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2016
11/27
Sun

問題はこれからですよ.......キューバ

day by day
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 (05:10)それだけ気になっていたんですね。昨日の午後3時前。車で首都高を走っていたときでしたが、ラジオを聞いていた。アナウンサーがやや沈痛な口調で「キューバの......」と言ったときに直ぐに、「カストロが死んだのか...」と思いました。そしてニュースはその通りだった。

2016年11月25日 フィデル・カストロ死去 私が10日間ほどキューバに居たのはつい2ヶ月ほど前です。そして帰国して私はリンク先のように「<歌、酒、太陽と緑、そして抑圧と貧困(2016年夏 キューバ)-Cyberchat>」という文章を書いた。そう、楽しい面と悲惨な面と。旅行者としてはタイムスリップしたような街と、歌、酒、太陽と緑。とっても楽しかった。

 しかしそこには抑圧があり、そして貧困があった。フィデルが90歳、今のトップの弟のラウルが85歳。「カストロの時代」が終わるのは目に見えていた。それが早めに来ている。

まだ石畳のキューバ、トリニダの道 敢えて言えば、兄フィデルの死去で「カストロの時代」は90%終わった、と言えると思う。問題は「その後のキューバ」の行方が分からないことだ。あの貧しさから、あの国がどうやって抜け出るのか。

 革命家の常として、フィデルは豊かな層の生まれです。確か父親は豊かな農園主だったと思った。彼が希有なのは革命家として成功したし、その後の半世紀以上に渡るキューバ統治も続けることが出来た、ということだ。革命家の資質と、統治者(独裁者とも言われる)の資質の両方を持っていたと言うことだ。

 チェ・ゲバラ(もともとはアルゼンチン出身の医学生)は前者の道を選び、早く亡くなった。だからキューバの市民の間では彼の人気が極めて高い。対してどうだろうか。キューバ国民は今の自分達の生活が貧しいことに関連して、フィデルには複雑な感情を持っているのではないか。国を大きく見せてくれた。しかし.....。

 旅行中、あるキューバ人が私に言った。何もないスーパーを見せてもらったあとだった。「ハイチは貧乏で有名だが、隣のキューバも同じくらい貧しい」「このままならは危ないよ...。暴動起きるね...」と。そういうキューバを作ったのもフィデルの半世紀だ。

 キューバは日本の本州の半分の国土、そして1126万の国民を抱えるだけの小さな国なのに、最近の世界の歴史を見るとキューバは存在感があった。「アメリカの目と鼻の先で社会主義革命を実現させた」(フィデルの言葉)し、世界を核戦争に導きかねない危機の舞台となった。

 そして今も社会主義を標榜し、そして北朝鮮とはまた別の意味で「主義を前面に出しながら、その理想を実現できずに貧しいままの国」でいる。歌を歌っている時以外は、普段はキューバの人は結構不機嫌な顔をしている。σ(^^)とする理由が無いからだと思う。

 むろん北朝鮮とは随分と色合いが違う。どこに行っても監視員が付いてくると言われる北朝鮮に対し、キューバは旅行者に対しては「ご自由にどうぞ」という国だ。国民も基本は優しいし、排他的では無い。

なんもないキューバのスーパー しかし社会主義の残影を色濃く残す。「配給所」があるし、スーパーにはさすがに酒は多種あるが、その他の物品は驚くほど少ない。「これ」という特徴の有るレストラン以外のメニューは「またか」という同じモノ。かつての中国やその他の社会主義国を思い出す。

 観光資源になっているからいいようなものの、街のビルも車も半世紀をタイムスリップしている。トリニダでは依然として馬車が交通手段だし、道路は石畳。スーパーの鶏肉は朝一番に売りきれる。彼等の所得は驚くほど低い。教育や医療がタダだと言っても、酷く貧しい暮らしだ。

 主要な庶民の交通手段のバスは、なかなかこない。なので皆ヒッチハイクのポーズをしている。中にはお札をかざしている連中も居る。日本が出来ることはいくらでもある、と思うと同時に、「カストロはその類い希なる演説でキューバ国民を陶酔させたが、それ以外は失望を持ってきたのではないか」と思う。

 それでもカストロの体制が半世紀も続いたのは、北に巨大、かつ抑圧的なアメリカが存在し、国民が「またあの国に飲まれたくない」という気持ちだったのと、対抗できるネームは「カストロ」くらいしか無かったからでは無いか。理想はかなり剥げ落ちてはいたが、彼を中心にまとまるしかなかった。そういう気がする。

 繰り返すが、ラウルも85歳。カストロの息子は政治からは遠ざけられている。ラウルには兄フィデルが持っていたカリスマ性はない。多分キューバは観光だけで相当外貨を稼げる。ギリシャに似ている。

キューバではどこに言っても歌が、そして踊りが しかしそのためには、ホテルのレベルを上げ、食事のレベルも上げる必要がある。歌は今のままで良い。そして電波環境の改善か。街や車は直すべきか。これが難しい。30年前にキューバに来た旅行の仲間が今回も、「見事にハバナの街は変わっていない」と言った。そのタイムスリップ感がキューバの今のウリだ。

 多分トランプを頂くアメリカとは揉める。ラウルにその舵取りが出来るかどうかは知らない。だから楽しみではあると同時に、キューバはとっても難しい時期に入ったと思う。願うのは「南米一の安心できる旅行環境」の維持は保って欲しいと。

 90歳でなくなったフィデル・カストロに合掌。

06:20
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