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2013
03/20
Wed

2013年03月20日(水曜日) 駆け込んだ先は...

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 (06:00)文章を読み始めた瞬間から、「それはちょっとやばいだろう」と思いました。EU域内の国が、銀行支援でEU域外の国に支援を求める.....。それもロシアに。EUにとっては赤っ恥の問題です。

日本の新聞サイトで、キプロスの議会がEUの課したlevy(課金)案を圧倒的多数で拒否したことは知っていました。そりゃ、政治家としては一般預金者にまでツケを回す政策はまず賛成できないでしょう。彼等は有権者から選ばれている。

しかし銀行預金から徴収される予定だった58億ユーロ(EUから100億ユーロの救済資金を得るキプロスサイドに課されている資金調達の規模)がなければ、EUからの100億ユーロは入らず、同国の銀行組織はメルトダウンしてしまう。「じゃ、どうする....」という話です。

そこでFTを見たら驚愕した。キプロスの財務大臣がモスクワに飛んでこの58億ユーロの調達についてロシアの指導者と長時間話し合っていると書いてある。確かにキプロスの銀行に預けられている国外預金のかなりの部分はロシアからのものだと言われる。 しかしそこでロシアに支援を求めるとは、ロシアにEU域内への介入の口実を与えるようなものです。カネを出す人は、普通は口も出す。FTの記事の第二パラからです。

The 11th-hour attempt to tap funds from Russia as an alternative to the deposit levystunned leaders in Brussels, who said they were taken aback by the resistance of Cypriot lawmakers to shifting the tax's burden exclusively on to deposits over 100,000 euro – many of which are held by wealthy Russians.

“It became clear that there are these business interests in parliament who are telling us that we need to protect the non-resident depositors,” said one exasperated eurozone official involved in the discussions.

そりゃEUの指導者は驚愕するでしょう。しかし私に言わせれば10万ユーロ以下の預金全てに6.75%の課金(一回こっきりだが税金のように取られる 10万ユーロ超は9.9%)を課すというEUの条件の方がおかしい。

その後預金への課金案は「2万ユーロ以下はゼロ」というものになったそうだが、当然この案の策定にはEUも絡んでいるのでしょう。「EUがどったばった」の印象は拭えない。

2万ユーロ以下の預金への課金をゼロにするなら、求められている58億ユーロを調達するにはより大きい金額の預金にかける課金を増額しなければならない。「それは(ロシアの投資家の手前)嫌だ」と考える向きがキプロスの議会にもいる、とEU指導部は考えているようだ。

それはその通りにしても、議会が「ノー」と言ってしまった以上は(反対36、賛成0、棄権19)、EUは直接キプロスの政治に手を突っ込めないわけなので、問題は振り出しに戻った。そこでキプロスはロシアに支援を求めたとなる。しかし「賛成ゼロ」とはハッキリしている。

ではロシアはどうするか。プーチンの腹一つで決まる印象がするが、EUの指導部の焦りの中で「キプロスを支援する」という道もある。しかしこれはEUか ら感謝はされないでしょう。EUが自分で問題を解決できなかった良い例になってしまう。では拒否したら。「Cyprus parliament rejects bank levy」というFTの記事には以下の文章がある。

Nicosia’s rejection of the levy and appeal to Moscow dramatically raise the stakes in the island’s financial crisis. If the Cypriot authorities cannot raise extra funds in a way that satisfies the eurozone, the island faces the risk of full banking meltdown and possible exit from the eurozone.

The ECB gave no indication of its next step, saying only that it “reaffirms its commitment to provide liquidity as needed within the existing rules”.

In a sign of heightened nervousness in other eurozone countries, Spain’s finance minister declared savings accounts in his country “sacred”, adding Cyprus was “special and unique”.

最初の文章のごとく、「キプロスの銀行組織のメルトダウン」の可能性が出てくる。世界の金融市場は「キプロスの問題ごとき」ということで落ち着きを取り戻しているように見えており、それはそうだと思う。しかし問題が長引くことを意味します。

最後の文章が印象的です。スペインの財務大臣が「我が国の銀行貯蓄口座は神聖ですから」と言っている。課金など掛けませんよ....と。一部の情報では、南欧全体で「預金引き出し」の動きが見られるそうだが、EUは早急に問題の乗り越えをしなければならない事態となっているように思う。

「キプロスの預金に課金」を主張したのはドイツで、ドイツはキプロスの財務大臣がモスクワに行く事態になっても、この主張を変えていないという。それにしても、EUとしては、「キプロスがユーロ脱退、ロシアの影響下に」というのが一番避けたいシナリオでしょう。問題が大きすぎる。

06:37
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