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2017
11/28
Tue

相撲道と私

day by day

 (00:55)あ、この人は「相撲道と私」......という人なんだ、と思いました。

 昨日の直撃LIVE グッディ!で流れた11分間の貴乃花親方の挨拶を見ていて。同部屋が日曜日に恒例の「場所後打ち上げ」をやった。そこでの挨拶。それを番組が独占入手していた。良きことに、番組は11分間のスピーチを全部流した。興味深かった。

 11分間のスピーチ。ちょっと日本語がおかしいところがあったが、原稿を見ずに自らの言葉で語る親方。分かったのは「相撲道」と「私(貴乃花)」の間には、なんも介在していないということだ。彼の頭の中では。直接繋がっている。

 だから「巡業"部長"なんだから、事件・事故があったら理事長(上司)に報告するのが当然だろう。組織人でもあるんだから」と普通は思う。私もそう思っていた。しかし彼の頭の中は、「相撲道と私」なので、「報告する」といった発想がそもそもない、のではないか。

 彼は11分間のスピーチの中で「巡業部長とは何か」を喋っていたが、「250人の力士の巡業を取り仕切る」「自分の部屋以外の力士でも被害者、加害者になったらそれを管理・監督する。警察にも相談する」と言っていた。そこには「まず理事長に報告」といった組織人的な発想が見られない。良い悪いではなく。

 じゃなぜ理事長選に出たのか。多分それは、自分の相撲道を理事長として日本の相撲界全体に普及させたい....と考えたのではないか。つまり一種の布教だ。彼は相撲の上で自分に厳しかったし(あの鬼の形相を思い出した)、部屋の力士にも厳しい。そして支援者にも。

 部屋を開設してから短い間に幕内力士を二人も(rpt も)育てた。それは彼に「相撲道の理想」があって、それに弟子が付いてきたからだと思う。自分も大横綱になったし、部屋の力士も順調に出世している。

 貴ノ岩は今場所を休場したから来場所は十両に落ちるが、貴景勝 は今場所11勝で来場所は三役が有望。彼はこの打ち上げでとっても上機嫌だったそうな。よほどそれが嬉しかったのだろう。自分の道は間違っていなかった....と。

 番組の紹介によれば、「弟子9人。うち今場所に出た8人のうち7人は勝ち越し」らしい。つまり「部屋の師匠としても貴乃花は成功している」と言える。11分間のスピーチの中でも支援者達に「食事」「睡眠」そして「鍛錬」(だったと思う)が必要だから、「うちの部屋の力士をあまり連れ回さないでくれ」といった趣旨のことを言っていた。

 たにまち(大阪の寺が多い谷町筋から)は直ぐに「俺が電話すればあいつは直ぐ来る」とか言って、周囲の人間を驚かし、羨ませたがる。つまり貴乃花は支援者にも「俺の相撲道の邪魔をするな」とやんわり釘を刺しているのだ。

 「相撲道と私」であって、その間になんも介在させていない(彼の頭の中で)と考える事で初めて、前回の理事長選で自分を支持した伊勢ヶ浜親方と今回は角を突き合わせている貴乃花を理解できる。そう私は思う。

 直ぐに謝りに来なかったとか、事前に来訪を告げなかったとか、最初は弟子の事件を知らないと言った.....とか。それはあまり関係ない。彼にとっては伊勢ヶ浜親方の、弟子(日馬富士)が起こした不祥事に対する姿勢が「相撲道から外れているだろう」というのが理由ではないか。

 景子夫人が盛んに「彼は信念を持つ人」と言う。恐らくその信念とは彼の言う「相撲道」そのものなのではないか。それは多分我々には分からない。恐らく、祖父、父、そして自分達兄弟と繋がる系譜の中で、そして子供の頃からマスコミに書かれ続けた(嬉しいこと、頭にくること)中で、「信じられるものは何か」と求めた末に達したものだろう。

 番組の最中にふと頭に浮かんだのはマルチン・ルターだ。15世紀から16世紀(1483年11月10日 - 1546年2月18日)に生きたドイツの神学者、教授、作家、聖職者。 1517年に『95ヶ条の論題』をヴィッテンベルクの教会に掲出。旧来のキリスト教会を改革しようとした。

 貴乃花は「95ヶ条の論題」は提出していない。しかし彼が思い描く相撲道に従って自分を律し、部屋を律し、そして日本の相撲を律したがっているように思う。「日本相撲教会も改革したい。だから理事長にもなれたら良い」と考えているのだと思う。あくまで手段だ。

 狙いが「改革」に有るわけだから、旧来勢力とは対立する。彼はそれを厭わないが、足りないのは言葉だ。しかし良い悪いの問題ではなく、彼は自らの相撲道の実現を目指している。多分守旧派からの強い抵抗を受けるが。しかし多分彼は多くの優秀な力士を輩出する親方ではあり続けるだろう。そう思う。

 別に「貴乃花が好き」とか「嫌い」でなく、彼の言うことを聞いているとそう聞こえる。多分彼の相撲道がいかほどのものかを評価するのは、今の騒々しい世間ではなく歴史だろう。多分。

02:52
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