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2010
11/20
Sat

2010年11月20日(土曜日) ソニーとアップルとグーグル

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 (23:44)「グ-グルで必要なことは、みんなソニ-が教えてくれた」という長い題名の本を読んでいる。コクーンとかロケフリとか、ソニーが提案し、私も一時注目したものの、その後ちっとも成長しなかった製品の裏話もあって面白い。

 著者は、ソニーに22年間勤めたあとにこの有名な日本の会社に愛想を尽かして辞め、ハローワーク通いを経た後にグーグルに誘われて入社、その後グーグル日本法人の社長になり、しかし社長は1年3ヶ月くらいで辞めて自分の会社を興した辻野晃一郎さん。

 なぜ社長を一年ちょっとで辞めたのかについては、まだそこまで読み進んでないので説明に接してないが、何かの理由があったのでしょう。はっきり言って著者の半生記です。ちょっとビジネス書としては事細かなことまで書いてある。「S」とか「A」とか個人名をぼかしてあるのは、知らない人間にとってはちょっと邪魔。

 しかしこの本が面白いのは、盛田さんに憧れてソニーに入った著者の思いの変遷、特にソニーという会社に対する考え方の変化が事細かく説明されている点だ。一年の留学から帰ったときの上司の態度など、当時から「社員の問題意識」を大事にしない社風がソニーで育っていたことが良く現れている。これじゃ、銀行の海外留学組に対する態度と同じだ。

 「組織はほっておけば必ず内向きになる」というが、この本を読むとソニーという会社が結局「ハードの呪縛」など多くの呪縛から長く抜け出ることが出来なかった理由が分かるような気がする。一つは成功体験であり、もう一つは社員の技術理解の共通化の失敗だろう。特にネットワークの。技術の会社でも、新しい技術への理解では数少ない人が大勢の人を率いなければならない日本企業的環境があることが分かる。

 この本にも書いてあるが、同じように銀座にショールームを持ちながら(正確には測ってないが、200メートルと離れていない)、一方には目を輝かせた若者がわんさといるのに、一方には時間潰しの観光客しかいないという状況は、ソニーという会社とアップルという会社の置かれている環境を端的に示している。

 この本を読んでいて思うのは、「新しい技術の可能性、その展開」に気付く社員は日本にもアメリカにも、そしてアジアにも欧州にもいる。問題はどこのどの企業が、それに気付いた社員のアイデアを企業という組織の中でサービスや製品に昇華できるのか、ということだ。多分それは何かに成功して出来上がった組織では難しい。

 なぜなら出来上がった組織には必ず官僚組織が出来上がるからで、それが変化を拒む。多分ソニーもそうだったのだろう、とこの本を読むと思う。著者のグーグルの社風に関する記述はおもしろい。そうなんだ。

 しかしその自由奔放さがなければ、今のグーグルはなかったとも思える。アップルは一回成功して組織が硬直化した。しかし潰れそうになって、ジョブズが戻ってきてそこを脱した。それが成功のベースになった、ということか。

 変化の激しい技術変化の中では、今の日本の硬直した企業組織ではなかなかそれは難しい。そこをどう柔軟化して乗り切れるのか。それが問題でしょう。

23:32
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