令和になって、しかもこのコロナ禍で急速に忘れられつつある。しかし「何故起きたのか」「どうしてあのような展開になったのか」と忘れてはならない平成の経済事件がいくつかある。この本は事件を追った二人の記者の記録だ。
この本が取り上げている事件の最中、日本は大揺れだった。読み進む中で、「そうだった」と同時に、「そうだったのか」という事実が次々に提示される。報道されなかった数々の事実。金融界もそうだが、行政のあり方も大きく変わった。
丁寧な取材の積み重ねの上に提示できる事実が積み重ねられている。恐らくそのいくつかは日々の新聞の記事にもならなかっただろう。その辺を繋ぎ合わせながらこの本は四つの事件を取り上げる。
読み返す中で、「一連の事件は、日本の経済システムの敗戦だったんだな」と思う。そこから新たな形が生まれてきているのかは議論のあるところだ。もう我々は忘れかけているが、それほど昔に起きたことではない。
二人の記者の地道な努力に拍手を送りたい。