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2017
01/19
Thu

なんじゃそれ....トランプ的思考

day by day
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 (09:34)全く筋が違う問題をわざわざ関連づけて、それを取引材料にする....というのがトランプ的思考の一つの特徴かな.....と考えています。

 例えばロシアとの関係。「核軍縮に応じたら制裁の一部を解除してもよい」とトランプ氏。しかしこの主張にはとっても違和感がある。なぜならアメリカや欧州の一部が実施している対露制裁はクリミア半島をうやむやなうちにロシアが併合したことに対して実施されているもの。

 第二次世界大戦後に確定された国境を動かさない、という基本的な考え方が欧州では強い。なぜなら歴史をさかのぼれば欧州の国境はとっても入り組んでいるし、動いた。ロシアのサンクトペテルブルクはもともとはスウェーデン領。今はロシアで最も魅力のある大都市。

 今のポーランドの領土はその西や南のかなりの部分は、第二次世界大戦前までは殆どがドイツ領だった。ポーランドは国自体がない時代も長い。それ以前を振り返ればフランスにイギリス領があったり、とっても複雑。

 「それは俺たちのものだった」と言い合って奪い合いになれば、欧州では必ず戦争になる。その種に不足はない、というのが欧州だ。だから「もう確定しよう。変えないでおこう」という考え方が、ロシアのクリミア併合までの共通認識だった。

 それをロシアがひっくり返したのだから、そりゃ欧州は怒る。欧州の安定希求とロシアの伸張を警戒したアメリカもその怒りに加わった。なのでロシア制裁だ。なのにトランプは「核軍縮と制裁の解除」を結びつけようとしている。筋が違うのに。

 要するにトランプは「欧州の歴史、欧州の人々の思いなどどうでも良い」というスタンス。「どうでも良い」という彼のスタンスは対メキシコ、対中国、対政敵、対共和党などいろいろなところで目立つ。つまり一言で言えば「関係の履歴、複雑な構図」に対する無関心。自分第一。

 多分それは性格でもあるし、生い立ちでもありそう。彼は家業を継いでいるが、その家業の対象はクイーンズからマンハッタンに移った。マンハッタンはアメリカでも特殊な不動産市場だ。

 「下落局面でもっとも下げ渋り、上げ局面ではもっと素早く上がる」というのがマンハッタンという場所だ。アラブの投資家など世界中の金持ちのカネが集まるから。ノリは「俺は42丁目と5番街のかどっこにビルを持っているんだよ」といった類いだ。

 世界で誰もがその場所の重要性が分かる土地は少ない。六本木や香港よりもやはり世界ではマンハッタンが一番有名でしょう。その街にビルを持ちたい輩はいっぱいいる。一種の「金持ちのステータスシンボル」。

 だから私はいつも思う。「成功したビジネスマン」というトランプ評は多分割り引いて考える必要がある。法律には詳しいだろうが(不動産取引には一杯法律がからむ)、あとは建設業者や土地保有者との「取引」に人生の大部分を掛けてきた。家業だし非上場だから乗っ取りを懸念する必要もない。

 繰り返すが、マンハッタンの不動産は下がってもその後に上がるのは世界で最初で大きい。何回も挫折したそうだが、トランプがその度に立ち戻ってきたとされることには「マンハッタン的特徴」があったと思う。

 トランプには多分その分野から出てきた人物故の所作、考え方がある。「何でもディール」というのはそういう履歴の中から生まれたと思う。「何でも」なので、とんでもない結びつきが生ずる。

 例えば台湾問題(「一つの中国」という考え方)と中国の対米黒字を結びつけるなど、過去のアメリカ大統領だったら絶対しなかった。しかしトランプはそれを平気でする。多分びっくして、「どうするべ」「何考えているの」と思っているのは中国だ。

 中国人が得意とする戦略的思考(善し悪しの問題は別にして)には全くなじまない。だからトランプが次期大統領に決まって以降の中国首脳の発言は少なくなった。多分報道がトランプ集中になっているからだろうが、中国としては「何をするか、何を言うか分からないトランプ」へのある種の恐れがあるのだと思う。

 そりゃ読めない。本来は関係ないことを突然結びつけてくる。「核軍縮とクリミア問題での制裁解除」。なんじゃそりゃ、という感じ。多分それが増える。「なんじゃそりゃ」のトランプ。しかしもう少しすれば、彼の思考パターンは読める気もする。それまでは観察だ。

10:17
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