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2017
06/09
Fri

怒りに満ちたコミー証言....大統領には打撃

day by day
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 (04:43)今回のコミー前FBI長官の議会証言によっても、「トランプ大統領がコミー氏に対して言ったこと、そして突然の長官解任自体が司法妨害に当たるかどうか」については米司法界でも論争があるそうだ。「Improper? Definitely. Illegal? Probably not.」とブルームバーグ。

 また昨年の大統領選挙の最終盤。クリントン候補による私的メールサーバー使用を巡るやや混乱した感もあるFBIの捜査方針表明への印象故に、アメリカ国民のコミー氏への信頼はそれほど高くないとも言われる。

 しかしそれらを考慮に入れたとしても、日本時間の午後11時から約2時間半にわたって行われたコミー前長官の議会上院での証言は、トランプ大統領の政治的将来に大打撃を与える衝撃を持ったものだったと思える。

 議員達の質問の前に、事前公表した議会向け書簡とは別に、コミー元長官は冒頭発言をし、その際から冷静ではあるが、トランプ大統領に対する怒りに満ちた発言が続いたように感じた。

 何よりも印象的だったのは、「(大統領について)嘘つきの傾向」を指摘した部分。コミー前長官は今までの大統領(オバマなど)との会話をメモに残すことはしなかったが、トランプ大統領については「nature of the person」(その人の性格、性癖)故に、後で間違って引用する、ウソをつかれるかも知れないと感じてメモを残した、と述べた。感じられるのはトランプ大統領への強い不信感だ。信頼感ゼロ。

 彼が一番言いたかった事は、「"Although the law required no reason at all to fire an FBI director, the administration then chose to defame me, and more importantly the FBI, by saying the organization was in disarray, that it was poorly led, that the workforce had lost confidence in its leader. Those were lies, plain and simple."」ということかな。

 つまりアメリカの司法当局、とりわけ彼が率いていたFBIに対する侮辱への怒り。「defame me and more importantly the FBI」がコミー長官の怒りの大元かな。ホワイトハウスは急いで法律顧問に、「トランプ大統領は嘘つき(liar)ではない」と声明せざるを得なくなった。

 コミー長官はロシア疑惑を巡るフリン前安全保障問題担当大統領補佐官に対する捜査を止めるよう求められた件に関して、「 direction と受け取った」と。一般的には「指示」と訳されるが、状況では「order(命令)」とも受け取れるだろう。この辺が特別検察官の判断になる。

 もっとも特別検察官が任命されるに当たっても、コミー長官の意図が明らかになった。彼はトランプ大統領との会談メモに関して、「公表され、それが特別検察官の任命に繋がることを期待」して知り合いのコロンビア大学の法学教授に見せた、と。

 事態はその通りに推移した。つまりコミー長官の頭の中には、「トランプ大統領は少なくとも司法妨害に当たる罪を犯したかどうか調べてもらう必要がある」との判断があった、ということだ。もっと本音では「あれは司法妨害だ」と考えていると思われる。しかしそれは特別検察官の仕事だ。

 トランプ大統領が「会話テープが無いことをコミー氏は願った方が良い」とツイートしたことについては、「むろんテープが出てくることを望む」と。ということは、ホワイトハウスに対するテープ提出要求は強まる、ということになる。

 なぜなら、大統領自身がその存在を明らかにしたのだから、もうそれは逃れようが無いように思える。ニクソンが辞めるときもテープが一つ重要な役割を果たしたと思った。もっとも「調べたらなかった」と言うかもしれないが、

 聞いていて、よどみなく、強い意志を持って喋っていると思いました。コミー前長官です。自分が56歳までやってきた職業に対する自信が前面に出ていた。

 全体的な印象としては、「トランプの孤立」が一段と進むと思う。この混乱の政権にあえて加わろうとする人は少ないだろうし、結局「自分」しか信じないし、何を言うか分からない人なので、敢えて近づく人は益々減る、という印象か。

  備忘のためにアメリカにおける司法妨害の定義について書いておきます。先日それに関してやっていたNHKテレビの翻訳を借りると、「不正または暴行あるいは脅迫する文書や会話によって、司法の適正な運営に影響を与え、もしくはそれは妨げ、またはそれらを試みた場合」とされている。

 それは「10年以下の拘禁刑もしくは罰金に処し、またはこれらを併科する」と。コミー前長官は「トランプ大統領の行為が司法妨害に当たるかどうかはミューラー特別検察官の仕事」としたが、彼が証言の中で受けた心証風景は「妨害された」に近かったのではないか。

 コミー解任を推奨したのはクシュナー、プリーバスの二人だったと言われる。解任も証言もトランプ大統領にとっては多分大打撃になった。大統領自身は、「戦い続ける。戦い方を自分は知っているから」と。さてどうだろう。

04:56
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