日々のライブな情報ページ

2010
11/06
Sat

2010年11月06日(土曜日) 集中砲火

day by day
EOF; } ?>

 (11:00)それにしても、これだけ世界中からブーイングが飛んでくる金融緩和策も珍しい。基軸通貨国だからこそですが、QE2と言ったかっこいいネーミングはあるが、その実は「自国経済立て直し」を名目にしながら、世界中にインフレ圧力を輸出しかねないものだから、当然だろう。

 日経のサイトには、『仏AFP通信によると独ショイブレ財務相は4日、「こうした施策で米国の問題が解決できるとは思えない」と批判。「世界に余計な問題を課すことになるだろう」と語り、過剰流動性が膨らむことに懸念を示した。』とあり、さらに『仏ラガルド経済・産業・雇用相も同日、「米国の決定はユーロに悪い影響をもたらす」などと不満を表明した。』とある。

 一方中国人民銀行の周小川総裁は北京での講演で『米連邦準備理事会(FRB)の追加金融緩和策について「グローバルな観点からは必ずしも優れた選択といえず、世界経済に副作用を及ぼす」と述べた。米国の金融緩和で世界的に過剰流動性が膨らみ、中国など新興国に投機資金が流れ込みかねないことに懸念を表明したものだ。』と日経は伝えている。

 インドやオーストラリアがFOMCの直前に利上げしたのは米金融緩和に対する事前抗議の意味があるだろうし、昨日の商品市場では金相場が1400ドル直前まで上昇した。日米の金利ゼロに対して、インドを先頭に資源国・新興国で上昇する高い金利、その一方でアイルランドのように金融危機で高い金利を余儀なくされる国。どう考えても世界経済はゆがんでいる。

 FRBも苦しいところが。中間選挙に見られるように、米オバマ政権は政策に対する機動性をほぼ今後2年間失う。政府が機動性を失った中では、中央銀行への負荷は増す。プレッシャーは強くなるが、「では今の金融政策の継続でアメリカ経済が良くなる」という保証はない。

 このところのFOMCでずっと緩和策に対する反対票を一人で投じている米カンザスシティー連邦銀行のホーニッグ総裁は5日に、「将来のインフレ圧力を引き起こす恐れや、問題を引き起こすような安易な貸し付けなどを後押しするのではと懸念している」と述べた。金市場などを見ると、「既にインフレ圧力は起きている」と言える。

 先日の日経CNBCの経済闘論でも言ったのですが、私の見方は安易に金融緩和をしてもアメリカ経済は回復への軌道には乗れない、という見方です。だってアメリカ型の信用のベースが壊れている。それを修復しないとお金が機能的に回らずに、イージープロフィットを求めて海外に流出する。それが途上国や資源国でインフレ圧力となっている。

 ホーニッグ総裁が「バブルを起こさない健全な住宅市場のためには、政府の介入や公的補助金を廃止、低減すべき」と述べているのは重要な指摘です。ブッシュ時代にも政府は安易な景気刺激策として、「すべての人が家を持つことは良いことだ」と持ち家を促進した。70年代、80年代の日本もそうだった。

 しかし政府の政策で巨額商品の販売を促進するスキームを続けると、必ず本来買ってはいけない層にまで購買意欲が広まって、「借金での購入」が増える。その借金がシステムの先行きを不安定にする。「需要増→価格高騰→維持不可能→価格暴落→返済不能負債の増加」となって経済活動を長くにわたって不活発にする。

 しかし政治家は待てないのです。夢を売りすぎているから。世論も短期間の政治期間の間に、「この期間の経済のパフォーマンスが悪いのは、その時の政権を取っていたあいつだ」と傾く。かくして、政治は「夢を売り、しかしそれを達成できない人達の集まり」となって国民からそっぽを向かれる、という繰り返し。

 世界経済は激しいインフレの局地戦を各地で展開しながら、日本やアメリカを中心に「デフレ圧力との戦い」を継続することになる。このプラセスが均衡を保てるかには保証はない。物価水準が大きく違う国のグループが経済現象として睨み合っている面があるので、物価水準の変動がそれを徐々にならしていってくれると考えることも可能だが、もっとアジャイルなお金の動きが、なだらかさを失い、世界各地に異変を起こすかもしれない。少なくとも世界経済は不安定な展開をたどると言うことになる。

 ところで金曜日は実に久しぶりにバブちゃんshiraちゃんと三人がばかっぱなしの会を赤坂のロスプラトスで。この二人のサイトは長らく死んでいるが、サイト保持者はちゃんと元気で生きている。ロスプラトスは以前はもっと乃木坂に近い方にあってその時は何回も行ったが、今の場所に移転して以降は今回が初めて。

 ばかっぱなしといっても、この3人が集まれば経済、政治からITまで話に花が咲く。しばらく続いた話題は、「アメリカ経済の現状とそれに対するFRBの金融政策の有効性、その政策が世界に及ぼす影響」でした。

 一つだけ行動計画としてまとまったのは、ビッグバン時代のネット活用術を書いた仲間を中心に、年末か年始に集まろうという話。ちょっと懐かしい。楽しみが増えた。

11:19
EOF; } ?>
ページの先頭へ
twitter
伊藤洋一公式Twitterアカウント

サーチ


カテゴリー


最新の記事

カレンダー

キーワード