2006
02月

2006年02月の日記

日記

2006年02月28日

 (18:09)今日は一つここの読者へのお願いです。私の友人の会社の同僚が、今朝の朝日新聞などにも載っている石榑(いしぐれ)愛(まな)ちゃんの父親なのです。まなちゃんは重い心臓病。拡張型心筋症というのだそうです。移植手術でしか0歳の幼い命を救えない。しかし、日本では15歳未満は臓器提供ができない。

 この結果両親は手術を求めて渡米を決意したのです。受け入れ先の病院はカリフォルニア州に見つかった。しかし手術費、渡航費などで合計1億3600万円が必要なことが分かったというのです。

 「救う会」の人々は今盛んに活動している。是非成功して欲しいなと私としても思っています。思いを持って頂ける方は、事務局(042・357・9980)にご連絡頂くか、三井住友銀行東京中央支店・普通7856113「マナチヤンオスクウカイ」に振り込みをお願いします。3月13日には川崎市でチャリティー・コンサートも開かれるようです。
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 昼は某不動産会社の方々と。何と、インドにご興味がおありということで、まあ私は二度行っていますから、新たにインドに興味をお持ちになったこの会社さんには参考になる存在かもしれない。

 私の弟の大手建設会社もそうですが、今までは海外になど全く興味を持たなかったところが相次いで海外に関心を持ち始めている。「国内の商売には、やはり限界が見えていますから」と。まあそうですが、私としては「あと10年は日本は大丈夫ですよ...」と。いえ、不動産業の会社にとっても、ということです。

 色々話していて面白かったのは、もう今は都内の不動産事情は、貸す側から見ると「空き部屋は宝」だそうです。もう貸すところがない、だから空き部屋が出たら価格交渉が出来る分だけ有利ということでしょう。たった数年で状況というのは変われば変わるものです。

 最近は私がずっと主張してきた「雇用ラッシュ」が現実のものになっている。なかなか良い状況です。
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 それにしても、民主党は恥を上塗りしていますな。永田議員が午後2時45分からの記者会見で「メールの中味については、まだ真実味が残っている」かの発言をしたあとになって、「メールは本物ではないと判断する状況に至った」と声明を発表。私のケイタイに入ってきた時間は、午後6時55分。ということは、夜7時の各社のニュースには間に合わない。

 だったら、最初から記者会見で「本物ではございませんでした」と言えばいいのに。「確証がある」と言ったツケがずっと尾を引いている。野田さんの辞任だけでは済まないでしょうな。

2006年02月27日

 (08:09)今朝の東京新聞には、「送受信ともフリー記者」という記事が一面トップに載っている。今まで黒塗りになっていた送受信の欄をどうやって調べたのか知りませんが民主党が調べたら、我々が言うところの「自己メール」だったという。

 「自己メール」は私などもたまにやる。PCを代えたとき、メーラーを代えたときなど送受信ができているかを調べるために自分のアドレス当てにメールを発信するのである。私の場合は例えば「試し」とか極短い文章を書いて送る。受信できれば、PCもメーラーも問題なしということになる。

 「自己メール」とすれば、最初に思い付くのはこの記者があの文章を書いてメールを送り、自分で受信して、それではばれるので送受信の欄を黒塗りして永田議員のところに持ち込んだと考えるのがごく自然である。東京新聞にはこの「ごく自然」な発想の部分が書いてなくて、慎重を期したのでしょう、「記述内容に関してはパソコン上での切り貼りなどの可能性を踏まえ、まだ完全に否定されたとは言い切れない」という表現が来ている。

 しかし常識的に考えれば、パソコン上で切り貼りしたというだけで、要するにホリエモン・メールではないわけだから、今まで以上に「偽物」の可能性が高まったということが明確。今週民主党はどういう形で決着を図るのか。私は先週の早い段階から、「民主党はごめんした方がよい」と言ってきたが、展開はそうなりそうだ。

 もっとも、面白いことにライブドア新聞には、「真正のホリエモン・メールがあると民主党の関係者の間で噂が広まっている」といった文章もある。ま、いずれにせよ証明できなければ使えないことは明確です。

2006年02月25日

 (17:48)驚愕すべきニュースですな。民主党は「謝罪会見での収拾検討」と。ネットに共同通信のニュースとして流れている。それによると、永田氏が26日からの週内に謝罪会見を開いて説明責任を果たすことで事態の収拾を図り、「党としてもメールの真偽に関する調査結果を公表する」と。永田氏を辞職させれば「国会で疑惑を追及する議員が委縮し、将来に禍根を残す」(党幹部)との判断からだそうだ。

 だとしたら、この政党やトップの言葉はいかにも軽い。先週の党首討論で「確証はある」と言い切ったのは前原代表だ。国会の場で言ったのである。ところが、その後の同党の言うことを聞いていると、「メールが真正なものだと100%立証できない」(鳩山幹事長)となっている。「確証」とはその時点で「100%真正であると証明できる証拠」という意味だと思うのだが、違うのか。

 「カネで魂を売った」と言ったのは永田議員だ。普通の神経で少なくとも多少の礼儀を持つ人間だったら、よほど確かな証拠を持っていなければ、他の人にこんなことは言えない。ここでもこの政党の「重い言葉の、使い方の軽さ」を見ることができる。

 永田議員を辞めさせれば、辞職のドミノが起きるというのはその通りだろう。しかしだからといって、ほっかぶりすれば済むという話ではない。永田議員の軽率な質問そのものが傍証のない無謀なものであったことは明らかだが、問題なのはその後の民主党幹部の言葉の方なのだ。

 「確証もないのに確証がある」と言い切った党首を持つ政党の政権担当能力は、誰が考えても危うい。国が一番危険な時に、国民に苦し紛れのウソを言う危険性があるということだ。国民もそれを強烈に記憶するだろう。永田議員が謝罪会見をすれば話が終わるという問題ではない。謝罪会見が必要なのは、「確証もないのに確証がある」といった党首にある。なぜなら、政権交代が起きるとしたらこの人が首相になるからだ。第二党の党首の責任は重いと思う。

 今回の問題を「永田議員の記者会見」だけで終わりにしたら、民主党に対する国民の信頼は地に落ちたままで推移するだろう。「国会で疑惑を追及する議員が委縮し、将来に禍根を残す」というのも変な論理だ。出直した方が良い。仕切直さなければ、誰もこの政党の人達が使う言葉を信じない。

 恐らく一週間たっても、あのメールが真正であることを立証する材料は出てこないだろう。民主党は問題解決を先延ばしし、謝罪も説明もせず責任も取らない、言葉だけで強気を通したことで、「駄目な党」というイメージを国民に印象づけてしまっている。日本の政治にとっても「死に体の党」が野党第一党を続けることのデメリットは大きい。

 「巨悪、大きな闇」と前原代表は繰り返し言っている。肩に力が入りすぎている。この二つの言葉とも、あとで立証できない政治的責任を伴う言葉にならなければ良いがと思う。

2006年02月24日

 (17:48)ははは、盛り上がったな。毎週金曜日はスタンバイがあるので朝6時からTBSのスタジオにいるのですが、出番は7時から。その直前に女子のフィギャー決勝。

 村主さんは少なくとも3位に入ると素人目に思ったので、彼女が4位だったのは残念ですが、荒川さんの演技の時は彼女が着地するたびに力が入ってしまったですな。スタジオ周りも盛り上がりまくりだった。回転が一つ落ちただけで、完璧な演技。終わったときの彼女の顔が全てを物語っていました。

 「オリンピックは参加が重要」という人がいることは知っています。しかし私はその意見に賛成できない。オリンピックはお祭り。世界のお祭りだが、お祭りは盛り上がらないといけない。気持ちが参加できないといけない。そのためには、参加したからには、なるべく上位に入って欲しいといつも思っている。

 まあ今回のオリンピックはメダル一つ、金メダルというのが結果となりそうですが、それでも取れないよりは良かったし、スターが生まれたのは良かった。スターの多い国、多い会社が多い方が個性が見えて良い。荒川さんの金メダルは良かったと思う。心から祝福したい。

2006年02月23日

 (23:48)今日は笑ったな。「スロー四回転サルコー」ってあるじゃないですか。中国のペアがそれに失敗しながら銀メダルを取った。私はそんなに深く考えずに、「あんなに速く回転させるのに、なぜslow なんだと」と何となくひっかかっていた。頭の中でです。

 で、夕方の銀座のスタジオでの収録でフィギャースケートの話しをしていたときに、その「スロー四回転サルコー」が出てこなくて、スタッフと話しをしているときに、ついそんなことを話しているときにこの疑問がつい口をついて出た。「なぜ速いのにslowなんだ」と。そしたら暫く皆が、「そうですよね」とか言っていたのですが、一人がほどなくして「投げるじゃないですか.....」と言った。

 一同唖然。そりゃそうだ、と。安藤さんがしようとしている4回転は、自分の力で回る。しかしダンスでは男性が投げるようにして女性を4回転させる。だから、「throw」の4回転。ははは、実は本当にそうなのか調べている時間がなかった。まあでも、そうなんでしょうね。「スローな奴」の「スロー」じゃないんだ、と納得。

 銀座のスタジオは日航ホテルの並びにあって、夕方放送や収録をしていると目の前を男性も通るが、このホテルの前で待ち合わせの同伴カップルの一方の女性や、早めに美容院に行くあの周辺の女性達が前を通る。まあお美しい方々が通るのです。先日偶然お会いした火曜日のレギュラー島田さんもそんなことを言っていた。

 昨日はひときわ美しい着物をめされた女性が中にまで入ってきてくれて、場が明るくなりました。インターネットが使いたい放題ということもあって、いろいろな人が訪れるのですが、良いお客さんは大歓迎です。

2006年02月22日

 (15:48)久しぶりに注目された党首討論を見ていましたが、旗色は明確でした。一番肝心な、しかも自分の党の若手が国会に持ち込んだ問題で、党首の前原さんはなんら新しい材料を出せなかった。気が付いたのは以下の点です。

  1. メールについて今まで前原代表は「信憑性の高いものと考えている」と言ってきたのを、それさえもやめた

  2. この党首討論かその前に国会に出す可能性があると見られていた銀行名、銀行口座(振り込みサイド)の情報を結局出せなかった

  3. 相変わらずこの問題を国会に持ち出した永田議員は雲隠れしたまま。対して武部・自民党幹事長は国会に出てきていた
 などです。つまり、民主党内でも高まっているあのメールに対する疑念を晴らす材料は何もなく、「持っている」と言っている銀行名、銀行口座さえも実はあまり明確なものはないのではないか、だから出せないのではないかという印象が非常に強かった。ライブドア関係の質問も全体の4番目にしたのは、「実は民主党はこの問題に触れたくはない」というように見える。実際その通りでしょう。

 問題を提起したにもかかわらず公の場にも出てこれない永田議員の存在は、民主党が何を言っても今回の問題では早とちりだったということの証左です。それが明らかな以上、国政調査権での調査を求めるのには無理がある。入り口が間違っていたわけだから、国政調査権に一縷の望みを託すのは、筋が悪い。国政調査権をそんな問題で使えるのなら、いくらでも怪しい証拠なるものを持ち出せる。

 まだどんな材料が出てくるのか分からない。しかし、あのメールだけでは何ら攻め手にならない。二の矢、三の矢が必要なのに、それがなければ最初の矢で個人を傷つけた永田議員、民主党の責任問題に発展するのは必至なように見える。

2006年02月21日

 (25:48)経済番組のキャスターというのは見ていると面白い。相場が上がった時を報告するときと、下がった時を報告するときは明らかに顔色が違う。相場か下がったときには「悪いことが起こった」時のように、すまなそうに話す。上がったときはスポーツ・ニュースを読み上げるときのように明るくなる。

 上がることは良いことで、悪いことは悪いことという刷り込みが頭の中にある印象。彼等は実際には多くの場合市場に直接参加していない。まあ資金の問題もあるし、会社の規制がある場合も多い。

 市場の人間としてみると、上げも下げも両方とも「あって当然」の現象であって、上げが良くて下げが悪いということはない。下げるから上げることができるという面も強い。そのところの位置関係が分からないんでしょうな。

 報道のキャスターの顔をじっとみていると、スポーツのニュースになるときは突然顔が明るくなるのは非常に興味深い現象だと思っている。その前のニュースは暗いものが多いと言うことでしょう。

 ニュースはなぜ暗いのか。アメリカでは殺人事件は非常に減少しているのに、むしろテレビのニュースが殺人事件に割く時間は増えているという統計があった。人々の興味の関心は、「おめでたいこと」よりも「悲惨なこと」に向きやすいんでしょうな。その意味でも、スポーツは常に明るい面が確かにある。

 確かルーズベルトの言葉だと思ったのですが、「私は常にスポーツ面から読む。そこには人間が成し遂げた偉業が記されている。その他の面には、人間が冒した愚行が並んでいる」と。うーん、まあそういう面はありますわな。ははは。

 ところでマーケットと言えば、私のオフィスの近くにいる優秀な若手が「投資家のための金融マ−ケット予測ハンドブック 」という本を出しました。この本の後継に当たる本で、2006年の2月発売。表紙はブルーです。紀伊国屋のサイトにはまだイメージが載っていなかった。

 「金利・為替予測とは何か」から始まって「国内経済の見方」「国内金利・金融政策の読み方」「米国経済の見方」「米国金利・金融政策の読み方」「欧州経済・金融の見方」と続き、次に「アジア太平洋経済・金融の見方」が出てくる。この章はちょっと弱いかな。世界で大きな存在になりつつあるインドが全く抜けている。あとは「商品」「為替」「テクニカル分析」と。

 インドに興味がある私としては、まあインドの金融市場が整備されていないことは知っていても、「入れておいた方が良かったのでは」と思うのですが、資料が足りなかったんでしょう。アジアでは、その他にいろいろな市場が出てきている。マーケッタブルなものを扱う市場の仲間入りをしてくる。今後はこの面での充実を期待したい。

 しかし、全般には市場に関わる事項を網羅して、よくまとまっている。推薦の本です。

2006年02月20日

 (19:48)いろいろなところからメールや電話が入ってくる一日でした。インドのチャタルジーさんからは、「ご注文の品ができましたが、どこに送れば....」と。いや、住所は教えてきたのですが、ZIPというか郵便番号がなかったようで、それを知らせてほしいと。

 インドでちょっと変わった衣類を作ったのです。とても日本ではなかなか着れないような。でも面白いので。それほど高いものではない。しかし作るのに時間がかかった。まあ完成したのはめでたい。彼は今年は4月か5月に日本に来るそうな。

 めでたいと言えば、EZ!TVでずっとご一緒だった小島さんが無事あかちゃんをご出産になったとご主人からメール。昨夜だそうです。これもめでたい。まあ、3ヶ月は大変ですよ。いや、一年かな。二人とも寝不足にならないように。

 めでたいと言えばもう一つ。これは数日前ですが、お台場のテレビ局を辞めて今度結婚するCアナウンサーにばったり。ご両親と一緒でした。うれしそうでした。久しぶりだったので、しばらく立ち話。お幸せに。

2006年02月20日

 (17:48)18日に収録したGyaoの番組「Foreign Affairs」で取り上げたばかりだったので、朝日新聞の今朝の『中国知識人 「党宣伝部必要ない」 報道規制に危機感』は面白かったな。中国でいよいよ言論統制に正面から反対する意見が出てきたとしたら、興味深い動きになる。

 番組に中国専門家として出てくれたのは共同通信の坂井臣之助さんでしたが、中国共産党中央宣伝部に関して、彼は以下のように番組の中でおっしゃっていました。

  1. 宣伝部を構成しているのは、大体において党の要職を引退した70代の老人
  2. その彼らが、新聞から何から中国のメディア全般をみて、「これは悪い、良くない」と判断している
  3. 彼らの考え方は総じて古く、国の内外からその言論統制ぶりには批判が強い
 引退した70代の老人の価値観がどのようなものであるかは、それを日本に当てはめただけでもわかろうというものだ。時計を逆回しにするようなものだ。そのときに、坂井さんがお持ちになった本が、坂井さん翻訳の中央宣伝部を討伐せよで、その批判の急先鋒に立つ北京大学助教授の焦国標さんの最新作。当然、中国ではすべてのメディアから消されている文章である。

 私もこの本の題名になっている「中央宣伝部を討伐せよ」の章は読みました。この本は中央宣伝部が犯した罪として、この本は14のポイントを指摘している。順に挙げると

  1. 活動方針が巫婆神漢化(神がかり)なっている
  2. その権威がローマ教会化している
  3. 日本の文部省化している
  4. 憲法の殺し屋になっている
  5. 行動面で中国共産党の裏切り者に堕落したこと
  6. 冷戦思考の衣鉢を継いでいること
  7. 党中央の精神を貫徹するのではなく、これを制限し、妨害している
  8. 冷酷・低能病
  9. 悪党や腐敗分子を庇護
  10. 恩を仇で返している
  11. 表面上は精神貴族だが、実際には金銭の奴隷である
  12. 正義感を掲げた賢明有徳の士を妬み、頭角をあらわす者は誰であれ押しつぶし、正義感を突出させる者は誰であれ「生き埋め」にすること
  13. 弱者グループが被る災難を側面から煽るセカンドクラスの製造者であること
  14. メディアの責任者の、是非を判断する力、正義感、高い「文明」意識を殺している
 と続く。なかなか舌鋒鋭い。決して共産主義の枠組みからでるものではないが、中国の国内からこうした動きが出てきたことは非常に興味深い。2008年に北京オリンピック、2010年に上海万博を控えている胡錦濤政権としては、なんとしても国内の治安を維持したいこの時期に出てきたこうした意見。その扱いに苦慮しているでしょう。

 私がこの本で非常に興味を持った箇所は、「創意に富んだ人気のある新刊書を差し止めることはつまり、中華民族の創造力を扼殺することである。(中略)目下、中国社会では創造力はしぼみ、道徳は滅び、邪悪な勢力が暴れ回り、公正明大な気概はひ弱になっている」と指摘した点。物まねをしているうちは中国経済はスタート台に低いから伸びる。しかし、それが終わったときに創造力がなければ中国は経済的にも伸びない。中国に何回も行った私がずっと感じていたことである。

 朝日の記事は、焦国標さんのような意見に知識人の賛同の輪が広がりつつあることを文章にしたもの。私としては、こうした記事にまで中国の検閲の手が伸びないことを望みたいと思う。

 【北京=野口東秀】中国の言論統制の元締めで、中国青年報の付属週刊紙「冰点周刊」を停刊処分とした中国共産党宣伝部を解体すべきだとの声が知識人の間で高まっている。同社内でも宣伝部に反発し「冰点」の編集方針を支持する動きが出始めた。背景には最近の報道規制の強化に対するメディア界や学術界の危機感がある。

 青年報関係者によると、「冰点」の李大同編集長更迭などに反発するメールや電話が社内外から相次いでいる。著名な元党幹部や学者らも抗議声明を次々に発表、「同部は存在しなくてもよい」(李普・元新華社副社長)などの解体論が公言され始めている。

 李前編集長も広範な支持を受けて、「中国では党の権力は法の束縛を受けない。しかし、どんな権力であれ渇望する自由を抹殺できない」と左遷処分に屈しない姿勢をみせている。

 しかし、宣伝部は「冰点」事件を国内メディアに一切報じさせず、中国外務省もホームページから、会見での関係質問を削除するなど“情報封鎖措置”を徹底している。

 こうした同部の強気の姿勢は、「党指導部の意思が反映されている」(消息筋)とみるべきで、宣伝工作が一党独裁を維持するための重要な要素であることを考えれば明らかだ。〇四年の地方官僚による農民虐待などを描いたルポ「中国農民調査」の発禁処分、各地で昨年相次いだ土地強制収用をめぐる暴動の報道禁止など、宣伝部の活動の広がりは国内情勢の悪化に比例して拡大している。

 北京市西部の繁華街近くに位置する宣伝部は表札すら掲げられていない謎めいた場所だ。同部は文化大革命時の閉鎖を経て一九七七年に復活。宣伝教育局、新聞出版局、文化芸術局、政策法規研究室、幹部管理局など八局以上で構成されている。トップは党中央政治局員の劉雲山部長。内モンゴル自治区で国営新華社通信記者、同自治区の党委宣伝部などを経て二〇〇二年から現職に就いた。

 宣伝部では、日々の新聞・テレビ、インターネット、出版ほか学術界、世論の動きを追う。また、「抗日戦争を材料に愛国教育を推進」(劉部長)するなど、昨年の抗日戦争勝利六十周年の愛国キャンペーンでも重要な役割を担った。胡錦濤総書記の「科学的発展観」など指導思想の宣伝計画も立案。末端行政単位にも宣伝部が設置され、網羅的に情報管理にあたる仕組みになっている。  一昨年、焦国標・北京大助教授(当時)は、論文「中央宣伝部を討伐せよ」を発表、新型肺炎(SARS)の感染者隠しを告発した軍医に関する記事掲載を宣伝部が禁止したことなどを批判し、同部の解散を求めたが、辞職に追い込まれた。

 この絶大な権力について、宣伝部関係者は「(報道の自由を奪う)権限は宣伝部には与えられていない」と否定するが、北京の新聞社幹部は「メディア幹部の人事権を握っており、批判する者は排除される」と説明する。

2006年02月19日

 (23:48)死者まで出ている「風刺画」問題。当のデンマークは資本の流出を避ける意味合いもあって国内金利の引き上げを決めるなど、経済問題にまで発展しつつある。最初に掲載した新聞にイスラム教世界を挑発しようとする意図があったのかどうかは分からないが、イタリアの閣僚が風刺画が印刷されたTシャツを着たことなどは明らかな挑発。イスラム世界から反発が出るのは自然でしょう。死者まで出す問題かどうかは別にして。

 しかし、私はこの問題を考える上でずっと以前から「どうしてだろう」と思っていたことがあるのです。イスラム教世界が抱えていると言われるキリスト教世界に対する劣等感の原因の一つは、明らかに経済力の差にある。欧州で働いているイスラム教徒の数は1500万人に及ぶと言われる。その多くが出稼ぎ労働者だ。出稼ぎとは、自国で、自分の生まれたところで経済的収入が得られないために賃金の高いところ、労働力が必要なところに行く形として顕現化するケースが多い。

 私たちが習った世界史では、13世紀から14世紀にかけてのイスラム社会は、「知識や科学の知識が開化した」と教わる。キリスト教世界を遙かに引き離していたと。天文学、地理学、数学などでのイスラム教学者の成果はすさまじく、ヨーロッパはそれを習ったとあった。

 で私はずっと「それがなぜ、ヨーロッパに出稼ぎをする人々になってしまったのか」に興味を持っていました。今でもイスラム教徒がその当時の高い科学知識、数学知識を暖めてそれを実際の経済活動に生かしてきたなら、イスラム教徒が持つ劣等感がキリスト教徒の世界に対して向けられることはなかったのでは、と思っているのです。劣等感がなければ、「あいつらあんなことしてる」で事は済ませたかも知れない。

 この私の疑問に非常に明確に答えてくれたのが、実は昨年11月26日の朝日新聞「私の視点」に寄稿したマハティール前マレーシア首相の分析でした。『逆行が「苦境」をもたらした」と彼は言うのです。今頃この問題をなぜ書くかについては、先週の「Foreign Affairs」でも取り上げたのですが、このコーナーにも残しておきます。マハティールはイスラム世界の苦境を以下のように分析している。

  1. 今やイスラムはかつて世界において担っていた役割を果たせずに、代わりに弱体化し迫害されている。スンニ派とシーア派の対立の根は深い。その他の宗派の数も多い

  2. 最大の問題は、イスラム教学およびイスラム式の生活が現代世界からますます乖離していることにある。コーランを解釈する者たちが宗教の枠内でその法や実践を学んでいるため、今日の科学的な事象を理解できないことが多い

  3. かつてイスラム教徒達は見識を積んだ故に力があった。ムハンマドの教えは、読めということだが、コーランには何を読むべきかは示されていない。実際、当時は「イスラム教学者」なる者は存在しなかったから、読めとは、すなわち何であれ読むようにと言うことだった。だから初期のイスラム教徒は偉大なギリシャの科学者や数学者、哲学者たちの著書を読んだ。ペルシャ人やインド人、中国人たちの著書からも学んだのである

  4. その結果、科学や数学の知識が開化した。イスラムの学者達は天文学、地理学、数学の新分野などの専門領域を発展させた。アラビア数字を発展させ、無限の計算でも簡単にできるようにした

  5. ところが、イスラムの有識者たちは15世紀ごろから科学的な研究を抑制し始めた。彼等は、特にイスラムの法体系を学ぶ者だけが死後の勲功を享受できると主張し、宗教のみを学び始めたのだ。一方、ヨーロッパでは科学や数学的な知識への信奉が始まり、ルネサンス期を迎えていくのに、イスラム世界は知的後退期へんと向かった。そうした視野の狭さが、今日のイスラム教徒の苦境を招いたのである
 マハティールは今のイスラム世界に宗教指導者の知的怠慢に関して、「ある宗教指導者は、人が月に着陸したことを信じなかった。他の指導者は、地球は2000年前に生まれたと言い張る」と述べて、そうした現代の科学や技術に対する無関心な宗教指導者が指導的立場にいるイスラム世界に対する絶望感を表現している

 だから私は思う。デンマークなど欧州諸国の外交使節をいくら焼き討ちしてみても、問題は解決しない、と。今の現実世界における劣勢を挽回してこそ初めてイスラム教徒の自信が戻るとしたら、問題の根本的解決策は別の処にある。イスラム教世界の宗教指導者は偉いのかも知れない。しかし、彼等が指導するような国では、国の力はつかないのでしょう。その点をイスラム世界は考えるべきだと思う。

 Gyaoの番組は、今週は中国におけるマスコミ弾圧、グーグルとヤフーの中国当局に対する協力姿勢が抱える問題、パレスチナを巡る問題などを扱っています。お楽しみに。

2006年02月18日

 (10:48)やっぱり築地はなくなるのですか。今朝の各紙には「築地市場移転、反対から転換」(朝日)といった記事が出ている。それによると、都の移転計画に一貫して反対してきた「築地市場移転に断固反対する会」が、この方針を転換して跡地利用などについて交渉のテーブルにつくことになったという。

 この会は魚河岸の代名詞である「築地」の名前を残すことを狙いに、場外市場の商業団体や中央区が中心となって結成した。その会が方針を転換したと言うことは、私の懸念としては「築地市場」がなくなるのかな、と。都はあの跡地に、立候補予定の2016年オリンピックでの選手村などを持ってきたいようだ。

 移転先は豊洲。豊洲って、岡本さんが設計したゴルフ場があるところでしたっけ。ちょっと遠い。築地は銀座に本当に近かったのです。築地の場内市場で寿司を食べて、銀座の4丁目まで歩くというコースは、ずっと気分の良い散歩道だったのに、それがなくなるのは寂しい。

 もっとも一部の寿司屋や食べ物やは残るようで、それらは相変わらず「築地」の名前は残るのでしょう。東京は歴史ある街の名前をずっとなくしてきた。木挽町とか江戸時代の由緒ある名前を捨ててきた。しかしせめて「築地」の名前は残して欲しいな、と思う。

 一部の寿司屋が残るとしても、あのフォークリフトが忙しく走り回る雰囲気は築地からは消える。新しくできる市場がどうなるのか気になる。まあできたら見に行きたいと思うのですが、今の築地が抱える問題は移転だけではない。そもそも魚が築地の市場を通らなくなって業者の多くが業績不振になっているという問題もある。大きな料亭もスーパーも、魚を直接漁港や漁船と取引する時代。

 新しい豊洲市場も、市場としての魅力をどう維持するかについては、相当な知恵絞りを余儀なくされると思う。

2006年02月16日

 (23:48)ちょっと面白い記事ですかね。去年、中国が自動車の輸出国になったらしい。もっとも、輸入161,6000台に対して輸出は172,800台。純輸出台数は少ないのですが、記事を書いた記者は「経営難に直面しているアメリカの自動車メーカーや世界の主要自動車メーカーにとって「競争激化の悪夢」と報じている。

 備忘のために、以下に記事を掲載しておきます。頭の部分だけ。ウォール・ストリート・ジャーナルのそれです。漢字でどう書くか知りませんが、「 Chery Automobile Co」という名前は覚えておいた方がよさそう。

China Has Become Net Exporter of Cars

SHANGHAI -- China has emerged as a net exporter of vehicles for the first time, raising the specter of intensified competition for ailing U.S. auto makers and other major car manufacturers around the world.

The development could further strain tensions over China's surging exports, particularly in the U.S. and Europe.

China exported 172,800 vehicles in 2005, including 31,100 passenger cars and nearly 100,000 trucks, an increase of 27% over the year before, according to newly available customs figures. Imports last year totaled 161,600, the vast majority of them sedans and sport-utility vehicles.

One Chinese manufacturer, Chery Automobile Co., sold 18,000 cars in overseas markets. Chery's best-selling export model was a four-door compact known as the QQ, with a price tag that averages between $7,000 and $8,000. By 2008, the company aims to export 300,000 to 400,000 cars.

But predictions of cheap and popular Chinese cars flooding the U.S. and Europe may be premature, analysts say. Chinese manufacturers have formidable hurdles to overcome to build cars that will meet U.S. safety and environmental standards, as well as consumers' expectations for quality. Most of China's vehicle exports so far have been trucks bound for markets such as Syria, not cars destined for developed-country consumers. "Passenger-car exports remain very modest," especially compared with auto exports of more than four million from Japan and 2.5 million from South Korea, says Yale Zhang, an analyst at CSM Worldwide. Mr. Zhang says it will likely be five to 10 years before China is exporting cars in significant quantities. But even if Chinese-made cars aren't headed to the U.S. in big numbers yet, they are likely to heighten competition for U.S. auto makers in markets around the world. In a report called "More Woes for Motown," Joseph Quinlan, chief markets strategist for Bank of America Corp., said China's exports are "a harbinger of more deflation and margin pressure," particularly for the struggling U.S. auto industry.

2006年02月15日

 (29:48)うーん、全体を通してバーナンキの初の議会証言を読んだ印象を記すと

  1. FRBの議長の議会証言って、こんなに簡単に、スラスラと読めたっけ
  2. えらくこの人はアメリカ経済と世界経済の先行きに強気だな
  3. ああ、3月は少なくとも利上げするんだ
 というものでした。為替市場は私が持ったこの三番目の印象に反応して、ドルが対円でも上昇して、今この文章を書いている段階では118円をまたいだ状態。昨日は117円台の半ばが相場水準でしたから、50銭ほどドル高・円安に動いている。ユーロ相場は対ドル何か。しかし1.18台の半ばは切らず。アメリカ経済に対する判断が示されたのは以下のところです。
  However, the most recent evidence--including indicators of production, the flow of new orders to businesses, weekly data on initial claims for unemployment insurance, and the payroll employment and retail sales figures for January--suggests that the economic expansion remains on track
 よって、今年の実質GDPは約3.5%上昇し、来年は3%〜3.5%の拡大になると予想。つまり、アメリカ経済は今後も成長率という面においては順調に拡大を続ける、と見ていることになる。まあ4%台の過熱はなく、潜在成長力に近いレベルで推移すると言うことです。インフレについては、以下のように述べる。日本のエコノミストの間にある根強いアメリカ経済減退論は、バーナンキに言わせれば間違いということです。彼は今後の金融政策を決める上でのインフレ環境に関して、以下のように述べる。
 In the announcement following the January 31 meeting, the Federal Reserve pointed to risks that could add to inflation pressures. Among those risks is the possibility that, to an extent greater than we now anticipate, higher energy prices may pass through into the prices of non-energy goods and services or have a persistent effect on inflation expectations. Another factor bearing on the inflation outlook is that the economy now appears to be operating at a relatively high level of resource utilization. Gauging the economy's sustainable potential is difficult, and the Federal Reserve will keep a close eye on all the relevant evidence and be flexible in making those judgments. Nevertheless, the risk exists that, with aggregate demand exhibiting considerable momentum, output could overshoot its sustainable path, leading ultimately--in the absence of countervailing monetary policy action--to further upward pressure on inflation. In these circumstances, the FOMC judged that some further firming of monetary policy may be necessary, an assessment with which I concur.
 最後の赤くした文章が、FRBが次回のFOMC(3月27、28日)にも利上げすると私もそうだし、マーケットも考えたもっとも直接的な言及です。ポイントは、石油価格上昇が非エネルギー商品価格やサービスに転嫁される過程を予想していることと、諸設備の稼働率が比較的高いこと。overshoot という単語が出てき、さらに「urther upward pressure on inflation」という表現が出てきた段階で、「事実上の利上げ継続宣言だな」と読める。しかし彼は今後の政策運営に関して、以下のようにも述べる。
 Although the outlook contains significant uncertainties, it is clear that substantial progress has been made in removing monetary policy accommodation. As a consequence, in coming quarters the FOMC will have to make ongoing, provisional judgments about the risks to both inflation and growth, and monetary policy actions will be increasingly dependent on incoming data.
 つまり、その後(3月の次回FOMC後)に関しては「今後入ってくるデータ次第」と言っているのである。従って筆者は3月末のあとの5月10日のFOMCで米金融当局が利上げを行う可能性は50%を超えるものではない、と考える。バーナンキが日本について触れているのは以下の部分です。今の世界経済は海外もいいよ...と述べている部分。
 Outside the United States, economic activity strengthened last year, and at present global growth seems to be on a good track. The economies of our North American neighbors, Canada and Mexico, appear to be expanding at a solid pace. Especially significant have been signs that Japan could be emerging from its protracted slump and its battle with deflation. In the euro area, expansion has been somewhat modest by global standards, but recent indicators suggest that growth could be strengthening there as well. Economies in emerging Asia generally continue to expand strongly. In particular, growth in China remained vigorous in 2005.
 彼の「日本経済のフレ脱却論」は詳しい説明はないが、「especially significnat」と言っていると言うことは、世界経済にとって重要な進展と考えているということだろう。

 彼の議会証言の一つのポイントは、カリスマ的だったグリーンスパンが去った後のFRBの政策運営をいかようにするか、でした。彼が持論である「インフレ・ターゲット論」を持ち出すかどうか、という点だ。私が調べたところでは、「target」とか「targetting」とかいう単語は一個も登場していない。むろん、「inflation」は頻繁に登場する単語ですが、ターゲットはない。彼が今後の政策、運営の進め方に関して話していると思える部分は、この部分でしょうか。

 Rather, the Federal Reserve, together with all modern central banks, has found that the successful conduct of monetary policy requires painstaking examination of a broad range of economic and financial data, careful consideration of the implications of those data for the likely path of the economy and inflation, and prudent judgment regarding the effects of alternative courses of policy action on prospects for achieving our macroeconomic objectives. In that process, economic models can provide valuable guidance to policymakers, and over the years substantial progress has been made in developing formal models and forecasting techniques. But any model is by necessity a simplification of the real world, and sufficient data are seldom available to measure even the basic relationships with precision. Monetary policymakers must therefore strike a difficult balance--conducting rigorous analysis informed by sound economic theory and empirical methods while keeping an open mind about the many factors, including myriad global influences, at play in a dynamic modern economy like that of the United States. Amid significant uncertainty, we must formulate a view of the most likely course of the economy under a given policy approach while giving due weight to the potential risks and associated costs to the economy should those judgments turn out to be wrong.
 いかなる経済モデルも「by necessity a simplification of the real world」(複雑極まりない現実世界の単純化)を必要とし、よって政策担当者は「therefore strike a difficult balance--conducting rigorous analysis informed by sound economic theory and empirical methods while keeping an open mind about the many factors, including myriad global influences, at play in a dynamic modern economy like that of the United States.」(難しいバランスを取らねばならない)と。うーん、分からないが彼は暫くインフレ・ターゲット論を棚上げするのではないでしょうか。注目された米貿易収支の赤字に関する記述も見られなかった。無難にこなしたと言ったところでしょうか。

 グリーンスパン臭はない議会証言でした。難しい単語もなかった。グリーンスパンの末期も証言や講演を読むのは楽でしたが、バーナンキの議会証言は、グリーンスパンの初期の文章を読むよりかなり楽かもしれない。バーナンキが使った用語の中で唯一グリーンスパン的用語だと思ったのは、「Anecdotal information」かな。「anecdotal」はグリーンスパンが良く使っていた。まあもう一度詳しく読んでみますが、これだと最近の福井さんの記者会見録を読む方がインプリケーションがあって面白いかもしれない。

2006年02月14日

 (24:48)何年かに一度食べたくなるものを駒形に求めて....。

 ははは、夕方に浅草で会合があったので、「うーん、近いな...」と朝思い付いて。結局6人ほどでどかどかと。どぜうには毎年は行く気がしない。何年かに一度です。今回も3年ぶりくらい。

 でも不思議な魅力がある。一階のあの畳の大座敷、二階も座敷・小部屋があって、3階は入ったことはないが、珍しく椅子席もあるそうな。神田の鶏スキ、人形町の玉ひでなど江戸時代からの店は基本的には大座敷。足も抜けずに窮屈な思いをしながら低いテーブル(ちゃぶだい ?)で食べるあの雰囲気がよい。

 今回はどぜうや柳川に加えて、「なまず」や「くじら」にも挑戦しましたが、ネギやゴボウをうまく使った江戸時代からの食べ物は、なかなかおいしかった。二階に行ったのは一階が混んでいたのと、二階は足が抜けるため。ああいう建物、雰囲気は残したいですね。

 それにしても、日本からトリノにはあれほど取材陣が行っているのに、「メダルゼロの恐怖」が頭をよぎる。家に帰ったらちょうどカーリング女子をテレビでやっていて、見ていたのですが、ロシアに逆転負け。うーん、どうしちゃったんでしょうね。原田の失格からすべてが始まっているような。岡崎も風邪を引いたとか....。

2006年02月13日

 (14:48)書店で何気なしに手に取ったこの本を買って週末に読みましたが、中国を長く経験したビジネスマンの「実録・中国」という感じで面白かったな。こういう等身大の本が参考になるし、面白いんですよ。

 大上段に構えた本は、何かを主張しようとするあまりに情報の選択を自然としてしまう。しかし、こういう肩に力の入っていない本は、その人が感じたことを、考えたことをありのままに伝えてくれるのでなかなか面白い。

 著者がどういう人かも知りませんが、なかなか面白かった。

2006年02月12日

 (03:48)うーん、28秒台ではダメでしたか。最後の3人は皆26秒台。上村は第二エアは素人目に見て非常に良かったと思ったのですが、スピードが足りなかった。里谷が前々回のオリンピックで優勝したとき、解説者が「速い、速い...」と興奮して言っていたのを思い出す。あと2秒速ければ。

 上村選手の「8年間の思い」はメダルを取れなかったと言うことでは実らなかった。残念ですな。それにしても、左から1位、2位、3位と座って、自分より上の人が来ると席を譲るモーグルは、見ていて「結構露骨」と思いました。ははは。

 里谷もさえなかった。優勝が26点台の半ば。上村が24点に乗ったところ。里谷が22点台。うーん、ちょっと差があるという印象ですな。

2006年02月11日

 (19:22)人間は不思議な動物ですな。ちょっとしたことで、非常に心が温かくなることがある。今日がその日でした。

 最近自転車の調子が悪かった。先週末でしたが、パンクだと思っていつも行く高円寺駅の近くの自転車屋さんで直してもらった。しかし、その日の夜にまた全部空気が抜けた。こりゃあかん、と思ったのです。かなり長く使っているチャリですから、「もうだめかな」と半分新しいのを買ってもいいや、と思っていた。

 しかしちょっと視点を変えて、今週末は青梅街道沿いの非常に小さな自転車屋さんがあるのを思い出して、とりあえず午後行ってみたのです。実は本当に小さな自転車屋さんで、しかも最近開店したばかり。正直言って「大丈夫かな....」と思って行った。

 しかし、実際にその店に行って、そんな懸念は一気になくなった。実に感じの良い青年で、「チューブがもうくたびれています。代えましょうか...」と判断も素早い。そこでしばらく彼の作業を見ていたのです。分かったことがある。それは、「彼は自転車が好きだ」ということです。作業が実に丁寧。こちらの自転車に関する質問にも、実に的確に答えてくれる。それを見ながら、小さいがこの店に来て良かったと思いました。

 一応の作業、必要な作業を終わったら、なんと何も頼まないのに、そして次の人が待っているのに私のあまり綺麗じゃない自転車を綺麗に拭いてくれたのです。恐縮しました。改めて思ったのは、「店構えじゃないな」と。

 何でもそうじゃないですか。番組でも、「ああ、この人達は番組を作るのが好きなんだ...」と思える人と番組を作れば、自然によくなる。自動車会社の人は自動車が好きでないといけないし、ケーキ屋さんはケーキを作るのが好きじゃなきゃ良いケーキはできない。ははは、いろいろな意味で自分にも聞いてみました。大丈夫かい、と。

2006年02月09日

 (19:22)FTを読んでいたら、耐震強度偽装問題に関する英語の表現にぶつかって、「えらく端的だなあ....」と改めて感心。「killer condo」と出てくるのです。まあ文章で「Japan's 'killer condo' scandal」と出てくるので、「ああ、耐震強度偽装事件か」と分かるのですが、キラー・コンドだけではよく分からない。

 日本語は、何事も少し曖昧にする、柔らかくするという点が特徴ですから、突然英語にすると端的、ある意味で的確になるということが良く出てくる。それにしても、「killer condo」とは。ははは。

 言葉の問題では、今朝の朝日などに載っている次期学習指導要領に盛り込まれる基本的考え方としての「言葉の力」には、良い視点があるなと思いました。今朝のこの番組でも言ったのですが、同じ四文字で言うならば日本はすこぶる「製品の力」はある国です。自動車などを初めとする日本の工業製品を見れば分かる。プリウスのように、そこに環境技術、それに一種の美学を埋め込むのは旨い。

 しかし、日本人として、または日本という国として言葉を使っての外交力とか、交渉力とか、コミュニケーションを取るのはすこぶる下手です。つまり、コミュニケーション下手。あれだけ資金を出していて国連の安全保障理事会の常任理事国になれないのも、一つは外務省という省の、また日本の外交に関わる政治家の「言葉の力の欠如」があると思う。

 日本のエリートは、「そのことをあまり自慢するな」と育てられている面がある。それはそれで良いのだが、必要なときに必要なことを言えない人が多い。肝心なところで、競り負けする。それが良いかどうかは別問題として。

 コミュニケーション不足は国内にもある。引き籠もり、言葉不足、説明不足などなど言葉の不足に関する問題は日本には多い。「言葉の力」が必要だということが実に良く痛感されるのが、今という時代である。

 情報化社会の進展の中で、何かを認める、認めない、その価値を認める認めないの時間(の長さ)は著しく短くなった。良い悪いの問題は別にして。だから、今でもじっくり評価されるというものは確かにあるが、より周囲に端的に自分を、自分の会社を、そして自分の国を認めてもらうには、言葉が必要になる。言葉が必要でないのは実物であり、現実だ。日本の工業製品は示せば誰でもがその良さを認める。

 しかし、情報化社会では必ずしも実物、現実を示せないもの(情報やアイデア、企画など)も多い。そこは、言葉を使って説明し、説得しなければならない。「言葉の力」がどうしても必要になる。中にどんなに良いものを持っていても、どんな良いアイデアがあっても、それを言葉を使って表現できなければ、自分以外の、自社以外の、そして日本以外の人には伝わらない。だから情報化社会においては、「言葉の持つ力」というのは過去のいつの時代に比べても高いと思うわけです。

 文部科学省が「言葉の力」をどのような形で、具体的に教育の場に生かしていくのかは知らない。しかし、非常に重要な発想であることは確かだと思う。

2006年02月08日

 (24:22)王室話は世界中が好きだと言うことがよく分かりました。紀子様のご懐妊に関してイギリスの新聞が関心を持つことは予想していました。しかし、今回は皇室典範の改正問題が絡んでいるのですが、ネット上で見るとアメリカのニューヨーク・タイムズとかワシントン・ポストもこの問題に強い関心を示している。フランスやロシアの新聞もかなり大きな扱いとなったような。

 一つの家が、しかも男系でずっと、非常に長い期間にわたって王室としての地位を占めている国は世界に日本しかない。イギリスの王室は入れ替わり立ち替わりで、今の王室はほとんどドイツの血である。ロシアでも中国でも古代の王朝は皆入れ替わりがあった。しかし、日本だけはそれがない。

 世界でもあまり例のない統治システム。それが皇室典範の改正で大きく変わるかもしれない、というので世界の関心となっいた。それがまた変わりそうなのである。まあ紀子様の次のお子様が男の子か女の子かで、皇室典範改正論議はまた大きく変わってくる。別に急ぐ必要はないでしょう。やっと小泉さんもそういう考え方になったようだ。

 本を立て続けに3冊ほど読みました。

  1. ヒデキマツイ
  2. 超バカの壁
  3. ロンドン特派員余録
 ヒデキマツイは、日経新聞にずっと掲載されていた連載記事のまとめ。松井選手はほんとうにいろいろな雑誌や新聞に連載をしている。彼自身が書いた(と思われる)ものもあれば、記者がまとめたものがある。日経新聞のそれには注目していた。日経のスポーツ記事は面白いものが多いが、この連載も視点が良かった。それをまとめたこの本にも、それが良く表れている。

 「超バカの壁」は、「バカの壁」の続です。表題がうまい。まあ養老さんの本を読むといつも思うのは、「既成概念にとらわれてはいけない」「いつも新種の虫を見るように、虚心坦懐に見なければ」ということ。人の心にはいつも煙幕が張ってある。常識や既成概念。しかし、それを破らなければもっと深いものが見えてこない。そう思いながら読みました。

 最後の「ロンドン特派員余録」には、突然私の名前が出てきたビックリしたな。要するにこの本の著者は、私にとって後輩なんですよ。で彼がロンドンから帰るというので気楽に「ビートルズ・アンソロジーを2冊」と頼んだら、「重すぎて、一冊で」と持ってきてくれた。それを書かれちゃいました。

 でも正直言って、この本はほっとする本です。まあ書いた本人もちょっとのんびりした感じのお方ですが。面白いですよ、この本は。読んでいると、つい顔がほころんでしまう。この本でいくつか単語を覚えたな。

  1. sleeping policeman
  2. spin doctor
 など。さて、おわかりでしょうか。イギリスでは花火は「冬の風物詩」というのは、この本で「なるほど」と思いました。

2006年02月07日

 (07:22)今朝の新聞では、日経産業新聞最終面の「ポイント経済 大膨張」が面白いな。だって本当にあちこちでいわゆるポイントをもらうじゃないですか。この記事には、世界の消費者が保有する未利用マイル(航空会社発行分)は14兆マイルで、航空券との平均交換率で換算すると81兆円分と。それだけ潜在購買力(キャッシュが動かない)が眠っていることになるそうだ。

 81兆円というのは大きいですよ。日本のGDPは大まかに言って500兆円ですから、81兆円と言えば並の国のGDPを上回る。マイルも明らかにいわゆるポイントで、こうしたポイントは私が知っているだけで家電量販店からマッサージ屋、CD・DVDショップからさらにはクリーニング店などなどにまで及ぶ。

 昨日も実は「外付けのハードディスク(HD)」を買いに新宿のビッグカメラ(寒くてヨドバシカメラに行く気がしないので)に行ったのですが、HDを買った後でプリンターのカセットを買ったら、それはポイントで買えちゃうわけですよ。

 だから、例えば物価を調べてきた日銀の担当者が外付けHDとプリンターとインクカセットの両方を調べている人がいたら、それをどう統計に反映させるのだろうか、と思ってしまう。だって私は、HDの表示値段でカセットも買っているわけですから。消費者にとっての実効物価は表示価格とは全く違う。航空券だって、マイルがある分実は我々が払っているよりも安い。一種の二重物価になっている。

 しかも複雑なのは、この記事が指摘しているとおり「ポイントが母体を離れてポイントそのものとして流通している」ということです。巨額のポイントが流通し始めると、一体物価とはどこにあるの、となる。企業間でポイントを融通できるようになっている。また、物品間のポイント融通も自在になりつつある。

 記事の副見出しは「JALのマイルでANAにも乗れる ?」とあるのですが、それとの関連で思い出したのですが、今の私の大きな個人的なテーマはマージ(統合)なのです。今までANAのカードとEdyのカードは別々に持っていた。しかし両社がカードをマージしたので、二つのカードを切って捨てて一枚のカードにした。JALのカードには、スイカとビューカードが一緒(確かJTBも)になったので、そうした。どんどんカードの枚数を減らしていこうと思っているのです。一体化したカードは、ポイントを共用しているところも多い。

 外付けHDを買ったのも、あちこちに散っているデータを統合しようと思ったからです。もうかなりあちこちに分散していたデータを統合した。USBの2は速くて良い。もうこれで個々のPCがクラッシュしても大丈夫です。HDにはセキュリティー機能(データの暗号化)が付いているものもあって、なかなか良い。

 しかし、マージの作業をするなかで「どうしてこうなんだ」と思ったことがある。それは、JALとANAのカードの中にSuica を入れ、Edyを入れ、ビューカード(JRの予約に便利)を入れ、クレジット機能も付けたが、そこにはやはり二枚のカードが残っているという現実です。

 で思ったのです。「どうしてこの二つの航空会社のカードは一緒にならないのか」ということです。利用者にとってメチャ便利です。今日使う飛行機はANAだからANAカードを、JALだからJALカードを、というのは考えてみれば酷い利用者無視。別にICチップが同居しているだけで、なぜ共用化しないのか私には分からない。ついでにマイルも共用してもらえれば、「どっちの航空会社にどれだけマイルがあったっけ」といったことを考えなくて済む。

 今私が持っている「ANA+Edy」と「Suica+JAL+VIEW+JTB」のカードをマージできれば、Suicaは確か近くパスネットと一体化するから、地下鉄からJR、それから飛行機(JALでもANAでも)を全部乗れるようになる。福岡まで一枚のカードで行ける。こんな便利なことはない。

 ポイントが「顧客の囲い込み」を狙っていることは分かります。その為にポイントを付けている。しかし、実際にポイントを持っている、使っている身にして見れば、どの店に、どの会社に自分のポイントが残っているかなんて把握しきれない。だから世界の消費者が持っている「81兆円+その他諸々のポイント」のかなりの部分は毀損する。

 毀損するポイントを売って、それが「利用者にとって有利」というのはいかがなものか。加えて、ポイントはある面で消費者の消費意欲を削いでいる面がある。

 例えば、私は高島屋のカードを持たないので、高島屋で良いものを見つけても、伊勢丹で買えば何%引きだからやめておこうという気分にもなる。伊勢丹に行っても、伊勢丹カードを持っていないと買う気にならない。いつまであの物理的なカードに依存しているのか、と首を傾げてしまう。消費の抑制要因です。航空会社でも、ANAのポイント(マイル)を持っているが、JALの便しかないからやめておこう、というケースもあるだろう。

 だから思うのです。ネット上に「マイル・ポイント交換所」を設けて交換したら良いと。今はカードをセンサーで読み取るPCも出ている。それが一般化すれば「ポイント交換所」の設立も可能です。企業もある程度流動化すべきではないか、と思う。

 「正規ルート外経済」という意味では関連があるのですが、今朝の記事では日経金融の「効き始めたか量的緩和」という記事も面白かった。この記事が言っているのは要するに証券会社が信用拡大の大きなポイントになってきているということです。ネット証券のかなりの部分は外為証拠金をやっている。あれも外為市場を動かすほどの力を持った。闇でも裏でもない経済の拡大が、経済の形を変えているという話です

2006年02月06日

 (19:22)懐かしいなあ、スティーラーズは。むろんローリング・ストーンズもですが。

 70年代のアメリカン・フットボールの覇者は間違いなくスティーラーズでした。ピッツバーグが本拠の「鉄人達」。70年代の前半に連覇が一回あって、さらに確か78年、79年と二年連続してスーパーボールを取った。私が記憶しているスティーラーズは黒ずくめでした。それが今年見たら黄色いユニフォーム。へえ変わったんだ、と。

 70年代の後半はニューヨークに居ましたから、ゴルフもできない極寒のニューヨークの週末の楽しみはスポーツ観戦。中でもアメフトは面白かった。インターセプトからランというのがダイナミックで、今年も76ヤードのそれが出ていた。もう一つは75ヤードのタッチダウン・ランが今年の特徴かな。どちらもスーパーボール記録らしい。それに何と言っても、パスがスリリングで、今年のスーパーボールでも記憶に残るパスがありましたね。

 確か当時スティーラーズにはチアリーダーがいたと思ったが、今はいないらしい。優勝できない26年間に随分と変わったものだと。試合は、最初はシアトル(シーホークス)の方が有利だった。最初に点を取ったのもシアトル。しかし、第二Qの後半から俄然ピッツバーグが優位に。最後は余裕でピッツバーグの勝ち。うーん、シアトルというのはどうもスポーツでいいところまで行くが、優勝できないというジンクスでもあるような。野球でも、そしてアメフトでも。

 ハーフタイムショーにローリング・ストーンズを連れてくるとは、さすがにスーパーボール。最初の2曲は曲名が浮かびませんでしたが、最後は Satisfactionだったかな。まあ最後は皆が知っている曲で締める、というのが常道。

 うーん、ミック・ジャガーはいったい何歳になったのかな、と調べたら、彼は1943年7月26日の生まれ。ということは、今年で63。そうは見えなかった。体は細いし、顔も10年ほど前に来て東京ドームでコンサートをやったときから変化しているとは思えない。矢沢永吉さんと年は違うが、同じなのは顔をよく動くと言うことかな。唇の周りとか。それが一つのポイントかも知れない、なんて思いながら見ていました。
 ――――――――――
 ところで私が昨日青梅街道で見かけた自転車は、リカベントというらしい。でも、乗る気は直ちにはしないな。公園か何かで練習しないと、直ちに道路に出るのは恐ろしい。

2006年02月05日

 (19:12)今年で10回を迎えた鍋コンテストを終わって青梅街道をタクシーに乗って走っていたときです。左側を奇妙な自転車が走っているのを青梅街道で見かけた珍し自転車見つけた。コンテストのためにカメラを持っていたので、咄嗟に撮ったのが右側の写真です。

 運転手さんが、「まあ結構走っていますよ。でも、あれ疲れませんかね」と。私も楽そうで、実は疲れそうだと思ったので、「そうですよね」と。何という自転車か知りませんが、荷物をきちんと自転車にくくりつけて、ヘルメットもかぶっている。ははは、自分で乗りたいとは思いませんが、乗ってみるとどういう気分になるのか。あれは歩道はなかなか走れないでしょうね。

 鍋コンテストは、今年も二位でした。去年は一票差の2位でしたが、今年は6票差の2位。うーん、ゴールデン街の鍋は強いんですよ。まあでも2000年に優勝しているので、あまり勝とうという気分はない。自然体で流すという印象です。まあ、久しぶりに会える人がいるのが楽しいかな。

2006年02月03日

 (00:12)あらら、今アップルの podcast のページを見たら、私のこの番組でやっているpodcastが全国二番目になっていました。私が関わっている番組は、20位台にももう一つ日経さんと進めているのがあって、二つがベスト30に。嬉しい限りです。より多くの方に聞いて頂きたい。

 ところで、昨日読んだFTには「Global competition "a wake-up call" for US」と。まあブッシュの一般教書演説を読めばいろいろなポイントに気が付く。でも、私も昨日書きましたが、こういう見方は出来ますよ。スプートニクもこの記事には引き合いに出されている。

 ところで今日は面白い話しを聞きました。関東でも有力な車販売会社の方々とお会いしたのです。そこで彼等が非常に興味深いことを言う。「こんなことは戦後初めてですよ.....」と。

 何のことかというと、自動車販売動向の景気との関係。彼等によると、自動車販売というのは戦後一貫して「先行指標」だったというのです。つまり、自動車の販売が景気の回復に先立って増加した。それが今回は違うというのです。つまり、有効求人倍率が1を超え、デパートの売り上げが急増して景気回復が日本経済の各所で実感されるに至っても、未だに増加の兆しが見えないというのです。「自動車メーカーは世界で稼げるが、我々は日本国内が商売ですから」と。

 そういえば、日本の自動車販売は昨年一年間は不振だった。そして、今年もその傾向は続いているという。つまり、自動車の国内販売は、日本の景気に対して「遅行指標」になってしまった、と。

 少し話しをしていて、面白いことに気が付きました。値段が高い車、よって比較的所得の高い購買層向けの車に、ネット機器を付けていて、安い若者向けの車には付けていないというのです。私は今の車についての素直な印象を語りました。それは、「車の中にいるとき、特に運転している時が、一番社会から隔絶した感じがする」と。携帯も使えない、ネットも見れない、十分な音楽も聴けない。

 誰か他の人に運転してもらっているとき、例えばタクシーに乗っているときは俄然違います。例えばタクシーの中は、絶好の移動オフィスになる。携帯電話は掛けることが出来るし、資料も読める。携帯でメールも出来る。

 その格差を埋めることが必要だと思うのです。それがないと、ただ車を運転することだけが楽しかった人達は少なくなりつつある、という気が私にはする。売る側と買う側のミスマッチも大きいと思うな。最新機器を車に搭載したいのは若者。しかし、そういう最新機器は高いお金を払えると自動車会社が勝手に思っている中高年は、そうした機器の使用には慣れていないし、使う誘因がない。完全なミスマッチです。

 しかしデパートでの販売動向を見ている私としては、「その最新機器が魅力的であれば、最新機器(トヨタで言えば G-bookなど)は若者の方が多少高くてもお金を支払って買うのではないか」と。売っているサイドが勝手に、「そうだろう」と決め込んでいる可能性が高いと。

 あとは、プリンター会社がプリンターそのものではなく、カートリッジで儲けるように(最近のキヤノンを巡る判決ではないが)、自動車製造会社、販売会社は「その後」で儲けるシステムを作らないといけないと思うな。ま、そんな話しをしたのです。

2006年02月02日

 (04:12)ホワイトハウスのサイトから実際に行われた形での2006年一般教書演説を改めて読んだのですが、「この人は明らかに嘘(私から見て)もついているが、それはそれなりきにアメリカが抱えている問題を理解しているな」と思いました。この実際にブッシュが喋った、そして会場の反応(ご苦労様な事に、拍手と時に起立を表すapplauseが66回、laughterが2回)が入ったテキストは、prepared text とは読むとやはり印象が少し違う。

 嘘というか、少し思い違いをしているなと相変わらず思うのは、17回も出てきた「freedom 自由」に関する考え方ですが、まあこれは人それぞれ違う。私はもっと「押しつける形でない自由」が本当に良い自由だと思うのですが、アメリカは、そしてブッシュはそうは考えない。自由は良いことですが、その原則一つだけで例えば中東が収まるかというとそうでもないような気がする。

 明らかにちょっと違うのでは、と思ったのは彼が「 With open markets and a level playing field, no one can out-produce or out-compete the American worker. (Applause.) 」(開放された市場、同じ土俵なら、アメリカの労働者に勝てるものはいない)と言った部分です。基本的にこういう考え方があるから、アメリカは自国の産業が負けると、他の国が open でない、level playing field を提供していないと主張する。昔からそうです。それは違うでしょう。

 しかし、「インド、中国という新しい競争相手」の登場もあって、ブッシュ演説にはアメリカの「自国競争力に対する強い懸念」が出ているのが面白い。今改めて調べたら「math」(算数)が単語として5回も出てきた。「science 理科、科学」に至っては単語として7回も出てくる。

 私はかねてから「ブッシュは教育大統領を狙っている」と思っているのですが、今回の一般教書演説には「an American Competitiveness Initiative」(ACIと呼ぼう)というプロジェクトが出てくる。「an」だからまだそれほど確定はしていないのでしょうが、その中味としてブッシュは以下のように述べている。

First, I propose to double the federal commitment to the most critical basic research programs in the physical sciences over the next 10 years. This funding will support the work of America's most creative minds as they explore promising areas such as nanotechnology, supercomputing, and alternative energy sources.

Second, I propose to make permanent the research and development tax credit -- (applause) -- to encourage bolder private-sector initiatives in technology. With more research in both the public and private sectors, we will improve our quality of life -- and ensure that America will lead the world in opportunity and innovation for decades to come. (Applause.)

Third, we need to encourage children to take more math and science, and to make sure those courses are rigorous enough to compete with other nations. We've made a good start in the early grades with the No Child Left Behind Act, which is raising standards and lifting test scores across our country. Tonight I propose to train 70,000 high school teachers to lead advanced-placement courses in math and science, bring 30,000 math and science professionals to teach in classrooms, and give early help to students who struggle with math, so they have a better chance at good, high-wage jobs. If we ensure that America's children succeed in life, they will ensure that America succeeds in the world. (Applause.)

 物理、科学の分野での基礎的研究計画への連邦予算を今後10年で倍増し、研究に対する税控除を恒久化し、子供達の算数と理科の学力を他の諸国と競争できるところまで引き上げる....となかなかポイントを突いている。彼が具体的に挙げたのは、「explore promising areas such as nanotechnology, supercomputing, and alternative energy sources.」。これもなかなか分かっているな、と。

 その中のエネルギーに関しては、ブッシュはかなり具体的な提案をしている。「America is addicted to oil」(アメリカは石油依存症)という基本的な認識の下で、

So tonight, I announce the Advanced Energy Initiative -- a 22-percent increase in clean-energy research -- at the Department of Energy, to push for breakthroughs in two vital areas. To change how we power our homes and offices, we will invest more in zero-emission coal-fired plants, revolutionary solar and wind technologies, and clean, safe nuclear energy. (Applause.)

We must also change how we power our automobiles. We will increase our research in better batteries for hybrid and electric cars, and in pollution-free cars that run on hydrogen. We'll also fund additional research in cutting-edge methods of producing ethanol, not just from corn, but from wood chips and stalks, or switch grass. Our goal is to make this new kind of ethanol practical and competitive within six years. (Applause.)

Breakthroughs on this and other new technologies will help us reach another great goal: to replace more than 75 percent of our oil imports from the Middle East by 2025. (Applause.) By applying the talent and technology of America, this country can dramatically improve our environment, move beyond a petroleum-based economy, and make our dependence on Middle Eastern oil a thing of the past. (Applause.)

 「the Advanced Energy Initiative」(これをAEIと呼ぼう)には「the」が付いている。「invest more in zero-emission coal-fired plants, revolutionary solar and wind technologies, and clean, safe nuclear energy.」とブッシュの口から聞けば、京都議定書に署名したらと言いたくなる。

 興味深いのは日本ではメーカーが先んじてやっている自動車のエネルギー源の転換をアメリカでは国が先導しそうなことだ。引用した文章の第二パラはそう読める。メーカーがやるのは待っておられぬというイメージ。ハイブリッドという単語も出てくる。

 その上で出てくるのが2025年までに中東からの石油輸入の75%を他のエネルギー源と置き換える、という下り。これは中東からの石油輸入を75%減らすということである。うーん、サウジに対する牽制 ?

 使われている目立った単語についてまとめると「自由 17回」「競争に関わる単語 17回」「科学・理科 7回」「算数 5回」「エネルギー 8回」「選挙 4回」「敵 5回」など。まあ、出てくる単語で教書演説の持つ意味合い、重点が分かる。

2006年02月01日

 (12:12)ははは、今終わったところですが、ブッシュ大統領の一般教書演説をずっと見ていました。NHKのBS1のABCライブで画面をちらちら見ながら。そしてかなりの部分をネット上にあるprepared text で検索しながら。

 相変わらず多く出てきた単語は「freedom」かな。ネットで調べたら、17回登場した。これは多い。50分ほどの演説で。去年と比べるとどうだか知りませんが。その次に多かったと思ったのは、「comp」の付く単語です。「competition」とか「compete」など「競争」を意味する単語。前者が12回、後者が5回で、合計17回登場している。つまり、「競争」が「自由」と同じくらい大事に扱われている。自動車などでアメリカ産業の先行きに対する懸念が出てきているんですかね。

 その過程で、子供には算数と理科を勉強させようといった文章が出てくる。あと多く出てきたと思って調べた単語では、「enemy」が5回、「election」が4回。ハマスの勝利について何を言うのかと思ったら、ハマスはイスラエルを認めなければならない、武器を捨てねばならないなどと主張。パレスチナの人々の選挙そのものは賞賛。

 会場の反応もいつもの年と違って面白かった。特に盗聴に絡む「Patriot Act」に関する部分。ヒラリーがいたので民主党の席だと思うのですが、それまでそのたびに立ち上がって拍手をしていた(ご苦労様なことですな)議員達が、この部分では全く席を立たなくなった。ブッシュが言ったことは、9.11が手遅れだったから今は認めてくれ....といったことだったと思った。今アメリカが一番割れている問題です。

 生命倫理についても最後に結構長く喋っていたのが興味深かったですな。卵子の売り買いに関して、「けしからん」と。あとは、石油の使用に関して、「America is addicted to oil」と言ったのは偉い。その通り。中東への依存度削減も言明。これはいいんじゃないですかね。

 「freedom」との関係で言うと、「世界の半分以上の人口は、いわゆる民主主義の国に住んでいるが、残る半分くらいの人は、シリア、ミャンマー(彼はビルマと言っている)、ジンバブエ、北朝鮮、そしてイランのような場所に住んでいる」と。挙げられた国々がどう反応するか。

 ブッシュ本人の次に画面に登場したのはブッシュ夫人ですが、その次はヒラリーかな。彼女はちょっとふっくらしたように見えた。3年後の民主党の大統領候補ははたして誰か....。

 会場中から笑いが起こったのは、ベビーブーマーの退職に関する話の中で、「自分の父親、つまりパパブッシュが好きな二人の人間、つまり自分とビル・クリントンが.....」と言った部分。今年二人とも60になる。その時クリントン本人がいなかったのでヒラリーの顔がテレビに映ったのですが、彼女はそこでは拍手をしなかった。どう反応したらよいか迷っていたような。

 まああとで詳しくテキスト(実際に彼が言ったことを含めて)を読んでみます。第一印象はこんなところです。

2006年02月01日

 (07:45)やっと中学校で習った英語の素養がうまく当てはまるようなFOMC声明ですな。『さて、「may be needed」と「likely to be needed」の差、蓋然性の差はどこにあるのでしょうか?』.......てな形の。

 今回の声明で使われているのが「may be」であり、前回(12月13日)の声明で使われているのが「likely to be」です。中学生の時、「likely to be」は可能性が極めて高いと教わった。「may be」は「(使う方も自信がないが)可能性はある」と言っている状態だと。場合によっては「ない」。つまり、一連の利上げで今回が最後である可能性もある、と。グリーンスパン議長最後のFOMCの声明は以下の通りです。  

The Federal Open Market Committee decided today to raise its target for the federal funds rate by 25 basis points to 4-1/2 percent.

Although recent economic data have been uneven, the expansion in economic activity appears solid. Core inflation has stayed relatively low in recent months and longer-term inflation expectations remain contained. Nevertheless, possible increases in resource utilization as well as elevated energy prices have the potential to add to inflation pressures.

The Committee judges that some further policy firming may be needed to keep the risks to the attainment of both sustainable economic growth and price stability roughly in balance. In any event, the Committee will respond to changes in economic prospects as needed to foster these objectives.

Voting for the FOMC monetary policy action were: Alan Greenspan, Chairman; Timothy F. Geithner, Vice Chairman; Susan S. Bies; Roger W. Ferguson, Jr.; Jack Guynn; Donald L. Kohn; Jeffrey M. Lacker; Mark W. Olson; Sandra Pianalto; and Janet L. Yellen.

In a related action, the Board of Governors unanimously approved a 25-basis-point increase in the discount rate to 5-1/2 percent. In taking this action, the Board approved the requests submitted by the Boards of Directors of the Federal Reserve Banks of Boston, New York, Philadelphia, Cleveland, Richmond, Atlanta, Chicago, St. Louis, Kansas City, Dallas, and San Francisco.

 今回の声明には、「may be」の他に単語的には二つのポイントがある。アメリカの景気の拡大に引き続き「solid」(しっかりした)という単語が使われたものの、その景気が「uneven」(バラツキがある)とされた点。これは今まではなかった。それと、2004年の5月のFOMC声明移行ずっと使われてきた「measured」(慎重に図った形で)という単語がなくなったことだ。

 「measured」という単語が消えたこと自体は、「次の金利操作が0.25%ではない可能性がある」という警告になるが、しかしそれとは別に「measured」が持つ「慎重に続ける」という意味合いを、単語を落とすことによって落とした面があると考える。つまり、継続性の遮断。これも、利上げ継続の遮断の意味合いを持たせている。加えて理由は直ちには明らかにされていないがミネアポリス連銀は今回、利上げ要請をFRBにしなかった。

 14回連続の利上げを表明した今回声明後に残った印象についてウォール・ストリート・ジャーナルは「The statement signaled that an extraordinary period of central bank clarity on the direction of rates is drawing to a close.」と述べているが、これは私の印象でもある。つまり、FOMCの利上げモードは今までの十二分に予測ができる状態から、次からは一回一回「本当にあるだろうか。変更があるとしたら、もしかしたら下げかも」という状況に移行したということである。

 FOMC声明発表前だが、メリルリンチ証券のイエスパー・コールが日経CNBCに出ていて、「今回は利上げするが、その次のFOMCの金利操作は下げ」と言っていた。アナウンサーの方が目を丸くしていたが、確かにその可能性はないではない。筆者はまだ「もう一回利上げ」の可能性が高いと思うが。しかし、そういう見方が割れる状況にアメリカの金融政策がなってきたということは確かだ。

 0.25%の利上げがあって、今のFOMCの金利水準は4.5%になった。まあいいところじゃないですか。日本時間の今日から、火曜日の議会で最終承認されたバーナンキがFRBの議長になる。グリーンスパンの議長期間は1987年8月11日から2006年1月31日まで。ご苦労様でした。うーん、なんて言うコンサルタント会社を作るんでしたっけ。知りませんが、FRB議長になる前の「タウンゼント・アンド・グリーンスパン」から、「グリーンスパン・グリーンスパン」がいいと私は思っているのです。理由なんてない。それが呼びやすい。ははは。前回の声明のコアの部分は以下の通りです。

Despite elevated energy prices and hurricane-related disruptions, the expansion in economic activity appears solid. Core inflation has stayed relatively low in recent months and longer-term inflation expectations remain contained. Nevertheless, possible increases in resource utilization as well as elevated energy prices have the potential to add to inflation pressures.

The Committee judges that some further measured policy firming is likely to be needed to keep the risks to the attainment of both sustainable economic growth and price stability roughly in balance. In any event, the Committee will respond to changes in economic prospects as needed to foster these objectives.