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2015
06/29
Mon

そして、中国の憂鬱

day by day
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 (22:05)マスコミ的にはギリシャ問題一色ですが、それでもギリシャは国民の数にして1081万人(外務省の公式資料)の国。対して中国は13億人ですから、その国での「株価急落」の方が潜在的リスクはあるように思う。

 「政府のしっかり度」から言えば、そりゃ中国の方がしっかりしている。何かあっても中国共産党とその政府だったら、何か手を打てそう。しかしマーケットという魔物は、時に政府の力を凌駕して時代を動かす。

 「上海総合」(株価指数)で見ると、中国の株は乱高下した後に、月曜日の今日もまたしても3.4%の下落となった。この結果、高値からの下落率はほぼ22%に達して、欧米で言う「弱気市場=ベアマーケット」となった。中国株バブルは崩壊したか、崩壊の寸前。

 中国株の下げがちょっと深刻なのは、今までは効いていた「政府の措置」を市場が無視していること。「政府の措置」というのは、今回の場合は利下げ。この週末に、0.25%の政策金利の下げと預金準備率の引き下げを同時に発表。

 この結果、一年物貸出金利は4.85%となった。昨年の11月以来実に4回目の利下げであり、史上最低。中国当局の慌てぶりが分かる。また中国金融当局は、今回預金準備率の50ベーシスポイントの引き下げも実施した。

 この二つの金融措置は、中国政府の株下落に対する困惑ぶりをよく示している。中国の富裕層を踊らせてきた株価がこのまま急落すれば、ただでさえ弱い中国の消費に打撃となり、各種資本も逃げて、中国経済の成長率が落ちる。目標の7%達成は無理になる。

 「成長すること」「豊かになること」が「統治の正統性」となっている今の共産党にとて、国民から「なんとかせい」と言われかねない問題を抱えたと言える。しかし一方でジレンマもある。

 なぜなら、今回の利下げは「構造改革重視」「マーケットの動きには左右されない」としてきた当局の政策運営姿勢を問うものとなるからだ。あまりにも「株価の下げをきっかけで行った利下げ」ということが鮮明だからだ。

 「金融政策とそれに対する信頼が、企業の業績と同様に中国の株式マーケットにとっては重要」、とされる。しかし、株価の上昇を放置した後にその急落に慌てふためく中国当局の姿勢は、中国政府の意向・政策がかつての神通力を失いつつある事を示しているようにも思う。

 中国は今まで、意図通りに中国経済を動かしてきた。それが終わったかも知れない。それにしても、AIIBはその母国での株価急落の中での設立署名式ですか。縁起は良くない。

22:06
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