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2016
10/03
Mon

もう"経済戦争"やな.......

day by day

 (07:34)言って見ればこれは「アメリカによるEUへの意趣返し」ですよ。米司法省のドイツ銀行に対する140億ドルの和解金提案。

 先週のマーケットもそうだし、今週のマーケットでも大きな問題になりそう。なにせこの140億ドル、日本円にして1.4兆円は、和解金提案が出てくる直前のドイツ銀行株の時価総額180億ドルの8割近い。「ドイツ銀は大丈夫か」とマーケットが思うのは当然だ。

 「意趣返し」と思ったのは、EUがアメリカのアップルなりグーグルなりに「そこまでするか」という形で罰金や税金逃れに関連して巨額の支払い要求していることを思い出したからだ。

 アップルの問題に関しては、アメリカ国内で「EUはアメリカのIT企業を狙い撃ちしている」との見方、一種愛国的見方が強まっていた。米司法省の和解金持ちかけを見て、「やったな」と筆者は思った。

 これは随分古い問題です。今から10年も前の2005~07年にドイツ銀がアメリカで販売した住宅ローン担保証券(RMBS)の不正販売を巡って。それが今になっての和解金提示の表面化。折からヨーロッパの銀行はマイナス金利の影響もあって経営が苦しくなっていた。

 これは「ふと気がつけば、大西洋を挟んで罰金・税金戦争が始まった」ようなものです。世界の株価を押し下げ、円相場には上昇圧力となる。世界経済の健全な発展を図るべき欧州とアメリカの当局が当該企業に大きなダメージになることを分かっていながら罰金や税金を過度に要求している構図。「この面からも世界経済は制約要因を抱えた」と思わざるを得ない懸念すべき事態だ。

 筆者の見方は「欧州サイド、特にEUが過度な企業叩きの哲学を振り回している」との印象で、「何事にも過剰なEU」の弊害が出ていて、アメリカもそれに応じているという印象。

 もっともアメリカも負けてはいない。VWには巨額の罰金が。しかしあれは言い逃れできない。ドイツ銀行の問題は、一つの銀行の行方以上に、「市場経済のあり方」「企業統治と当局とのあるべき姿」にも関係する問題だ。

 ドイツの銀行について言うと、最近コメルツ銀行(ドイツ大手)の大量レイオフ(1万人)の報道もあった。「マイナス金利」という観点から言うと、ドイツのみならず欧州全体の問題とも言える。同じくマイナス金利を実施している日本はどうか。

  ドイツ銀行は当然ながら欧州最大規模の銀行であり、日本と同じく未だ間接金融が主流のドイツ経済にとっての屋台骨。その銀行の健全性がアメリカの司法当局の判断で揺らぐ可能性があるとなれば、ドイツの政界にとっても大きな問題だろう。

 しかし移民問題もあって国内で不人気なメルケル政権が「いくらドイツ銀行と言えども欧州でも不人気な銀行に公的資金を入れるとは言えないだろう」との観測と相まって、「欧州金融危機」のイメージが拡散している。

 「意趣返し」を一種の戦争だ、ととらえることも可能だ。今朝のフィナンシャル・タイムズは「US accused of waging 'economic war' over Deutsche」という見出しを使ってそれが"戦争"の色彩を帯びていることを報じている。

 世界貿易が縮小傾向にあるなかで、当局同士のさや当て。問題があると思う。ドイツ銀に対する罰金については「減額報道」もある。いずれにせよ今週のマーケットの一つの注目点だ。

07:56
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