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2016
01/18
Mon

台湾、民意が成熟

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 (09:40)台湾の総統・議会選挙で民進党が大きく躍進したのは、台湾の住民、特に若者の懸念を受けた結果でしょう。このまま国民党に政権をまかせておいたら「台湾が台湾でなくなってしまう」と。選挙で政権が変わる民主制に慣れた台湾の人々は体質的に中国の独裁体制に嫌悪感を持っていると考えるのが自然で、その通りの結果が出たと言える。

 台湾の人達の対中警戒感が如実に示されたのは2014年春。「ヒマワリ運動」という旋風が巻き起こったが、これは国民党が中国との「サービス貿易協定」(2013年6月調印)を立法院(一院制国会に相当)の内政委員会で審議終了・本会議送付を強行したことを受けたもの。

 これに抗議する学生達(自らの就職機会への脅威と考えた)は、立法院本会議場に突入、議場占拠を続けた。占拠が終わったのは「両岸(中台)協議監督法令制定前にサービス貿易協定審議についての政党間協議を招集しない」との王金平立法院長(国会議長に相当)の調停があったため。この運動の終わり方も「台湾が成熟した民主国家」だとの印象を与えた。

 民進党の勝利は圧倒的だった。初の女性総統として蔡英文さんが圧倒的な得票率で選ばれ、民進党は議会でも国民党が獲得した35議席の約倍の68議席を得た。国民党の朱立倫総裁候補をして「歴史的敗北」と言わせしめた。同候補は国民党の代表を辞任した。

 通常民進党を紹介するときに「独立志向の強い」という表現が使われるが、同党として最初に台湾総統になった陳水扁氏の時(16年前)と今回はかなり違う。国民党の8年間で台湾と中国の間の経済関係は大きく進展した。貿易量も大幅に増え、中国からの観光客も台湾に大量に入ってきている。

 ある意味台湾にとって以前敵対していた中国は、既に経済活動に欠かせない存在となっている。それを推し進めたのは国民党。にもかかわらず同党が今回の選挙で大敗したのは、国民党が中国にあまりにも譲歩し過ぎると映ったからだ。

 これを一番心配したのが「香港で起きている事」(中国の体制に批判的な本屋の経営者もいなくなっている)を見ていた若者達だ。肌合いが合うはずがない。若者達は対中経済関係の恩恵にも浴していない。台湾の若者の失業率は10%を超えるとの統計もある。

 蔡英文新総統は中国との関係について今のところ「現状維持」と言っている。当面は賢い対処だと思う。対して中国も陳水扁氏が初めて民進党から総裁になったときよりは融和的な姿勢だ。

 無論台湾の独立には「幻想に過ぎない」と警告を発しているが、まずは双方が「相手の出方を見よう」という事だと思われる。台湾経済の課題としては、中国経済が減速する中で再び「多極化」を試みる中で、過去の発展モデルからいかに脱するか。

 将来台湾が独立に向かうのか、それとも香港の道を歩むのかは分からないし、逆に中国も変化の可能性がある。「(民進党の政権奪取で)台中関係は不安定化する」と言われているが、それが許容できる範囲であれば別に心配することはないと思う。「蔡英文新総統に期待」といったところだ。

09:10
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