日々のライブな情報ページ

2012
10/10
Wed

2012年10月10日(水曜日) 韓国経済の歪み

day by day
EOF; } ?>

(15:35)今日の新聞では、読売の「EU・米 経済協定構想ー来年交渉入り目指す」が比較的目立つ記事でしたが、どうも今ひとつ納得性に欠けますね。

「交渉を開始しても妥結には3~4年かかる見通し」(同紙)と先の話であることに加えて、どのFTA交渉でも大きな議題となる「農業をどうするのか」に関して私が読んだ範囲では全く言及がない。

この記事にも書いてあるとおり「経済構造が似ている」というのなら3~4年もかからないはずですが、実際にはヨーロッパサイドにもアメリカサイドにもいろいろな問題があると思う。その一つが農業です。

その他では、これまでに読んだ記事では「IMF warns eurozone on capital flight」が面白かったな。EUの域内で資金が周辺国(ギリシャやスペインなどでしょう)からコアの国に流れていて、その流れが銀行の資本構成を著しくゆがめる、それがまた成長の足枷になると。

メルケル首相がギリシャに行ったりして事態は少しずつ動いているように見えるのですが、スペインは救済申請を躊躇しているし、ヨーロッパの危機は長引くこと必至。その中でお金は先先に動く。

それにしても、IMF・世銀総会にも出席を拒否とは中国も度量がない。なにか見える形で日本を困らせようとしているのでしょうが、これでは世界に対して「中国は異質な国」と宣伝しているようなもの。ちょっと滑稽です。

日本の新聞の見出しは「日本車の中国の売れ行きが大幅に落ち込んでいる」と報じているが、記事をよく見ると9月単月でそれでも日産が7万6100台、トヨタが4万4100台などと結構な数量売れている。私などはそっちの方に驚く。

あれだけの騒ぎがあったら、そして日本車に代替する車が多かったら、そんなには売れないでしょう。中国では消費者の中に我れ関せずで日本車を買っている人がまだそんなにいる、ということが私には興味深い。

最後に私が信頼する研究機関が韓国経済に占めるサムスンの大きさを示す数字を知らせてくれましたので、それを掲載します。その研究機関の方々とは先にお昼ご飯をご一緒しながらお話をしたのですが、私が8年ほど前にソウルの友人に聞いた「なんでもサムスンは韓国経済の五分の一から四分の一」という話をこちらからしたのです。面白い視点なので。

その時の記事は「2004年、浮揚感なき韓国経済」にありますが、その時はそこに書いたように

韓国の製造業の中でも、サムスンの地位は圧倒的である。昨年は5分の一になったが一時は同社が支払う法人税は韓国の全法人税収入の四分の一を占めたし、同社は

「韓国の株式市場の時価総額の22%」
「全企業の純利益の25%」
「全輸出の16%」
「貿易黒字の三分の一」

を占める。つまり韓国経済はサムスン依存が極めて高い

ということだが、その話に興味を持たれたのか「では今はどうなっているのか」を調べて打ち返して下さった。私も調べようとしたが、ちょっと後れを取った。信頼できる機関なので、私もそれを今後使う予定です。以下が要旨です。メールから。
まず、税金の支払額ですが、bloombergで韓国証券取引所の上場会社の各直近年度の合計法人税等支払額と、2011年の上場サムスングループの合計額とを比較したところ、

サムスン電子のみで 14.4%
グループ全体で 18.1%

でした。ちなみに、韓国銀行HPでの2010年の法人税額は36.8兆 ウォン、サムスン電子HPのIR資料の法人税支払額は3.2兆ウォン で、割合は 8.6%でした。

次に、同bloombergデータにて、9月末時点での韓国証券取引所の上場株式の時価総額と、サムスングループの合計額を比較しました。

サムスン電子のみで 17.4%
グループ全体で 24.9%

と、こちらも伊藤様に教えていただいた通り、非常に高い割合でした。輸出については、私どもでお調べすることのできた最近のデータは2007年当時のものとなってしまいましたが(bloombergより)、韓国銀行の2007年の年間輸出データと比較したところ、

サムスン電子の占める割合は 14.0%
(グループの合計額については入手できませんでした。)

でした。同韓国銀行データの2011年の数値については、2007年と 比べて約2倍、サムスン電子HPで同社の2007年と2011年の売上 データを比較すると、こちらも約2倍となっていることから、 現在も同水準であると推測されます。

最後に純利益額を、こちらもbloombergデータより韓国証券取引所 上場株式の各直近年度の合計額と、サムスングループの金額とを 比較しました。

サムスン電子のみで 9.2%
グループ全体で 14.2%

でした。純利益の定義などにより、一部の報道等の金額と若干 異なりますが、http://japanese.yonhapnews.co.kr/economy/2010/06/06/0500000000AJP20100606001000882.HTMLとやはりこちらも高い割合でした。

以上、可能な範囲でお調べしたデータでございます。 改めまして、サムスン(チェボル)依存の構造が確認できました。 ありがとうございました。

つまり、2004年の段階でも2012年の段階でもサムスンは韓国経済の中で異常に大きい存在であり、それはまた韓国経済の歪みにも繋がっていると言うことでしょう。
16:26
EOF; } ?>
ページの先頭へ
twitter
伊藤洋一公式Twitterアカウント

サーチ


カテゴリー


最新の記事

カレンダー

キーワード