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2016
06/24
Fri

衝撃の結果.....不確定な海に

day by day
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 (13:50)「イギリスによるEUからの離脱」は、欧州だけではなく、世界も不確実性の海に乗り出す、ということを意味する

 まだ最終結果は出ていない。しかしBBCなどはこれまでの票を出方で、「離脱派52% 対 48%残留派」と予想している。離脱派は6月23日を「独立の日」にしようと言っている。

 対して、スコットランドでは再び独立を求める声が強まり、他の欧州諸国でも「EU離脱」を進める勢力が勢いを増すだろう。マーケットは大荒れ。今の状況で、ドル・円は100.80円ほど。どのくらい正しいかは別にして、ある相場表を見ると高値は98.195。ただし一瞬でしょう。東京の株価は1200円ほど安い。安値はもっとあった。

 今改めて思うのはEU官僚達の罪ですが、無論彼等だけが悪いわけではない。アメリカではトランプ、サンダース現象が生じている世界的状況もある。

 EUの場合は「離脱手続き」は基本条約の第50条で決まっている。ギリシャで取り沙汰された「参加国のユーロ離脱」に規定がないのとは違う。50条は「加盟国は自国の憲法上の要件に従い連合からの脱退を決定できる」と定める。

 決定後の手続きは、離脱を希望する国が加盟国首脳で構成する欧州理事会に脱退の意思を通知することによって始まる。キャメロン首相は離脱派勝利の場合すぐに通告する意向を表明しているが、国民投票後の28、29日に開かれるEU首脳会議で伝えるかは分からない。

 当然だが、イギリス国民による「離脱」の選択は、極めて長い時間を要する不安定な、枠組みが定まらない期間が生ずると言うことを意味する。離脱のプロセスそのものがマーケットの嫌がる「不安定」と「枠組み不在」の時期の始まりを意味するのだ。

 イギリスとEUの新たな関係の見本になるかもしれないのはノルウェーやスイス、それにカナダとの関係。ノルウェーはアイスランドなどとEU非加盟の欧州諸国でつくる「欧州経済領域」(EEA)に所属している。

 これは欧州自由貿易連合(EFTA)加盟国が欧州連合(EU)に加盟することなくEUの単一市場に参加することができるように、1994年1月1日にEFTAとEUとの間で発効した協定に基づく枠組み。

 しかしスイスではEEAの参加の是非に関して国民投票をした。結果が「ノー」だったので、スイスはEUと個々の分野について100以上の協定を締結。その結果、単一市場へのアクセスを確保している。

 つまりイギリスが「離脱」を決めた場合には、次にはEUとのその後の関係についてEEAにするのかスイスの歩やり方を踏襲するのか、それとも独自の枠組みを作り直すのかを決めなければならない。時間のかかるプロセスだ。

 ノルウェーとスイスは同時にEUの規制のほか、EUが単一市場で重視する「人の移動の自由」を受け入れ、EU への拠出金も支払っている。「人の自由」に関しては、イギリスは「離脱」を選んだ場合どうするのだろう。

 なぜなら今回の国民投票の争点の一つだからだ。またイギリスの場合、ロンドンのシティがあるが故に、EUの通貨・金融に関する機関はロンドンに置いているケースがある。「離脱」となればそれらは欧大陸のどこかの都市に移ることになる。そのプロセスも決めなければならない。

 カナダとEUの自由貿易協定(FTA)を、イギリスのEU離脱モデルに想定する意見も出ている。しかしFTA交渉が成立すれば、関税関係において「残留」に近い貿易上の地位をイギリスは対EUで確保出来るかも知れない。

 しかし過去の例を見るとFTA交渉には長い時間がかかる。貿易に関してFTA協定を結べなければ、WTO(世界貿易機関)のルールが適用されることになるが、これだとイギリス、EUの双方にとって関税が上がるのは必至だ。

 通常一般の人々の離婚手続きも簡単にはいかない。双方の主張がぶつかり、双方が疲労困憊するまで続き、感情の高まりが生じ、複雑な取り決め・手続きが必要だ。それと同様に、イギリスのEU離脱には、複雑な手続きとお互いの譲歩が必要だが、その間はずっと世界のマーケットは「新しい枠組み」を不安に見つめ続けなければならないことになる。

 その手続きだけで2020年、ないしそれ以上かかるとの見方がある。思わぬ資金の移動も起きるだろう。市場にとってのとてつもない「予測不可能性」の発生だ。今のマーケットはそれを象徴している。

13:09
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