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2013
05/09
Thu

2013年05月09日(木曜日) 怪しい統計

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(09:30)今朝はあまり大きなニュースがない日ですが、一つとっても面白い事実の指摘があって笑えました。それは、昨日から今朝にかけての世界的な株価一段高の原因となった中国の今年4月の貿易統計について。

統計そのものは「輸入は一年前に比べて16.8%の増加(3月は14.1%増)、輸出は同14.7%の増加(3月は10%増)だった」というもの。この二つの統計は、主に何かを生産するための中国経済の輸入(鉄鉱石など)吸収力は強く、一方で中国経済のエンジンである輸出も伸びているということになる。よって、株式市場は「中国の内需も外需も強い」「世界経済にとって良い材料」と判断したわけです。

しかし、このうち特に輸出統計については海外の新聞に一斉に疑問を呈する記事が掲載されている、これが非常に興味深い。例えばFTは「export growth “continued to look too good to be true”」というアナリストの言葉(中国の統計に疑念を呈する)を引用し、具体的に「中国側の統計では4月に同国の台湾向け輸出が49.2%も伸びたことになっているが、台湾側の統計では同月の中国からの輸入は2.7%の減少となっている」と報じている。

ウォール・ストリート・ジャーナルなどの記事も同じトーンで、ともに「怪しい」との見方。なぜそう言うことになるかについては、overinvoicing が疑われているようだ。何かというと、中国側の過剰な請求。例えば本来1000万元の本来の価格ではなく、例えば2000万元の請求書を出し、それが中国の統計に表れているとの見方。

overinvoicing で何のメリットがあるのかについては、いろいろな説があるらしい。通貨(人民元)が高くなっている中で、中国国内に資金を入れているのではないかとの見方もある。中国国内の産業界では「人民元は高すぎる」との見方が強いが、今朝の日経などでは「人民元は足下で強く、今後も強い見通し」との見方が載っている。

GDP統計や企業の決算数字を含めて中国の統計の危うさは、世界各国の中では頭抜けている印象。日本のGDP統計にも間違いが見つかっていますからあの国だけの問題ではないのですが。

しかし思うのは、中国の株式市場で株がちっとも上がらないのは、投資家が「何を信じていいのか分からない」という状況があるのではないか、と思う。

10:11
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