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2017
05/15
Mon

「彼はパラノイア状態」....とヘイリー

day by day
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 (09:33)週末の北朝鮮のミサイル発射に関しては、その後色々なことが分かってきている。意味合いも多そうだ。

 まず朝鮮中央通信の報道。『新型の地対地中長距離弾道ミサイル「火星12型」の試験発射に成功した』と報道。つまり「新型だ」との西側の見方を確認した。その上で、発表は「ミサイルは高度2111・5キロメートルまで達し、距離787キロメートルの公海上に設定された目標水域を正確に打撃した」とも主張。  これは西側の「2000キロメートル以上上昇し、800キロ飛んだ」という報道に近い。これを高度の低い正常軌道に引き直すと少なくとも4500キロ、場合によっては6000キロは飛ぶ、と北朝鮮やアメリカは判断しているらしい。北朝鮮も「中長距離弾道ミサイル」と呼んでいる。ただし大陸間弾道弾(ICBM)ではない。

 それはグアムは無論、アメリカのアラスカに届く。なのでアラスカ州知事は「アメリカの西海岸の防衛強化に関する法案」を議会に提出した。つまり準ICBMという位置づけらしい。北朝鮮がそれに小型化した核弾頭を付ける努力をすることは確かだし、もしかしたら出来ているかも知れない。

 朝鮮中央通信はこの点に関して、「大型重量の核弾頭の装着が可能。(試射によって)新たに開発されたロケットモーターの信頼性が、実際的な飛行環境条件で再確認された」と述べている。「大型重量の核弾頭の装着が可能」としているのは、核弾頭を搭載できる中長距離弾道ミサイルですよ、と述べていることになる。

 週末に報道された「ロフテッド」(弾道ミサイル等の打ち上げ方法のうち、通常よりも角度を上げて高く打ち上げる方法)であったことも確認されたわけで、ロフテッドにしながらロシア領土から数百キロの場所(公海)に正確に落とした、としたらそれは北朝鮮のミサイル技術の大幅な精度向上を意味する

 北朝鮮に残るのはあとミサイルが大気圏に再突入した際の弾頭の熱耐性と、核弾頭の実際の爆発力の検証、そしてICBMの完成ということになる。それにはおそらく核実験が必要。一番のポイントはそれをいつしてくるのか、それともそれをするとアメリカの先制攻撃の対象になるので、スタンスを交渉に切り替えるのか。

 ロフテッドの特徴は、高高度での軌道ピーク、そして落下速度の加速ということで、迎撃が難しくなると言うこと。それはロフテッドで攻撃される危険性のある韓国と日本、それに敢えて言えば中国とロシアにとっての脅威増大ということになる。

 トランプ大統領は北朝鮮のミサイルの落下地点が日本の排他的経済水域ではなく、ロシア領に近い公海だったことを指摘して、「ロシアもいい気はしないだろう」と述べている。ロシアは「準備は出来ていたので、脅威ではない」と述べているが。この辺がまず興味深い。ロシアが対北朝鮮の隊列に加わるかどうか。

 中国は怒り狂っているに違いない。一帯一路構想をスタートさせる今年の最重要国際会議(中国政府にとっての)における習近平の演説の数時間前に発射があった。またまた北朝鮮(30台前半の若造が率いる...と中国は思っている)が、大国中国の核心である習近平の顔をつぶした。

 安保理が明日か明後日に開かれるらしいが、ロシアと中国がどう出るのか。それが次のポイント。ロシアは少なくとも「(北朝鮮は)対アメリカのカードになりうる」と考えているのでしょう。

 私が見る限り米高官の中では一番トランプ大統領の意を受けて発言しているように見えるヘイリー国連大使が、「(ミサイル発射は)対話には遠ざかる。北朝鮮を締め上げることになる」と言っているのは興味深い。

 どう締め上げるのか。それは中国経由だろうから、中国が例えば石油禁輸などで協力するのか。多分核実験をしたら中国は踏み切る。ICBMでない弾道ミサイルの実験ではどうだろうか。

 興味深かったのは、引き継ぎ時間もないまま大統領に就任した文在寅新大統領が安全保障会議を開いたが、それを構成していたメンバーが大統領以外は全員が朴槿恵前大統領の積み残しだったこと。無理もない、首相の任命・承認も済んでいない。

 顔を潰されたはずだが、「対話の可能性は残して置く」と述べている文在寅大統領。選挙戦で言ったことを簡単には撤回できないで言っているのか、それともまだ本当にそう信じているのか。

 これに関連してヘイリー米国連大使が14日のABCテレビで、「(北朝鮮のミサイル試射は)is not the way to sit down with President Donald Trump」「United States would continue to "tighten the screws" on the isolated nation and said North Korean leader Kim Jong Un was in a "state of paranoia."」と述べていること。

 パラノイアとは「被害妄想状態だ」ということです。普通の精神状態ではないと判断している、ということでしょう。ヘイリー大使は「新大統領が誕生したばかりの韓国をまずけん制するため、ミサイルを発射した」と北朝鮮の意図を推測。

 「tighten the screws」が実際になんなのか。それに対して北朝鮮がどう出るのか。多分先が見えてくるのは、ここ数日の動き次第だと思う。

10:35
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