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2011
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2011年02月15日(火曜日) 夢と、現実と...

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 (23:25)「夜の情熱と、昼の厳しい現実」を見ているような情景ですね。ジャスミン革命を成し遂げたチュニジアの国民が、何千という単位でイタリアの南の島・ランペドゥーザ島に押し寄せているという。

 この島。チュニジアから北へ100キロの沖合に浮かび、イタリア領。人口は僅かに約6000人という小さな島だが、チュニジアの政変から僅か1か月の間に、5000人以上のチュニジア人が船で続々と上陸しているというのだ。

 多くは政治的混乱から迫害を受けるおそれのある難民ではない。彼らの多くは、イタリアに職を求めて来たことを明らかにしている。島の収容所の定員は 850人にとどまるという。当然満員。しかしチュニジア人はさらに上陸するおそれが強く、イタリア政府は周辺海域の警備を強化しているそうだ。

 長期独裁者の政治の舞台からの引きずり下ろしは、それ自体当該国の国民にとっては非常に意義のあることだ。エジプトもそれに成功した。人々はそれを喜ぶ。しかし、それは直ちには「夢見た豊かな日常生活」を意味しない。

 海外からの資本、そして海外の旅行者は、その国が安全だから来ていた。そしてその安全には、「独裁体制」がむしろ寄与していた。「治安は良いだろう」という判断に繋がるからだ。

 チュニジアにも、ましてやエジプトにもまだ観光客は戻っていないという。国の一部の地域で展開していたことだとしても、世界中に放映されたデモの映像を見て、「これでも観光ができる状況だ」と判断する業者や観光希望者は少ないだろう。

 業者はもし何かあったら「責任問題」と考える。ということは、チュニジアに、そしてエジプトに観光客が戻るのは少し先ということになる。ところが両国の主な産業は”観光”である。エジプトのピラミッドなど観光地は「閑古鳥」だという。これは両国の国民にとってジレンマだ。「夢は実現したが、フトコロは寂しい」と。

 中東での反政府、反長期政権を求めた民衆の運動は、チュニジア発でエジプトに飛び火し、成果を上げながら今も中東各地に飛び火している。現状ではバーレーンとイランの展開が速く、ともに死者も出ているという。

 おそらくもっと広がりを持つだろう。バーレーンの国王が「国内の全ての家に22万円」を配ったと聞いたとき「火に油」と思ったが、その通りになった。今の中東の指導者達は、アラブ各国で広がる「抗議の波」の意味を全く分かっていない。

 彼らが欲しいのは「職」や「自由」であり、さらには「政治への参加」なのだ。しかし、共通の敵がいなくなれば、その時点ではまとまりに欠ける、秩序がある意味失われた現状が残る。この不安定感は、その国の国民にとっては”自由”ではあるが、海外の資本や観光客が求める安定・安心ではない。

 ということは、国家の再システム化、再安定化が必要だが、そのプロセスには時間がかかる。大きな革命が成功したあとの国では、しばらくして「これならあの当時の方が良かった」という声が必ず出てくるのはこの為だ。

 その国自体に強い産業、強い資源がある場合は違う。それ自信がパワーだからだ。製品を輸出して経済を回せる。しかし、チュニジア、エジプトを含めて、多くのアラブ諸国にはそれがない。あるのは、「観光」というイメージが非常に大きく関わる産業だ。

 そういう意味では、イランの反政府活動は周辺のアラブ諸国のそれとは性格が異なる。イランは国そのものがでかいし、私が次の動きとしてイランに注目する理由はここにある。

23:37
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