。私は長期的な東京市場の強さは疑っていませんが。
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 ところで、新聞の雑誌広告を見ていたら、文藝春秋のクレアという雑誌が、「母になる!」という特集をしている。先日も書きましたが、Sapioの女性編集者の観察は当たっていたと言うことでしょう。こういう傾向がどの程度進むかが重要です。

2005年10月09日

 (24:39)日本の自動車メーカーが何かと支援して事なく済ませようとしても、米自動車業界は危機は危機ですな。なんと、土曜日には米最大の自動車部品メーカーであるデルファイが破産法11条を申請した。

 日本で言えば「破産申請」で一巻の終わりのような印象となるのですが、アメリカのチャプター11は、どちらかというと正常に営業をしながら、破産を宣告して各交渉相手との交渉を有利に運ぶための方策。この場合、交渉相手とは最大の供給先で親会社だったGM、賃下げや医療費引き下げをなかなか飲まない労働組合など。デルファイは営業継続のために45億ドルの資金確保しており、2007年の初めから夏にかけて破産状態からの脱却を図りたいとしている。

 しかし、同社のチャプター11申請は、アメリカの自動車業界各社が置かれている厳しい状況を改めて示した。9月の自動車販売台数を見ても、GMやフォードは軒並み20%台の販売台数減少。それはそうで、今までガソリンの消費量が高いSUVで稼いできたのだから、それが原油高で売れなくなれば販売台数は減少する。

 デルファイはGMと同じ問題を抱えている。高い現・過去の従業員の医療費、高い時間当たり賃金、そして販売不振。販売不振は、最大の供給先である米自動車メーカー、特にGMの不振が大きい。

 アメリカでは10月17日に破産法の適用に関して規則が厳格化される。今までそれほど会社が行き詰まっていないのに、破産法11条を申請して、それで各方面との交渉を有利にしようと言う動きがあったのを止める意味合い。デルファイは駆け込みでチャプター11を申請して、再建を図る。

 問題は、特にUAWとの交渉がうまくいくかでしょう。UAWはなかなか手強い。医療費、年金や賃金の引き下げには徹底して抵抗する見通し。あと、同社のチャプター11申請は、GMの先行きにも大きな影響のある話しだ。大体が富士重工の資本手放しは、7〜8億ドルの資金が欲しいことが第一だが、大規模リストラの一環でもある。

 見方によっては、アメリカ第一の自動車メーカーであるGMは解体過程に入ったとも言える。「売れる車がない」といわれるGM、その陰に隠れているが、同じ問題に直面しているフォードの憂鬱は深い。

2005年10月08日

 (08:39)あらら、ヤンキースの第三戦が始まる前に、対戦相手が決まってしまいました。去年の覇者ボストン・レッドソックスはなんとシカゴ・ホワイトソックスに3連敗。ホームに戻っても駄目でした。ホワイトソックスはレギュラーシーズンに最後もたつきましたから「どうかな」と思っていましたが、強かった。

 井口は5打数1安打ながら、ちゃんとチャンスで確かセンター前ヒットで打点1を挙げた。シカゴでの彼の評価は鰻登りでしょうな。私が起きて見始めたときには4−3でソックス優位でしたが、9回の表にあと一点入れて俄然優位に。最後の井口の打席は2アウト3塁のチャンスでしたが、ここは空振りの三振。しかし、ボストンはその裏に力無く3人で終わり。5−3で白い靴下の勝利。赤は負け。

 ボストンはどうしちゃったんでしょうね。やはり去年に比べてピッチャーが弱かった。中軸打者の移籍問題もあったし、乗り切れなかったということでしょう。さて、日本時間の9時過ぎからヤンキースの試合です。ボストンが試合が出来たと言うことは、ニューヨークもまあ大丈夫でしょう。日本人選手のいるチームが残るのは、楽しみが残って良い。

2005年10月06日

 (09:11)今日は新聞をよく読むと韓国に関する記事が多い。朝日新聞には、「急成長サムスンに逆風」という記事があるが、もっと多く韓国に関して記事を書いているのはFT。朝日の記事は、韓国を代表する企業であり日本で一番有名なサムスンの持ち株制限違反、盗聴などの疑念に関するもの。これは比較的よく知られている。これに関する記事は、FTにもある。サムスンは韓国の輸出の2割を占める大企業だから、この企業が注目されるのは自然である。

 FTが面白いのは、OECDが今週に発表した対韓年次審査の内容を一面トップに置き、加えて社説、特集記事で韓国を掘り下げている点。私も韓国にはしばしば行ったりしているし、その上に日本力にも一章を設けて書きましたから、韓国はずっと追っている。OECDの見通しは、「今年の成長率見通しを従来の4.3%から3.7%に大幅に引き下げる」というもの。これは韓国銀行の今年の予想3.8%をも下回る水準である。

 OECDは過去20年間の韓国の発展を「極めて急速なものだった」として、具体的には国民一人当たりのGDPがこの間に二倍になって、OECD30カ国平均の三分の二にまで達したことなどを挙げている。しかしOECDは

  1. 輸出市場がクーリングしてくる中で、カード破綻者の高水準持続などによる内需不振
  2. 国際的に競争力のある産業が、エレクトロニクス、自動車など財閥系の数社に限られていること
  3. 韓国全体の研究開発費はGDPの3%と高い水準を保っているが、その37%が上位5社の企業に占められていて広がりが見えないこと
  4. 労働生産性が依然として極めて低いこと
 などを指摘している。これを掘り下げているのが「South Korea needs a new economic model」と題する社説と、「Ageing Korea's incredible vanishing workforce」という特集記事である。特集記事の方が具体的なのでまず取り上げると、私はこの記事を最初に見たときに、「日本に関する記事のようだ」と思ったのです。だってそうでしょう、「ageing」は日本にしばしば使われる単語だ。この記事には、面白いことが書いてある。
  1. 韓国は ageing society(人口の7%が65才以上)に2000年になったが、それが aged society(同14%)になるのは2019年で、この間隔は日本の24年、アメリカの72年に比べて非常に短い=つまり急速な老齢化が進んでいる
  2. demographic time bomb(人口の時限爆弾)は韓国では既に時間を刻んでおり、繊維、靴製造などの伝統産業では労働力不足が顕著になってきている。これは、こうした産業での労働を好まない韓国の労働者の傾向も指摘されている
  3. 加えて機械産業などでも、若年労働者の確保が難しくなりつつある
 などと指摘している。韓国の場合が日本と違うのは、北に豊富な労働力を抱えているという点。北の人口は2400万前後と見られる。だから北と南が統合すれば、韓国の産業界にとって労働力不足は一気に解消する可能性がある。しかし、何回も指摘しているが、今の韓国では「今北と統合しよう」というムードはない。

 そこで社説が主張するのは、「韓国は新しい経済モデルが必要だ」という点だ。「韓国の”奇跡”は、豊富な労働力と資本に依存した輸出主導の成長を起点としていた」としながらも、既に指摘したように労働力は急速に不足しつつある。よって、新しい経済モデルが必要だが、「懸念は90年代の後半の外貨危機を契機にした改革疲れで、韓国は改革の意欲を失っている」のではないか、との指摘が興味深い。

 韓国が「改革」「改革」と叫んでいたあのころに、「日本の改革は遅い」と言われていたのを良く覚えているが、今は日本では「改革」「改革」とうるさい。なんか入れ替わった印象がする。FTは、

Future national prosperity cannot be secured just by backing cutting-edge technological breakthroughs and promoting the global ambitions of big manufacturers. Much more is to be gained by stimulating entrepreneurial behaviour and faster innovation and productivity growth across a wide range of ostensibly less glamorous industries - above all services, whose economic potential policymakers have consistently undervalued.

That makes further structural change essential. The OECD argues that it needs to include: encouraging wider and faster commercial diffusion of the results of R&D; making the labour market more flexible and expanding worker participation; reversing a deterioration in the quality of higher education; developing broader and more dynamic capital markets and strengthening domestic competition.

 FTが「entrepreneurial behaviour and faster innovation and productivity growth across a wide range of ostensibly less glamorous industries - above all services」を抜き出しているのは妥当だと思う。おそらく財閥系の企業以外に、韓国を引っ張る企業が出てくることが望ましい。日本には、非財閥系ながら日本経済を引っ張る企業が各分野にある。これが日本の強さである。

 韓国経済は、確かにサムスンや現代など強い。しかし、社会の二極分化、労使対立の激しさに加えて、今回OECDが指摘したような様々な問題があることは覚えておきたい。

2005年10月05日

 (23:11)今日は取材に来た雑誌の編集部の女性から面白い話を聞いたな。それは、「女性として子供を産むこと、持つことは素晴らしいことだ」といった記事が有名女性誌に増えているというのです。女性誌なんて読まない私のような人間には全く気づかない点でした。

 なぜそういう話しになったのかというと、日本の人口減少の話しをしていて、私からアメリカの話しをしたのです。むしろ高学歴の女性の間で、家庭の生活を大事にする事、その中で子供を持つことを美とする考え方が出てきていると聞いたのでそんな話しをしたのです。そしたら、女性編集者が「日本でもそういう傾向があります」と教えてくれた。

 そういう記事が増えているからと言って、それが出生の増加につながるかどうかは全く知りません。また私は女性が子供を持つことに関して、特に「べき論」があるわけではない。しかし、なんでもそうですが「貴重なものは、皆が欲しがる人が増える」という考え方で、子供にもそれが当てはまるのではないかと思っている。

 少子化、少子化と騒がしいが、騒いでいる間にトレンドが変わってくると言うことはありうる。いや、それに関する確信は全くないのですが。
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 ところで、先日お知らせしたNikkei Netとの Podcast計画は、今日の特集の「ポッドキャスティング」から入ったこのページにアップされました。毎週新しい収録分を入れていきます。一本一本がしばらくの聴取に耐えうるように作っていますので、少し時間がたっても聞き損はないと思います。お楽しみに。

2005年10月04日

 (24:11)最近は我が著書関係のインタビューが多い。明日も小学館のサピオなる雑誌のインタビューを受けるのですが、そこの編集者が『「日本力。」の「予言」のとおりに景気回復が本格化した日本経済・産業の底力について、お話をいただければと存じます。」と趣旨を説明している通り、本の先見性が徐々に認識されてきたからだと思う。

 いいことです。根拠なき悲観論が衰退するのは。根拠のある、将来につながる健全な悲観論は良い。しかし、この国はずっと、「悲観論をウリ」にするようなところがあった。私はこれにはずっと反対でした。

 「日本力」の出版社の社内でも、この本はやや驚きを持って迎えられているようです。昨日担当者がメールをくれて、

『販売もびっくりしています。この手の本としては異例のロングセラーになるとのこと。インフレになるとかデフレになるととか、一過性のテーマではなく、やはり、「日本力」という、永遠のテーマをタイトルにしたからだと思います。また、伊藤さんならではの、ポジティブなパワーを発揮して頂いたことも、成功の理由として挙げられます。ですから、本日の朝日新聞における広告で謳う「くたばれ悲観論」を見て、また読者が増えるはずです。』
 と。そう言えば、今朝の朝日新聞に広告があった。ははは、一つ面白いニュースがあります。10月20日からTBSが「今夜ひとりベッドで」という10週連続ドラマをやるのだそうですが、そこに本木雅弘さんが売れっ子装丁家として登場するのだそうです。あとの出演者は、瀬戸朝香、奥菜恵などだそうなのですが、「小説家、ガラス工芸作家、編集者などが登場し、結婚、仕事、不倫を通じて、装丁家の人生模様が描かれる」のだそうです。

 その装丁事務所の現場取材、劇中装丁作品の装丁作業(3冊程度)等を、日本力の装丁担当の川上成夫さんが担当するのだそうです。

 そのドラマ撮影に際して、彼の新旧の作品を展示、または書棚に収納して、臨場感を出す。そこに「日本力」「超健康法」などの彼の作品を展示する....とのことなのです。ははは、どんな形で登場するのか知りません。しかし、あの装丁は私も気に入っているし、真っ赤で目立ちますから良いのでは。

 自分の書いた本がテレビドラマに登場するなんて、おもろいじゃないですか。楽しみ。

2005年10月03日

 (24:11)行きつけの床屋で、ある提案をしました。「これがあったらいいな」というサービスです。

 それは、眼鏡を外している間の眼鏡の調整とお掃除。眼鏡は普段していると、汗にまみれたり歪みが生じたりして、手入れが必要になる。時には自分ではなく、専門家にやってもらった方が良い。で私は眼鏡を買った店に定期的に行って、眼鏡を調整してもらったりしているのです。

 しかし、その間眼鏡を外された状態で店の中でしばらく待っているのはあほみたいなのです。度があるから、代わりの眼鏡があるわけではない。いつも、「この時間はなんとかならないのか」と思っていた。

 床屋で突然考えたのです。「あ、この時間にやってくれればいいんだ」と。というのも、眼鏡を利用している人間(主に男性でしょうが)が眼鏡を外しているというのは、寝ているときか床屋さんで髪や髭をいじってもらっているとき。

 最近の床屋さんでは、いろいろなサービスが出てきていて、爪の手入れをしてくれるところとかいろいろ出ている。最近のやってもらって、爪の調子が非常に良くなった。手や爪も見ていて気持ちがよい。しかし、眼鏡を調整をしてくれるとろがない。それを言ったら、「さっそく検討します......」と。ナイス。検討して、実施して下さいよ。出来れば、タダで.......。爪の手入れにはお金を出しますから。

2005年10月02日

 (20:11)アメリカの新聞を読んでいたら、疑問が解けました。朝方「へえ、そう言うときはどう決めるのかな。また直接対決 ? 実は知りません」と書いた部分です。つまり、「ともに1試合を残している両チーム、レッドソックスがヤンキースとの最終戦に負けて、インディアンスが勝つと、94勝68敗で、完全に勝ち負けが一緒になる」場合。

 その場合は、月曜日にボストンのフェンウェイ球場で一試合だけの決定戦(プレーオフ)をして、その勝者がワイルドカードを手にするのだそうです。これも凄い話ですね。まあ、それほど接戦だったということ。

 しかし、それにしても今年のアメリカの野球は、各地区でギリギリの接戦が展開している。まだプレーオフに出場する8チームをすべて把握しているわけではないが、クレメンスのいるアストロズも出場を決めたようで、ランディ・ジョンソン対クレメンスの投げ合いなんてこともありうる。

 The Red Sox have been the wild card the last two seasons, and a return would put them in a division series against the White Sox; the Yankees would play the Los Angeles Angels. If the Indians win the wild card, the Yankees will face Cleveland and the Angels will play Chicago. The division series starts Tuesday.
 アメリカン・リーグの対戦相手は以上のようになるようです。今年のヤンキースは、ここにきて昨年のプレーオフで活躍しなかったロドリゲスとシェフィールドがあたってきていて、ジオンビーも時々活躍する。むろん、松井もいい。ピッチャーもランディ、でかいのにスモール、チャコーン、ムッシーナと揃ってきている。だから、去年よりも面白いかも知れない。

 それにしても、最後の20連戦におけるヤンキースの追い込みは凄かった。

2005年10月02日

 (06:11)あ〜あ、最初から見ていたかったな。でも、ヤンキースの、そして松井君の地区優勝おめでとう。最後の最後に勝ち抜く、というヤンキースらしい闘い。素晴らしい。

 松井(23号)、シェフィールド(34号)、ロドリゲス(48号)の中軸打者がホームランを打ち、そしてビッグユニット(ランディ)が投げて勝つ。なかなか華やかな。ジーターも4−2だし、ロドリゲスは5−4。ロドリゲスはチャンスに強くなってきた。2年目の最後になってやっと。負け投手は、ウェイクフィールド。

 実は、起きてMLBのサイトを見たら、ジーターが雄叫びを挙げている写真があった。あれ.....ってなものです。ああ、デーゲームだったのか、と。

 ヤンキースとレッドソックスは実はまだ1ゲーム残している。昨日まで94勝66敗で完全に並んでいた。今日のヤンキースの勝ちで、ヤンキースは95勝66敗、レッドソックスは94勝67敗になったが、明日レッドソックスが勝てばまた同じ95勝67敗で並ぶ。

 しかし、大リーグには勝ち負けが全く同数になった場合には、直接対決で勝ちの多い方が優勝と決まっている。私の記憶では今回の直接対決が始まる前の勝ち負けは、ヤンキース11勝、レッドソックス9勝だったと思う。済みません、記憶は曖昧です。しかし、「ああ、直接対決ではヤンキースは結構勝っているんだ....」と思ったことは良く覚えている。

 だから、今回の3連戦で1勝すれば、1ゲーム差の優位で入ったヤンキースが地区タイトルを取れる状況だった。それを昨日ヤンキースが決めたということ。もう一つ嬉しいのは松井の3割が確実になったことだ。昨日の4−3に加えて今日も松井は23号を含む4−2を打った。その結果、あと1ゲームを残した松井の打点は0.304となった。最後の最後まで「3割打てるかな....」と思っていたし、体調も良くなさそうだったが、どんずまりの3連戦での最初の2試合で3割でのシーズン終了が確実になった。恐らく最終試合4−0でも、3割を維持できる。多分全部は出ない。

 面白くなったのはワイルドカードだ。ずっとインディアンスが有利だった。しかし、ここに来てヤンキースとボストンの快進撃でこの二つのチームの方が上になった。ヤンキースが地区優勝を決めたので、問題はレッドソックスとインディアンスの闘いとなるが、今見たらレッドソックスが0.584、インディアンスが0.578。面白いのは、ともに1試合を残している両チーム、レッドソックスがヤンキースとの最終戦に負けて、インディアンスが勝つと、94勝68敗で、完全に勝ち負けが一緒になること。

 へえ、そう言うときはどう決めるのかな。また直接対決 ? 実は知りません。だから、確実なのは、ヤンキースのプレーオフの対戦相手はまだ決まっていないのと、最終戦でボストンが勝てば、レッドソックスもプレーオフに進出できると言うこと。

 振り返れば、すっごく面白いシーズンだったということです。しかし改めて、ヤンキース優勝おめでとう、そして松井君3割おめでとう。