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2019
01/02
Wed

出産は日本本土(内地)で.........

day by day

 明けましてお目出とうございます。今年が皆様にとって、良い1年でありますように。

 昨年12月30日から小笠原諸島の中の父島(他に「母」「兄」「弟」「姪」「仲人」などいろいろある)に初めて来ていますが、丸3日ほどいて印象に残ったことをいくつか書きます。

 その第一は「この島では出産ができない」ということ。20年ほど前までは出来たそうです。もっとも危険度が高い第一子は駄目。第二子以降が可能だったらしい。産婆さんがいたので。しかし今は産婆さんがいないし、病院は診療所しかなく設備がない。

 妊婦さんは妊娠8ヶ月になる前に全員が内地(ここの人の言葉で日本本土)に行かねばならない。なぜなら丸24時間の航海時間がかかる小笠原丸(芝浦桟橋--小笠原父島二見港の定期船 ここの人達は「おがまる」と呼びます)に乗れなくなるため。多分長い航海時間からのルールでしょう。

 なので妊娠8ヶ月から最低出産一ヶ月後までのほぼ4ヶ月間は、一家が別々の生活になる。移住組(内地生まれで実家が日本本土にある人達)は大部分が奥さんを日本国内の奥様の実家に預け、そこを亭主が時々訪れるという生活になるらしい。問題なのは、小笠原の昔からの住民の方。内地にはあまり縁もないので「病院の近くなどにアパートなどを借りる」そうなのです。島の人々にとってもっとも縁のある都内の病院は広尾病院と聞きました。ヘリポートがある。これは大変なコストです。

 実家が日本内地にあるとしても大変です。たまたま31日のツアー(千尋岩=ハートロックへの島内南への旅 世界遺産の森の中を縦走します)のガイドをしてくれた須田さん(小笠原では島民全員があだ名で呼ばれていて、その人のそれは「すだち」でした)の奥様は、栃木の実家帰りでの出産待ちらしい。なので小笠原の人達にとって「出産」は大仕事になります。

 では子供を持つのが大変なので「子供は少ないか」というとそうではない。「環境としては子供を育てるのに良い環境」(住民の方々)とおっしゃって、子だくさんです。環境が良く、その後は育て易いらしい。父島には高校まである。小笠原の環境の良さに惚れて移ってくる方々は多いらしい。実際に旅の仕事に携わっている人の大部分は、私が会った限りでは移住組です。次回以降に書きますが「小笠原での生活には魅力がある」ということでしょう。

 次は圧倒的な住宅不足。なにせ絶海の孤島の火山島(一度も大陸とつながったことがない「海洋島」)で平地は少ない。直ぐには民間航空機が離着陸できる空港を簡単に作れない背景がある。小笠原村は戦前のピークである7400人は無理としても、今は3000人未満の島民の数を増やしたいらしい。しかしそもそも土地がない。二見港漁港の近くにある都営住宅のような住宅を増やしたいらしいが、それもなかなか進まないらしい。

 なので、小笠原丸で一回当たり運ばれてくる800人強は、民宿とかペンションとかに分散小規模宿泊となる。むろんそれは楽しいのですが、ホテルと呼ばれるような代物は一つもない。同じ北緯26〜27度の観光地としては沖縄本島がありますが、そことの違いは大きい。島のあり方については、実に様々な意見があるらしい。当然です。「空港が欲しい」という人もいれば、「そんなのは要らない」という人もいる。人口が増えて欲しいという人もいれば、「この程度で良い」という人もいる。

 いろいろなのですが、一つ言えるのは私たちにとっては「来てとっても良かった」ということです。その辺はまた書きます。(続)

 

 

 

 

03:08
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