1998
04月

1998年04月の日記

日記

98年04月30日

 たぶん、今日のこのコーナーは重いと思います。済みません。久しぶりに出社して念願の「スピードの経済」ハングル版をゲットしたものですから、(^_^)(^_^)それと日本の本との比較、ずっと前から使っている日本版の写真の三枚をアップすることになってしまいました。ハングル版は韓国ではしばらく前から売り出されているらしい。しかし、私の手元に届いたのは、これが最初です。どのくらいの売れ行きになっているかは知りません。今度調べますが、まあ自分が書いた本が自国語でない言葉に翻訳されると言うのは、正直言って嬉しい(^_^)(^_^)。出版する方は、価値ありと判断したんでしょう。

 しかし、奇妙な気分でもあります。自分で書いたのに、読めない。表紙を見ても分かるのは「世界経済」の部分と、「Economy of Speed: The Big Bang of World Economy」の英語の部分だけ。中を見ても、分かるのは自分の名前と(^_^)(^_^)図表の出所、英語表記の部分などごく少ない。言葉が出来ないと言うのは、悲しいですね。読めたら、どのくらい楽しいかと思う。

 日本の「スピードの経済」は縦書きですが、ハングル版は「横書き」です。本のサイズがハングル版の方が日本版より一回り大きい。その分だけ、ページ数が少なくなっていて、日本語版が.......と思いきや、開けてびっくり。日本語版の254ページに対して、ハングル版が266ページ。これはおそらく、ページ当たりに詰め込んだ字数の違いでしょう。ハングル版の方が、老人(失礼)にも読めるように字を大きくした(^_^)(^_^)。うーん、今から考えると日本語版の字もほんの少しですが大きくすれば良かった。今の技術では、フォント・サイズをほんのちょっと大きくする....といったことは可能なような気もしますから(素人考えです)。(^_^)(^_^)

 日本でスピードの経済が売り出されたのは、記憶では7月の終わりです。半年ちょいでハングルになった。これを素早いと考えるのかどうか。韓国では、塩野七生さんの「ローマ人の物語」が爆発的に売れているらしい。ああした、大きな史観に基づく本が凄い人気らしいのです。でも、あれを毎回翻訳するのは大変な作業だと思う。もっとも書く方が大変でしょう。新潮社の伊藤さんから聞いたと思うのですが、「塩野さんは、ちょっと疲れている....」ということらしい。そりゃそうでしょう。10年以上続く大作です。でも、ものすごく売れている。塩野さんには「過去」が終わったら、「現代政治家論」でも書いてほしいですね。もっとも、Foresight などにはそれに近いものが載っている。

 「英語にせい」というメールも何通かもらいましたが、まだ実現していない。本当は自分でさっさと英語に出来れば良いのですが、それだけの力は自分にはないような気もする。これからの課題です。

98年04月29日

 ええ天気でしたね。気温も適度で、空気も軽く。なぜだか去年もそうでしたが、この時期には文章作成に追われる。今年もそうですが、ちゃんと外に出て空気も吸いました。週末からは天気はまた悪化の予想だそうですが.....

 目出度い。野茂が「2勝目、奪三振11、初の本塁打」と。朝日の写真の解説には、「日本人としてアメリカ大リーグでの初めての本塁打」とある。そういわれれば、そうですね。大リーグ100試合目で、この快挙。「K」も二桁は延べれば毎回ですから、凄い。
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 日本が休んでいる間に、円は132円台に。ロンドンの根谷ちゃんのメールによれば、29日の東京時間午前10時ごろ「日本のファンダメンタルの改善はドル売り介入によってもたらされるものでない」とルービンが述べたことからドル高・円安になったという。日本時間の午後7時の時点では、132円35〜45銭。株もさえないし、日銀の植田委員が言うようにもうちょっと息の長い政策に早く手を着けないと、いくら数字を重ねても日本の景気は良くならない。私の意見は、この PDF ファイルで表明した通りです。
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 午後ちらっとNHKテレビを見たら、米長さんが出ていましたね。「運の研究」という本だったか、今でも彼が言っていたことで覚えていることがある。運を自分に呼び込むには、

 分福
 惜福
 植福

 が必要だというのです。これには納得しました。「今ちょっとついとらん....」という人には、米長さんの本は推薦です。

98年04月28日

 明日からはまた暑くなるそうな。そこで、グローバル・オンラインにおいてあるHPのフロントを夏向きに代えました。いつもこの diary に直接来る方、ちょっとバックバック。連休の最中で会社に行っていないため、日経から届いている筈のハングル版の「スピードの経済」が手に取れない。30日から出社しますから、ゲットできたら写真に取りましょう。

 ホームページもフロントを変えると雰囲気が違ってくる。29日はめちゃんこ天気がよさそうですね。外に出たいものです。DIGIWEBのフロントをワインとパンにしました。

98年04月27日

 28日の午前1時頃これを書いていますが、ニューヨークの株はダウで100ドル以上落ち、債券利回りは6%に乗っている。以下の書き出しのウォール・ストリート・ジャーナルの記事が直接的発端。

 WASHINGTON -- Federal Reserve officials say they are increasingly concerned that the U.S. economy may not be slowing as much as they expected or desired, forcing them to ponder lifting short-term interest rates in coming months.In a sign of concern, Fed policy makers agreed at their March 31 meeting that a rate increase is more likely than a decrease. In doing so, they abandoned the neutral stance that was adopted in December to demonstrate, as the Fed put it, that they might cut rates if "the turmoil in Asia were to intensify."
 アジアの経済混乱でアメリカ経済は、鈍化するとFEDは予想していた。しかし、今4半期でアメリカ経済は6・4半期も連続して潜在成長力(2%の前半だと見られている)を上回る成長をしそう。インフレは具現していないが、株など資産価格の上昇は激しく.....というわけでFEDも「米国経済の強い成長力を懸念し始めている」というのが記事の趣旨。まだ金利を上げるとは言っていない。しかし、ここまで書いてあったら先取りが原則の市場は、「すわ、利上げか」と予想する。利上げは、債券と株に響き、その影響でアジア、欧州市場で上がっていたドルは対円でも反落(132円前後)という図式。

 正直なところFEDは難しい選択を迫られていると思う。まだ実在しないモノやサービスのインフレと、実在するアセットのインフレの中での選択。「思惑の行き過ぎを抑制するために利上げするFEDの能力は、限定されている。FEDは、上昇ではなく下落している消費者物価でのインフレを抑制する法的権限を与えられているに過ぎない」と英エコノミストは一週間前に指摘してる。しかし、FEDが株価の際限のない上昇を好ましく思っていないことも確かである。

 FEDが直面しているのは、「成功のジレンマ」である。インフレが起きないように経済運営をうまくすればするほど、株価は経済の好調を好感して上昇する。上昇すれば、それが経済の成長率を高くする。しかし、モノやサービスのインフレは世界的なデフレ圧力を背景に高まらない。「成功のジレンマ」から脱するには、恐らく表面的には「失敗」と映る措置をとる必要があるかもしれない。例えば、利上げによる株価の引き下げである。議会は、怒るだろう。だから、政治的にはFEDは窮地に立たされる。もっと心配なのは、とんでもなく大きく下げた場合。大きく下げ続ければ、今度はあせって利下げをしなければならない。

 世界中の相場がきな臭い。予想通り、日本の株価は経済対策もむなしく下げた。実は、今ばかりでなく相場はいつも難しい。「時価革命」によれば、米国の文豪マーク・トウェインは、「間抜けのウィルソン」という小説の中の登場人物に、

 「10月は株式投機を行うには、特に危険な月の一つである。それ以外にも、特に危険な月としては、7月、1月、9月、4月、11月、5月、3月、6月、12月、8月、2月が挙げられる」
 と言わせているそうだ。これは別に月単位でなくても良い。いつもながら、頭の使いどころだ。
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 ところで、私が大好きな練馬の「田中屋」の銀座店が開店しているらしい。小島さんが教えてくれた。
 伊藤さんがサイトで紹介されている
練馬の「田中屋」の銀座店がオープンしました。
元々は銀座で名を馳せた屋号とのことですが...
24日の夜に「蕎麦で一杯飲もう」ということになり、
同僚と3人で覗いてきました。

石臼で挽いた手打ち蕎麦もなかなかのものでしたが、
「冷製汲み上げ豆腐」は大変気に入りました。
3月上旬のオープンですので、販促はこれからでしょうか。
もちろん昼も営業していますので一度行ってみて下さい。

 中央区銀座6ー6ー19(ソニービルの左斜め裏 TEL:(3571)8228)

   行ってみる価値ありだと思います。はい。

98年04月25〜26日

 暑かったり、寒かったり、湿度が高かったり、そうでもなかったり。この季節ってこういう天気でしたっけね。もっと安定していたように思うんですが。

 ところで、本を2冊紹介しましょう。一冊は、「時価革命」。徳間書店から出ていて、作者は「織坂 濠」。なんと読むか、「おざか ごう」。普通は、「おりさか たけし」くらいなのに、違う。私も本の表紙の英語の読みを見て初めて知った。ペンネームで、その心は「織田 信長」「坂本 竜馬」、そして「お城の濠」。憧れた人の名前や、歴史から取ったと言う。このペンネームを持つのは、先週の月曜日の Monday Nikkei(確か20日)に「最近日銀を辞める若手が多い」という趣旨の記事に載っていた木村 剛氏。今までもこのペンネームで文章を書いていたらしい。小生は、先週の木曜日にその事を知りましたが。

 (^_^)(^_^)実は、その出版を記念してちょっとしたパーティーが25日に都内で開かれ、私も出席しました。出席だけでは許してもらえずに45分ほど彼と掛け合いでスピーチをしました。写真は、その時に幹事の岡本君(プレジデント)が撮ってくれて送ってくれたものですが、なぜか女性と一緒にいる2枚だけが送られてきた。幅広い方々とお話ししたのに。←写真の向かって左が矢吹さん、右が金澤さん、→の写真の向かって左が米田さん、右が金子さん。

 本は、『「時価会計」こそがビッグバンの確信』という観点から、それがもたらす日本企業の今までの慣行(含み経営、終身雇用、年功序列型賃金、企業別労働組合などなど)の終焉をまず予測している。今後基準になるのは「時価」なのだが、この本の通り「時価はフワフワしている」(118ページ)という点が極めて重要です。nothing certain。実際の経済を見ても、everything in flux でこの視点は非常に重要だと思うわけです。この本はこの点をうまく突いている。

 「時価がフワフワしている」時代において、企業におけるコントロール(internal、externalともに)は非常に重要になってきているわけで、こうした今の時代に何をポイントに押さえたら良いかというのが、その後に続く。第3章以降です。まああまり書いてしまうと、読む価値がなくなってしまいますからこの辺にしておきますが、頭をまとめる面では良い本です。本の全体的なトーンは、ちょっと alarmistic ですが、具体的な例もあって面白く読める。

 木村君は日銀退職後に世界的に著名な(といっても小生も知ったのはつい最近ですが)金融コンサルタント会社のKPMGの日本のオペレーション立ち上げの責任者をしているのですが、この本にはちゃっかりその連絡先電話番号まで書いてある。315ページ、なかなかしっかりしている。
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 (^_^)(^_^) もう一冊は、「ジャーナリストの作法」です。数日前に紹介した田勢さんの本で、日本経済新聞から出ている。うーん、「作法」というより「履歴書」という感じの本ですな。現在に至るまでの田勢さんの歩みが中心の本で、まあ面白いから良いのですが、「作法」を厳格に追求している本だと思うと間違える。しかし、文章がこなれているし、あまり特に小生が興味深く読んだ場所は「指導者のこと」という第8章です。そうなんですな、日本は今いろいろなところで「トップの劣化」が見られる。

 木曜日のセミナーにおける榊原さんの例の発言ではないのですが、成功体験を背中にしょった日本の指導者の方々には、変化とそのスピードに対する備えが備わってはいないようです。これこそが当面の一番大きな問題になるのではないでしょうか。この本も推薦です。

 それから、連休中はこのサイトの更新もちょっといい加減になるかもしれませんが、ご了解を。まだ読みたい本や仕上げねばならない文章がいっぱいあるのです。今手元に置いているのは、「日本社会の歴史」(上、中、下)。網野史観にはもうちょっと早めに触れたかったのですが。

98年04月24日

 昨日私が出たセミナーに関しては、三菱総研さんがセミナーのホームページを作っていたようですので、紹介しておきます。このホームページには、残念ながら榊原財務官の話は載っていない。松下の協力を得て、このサイトのどこかでインターネット中継をしたそうですから、データは残っていると思いますが。他の参加者には悪いのですが、圧倒的に榊原さんの話がうまいし、興味深くて記憶に残る。

 カウフマンは年をとりました。1970年代の後半に私がアメリカにいたときに、エコノミストとしてのピークだった人で、「金利予測の神様」と言われた。カウフマンが喋ると、金利がその方向に動いたのです。今の為替とソロスの関係に似ている。ソロモンを辞めた後は、自分で会社を作ってそれで動いている。アメリカの金利の先行きをどう考えるかと聞いたら、「アメリカの金利の水準を決めているのは、世界で一番低い金利を持ち、資本を輸出している日本の金利であり、日本の金利が上がるときはアメリカの金利も上がる」というのが答えでした。そういった面もある。アメリカの株価に関しては、「危険ゾーン」というのが彼の見方だった。
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 プレジデント・岡本、文芸春秋・田中の両君が講師を務めてくれた「最新出版業界事情」をテーマにした勉強会も面白かった。97年は戦後初めて「月刊誌+書籍+週刊誌」の合計で見て日本の「出版販売額」が対前年(2兆6564億ドル)比0.7%減少した......というところから始まり、金額返品率の増加傾向、週刊誌の落ち込みの激しさ、小売店の大型化などなどの背景を聞きました。驚いたのは、出版業界の「自転車操業ぶり」と「カルテル行為」。遅れてまんな。

 全体に言えるのは、今の日本の出版業界はものすごい勢いで点数多く本を作り、もの凄い割合で返品されているということ。97年について言えば、雑誌の創刊が減り、廃刊が増えている。聞いていて思ったのは、今の日本の出版業界は「買う人」を掴みかねているということだ。

 一つ田中君が言ったことで面白かったのは、「世界で売れる雑誌を日本から出したい」という点。多分そうでしょう。日本の出版人としては、世界に雄飛したいに違いない。問題は、言葉の壁をどう乗り越えるかということです。これはインターネットの世界でも同じです。日本人の作ったページは、せいぜい1億人の潜在需要家しかない。そのページをどうやって世界に通用するものにするかということと、日本の本をどうやって世界で売っていくかは共通の問題を抱えている。でも、何か方法があるような気がする。逆に技術の進歩を利用して。

98年04月23日

 テレビ東京の内山さんから電話があって、のっけから「木曜日で疲れちゃったよ.....」。あっしも。確かに木曜日は疲れまんな。月曜日から一日空けただけで、続いておりやす。実は、24日の朝の内山さんの番組に引っ張り出されます。多分6時からだと思う。迎えは、5時ごろ。ですから、残念ですがのんびりは書いてられませんんんんん。本日は。

 日経の田口君からメールで、「本日小生の手元に『スピードの経済』韓国語版が届きました。4部をオフィス宛てに発送します」と。嬉しいですね。どんな表紙で、どんな感じになっているか。しかし残念ながら、ハングルはまったく読めない。土日暇だったら、本を写真にして掲載します。
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 今日の印象に残る一言。

日本のブルーカラーは最高
日本のホワイトカラーはそこそこ
日本のトップマネッジメントは最低
 ホテル・ニューオータニで行われた三菱総合研究所主催のパネル・ディスカッションで大蔵省の榊原財務官の民間経営者に対するエール(?_?)。これは常々の榊原さんの持論。私が質問しました。「日本の官として、民間に対するご意見は...」と。民間こそ、自らを枠にはめているではないか、みこしに乗るのではなく、トップダウンで....という。ごもっとものところがある。

 もうひとつ質問した。24日に発表される経済政策は95年のそれを上回る大規模なものになると言われている。96年はこの対策で、年率3%の成長になった。したがって、今回のそれを上回る経済対策が効かないはずがない。今年の秋から良くなる、と榊原さんは説明された。

 私が思ったのは、持続性です。では97年や98年に何が起こったか。景気は再び悪化した。今回そうなる、つまり2000年に悪化する懸念はないのか.....ということ。引き合いには、アメリカは財政を黒字にする中で民間の自律的な力で7年もの成長を続けている点をあげました。私の記憶では、日本はすでに90兆円近い公共投資をした。

 榊原さんは今までの日本の公共投資が景気に持続的な成長力を与えなかった理由として、1)消費者の不安感が強まっていること 2)構造調整の初期においては景気に負の力が働く--の二点を挙げられた。しかし、「今度はうまくやる」と。24日に最終的にどのような対策が出るのかわかりません。しかし、景気を自律拡大に乗せられないこの二つの要因は、まだ日本経済に重くのしかかっていると思う。
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 夜は、若手の雑誌編集者二人に最近の出版業界事情を聞きましたが、これは長くなりますからまた。それでは、おやすみなさい。

98年04月22日

 他の国の中央銀行がこういうことをしているかどうか知りませんし、していないからと言って気にすることもない。堂々と続けるのが良いと思うのですが、日本銀行が我々には嬉しいサービスを行っている。最近は、メールの中にいくつか「Bank of Japan」からのそれが目立つようになった。どのくらい目立つかは、いくつの選択肢を選ぶかによるのですが。

 日銀が始めたサービスは、「新着情報の配信サービス」。つまり、日銀のサイトに新しく掲載された情報に関して、サイト利用者が予め登録しておけば、当該分野の新着情報に関してメールでそれを知らせてくれ、そのメールから日本銀行のサイトにハイパーリンクできるというもの。私も使い始めたばかりで、まだ知らない人が多いのではないでしょうか。

 日銀にいろいろな不祥事があったからこのサービスが始まったとも思いませんし、これで免罪されるとも思いませんが、「変わりつつある日銀」の一つの象徴的なサービスの一つではないでしょうか。連邦準備制度理事会のサイトにはよく行きますが、こうしたサービスはないと思う。ドイツ連銀のサイトにもないのでは。

 実は私は、プッシュ型のサービスは好きではない。情報はあくまで探して取るものだとの立場で、ポイントキャストもダウンロードしたがすぐに外した。だから、強制的に向こうから送られてくる情報は、あまり好きではないのです。しかし、日銀が始めた新しいサービスは worth trying だと思う。メールでくるから、いらないと思えばすぐに捨てれば良い。しかも来るのは長い文章記事ではなく、ハイパーリンクできるURLだけ。

 登録は簡単です。好きなジャンルを選んで、登録しておくだけ。あとはネットの威力が、その力を存分に発揮してくれます。

98年04月21日

 この本には、その扱っている人物が持っていた「磁力」と同等、いやそれ以上の「磁力」がある。独特の、しかし読みやすい文体、人を驚かす表現、その文章の華麗な流れ、そして緻密な取材と、冷静だが対象を見る温かい眼、そして確かな推理。ひさしぶりに、読み終えた後すぐには本を自分の手から放したくない気分にさせる。

 人物とは「田中 角栄」で、本の題名も同じ。日本経済新聞社から出ている。「作家の関心は、対象になる人間の磁力の強さにある」と「あとがき」の最初に述べられているように、この本は戦後日本の政界の巨人であった「田中 角栄」を賞賛するでも、断罪するでもなく、彼がどういう出身で、どう育ち、そう発想し、その時とその時に彼がどう対処したか、その周辺の人間はどうだったのかなどに焦点を当てながら、「田中 角栄」という人間そのものを活写しようとしたものだ。そして、それに成功している。

 ロッキード事件の検事だった堀田力さんが「田中 角栄」について本の中で、

「良い意味でも、悪い意味でも、きわめて日本的な政治家でした。善悪双方において比類なく傑出した人物だったと思います。頭もいい。理解力に優れている。それに人の気持ちをつかむ感性にも優れている。右脳も左脳も日本的に発達した人でした。」
 と述べている。人が時代を作るとも、時代がその時に必要な人物を作り出す、とも言われている。両方とも正しいに違いない。「田中 角栄」は確かに時代を作った。しかし、時代の寵児として育てられて、そして時代に捨てられた人間のような気もする。極みをもった人が、誰でもそうであるように。
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 この本も何回となく指摘している通り、歴史には「if」がない。しかし、しかし、もし今のような時代に「田中 角栄」の資質を持った人間が登場していたら、何をしていただろうかと思う。人心掌握がうまかったとしたら、やはり政治家だろう。しかし、彼の錬金術は今は通じそうもない。としたら彼は何で権力の地位に昇っただろうか。

 「田中 角栄」が仮に今の「橋本 龍太郎」だったら、景気に対してどのような対策を取っただろうか。措置は同じようなものでも、前者が取った政策の方がはるかに効果的に見えはしないか。なぜなら後者は人心掌握において、大先輩の対局にあるような稚拙な人物だからだ。「パーティーに行けば、田中は二分か三分に一度は周りにいる人間を笑いの渦に巻き込んだ」と書いてある。これは凄い才能だ。

 この本によれば、背の丈は1メートル52〜3センチ程度だったという。しかし、ロンドンでパーティーを開けば、イギリス人の女性の口からは「HE IS SEXY !」という評価が出たという。少なくとも、今の日本の政界よりはあの当時は、「スター」がいたということだろう。とまれ、良い本で、推薦します。

98年04月20日

 ポール・マッカートニーの奥さんのリンダが死んだ。彼女がウィングスの後ろの方で、キーボードやバックコーラスを歌っていた姿は今でも思い出します。ちょっと華奢で、ニューヨーク出身だったからアメリカ人だったのでしょうが、イギリス人という感じがした。馴れ初めは知りませんでしたが、日経の夕刊によればローリング・ストーンズなどのロック・グループの写真を撮っていた人らしい。だからポールとは、一種の職場結婚ということなる。享年56才。癌が病因で、まあ若すぎる死でしょう。

 ポール・マッカートニーが何年か前に東京に来て、東京ドームでコンサートをした時には、わざわざ見に行きました。大学時代にビートルズが好きだった友達と。あの時リンダも多分いたと思う。結構「鴛鴦夫婦」だったような気がする。結婚が1969年だから、30年近い結婚生活がある。今の芸能人の世界では、特に長いと言えそうだ。

 部屋に置いていて時々聞くアルバムに、「Tug of war」というのがある。「綱引き」という意味。ビートルズが解散されたあと、1971年にポールはリンダなどと「ウィングス」を結成した。その「ウィングス」も1981年に解散するが、その直後に出たのがこの「Tug of war」で、最初の曲がこのアルバム名と同じ曲。4分21秒の比較的長い曲で、ビートルズ時代の全体にあの速いテンポはなくて、静かな曲だ。

 ポールのコンサートで彼は一生懸命新曲を歌うのだが、聴衆の中には「新曲」を待っている人などあまりいない。みんな自分の青春と重なり合う古い曲を聞きたがっているのが伝わってくる。それを知っているポールは、時々そういう曲を入れる。日本でも名前のある歌手は、その新曲と誰にでも知られている古い曲との組み合わせの中でコンサートを展開する。この東京ドームのコンサートも、三分の一はビートルズ時代の古い曲だったと思う。その時の盛り上がりは、新曲の二倍、三倍はあった。慣れてはいただろうか、「古い名前」で評価され続けることに、抵抗もあったはずだ。聴衆はしばしばひどく我が儘ですから。
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 この「Tug of war」のアルバムの7曲目に、「The pound is sinking」という曲がある。1980年前後に編曲された曲だから、当然そうなる。今なら「The pound is rising」ということになる。このアルバムに掲載されている歌詞はちょっと面白い。

The pound is sinking
ポンドは暴落している
ペソは下落している
リラは動揺している
まったく、ぞっとするね
マルクは保留している
フランは衰えている
ドラクマはまったく無力だ
それでも、みんな取引を続けている

市場は今や
底が抜けたように大騒ぎ
そして、生き延びるのは強者だけだ
ねえ、僕はこう感じているんだ
これは疑いの余地なく明日だと...
誰も細部ばかり気にして
全体を見ていない
君の親父さんは
並はずれの人物だった
だけど、きみは親父さんの
マンネリズムを
あまり多くは受け継いでいないようだね
いや何一つ受け継いでいないようだ

ドルは変動している
ルーブルは高騰している
円はどんどん上がっている
それは別段驚く事じゃない

市場は、今や
そこが抜けたように大騒ぎ
そして、生き延びるのは強者だけだ

聞いておくれ、恋人よ.......

 と続く。全体を載せるのは問題あるでしょうから。「マルクは保留している」の部分は「The mark is holding」で訳した人間は、相場英語をまったく知らない事(^_^)(^_^)が明らか。当然ですけど。「マルクはしっかりしている」くらいか。新しくセクションに配属された人間に訳させると、この歌詞は相場の勉強になる。「マンネリズム」(mannerisms)をそのまま訳したのはいただけない。「mannerism」には二番目に「(言行、身振りなどの)独特の癖」という意味がある。こっちの方だと思う。ポールも、変なものに興味を持った時期があったと言うことだ。今歌うには、「通貨」を入れ替える必要がある......が。

98年04月19日

 たまたま週末2日間ともテレビでナイター中継を見ましたが、自分なりに「なぜジャイアンツが伸び伸びと野球ができないか」「強く見えないか」が分かったような気がしました。まだ二つ勝ち越しているチームに失礼かもしませんが、いまのままでは選手は疲れてしまう。

 一言で言えば、「捨てゲーム」がないのです。何時も「このゲームは大事だ」とばかりに勝ちに行く。マスコミも、自分の中継の大事さを喧伝したいのかまだシーズンが始まったばかりなのに、「今期を占う....」とか、「3連戦の初戦で....」とか、「昨日勝っただけに今日勝たなければ....」とか、一つ一つの試合の重要性を強調する。しかし、プロ野球は優勝チームでさえ6割に満たない勝率で優勝する。3試合すれば1試合は絶対負けるのがシーズンです。

 麻雀をしているとよく分かるし、賭事はすべてそうだと思うのですが、すべてを勝ちにいこうとすると確実に負ける。麻雀でも調子の良いときは、配牌を見た瞬間に「あ、この手はこう来たときには勝負だが、それ以外は遊び」と判断出来る。この判断が出来ずに無謀なことをすると、大体良くない。

 昨日野球を見ていて、巨人には「敗戦処理の投手」がいないのに気が付きました。大きく負けているのに、入来が投げている。あれでは入来がかわいそうだし、他の選手も一回緩んだ手綱をまた引き締めなければならない。野球解説を聞いていて、「捨てゲーム」の考え方が一番よく分かっていると思うのは、豊田さんです。酒を飲んでへべれけになったままテレビ番組に出てくる大変な人ですが、負けゲームを選手がどういう精神状態で終えれば良いのか一番分かっていると思う。

 今のジャイアンツを見ていると、全試合中継されるせいか選手がみんな硬くなっている。あれでは疲れる。マスコミも一試合一試合を注目しすぎる。重要なのは監督の働きだと思う。選手が気を抜ける采配をしないと、選手が疲れてしまう。長島さんも、野村さんもそれが下手。

 正確には知りませんが、ここ数年はヤクルトとジャイアントが連覇を出来ずに、一年置きに優勝しているそうだ。力が拮抗しているという見方もできるが、どちらの選手も1シーズン優勝に向かって走ったら次のシーズンにはもう力が出ないような状況に置かれているのではないか、とも思う。疲労困憊して。

 今年のヤクルトは抜け殻のようだ。勝つことに疲れている。その意味では、今年のジャイアンツは優勝のチャンスがある。しかし、週末の対阪神戦を見ると、今年はヤクルトでもジャイアンツでもないチームが優勝するような気がする。ドタ感ですが。

 まあ、我々の日常生活でも「捨てゲーム」は必要なんでしょうね。(^_^)(^_^)

98年04月18日

 イギリスのエコノミストを読んでいたら、あまりにも良くまとまった記事があったので、つい翻訳しました。久しぶりに。たまには翻訳もしないと、腕が鈍る(^_^)(^_^)。多少、抄訳ですが。ニューヨークの株価は金曜日も史上最高を更新した。しかし、考えるべき問題は多い。

1.アメリカは今、自国経済の成功に祝杯をあげている。債務漬けの日本、失業の欧州とは対照的に、アメリカ経済は均衡のとれた成長と低いインフレ率という望ましい組み合わせを謳歌している。多くの予測家はこれがほぼ永遠に続くと予想している。しかし、それはアメリカ経済が辿る可能性のある唯一の道ではない。急騰する株価、合併熱、不動産と美術品の価格急騰などはみな、アメリカがバブル経済に突入しつつあることを示している。
2.シャンペンがそうであるように金融バブルはその最中はおいしいが、ひどい二日酔いを残す傾向がある。金融バブルの二日酔いは二つの形を取る。まず、突然破裂して苦痛に満ちた金融、および経済上の結果を残す。さもなくば、資産価格の上昇の効果が経済全体に伝搬して商品・サービス価格が上昇し、それに対して中央銀行が引き締め措置に出て最終的には破裂するというものである。3月まで一年間のアメリカの消費者物価は1.4%しか上昇していないから、これは迂遠な問題に見える。しかし、資産価格の急激な上昇は家庭の資産を増大させ、消費ブームを促している。国内需要が加熱するに従って、物価インフレは上昇してくる。いずれにせよ、バブルはアメリカ経済の拡大を危険にさらす。
3.アメリカにおける投機の行き過ぎ(speculative excesses)の兆候は、多くの分野で見ることが出来る。主な兆候は、次の四つである。過大評価された株価、高まる合併熱、上昇する不動産価格、それに通貨供給量の急速な伸びである。

(過大評価の株価)
4.アメリカの株価は過去1年に30%以上上昇した。株価は上昇を続けており、米企業の業績が今後一年に悪化する可能性が高いのに今週も史上最高を記録した。SP500種の1982年(ブル市場の開始年)以来の実質累積利回り(cumulative real return)は825%に達したが、これは1920年代のバブル期間中の730%を上回っている
5.株価上昇のかなりの部分は、経済環境の改善を反映している。インフレは低下し、政府財政は黒字化し、新技術による経済の形は変化している。企業収益は史上最高を更新している。しかし、これらをもってしても現在の株価は正当化されない

(高まる合併熱)
6.巨大銀行の合併熱に示される合併ブームは、バブル経済の顕著な兆候である。アメリカのM & Aは史上最高レベルにある。昨年の合併規模は、9570億ドルでGDPの12%に相当した。これは1991年の1380億ドル(GDPの2%)を大幅に上回り、これまでの史上最高だった1988年の3520億ドル(GDPの7%)を大幅に上回る。今年はまたまた史上最高になりそうである。今年は既に4月13日現在で4410億ドルに達している。
7.今世紀アメリカでは4回の大きな合併ブームが見られた。1900年代の初め、1920年代、1960年代、それに1980年代である。特徴は、力強い経済成長、急速な信用の拡張、それに株式ブームである。最初の3回は、1904年、1929年、1969年のクラッシュで終わった。1980年代の株価ブームは、1990年のリセッションで萎んだ。
8.合併ブームは、新技術や規制緩和によって引き起こされるが、それを加速するのは株価の急騰である。収益に対する割高な株価は、合併資金を調達する割安な方法である。合併の急増はまた株価を押し上げる。合併の増加は、合併を狙っている経営者を焦らせる。合併を遅らせれば、合併が割高になるからである
9.この時こそ、ブームがバストする時である。ブームの最後に起きる合併の多くは性急かつ思惑違いに終わる傾向を持つ。喧伝された合併メリットは期待外れに終わり、これが投資家のバラ色の見通しを暗くし、クラッシュに寄与する。4月6日に発表されたシティープとトラベラーズの合併には、ブームの最後のそれの臭いがする

(上昇する不動産価格)
10.バブル経済の第三の兆候は、泡まみれの不動産市場である。1997年に商業不動産の賃貸料はサンフランシスコ、ボストン、ダラスで20%以上ないしそれ以上上昇した。ニューヨークではタイムズ・スクエア近くの開発現場に平方フィート当たり180ドル相当の値が唱えられているが、これは6ヶ月前の約2倍である。住宅価格は、長期住宅ローン金利低下により多くの都市で急速に上昇している

(強気論と新経済論)
11.アメリカでバブルが発生していることを示すもっとも納得できる証拠は、自国経済や株式市場に対する慢心が広く見られることである。メリル・リンチの調査によれば、アメリカの株式市場の先行きに「弱気」な投資アナリストは、過去6年で一番少なくなっている。株価が連日史上最高を更新し、企業収益の伸びが鈍化しても、大部分のアナリストは株式投資を増やすように推奨している
12.これに関連して、アメリカ経済は古い経済や市場のルール(たとえば、「上がったものは下がりうる」といった)が適用されない新しい黄金時代に入ったとの見方が広まっている。これは過去のバブル期にも顕著に見られた現象である。フォーブズは1929年6月に「過去5年間というもの、アメリカは新しい産業時代に入った。我々は、足早ばかりでなく、実に雄大なスケールで産業面でも、経済面でも進歩しつつある」と書いた。株価クラッシュの4ヶ月前である。フォーブスはまた1968年10月に、「過去10年に起きた変化により、我々は異なった−新しいとは言えないが−時代に突入しており、伝統的な考え方、市場に対する従来型のアプローチは実際の世界の動きに合致していない」と書いた。株価がその後6年間にわたって低迷する直前で、その間にアメリカの株価は実質60%下落した。

(通貨供給量の急増)
13.最後の、しかし他に劣らないアメリカのバブル経済ぶりを示すのは、通貨供給量の急激な伸びである。広義の通貨供給量であるM3は、3月までの一年で約10%も増加した。これは1985年以来で最も急速な伸びである。M2も急速に増大している。大部分のエコノミストは、いくつかの指標が相反するトレンドを示した時に、この統計を見るのをやめてしまった。しかしながら、量的金融指標は有用な指標である。
14.アメリカ経済がバルブに陥っている兆候は顕著であり、これは連邦準備制度理事会が金融政策を引き締める必要性を示している。しかし、それは思うより難しそうだ。思惑の行き過ぎを抑制するために利上げするFEDの能力は、限定されている。FEDは、上昇ではなく下落している消費者物価でのインフレを抑制する法的権限を与えられているに過ぎない。金融バブルを止めるのは、難しい仕事である。だからこそ、連邦準備制度理事会は最初からバブルを止めるために金利を引き上げておけば良かった。しかし、一つだけ確実なことがある。引き上げが行われなくてパーティーが長く続けば続くほど、二日酔いはひどいものになるだろう、ということである。

98年04月17日

 今日はごちゃごちゃ書きません。短い言葉の紹介。

 桑田の決意

 マウンド、それは「私の聖地です」
 右肘の傷、それは「私の勲章です」
 200勝、それは「私のです」

 桑田が、神宮球場の近くの行きつけの寿司屋に送った葉書の文言です。見せてもらった。人間には色々な場面、成長過程がある。確かに彼がプロに入ったときには、いろいろあった。親に対する態度も冷たいと思う。しかし、やはり右肘に傷を負って以降の桑田には、スポーツ選手らしいすがすがしさがある。スポーツに対する畏敬も。だから、彼にはしばらく頑張って欲しい...といつも思っています。

98年04月16日

 偶然、奇遇、「It'a small world」........とまあ何でも良い。午後7時30分からの約束の日経・佐藤氏と会う前に、東京駅の下の東京クーアに行く事と本(プレゼント用)を買おうと青山から京橋に出て、東京駅に向かって歩いていたら、八重洲ブックセンターが。「ここなら絶対売っている」てなもんで、入ったんですな。そしたら、「本日は.....」と館内放送。「田中 角栄」の水木 楊さん、「ジャーナリストの作法」の田勢 康広さんのサイン会をやっていると。そりゃ挨拶代わりに、本を買ってサインしてもらおうと思っていたら、「伊藤さん....」と。あの入り口でです。

 ははは、新潮社の伊藤さんでした。サイン会に来られていた。他に新潮社の知り合いの方も。2冊の本はともに日経から出ているのですが、この二人の著者は新潮社とも縁が深い。それでということなのでしょうが、実に実に長い列が出来ている。私たちも並びました。見ていて、「うーん、サイン会とはこうするのか...」といった具体。八重洲のブックセンターでサイン会というのは、著者にとってとっても名誉なことなのだそうです。しかも、開始の午後5時半からしばらく人が並ぶのではなく、最終の午後6時半までびっしり人が並ぶことが。見ていたら、凄い人が並んでいる。最後まで途切れなかったと思う。私は全く偶然でしたが、16日の日経朝刊にサイン会の話は出ていたらしい。

 会場には、日経の出版局長の上田さんや、出版局総務の山田さんもいらっしていて、伊藤さんに紹介してもらって名刺を交換しました。私も日経から本を出しましたから、縁はあるし、日経の方々は小生の事もご存じだったようです。田勢さんとは初めてでした。髭が良く似合う。水木さんは全日本鍋物研究会の代表でもありますから、良く知っている。偶然とは恐ろしい。寄る本屋はどこでも良かった。歩いていたら、八重洲ブックセンターがあっただけ。それがすべての始まり。

 しかし、「田中 角栄」が面白いという話はTBSの千葉ちゃんから聞いていた。だから、買いたいとも思っていたのです。帰宅の途中から読み始めましたが、相変わらず文章が旨い。伊藤さんとも話しましたが、「その巨善と巨悪」の副題がいいじゃないですか。人間には必ず「善」と「悪」が共存している。田中角栄はその二つが、傑出していたということです。どちらかを強調してしまうと、人間がかすむ。ハリウッド映画の行き詰まりは、人間を色分けし過ぎることだと思う。水木さんがあと田中角栄をどう描くか楽しみです。今週末には読めそう。

 日経・佐藤氏にプレゼントで買った本は講談社の本です。嵐山光三郎が出した「不良なんとか」という。ナショナル証券の内藤さんから回してもらったのですが、これが面白かったので取締役広告局長になったばかりの佐藤さんには是非...というわけです。ハハハ。ニューヨークで一緒でした。オフィスが大手町にあったときは、たまに道でばったり会ったのですが、久しぶりだった。
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 一つホームページを紹介しましょう。昨日一緒に夕飯を食べた福田君が、こっそりと(^_^)(^_^)作っていたページです。URLは、http://www1.nisiq.net/~kfukuda/で、ネットスケープで見ると左のgif だかが見れない。エクスプローラーでようやく見える。ちょっとひょうきんな絵ですが、面白い。活動の範囲が良く分かる。本人は「まだ内容が薄いので....」とおっしゃっているが、徐々に充実するでしょう。ホームページと言えば、大阪の山本さんから、「訪問者数が1000件を超えました。tks」とのメール。私が紹介した「天使はこの森でバスを降りた」(The Spitfire Grill)を見たそうです。山本さんは、私なんかより遙かに映画ファンです。それから、今日はG7があったので、いつもの週より一日早くnews and analysis を書いてあります。
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 米商務省から興味深いレポートが発表された。急成長を続ける情報産業に関するもので、その内容は次のようなものである。

  1. インターネットのトラフィック量は100日ごとに倍増している。ビジネス・ユースが急増しており、個人ベースでもアメリカでは6200万人がこれを利用している。全世界の利用者1億人の約6割を占める
  2. 97年末までにインターネットでオンラインで買い物をしたことのある人は、アメリカ、カナダで1000万人に達した。航空チケット、本、自動車など。これは97年6月末の経験者740万人から急増している。
  3. 企業間のインターネット取引は、2002年までに3000億ドルの規模に達し、こうしたインターネット取引により米企業は巨額のコスト引き下げを可能に出来るだろう
  4. 消費者はネットでのカード使用に徐々に慣れて、懸念することも少なくなってきている
  5. インターネットはそれに先立つ他のどのテクノロジーに比べても、急速に成長している。ラジオは5000万人の聴取者を獲得するのに38年かかった。テレビは同数の視聴者を獲得するのに13年かかった。インターネットはたった4年でそのポイントを通過した。1994年には300万人がインターネットに接続しているだけだった。しかし、今やその数は1億人に達した
  6. 情報技術産業の成長率は他の産業のそれの倍である。情報技術がなければ、1997年のアメリカのインフレ率は3.1%に達し、実際の2.0%を1.0%以上押し上げていただろう
  7. 情報産業の労働者の賃金は年間4万6000ドルと他の民間産業の平均2万8000ドルよりはるかに高い
 など。これらの数字は何かのレポートに使えそうですね。商務省のサイトで、詳しいレポートを読む必要がありますが。

98年04月15日

 ははは、いつもメールをもらった人とばかり食事をしているのは怠慢....ということで、「論争」(東洋経済)の5月号に「主役はもはや銀行ではない」という論文を寄せている竹内文則さんに電話して、食事の約束をしました。竹内さんの書いた文章は、アステイオンでも見かけていて、その時も興味を持っていましたので。まあ不躾ではありますが、竹内さんもこの論文の中で「スピードの経済」の重要性を論じておられる。多分、私のことをご存じだろうと思ったわけです。

 実際にその通りで、話していて共通の知り合いも多かった。長銀総合経済研究所にお勤めの方で、永田君の上司に当たるそうで、副理事長の吉富さんともお会いしたことがあるし、長銀証券では小池さんは昔からの知り合いです。竹内論文が指摘している「4つの S」では、最後の「skinship」が面白かった。その通りです。

 かなり以前に読んだアメリカの銀行業界の話にこういうのがあった。「どうやったら預金を増やせるか」をいろいろな人(銀行)が、いろいろ考えた。ある人は金利を高くすればよいといい、ある人は景品を出せばよいと言った。しかし、いろいろやって「預金増強」で一番効果的だと分かったことは、「パーティーをする」という事だったというのです。物忘れが激しい小生(^_^)(^_^)ですが、この話ははっきり覚えている。

 経済を「理論」で考える人は、業務における「skinship」の重要性を忘れる。しかし私の理解に寄れば、人間はしばしば「合理的な存在」でも「経済的な存在」でもない。金利を0.1%高くしてくれるよりも、足繁く家に来てくれる銀行の女の子を気に入る。そして、その子に頼るようになる。これは非常に重要な点です。添い寝はやりすぎだが、人間にとってお金も、結局は幸福のための手段です。将棋でいえば、王将ではない.....てなことを考えました。

 竹内さんがあと指摘している三つの「S」は、「スケール」「スピード」「スコープ」で、その通りだと思います。「economy of 〜〜」とやれば、その意味が分かります。
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 この「論争」を持ってきてくれたのは実は、第一生命経済研究所河野君で、上司の野村さんと一緒に今日昼を食べた際。この「論争」には河野君の文章が二つも載っている。彼も活動が活発になってきた。欲を言えば、「もうちょっと長い論文の方が良かったのでは....」という点。特に「失業」の方は。夜一緒に食事した東洋経済の福田君との話の中にも出てきました。この点は。おっと、「論争」に載っている文章と全く同じものが、研究所のサイトに PDF で掲載されている。(??)

 PDFでは苦労している人が多いようです。「伊藤さんの文章を読みたかったが、PDFだったので落とせなかった....」といった。オリックスや日本石油の人に言われたことがある。でも、小生の感覚だとPDFが難しいソフトだとは思わないのです。ダウンロードして、ショートカット・アイコンをデスクトップにでも置いておけば、あとは問題なく使える。ダウンロードは、ここから簡単にできます。ISDNだったらあっという間に終わります。
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 地図のサイトとしては NIFTY の山川さんから、こういう場所を教えてもらいました。社長さんがご存じだったそうで。メニューの中に「東京レストランガイド」がある。ここをちょっと進んでここにハイパーリンクして、「今日生まれた人」というコーナーがあり、チャーリー・チャップリンが4月16日生まれだと判明。

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 ところで4月16日朝7時にはG7声明が発表されます。前回(2月下旬)の声明の「日本」と「為替市場」に関する声明部分と今回の声明を読み比べると、今回の声明の意味が分かりそう。

 

5. In Japan, activity is low, and the outlook is weak. Recovery will require continued action to strengthen the financial system and regulatory reforms of the financial and other sectors, so as to increase openness. We welcomed the progress so far on the Big Bang reforms of the financial system. In the view of the IMF there is now a strong case for fiscal stimulus to support activity during 1998.

7. We discussed developments in our exchange and financial markets. We reiterated that exchange rates should reflect economic fundamentals and that excess volatility and significant deviations from fundamentals are undesirable. We emphasized that it is important to avoid excessive depreciation where this could exacerbate large external imbalances. We agreed to monitor developments in exchange markets and to cooperate as appropriate.

98年04月14日

 蒸し暑い一日。にも関わらず昼前から夕方までほとんど外出で、地下鉄の中でうなってました。まるで、梅雨の季節のような一日....。

 ある会社の財務セクションを訪問した後、茅場町の日本経済研究センターに。5月に講演するのですが、会場が地下なのがトラブル。私のいつもの講演方法が採用できない可能性があるので、実地見聞に行ったのです。インターネットをオンラインにして講演する方法。経済の変化を示すのに一番良い。それにパワーポイントを加える。日本経済研究センターでは FORESIGHT に「大競争時代が始まった」を書いた94年にも一度講演会をやっているのですが、そのころは私はまだ PC も始めていなかった。

 地上だったら問題ない。PHS や移動電話は電波を大体拾える。しかし、地下はトラブルです。PHSのアンテナがあっても大体が駄目。研究センターの進藤さん以下施設の方々にも一緒に見てもらったのですが、やはり電波は来ない。今会場にある電話は内線電話で、従って「0,」とやってみるのですが私のコンピューターは反応してくれない。センターでは今までパワーポイントを使った講演はあったそうですが、インターネットをオンラインにしての講演はなかったそうです。まあ、私が第一号ということです。私の場合最近は、講演会ごとに講演用のホームページを作ることにしているので、これは html を書け、サーバーを持っていないとなかなか出来ませんから、出来る人は少ないのでしょう。

 で結局その場で出た結論は、「今後こういうこともあるだろうから、直通電話を引くことを検討する」というものでした。私の講演期日までに。実際にそうなるかどうかは分かりませんが、センターのためにも良いのでは。なにせ、センターの大きなセミナー・ルームは地下一階ですから。

 あと自分で思うのですが、小生はどうしても内線電話と自分の PC との接続が下手な気がする。どたなかこれにたけた人がいたら、秘訣を教えていただきたいものです。九州やソウルのホテルで貸してもらった接続器を使うのも一つの方法かもしれない。
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 昨日取り上げた辞書と地図に関しては、MS96さんから以下のようなメールをいただきやした。

> ところで「辞書」ですが、やはりしばらく使って MS-IME には
> 違和感があることを知りました。転換の第一候補がどうしても
> しっくりこないのです。

小生もATOKを常用してます。
あるPC雑誌のテストレポートによると、
通常の変換精度はどちらも満点に近いのですが、
同訓/同音異義語 < これ以外に方法がない。指揮を執る。 >
全35問中 ATOK11は32問、IME98は27問正解
細切れ入力 < そうするしか仕方ない。夢にも続きが現れた。>
全15問中 ATOK11は7問、IME98は11問正解
”〜が出るたびに” とか ”テントを張った”など変換での際、
製品に癖があるようです。

ところで地図ですが、VAIOにある地図ソフトは
既に御使用になられてますよね?
都内であればNTTのタウンページも便利です。
http://townpage.isp.ntt.co.jp/

 そうですか、そんな調査があったのですか。私の場合は、使っていてどちらが自分の感触に合うかという点を評価しただけで、川上ちゃんにもアドバイスをもらったけど、どうしても ATOK の方が使いやすい。まあ心のどこかに「ジャストさんには、頑張ってほしい」という気持ちもあります。「再定義」よろしく。これが出来れば、MS-IME はいりませんから。

 VAIO の地図は知ってました。NTT のサイトにあるやつは、使えそうですな。

98年04月13日

 ある人からメールが来ました。それは4月の末に行われるあるパーティーの時間と場所を知らせるものでしたが、場所の通知に非常に興味深い方法が取られている。文章で知らせるのではない、地図を添付しているのでもない。実は小生は良く行く場所をスキャナーで撮って GIF にしてあるサイトに置き、必要な時はその URL を相手に教える方法を取っているのですが、それでもない。何してあるかというと、ある会社のサービスの中で「場所」を知らせてきているのです。

 小生もこのサービスについては良く知りませんので、興味のある方はこの会社のサービスですから調べて頂けば良いのですが、面白いのはスタート・ページに行って、指定の電話番号(例えばレストランのそれ)を入れるとその電話番号を持つビルの場所を指し示す方式になっている。これは私としては初めて遭遇したサービスです。

 これはNiftyserveの山川さんとの話の中でも出てきたのですが、ネットワークでの授受で一番ややこしいのは「地図」です。確かに色々な記号を使って上手に地図を書く人はいる。それはそれで楽しい。しかし、小生のようにそんなことにはあまり興味がない人間は、地図の送付もネットワーク上で文章と同じ様なスピードで出来ればと思う。よく使う地図に関しては私が取っている方法は上記の方法ですが、例えば「新しいレストランを発見した。そこで会合.....」というような時には、地図を書いて、しかもファックスしなければならない。ファックス送信先をグループ化するにしても面倒。一番良いのは、指定の場所を示す Web 上のサイトがあってそれを指定することです。

 この会社が、電話番号をどのようにして地図と関連づけているのか、どういうケースにおいて情報提供しているのか、誰が料金を払っているのかまだよく調べてありません。しかし、役立つサービスであることには間違いない。ちょっと調べてみます。ネットで一番のトラブルだった地図問題が解決すれば、またまた役立つものになる。自分の知っているいくつかのレストランの電話番号を入れてみたら、そのレストランの場所が表示された。これは使える。
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 ところで「辞書」ですが、やはりしばらく使って MS-IME には違和感があることを知りました。転換の第一候補がどうしてもしっくりこないのです。文章を制作するにはやはりリズムがある。辞書変換におけるストロークの増加は、このリズムを崩す。で、我が儘ですが私が決めた方式は、入力の際はATOK を使う。完成して直しの時には、MS-IME を使う。あの「再定義」機能は、捨てがたい。

98年04月11〜12日

 新宿の先、笹塚にある新国立劇場にプッチーニの「蝶々夫人」を鑑賞しに行きました。このオペラハウス(96年央に完成と書いてあった)には初めて行きましたが、綺麗です。着いたところは、山手通りと甲州街道の交差点でここはまだ工事中のような感じでしたが、中に入ったら作りはしっかりしているし、劇場の中もさすがに新しい。気がついたのは、日本のお客さんにもオペラをよりよく理解してもらおうと思ってか、日本語の字幕がある。私が行った日はたまたまでしょうが、場面場面で故障していた。一緒に行った人と「チケット代は割り引きにしてもらおう.....」なんて話をしてましたが。しかしこの字幕、役に立つのです。「へえ、こんなことを言っていたのか...」と。今までは、せりふを想像しながら聞いてた。

 オペラはニューヨークではシーズン・チケットを買って見ていましたが、日本では多分初めて。しかし、ミュージカルもそうですが、日本のこの手のステージの腕は着実に上がっているように思う。今回の松本美和子さんという歌い手さんもなかなか良かった。満席の売れ行きだったように思う。お年を召した方が多かった。オリックスの社長さんもいらっしてましたね。見かけたところでは。あと数日やっていると思います。入り口で、今後のこの手の音楽、劇などのパンフレットを山ほどもらった。良いのがあったら行きたいものです。

 それにしても、このコンプレックスの中にも大きなビルが出来ていて、多分オフィスになっているのでしょう。ここから少し北に行くと、中野坂上に大きなオフィス・ビルのコンプレックスができている。パークタワーも上はホテルですが、大きなビルです。東京には実に実に数多くのオフィス・ビルが出来てきている。きっと、東京のオフィス価格はまだまだ下がります。
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 暑い週末でしたね。土曜日は金曜日の夜が遅かったので起きたのが10時過ぎ。11時半には家を出て青山に向かったのですが、暑かった。もう T-SHIRT の人も多かった。その後六本木に向かいましたが、これは「テレビ東京の東京マーケット・フォーカス」で一緒だった田中、中山、槙との久しぶりの4人組のため。青山から六本木は、歩いても本当に近い。なんとなく見ていたら、レストランから白い衣装を着た花嫁が出てきました。「レストランで結婚式」は今ブームなのだそうです。その代わりにブームが去ったのが「ホテルでの結婚式」。都内の有名なホテルも結婚式の減少に頭を抱えているそうだ。

 しかし、これは考えてみれば当たり前です。結婚を控えて連中が、式をホテルで挙げるために数百万円の貯金をする。ばかな話です。都内の有名なホテルではこの手の結婚式が昨年の末から激減して、「いよいよ葬式を誘致しなければ」という話になっているらしい。何人かの人から聞きました。多分そうなんでしょう。虚飾が落ちて、みなが無理のない範囲で楽しめる結婚式になりつつある。そう言えば流行に敏感な芸能人も最近はホテルで結婚式をしない。海外でしたり、レストランでしたりする。当然の流れです。ホテルには、厳しい話かもしれませんが「文化の発信地」としてホテルにはもっと頭を使ったサービスを期待したいものです。

98年04月10日

 急に天気もよくなって、「ゴルフの季節」といった雰囲気。アメリカではマスターズがスタート。ネットで見ようと思って「どうせ http://www.masters.com」だろうと思ったら、これが違った。「experience in data processing, turnkey systems,network design, system integration, communications, and connectivity in multi platform environments.」とかあって、要するにコンピューターの会社のURLでした。

 ゴルフのマスターズの方のURLは、「http://www.masters.org」で、これがオフィシャル・サイト。多分去年もそうだったと思うのですが、緑を基調にした綺麗なサイトです。コースガイドまできちんと出来ている。傾斜まで分かる。丸山がそこそこ活躍していますから、見る価値がある。この週末から月曜日朝にかけての楽しみです。昨日も今日も介入があって市場はがたがたしていますが、月曜日までイースターで海外は休場。今回の一連の動きについては、news and analysisに分析を載せています。
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 ゴルフがらみでは、先日以下のようなメールが舞い込んでどきっとしました。珍しいので。

Subject:こんにちは岡本綾子です

Swing Clubの皆様へ
 私は昔から、心の中の秘め事をあまり人前では話さない主義を貫いていますが、今年考えていることを少しお話しします。
 いよいよ3月から公式戦が開幕しましたが、プロゴルファーとして、年々、シーズンで1勝することの難しさを実感しています。
 プレーヤーとして皆さんの前で云えることはただ一つ、
 「1勝すること!!」
 です。

 その他、試合に良い条件で臨むべく、トレーニングをしたり、いろいろ遊び心を大切  に活動します。

                                              岡本綾子

 P.S.これからも時々メールを送りますので、皆さんからもメールを送って下さいね。

 ははは、最初の「岡本 綾子」のところを見てなかったものですから、「秘め事」とか「考えていることを少しお話しします」などと出てきたら、心当たりがないので「なぬ.....」という感じ。思い出しました。岡本 綾子さんのサイトの会員になったのです。ですから、忘れた頃にメールがくる。確かに2試合くらい前ですが、前半よかったのに後半崩れて優勝できなかったことがある。勝ちたいのでしょう。しかし、まったくのドタ感でいうと今年は大きな試合で一つは勝てそうな気がする。理由は、今の不調は長年の疲れを取っている段階だと思うからです。むろん、「勘」ですが。

98年04月09日

 久しぶりにNiftyserveの山川さんとお会いしました。最初にテレビ番組に出た頂いたときは、取締役企画部長だったと思ったのですが今は常務さん。今回は、山本副社長さんとも。大幅な料金体系改定の話から始まって、Niftyserveがインターネット上のURLを今までの「http://www.niftyserve.or.jp/」から徐々に「http://www.nifty.ne.jp」に短縮しつつある話から始まってほぼ2時間に渡っていろいろと話しました。Niftyserveの本社には初めてうかがいましたが、大森駅の近くにある。

 山川さんにはテレビに出ていただいたあとも何回か食事をする機会を作っていただいたのですが、そのたびに私としてもネット社会について新しいアイデアが浮かぶ。まあ私もどちらかといえば heavy user ですから使っていて思ったことを申し上げる、という感じです。今回も盛りだくさんの話で、今後の日本のネット社会の行方などが自分としてもかなりはっきりしてきた。ブラウザ中心の展開になるであろうこと、どこかビジネスくさい臭いが徐々にとれて、ネット社会の窓口が極めて大きくなるだろうといったことです。

 Niftyserveは既に、ホームページからあらゆることができるようになっている。メールの授受はもちろん、フォーラムにもパティオにも渡れる。多分今後一段とブラウザとの関係が深まるのでしょう。また、今はNiftyserveの利用者で一番年令層として厚いのは20代だそうですが、それが大幅に低下する可能性も話しました。ポケベルは落ち目、PHSも落ち目、そして今は携帯電話が隆盛です。しかし、安くさえなれば、そして身軽にさえなれば、ネットは10代の若者の大きなメッセージ交換ツールになる可能性を秘めている。

 山川さんの言葉で面白かったのは、「人間の脳は退屈している」というやつで、常に何かを求めている脳は、刺激さえ与えつづければもっともっと機能する。私もこの意見には賛成です。それはいわゆる「情報」といわれるものに限らず、もっと人間を対象にしたものになるはずです。人間にとって一番面白いのは、最後は人間だと思います。ささいなことでも電話をしたがる、ポケベルでやりとりしたがる人間の多さには驚嘆する。移動電話ももてば、電話がかかってこないのは寂しい。ネットに入ればメールが来ないのは寂しい。ネットはそうした現代の人間のニーズをまだまだ汲める存在になるだろうと思います。お二人には、また時間を置いてお会いしたいものです。私の感じでは、今後数ヶ月のうちに、Niftyserveさんからはさまざまな新機軸が打ち出されそうです。
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 それと全く奇遇と言うか、オフィスに戻ってメールをチェックしたら、Niftyserveの社員の宮下さんという方からメールをいただいていた。私のNiftyserve訪問とはまったく関係なく、「今年は7年に一度の諏訪の御柱ですね」といった内容の。「御柱」とは、冬のオリンピックの開会式でやった柱を立てるあれです。「7年に一度」の祭りなんて、全国探しても珍しい。私もむろん「何を差し置いても」見に行きますが、偶然とはいえび・つ・く・り。宮下さんは、岡谷の隣の辰野のご出身だそうです。

98年04月08日

 ははは、今日は遠方より友来る。遠方も遠方、カナダのトロントから。館林さん。一年ほど前ですか、小生が多分名古屋出張で新幹線の中にいるときにメールチェックをしたら、館林さんからの「リンク依頼」が来ていたのが最初の縁だと思います。私もその後リンクを張った。一ヶ月ほど前に「(出張で)帰国します」とのメールをもらい、本日同系列の証券会社の小池さんとお会いしたもの。小池さんとはもう20年以上のおつき合いです。

 私と館林さんのホームページの一つの共通項は、お互いに所属機関を明らかにしているということ。ホームページ仲間は多いけれども最初から所属機関をはっきり出しているページは多くない。だからどうこうということはないのですが、まあそんな話になった。館林さんはトロント駐在。古い話で恐縮ですが、私は多分1977年にナイアガラの滝を見たついでにトロントに一泊した。綺麗な町でした。湖に浮かぶ船のレストランがとても良かった。

 それぞれの国を前面に押し出した日本人の各国特集ページも増えている。インドネシアだったらこれ、韓国だったらこれと決めているのですが、館林さんのページはカナダを見る上で大いに役に立ちます。カナダの経済情勢や観光に関して興味のある方は是非立ち寄られると良いと思います。3人とも金融機関勤務ですから、色々なことに話の花が咲きました。が出張中は休み。あと少しでカナダに帰国する。更新を期待しましょう。
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 (^_^)(^_^)軽タクシーの普及に努めている国吉さんから頼んでおいた写真が届きましたので、ここに掲載します。こんな感じなんです。見ても触っても「軽」です。写真を3枚も送ってきて下さった。まあ、一枚で十分でしょう。興味をもたれた方もいたようで、「国吉さんの電話番号を教えて」というメールももらいました。

 都内に一台しかありませんから、偶然に見かけて乗れるというのはあまりチャンスはないかもしれません。しかし先日書いたように、今後台数は増えるのだそうです。しばらくしたら、10台くらいになるという。そしたら乗れるかもしれません。はっきり言って、大きな普通車に慣れた身には乗り心地は悪い。しかし安いのは良い。
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 夕方はフォレックス・クラブのパーティー。東京外国為替市場の関係者の例会。何人か久しぶりの人に会いました。神田 安子さん。今はモルガン・スタンレーにいる。彼女はずっとニューヨークにいた。5〜6年前からの知り合いですが、私がニューヨークに出張するか、彼女が東京に来たときしか会ってない。元気そうでした。今はカスタマーだと思う。Niftyserve の Fkinyu Forum でお馴染みだった KAZU さんにも会いましたな。オーストラリアの銀行勤務。彼とも2年ぶりくらい。山一から新日本に移った吉野さんとも久しぶり。あと、私のテレビ番組も見ていたし本も買ったと言う八十二銀行の伊藤さんという人にも会いました。初対面だが郷里が近い。名刺にサインを求められたのにはちょっとびっくりしましたが。

 このパーティーに行くといつも会う連中とも。NORIKO さんもその一人。もうあとは東京外国為替市場の古株どもと。だいたいパーティーの最初の方で、この連中が右前方でぐっと固まる。まあ、いつものひやかしあいと、あとは冗談の投げ合いです。黒田国金局長の話は、派手ではないが味がある。

98年04月07日

 私の記憶では、シティバンクの株価は多分90年代の初めには7ドルくらいに落ち込んだことがありました。それが昨日のトラベラーズとの合併報道で、一日に38.625ドルも上昇して180.50ドルになった。トラベラーズの株価も、11.3125ドル上昇して73ドルでの引け。スイスの二大銀行の合併もそうですが、世界の金融業界の動きは加速してきた。

 二つが合併してできる「CITIGROUP」は、伝統的な銀行業務、消費者金融、クレジット・カード、投資銀行業務、証券、不動産損害保険、生命保険までを扱える。「ユニバーサル・バンキングの最初のパラダイムが見えた」とコメントした金融アナリストがいましたが、既に日本でもシティバンクの支店がそれほど珍しくない現状では、このコメントも頷ける。決して、「アメリカで起こっている出来事」ではない。新会社は、100の国に、1億人の顧客を持つという。

 この合併を契機に、不振が伝えられるモルガン・ギャランティなど他の米銀も動き出すでしょう。ライバルがフル金融業務ができるようになるのに、伝統的な「BANKING」に頼っていることは出来ない。金融業はいよいよ知力とシステムを駆使して顧客を奪い合い、グローバル・ビジネスになったということです。CITIGROUPの二人の首脳は発表から一日たって、「顧客の数を10億人に増やしたい」と述べている。当然、日本での顧客増も狙っているのでしょう。
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 これに関連して、昨日スミス・バーニーの知り合いと話していて気がついたことがあります。この会社はまずトラベラーズに買収され、そのトラベラーズはソロモンを買い、そして今度はCITICORPと合併した。その度に何が起きたかというと、ストック・オプションの権利を持っている上級幹部の連中の資産の急激な膨張。実際の株を持っている連中の資産の増加も著しい。それは、CITICORPのサイドにも言える。一株当たり、今週の月曜日だけでCITICORPの株や株を買う権利を持つ人々の資産は、38ドル強も増加した。円にして5000円以上。一株当たりでですよ。10万株持っていたら....。会社の経営も「株価を引き上げること」を基準に行われている。純粋資本主義ですから、「株価本位制」です。だから、株をもっている人が富を得る。

 「土地本位制」の日本のバブルでは、このような異常なペースでの価値増殖は当然土地発生した。当時の事を知る連中に聞くと、朝買い、夕方売った、つまり横流しした不動産が2割、3割値上がりしたこともあったという。今のアメリカでは、それが株で起きている。今のアメリカの株がバブルかどうかは議論の余地があるところですが、こうした合併のたびに株価が上がるとしたら、それはやはり異常なことと言えるし、あとあまり続かないとも考えられる。なぜなら、どう考えてもこのCITIGROUPのような合併は、「あといくつ」と数えるほどしかないからだ。昨日のニューヨーク・タイムズには、「チェース・マンハッタン+モルガン・スタンレー」「JP モルガン+メリル・リンチ」「ペーン・ウェーバー+ドナルドソン・ラフキン」などの可能な組み合わせが載っていた。マスコミには、「JP モルガン+ドイツ銀行」という案もある。

 こうした巨大合併が短期的には「競争激化」をもたらしても、最終的に「競争の減少」をもたらすのではないかとの見方もある。今のアメリカの航空業界のような事態だ。アメリカでは、激しい競争が展開された結果、強いものが残り、航空運賃は上昇し始めた。金融業界だってそうなるかもしれない。しかし、市場の参加者一つ一つに言えることは、とにかく残っていなければ競争がゆるくなったあとのパイは取れないということだ。企業の生産活動が急速にグローバル化し(中小企業でもそうです)、常に世界を意識しながら経営をしなければならない環境の中で、今の日本の金融機関のように内向きの問題の処理に追われているようでは、あとを追うだけでも大変である。何よりも、経営(者)がグローバルになっていない。
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 ルーズベルトは、「私は新聞はいつもスポーツ面から読む。他の面には人間が犯した愚行が並べられているのに、スポーツ面には人類が達成した偉業が並んでいるからだ...」と言ったそうです。またまた良く知っている日本人がメジャー・リーグで「偉業」を達成しました。ピッツバーグのラモント監督の吉井に対する言葉です。

"What he looks like is a major league veteran," Pittsburgh Manager Gene Lamont said. "He knows what he's doing. He throws the ball in and out. He didn't look like a rookie. He had poise. He sure didn't look like a guy pitching for the first time in the big leagues."
 CONGRATULATIONS !!

98年04月06日

 ちょーラッキーだった一日の話
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 朝家を一回出ました。しかし、忘れ物をした。取りに戻って、いつものバス停(新高円寺駅前)に。しかし来そうもない。「遅れそう....」とタクシーを拾おうとして道を見たら、珍しい「タクシー」が来る。軽四輪なんです。ですから、凄く小さい。しかし、天井には「タクシー」と看板を付けている。そしてフロントグラスを見ると、「空車」とある。

 おそるおそる手を上げて、後部ドアの前に立つ。自動では開かないのです。運転手が手で開けてくれた。開いた瞬間に、

 小生    「いいの ?」
 運転手   「お客さん、珍しい車に乗りましたね....」

 ここからの話は面白かった。この軽自動車のタクシー、東京に一台、千葉に二台しかないという。「全国軽自動車タクシー推進連合」がこれらの軽自動車タクシーを運営しているという。会長は、「國吉 実」さんで、私が乗った車の運転手さんそのもの。14年前も東京に軽自動車タクシーを登場させようと奮闘したものの、安全規制でだめ。しばらくやめていたのだそうです。しかし、規制緩和の波が起きたことから「時節到来」と、去年の11月から再び「軽自動車タクシー解禁」に向けた運動を始めたのだそうです。

 私は知らなかったのですが、あちこちのマスコミにも声をかけたらしい。TBS とか、各紙や雑誌がのってきた。そして、あちこちで紹介されたらしいのです。車内にその時の新聞などがあった。國吉さんが、「軽自動車タクシー」を押し進めている理由は次の通りだそうです。

  1. 燃費が安く(普通車タクシーの三分の二)、日本の道路の7割を占める路地で圧倒的な操作性を発揮する
  2. 日本のタクシー一回平均乗客数は1.5人。つまり二人いない。ということは、1人とちょっとが乗れる軽自動車のタクシーが効率的
  3. 地球環境の維持に役立つ
 など。最後については、京都の地球環境会議にも出かけて、各国代表の注目を浴びたという。何でも、中国の天津ではタクシーは全部軽自動車だというのです。フランスからも、国土が狭いと言っている日本に、軽自動車のタクシーが無いのはおかしいという指摘があったという。

 國吉さんによると、「軽タクシー」をやりたいという人が今35人ほど面接を希望しているという。うち、10台くらいをもうすぐ東京で発射させたいという。コストは、車がスズキで90万ちょっと。もらった名刺には、「五円玉」が「御縁でした」とばかりに張ってある。来年の正式認可を目指しているという。初乗り料金は300円の予定。その後も、普通車タクシーの三分の二の料金だという。署名運動もしているようなので、署名をし、カンパをしてきました。普段は820円ほどのところなので、1000円を。

 でもラッキーじゃないのですか。都内に一台しかない軽タクシーに乗れるなんて。なんだか一日気分が良かった。凄い確率ですよね。小生が家に忘れ物をしなければ、こうしたことにはならなかった。たしかに、今の東京には「軽タクシー」が全タクシーの三分の一くらいあってもおかしくない。

 とまれ、國吉さんに頼んでこのミニ・タクシーの写真を送ってもらうことにしていますから、来たらどこかに掲載しましょう。名刺をもらいましたから、呼び出しもしてみましょうかね。ただし、3人は乗れない。2人がせいぜいです。

98年04月05日

 「リーダーが成長しないと 部下が伸びない」
 「海は広い それよりも広いものがある 空だ それよりも広いのは 人間の心だ」
 「仕事に遊びを 遊びに心を」
 「当たり前なことが出来ないと あたり前な結果になる」
 「いい世の中がきました どんな職業でもプロの時代です」
 「まだまだです」

  おけいの親父さんから、はがきに続き第二弾「おけい語録」が封書で送られてきました。このいくつかは店の中で見たことがある。結構いいことを言っている。「世の中プロの時代です」と言った後で、「まだまだです」と言っているのが良い。
 この手の標語、スローガンを掲げている店があちこちで増えている。いわゆるメッセージ伝達型レストラン。たとえば、「ねぎし」はスターホテルの裏にある私がよく行った支店には、この手の標語が天井にまで張ってある。たしか、他の「ねぎし」でも同じようなのがあったと思う。名前は思い出せませんが、他にもこうした店の例は見かける。形式ばったレストランにはありません。しかし、店主の考えていることが伝わるという意味では、お客にその店の食べ物を食べるに際しての一つの味付けになっている。

 最近、キッチン5の優子さんがある雑誌にエッセイを書いた。出版される前に見せてもらったが、文章も見事なものだった。一芸に通じる人は、他をやらせてもうまい。そしてそうした経営者の文化的側面が、その店に深みを与えていく。ただお金をかけて立派なレストランを作ってもお客さんはすぐ飽きてしまう。料理だけでは、お客は定着しない。
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 もっとも難しいのは、「文化」にばかり力を入れると、肝心の料理にも変な味がついてしまって、お客さんにも飽きられること。やはり本業がしっかりしていないと。だからこういう標語を掲げた店は、それ自身を自らの戒めにしなければならないでしょう。まあ、受験生がいつも新鮮な気持ちで勉強に励むために、部屋にいろいろ張り出すようなものですが、人に見せるという点が違う。「張る」ことによって自らを新たな気持ちにさせ、お客にもその標語を楽しんでもい、それを店のまた別の「味」にするということです。
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 《 おいしいものは おいしい 》

 あたりまえに新鮮な素材を使い
 あたりまえにおいしい酒を出す
 あたりまえにお客様に感謝をし
 あたりまえに笑顔でいられる
 あたりまえの事があたりまえにできる
 あたりまえの店でありたい。

 「おけい語録」の続きでした。

98年04月04日

 山梨の土曜日は素晴らしい天気でした。風も穏やかで、半そでで動いていた人もいました。桜が今は満開ですが、山梨では桃とかいろいろな花がこれから咲くそうです。四季のある日本の春は楽しみが多い。夕方には雲一つない快晴になっていましたが、日曜日も天気はよさそうです。ゴルフをしましたが、前半はまあまあ。後半はひどかった。
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 朝刊(4日付)を読んでいたら、「やっぱしやったか」という「訂正」に朝日新聞(11面)で出会いました。野村證券からドイツ・モルガン・グレンフェルに移った水野さんの名前を何かの記事で「水野 温」とやってしまったらしい。あの表のやつかな。本当は、「水野 温氏」なのです。小生が彼と初めて会ったのは、「東京マーケットフォーカス」(95年10月から96年9月に担当)をやっていたころ、「市場の観点から日本の金融市場を語るには誰が良いか」といろいろな人に電話して彼だと狙いを定め電話したのが最初。当時から彼への評価は高かったのです。特に「債券」部門で。

 電話したら私もいろいろ文章を書いていますからこっちのことは知っていて、「私は基本的にはあまりマスコミには出ないことに.....」etc。まあ、当時から野村ではマスコミに顔を向けて仕事をしていた人が結構いた。水野さんはそれとはちょっと違う方向で仕事をしてたわけです。会社としても、本人としても。しかし、経済の番組ですし、小生がやっているから.....とか何とか言って、出てもらった。その後もう一度私の番組に出てもらいましたか。いろいろ話をしていて、大学の先輩、後輩だったり、アメリカに年々か行っていた事があるなど共通点を発見した。最近では、ネットで情報交換をしている。

 名刺をもらったときに、「これは間違われやすい名前だ」と思ったので聞きました。事実間違えられるそうです。大体が「水野 温」に。「親に文句を言いたい...」と。しかし、これは朝日が悪い。新聞ではあるまじき、人の名前の間違いを犯したわけです。この日の朝日には、社会面に住所の訂正もあった。あちゃちゃという感じですね。氏名と住所。一番基本的な、かつ間違ってはいけないところです。あとは、電話番号ですかね。これを間違うと、大変なことになる。
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 名前といえば、「親に文句を言いたい名前」の人はたくさん居るでしょう。親以上に先祖に文句を言いたい人も。小生の名前は、分解してみても「伊藤」と「洋一」ですから、非常に多い。東京都の電話帳を見ても、Niftyserveの名簿を見ても、非常に多い。だから、多い「伊藤 洋一」の中で個性を売っていくのは大変(^o^)なんです。あああの.....と言われないと。(笑) 苦労の連続。まあ、あまり知られすぎるもの問題ですが.....。レストランでは気づかれずに食事をしたい。(といいながら、よく御互いを知っているレストラン中心ですが)

 親は多分、子供の名前をつけるときにはそれなりきに良く考える。多くなると、「すえ」とか「とめ」と付けて、それでも出てきたときは「あまり」とか付けたらしい。昔は。しかし、今はあまりそういうのもなくて、親の趣味がそのまま出る。奇抜な名前が多くなったのは、良いことです。さらに言えば、現代人は「多くの名前」を持つケースが増えている。ラジオを聞いていれば、「ファックス名....なになにさん」とか出てくる。きっとファックスを送るときだけに使っている名前があるのでしょう。

 ハンドルもその一種です。Niftyserveに入った時に考えた。しかし良い名前が浮かばなかった。しかし、ちょっとしたきっかけで「ycaster」を使い、それがネットでは定着した。文書を書くときにペンネームを使ったこともありました。しかし、定着させようと思ったことはないし、今でも文章は9割9分本名で書いている。しかし、たとえば堺屋太一の本名を知っている人が少ないように、定着したものもある。

 いくつもの名前を持つことは決して悪いことではない、と思う。まあ、私のネット仲間でも本名を短くしたり、ひらがなやアルファベットにしたり、発音から連想したり、好きなものから名前を取ったりと、いろいろしている。問題なのは、そっちのほうを覚えてしまって、いざ彼らの職場に電話したときに、とっさに本名が出てこないことです。「え〜と、えーと」。なんていう人だろうと思われてしまう。ネット仲間には、「〜〜〜と呼ばれている」くらいには、職場の周りの人に言っておいてほしい(^_^)(^_^)と思うわけです。
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 話が脱線しましたが、ドイツ・モルガン・グレンフェルのチーフストラテジストは、「水野 温」ではなく、「水野 温氏」です。

98年04月03日

 たまたま甲府に来ています。新宿から1時間30分ちょっと。ここでも桜が綺麗です。今が盛り。駅の近くの城跡では、ばらばらと花見の宴が開かれている。あと数日で、この様相も変わるでしょう。桜が本当に綺麗な時期は短い。

 またしても気ぜわしい24時間。ロイターに流れたのは朝10時37分でした。一部には、「今まで変更にならなかったのが不思議」という人もいましたが、大部分の人にとっては(市場の人間の人にとっても)驚愕するニュース。やはり市場を一番大きく動かすのは、予期していないこと、ある程度予期していても「まさか」と思っていることなのです。「シーリング格付け」という言葉は、その種の仕事(審査など)をしていなければ、直ちには理解できない内容。格付けが複雑な、しかも曖昧な構造になっていることをはじめて知った人も多かったに違いない。ある意味では小生もそうでした。

 まず感じた感情は、英語で言えば resentment というのが当たっている。「反感」。アメリカの一民間機関が、「格付け」そのものではなく、1年半から2年先の「格付け変更の見通し」を「stable」から「negative」にしただけで、日本の金融市場全体がこれほど動揺することへの。そこには、世界最大の債権国の自信も、自覚もなかった。むろん、それを発表した機関と性格とその存在の妥当性への疑念も。その次に感じたのは、「これは政治問題そのものだし、政治問題になる」という気持ち。ニュース・リリースを読んで賛成できたのが、

「the downgrade reflects concerns that the Japanese government can reach a consensus on policy required to fix the economy's problems.」
という部分だったからで、これは、「政府の無策」というに等しい。
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 「政府の無策」については、金曜日の昼の日経の記者の方との食事の席でも最大の話題でした。「無策」というより、「何が起こっているか分かっていない」というのが私の理解です。何が起こっているか分からなければ、「どうしていいか」は分からない。「何が起こっているのか」を理解する上で一番良い文章は、2日のグリーンスパンの全米新聞編集者会議の席での講演です。これが理解できれば、OK。「市場資本主義の台頭」と題したこのグリーンスパン講演は、今アジアまで巻き込んだ世界経済の大きなうねりをうまく説明している。相変わらずグリーンスパン語ですが。この辺のところは、金曜日にはスキップした news and analysis で解説できたらと思います。

98年04月02日

 気ぜわしい一日でしたね。朝には短観が出て景況感の悪さが再確認され、株は大幅に下がって、円も夕方には一時134円台に進んだ。日本は徐々にグリーンスパンが言うところの悪性のデフレになりつつあるように思う。良性のデフレでは、生産性の向上に伴って物価上昇圧力が緩和され、一部で物価は下落する。しかし、設備投資は活発で(それが生産性の向上に繋がる)、雇用も増える。今のアメリカ経済に比較的近い形。アメリカの卸売物価は過去14ヶ月で上がったのは2ヶ月だけ。しかし、雇用も設備投資も伸びている。
 対して日本は、今日の短観を見るまでもなく設備投資も減少し、雇用も減っている。これは、悪性だといって良い。今の世界経済の大きな特徴は、日本やアジアがシュリンクしているのに対して、アメリカやヨーロッパが株で高値を追うなどまったく正反対の環境にあることだ。これは1920〜30年代の環境とは違う。日本の不況を当時の状況と簡単には比較できない理由である(そうする人々もいるが)。当時は、世界最大の経済大国になったアメリカが不況→デフレになるにしたがって世界もなった。日本は世界最大の経済大国ではなく、あくまで辺境の第二位の国である。日本で起きている経済環境は、アメリカや欧州には少しも伝播していない。ここは安心できる。だから、日本さえきちんとした政策を採ればいい。しかし、それが採れていない。
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 ところで今日は昼飯を「債券ディーリング・ルーム」を主宰している久保田君としました。久しぶりに人形町の今半で。変わらない風情でしたね。柳屋の鯛焼きが12時30分からなのは、昔からでしたっけ。実は久保田君とはこれまで雀荘でちらっと会っただけで、食事をしたことも酒を飲んだこともなかった。しかし、ロイターの「TRADER」の西村君に頼まれて、「伊藤さんの次の方(web master という欄に登場する人物として)を紹介してください」と言われて彼に頼んだら快諾してもらった関係から、「では昼飯でも」ということになったもの。

 実は彼と小生は公式にホームページを立ち上げたのは、ほぼ同じ。彼の場合はカウンターをつけた日がオープン・デーだったようですが、それにしても近いのです。96年の春から夏にかけて。「で、どういうきっかけで」という話になった。彼の場合、きっかけは証券会社や銀行が一斉にホームページを立ち上げた時期ですから、会社との関係もあったらしい。しかし、何もかも一人で立ち上げたというのがえらい。小生はCielの和田ちゃんに手伝ってもらいましたから。フロントについて。朝と昼と夕方に更新しているという。これはなかなか出来ることではない。

 もっと驚いたのは、久保田君はなんと茨城県から通勤しているという。2時間だと。「×2」で4時間ですから、一日の六分の一が通勤に取られている。これはなかなか大変です。ですから、夜もあまり遅くなれないらしい。ところで、小生が登場した「TRADER」は今日配布されたようです。私のところには先週末に来てましたが。次回には久保田君が登場します。一段とサイトを充実させてほしいものです。
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 ところで今日は珍しい葉書が来ました。写真でも載せたいくらいですが、字が変わっているのです。波打つような字体。どこから来たかと思ったら、「おけい寿司」から。なんでも私がネットでこの店を紹介している関係で、名古屋からお客さんが来たそうな。最近そういう話をあちこちで聞く。西麻布のある店では、福井からお客さんが見えられたそうな。ネットを見る方の数は徐々に増えているようです。

98年04月01日

 あるカウンター中心のレストランでの話(聞いた話)。
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 予約もない人間が5人ほど突然どやどやと.....。
 「あの予約したんですけど」と店の中に入ってくる。
店主 「いや、うかがってませんけど......」
 へんな奴らだ...と思いながら、目を一瞬離す。
多少おかしな動きをしたあとで、5人ともさっと消える。
  「なにか変だな.....」と椅子の後ろや壁にかけてあった自分の背広のポケットをチェック。
そしてお金が無くなっていることに気付く.......。
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 ブランコ・スリという奴ですかこれは。3月31日にその店の主人から聞いた話。皆さん、持ち物はいつも身に付けていましょうね。物騒。刺されるよりはいいけど、命よりお金が大切な人は(^_^)(^_^)。
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 旅立ちの季節ですね、4月1日は。今年は私の身の回りでは珍しい旅立ちがありました。親子揃っての。娘さんは、音大を出た後シェフの道を選んだ。父親は今までの会社を退職して新しい会社に。つまり、今日から親子が揃って新しい生活を始めるというわけです。実に珍しい。
 父親が私の友人・先輩。昔からの。食事をして別の店に行ってワインを飲み。そして10時ごろ解散。それにしても、滅多にないケースです。一生の間に何回も「就社」や「就職」をする時代になったと言っても。それにしても、音楽大学を優秀な成績で出てシェフの道。なかなか思い切りが良くて結構ですね。こういうケースは今後増えるでしょう。話していてこのお嬢さんは非常にしっかりしている。音楽を奏でた腕で、料理を奏でて欲しいものです。仕込みが難しいフレンチを先ず学ぶそうな。
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 そして今日は「日本版ビッグバン」のスタートとも言われる日。一つの大爆発というよりは、日本のそれは「中小の爆発の連鎖」。証券業界にとっては、今年の4月1日ではなく、本当に重要なのは来年の手数料の完全自由化ですな。今日からでも野村証券などが5000万超の手数料をとらない方針で、外国証券の多くもそれに足並みを揃えますから、27万5000円しか入ってこない。5000万円以上の発注を抱えていた準大手には打撃。いろいろな人から話を聞いていて、大きな変化を予測できます。
 マーケットは「先取り」が原則だから、動きを先に取ろう取ろうとするでしょう。だから一度始まった「爆発の連鎖」は、「チェーン・リアクション」を誘発して、環境の変化を加速する可能性が強い。
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 ところで今日は APRIL FOOL。デカプリオがセクハラで松田聖子を訴えたなんて情報がインターネットを駆け巡っていましたが、まさか本気にした人はいなかったでしょうね。(^_^)(^_^)


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