2006
04月

2006年04月の日記

日記

2006年04月30日

 (23:35)ははは、尾籠な映画を見ました。尾籠だが、笑えるし、泣ける。結構面白い。以前伊丹十三監督作品の「お葬式」(調べたら1984年の映画だった)を思い出しながら見ました。それよりは社会性は小さい。しかし、笑える回数は多い。

 マキノ雅彦第一回監督作品。マキノ雅彦とは、津川雅彦です。おにいちゃんの長門裕之を使って、実に面白く作っている。まあイントロのところのスターは木村佳乃ですな。ははは、実に面白い。彼女の新しい味が出ている。「そうじゃないかな」というオチがあるが。

 でもまあね、私も葬式を二回ほどやりましたが、実際にはあれほど面白くおかしくはできない。だって自分が全く知らない人が一杯来るわけですから。この映画の舞台は密葬です。お互いに親密な人ばかりでやっている。まあないでしょうが、故人が生き切った人だったら、ああいう葬式もいいな、と。

 中島らもさんの原作は読んでありませんが、原作はもっと面白いのかも。劇場はちょっと空いていましたが、私としては面白かった。

2006年04月29日

 (23:35)うーん、今日からゴールデン・ウィークですか。放送とかコラムがいつも通りにある私にはあまり関係がない話ですが、連休中はちょっと諏訪に行ったりといった状況。火曜日にはいつも通り大阪へ。しかしあまり大きくは動きません。今年は3月に屋久島に行ったので、それほどどこかに行きたいという気持ちはない。6月にはまたインドに10日間ほど行きます。

 ところで、今日は「へえ...」と思ったこと。木曜日のポッドキャスト用収録では、「ゴールデンウィークを考える」ということでやったのですが、スタッフが集めてくれた資料の中に、「へえ」の第一弾が。

 1948年の祝日法の施行以降、連休となるこの一週間の映画館の入場者数が増加したことから、「最高にすばらしい週間」という意味で、1951年、大映専務であった松山英夫が命名し、映画館経営者の間で使われ始めたのが、一般に普及したものである。

 NHKでは、「ゴールデンウィーク」という言葉が特定企業の商標ではないが、業界の宣伝になってしまうということで単なる「大型連休」という言い方に統一している。

 ちょっとびっくりしました。ゴールデン・ウィークは一般名詞になっていると思っていましたから。その後気を付けてNHKを見ていると、確かに「大型連休」と言っている。ゴールデン・ウィークとは言わない。ははは、今まで気が付きませんでした。同じ資料の中には、中国には5月と10月の2回「黄金周」があるという。5月が五一、10月が十一と言うらしい。
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 「へえ」の第二弾も木曜日の放送から。その前日に耐震偽装の問題で8人が捕まったのですが、その一つの罪状は「電磁的公正証書原本不実記録」だった。藤田さんなど。頭の中には「公正証書原本不実記載」というやや耳慣れた単語があったのですが、新聞に「記録」とあるのでそれを覚えようとした。声に出したら、「記載ですよ」と隣から声が。江川さんだったかな。

 しかし新聞には「記録」とある。そこでちょっと考えたのです。「電磁的」と「記録」が結びついているな....と。少しして考えてみればそうだ、と思い付いたのです。電磁的でない公正証書原本への不実は、確かに「記載」が正しい。しかし電磁的な証書では確かに「記録」としか言いようがないような気がするな.....と。法律(刑法)にはどう書いてあるのか。

第百五十七条1項 公務員に対し虚偽の申立てをして、登記簿、戸籍簿その他の権利若しくは義務に関する公正証書の原本に不実の記載をさせ、又は権利若しくは義務に関する公正証書の原本として用いられる電磁的記録に不実の記録をさせた者は、五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
2項 公務員に対し虚偽の申立てをして、免状、鑑札又は旅券に不実の記載をさせた者は、一年以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。
3項 前二項の罪の未遂は、罰する。
 「原本に不実の記載」と「電磁的記録に不実の記録」の違いで、「記載」と「記録」の差が出てくるということです。まあちっちゃなことですが、ちょっと「なるほど」と。

2006年04月28日

 (25:35)木曜日のやじうまで私の隣に座った弁護士が、「検察が準抗告を行ったら大体それが認められるんです....」という話をしていて、その辺は私は不案内なので「そうなのか。じゃ、ホリエモンは今回も出てこないんだ....」と思っていたら、木曜日の夜に保釈。ありゃりゃ、あの弁護士の話は何だったんだ、と思っていたら、理由があったようです。

 それは「公判前整理手続き」という新しい制度。2009年5月の裁判員制度導入に先立ち、去年11月施行された新しい刑訴法で新設された手続きだそうだ。初公判前に裁判官、検察官、弁護人が協議し、証拠や争点を絞り込んだ上で公判日程を決め、審理が迅速に進むようにする制度だという。法律に詳しくない裁判員に、争点を明確に示すために必要なんでしょう。

 整理するためには、被告(ホリエモン)と弁護人は弁護ポイントや体制について確かに緊密に、時間をかけて協議する必要がある。裁判所は検察側の準抗告を退けた理由として、この「十分な協議の必要」を理由の一つに挙げているという。もう一つの理由は、保釈しない理由となりうる証拠隠滅の恐れの低下だという。確かに宮内被告などは起訴事実をほぼ認めているので、立場が反対になったホリエモンがことさら彼一人で証拠隠滅できる可能性が減退した、と理解できる。これとの関連で、ホリエモンの保釈の条件には、「事件関係者全般との接触をしない」があるという。

 ということは、裁判員制度導入の事前環境整備の中で導入された「公判前整理手続き」が今後も裁判で頻繁に使われるとしたら、保釈が頻繁に認められることになる。今までは否認の容疑者については初公判が開かれるか、検察側の証拠調べが終わるまで認められなかったという。私の隣に座った弁護士はこうした過去の例を挙げたことになる。

 裁判が始まったときの私の関心は、起訴事実を認めている宮内容疑者と、認めていない堀江容疑者の主張がどうぶつかりあい、どこでクロスするかです。宮内容疑者がかつて知人に、「ライブドアは堀江の会社じゃないですよ。私の会社ですよ」と述べたという話は私の頭の中にずっと残っていて、確かにそういう面はあったんだろうな、と思っているのです。ホリエモンは基本的にはソフトウエアと広報(自ら)の人ですから。対して宮内容疑者は税理士として、ライブドアのお金の流れを把握してきた。

 むろん、だからといって堀江容疑者の責任が免除されるわけではない。組織のトップに立つ人間としての責任はある。その辺の関係がどう整理されるのかに興味がある。それと、検察のトップがある意味では自分の口で言っているような検察の美意識(「額に汗して働く人間.....」)を事件に適用した部分が、法の判定者としての裁判所がどう判断するか。

 この問題もそうですが、耐震偽装も、今の日本の法体系が現実に合っていないことは確か。耐震偽装では8人を逮捕して「一網打尽」かと思ったら、網は三つに分かれていた。それぞれ編み目の違う。これでは、事件の全容を見いだすのも難しい。法律の整備が急がれるのに、国会はメール問題で長期間停止した。ちぐはぐです。

2006年04月27日

 (13:35)朝FTを見たらドーンと安倍晋三官房長官の大きな写真が。何事かと思って記事を読み始めたら、FTが安倍さんと独占インタビューをしたということらしい。だから一面トップに持って行った。FTもよほど何もなかったのか、安倍さんを次の日本の首相だと思っているのか。

 見出しは「Abe insists he is not too young」というのです。決して若過ぎはしないと。党内の一部の意見、特に森さんなどの意見に異議を唱えたと考えられる。安倍さんは言う。「イギリスのブレア首相は私より一歳年上なだけだ。しかし(もう首相を何年も務めて)引退に近いところにいる」と。

 ブレアさんもこんなところで引用されて驚いたでしょうが、まあそれは事実。「世界的に見れば、51歳(9月に52歳)は若くも何ともない」と言いたいのでしょう。かなり、「やる気アリ」と私は見ました。福田さんも「やる気」を見せている。森派の二人の動きは面白い。

 しかし、先週の水曜日だったと思ったのですが、関西からの帰りに新幹線の中で国会中継をずっと聞いていて、確か管直人さんが質問者だったと思ったのですが、これが結構面白かった。管さんが「小泉首相の次」と言われる人々を回答者に指名して、それぞれの経済に対する考え方を聞いたのです。

 それをずっと聞いていて、安倍さんが応答に出てくるたびに徐々に「あれ、この人は大丈夫だろうか」と思うような返事が続いた。それは管さんの質問を外している意図的なもののように思えないこともないが、実はあまり経済知識がないのではないか、という印象もあった。

 そう思っていたら、このFTの記事には、「Mr.Abe,criticised by rivals fo lacking a strong economic back-ground,」という表現が出てきている。「ああ、やはりそうか」と思いました。FTでは安倍さんは自らの経済政策の柱として

  1. fiscal consolidation(財政の健全化)
  2. 市場経済の堅持
  3. セーフティネットの充実
 などを主張。いまいちはっきりしない。fiscal consolidationについては、順番としては「無駄な支出の削減」「国家資産の売却」「その上での消費税引き上げの可能性」となっている。まあこれは彼がこれまで言っていたこと。うーん、これは私の印象だが、管さんの質問に一番しっかり答えていたのは、次期首相人気投票では3%くらいの支持率しかない谷垣禎一さんかな。この人は答弁を聞いていて、「わかっているな」と。

 安倍さんのFTとのインタビューでまず面白かったのは、「靖国に行くとは宣言しない」と言っている点。まあ日本でも彼はそういっているのですが、FTはこれを「首相になったら靖国に行かないことを示唆した可能性がある」と解釈した。あと2ヶ月で、ポスト小泉の総裁レースは著しく狭まってくる気がする。
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 今朝の記事では、サッカー日本代表のジーコ監督がドイツの雑誌とのインタビューで「日本人は自分を信じていない」という趣旨のことを言った、というのが面白い。新聞のサイトに出ていた。

 日本代表のジーコ監督(53)が代表メンバーに奮起を促した。独誌「ルント」の独占インタビューで「日本人には大きな問題点がある。選手は自分自身を信じていない。対決することに対して責任を持たない」と厳しい指摘。1対1で負けない姿勢を常に求めている指揮官が、プレー内容に不満を感じていることを明らかにした。

 その上で「それを克服すれば日本はボールを足で操る巨人になれる。ヨーロッパにはない運動量が日本にはあるんだ」と自信を持ってプレーするよう注文をつけた。

 「自信をもってプレーする」「自分に自信を持つ」。まあそうですね。私は国民の性向として、日本は「think small」というのがあると思う。控えめというか。良い意味でも悪い意味でも。それに対して、朝鮮半島の人は「think big」の傾向があると思う。良い意味でも悪い意味でも。日本からは、FIFAのトップとか国連事務総長になろうという人はなかなか出ないが、韓国は直ぐにそういうトップを狙いたがる人が出てくる。随分国民性が違うんだ、と思う。

 しかしはっきり言って、正当な自信はあった方が良い。今回日下さんと出した本上品で美しい国家はそういう狙いもある。

2006年04月26日

 (21:35)日経CNBCの番組の第一回のゲストでもある内藤君が、「伊藤さん、番組のHPが出来てますよ」と教えてくれました。結構良いサイトですね。

 最近は番組が始まると、直ちにサイトが立ち上がる。当然のことになった。でも外投げで造っているところが多いんでしょうな。それだとちょっとコストがかかる。ま、ないよりはその番組について詳しいことが分かるというもの。ナイスです。

2006年04月25日

 (21:35)日下公人さんと今年の1月下旬に二回、二週に渡って対談した時のコンテンツが、上品で美しい国家という題名で今週末には出版されます。自分で書くより、対談は速く本に仕上がる。しかし書き下ろしと違ってまた面白い本に出来上がっていると思う。

 私も日下さんも共通だったのは、決して日本に悲観的ではないし、むしろその力を高く評価しているという点でした。大先輩ですからいろいろ教わることも多かったし、それがうまく本にまとまっていると思います。まだ紀伊国屋とかアマゾンのサイトにはアップされていない。アップされているのは出版社さんのサイトだけです。

 今週後半から有名本屋のサイトに載ると同時に、店頭にも並ぶと思います。ご興味のある方は、お求めになってお読み頂ければ幸甚です。

 それから、確か4月3日だったと思ったのですが、ほぼ一日かけて収録した「洋一・里子のケーザイ塾」(cafeコイズミナマズ)の放送日程は以下のように決まったようです。日経CNBCから連絡がありました。これも面白い番組に仕上がっていると思います。収録してから、またロケなどをやって、あの堅い局としては異例なやわらかい番組になったそうですから。第一回の最初の放送は連休中の5月4日夜9時から30分、第二回の最初の放送は5月16日夜9時から30分。「投資をどうしようか」と迷っている人、特に女性には必見です

ケーザイ塾 <第一回>

5/4(祝・木)21:00〜21:30
5/7(日)13:30〜14:00
5/7(日)20:00〜20:30
5/9(火)21:00〜21:30
5/27(土)11:00〜11:30
5/28(日)20:00〜20:30
5/30(火)21:00〜21:30
6/3(土)23:30〜24:00

<第二回>

5/16(火)21:00〜21:30
5/21(日)13:30〜14:00
5/21(日)20:00〜20:30
5/23(火)21:00〜21:30
5/27(土)11:30〜12:00
5/28(日)20:30〜21:00
6/4(日)24:00〜24:30
6/6(火)21:00〜21:30

2006年04月24日

 (24:35)米財務省のHPで今回のG7声明全文を読んだときにはその重要性にぴんとこなかった第四パラグラフを今日のFTは一面トップに持ってきている。書き方は以下の通り。見出しは「Shake-up agreed on IMF world trade role」というのです。

We welcomed the IMF Managing Director's Strategic Review to equip the IMF to help countries meet the macroeconomic and financial policy challenges of globalization. We supported the strengthening of IMF surveillance, including through increased emphasis on the consistency of exchange rate policies with domestic policies and a market-based international monetary system and on the spillover effects of domestic policies on other countries. We support a new remit for bilateral and multilateral surveillance by the IMF. An ad hoc quota increase would help better to reflect members' international economic weight. We agreed on the need for comprehensive reform of the IMF, and called on the Managing Director to come forward with concrete proposals for the Annual Meetings in Singapore.
 この文章を最初に読んだときの私の印象は、「また何か意味のはっきりしないことを言っている」でした。しかしFTはこの声明にも盛り込まれたIMF強化に関して、「Participating nations will use IMF as a forum to seek solutions to these problems」と指摘している。「these problems」とは世界的不均衡の存在にもかかわらず、IMF加盟各国がそれの是正に必要な経済政策をとれない問題です。念頭には明らかに中国がある。「相互協議と多国的な監視(bilateral and multilateral surveillance)」をIMFが行う方向のようです。

 この記事を見ながら私が思ったのは、「アメリカは対中圧力をIMFという国際機関経由に転換しようとしている」ということでした。このコーナーでも指摘しましたが、スノーは21日のG7開催当日のワシントン・ポスト紙に寄稿するなど、最近にない積極的な取り組みを行っている。私はそれを「仕掛け作り」と判断しましたが、その一つの仕掛けは「人民元の監視と相場水準設定を、国際機関の下に置く」ということだった。

 ただし、参加国全てが合意したこの文書にもかかわらず、IMFの監視強化と相互協議が直ちにアメリカが望むような結果(人民元の大幅切り上げ)を実現するかどうかは怪しいし、多分無理です。何せ中国は、「発展段階に応じた為替制度を選択する権利」を最後まで主張していた。

 問題は、「そこまで(仕掛けを作ってまで)アメリカは巨額の貿易赤字を懸念していたのか」ということと、「その意味合いを市場はどの程度勘案するのだろうか」という点である。24日の東京外国為替市場からロンドン市場に掛けては、市場は114円台までトライした。円は他の全ての通貨に対しても値上がりした。「アジア通貨の一環」と考えられている証拠である。

 本来の狙いの先にある人民元がじっくりとしか動かない中では、「アジア通貨の切り上げ」という圧力の中では、一番動きやすいのは円である。問題は長続きするのか、だと思う。そして今の印象では、「あまり長続きしたい」というものである。理由を書き始めると長くなりますから、またの機会に譲りますが。

 まあでもこのIMFの強化に関しては日本の新聞には全く書いてなかったな。海外の新聞を読む価値は、こういうところにある。

2006年04月24日

 (07:35)955票差という極めて僅差での民主党候補・太田和美さんの自民党候補に対する勝利をテレビで見ながら、私の頭に浮かんできた単語は以下の三つです。

  1. 小泉的閉塞
  2. 小沢的変化へのかすかな期待
  3. 有権者の自省
 「小泉的閉塞」とは、「中韓との関係悪化など、外交政策での日本の行き詰まり」「景気が回復しているとされながら自分の経済的環境が改善しない人々の閉息感、それに伴う”格差拡大論”への賛成ムード」などです。後者の「格差拡大論」が多くの点で誤解に基づくものであることは明らかですが、政治的スローガンとしては moving であり、有効なものであると思う。

 「小沢的変化へのかすかな期待」というのは、自民党にいたときからの「彼への独特な期待」が今も残っていたのではないかと言うことです。彼はよく豪腕と言われる。しかし知的領域でも特に40代、50代の知的レベルの高い男性有権者に魅力となるアイデアを以前から持っていたと思うし、今回もそれが評価された(残滓かもしれないが)面があると思う。

 今朝の朝日新聞には今回補選での出口調査の結果が掲載されているが、興味深い点がいくつかある。女性と20〜30代が明らかな「自民支持」に動いたのに対して、特に男性、それも中年の男性が民主党支持に動き、さらに言えば無党派層が大きく民主支持に動いた、との結果が出ている。「小沢は男に強い」ということが一つ立証されていると思う。逆に言えば、小沢一郎率いる新民主党の一段の伸びの鍵は、「女性や若者にうける党になれるのか」という点だと分かる。

 「有権者の自省」というのは、出口調査で現れている「無党派層が大きく民主党支持に動いた」という点と関連している。前回の総選挙での自民党圧勝に対する都市部に仕事場を持つ有権者の心模様は、「もしかしたら自民党を勝たせすぎてしまったのではないか」という点にある。「メール問題での地に落ちた民主党は、確かに惨めだがそれを投票行動にまで引きずるのは過剰パニッシュなのではないか」という気持ちもあったに違いない。

 むろん、「落ちるところまで落ちた」という状況の中で、民主党人気の自律反発という側面もある。相場もそうだが、落ちるところまで落ちれば、特に好材料がなくても自然と当該商品や銘柄の人気は上がる局面はある。ましてや、小沢・民主は明らかに好材料だった。消え去った旧社会党でさえも、一直線に政党としての存在感を失ったわけではない。民主党が落ちるところまで落ちたが故に、有権者の心模様の変化を促した可能性もある。

 千葉7区補選の特殊要因(自民党の候補が他県からの落下傘だったとか)もあったようだが、この点に関しては私は深い知識を持たない。しかし、今の時点で千葉7区の補選結果を見る限りは、「これで日本の政治は少しは面白くなった」という点であり、「来年の参議院選挙は自民党の改選議員の数が多い分だけ、かなり緊張感の高いものになる」という点だ。加えて次の自民党の総裁選びに際しては、「小沢・民主」が頭にちらつくことになった、ということだ。それが今言われている自民党のどの候補にとって有利かは、これから考えたい。

2006年04月23日

 (25:35)今年は本当に桜と縁がある。桜を見ている期間が長いのです。幸いなことに。

 最初に見事に咲い 富士ビューホテルの前のしだれ桜 ているのを見たのは、鹿児島空港と屋久島。3月の下旬でした。屋久島の桜は、植えられた桜はもちろん、急坂の山腹に見かけた山桜(自然に生育したと思われる)が印象に残りました。ポツン、ポツンと山腹に離れて桜の木があって、それが綺麗だがちょっと淡い花を咲かせていた。もしかしたらあれも誰かが植えたのかも知れないが、私の目には山桜のように見えた。

 その後も東京で見たり、大阪で見たり。強く思ったのは、水と一緒にある桜が綺麗だと。例えば、千鳥ヶ淵の桜。あれはこちら側と向こう側の桜の間に水があって、向こう側の桜が水に映えるのが良い。そう思いました。大阪の桜宮の桜も、直ぐ近くに水がある。

 桜も、最初はむろん染井吉野。色が淡いというか、白に近い。よくよく見ると薄いピンクだが、しばしばそのピンクは白に近い。浜離宮で仲間とやった花見も、むろん対象は染井吉野でした。

 染井吉野が終わりそうになったら、八重桜が俄然目立つようになった。ピンクの色がかなり濃い。例えば東京ではホテル・ニューオータニの清水谷公園の前の道にある八重桜などが印象に残った。どちらかと言えば、染井吉野よりも八重桜が趣味かな。色が鮮明。大阪の造幣局の八重桜は私が見たときはまだ4分といった形でしたが、満開になればそれはそれは綺麗だろうと思えるものでした。それも先週の水曜日で通り抜けは終了。

 「今年はもう終わりだろう」と思っていたら、思いがけずにこの週末にゴルフに行った富士山周辺で桜を見ることが出来ました。例えば河口湖の周辺。ここではまだ染井吉野で満開。しかし少し富士山に車で少し上ると、山の上ではまだ開花もせずという状況。

富士ビューホテルの前の綺麗な花=2006年4月23日撮影  右の写真は、富士ビューホテルの前の「しだれ桜」です。本当に綺麗だった。ゴルフのメンバー8人で朝わざわざ見に行ったのです。その時思ったのは、東京や大阪でまだ「花冷え」の時期に寒い思いをしながら見るのよりも、少し暖かくなってから富士山麓とか標高の高いところで暖かい思いをしながら花を見るのも良いのでは、と。

 むろん桜が咲く状況というのはどこでも同じですが、今日思ったのは標高が高いところでも、季節が進んだ分だけ日中の暖かさは前進している。そうすると、暖かい環境の中で桜を見れるチャンスが、標高の高いところの方が多いのではないか、ということです。日差しは暦が進むと着実に強くなる。

 我が家には、さくらだけをDVDに収めた映像集があって、以前はこれをよく見ました。ポニーキャニオンが作っていて、日本全国の桜を満開になった順番に南から撮影していった記録です。私の知っている範囲では第1集が大ヒットになって、その後第2集が出た。両方とも家にありますが、DVDはさておきやはり実際に自分の目で見るのが良い。
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 ところでDVDと言えば、紀伊国屋書店で「池波正太郎の世界 江戸を歩く」というのをネットで買いました。今ちょっと池波正太郎の世界、特に食の世界を研究しているのです。同時に、逝きし世の面影という本もちょっと分厚いのですが、面白そう。また少しまとまったら何を研究しているのか、ここで書こうと思っています。

 大阪の西区新町に関する調べごとは大体一巡しました。

2006年04月21日

 (25:35)4月12日に私が書いた新幹線316号の「ドーン」という異常音と、その後の10数分間の停止、それに伴うダイヤの乱れについてですが、原因は「たぬき」だったようです。別に発表されたわけではなく、JR東海の広報担当者から東京新聞の鉄道担当記者に連絡があったそうな。

 日本が世界に誇る新幹線が10数分も止まったのに理由も何も発表されなかったこともあったし、他の交通機関の日本における不調もあり、また私自身の経験でもあったので、以下のような文章を同新聞の毎週担当コラムに書いたのです。たまたまその日は台場を結んでいるゆりかもめの車両事故があって、実にタイムリーなコラムになったのですが。

 正直ベース「大丈夫かな」と心配している。日本の交通システムだ。

 4月12日水曜日だった。大阪からの帰りの新幹線(316号)が新富士―三島間を走行していた時、「ドーン」と大きい音がした。なんだろうと思っていると新幹線はストップ。午後7時40分くらいだった。それから10数分、列車はストップしたままだった。原因は不明で、それ故に再び走り出しても嫌なイメージが残った。

 最近思うのだが、新幹線、特に「のぞみ」はかなり揺れが激しい。線路の問題なのか、列車とか運行の問題なのか。乗り心地は落ちてきている。それに比べれば「ひかり」は安定していた。同じ線路をゆっくり走るのだから当然だが、「ひかり」の本数はかなり減らされていて「のぞみ」に乗るしかない場合が多い。

 3月の下旬には屋久島に行った。帰りに乗ったのがトッピーで、そのトッピーは4月初めに鯨とも思われる海中生物と衝突して100人を超す負傷者を出した。つい直前に乗っていただけに、「おやおや」と思ったものだ。陸も、海も。

 死傷者こそ出していないものの、今の日本では空もお粗末だ。毎週といって良いくらい「ルール違反」が報道される。乗る身には良い気はしない。日本の空は問題を抱えた会社ばかりだ。

 悪い兆候であってほしくない。JR宝塚線(福知山線)の脱線事故からまもなく1年。4月25日にかけて在阪各テレビ局は特番を予定している。しかし思う。「新たな特番の必要がないように....」と。

 この私のコラムを読んだJR東海の担当者が東京新聞の鉄道担当記者の方に、「伊藤さんがコラムで書かれていた新幹線ストップの『ドーン』の原因は、調べてみたらタヌキでした。現場でたぬきの死がいが見つかった。改めてコメントを出すほどのことでもなく、機会があればお伝えください…」といった趣旨でお話があったそうです。

 お伝え下さいというのはご親切でよろしいのですが、この新幹線の遅れは当然ながらニュースになりました。その日のネットの一報を私は自分のサイトに残してありますからそれを引用すると

東海道新幹線、異常音で一時停車

 12日午後7時40分ごろ、静岡県沼津市の東海道新幹線の新富士―三島間を走行していた新大阪発東京行き「のぞみ316号」の車両の下から「ドーン」という異常音がしたのに運転士が気付いた。停止して点検したが異常はなく、約15分後に運転を再開した。

 JR東海によると、同列車を含めて上り列車5本が15―12分遅れ、約4500人に影響した。同社が原因を調べている。

 でした。JR東海の方の説明がその通りだとすると、JR東海は東京新聞の担当者に電話するまでは、「まあいいや」と思ってこの異常音と新幹線の遅れに関して結局何も発表してこなかったということです。うーん、私は実際に乗っていて凄く不安に思ったので、「もっと早く発表してくれたなら、安心できたのにな」と正直思いました。ニュースだって「同社が原因を調べている」となっているのだから、「調査結果は....」という部分が後日発表談としてあってしかるべきだと思う。

 まして10数分の遅れから新幹線を再び走らせるときにその原因が分かっていれば(その時点で死骸が見つかっていたのなら)、「実はたぬきが線路に進入して....」と言ったことを一言言って頂ければ、乗っている私たちとしては「可哀想に」とは思うものの、「ああ、マシンの不調ではなかった。良かった」と思える。私はJR東海が原因を「改めて出すほどでもない」と考えたのはちょっと違うのではないかな.....と思うのですが。

 そう言えば、あのトッピーがぶつかった対象物はどうなったのでしょうか。「流木かも知れない」という記事を最後に、とんと何も出てきていないのですが.....

2006年04月20日

 (20:35)FTの一面トップにドーンと「IMF calls for dollar depreciation」と。IMFが年に二回公表している「世界経済見通し」の中での呼びかけ。今回は、「通常は考えられないほど良好な世界経済の中にあって、それを脅かしうる最大の脅威は顕現化する国際収支不均衡」(具体的にはアメリカの経常赤字)であるとして、その処方箋は「ドルの下落(dollar depreciation)」であると。

 この記事を見たとき、「正直、よくそこまであけすけに言ったな」という気持ちと、一方で「まあ今の段階では、誰も耳を貸さないだろうな」と。実際のところドルがこの記事によって動いた兆候は見られない。プラザ合意の時と違うのは、あの時はアメリカ初め先進国通貨当局全体がドル高是正に動いたが、今は当のアメリカを含めて誰も「ドル高是正」に具体的な舵切りをしたがっていない、という事情がある。IMFが叫んでもダメなのだ。

 しかしIMFの主張には、耳を傾ける価値はある。問題は、IMFが「currencies in Asia and of oil exporters 」と言っている通貨の中に、何をどのくらい含めるのが妥当かという問題だ。アメリカはまずは「人民元」と言っているが、今訪米している胡錦涛は、「国情にあった形でしか人民元は切り上げない」と言っている。実際に8.28元の時代から人民元が切り上がったと言ってもわずか3%強だ。

 さてでは、円は切り上がるべきかどうか。理論とは別に、円はどう動くのか。ドル・円ばかりを見ている人は気が付かないかもしれないが、この数日間の円の動きはドル以外の通貨に対して著しい円安である。そのところの lost link をどう考えるかが日本の円の先行きを考える鍵だと思う。

The International Monetary Fund on Wednesday stepped up the pressure for far-reaching shifts in exchange rates, declaring that the dollar will have to depreciate “significantly” over the medium term if global economic imbalances are to be resolved in an orderly fashion.

In its clearest statement to date on this highly-charged subject, the IMF said it was essential that currencies in Asia and of oil exporters were allowed to appreciate as part of the required “realignment of exchange rates”. But it shied away from giving any specific figures as to the extent of appreciation required.

The statement came in the IMF’s twice-yearly World Economic Outlook, published on Wednesday, which highlighted global imbalances as the biggest threat to what was otherwise an “unusually favourable” economic environment.

It said global growth had been surprisingly robust in late 2005 and raised its estimates from September for 2006 and 2007 by 0.6 percentage points and 0.3 points to 4.9 per cent and 4.7 per cent respectively. This year is set to be the fourth in a row in which global growth has exceeded 4 per cent.

2006年04月19日

 (20:35)ニューヨーク・タイムズとワシントン・ポストという二つのアメリカの新聞に、胡錦涛のワシントン入りを控えた二つの興味深い記事がある。アメリカサイドとして、「この問題を取り上げたい」という問題を示唆していて、この二つがなかなか面白い。

 ニューヨーク・タイムズが「アメリカはこの問題を取り上げる」としているのは、先週からバレル70ドルの領域に入った石油問題です。中国は既に日本を抜いて、アメリカに次ぐ石油輸入国。アメリカの日量2000万バレルに対して中国は2004年に650万バレル。今はもっと増えていると思われる。経済成長の最中にありますから。去年の秋にブッシュが北京を訪れたときにはこの問題、つまり米中石油争奪の懸念は取り上げなかった。原油が70ドルになったら取り上げざるを得ない、ということでしょう。ニューヨーク・タイムズの記事の頭は

  The competition for access to oil is emerging high on the agenda for President Hu Jintao's visit to the White House this week. President Bush has called China's growing demand for oil one reason for rising prices, and has warned Beijing against trying to "lock up" global supplies.
 となっている。米中はともに石油使用効率が低い。日本から言えば二つとも「問題を抱えた国」ですが、アメリカは中国とイランの問題にも重大な関心を持っている。なぜなら、中国はイランに膨大な投資を行い、実際に中国は石油輸入需要の14%をイランに頼っている。中国の雑誌には、「私たちも苦しい」という文章があるらしい。つまり、なかなかイランにはきついことを言えないという。国連の場を通してアメリカがイランに圧力を掛けようとすれば、中国を動かす必要があるが、中国はそういう事情からなかなか動かない。ブッシュ政権にはこれが目障りなのです。13億対3億という人口比で見れば、中国の石油輸入量がアメリカを上回ってもおかしくない。

 アメリカとしては、ブッシュさえも「石油依存症」のアメリカ人の生活を直接脅かす中国の輸入急増を黙って見逃してはいられないということでしょう。アメリカの石油価格は既にガロン3ドルになっているそうだが、アメリカに暮らした私でも驚く高価格だ。

 ワシントン・ポストが取り上げているのは、中国の人権に関する問題です。恐らく脱北者だと見られるKim Chun Hee という女性が中国北東沿岸部の街の学校に現れ、助けを求めたのは5ヶ月前だそうです。しかし、中国はこの女性を北朝鮮に送還した。その後この女性の消息は消えているという。この件に関するワシントン・ポストの記事はこうです。

  Now the case of Kim Chun Hee has made its way to the desk of President Bush, threatening to complicate the first White House visit of China's leader tomorrow and further irritate an irritable relationship.

Urged on by evangelical supporters from his home town and other activists elsewhere, Bush has taken a personal interest in human rights in North Korea and decided to make an example of Kim's asylum case. Alerted to her situation by a South Korean lawmaker, the White House issued a rare statement last month pronouncing itself "gravely concerned" about her fate and chastising China for sending her back.

 この女性はもしかしたらキリスト教徒だったのかもしれない。また中国か韓国の教会関係者と関係があったのでしょう、ブッシュの故郷の教会関係者に働きかけた。ここでも『ルート66』に出てきたevangelical(福音主義)という単語が登場する。教会の力は大きい。

 まあブッシュ、胡錦涛の首脳会談は、両国政府が既に綿密にシナリオを練り上げて世界に「決裂」を示すようなものにならないでしょう。しかし、この両国が抱える問題はあまりにも大きい。中国は国民を満足させる成長のためには石油が必要。人権を優先項目とする民主主義は中国の共産党一党独裁とは相容れない。

 やはり米中の関係は、「戦略的競争者」の関係の中からは当面出ない、と考えるのが自然です。

2006年04月19日

 (09:35)FRBが公表した前回FOMCの議事録は、市場関係者が予想した以上に金利の継続的(今まで15回連続)引き上げの終了が間近いことを明確に示した。ニューヨークの株価がこれを見て急上昇したのは、これまでの「(利上げが)まだ続く」との見方の裏返しでしょう。株価の上げを歓迎する向きには、ポジティブ・サプライズだと言える。議事録は次のように述べる。

In the Committee's discussion of monetary policy for the intermeeting period, all members favored raising the target federal funds rate 25 basis points to 4セ percent at this meeting. The economy seemed to be on track to grow near a sustainable pace with core inflation remaining close to recent readings against a backdrop of financial conditions embodying an expectation of some tightening. Since the available indicators showed that the economy could well be producing in the neighborhood of its sustainable potential and that aggregate demand remained strong, keeping rates unchanged would run an unacceptable risk of rising inflation. Most members thought that the end of the tightening process was likely to be near, and some expressed concerns about the dangers of tightening too much, given the lags in the effects of policy. However, members also recognized that in current circumstances, checking upside risks to inflation was important to sustaining good economic performance. The need for further policy firming would be determined by the implications of incoming information for future activity and inflation.
 下線を引いた部分がポイントです。「大部分の理事が利上げサイクル(実際には中立水準への戻し)の終わりは近いし、一部の理事は金利引き上げの政策効果が遅れて出てくることを考えれば、引き締めすぎに懸念を表明した」となれば、「もう終わり」と考えるのは自然でしょう。ま、5月があって(そこで米FF金利は5.0%になる)その次からはwait and see に米金融政策はなる、ということ。

 18日日中現在、円は116円台。議事録発表当初は為替市場への影響はあまりなかったものの、やはり円高に動いている。ドルは何回も119円を試すが、そこが抜けない。一回下を見ないと上に抜けないかもしれないですな。あまり下もないと思います。まあ要するに「レンジ」という訳です。
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 ところで、最近誘われて渋谷・コクーン歌舞伎を見ましたが、私としては衝撃的でした。いや私だけでなく、劇場全体がそうだったようで、日本では珍しい、そして歌舞伎ではもっと珍しい「スタンディング・オベーション」でした。歌舞伎観を一変させてくれた。

 なにせ、仕掛けがすばらしい。出し物はサイトの通り「東海道四谷怪談」ですが、やや誇張されてはいるものの、人間の欲(色欲、物欲、出世欲など)が実にうまく表現され、江戸時代という時代が実際にはかなりカラフルな時代であったことが分かる。むろん話はお岩さんの復讐劇ですが、それが実にリアリティーに溢れている。見ていて、「そりゃそうだ」と思う。表現も実にうまい。

 劇は客席も使っていて、見る人が一体感をもてるようにしている。かつ舞台の最前列には水(本水)を配して、それに役者が繰り返し飛び込み、よって客席前4列くらいの人は水よけのビニールを渡されていて、それで水を避けるという仕掛け。中村勘三郎の宙吊りもあり、劇場機能、設備を駆使している。24日までだそうですが、チケットが売り切れになっているのが良く分かる。ただし少ないが当日売りもあるようです。
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 あと今日の新聞では、日経一面の左の記事の中で、今年の1月4日の朝日の一面トップ記事でしたかね、「給食費などを支給する就学援助の利用が多い」と報じられた足立区などの自治体の件ですが、その受給条件が載っていて興味深い。「足立区は夫婦子二人の4人世帯の年収換算で最大580万円までの世帯に支給をしている」と書いてある。

 これはちょっと高過ぎやしませんかね。日本の最低課税対象は確か300万円台の半ば。給食費の受給資格はそれを遙かに上回っている。この記事には、「制度が周知されて、利用に抵抗感がなくなっている」と書いてある。この辺は、ちょっと社会の常識が変わってきている印象もする。ややびっくりしますが。

2006年04月18日

 (23:35)新幹線の中で良い本を一冊読みました。『ルート66を行く アメリカの「保守」を訪ねて』というのです。本屋で何気なしに手に取ったら一気に読んでしまった。

 ニューヨークに4年住んでいたからよく分かるが、アメリカは大きく、多様な国です。そしてニューヨークでよくアメリカ人に言われた言葉は、「ニューヨークはアメリカではない」ということ。では、どこがアメリカか知りたかった。しかし、ニューヨークに駐在しているのだから、それほど身軽にアメリカ全土を歩き回れたわけではない。あれだけ有名だった「ROUTE 66」も結局一回も走らなかった。いつか行きたいと思っていたのです。

 この本は、私の代わりにこの記者(松尾さん)が「アメリカ探し」をやってくれた印象がする本。しかもこの本が良いのは、アメリカ中西部、ハードランドの保守をテーマにしながら、非常に客観的な、冷静な目とタッチで会った様々な人々の様子や発言を拾っている点。この「拾っている」という感覚が必要なのです。拾いには「選択」が入る。しかし、筆者の目がこちらと同じ問題意識を共有していてくれているという確信が持てれば、その「選択」の結果としての「(発言や情報の)拾い」には信頼感が置けるし、この本にはそういう「信頼できる点」がある。

 言うまでもなく、アメリカは多様で不思議な国です。諸外国から見て、ブッシュが何故アメリカであれほど人気があるのかは、このハートランドのアメリカ人達の気持ちが分からないと読めない。9.11があったにせよです。選挙結果やこの本から見えてくるのは、ある意味で思索的な、イデオロギー的な、そして宗教的なアメリカの姿です。その一見ポップなカルチャーからは読み取れないような。

 アメリカ人は皆、「自分とは何者か?」を探しながら、自問自答しながら海を渡ってきた連中の子孫だと言える。「なぜこの新しい大陸に来るのか、来たのか」を。私がニューヨークで一時英語を習っていた女性はまさにそういう人で、古き良きアメリカを代表するような人でした。極めて理屈っぽかったことを覚えている。

 この本には、いろいろな意味で「考えるアメリカ人」「こうでなければならないと考えるアメリカ人」が一杯登場する。彼らが何を起点に物事を考えているのか。財政、外交など様々な分野での「保守」の起点が提起されて、その保守がいろいろな形で入り組んでいることが示される。それ故に、一言で「保守」と言っても多様だと。

 ヨーロッパの連中よりのよほど教会に行くアメリカ人。彼らは何を求めて教会に行くのか。その答えも明快に示される。自分でもいつか、ルート66を気ままに走って、いろいろなアメリカ人を話をしたい、と思わせる本です。

2006年04月17日

 (25:35)日経夕刊に面白い記事が。「伊高級ブランド インド出店競争」。具体的には、フェラガモ、ベルサーチなど。ロンドンの記者が書いた記事に、ニューデリーの記者が「どうかな」という解説記事を書いている。面白い構成だ。

 私がこの年末年始で行ったときに見たインドにおけるブランドとは、一番はっきり覚えているのは「United Colors of Benetton」だったと思う。そしてその時、「ここまで来たら、あとは本格的なブランド品のインド登場か」と思ったのだ。ベネトンは確かバンガロールの中心街の交差点そばにあった。うーん、ニューデリーでも見かけたな。

 ご存じのように中国の上海や北京に行けば、日本の例えば東京や大阪で見られる大きなブランドショップはほぼ全部見られる。「大きなブランド店は」(小さいのはまだ東京が多い)という意味だが。むろん、店の数は日本より少ない。しかし、インドよりは発展途上の先輩格としての中国には、(インドよりは)ブランドショップの数は明らかに多い。

 インドは中国より発展が遅れてやってきた分だけ、ブランド店の進出が遅い。そういう事情はあるが、伊ブランドショップの進出に関しては、私は一定程度の成功を収めると思う。そもそもインドの人は日本人よりも遙かに高価な(彼等にとって)装飾品を身に付けるのを普通としている。指輪からネックレスまで男性でもかなり色々している。財産一式を持って歩いているようなものだ。

 インドの人口は10億。一割が豊かになっても、豊かな消費者の数は日本と同じだけいることになる。だからニューデリーの日経特派員が、「年率14%伸びている(インドでの高級品市場)のは確かだが、一般的なサラリーマン家庭にはまだ高値の花」と書いているのは頷けるとして、ちょっと的はずれなコメントだ。

 インド経済は中国経済に比べて遙かに統制経済の色彩が薄い。インドの金持ちは、実際に商売、ビジネスをして金持ちになった人が多い。むろんIT関連もインドでは多い。対して中国の金持ちは、そういう人もいるが、様々な本で読めば国家財産を詐取して豊かになった人も多いはずだ。どちらがおおっぴらにお金を使えるかは明らかだ。

 しかしここで思う。我々先進国の人間としてはどう考えるべきか。ブランド品はそもそもモノが良いからブランドになった。それは事実だが、持っている人が少ないからブランドだという見方も出来る。中国に、そしてインドにと進出を開始したブランドショップ。世界中どこでも見られるブランドショップというのも、ちょっと興醒めだなと思う。

 だから、イタリアのブランドがほぼくまなく世界に行き渡りつつある今こそ、逆に日本発のブランドを日本はそろそろ育てる時期かな、と。日本の旅行客が着ているものが良いことはよく知られている。しかし、ヨーロッパのブランドで身を固めても、もう世界中の誰もが着ている。うーん、ちょっとひねる必要がありそうですな。

2006年04月16日

 (25:35)MLBテレビの日本での視聴に関しては、松井応援ページでもコメントを付けてもらいましたし、直接メールも頂きましたが、結局「不可」のようです。

MLB.TV LIVE BLACKOUT RESTRICTIONS

? Local Live Blackout: ALL LIVE MLB.TV games will be blacked out in both teams' home telecast markets and in Japan.

? National Live Blackout: Live games marked with grey icon will be blacked out in the U.S., Japan, South Korea, Guam and the U.S. Virgin Islands.

Additionally, postseason live games will be blacked out in Canada. Blackout restrictions do not apply to any other country than those listed above.

 つまり、日本はMLBのライブテレビが見ることが出来ない数少ない国の中に入っているようなのです。どうしてそうなのかはまだ調べてありません。ネットテレビは国境を問わずに見られる、という期待を僕らは抱いたようなのですが、この期待は多くの場合裏切られている。

 ちょっと残念ですな。私も79ドルを取り戻す算段をしないと。週末に取り消しのメールを送ったのですが、週末だったこともあったのでしょうが、梨の礫だった。

2006年04月15日

 (09:35)友人達とやっている松井応援ページにも書いたのですが、日本ではMLBのテレビを見ることが出来ないのでしょうか ? 以下同様の文章。このブログサイトでの赤は私が書いた文章で、結構投稿している。

 質問。

 テレビをつけたらどこもヤンキースの試合をやっていない。で、MLBのHPからテレビを見ようと79ドルで手続きして「さあ見よう」と思ったら「national broadcast restrictions in your country」という表示が出て、「見られません」とつれない返事。

 これは本当 ?

 日本ではMLBのサイトのネットテレビは見られないのでしょうか ?

 松井のミネソタとの試合の第一打席はセンターへのフライアウト。0−0。

 見られないとしたら、私が支払った79ドルは ? 問い合わせの電話番号もありますから聞いても見ますが、どなたかご存じでしたら。
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 ところで、金曜日に食事をした内藤さんから一冊本を頂きました。「個人投資家は500円以下の割安・成長株で儲けよう!」という長い題名の本です。「3人のプロが教えます」と。確かにこの3人は本を何冊も出している。

 この本にも書いてあるのですが、割安株というのは見ていると結構面白い。長らく忘れられたように動かないと思うと、ある時突然上放れたりする。資金が回ってくるのでしょうな。安いから買いやすいし、何千株、何万株と買える人もいるのでしょう。「投資の基本」という章もあって、初心者にも易しくできている本です。
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 「ところで」を今日はもう一つ。毎週木曜日は日経BIZPODCASTの収録日で、今週は「薄型テレビに見る日本の技術力」でした。知っているようで知らないだろうと思って、結構熱心に調べたのです。そしたらびっくりすることがあった。

 このサイトを調べていたら、何と薄型テレビには現在6タイプある。三つか四つは直ぐ思い浮かぶが、六つもあったとは。しかも調べていくと二つのことに気が付く。

  1. 多くの薄型テレビのタイプ(液晶、プラズマ、リアプロ、SED)で、日本の企業が当初開発に当たっている
  2. しかし、当初開発した企業がそれを製品にまで持ち込み、販売で成功を収めるまでに至った例は少ない
 ということです。パネルの生産などで韓国や台湾のメーカーに押されてはいるが、日本の企業の開発力は凄まじい。もっとも、6機種もあるので最後はどれがプリベイルするのかまだ分からない。今は液晶が優位ですが、本当にそのまま行くのかは不明。プラズマもなかなか頑張っている。一つのポイントは、どのタイプが「軽量化に成功するか」だと思う。今は液晶にしろプラズマにしろ異常に思い。あれでは薄くても壁掛けテレビには出来ない。

 もう一つ思うのは、「開発→販売」への長い道です。社内での技術評価がうまくいかないのか、販売力の差が各社であるのか。エプソンなんて開発では結構名前が挙がってくる会社なのに、販売では薄型テレビの分野ではまだ有力でも何でもない。

 あとは「ブランドの力」ですかね。液晶ではシャープがずっと頑張ってきた。しかし、2005年の最終四半期になってソニーが俄然売り上げでトップに躍り出た。その背景になったのは、特に海外で強い「ソニーのテレビのブランド力」です。特にアメリカでソニー信奉者が多い。トリニトロンのころからです。シャープとしては一気に抜かれたのはショックだったでしょう。しかし、ブランド・ロイヤリティーというのは高級製品になればなるほど強い。

 まあ小売りでもブランド力は強いんですが。

2006年04月13日

 (23:47)FTを読んでいたら面白い記事がありました。まあ地球の空気は繋がっていますから可能性はあるのですが、読んだときにはびっくりしました。記事は、「Beijing is accused of exporting pollution」というのです。

 そりゃそうだ、とまず思いました。日本にいれば黄砂も飛んでくるから、中国の諸都市の悪い空気も日本に届いているだろうなと思う。しかし、記事を読み始めたら問題はそんな短距離の話ではなかった。なんと、アメリカまで中国の汚染が届いているというのです。

 米環境庁(EPA)の発表として、中国の石炭を燃料とする火力発電所から排出された水銀を含む空気汚染物質が、遠くはアメリカまで届いていると書き始めている。「これこそ、もっとも直接的な中国の汚染のアメリカに対する影響である」とEPA。

 記事を読み進むと、アメリカにおける高いレベルの水銀沈殿物(mercury deposition)がそもそも中国やインドまでトレースできることが分かったともある。巨大開発途上国二つがここで出てくる。

 まあその可能性はあるのでしょうね。アメリカも京都議定書に署名せずに文句を言っているので問題はあるのですが、例えば重慶に行くと本当に空気が汚い。瀋陽も北京もそうです。あれが偏西風に乗って日本に来るのかと思うと、結構日本も影響は大きい。そろそろ中国の汚染をどうするのかという問題を国際的に話し合っていく必要あり、と思いました。

 成長を抑制しろと言うのではなく、日本の技術を使うなり、成長を秩序あるものにする必要があると思う。今から日本はこの問題に発言した方が良いとも思う。

2006年04月12日

 (23:13)今サイトを見たら、サンケイとか読売に記事として出ていますね。まあその新幹線車両(316)に実際に私は乗っていたから、関心がある。でも本当に揺れるし、変な音はするしで、印象は悪かったな。どうにかしてほしい。何か日本の乗り物全体がおかしくなっているような。

東海道新幹線、異常音で一時停車

 12日午後7時40分ごろ、静岡県沼津市の東海道新幹線の新富士―三島間を走行していた新大阪発東京行き「のぞみ316号」の車両の下から「ドーン」という異常音がしたのに運転士が気付いた。停止して点検したが異常はなく、約15分後に運転を再開した。

 JR東海によると、同列車を含めて上り列車5本が15―12分遅れ、約4500人に影響した。同社が原因を調べている。

2006年04月12日

 (19:45)あらら、順調に走っていた新幹線(316号)が午後7時40分過ぎからもう10分以上止まっているので、この文章を書き始めました。ちょっと読書にも疲れましたので。「何か大きな音がしたので調べている.....」とアナウンス。うーん、最近東海道道新幹線は揺れが激しい。まるで京阪のJR西日本のよう。

 面白い本を読んでいるのです。『大阪弁「ほんまもん」講座』というのです。「にせもん」編と「ほんまもん」編から出来ていて、「にせもん」編には「もうかりまっか」「がめつい」などがある。我々典型的な大阪弁と思っているじゃないですか。「そうじゃない」とこの本は主張する。そして説得力がある。せっかく関西に毎週来るようになったので、関西を研究しようと思っているのです。「ほんまもん」編のレーコとフレッシュには笑ったな。最初に大阪に行ったとき、ひっくり返りましたから。

 研究といえば、12日は一日大阪西区の区役所に行ったり、西六福祉会館に行ったり結構昼間は忙しかった。西区新町を調べているのです。今はさびれているが、大正から昭和にかけては非常に勢いのあった街で、今は全国にある超有名日本料理店のルーツがここにあるのです。日下公人さんとの対談本の次の本の取材を進めていて、その一環。結構面白い本になりそうです。

 関西はまだまだ桜が綺麗。染井吉野はもうほぼ終わりですが、これからは別の種類の桜が関西では満開になる。例えば大阪造幣局の庭にある八重桜など。実は12日から通り抜け可能になりました。ホテルが近くだったので行ってみましたが、まだ3〜4分咲き。「今週末が見頃」ということなので、来週でもokだろうと思って出口から覗いただけで。

 おや、新幹線が走り出しました。しかし変な音はしている。ちょっと東海道新幹線も使いすぎ.....

2006年04月12日

 (00:45)横田めぐみさんの夫が拉致韓国人キム・ヨンナムさんの可能性が極めて強くなった問題。一つの鍵を握るのは、盧武鉉率いる韓国政府の出方だと思う。

 私がこの文章を書いている現在、韓国政府の反応は出ていない。相当この問題では対応に苦慮している可能性が高いが、韓国政府ははっきりと日本政府とスクラムを組むべきだろう。今までの経緯を捨て。

 歴代の韓国政府は北による拉致の問題にほとんど関心を示してこなかった。日本より遙かに多い拉致被害者がいることが明確なのに、である。それはこの問題を持ち出すと北との融和・統合プロセスの邪魔になる、と韓国が考えてきたためと思われる。韓国がこの問題をしつこく追求していたら、金大中大統領の北訪問、それに伴うノーベル平和賞受賞もなかっただろう。韓国でも拉致被害者らが運動を組織しようとしているのに、韓国政府はこれまでそれも無視してきた。

 今回韓国で拉致された高校生5人(酷いことをする)の一人、キム・ヨンナム(金英南)さんが拉致されたまま北朝鮮で横田めぐみさんと結婚し、その結果キム・ヘギョンさんが生まれたとしたなら、この問題の解決は明らかに日韓両国政府が北と交渉する中で生まれてこなければならない。

 それにしてもまたしても北朝鮮は嘘をついていた。北はずっと横田さんの夫は「北朝鮮の人間であり、工作員」と説明してきたからだ。奇妙な純血主義を貫く北朝鮮にしては珍しいと思っていたが、やはり違っていたことになる。

 北朝鮮は、嘘の上にまた嘘を塗り固めている。しかしそれが科学の力の前に次々と化けの皮がはげてきている。アメリカが「北が譲歩しなければ話(金融制裁)に応じない」としているのは正しい態度だと思う。
はりしゃぶ  ――――――――――――――
 ところで火曜日なので大阪にいるのですが、夜はスーパーニュース アンカーの面子と食事会。山本さんが時々密かに使っている(?)、という店で。トッピーの問題もあり、あまり増えてもいかんので、めずらしい料理を求めて。男6人のところを村西利恵さんも果敢に来てくれて(写真と同様、実物も超イキイキしている)。よう喋る人ばかりで楽しかった。

 まあ私はもっぱら聞き役で(少なくともそのつもり)いたのですが、総勢7人で仕事の話はほとんどせずに、ばか話に終始。これが一番面白い。店は肥後橋のすぐ近く。帰るときタクシーに乗ったら直ぐ左手に「リーガ中之島イン」(かつてよく泊まりました)が見えましたから。タクシーの運転手さんもこの店はよく知っていた。結構有名なんですな。

 まじめな人である豊田アナを柔らかくする会を作ったのですが、それはさておき、この店の一番のウリの料理、少なくともわたしがそう思った料理は、店のサイトにはない。ウリは写真の料理です。ハリハリ鍋ではなく、言ってみればハリハリしゃぶしゃぶ鍋。水菜を下にした肉をそのまま鍋に入れて、それをしゃぶしゃぶのように食べる。私は高知(例えば酔鯨亭)などで鯨料理を何回も食べているが、しゃぶしゃぶは初めてでした。これがまたうまい。特にスープが。

 うーん、ちょっと残念なことがある。それは店のサイトにこの店の名物オヤジが載っていないこと。実にダジャレが好きな親父さんで、料理の説明に来たときに短い間に10個以上のダジャレを言っていた。含羞はあるが、よく喋るという好感の持てる親父さん。例えば「ハリハリ鍋」の名前の由来には三つある、水菜の葉っぱの形.......とは別に、ハリーアップで食べるから」とか。ははは。お見受けしたところアイデアマン。もらった名刺をまじまじと見たら、「はりしゃぶ 商標登録第4600134号」と。しっかりもしている。

 いや、正直うまかった。もちろん鍋好きということもあるが、また私はスープ好きということでもある。大阪には他にも徳家とか鯨の店があって何軒も行っているが、「so far best」でした。店はHPにも出ていますが、「大阪市西区江戸橋1-15-4」にある。うーん、私だけでなく参加者全員がおいしかったと意見一致。お勧めです。親父さんともども。

2006年04月11日

 (14:45)忘れていましたが、今日は3月の下旬に収録した「マンガノゲンバ」の放送日です。NHKBSがやっていた「BSマンガ夜話」の特番として去年に放送された同名の特番の、今年の春からのレギュラー版。私が出たのはその第二話で、取り上げたのは増える経済マンガについて。放送は2006年4月11日火曜日と今日で放送時間は

 NHKBS-2     23:30-24:00
 NHKハイビジョン 18:00-18:30

 MCは細川茂樹さんで、収録の直前に会って「ああ、仮面ライダー、それとも日経CM...」と。日本の俳優には珍しい背の高い人でした。もう一人の番組キャラクターは「神宮前なまこ」というCGキャラクターで、声はだいたひかるさん。彼女にもスタジオでお会いしました。小柄な人でした。結構自分でもやっていて面白かった。お楽しみください。

2006年04月11日

 (08:45)本来サルコジ内相の自由主義的な、アングロ・サクソン的な政策を先に取り入れ、次の大統領選挙で優位な立場に立とうとしたら、全くの思い違いで自分の立場喪失に終わった.....というのがフランスの新雇用制度(CPE)撤回の顛末ということでしょう。主役はドビルパン首相です。次の大統領を狙うにはあまりにも手痛い敗北。

 調べれば調べるほど、今回の騒動では「手続き」のまずさが大きな背景になっている印象がする。政策そのものよりも。大体が、社会のあり方や基本的な考え方に関わる非常に重要な政策にもかかわらず、CPEは今年1月16日のドビルパン首相の記者会見でいきなり登場した。

 そう言えば日本では今回民主党の代表になった小沢さんが斎藤次郎・大蔵省事務次官(当時)をバックに、細川首相(当時)が突然打ち出した「国民福祉税」構想があえなく頓挫したことがあった。それとよく似ている。あの時も、細川さんの記者会見だったような気がする。調べたらそれは1994年2月3日の未明。「消費税を廃止して7%の福祉目的税を創設する」というものだった。いつの時代でも、どこの国でも「手続き」は重要だ。

 「国民福祉税」と同様に、「CPE」も基本的な考え方は悪くない。なにせ若者の失業率が22〜3%に達するフランスだ。そしてつい先頃には移民の若者を中心とする騒擾が起きた。一回雇ったら非常に解雇が複雑な、そして難しい今のフランスの雇用制度故に、外国企業はそもそもフランス国内に投資しないし、フランスの企業でも力が分からない新卒者を雇わない。彼等が雇うのは他の企業で力を発揮した人を狙った中途採用だけだ。

 「とにかく若者を雇うきっかけを企業にも若者にも与えたい」という発想だっただろう。それは間違っていない。しかし、独断で出したら良いものも悪く見える。恐らくこの手の政策には、一年におよぶ国内議論が必要だっただろう。法律の趣旨を徹底して広報することも必要だったはずだ。しかしドビルパンはそれをしなかった。

 終わり方も最悪だ。デモと街頭行動で引っ込めた。論理ではない。CPEは撤回されたが、では「若者の就職難をどう解消するのか」という問題は残ったままだ。5人に一人が就職できない、していないという今のフランスの姿は社会のあり方として望ましくはない。

 日本では小沢・民主党新代表が「終身雇用・年功序列こそが安全網」という新説を唱え始めた。「総合職やキャリアを目指す人は身分保障をなくす」という付帯条項付きだ。しかしこの考え方は今の日本が置かれている企業や社会の状況に合致しているだろうか。私は結構ずれていると思う。この考え方では、企業の枠を超えてプロフェッショナリズムで生き始めた非常に多くに日本人の居場所がなくなる。企業の中で生きる人のことしか考えてない。

 雇用者と被雇用者のニーズを両方同時に満たすことはなかなか難しい。そこは常に試行錯誤の連続だった。終身雇用は日本経済が著しく拡大し、人手不足が著しくなった戦後の日本の特徴的なシステムとして存在した。明治時代の日本人は頻繁に会社を変わった。終身雇用制度も時代が作った。企業は優秀な人材の囲い込みを行った。

 「終身雇用・年功序列の世界」と「身分保障がなくなった総合職とキャリアの世界」という考え方は、企業社会の中に階級制度を設ける考え方のように見える。それこそフランスやアメリカなど一部の欧米企業の中にあるシステムだ。しかし日本の企業の強さは、その二つの間が曖昧模糊としていたからこそ企業としての一体感が出て、それが競争力に繋がっていた面があると思う。

 政治家が扱う世界は、多岐に渡る。外交もあれば国防もある。財政問題もある。だから他の問題は分からない。しかしこの雇用の問題では、ちょっと小沢さんが言い始めていることは「タッチを失っている」という印象もする。ドビルパンとは全く正反対の方向から。

2006年04月10日

 (15:45)ははは、今頃やっとトッピーに乗ったときにうるさいほど放送が「シートベルトを締めて下さい」と放送し、かつ係員が見回りに来たのか分かりました。やっていましたよ。私の時は。だから、私はちゃんとベルトをしました。しかしその時は、「何でするんだろう。他の船とぶつかったときのため....」くらいに考えていました。

 今見たニュースによると国土交通省九州運輸局は、トッピーを運行している鹿児島商船を海上運送法に基づき立ち入り調査するそうだ。それは乗客にシートベルト着用をきちんと求めたかどうか。うーん、私の時はうるさいほど放送していたし、ちゃんと係員が見回りに来た。だからしました。

 しかし、この海の上で何故シートベルトをしなければならないのかの理由説明はなかったな。それとあの船がそれほど高速で走っていることは知りませんでした。そこまで言っていれば、係員が回ってきたときにはしても、その後ベルトを解除した人もいたと思うので、「理由」を述べていれば今回の惨事の少なくとも一部は軽くてすんだかも知れないな、と思っています。

 まあいくら警告しても理由を説明しても、ベルトを外す人はいるでしょう。それは自己責任です。あとは衝突を防ぐ技術でしょうか。

2006年04月09日

 (23:45)日曜日の夜ネットを見たら、「アララ」ってな感じ。下は読売の記事ですが、「トッピー」というのは私たちが屋久島から鹿児島に帰ってくるときに使った、まさにその高速艇なんですよ。乗っていて「船らしくない、乗り心地の良い乗り物」という印象がしたのですが。ぶつかったのはクジラでしょうかね。

 そう言えば北九州と釜山を結ぶ高速艇も最近「何かに衝突し、多数のけが人が出ている」という状況があったと思う。普段は安全な高速艇も、思わぬ危険があるものだと。実は帰りも飛行機(飛行時間約25分 鹿児島空港と屋久島の間)にしようと思ったこともあった。しかし、鹿児島の飛行場はかなり鹿児島県の北、鹿児島の街からかなり遠いところにある。トッピーは桜島の直ぐ近く、鹿児島の市街に非常に近いところに着く。そこで帰りは高速艇とした。くじらなんてどこにいるか分からない。怪我をされた皆さんは、アンラッキーだったと。  

高速船トッピー「クジラ?に衝突」49人負傷…鹿児島

高速船事故で巡視艇から降ろされ、病院へ運ばれる負傷者=鹿児島・指宿港で 9日午後6時ごろ、鹿児島県・佐多岬の北西沖約3キロの錦江湾入り口付近を航行していた鹿児島商船(鹿児島市)の高速船「トッピー4」(赤瀬強一船長、乗員5人、乗客103人)から、「何かに衝突し、多数のけが人が出ている」と第10管区海上保安本部に118番通報が入った。

 10管によると、49人が負傷し、うち重傷者は12人。赤瀬船長は「船後方部にクジラか何かがぶつかってきたようだ」と話しているという。

 それにしても今日の小沢さんは忙しそうでしたね。各局それぞれ30分くらい。フジ、NHK、テレ朝の順でしたっけ。午前中だけで。あまり「ニュー小沢」「変わった小沢」という印象はしなかったな。首脳陣も「結局、この人達しかいないのか」という印象だったし。ま、ちょっと中身を待ちましょう。

2006年04月08日

 (25:45)テレビ東京の土曜版ワールド・ビジネス・サテライトを終わって家に帰り、しばらくしてなにげに日経CNBCを見たら、「あれ、番組が映っている....」と。

 そうでしたそうでした。テレビ東京の朝夜の市況・ビジネス系の番組は一定時間後に日経CNBCで再放送されているのでした。自分が出ている番組をまじまじと見るのは久しぶりでした。

 ところで、放送でも少し言ったのですが、「We must change to remain the same」「私も変わる」と言った小沢さんが最初にどんな執行部人事をするのか注目していたのですが、菅さんが代表代行になった以外は全部前執行部の留任。国会開会中であり....という理由はあるものの、イメチェンするには代えるのが常道だと思うのですが。あと、若手と言われる人達が執行部の中に誰一人として入っていない。まるで若手中心の前原執行部のアンチテーゼのような古い人中心の新執行部。これでは、明日の新聞の扱いも小さくなる。まあでも、小沢体制で民主党の支持率も10%をちょっと超えるところから20%弱に上がったそうです。メール問題は一応吹っ切れたと言える。

 ま、古い新執行部も小沢流の一つなんでしょう。それはそれとして、問題は「来年の参議院選挙で勝ち、3年後の衆議院選挙を前倒ししてそこで勝ち、一挙に民主党が政権を握る」という小沢構想が実際にはどう動き出すのか。問題はそこです。そこはまだ見えない。

 それにしても、メインテーマの「ポジティブリスト」は勉強になったな。それまで全然知りませんでしたから。PSEの時もそうでしたが、「何年間かの周知・準備期間があった」ということですが、私のような職業をしている人間でも「え、それ何?」という状況。全然周知・準備されていない。そういうのが多すぎる。

 連絡をもらっていたので私も番組の数日前にポジティブリストをちょっと勉強しました。生産者、消費者が日本人同士だったら、今までの密接な取引関係の中でどんな農薬をどこまで使っていいのか知っている。だから原則自由の中で「これは使ってはいけません」というネガティブリスト方式で良かった。

 しかし、中国などから何の農薬を使っているのか分からないような農産物が入ってくる不安な時代になると、「この農薬でここまで」という農薬と分量指定名簿(ポジティブリスト)を公表して、それに従わせ、それ以外の農薬はごく一定量以上はすべてアウトにする、という方式にせぜるを得ないのでしょう。

 「古民家」「古民家族」も面白かったな。でもあっという間に過ぎるんですよ。時間が。「この番組は直ぐ終わるね」と塩田さんに言ったら、「そうなんです....」と。もうちょっと長くやっても良い番組だと思うのですが。ま、深夜なんですがね。

2006年04月07日

 (19:45)民主党のお二人の代表候補の演説をずっと聞いていて、「演説がうまいはずの菅さんのそれが冴えずに、小沢さんの方が率直で素直な、そして先の戦略を示すことに成功した演説だな」と思って聞いていました。

 お二人の演説の中で一番印象に残ったのは、「We must change to remain the same」という小沢さんの言葉でしょうか。「山猫」の最後に出てくるせりふだそうです。知りませんでした。最近小沢さんが別の機会にこの言葉を使っていたのを聞いたことがある。よほど好きなんでしょうね。そして加えて彼が言ったのは、「だから私も変わらなくてはならない」と。

 「the same」とは、山猫の没落貴族の例に当てはめるなら、「日本人が享受している世界での地位、良い生活」ということになる。あの中の貴族は変わらなかったが故に没落した。「同じでいるためには、変わらねばならない」というのは逆説的でいて非常に説得力がある。

 「日本は変わらねばならない。私も変わる」という小沢さんが、当面の任期までの9月までにどのような施策、政策を打ち出すのか。戦略が示されたなと思ったのは、小沢さんが「来年の参議院選挙で勝ち、自民・公明の与党を参議院で過半数割れに追い込み、それによって3年後にしか予定されていない衆議院を早期解散に追い込み、その衆議院選で勝って政権を取る」と言ったとき。難しいが、それなりに見える筋書きです。

 対して菅さんは、前原さんが前回の代表戦で菅さんを逆転したときに使った身の上話を繰り出したが、これがちょっと陳腐だったし、何を言いたいのかも分からなかった。加えて、珍しく「お願いします」を二度も言って「らしさ」がなかった。「最小不幸社会」でしたっけ。「最小」「不幸」という後ろ向きの言葉が並ぶ、ちょっと魅力的でない(私がそう思うという意味ですが)キャッチを再び使っていた。政権奪取の筋書きもなかった。菅さんは演説でも負けていたと思う。

 演説を聞いて小沢さんに票を入れた人がいたのではないか。それほど聞いていて小沢さんの演説の方に民主党の未来が見える気がした。105対85くらいかなと思っていたら、小沢さん119に対して菅さんは72。私としてはあの演説の出来の差故に、予想以上に小沢さんに票が入ったと思う。

 結局これからの焦点は、「私も変わる」という小沢さんの言葉の意味するところと、実際に来年の参議院選挙の形勢がどうなるかです。これで少しは政局らしい動きが出てくる気がする。自由民主党は9月の総裁選では、「対小沢で誰が良いか」ということも考えなくてはならない。日本の政治も、少しは面白くなってきた。

2006年04月07日

 (13:45)今日のニュースでは、ナショナルジオグラフィック協会が発表したイエスとユダに関するこの新説がもっとも面白い。本当だったら、ほぼ数百年ぶりに新しい解釈が出てくることになる。

 歴史を正しく解釈する、それを長きにわたって伝えるというのは極めて難しい。時間の経過の中で誇張され、脚色され、英雄と悪役が決められて、そこからまた脚色される。だから、「歴史的な事実」と今に伝えられる事でも、タイムカプセルに乗って行ってみたらとんでもない事実が浮かび上がってくる可能性が強い。

 また「事実」というのも、誰の、どこからの目から見るかでも全く違ってくる。被害者と加害者の見方は全く違う。立場によって事実の捉え方は全く違うのだ。歴史を正確に描き出すことは実際には限りなく難しいと思う。つい数日前のことでも、意見が違ってくる。第二次世界大戦中に南京で何が起こったのかも、全く立場で見方が違ってくる。

 それが紀元前後の事ならなおさらです。今回見つかった写本も、実際にその通り写本されたのかわからない面もある。しかし、何もない話だけの世界からは大いに前進で、そこに本当に「Lost Gospel Revealed; Says Jesus Asked Judas to Betray Him」と書いてあるとしたなら、「銀貨30枚でキリストを裏切ったユダ」という説は変更を迫られることになる。私もこの記事を良く読んでないので、ちょっと興味をもって読んでみようと思う。まあ、いつも使わない単語が多いので時間がかかるんです。

 しかし、今回の新説が広く共有されるまでには長い時間がかかるんでしょうな。過去何百年の歴史書、小説、演劇、オペラなどなどには定説が採用されている。そういう意味では、歴史の早い段階で事実はきちんとしておかねばならないと思う。

2006年04月06日

 (23:45)午後4時からダイヤモンド社のカードに関する取材があったのですが、最近頭に来ていることを言ってしまいました。それは、

  1. 東京駅の新幹線ホームで小銭の持ち合わせがないときにスイカで飲み物を買おうとしたら、ある店で「ここはJR東海なので....」と断られたとき
  2. 福岡に出張中の時に飛行機の具合が悪そうなので久しぶりに新幹線で帰ろうと思って駅ネットでチケットを予約し、さあ受け取ろうとしたときに、「JR東日本の駅でしか受け取れません」というメッセージを見て愕然とした時
 だってそうでしょう。同じ新幹線ホームにあるのに、店によってこちらはJR東日本ですからスイカが使え、こちらはJR東海ですからスイカが使えない....なんておかしい。絶対共通にすべきで、利用者無視も甚だしい。

 出張先のJRチケットゲットは、JR東日本の管内でできるとは全く限らない。日本は広いですから。ということは、出張先でこそネット予約したいのにそれができずに駅まで行かないといけない、という矛盾。ほんまにJRのチケットシステムはどうにかしてほしい。

 カードに関するアイデアも一杯出しておきましたが、それはここで明らかにすると雑誌の売れ行きに響きますから.....?。ま、カードを発行している側の「囲い込み運動」はいい加減にしてもらいたい、ということです。

 ところで、日経のネットで以下のようなニュースを見つけました。

滋賀県内の企業、人手不足深刻・中小は嘆きの声も

 滋賀県内の企業の人手不足が深刻になっている。2月の有効求人倍率は近畿2府4県で最も高い1.24倍で、10カ月連続で1倍を超えた。従業者数の割合が最も高い製造業からの求人が大幅に増えた。大手企業に人材を奪われ、技術者を確保できない中小企業からは嘆きの声も聞かれる。

 「あと30人足りない」。自動車向け鍛造品メーカーのメタルアート。フル操業に対応して正社員の募集をかけているが、思うように人が集まらない。 (以下略)

 このニュースを見ながら、やっと言ってきた「雇用ラッシュ」「人手不足」が顕在化してきたな、と。今までは名古屋地区で目立っていただけだった。それが徐々が全国区になってきた。必要があって自分のサイトを調べたら、「雇用ラッシュが来る」と最初に私が自分のサイトに書いたのは去年の3月10日でした。いろいろな業界の人と話していると予測できることがある。必要なのは、情報交換と自分の目での確かめだと思う。
 

2006年04月06日

 (07:45)これは面白いというニュース。「WindowsXPをOSとするマック」という話。

 アップルのコンピューターであるマックの魅力は、その色だったり、斬新なデザインだったり、一言で言えば「cawaii」にある。その「cawaii computer」にWindowsXPが乗ったら、二つの欲求が満たされる。XPはビジネス用のソフトとして汎用性が高いし、多くの人とのファイル交換が非常に楽になる。となれば、ハードウエアとしてのマックは売れるでしょう。

 ですから、まだ引けていないが5日のニューヨーク市場ではアップル株が8%近く上がって。頷ける。ただし、下のこの記事によると、アップルはまだWindowsXPをプレインストールしたマシンは出さないようだ。もし出したら、アメリカで言えばデルやヒューレット・パッカード、日本ではソニーや東芝と同列の強力なハードウエアメーカーになる。当面は、「WindowsXPをOSとするマック」を希望する人は、Mac hardware using an Apple program called Boot Camp(Boot Campというアップル社のソフトウエアを入れてあるマック)にWindowsXPを入れて使うことになる。

 うーん、アップルの発想はいつも斬新で面白い。

Apple Computer Inc., which has long pushed against the prevailing winds of the personal-computer industry, softened that stance by offering software to help users of its latest computers run Microsoft Corp.'s Windows operating system as well as Macintosh software.

The move could make Macs more appealing to users considering a switch to Apple computers from Windows-based PCs.

But the Cupertino, Calif., company, which has long insisted on combining Apple-made hardware and software, stopped short of a more dramatic break from that strategy -- an agreement with Microsoft to sell PCs loaded with Windows, a development that would have placed Apple among Dell Inc., Hewlett Packard Co. and the lengthy list of other hardware companies that make up the mainstream Windows-based PC industry.

Instead, Mac owners who want to run Windows must own a copy of Microsoft's Windows XP operating system and install it on their Mac hardware using an Apple program called Boot Camp.

2006年04月05日

 (19:45)今日一番面白いと思った記事は、ウォール・ストリート・ジャーナルのこの記事かな。そうなんですよ、世界的に長期金利が上がらないのはグリーンスパンじゃないが「conundrum」(なぞ)だった。むろん、いろいろな解説はありましたが。

 しかし、そうした状況が徐々に変わりつつあるというのが実態なのです。そう、世界的に長期金利が上がり始めている。アメリカでは10年債の利回りが5%を突破しそうになっている。日本でも長期金利が1.8%台になっている。問題はそれがどのくらい続き、それが世界経済やマーケットににどのような影響を与えるかです。それについては、また考えたいのですが、とりあえず備忘的にここに記事を残しておきます。記事のタイトルは「Long-Term Rates Creep Higher After Years of Resisting the Fed」です。

Last week, the Fed increased its short-term interest-rate target to 4.75% from 4.5%. More importantly, it signaled that is likely to raise rates to 5% at its next policy-making meeting May 10. That helped spark a rise in the 10-year note yield to 4.87% in late New York trading yesterday from 4.71% a week earlier and 4.55% at the end of February.

"I think the market is beginning to recognize not only that rates might not be capped at five [percent], but, more important, that they might not be coming down anytime soon," says Keith Anderson, chief investment officer at BlackRock Inc., a money-management firm based in New York.

The rise in long-term rates represents a big change for the Fed. Since June 2004, when they started raising short-term rates, Fed officials have looked on bemused and at times apparently frustrated as their efforts failed to produce a reaction at the longer end of the market. Former Fed Chairman Alan Greenspan described the situation as a conundrum.

After the Fed began raising rates on overnight loans from a low of 1%, some rates rose -- including those on many credit cards and home-equity loans. Others, however, remained unchanged or even fell. The yield on the 10-year note went from about 4.87% in June 2004 to a low point of 3.89% a year later. In December of last year, the yield on a 10-year note dropped below the yield on a two-year note, an unusual event known as a "yield-curve inversion" that in the past has preceded economic downturns.

Now that's all changing. Rates on 30-year mortgages, which typically hover a bit less than two percentage points above the yield on the 10-year Treasury note, average 6.54%, up from about 6.39% a month ago and 6.17% a year ago, according to HSH Associates, a mortgage information publisher. As of yesterday, the average yield on investment-grade corporate bonds stood at about 5.82%, up from 5.65% a month ago.

"This is starting to look a little more normal," says Peter Hooper, chief U.S. economist at Deutsche Bank in New York.

2006年04月05日

 (07:45)ははは、松井ファンとしては「結構な活躍でした......」と拍手。4−4、4打点。いいじゃないですか。しかし、松井の好調は一週間は続いてほしいな。去年の開幕2戦のみの調子の良さから脱却して。

 今年は松井を心から応援する会のサイトにどしどし書き込みますよ。一人熱心なメンバーが猛烈な勢いで書き込みをしている。私も楽しみで読んでいるのですが、ただ読んでいるのでは面白くない。「YI」は私の文章です。眼鏡が赤いので、文章も今日から赤くします。ちょっと今年は分析的に行ってみようかな、と。

 ところで、相変わらず視聴率は低迷しているようですが、今年の巨人は結構強いかもしれない、と思っているのです。それは、打線のバランスが良いこと。清原嫌いではないが、ああいう走れない選手が真ん中に座っているというのは打線が寸断されるという意味で良くなかった。清原はまた故障が多かった。打線を定着できないという難点があった。

 しかし、今年の打線を見るとあまり年間何回も故障しそうもない選手がいない。皆そこそこ走れそうだ。そして、打線に一発の怖さを残しながらつながりもあるという理想的な形になっている。あとは投手かな。ちょっと不安が残る。まあ今年の巨人は開幕ダッシュ気味。

 パリーグは僕は圧倒的にソフトバンクが強いと思う。だって世界一になった監督を日本一にできないようでは、そして今年こそ三度目の正直で最終的に日本シリーズにチームを導かないと、ちょっと選手の顔が立たないでしょう。だから選手が頑張る。松中も大試合でのチャンスに強くなった。WBCはHRこそなかったが、良くやっていた。

 4〜5年前だったかな、ダイエー(今のソフトバンク)対ジャイアンツという日本シリーズがあって、最近ではあれが一番記憶に残っている日本シリーズです。そのときの城島の言葉は記憶に鮮明。今年は城島の情報も追いたいと思っているのです。明らかに好きな選手の一人なので。

2006年04月05日

 (00:45)関西のオッさんたちのヤジリは相当きついな.....と。

 「ワレ、コールドになってまうぞ......」
 「他にピッチャーおらんのか.......」
 「小学生と大人や.......」

 いや、4日の甲子園での横浜(神奈川)-青峰(長崎)の決勝戦のバックネット裏での話。関西テレビの夕方の番組の関係で丁度関西に来たので、大阪駅から30分ぐらいなのでちょっと甲子園に寄り道したのです。5回の裏だったかな、私が球場に入ったのは。そしたらもう横浜が6点だか入れていた。青峰が攻撃していて、あっという間にスリーアウト。

 その裏の横浜の攻撃を見て、私でも「コラアカン」と。確かに横浜に鋭い打球は多かったが、青峰の選手の手に球がついていない。ポロポロ、ポロポロするのです。6回の表だけで、エラーを4つぐらい見たように。その回に、あれよあれよという間に9点だと思ったが横浜に点が入った。まあ私の後ろのオッちゃんたちばかりでなく、私も何か一言言いたくなった。横浜は確か14安打で21点。エラーや無駄な四球、死球がなければあり得ないスコアです。

 青峰の選手、特に投手は疲れていたんでしょうな。早稲田実業の投手もそうでしたが、実質的にこの短い間の間隔の詰まった試合を投げるというのは体にはきつい。夏もそうですが、高校野球もやっぱり同じ程度の力の投手が最低二人は必要な時代に入ったと思いました。まあ青峰の選手はよく頑張ったということでしょう。

 甲子園の試合は面白くなかったが、大リーグはマリナーズの城島がライトに流し打ちのライナーのHR。あの押し込むような右打ちは、城島独特のものです。ナイス。ダイジェストで見ただけですが、ピッチャーや野手への指示も的確だし、ピッチャーを見る目も日本にいるときと同じように鋭かった。ヤンキースの松井もHR。しかも404、4打点と大活躍。今年は花粉症は大丈夫なのかな。確か昨年は開幕2試合良くて、そのあとがくっと落ちた。今年はやってくれと思う。

 関西テレビの新しい番組「Anchor アンカー」は、夕方の新設の番組。大阪では今夕方のニュースの独自制作競争の真っ最中。東京の各局のスタジオとちょっと違っておもろかった。関西的なノリがあるんですよ。スタジオがやはり雰囲気的に明るい。それこそアンカーの山本さんには東京で既にお会いしているし、もう一人のゲストの住田さんは以前から知っている。何よりも、明るいニュースから入ったのが良い。それは、城島、松井の大リーグ開幕戦での活躍です。この番組で関西に来るのが楽しみになりました。

 関西独自の番組なので、「関東の人は誰も見ていないだろう....」と思っていたら、東京にいるはずの関西テレビのフジテレビ出向社員のY君からは、「見ました.....」と。「東京でも見れるようになっているんだろ......」と当てずっぽ言ったら、やはりフジか関テレ東京支局の社内では、関テレの番組がモニターできるようになっているというのです。

 あと、これもフジのK君からも。うーん、彼もフジで見たのか、関西に出張して来ていたのか。やはり前者の可能性が強いな。彼はメールで。

 夜はM君と一杯。「今度毎週来るから....」と言おうと思ったら、彼が転勤になるという。彼はあと一週間で東京に帰るという。ザンネン。ま、関西には知り合いが多いし、関西そのものを知りたいと思っているので、しばらく楽しみです。

2006年04月04日

 (08:45)30分番組でも二本撮りとなると、やはり時間がかかるものだ、と。まあスタジオではなかったので、その要素も大きいのですが。どこかというと、麻布10番のキサナドゥ。昼間は空いていますから。

 番組は5月に日経CNBCから二回に渡って放送される「洋一・里子のケイザイ塾 Cafeコイズミ・ナマズ」というのです。投資に関わる情報を女性に伝えていこうという番組。日経CNBCとしては画期的に柔らかい番組になる予定です。

 変わった名前にしたのは、要するに「投資」とか「市場」という堅苦しい単語を使わずに、親しみやすい、それでいて意表をついた名前にしようとして、番組以前からCNBCの人たちと意見交換していたもの。

 「里子」とは誰かというと、今日経のキャンペーンガールになっている小泉里子さんです。なかなか楽しい人でした。もちろん綺麗で。うーん、実物の方が印象がいいかな。おっと、この人は投資教育の教祖様ですから第一回のゲストにお招きしました。あとは女性投資家の皆さん。

 本当にカフェ的なところで撮影したので、今までの投資、経済番組とは雰囲気はかなり違っているはずです。二回目のゲストの方が「女性の方が投資が実はうまい」という話をしてくれたのには驚いたな。まあ堅実なんでしょうね。男は結構決め打ちしすぎる。まだVTRなどができていない部分もあるので、最終的にどのような形でできあがるかわからない面もある。楽しみ。

2006年04月03日

 (08:45)おっと、紹介し忘れていました。この一ヶ月くらいで二回も秋葉原に行って取材した成果が音になりました。ipod でも聞けます。お楽しみ下さい。今回取材して、「秋葉原は奥が深い」と思いました。

 基本的には部材の街ですが、今はソフトの街でもある。ハードとソフトと溶け合っている。興味深い街ですし、同じITの街である渋谷ともある意味で補い合っている。サイトは以下の場所です。ははは、メードカフェにも二回行きました。

http://www.radionikkei.jp/roundup/060321special/index.html

2006年04月02日

 (08:45)朝日新聞記者の平子さんにはご心配をお掛けしてしまいました。今朝の朝日新聞の別刷り「Be on Sunday」の「ぶらりネット」欄用に取材を受けたのは10日ほど前でした。ネットに関する記事ですから、むろん「http://www.ycaster.com/」のURLが載る。

 ところがところが、私のサイトの一つである「http://www.ycaster.com/」が、3月31に書いたように「Sorry, this site is temporarily unavailable.Please check back later.」になってしまった。そりゃまずいですよ、当日の新聞にサイトが紹介されているのに、サイトが開けなかったら。

 もっとサイトの復旧は早期に行われる予定でしたが、週末だったと言うこともあって、私が把握している限りでは、土曜日の午後8時くらいにずれ込んだ。私も心配だったので、お花見を早く切り上げて見ていた。日曜日版の新聞が配られる前には復旧しないと....と思って。もう一度プロバイダーにメールしようかな、と思っているところで回復した。

 記事は見て頂ければ良いのですが、ポイントの一つは10年続いたということです。私がサイトを始めたのは、確か1996年の6月16日です。ブログなどない時で、連休の前後に時間を見つけてはhtmlを覚えたりいろいろやったことを思い出す。懐かしい。だからあと2ヶ月続けば10年になる。

 この day by day を始めたのはそれから一ヶ月後の1996年の7月17日でした。こんなに日々色々なことを感じているのに書いておかないのは残念、と思ったのと、当時テレビ東京で「東京マーケット・フォーカス」(毎週日曜日の午前9時から30分)という番組をやっていて、その番組を巡って実際に書くことがいっぱいあったからです。

 当時のテーマごとの文章は、chatの下の方に残っていて、番組全体に関して書いた文章は番組前後かな。ま、基本的に文章を書くのは好きだし比較的早いということもあった。

 続けていても、いつも思うのは「ネットは常に新しい」ということです。ネットを続けているから新しいことに興味を持つのか、そもそも興味があるからネットを続けているのか。好奇心がなくなったら、このサイトも辞めますが、それは相当先の気がするな.....なんて考えてます。

 あと、私は実は二つのサイトを相互ミラーサイトとしていて、「http://www.ycaster.com/」とは別に「http://www2.gol.com/users/ycaster/」があります。以前から私のサイトを知っている方は一方がダウンしていたらもう一方に行ってもらえているのですが、そうでない方は「ダウンしてますよ....」と。たくさんの方から「http://www.ycaster.com/」のサイトダウンに関してメールを頂きました。ありがとうございました。もうあまりダウンしないと思いますが、覚えておいて頂ければ嬉しいです。

2006年04月01日

 (18:45)私が土曜日の東京新聞のコラムに書いた文章です。この日の東京新聞の特報面の二ページは非常に面白い。ぜひご一読を。

受信料の不払い拡大に悩むNHKが英断を下した。看板番組である日曜日の大河ドラマと年末の紅白歌合戦に限って民放並にCMを流し、年間50億円の売り上げ増を図る計画だという。

 もともとNHKの大河ドラマと紅白歌合戦は看板番組ではあるが、なぜNHKがやらねばならないのか疑問点が多い。大河ドラマはその年その年で違うが、大体において日本の歴史上の偉人、有名人を取り上げ、主人公の偉大さを強調するあまりに、周囲の人間がその主役に命さえ投げ出す姿を映し出す。人間の苦悩よりは単純な主従関係に焦点を当て、その封建的な主従関係をあたかも美しいことのように繰り返し展開する。

 紅白歌合戦は男女平等とペア社会が定着したこの時代に、なぜか男と女が二手に分かれて勝った負けたと競う。番組の半分はドタバタで、番組コンセプトの陳腐化の中で毎年その魅力を維持するのにNHKとしても四苦八苦している。

 この二つの時代錯誤的な番組に、民放のCMの手法が取り入れられるのは、改めてNHKの使命を考える上でも役立つだろう。そのCM収入がNHKの報道番組などに生かされると伝えられている。これはNHK報道・特集番組のスケールの全体的な大きさを評価している筆者としてはすばらしいと思う。

 NHKの変質は時代の要請である。大河ドラマ、紅白歌合戦という二つの看板番組でのCM採用は、NHKの変化を鮮明に示すものになるだろうし、CMが採用されればこの二つの番組が持つ虚構性を明確に示す。NHKの英断を評価したい。

 ははは、このコラムの正式名は、「本音のコラム」というのです。ですから、本音と虚構(エイプリルフール)を両方混ぜ合わせる形で。いつもは「本音」だけですが。

 東京新聞から話があったのは二週間くらい前でしたかね。「伊藤さんのコラム(毎週土曜日担当)はちょうど4月1日に当たりますから」と。大きな事件があってとてもフールコラムなんか出せない事態になってもいけないので、普通のコラムも書きました。だから今週は東京新聞の土曜日用には二本のコラムを書いたのです。もう一本はなんだったっけな。来週載ると思いますが。

 まあでも、週一のコラムがたまたま4月1日に当たるというのは極めて希有。来年は4月1日は日曜日です。そういう意味では、新聞に半分本気で思っている事を面白く書けたのは結構ラッキーでした。
 

2006年04月01日

 (07:45)前原代表ら民主党の指導部総退陣や、永田議員の議員辞職を「潔い」と評価できるのか ? 残念ながら私の結論は、「ノー」です。

 まず遅きに失したこと。出てくる情報によれば、前原代表は党首討論の前の20日に一度は辞任を考えたという。それだけの迷いがある案件でありながら、党首討論の前日には「明日を楽しみにして下さい」と言い、党首討論では「確証がある」と言った。民主党の一部には「前原さんは(民主党に対して)背任を働いた」という意見があるそうだが、一連の流れを聞くとその意見には理由があると思う。その時点でまったく不確かなことが明確になった情報を持って、国民の前で「確証がある」と言ったのだから、その結末は予測できた筈だ。予測できたからこそ「辞任」が頭をよぎったはずだ。にもかかわらず、前原代表を強弁を続けた。

 「永田背任論」については、木曜日の「やじうまプラス」に出演した松原議員(東京選出の民主党議員)が述べていたが、報告書を見ると最初は銀行口座を知らないのに、野田幹事長や党幹部にあたかも知っているかのような発言を繰り返し、党幹部から国会質問の承認を得たという。

 次は総退陣と議員辞職の最大の背景が、どう考えても4月4日の西沢孝氏の証人喚問を避けたい思惑だったと思われる点だ。何を言う人か分からない、このまま公開で証人喚問に突入すれば、党が計り知れない打撃を被るかも知れないと考えた節がある。結果として永田議員の議員辞職によって「証人喚問」は行われないことが決められたのだから、民主党は危機一髪の事態を事前に避けたとも言える。

 伝えられる情報によると、永田議員は最後まで議員辞職を渋ったという。つまり彼は辞めたくはなかったようだ。これはこれだけの問題を起こした人間の行いとしては理解力の範囲を超えている。とても「潔い」とは言えない。

 正直、民主党にはずっと期待していた面がある。それは日本の政治全体を考えてだ。しかし、当面は民主党には苦境が続く。言葉は重い、と改めて思う事件だった。