2006
05月

2006年05月の日記

日記

2006年05月31日

 (05:35)_(‥ )フーン、なるほど。鉄道会社のトップだったスノーの首を切って、ゴールドマン・ザックスのトップを財務長官に.....。

 長らくワシントン雀の噂の中心でした。スノーが辞めるのではないか、と。いろいろな人の名前が挙がったらしい。週末まで挙がっていた名前としては、エバンス前商務長官、Carlos Gutierrez(現商務長官)、それにロバート・ゼーリック国務副長官など。ゼーリックは最近まで日本の政府当局者と米軍の再編問題などで会談を重ねていた。

 では最終的になぜ新しい財務長官にブッシュがゴールドマン・ザックスのヘンリー・ポールソンを選んだか。ブッシュ自身が、「"lifetime of business experience" and "intimate knowledge of financial markets"」と言っている。つまり、「これまでの一貫したビジネス経験、それに金融市場に対する深い知識」。それは間違いないでしょう。

 要するに、オニール、スノーと続いた「main street」出身の財務長官では、国民に実際には良いパフォーマンスを続けているブッシュ経済政策を売れずに、ホワイトハウスとしてはイライラしていた、ということでしょう。だから、評判の良かったルービンを念頭に置きながら、改めてゴールドマンのトップを財務長官に据えた、ということでしょう。財務長官の椅子が、「wall street」に戻ってきた瞬間だと言える。

 ホワイトハウスに近い筋は、「 Administration officials have been frustrated at their lack of success in translating what they see as a strong economic performance into higher poll ratings. 」と述べている。要するに、ポールソンでブッシュ政権の対する国民の支持率を上げたいと思っている、ということだ。

 では、ブッシュ政権においてこれまでのところ、「財務長官」とはどういう役職だったか。それに関しては、「影が薄かった」というのが当たっている。クリントン政権におけるルービンの地位は高かった。しかし、オニール、スノーという事業会社のトップだった二人が財務長官を務めている間に、財務省のブッシュ政権内での地位は下がり続けた、と言われる。最近スノーが久しぶりにマスコミに繰り返し登場したのは、4月末のG7の時だった。彼の久しぶりの自己主張が、ドル安に繋がった。

 同じくゴールドマン出身のルービンの時代は、実態は別にして「強いドル」がアメリカの政権の一貫した立場だった。個性の強い、決して後ろに隠れないだろうヘンリー・ポールソンの財務長官就任は、米為替政策に対する市場の印象をかなり変えるかもしれない。

 イラクでの失敗が次々に明らかになっている中で強気を続けているブッシュ政権は、中間選挙を控えて、次々にクビのすげ替えを行っている。うーん、ポールソンにもし限界があるとしたら、それは彼の能力以上に、ブッシュ政権の持つ深い影かもしれない。

2006年05月30日

 (07:35)阪急電鉄が最終的に阪神電鉄の5割近い株を持つ村上ファンドと合意できないままに930円という価格でTOBを発表したのは、「村上ファンドも応ぜざるを得ない」と読んだからでしょう。そして恐らくこの判断は正しい。

 仮に村上ファンドが阪急電鉄のTOBに応じずに、阪急のTOBが不成立になったとする。となると、役員8人を送り込むと既に提案している同ファンドは、いよいよ阪神電鉄の経営に参加する道を探らざるを得なくなるが、「(私のやっていることの目的は)99%が金儲け」と自ら言っていることから見て、未だその覚悟は出ていないと見る。8人のメンバーを見ても、電鉄経営に詳しい人は少ない。

 村上ファンドの阪神電鉄に対する阪急電鉄TOBに対する見解も、最終的には同ファンドがTOBに応じる可能性を示唆している。この見解には、「本統合の方向性を評価すると同時に、期待している」「株主平等の原則に沿ったものと評価している」と、「評価」という言葉を二回も使っている。「期待」という単語が少なくとも2回見られる。

 ただし同ファンドは、「本統合の効果に関して、私どもはまだ具体的な説明を受けておりません」述べて、「どの分野でどの程度のシナジー効果が期待できるのか」を具体的な数字を交えて早急に説明して欲しいとして、「統合効果を考慮した数値目標をコミットメントとして公表していただきた」としている。高いハードルとは思えない。阪急の説明次第ということだ。

 もともと村上ファンドは、1200円近くでの阪神株の売却(保有分)を狙っていたと言われる。しかしそれが無理と分かると、900円台での攻防を阪神側と展開。ここ数日の間に、「差は数十円」というところまできていた。

 本当は阪神の経営などするつもりがない村上ファンドがこれから出来ることと言えば、阪急の930円を上回る買収主体が新たな登場するのを待つか、自ら探し出すことである。それはなかなか難しいでしょう。ファンドの正体がばれるに従って、村上さん本人、同ファンドに対する世間の評価は厳しくなっている。もうこれ以上阪神を手玉に取ることは難しいと同ファンドも判断していると私は見ます。そしてそれは正しい判断だと。

 私の友人によると、二宮尊徳は「道徳のない経済は犯罪だが、経済のない道徳は寝言だ」という非常に示唆に富む言葉を残したという。誰がどれとは言わないが、村上ファンドが実際には実行するつもりがない企業の改革意図を喧伝しながら、その実「金儲け」だけを推し進めているのは、あまり美しいとはいえない。世論の見方はその方向に傾いていると見る。

 村上ファンドの阪神株平均取得価格は、いろいろ説があるがどうも690円程度らしい。それを930円で売ると、持ち株数から見て「470億円の儲け」(日経)だという。平均買収価格がもっと下なら、もっと儲かる。阪神の旧経営陣の経営が杜撰だったことは確かだろう。しかし、たった半年余りの騒動で470億円儲けるとは。

 日本の社会はそんなことをあまり許さないだろう、とも思う。だからこそ、村上ファンドは本拠地をシンガポールに移したのでしょう。それを一部の新聞のように、「村上ファンドは日本に嫌気した」と受け取るのか、日本で醸成されつつある世論に村上ファンドがおののいたと見るかは見解の分かれるところでしょう。私は後者だと思う。

2006年05月29日

 (07:25)今朝の新聞は、数字が面白い。備忘で書いておきましょう。気が付いたものから。

  1. 東京新聞=「総裁選、世代の闘い」という2面の記事の中に、同選挙に投票権を持つ国会議員405人のうち、福田氏は上から41番目であり、安倍氏は276番目と。国会議員は誰もがいつかは総理総裁を考えている中では、「自分よりは年下が総理総裁になるのは嫌」と考えている。その面では、心理的には福田氏に票が集まりやすい筈。しかし、福田氏は総裁選の時には70才になる。この点がどうか、と

  2. 日経新聞=「中国、住宅高騰で不満噴出」という記事の中に、「人口1536万人=昨年11月現在の北京に、地下鉄と電車の駅は70に満たない」とある。確かに私が一昨年北京に行ったときは地下鉄は3本だった(その後増えたらしいが)。で、住宅価格が高騰していると。
     では、東京はいくつ駅があるのかネットで調べた。「東京 駅の数」で検索したら、まず出てきたページが東京都の公式HPでオリンピックの東京誘致をうたったページ。そこには「(東京は)駅の数と集積度の度合いは世界一」と書いてあるが、数は書いてない。数が書いてあるのは東京メトロのページで地下鉄の数は165とあり、もう一つ「放射から環状へ、東京大改造」という文章(2000年頃の文章)には、「東京で第二の環状線が完成すれば、東京の駅の数は500を超え、ロンドン、パリ、ニューヨークを遙かに凌ぐ」と書いてある。まあそんなもんか。それにしても、北京の駅70は少ない

  3. 日経産業=「スズキ、国内ビッグ3!?」という記事。「4月の異変」があったそうで、この記事によると登録車(軽を除いた乗用車)と軽自動車を合わせた総販売台数について国内統計を見ると、首位はトヨタで揺るがないが、続いてはスズキが堂々の2位、三位がホンダで、4位はなんと軽主力のダイハツ。日産はなんと5位だったという。軽は田舎に強く、都市は弱いというのが今まで傾向で、軽の普及率で見て今まではトップスリーは鳥取、島根、佐賀がベストスリー(ワーストスリーは東京、神奈川、大阪)だったそうだが、最近はガソリン高があって大都市でも軽がよく売れるという。最近では営業車も軽に切り替える会社が出ていて、1−4月累計の総販売台数でもスズキはホンダを抜いて3位だそうだ。この記事はこの現象を「軽高登低」と呼んでいる。05年に登録車で一番売れたのはカローラだが、派生車種群を含めて14万6000台。対して、スズキの「ワゴンR」は23万7000台、ダイハツの「ムーバ」は19万台。いつもニュースになる「カローラが首位」は考え直さないと

  4. 日経金融=「ネット証券、口座数伸び悩む」とある。4月は11万1000件で、半年ぶりの低水準だったそうだ。契約口座数も「順バリ」? 相場は皆が見放しているときに手がけるのが本筋だと思うのですが

  5. 朝日新聞=『阪神株取得 数十円差の「攻防」』という記事。大台はと見ると900円台。村上ファンドは結局は役員送り込みの提案をしていても経営に参加する気持ちなんかないことは明らかでしたが、最後は「数十円の攻防」ですか。星野さんも怒っているし、このファンドの性格が鮮明になってきている。今回の問題で、村上ファンドに対する視線は厳しくなるでしょう。大体が過去の例を見ても、「動きが見えるファンド」が長く繁栄したためしはない。コップの中の恐竜 ?

2006年05月28日

 (23:25)ロナウジーニョに関するNHKの特集番組を見ましたが、面白かったですね。彼が一番私にとって印象に残っているのは、前回のワールドカップの対イングランド戦で、かなり遠くからのフリーキックを、キーパーがちょっと前に出ているのを見つけて(コーチに言われていたとも聞いた)蹴り、見事に入れた時でしたが、NHKのビデオを見ると彼が子供の頃から傑出した選手だったことが分かった。

 なにせ1980年生まれですから、彼が子供の頃からのビデオがあちこちに残っていて、それが編集されていたのがリアル。彼のボールの特徴ある扱いが犬とボールを取り合っているうちに身に付いたというのが面白かった。あの帽子のように人の上を抜くボールの扱いなど、なかなか出来る物ではないだろうし、日本の選手からは見られないものだと思いました。

 それにしても、今度のワールドカップで日本が入った組は強豪揃い。オーストラリアにはヒディングがいるし、選手の体力も強そう。クロアチアは今絶好調に見える。ブラジルは言うまでもない。日本は最近勝っていない。

 近くドイツと強化試合をするそうだが、これも勝てる相手ではない。最後にどこかもうひとつ強化試合が予定されていると思った。とにかく万全の体制で当たって欲しい。同じくNHKの番組で、「初戦を突破できたら、一次リーグ突破は87%確実」といった統計が紹介されていた。まずはオーストラリアに一勝と言うことですが、12日は私は今の予定だとインド。ちょっと見れそうもないのが残念。見られるのは、もしかしたら今大会日本が最後に闘うブラジル戦だけかもしれない。まあ、その後も闘って欲しいのですが。

2006年05月27日

 (17:25)金曜日の昼前に熊本に移動。熊本日々新聞さんに頼まれた講演をして、その日のうちに帰ってくる予定でしたが、社会人になったときに非常にお世話になった人が週の前半に熊本でお亡くなりになったこともあって、土曜日の昼過ぎまで熊本にいました。

 熊本に行ったのは、去年の秋以来だった。その時は、新幹線で鹿児島から入りましたが、その時も東京に帰るのに台風で飛行機に乗る気分がせず、一日滞在を引き延ばしのですが、今回もそう言った状況があった。金曜日に熊本に移動するときの飛行機の揺れは結構凄かった。

 それにしてもあの阿蘇山の外輪は綺麗だと思いました。どこか霧ヶ峰に似ているのですが、やはり火口の跡ですから、それとわかる形をしている。毎年3月末に野焼きをしているそうで、今年も実施。綺麗に燃え切るそうです。時々火が予想しないところに入り込んで、消防隊が出動するそうですが。

 気が付いたのはやはり韓国勢の伸張ですかね。タクシーの運転手さんの話だと、熊本のゴルフ場一個が韓国資本に買収されたそうで、「あといくつかは買われるのでは....」という話。韓国はゴルフ場が足りない。これは私は何回も行って知っている。私がソウル近くでゴルフをしたときは、確か午後2時スタートで、終盤はナイターだった。

 講演は阿蘇プリンスホテルでだったのですが、このホテルはゴルフ場付きで、到着してレストランを横切ったときに韓国の方々のメンバーが食事をしていた。ちょうどハーフが終わって食事をしていたのでしょう。

 宮崎のフェニックスに行ったときも同じような状況だった。タクシーの運転手さんが、「70万、80万するゴルフ用品をぼんぼん買っていくんですよ....」と。まいいじゃないですか。それだけ日本でお金を使ってくれるのですから。熊本のゴルフ場は、今はかなり経営が苦しいらしい。そこにゴルフ場の足りない韓国の資本が目を付けた、という構図。九州と韓国は近い。

 来たついでに、噂の黒川温泉にも寄りました。500円でどの風呂にも入れるようなシステムになっているし、宿泊料金も全体にリーゾナブルです。部屋によっては、露天風呂が一部屋一部屋についている。まあ離れ構造のところですがね。本当に山間(やまあいの)の静かな温泉です。

2006年05月25日

 (17:25)確か水曜日だったと思ったのですが、磯子に行ったのです。講演会があって。大阪の帰りに立ち寄ったもので、講演会のある駅の近くの山の上に立つ横浜プリンスホテルに向かうためにタクシーに乗ったら、運転手さんが「ご存じですか....」と。

 何の話かと思ったら、あの有名な磯子のホテルがあと一ヶ月強、6月末で閉鎖されるというのです。ホテルの中に入ったら、「50年間ありがとうございました」と大きな表示がフロントの背後に。「ああそうなんだ」と。

 結構有名なホテルだった。ホテルのサイトには、その50年の歴史が刻まれている。営業を停止するまでに部屋を特別価格で売り出すなどキャンペーンも実施しているようで、ご興味のある方は申し込みをすれば良いのでは、と思う。あと何になるかというと、建物は取り壊して、その後はマンションが建つそうだ。景色の良い場所ですから、結構高額物件になると思われる。

 ところで、朝日の夕刊の一面には宮内被告が「(堀江社長を)かばわない」との見出しの記事が載っている。完全な決別ですな。これまでは、宮内さんは堀江被告に気を遣っているように見えた。しかし法廷で対決するかもしれない。

 宮内被告は一時期、「ライブドアは堀江の会社じゃないですよ。私の会社ですよ」と言っていたという。多分経理に関することは彼が握っていたと思う。堀江被告はどちらかというと、ソフトウエア系の人で経理には疎かったはずだ。だから責任がないというわけではないが、お金の動きから見たライブドアは確かに宮内被告の手の中にあったと思われる。

 おそらく裁判では、その点が争点になると思う。堀江被告はどこまで了承・指示していたか。それにしても堀江被告はあの騒ぎからは想像できないほど、軽い罪に問われるだけのような気がする。だからそれは言ってみれば、逮捕されたこと自体が刑罰的な意味合いを持っていた面もあると理解することも可能だ。つまり検察は既に目的を達している、と。

2006年05月24日

 (07:25)ヨーロッパの主要市場が軒並み2%を上回る反発になったので、「ニューヨークはどうなるのかな....」と見ていたのですが、結果はダウで26ドル強の下げ。Nasdaqも弱い。昨日寝るときにはダウは60ドル近く上げていたし、Nasdaqも上げていたので、一端は下げ止まりかなと見ていたのですが、ニューヨーク市場は最後の一時間に急落したらしい。

 市況記事を見ると、引け際の反落は石油価格の上昇や海外市場の不安定を背景とするものと抽象的な理由が並べてあるのですが、「これは具体的かな」と思ったのは、引け際のブラジル、メキシコ市場の株価の1%を上回る下げがニューヨークに伝搬したとも指摘してあった。

 直近の高値からの反落は、多くの市場で徐々に10%に接近しつつある。この下げをどう見るかですが、私はあまり懸念はしていない。今のところですが。今までの世界は、流動性過多でもあった。それが世界的な金利上昇局面の中でレベル調整を行っている、というのが認識です。過去の市場にも、金利上昇局面ではよくある状況。

 世界経済全体の形はよい。主要経済でマイナス成長はないし、物価は「上がる懸念がある」と言っても、原油が70ドル台になっても、70年代、80年代の前半のような状況にはなっていない。世界経済には強いデフレ要因が組み込まれているからです。

 こうした中で、世界で一番低い金利体系を保っていた日本の中央銀行の金利操作に関しては、予想されたように世界からの意見、要望が出ている。今朝の新聞には、OECDが「ゼロ金利の解除はなるべく先延ばしすべきだ」と主張し、具体的には日本銀行が安定していると考える物価上昇率のレンジ、0%〜2%の下限を「引き上げるべきだ」と主張している。まあ、それには私も賛成なんですがね。

 利上げに関してOECDは、「物価上昇率が十分に高くなるまで」という条件を付け、さらに日本の物価上昇率は来年になっても1%を大きくは上回らない、との見方を示したという。上限が2%にある限り、「軽々には、ゼロ金利解除をすべきではない」との立場。日本銀行は早ければ7月にもゼロ金利解除するのではないか、との見方を牽制して、場合によっては来年にずれ込んでも良いとの立場。

 OECDの主張は、最近の世界的な株価の急落を受けたものではないのでしょう。しかし、最近の円高や株安は、日本銀行が考慮に入れなければならない要因に入るかもしれない。もっとも、日本銀行はやるときはやるでしょうが。問題は、それがきっかけになって日本の市場、世界の市場が無用の混乱にならないようにすることです。

 福井さんは、「ゼロ金利解除はゆっくり時間をかけて」と説明している。それを市場によく浸透させなければならない。そうしないと、余計な不安感を惹起する危険性が今の市場にはある、と思う。

2006年05月23日

 (07:25)今朝の新聞では、日経のスポーツ欄に載っていた「サッカー人として W杯がすべてじゃない」という三浦知良選手の文章が良かったな。「W杯がすべてじゃない」は、むろん自分に言い聞かせている面もあるが、今回選ばれなかった久保選手などにも向けた言葉。自分が過去に直前に外された経験があり、今回も行けなかっただけに、その言葉には重みがある。

 以前はそれほど好きな選手ではなかったが、J2に行ってもがんばり続ける姿は心を打つものがある。プロだな、と。そして今でもチャンスがあれば代表入りしたい、ワールド・カップでもやれるとアピールしているのは、嫌みではなく自分へのプライドであり、素晴らしいと思う。本当に三浦選手には一回ワールド・カップに出て欲しいのですが、まあ無理でしょうね。でも、良い指導者になれるかもしれない。

 記事としては、日経産業の「ミタル新提案 アルセロールは結論先送り」が面白い。今年に入ってからですが、日本の鉄鋼メーカーが買収防止策を打ち出した時に、「何をしているんだろう」と思ったのですが、「ああ、こういう状況から動いたのか」と。

 ミタルとアルセロールの争いに関しては、フォーサイトの6月号にも記事があって、ミタルの急成長の秘密が分かって興味深かった。

 フォーサイトの記事の最後に『弱点は「品質」ゆえに』という項目があって、ミタルが規模は大きくなっても、まだ品質で新日鐵などに及ばないとこの文章には書いてある。そうなんでしょう。業界の集約はこれからも続くと思う。市場経済とは結局「国境なき経済」の面がある。それは取引所でも見られる。日本も無縁ではないでしょう。

2006年05月22日

 (23:25)日曜日に諏訪から帰ったときに付けたテレビ(NHK)は、ちょうど荒木村重の許へ出向いた黒田官兵衛が捕らえられ、有岡城の牢に幽閉されているところをやっていたのでつい見てしまったのですが、月曜日の昼はkanbeiさんと、かねて知り合いの木村さん夫妻と4人で会食。特に奥様とは久しぶりだったな。

 黒田官兵衛がなぜ印象に残っているかというと、司馬遼太郎さんの播磨灘物語が好きだからです。一回読んだだけですが、今でもいろいろなシーンが頭に浮かぶ。だから、姫路とかに行ってJRの駅に「播磨」とか出てくるとそれだけで、「ああ、ここか」という感じ。なんかこう、「ここは歴史があるな....」と思う。確か4月に仕事で姫路に行って改めて白鷺城を見ましたが、その呼び方の通り綺麗なお城です。

 官兵衛の子供をどうするかの秀吉と一豊、それに信長のやりとりは面白かった。まあNHKの大河ドラマなど一年に一度見るかどうかですが、官兵衛が出ていたらやはり見てしまう。kanbei は黒田官兵衛が好きだから「kanbei」と名乗っていると思ったが。この名前は好きだな。

 四人でいろいろ面白い話をしたのですが、kanbei が言っていたことで一つ面白かったのは、「番号ポータビリティ制度が発足しても、それほどキャリア間の移動はないだろう。特に若い人の間では....」でした。彼はそれを彼の友人から聞いたと言っていましたが、その理由には凄く納得できた。

 大妻女子短大の非常勤講師をしていたときに、ケータイについてアンケートを取ったことがあって、その時の文章がここにあるのですが、若者は圧倒的にケータイをメール端末として使っている。電話としてのケータイは一日に使って2〜3回なのです。ケータイの電話機能を使うのは40代、50代の男性が多い(ように見受けられる)。

 で、ポータビリティ制というのは、「電話番号の持ち運び」です。メールアドレスは持ち運べない。なぜならキャリア(電話会社)を変えたら、サーバーが違ってきますからメルアドは@から下が必ず変わる。どうしても。だから、番号ポータビリティ制がスタートしても、年齢が上の層は制約が解ける形になるが、メルアドを変えたくない若者は現在所属しているネットワーク(ケータイ会社)を離れないだろう...というのです。

 うーん、この話には説得力がある。この点は私も言われて初めて「そりゃそうだ」と気が付きました。まあそれでもメルアドを変えてもキャリアを変えたという人は出てくるんでしょうが、それほど「ポータビリティ解除」と言っても制約条件が解けるわけではない。

 木村夫妻は、彼等がワシントンに居たときも行ったな。同時多発テロの直後です。ニューヨークからワシントンのシャトルに乗ってスチワーデスにチケットを示しながら

 「Where is my seat ?」
 と言ったら、彼女が
 「Any seat you want !」

 と言ったのを今でも鮮明に覚えている。多分、自分が接したことのあるアメリカ人が発したもっとも印象的な言葉です。「そりゃそうだ」とその時思った。だって、誰も怖がってエアラインに乗らない時期で、150人乗りに近い飛行機に、確かその時乗客12人。「何言っているの。どこにでも座ったら」とスチワーデスが言ったのは至極当然。あのときの彼女の、ちょっと怒ったような目は今でも忘れない。私もその時は、「こりゃすまんことを聞いた」とあとで反省したのです。ははは。それは心和むひとときでもあったんですが。

 この夫妻は偉い。子供さんが3人もいらして、ダブルで勤労している。いろいろ苦労話もあったし、連携の話も聞いたし、ご馳走様でした。

2006年05月21日

 (24:25)土曜日とはうってかわって安定した、良い天気の日曜日。午前中に諏訪に移動して親父の一周忌。もう一年たったという気持ちと、まだ一年という気持ちが同居。

 大勢の人に集まってもらって、「こんな良い天気に、お気の毒」と少し思ってしまいました。まあでも皆さん、「お久しぶり...」とあちこちでご挨拶。亡くなった人が生きている人を引き合わせている構図。

 よくよく考えてみると、親父からはアイデアをもらったな、と。あまり喋らない人でしたが、喋ると価値ある事を言っていた気がする。「英語の教科書は声を出して読め」なんてのは、中学校の時に言われて「ああそうか」と思ってやってみたら、音がよく身体にしみたというか、言葉は発音だと本当に思いました。

 「諏訪には一揆がなかった」という高校時代に聞いた言葉は、そのまま私の最近の二冊の本(日本力上品で美しい国家)の「日本と祭り」の部分に生きている。彼は、「諏訪で一揆がなかったのは、城主から領民まで協力してやる御柱という祭りがあったからだ」という意見だった。

 二つの本で指摘したとおり、基本的には韓国(朝鮮半島)にも中国にも、日本人が年がら年中楽しんでいる形での祭りはない。お上が止めさせたのです。祭りは集まった群衆が手に鍬と鋤を持てば立派な反乱、一揆になりますから。大勢が集まり、盛り上がるのは体制にとって危険と、中国と朝鮮半島の支配者は考えた。

 江戸時代の日本は逆です。民衆の怒り、イライラはガス抜きした方が良い、民には楽しみを与えることが必要と考えた。江戸の花見どころなどは結構お殿様が民に楽しみを与えるためにと作っている。発想が違う。

 そういう意味では、「もうちょっと話を聞いておけば」なのですが、もう遅い。もっとも彼が書き残した文章は膨大にあり、それを読めばよいのですが、古文書解析ですからまだちょっと本格的に読む気はしない。まあかなり先の話です。

2006年05月21日

 (22:25)なんでそんなことに、とお思いでしょうが、この数日「調べなくては」と思っていたことがあるのです。それは、以下の漢字をどう読むか、そしてそれがどうしてそういう使われ方をしているのかでした。周りの人に聞いても、確信をもって答えられる人はいなかったので、ちょっと記録に残しておこうと。金曜日の、土曜日の車の中でそんな話をした。

 それは、清水國明さんの実のお姉さんがブックオフの社長になったことから来ている。何かというと、「実姉」と新聞には書いてある。しかし、テレビ、ラジオがそれを読むときは「実のお姉さん」と読むケースが多い。普通新聞の見出しはそのまま読むのに、なぜこの漢字はそのまま読まないのか。その前に「実姉」の読みは?というわけです。次の単語が一緒に疑問として出てきた。

 「実姉」
 「実妹」
 「義姉」
 「義妹」

 これに対応する男の場合の単語は、「実兄、実弟、義兄、義弟」で、これらは「じっけい、じってい、ぎけい、ぎてい」で、放送でもよく使うし、一般の人でも読み方はよく知っている。しかし、上の女性がらみの四つの単語の読み方は私も知らなかったし、私の身の回りの人も知らなかったか、確信がなかったか、そもそも使わない。上から読み方を書きます。

 「じっし」
 「じつまい」
 「ぎし」
 「ぎまい」

 です。ブックシェルフで調べました。簡単に出てきた。atok を使っている私のPC上で、その読み方で入れるとかなり上の選択順序で漢字が出てくる。それを見てちょっと恥ずかしくなったのですが、しかし一方で殆どの人が知らない、確信がないし、そもそもなぜあまり使わないのか、という疑問は残る。

 それがまだ分かっていません。女性はお嫁に行ってしまうと、実姉、実妹、義妹、義姉の関係が希薄になるかも知れないし(実兄、実弟、義弟、義兄よりは)、例えば「ぎし」「ぎまい」に至っては、普通の人が耳にしてもよくわからない、「じっし」「じつまい」もそういうところがあって、そもそも放送では読まないと言うことがあるのかも知れない。まあでも、ちょっと面白い問題なんですよ。

2006年05月20日

 (24:25)ほとんど笑えるような一日でした。本荘早稲田から乗った夕方の新幹線からは虹まで見えましたが、その前は虹どころではない。

 午前中は雨予想にもかかわらず強い日差しも出て夏のような半日。芝からの照り返しもあって顔は日焼けし、夜のテレビ東京さんの土曜版ワールドビジネスサテライトに行ったら、メークさんが「顔焼けてますね」と。

 午前中は暑かったがナイス。しかし、午後3時過ぎですかね、俄に空かき曇り、風の気配がしたと思ったら、もう都市型集中豪雨のような状況。雷は轟き、雨は横殴り。午前とは雲泥の差の午後。完全な嵐でした。東京も凄かったようですが、埼玉県も凄かった。

 ははは、さすがに直ちにやめましたよ。コンペの最中でしたが。15番を終わって、16番のグリーン上でギブアップ。10組のコンペだったのですが、一組はしばらくしぶとく避難小屋にいたらしいのですが(判断悪し、か)、あとの9組は直ちに撤収。当然ですよ、あの状況では。カートで避難したのですが、その避難走行はまるで嵐の中を突き進むといった展開でしたな。この車中避難は、ある意味で盛り上がった。横殴りの嵐の中で、体はびっしょりでしたがね。

 全員で、繰り返し「こんなことは初めて....」と。まあ共通体験が生まれましたから、試合は中途半端ですが、それなりにお風呂後のパーティーは盛り上がった。会社関係の各所属クラブの代表4人による対抗戦(上位3人の成績採用)。スポーツ精神で、ということで完全ノータッチ、ホールアウト方式。第二回ですが、「関西選抜」なるチームまでいて、なかなか大規模です。次、その次の開催地まで決まっている。各クラブの代表にならなければ、このコンペに出られないという厳しい大会。ははは。我がチームは前回は優勝、今回はがっくり落ちて7位。ははは。

 でも勉強になったな。関西選抜の目崎さんという方とご一緒したのですが、77のぞろ目がお歳。しかしゴルフは本当に凄いんですよ。飛ぶし、午前は45。4人の中でも44に次ぐ2位。私は中止になった午後はまずまずでしたが、午前はダメでしたから77才の方のプレーを感心して見ていました。私より遙かに回数が多いとはいえ、実に見ていてすがすがしいと思った。

 一つ後ろの組には「午前はワンオーバーで37、午後も15番までワンオーバー」という金子さんという方がいて、これも素晴らしい。私は目崎さん、金子さんとは一緒に仕事をしたことがないのですが(だいぶ先輩ですから)、鮮明に名前を覚えさせて頂きました。素晴らしい。ゴルフもそこまで行くと、一つの芸術。ハーフ37の金子さんに、今度一緒に回りたいとの希望を口にしたら、「いいですよ」と。楽しみ。うーん、教わっちゃおうかな。

 土曜版ワールドビジネスサテライトも今週は楽しかったな。スタジオ生のKeiko Leeさんの演奏と歌があって。エンディング・テーマの「誰よりも」の。初めてゆっくり聞きましたが、なかなか良い。ブルーノート(東京)に年に一回くらい出ていると。全国ツアーも開始するそうです。帰りにCDを一枚もらって、得した気分。

 私が今一番好きなジャズ・アルバムは、鈴木良雄さんの「Live@Body & Soul」で、その中で敢えて曲名を言うと「My Dear Friend」。店も好きですが。いかん放送で「西麻布の」と言ってしまった。あれは「南青山?」。本気で、「葬式にはこの曲をかけてもらおう」と思っているのですが(ははは、相当先?)、音楽を聴くときには必ずこのアルバムを一回は聴く。しかし全般にジャズ好き。番組で音楽が聴けるのはナイス。特集も面白かった。

2006年05月19日

 (04:25)昨日聞いた「へえ....」という話しを。個人情報保護法の関係というか、学校と子供を学校に出している両親との関係の変化というか。

  1. それを嫌がる親が増えて、学校の先生による家庭訪問がなくなりつつある

  2. 個人情報保護法施行以降、それを嫌がる親が増えていて、いわゆる連絡網がなくなりつつある
 我が家の子供は既に大きく、実際に自分の身の回りで起きた話しではありません。しかし、昨日銀座での録音のあとに軽く4人で飲んでいてそんな話しになった。このことを言い出した彼は、「自分のお母さんが先生、自分のお姉さんも先生」という先生一家。

 話を聞いていると、我々の時代には普通にあった家庭訪問は、特に個人情報保護法の施行以降、それを嫌がる親が増えて、その結果学校全体で「もうやめ」というところが出てきているという。

 まあ考えてみれば、御両親にしてみれば学校の家庭訪問というのは、「究極の個人情報の開示」とも言えるかもしれない。暮らし向きは分かるし、どこに住んでいるかも分かる。家庭訪問というのは、まさにそういう情報を集め、学校が当該の生徒の指導に生かせればという狙いで行われていた。しかしそれが「個人情報だ」と言われれば、学校として開示を強要できないということになるし、実際にそうなりつつあるというのです。しかしその場合には、学校の生徒に対する把握、指導などはどうなるのか。

 次に連絡網ですが、自分の頃を考えてみると、学校でも会社でも「クラス一覧表」「社員一覧表」のようなものがあって、住所はスペースの関係からか書いてあるモノと書いてないモノがあったが(書いてあったのが多かった)、必ず電話の一覧表があって、誰チャンの家は何番、というのが明確だった気がする。

 ところが今は、「電話番号は開示したくない」という親が増えているのだという。そういう親の電話番号を削除していくと、虫食いの一覧表になる。そのくらいならやめ、という方向に傾いているのだそうです。うーん、じゃ友達の家同士で何か緊急の連絡があったらどうするのか。

 そこで、学校がこういう方法で親と連絡をとっているケースがあるのだという。それは中学生はほぼ全員だが、小学生でも大体が携帯電話をもっていて、それにはメール機能も付いている。そこで、学校から親への連絡はそこに入れて、それで済まそうと。つまり子供というクッションを置いて、学校と親が情報を交換するという。

 しかしこれだと子供に親と学校がどう連絡をとっているのか、何を連絡をとっているのかが明確になってしまう。「本当にそれでいいのかな」と思ってしまう。親御さんの方針で、「子供にはケイタイは持たせない」という家庭も、それほど多くはないかもしれないがあるのでしょう。それはそれで立派な哲学だと思う。そしたら、学校とその子の家との連絡はどうするのか。

 何かの記事を読んでいて、その記事には「個人情報保護法」という名前が良くない。「個人情報取り扱い法」が良いのでは、と書いてあった。試行錯誤なのは分かるが、今はやや混乱が多すぎるし、方向が間違っているケースもあると思う。

2006年05月18日

 (12:25)前場が終わった段階ですが、ニューヨーク安を受けて東京の株もよう下げましたな。ニューヨーク株の下げは、先週の水曜日から見るとダウで3.8%に達したという。短期間としては足が速い。ウォール・ストリート・ジャーナルの書き出しは、この一週間の環境激変を反映して「investors have had to replace their party hats with hard hats」となっている。「hard hats」とは天候が悪いときの帽子ということか。確かに。

 ニューヨークの下げの解説としては、米4月CPIが、特にコアの部分で予想を上回る上昇となって、「6月のFOMC(28〜29だったと思った)でも、利上げがあるのではないか」との見方が強まったことと書いてある。しかしもっと言えば、「(アメリカでの)インフレ懸念」が一気に強まったことでしょう。CPI指数の上昇そのものは、全体が0.6%、コアが0.3%。全体は予想通りだが、コアが予想の0.2%を上回ったというもの。

 まあこれは後付け的な理由に聞こえる。高い水準が続いたアメリカの株が新たな高値を目指すには材料不足だったのに、先週半ばまでのニューヨーク株式市場は半ばチャンレンジ的に上値を試した。そのツケが回ってきている印象がする。

 東京の木曜日の株価も、前場終わった段階で日経平均が16000円を割った水準。まあ私は年初のテレビの番組で、「今年の日経平均の高値は17500円」と言った人間ですから、上値が重くなると思っていたことは確かですが、それでもちょっとニューヨークに振られすぎという印象もする。

 今の世界経済を見ると、アジアを中心に非常に強い。確かに原油価格の上昇が景気の足枷になりそうな状況はありますが、70年代のようなインパクトはない。上がりすぎたものはいつかは落ちてくるのだから、それほど心配しなくてもよいと思うが、まあ市場というものは常に何かを懸念しているモノだから、動きとしては増幅される。

 本当にこれから議論しなければならないのは、「世界の金利はどの程度まで上がるのか」です。先週だったかこの問題に興味がある人々と話しをしたのですが、結論から言うと「70年代の末から80年代の初めにかけてのようなことはないだろう」という合意が出来ました。あとあと考えてみて、「あの時期は異常だった」と結論できるのではないか、と。

 とすれば、今の世界的な株の崩れはそれほどファンダメンタルズ的な欠陥をもったものではない、と理解できる。相場を乗り切れる人は臍曲がりが多いのですが、昼の松井証券の手口を聞いていると、結構その傾向が出ている。ここからは、興味深い展開が続きそうだ。

2006年05月17日

 (08:25)ははは、懐かしい一日でした。生まれた家がそうですね10メートルくらいしか離れていない、祖先は一緒だったことが分かっている小学校、中学校の同期と待ち合わせ。彼は高校を出てずっと大阪で暮らし、アルミサッシの会社を大阪の平野区でやっている。40年ぶり ?

 ちっとも変わっていませんでしたね。彼の家は男4人兄弟。彼の子供も男二人。「お宅は男しか生まれないんじゃないの.....」から始まって、いろいろな話をしました。アルミサッシの業界に起こっていること、田舎の彼の両親の話、こっちの両親の話。お互いの仕事の話。

 彼の両親はめっちゃ元気なんですよ。親父さんなんかはもう90を超えている。お袋さんも87くらい。私も帰ると必ず寄るのですが、特に親父さんは話し好きで、「おお来たか」と話しを始め、放してくれない。帰るたびに「すごいな」と思う。今でもスクーターに乗って移動する。私は親父を去年なくしましたから、血が繋がっていることもあって彼の親父を見るたびに懐かしくなる。

 今は親の商売を手伝っている彼の次男の方も一緒に来て、先祖をたどれば血が繋がった3人で天神橋筋のあの長い商店街の一つの店(関テレの直ぐ近くで、「一富士」とか言ったな)で軽くやった後、北新地のテーブルマジックの店に。あともう一軒。ははは、ちょっと飲み過ぎ。彼にはこれからも元気で活躍して欲しい。奥さんは沖縄の人だとか。そういえば御次男の顔はちょっとその雰囲気があった。
 ――――――――――――――
 移動の際にタクシーを使い、3人で運転手さんと話していたら、えらく怒っていたな。「経営者がアホなんですよ・・・・」と。いえ、大阪のタクシー戦争の話。昨年のNHKの番組をこの運転手さんも見たのだそうです。

 大阪のタクシー事情はちっともよくなっていないそうで、大阪の景気そのものはかなり良くなってきている中で、どうやったら明るさが見えてくるのか。増車が続いていますから。そこで働く人には、深刻な問題です。

2006年05月16日

 (00:25)「これってチラリズム」って感じですな。中国の人民元操作です。どう考えてもアメリカが操作国に指定しなかったのが不自然。

 日本の新聞もそうですが、月曜日の上海市場の値決めで、1ドル=7.9976元で取引を開始。8.0000は心理的に重要ラインでしたから、それを突破したということで「中国は人民元のより速い切り上げペースを容認」と大きく扱った。夕刊一面トップのところもあった。

 ところが、ちらっと7元台を見せただけで、中国は引けでは 8.0040元に人民元相場を戻してしまった。これは金曜日の引けの8.0061よりは元高だが、まあカタツムリの歩み。ウォール・ストリート・ジャーナルには

Economists had predicted that a decision last week by the U.S. Treasury Department not to label China a currency manipulator would make it politically possible for China to resume a steady currency appreciation that had stalled in April. That is because Chinese leaders don't want to be seen as bowing to Washington. U.S. politicians have accused Beijing of artificially keeping the value of its currency low against the dollar to make Chinese exports cheaper in the U.S. and U.S. exports more expensive in China.
 と書いてあるが、だからといって米財務省は中国のチラリズムに満足しているわけではないでしょう。中国の切り上げペースは、加速とかなんとか言っても、年間3%といったところでしょう。対して日本の円はこの数週間だけで9%は切り上がった。中国の言いたい柔軟性は、他の諸国の言うところの柔軟性とは全く異質のものである。一党独裁的柔軟性と言うべきか。

2006年05月15日

 (17:25)あらら、上品で美しい国家は初版1万部で4月末に発売されたばかりなのに、もう2刷りで3000部の増刷がきまったのだそうです。今日出版社から連絡があった。

 なかなか好調ですな。その間には連休がありますから、実質的に一週間くらいのウリでそれだけ買って頂けたということでしょうか。出版社にも在庫がない状態で、この方には送りたいという方にも贈れていないのです。リストは出版社には送ってあるのですが。私の家にもまとまった冊数を送って欲しいと言っているのに、送ってもらえない。まあうれしい悲鳴と言えば言えるのですが。

 ところで、サッカーでも通称専門家と言われる人の見解が外れることがあるんだ、と。 先週末からサッカー番組は「ドイツ・ワールドカップには誰が」という番組をずっとやっていて、その中には「この面子だけは当確」という見方を多くの方が披露。見ていて、「ああそうなんだ」と。

 確実に名前が挙がっていたのが、フォワードの一角としての久保。ジーコ・ジャパンになってもっとも点をゲットしている(8点でしたっけ)選手ですから、専門家の見方もそういうことになったのでしょう。しかしジーコ監督の口からは彼の名前はメンバー発表の際には出てこず、メンバーから外れた。本人はショックでしょうな。でも理由を聞いたら、納得できた。体調が悪いと。

 ジーコ・ジャパンの直前の2試合を見ていると、「決定力不足」の感が否めない。週末の試合だって勝てていたのに。イライラする。しかし、ジーコや中田は結構自信があるような雰囲気が伝わってくる。スポーツ紙などの報道によると。冬のオリンピックのハーフパイプのような自信じゃないだろうな、という懸念もあるのですが、まあここは期待し、そして応援しましょう。

 オーストラリアに初戦で勝てるかどうか、でしょうな。まず関門は。ここで勝ち点3がゲットできれば、あとは展望が開ける。負ければ厳しい。「世界を驚かす」というジーコ監督のキャッチフレーズが、その通りであることを.......

2006年05月13日

 (23:25)雨の中行軍を終えて帰ってきてちょっとウォール・ストリート・ジャーナルのサイトを見たら、

U.S. Goes Along With Dollar's Fall to Ease Trade Gap

Quiet Acquiescence Holds
Possible Risks for Economy;
Surge in Exports in March

 という記事が。それを読みながら、「今外国為替市場で進行している事態に対する、これがアメリカ政府の本音なんだろうな」と。対人民元以外では特に壮大な戦略があるわけではない。しかし、ちょっとその方向を願っている、という感じの。

 何で願うのか。やはり根本にあるのは、保守主義が基本のブッシュ政権の閣僚達、特に企業経営をしたことのあるスノー財務長官には、アメリカの二つの巨額の赤字は不健全だと思っている、ということでしょう。だからやはり責任感から言っても、「減らしたい」と思っている。しかし、貿易収支で言うと、産業構造に手を付けることはしない。企業に製品を優れたモノにしろとも言えない。出てくるのは、「為替相場の水準がきつい」という発想です。ウォール・ストリート・ジャーナルの記事の第一パラは以下の通りです。

WASHINGTON -- The Bush administration is quietly acquiescing in the dollar's recent slide, a potentially risky approach but one it hopes may gently narrow the yawning U.S. trade gap by realigning world currencies.
 「acquiescing」というのは、「acquiesce」の現在進行形です。ブックシェルフによれば、その意味は「曠昿《形式》(…を)黙認する,(…に)おとなしく従う,黙従する,(要求などに)折れる,屈服する;(…に)(消極的に)同意する《 in, to... 》 The people 〜d in the President's decisions.  国民は大統領の決定にいやいやながらも同意した.」としばしば「in」を伴って使われる。つまり、リスクがあるから好ましくないと言う面は認めながら、「進んでくれるならそれでいい」という受容です。今の段階では、「止める意志はアメリカにはない」ということ。スノーは谷垣にそう電話したのかも知れない。この記事を読み進むと、以下のような文章も出てくる。
Treasury Secretary John Snow and other members of President Bush's economic team see continued dollar weakness -- combined with stronger economic growth abroad -- helping curb the trade deficit, according to people familiar with the administration's thinking.

"If we're going to get our trade deficit down to manageable proportions, it's hard to see how that could happen without a very substantial depreciation of the dollar, and that means against most currencies," says Princeton University economist Alan Blinder, a former vice chairman of the Federal Reserve Board.

 「without a very substantial depreciation of the dollar」がスノーの考え方かどうかはつまびらかではない。しかし、スノーも、もしかしたらブッシュも「ちょっとドル安は必要」と考えているのでしょう。発想の原点は、議会受けもする「人民元改革=大幅な人民元の切り上げ」ですが、それはちっとも進んでいない。なぜか中国に対する為替操作国の認定も見送った。人民元が切り上がらなくドルの事実上依然としてペッグしているので、日本円や韓国ウォンに対する人民元レートは、ここに来て大幅に切り下がってきている。奇妙な現象だ。

 基本的にはブッシュ政権はクリントンがプロ・ウォール・ストリートだったのに対して、プロ・メイン・ストリートに見える。ドル安は明らかにウォール街にとって好ましくない。先週の週末二日間にニューヨークの株価がどうなったかがそれを示している。ダウはほぼ史上最高値の水準から、わずか二日で262ドルも下がった。

 ドル安が大きな背景として取り上げられてはいないが、ドル安が一段と米金利の上昇懸念を強めていることは明らかである。ドル安懸念があるなかでは、アメリカの中央銀行は自国への資金の流入を促すためには金利を上げざるを得ない、と考えることが可能だ。また世界の投資家は米投資市場により高い利回りを要求する。

 よって金曜日の米債券市場を見ると、株がこれだけ下がっていれば「flight to quality」の動きもあって債券は買われても良いはずなのに売られて、指標10年債の利回りは5.19%と木曜日の5.162%から大幅に上昇している。この5.19%という指標10年債の利回りは、ウォール・ストリート・ジャーナルによれば「過去4年で最高」ということになる。つまり、金曜日のニューヨーク市場の状況は「トリプル安」だった。

 「ドル安には口を噤んでおこう」というアメリカ政府の立場をある意味で支援しているのは、3月の貿易収支の大幅な改善である。ドル安傾向は4月のG7から顕著になったように見えるが、じつはその前から進行していた。そのドル安がアメリカの貿易収支の3月の改善に多いに役だったという見方である。3月の米貿易赤字は、620億ドルで予想を大きく下回った。輸出が伸びたのだ。

 「口を噤んでおこう」というような後ろめたい政策は、あまり成功しない。こういう観測が強まれば強まるほど、ドル安には加速がかかり、ニューヨーク市場のトリプル安現象は進行すると考える。よってこの問題の着地は、トリプル安がやや深刻になって、今年になって私の記憶では一度も言ってない「強いドルはアメリカの権益」とスノーが言ったときに一段階だと思う。もっとも、それでドルが止まるのかどうかは分からない。

 まあ今の状況で難しい立場に立つのは中央銀行です。円が切り上がっている現状では、日本銀行はなかなかゼロ金利解除に動けない。一方でFRBは利上げを打ち止めるのが難しくなって、overkill の懸念さえ出てくる。もっとも、今のアメリカは「インフレ懸念台頭の最中」にある。この週末に、アメリカのメディアの「inflation fear」という単語の出現率が高くなっているのが気になる。原油も、金も、そして銅も高い。時代風景は急速に変わりつつある。デフレからインフレに。

2006年05月12日

 (26:25)松井の回復は、彼の基礎体力から言って、普通の人間よりちょっと早いかもな....なんて考えてます。とにかく横に立つと、「別の人種か」と思うほどでかい。実に頑丈そうな男でした。頭もでかい。

3年ほど前ですかね、番組のインタビューで  打撃がそれほど好調とは言えないときに起きた事故ということでこじつけに聞こえるかも知れなませんが、僕は今の松井は心技体のどの面においても万全ではなく、少し体の切れがなかったと思う。好きで見られる試合は全部見ているから、例えば去年の表情などと比較して。それが、判断力、芝生につっこむときの姿勢などで、やや結果的に不注意な方向に最後の最後に判断が向いたのかも知れない、とも思う。

 それが何だったのかは分からない。ヤンキースというチームにいることの飽きだったのかも知れないし、WBCに出なかったことの反省かも知れないし、また「そろそろ結婚しなきゃな」と思っているかも。プライベートで何かあったのかも知れない。

 ま、いずれにせよ、怪我はしてしまった。連続試合出場も途切れた。少なくとも2〜3ヶ月は試合がない、というか出られない。これは私のずっと前からの意見だが、松井は結婚すべきだと思う。また精神状態が違ってくるのだから。もし飽きがあるとしたら、それが変わる可能性がある。

 ところで、ウォール・ストリート・ジャーナルに面白い記事が見つけました。シェフィールドに続いての松井のダウン。「ヤンキースはリグループが必要」と。デーモン、バーニーでは弱肩コンビでいかにも不安。クロスビーもカブレーラも頼りない。カブレーラのあの外野守備では。どうするんでしょうか。

 この記事が面白いのは、「ヤンキースのファンが切れやすくなっている」という内容。皆さんはどう思いますか。

Injury to Matsui Leaves Yankees
Scrambling to Fill Outfield Slots

The New York Yankees caught a bad break last night against the Boston Red Sox: In the first inning, left fielder Hideki Matsui dove for a ball, rolling over on his left wrist in one of those look-away-and-wince sports moments. Mr. Matsui -- who had played in 518 consecutive big-league games, and 1,250 straight in Japan before that -- fractured the wrist and could be out for the rest of the year. (The Bosox won the game, 5-3, and took the series, two games to one.)

The Yankees are already without right fielder Gary Sheffield; for a while they'll have to get by with two weak-armed defenders (Johnny Damon and Bernie Williams), supplemented in various ways by Melky Cabrera and Bubba Crosby.

"We have grown so accustomed to their adaptability through the years, it is shocking to see what happens when the Yankees slowly start to burst their inseams," muses Mike Vaccaro in the New York Post. "Players have been hurt before. The DL has been crowded before. The Yankee hallmark has always been a shrugged set of shoulders and rapid-fire resilience. Now, we get to see if this edition of the Yankees wears a similar cloak of invincibility."

And there's another factor, Mr. Vaccaro writes: "The Stadium faithful have grown testy even by their legendarily impatient standards. They booed Alex Rodriguez. They booed [Shawn] Chacon. They booed each of the parade of pitchers Joe Torre shuttled in during a sixth inning that seemed to take three weeks to play. They even started to boo [Mariano] Rivera in the ninth, before thinking better of it. It ain't friendly out there. They'd boo free pie."

Which leads Dan Shanoff, author of ESPN.com's always-superb Daily Quickie, to propose something fiendishly logical (if you're not a Yankee fan, you might prefer "logically fiendish"): "The Yankees should try to trade for Barry Bonds."

 ところで日本の話ですが、交流戦が始まったというのに休場に足を運ぶファンの数をちらっと見ると、結構少ないですね。ちょっと心配。

2006年05月11日

 (13:25)米東部時間の10日、FOMC声明発表後に公表された国際経済・為替レート政策に関する議会への報告(通称・米財務省外国為替報告書)を見ながら、つい「そりゃないだろう」と言ってしまいました。以下のパラグラフの中の、特に下線の部分です。

「This report expresses particular concern about the international economic and exchange rate policies of China and reaches the central conclusion that far too little progress has been made in introducing exchange rate flexibility for the renminbi. In the final analysis, however, the Treasury Department is unable to determine, from the evidence at hand, that China’s foreign exchange system was operated during the last half of 2005 for the purpose (i.e., with the intent) of preventing adjustments in China’s balance of payments or gaining China an unfair competitive advantage in international trade.」
 私の友人で人民元の各国通貨に対する値動きを詳細に追っている方がいるのですが、その人の報告によると最近の人民元の対ドルレートは「0」とか「5」で終わるケースが多いという。「とても偶然とは思えない」と。

 円やウォンなどのアジア通貨は、このところ対ドルでの切り上がりペースが速い。円は120円近かったのが最近では110円台がある。相当な円高ペースだ。

 ところが1ドル=7元の大台に入ると思われていた人民元は、このところずっと対ドルでの横這いが続いている。何が起きているかと言えば、人民元は日本円、韓国ウォンなどアジア通貨に対しては下落しているという事態が起きている。

 国際社会が一致して「切り上げ」の方向にある通貨が、実際には貿易加重平均では切り下がっているという現実。議会の与野党から不満の声が出たのは自然だ。「証拠がない」と言ってしまったのだから、米財務省は中国を為替操作国には認定できない。その後の報告書を読み進むと、中国はあれをしているこれをしているという一応の評価のポイントが9つも並んでいる。

 ここまで来ると、「ではなぜ米財務省は、中国の為替操作国認定を見送ったのか」という問題が浮かんでくる。前回言われたことは、「政府がそういう認定をすると議会の保護貿易主義に歯止めをかけられなくなる」というのがあった。しかしそうだろうか、と私など思う。認定しないことによって、国内の不満が高まる可能性もあると思う。

 ブッシュ・胡錦濤の前回のサミットで、握りがあったのではないかという見方も出来る。例えばボーイングを何機買うとか、北朝鮮問題で中国が何らかの役割を果たすとか、我々が知らない国での取引など。しかし今のところ見えてこない。

 1兆ドルもの世界最大の外貨準備を持ち、巨額の貿易黒字を出している中国はいずれ自国通貨の切り上げに追い込まれていくのでしょう。しかしそれに時間がかかりすぎているように思う。

 報告書は、まだサマリーしか読んでない。しかしその中にも、「shared responsibility」といった最近スノーがよく使う単語が出てきている。アメリカの対外収支動向についてのアメリカの基本的な考え方をチェックする意味でも、後で全文を読んでおこうと思う。

2006年05月11日

 (12:25)新聞記事を見ながら、「日本を含めて北東アジアの国はみな人口で苦労しているな....」と。その記事とは、ジャパン・タイムズに載っていた「Putin unveils plan to stem Russian birth rate crisis」。

 ロシアの人口が既に減少しているというのは知っていました。特に男性の平均寿命が低いというのも知っていた。しかし改めて統計を見て驚いたし、あのプーチンが「人口減少は、今のロシアが直面するもっとも深刻な問題」というのも頷けた。

 この記事によると、日本の人口が減少し始めたのは去年ですが、ロシアでは1993年から人口減少が始まっているという。それから今までの12年間で減少した人口は580万人。減少ペースは現在では年間70万人に達しているという。

 ロシアの人口は現在1億4300万人。1億2648万人だったかの日本とそれほど変わらない。減少ペースは日本が数万人のペースに対してロシアは70万人だから、そのうちロシアの人口は日本を下回るかもしれない。対して今のアメリカの人口は、2億9640万人だと思った。アメリカは今年11月頃には「人口3億人の国」になる。

 「今のまま人口が減少すれば、ロシアは国境も守れなくなる」と警告する向きもあるという。まあそうかもしれない。ちょっと数字を並べると驚く。ロシアの平均寿命は、男性が58才、女性が72才。男性の58は異常に低い。女性も、日本の女性の平均寿命より10才も低い。

 その理由が驚く。この記事には、「アルコール中毒、喫煙、暴力、低栄養摂取、交通事故」と並べてある。随分日本の死亡原因と違う。そこにプーチンが打ち出した方針は

  1. 生存率(mortality rate)の引き上げ(長生きさせる)
  2. 出生率の引き上げ
  3. 有効な移民政策
 だという。最後の移民とは、旧ソ連邦諸国に住んでいるロシア人を、ロシアに引き戻すことだという。プーチンは財政も使うと述べている。石油価格高騰の中で潤沢になった国家資金から、「state child benefit payments」(子供支援金とでも訳すのでしょうか)として第一子には18ヶ月まで毎月6000円ほど(今までは3000円ほど)、第二子に関しては同毎月1万2000円を拠出するという。

 でもどうですかね。この程度のお金で、ロシアの女性が喜んで子供を産みますかね。ロシアの男性がアルコールとたばこを手放すとも思えない。なかなか難しいのでは。そういえば先週でしたか、韓国の出生率が1.06に低下したというニュースがあった。

2006年05月10日

 (27:25)FOMC声明が発表されて直ぐ読んだ印象を言うと、「そうとしか言いようがないよな.....」というものである。今年これまでの景気は強いが、これからは住宅市場の徐々なるクーリングと金利引き上げの時間差効果で景気は持続可能なレベルに鈍化する。インフレはまだ落ち着いているが、エネルギーやその他商品価格の水準上昇によってインフレ圧力が高まる可能性がある....。まあそれ以上言えないでしょう。

 市場が一番注目した「今後も利上げは続くのか」という点については、「どちらかと言えば続く可能性があること」を示唆した声明文に読める。下線を引いた部分で「some further policy firming may yet be needed to address inflation risks 」とまず述べている。

 しかしその直後に「but emphasizes that the extent and timing of any such firming will depend importantly on the evolution of the economic outlook as implied by incoming information. 」とも記述。「may yet be needed」というのがいかにも考えた表現でいい。「yet」は前回の声明にはない単語だ。

 上げるかもしれないが、一ヶ月半以上先のことは今からは言えない、とFOMCは言っている。そりゃそうだ。次のFOMCは6月28、29の両日で、それまでに出てくる各種指標を市場は「よって利上げ打ち止め」「よって利上げ継続」と議論するのでしょう。

 しかし一つ明らかなのは、アメリカの金利はまだ「下げ」の局面にはなっていない、ということです。休止したとしても、その後はまた上げになる可能性が強い。FOMCには、「any such firming」と書いてある。その基本認識が必要なのだと思う。以下に、FOMC声明文の全文を掲載します。今回の0.25%の利上げで、アメリカのFF金利誘導目標はきりのいい5.0%になった。

Release Date: May 10, 2006

For immediate release

The Federal Open Market Committee decided today to raise its target for the federal funds rate by 25 basis points to 5 percent.

Economic growth has been quite strong so far this year. The Committee sees growth as likely to moderate to a more sustainable pace, partly reflecting a gradual cooling of the housing market and the lagged effects of increases in interest rates and energy prices.

As yet, the run-up in the prices of energy and other commodities appears to have had only a modest effect on core inflation, ongoing productivity gains have helped to hold the growth of unit labor costs in check, and inflation expectations remain contained. Still, possible increases in resource utilization, in combination with the elevated prices of energy and other commodities, have the potential to add to inflation pressures.

The Committee judges that some further policy firming may yet be needed to address inflation risks but emphasizes that the extent and timing of any such firming will depend importantly on the evolution of the economic outlook as implied by incoming information. In any event, the Committee will respond to changes in economic prospects as needed to support the attainment of its objectives.

Voting for the FOMC monetary policy action were: Ben S. Bernanke, Chairman; Timothy F. Geithner, Vice Chairman; Susan S. Bies; Jack Guynn; Donald L. Kohn; Randall S. Kroszner; Jeffrey M. Lacker; Mark W. Olson; Sandra Pianalto; Kevin M. Warsh; and Janet L. Yellen.

In a related action, the Board of Governors unanimously approved a 25-basis-point increase in the discount rate to 6 percent. In taking this action, the Board approved the requests submitted by the Boards of Directors of the Federal Reserve Banks of Boston, New York, Philadelphia, Cleveland, Richmond, Atlanta, Chicago, St. Louis, Minneapolis, Dallas, and San Francisco.

2006年05月09日

 (25:35)ネットを見ながら、「そりゃそうだろう」と。

 私のPCの中にはipod に音楽やpodcastを入れるためのitunes が入っている。そして同じような機能を持つSonicstageも入っている。あの香水瓶のようなネットワーク・ウォークマンを音楽持ち運び用に持っているからである。持ち運び用にはソニーのマシンの方が軽くて便利だ。

 しかしいつもどうにかならないかと思っていたのは、itunes と Sonicstageの両方に音楽を入れようとしたら、まったくばからしいことにCDを二回PCのDVD-RAMドライブに入れて二つのソフト(アップルとソニー)用に音楽を振り分けねばならないことだ。またネットで購入するためには、二回購入する必要があった。それはないだろう、とずっと思っていたのです。「どっちか妥協したら...」と。

 ニュースの内容は、ソニーがやっとアップルの音楽圧縮方式にも対応させる、というもの。それによると、CDからitunes に取り込んだ音楽を簡単にウォークマンAシリーズのハードディスク駆動装置搭載機種に転送して聞けるようになるという。その為にソニーは今月25日からインターネットを通じて音楽管理ソフトSonicstage CP の無料提供を始めるという。

 大体がデジタル技術は壁崩しの技術なのに、Windows だアップルだ、AAC(アップルの音楽圧縮方式)だATRAC(ソニーのそれ)だと囲い込みに走っているのが悪い。技術の特性を無駄にしている。PCのOSではアップルがWindowsに折れた。

 だから思う。ANAとJALはポイントカードを一緒にしろと。航空機をよく利用する我々に、二枚ものカードを持たせ続けるのは横暴だと思う。早く改善して欲しい。

2006年05月08日

 (25:35)ネットを巡回していたらサンケイ新聞のサイトだと思ったのですが、「韓国の出生率、過去最低の1.08」というのに遭遇。うーん、これは何千万という人口を抱える国としては世界最低ではないですかね。日本は確か1.288。

 私が記憶している韓国の出生率は1.16だった。今回それを0.08も下回った。教育熱心な国民性で教育費が高いので「子供を産めない」というのが一番の理由らしいが、それにしても年間43万8000人しか生まれていないそうで、これは10年前より4割の減少だという。
 ――――――――――
 ところで、今時間を見つけては「マオ 誰も知らなかった毛沢東」を時間があれば読んでいる。分厚く、持ち運ぶのに苦労するが、読み始めたら止まらない。これが全巻だと思ったら、「上」とある。ということは、「下」があるということ。ちょっと恐ろしいが、まあそれほど苦労しないで読める感じ。

 歴史上の英雄も近くで見ればただの嫌な親父、ということは良くある。歴史上の人物が、見方によって大きく変わる。しかし、一国の紙幣がすべてその人である国の象徴の話となるとちょっと違う。中国は困っているでしょうな。確か彼の国では禁書?

 まだ読み始めで全体の事は言えないが、中国の革命を率いたと言われる毛沢東の実像をえぐり出して余りある本だと思う。今までのところで印象に残ったのは、「毛沢東も北朝鮮の金日成と同じように、ソ連の強い影響下にあったんだ」ということと、「毛沢東という人間が持つ加虐的な性格」の二つかな。

 これは60年代の文化大革命の性格を論じる上で非常に重要な点だと思う。むろんまだそこまで読み進んでいませんが。もうちょっと読み進んだらまた書きます。

 ところで、「上品で美しい国家」の売れ行きはすこぶる良いようで、ビジネス書のベストテンに入っている書店もあるようです。都内の大きな書店には私も行きましたが、一番良いところに並んでいる。多くの人に読んで頂きたいと思っています。

 出版社にも既に在庫がなくなったようで、増刷と言うことになりそうです。

2006年05月07日

 (24:35)夜何気なしに12チャンネルで東京ドームの巨人戦(対ヤクルト)の試合を見ているときでした。確か久保が救援で出てきたときに、「今季既に8ホールドを記録」と画面に。ははは、今の今まで全く知りませんでした。「ホールド」なんて単位があることを。

 出てきた瞬間に、「ああ、救援投手をプラス評価する尺度だな」と思いました。というのは、救援投手というのはよほど運に恵まれないと勝ち投手にはなれない。といって、セーブが付くわけでもない。何かの評価基準が必要だと思っていたのです。ところが、ホールドという単位があった。ネットで調べたら次のような基準だと分かった。

  1. 先発投手、勝利投手、敗戦投手、セーブ投手ではない
  2. 自チーム最終守備イニングの3アウト目を取った投手ではない
  3. 1アウト以上を取る
  4. 走者を残して降板した後、その走者が同点または逆転の走者としてホームインしていない
 以上4つの共通条件を満たした投手のうち、以下のいずれかを満たした投手にホールドが記録される。
  1. 自チームがリードしている状況で登板し、以下のいずれかの条件を満たしリードを保ったまま降板する(セーブの条件に準じる)
    1. 3点以内リードの場面で登板し1イニング以上登板
    2. 迎える2打者に連続ホームランを打たれたら同点または逆転される場面での登板
    3. 点差に関わりなくリードした状況で3イニングス以上登板
  2. 同点の状況で登板し、以下のいずれかの条件を満たして降板する
    1. 同点のまま失点を許さずに降板する(自責点が0であっても失点すれば成立しない)
    2. 登板中に自チームが勝ち越した場合、リードを保って降板する
    3. 2004年まで運用された旧規定のホールドとは別扱いで記録される。
 ということは、勝利投手もセーブ投手も一試合一人ですが、ホールドは複数人いてもおかしくない、ということです。ホールドとは、英語では「hold」で、「踏ん張る」。「hold on」は「頑張る」ですから、意味は通じる。

 ホールドと似た単位で、「ホールドポイント」というのがある。これは「ホールドと救援勝利」の合計で、では「救援勝利」とは何かというと、「同点またはリードを許した状況で投手交代し、その後味方打線の援護によって勝ち越し・逆転勝利を飾った時に守備についていた投手に記録(勝利投手として1勝)される」となる。

 このホールドポイントを基準に決められるのが、「最優秀中継ぎ投手(さいゆうしゅうなかつぎとうしゅ)」で、これは聞いたことがあるプロ野球のタイトルの一つ。まあ先発を受けて抑えまでのつなぎを行う救援専門のピッチャー(通称セットアッパーと呼ばれる)には、励みになる賞ですな。

 しかし、ホールドは日常的に評価される単位ではないようです。なぜなら、新聞の野球欄に掲載されている試合結果を見ても、「ホールド」なんて表記はどこにもない。まあでも、覚えておいてもいいかなという感じ。

 ところで、同じテレビ番組ですが、NHKの「プラネット・アース」を見ました。確かに綺麗だし、良く記録したという映像がたっぷり。あと数日続くという。楽しみ。まあ第一回はちょっと総花的でしたが。あの熊の親子はちゃんと餌を取れたのか...なんて思いました。

2006年05月06日

 (11:35)あらら、土曜日の東京新聞紙面用にコラムを送っていたので新聞を楽しみにしていたら、郵便受けに何もなし。そう言えば新聞休刊日でした。日本は新聞の休みが多い。

 ところで、見ているだけで目がしょぼしょぼしてきそうな映画を見ました。テーマは非常に今日的な意味合いを持つ問題ですが、とにかくあの煙が印象に残って、「当時は番組の中でも煙草を吸っていたのか」と改めて思う。最初から最後まで煙草の煙りが印象に残る映画。まあ番組のスポンサーがケントですから。

 ジョージ・クルーニーは、この調子だと何かの賞は取りそうですな。白黒の、当時の時代背景をよく表す映画に仕上がっている。そして残っている当時の実録フィルムをふんだんに使って、ドキュメントタッチに仕上がっている。

 いつの時代にも、その時に趨勢となりつつある意見に異を唱えるのは、周到な準備と勇気が必要だと分かる。しかし多分、彼の放送がマッカーシーに対する世論の方向を変える役割を果たした事実から見ても、エド・マローの放送はマッカーシーという人間の胡散臭さと、議会の公聴会をまるで裁判所のように使うという舞台装置のまやかし、それに対して盛り上がりつつあった国民の間の反感を十分に見切ったものだったのでしょう。そこに番組と彼の勇気がアドオンされた。

 目はしょぼしょぼするが、頭はスッキリする映画です。

2006年05月05日

 (11:35)番組の出番を終えて局でメジャー・リーグを見始めたら暫くして松井の打席。昨日の打席が2安打ながら良い当たりが多かったので期待していたら、内角の玉を引っ張って低いライナー。「おお、入る」と思ったら、ポール際に。久しぶりですな。約一ヶ月ぶり。最後が4月8日。

 去年のような長期不調にならなくて良かったな、と。最後の2打席はちょっと問題が残る当たりでしたが、最初の3打席は良い当たりだった。調子は上向きと思う。まあそろそろ打撃が上がり調子になってくれないと。

 ところで続いて野球の話しですが、今朝は新聞を見ていて驚くべき数字を見つけました。それは横浜の勝率。これが楽天の勝率を下回っていることに気が付いた。なんと横浜の勝率は7勝18敗で.280。対して楽天の勝率は9勝22敗で.290。ははは、横浜の勝率が楽天を下回っているとは。

 横浜は去年は3位とまずまずの調子だったから、今年は厳しい。どうする、牛島監督。

2006年05月02日

 (23:35)火曜日の昼頃「ちょっと混んでいるのかな」と思いながら新幹線で大阪に移動するために乗ったら、ガラガラ。ほんとうに。まったく予想が外れ。

 車掌さんに、「えらく空いてますね」と言ったら、「今日の夕方からですかね」と。まあそうなんでしょうね。新幹線にとっても連休は稼ぎ時の筈。人ごとながら、もうちょっと乗っていないと、と思ったり。

 毎週関西に来るようになって、電車などに盛んに乗るようになって、「やっぱりちょっと違うな....」と。何かこう臭いというか。この違いがいい。この違いの秘密を見つけたいな、と。

2006年05月01日

 (23:35)為替がなかなか面白い展開だ。今のニューヨーク市場は112円台。事の始まりは、「何もない」と思われていたワシントンでの21日のG7が実は最近になく「仕掛け的な会合だったのではないか」と思われたことから出発している。その間の私なりの解釈についてはこのコーナーの先週と今週の号に書いたのだが、それでも結構書き足りないことがある。ポイントを列挙すると以下のようになる。

  1. G7の直前のワシントン・ポストへの寄稿やG7声明で付属文書を出したことでも分かるとおり、アメリカ、特にスノー財務長官は増え続けるアメリカの経常収支赤字に対して強い懸念を表明しようとした(責任者としての責任感かな....)

  2. そうすることによって、アメリカにとって目障りな国の通貨である中国の人民元を切り上げに追い込み、アメリカの赤字削減(ごくわずかだが)と議会の対中不満解消を狙った

  3. その枠組みとして、IMFという中国も加盟するが、アメリカが強い影響力を持つ国際機関に、対外収支不均衡と通貨調整に関して「multilateral surveillance」(多国間監視機能)を持たせようとした
 という構図です。日本ではこの付属文書の「We recognized the important contribution that the IMF can make to multilateral surveillance.」という最後の文章に注目した人は少なかった。実はこの点が重要だったのですが、とにかく「ああ、アメリカが久しぶりに自国の経常収支赤字に代表される世界的な不均衡問題に真剣なまなざしを向けた」ということは、市場の人間にも分かったし、実際にそれ以降の外国為替市場ではジリジリと全般的にドル安が進み、円は112円台、ユーロは1.26マルク台を付けた。日本のマスコミが一方的に報じているような円高ではない。実際には、円はポンドなどの通貨に対しては下落しているからだ(原油高の影響で)。

 ここで重要なポイントは、スノー等のあまり為替に詳しくない米財務官僚達が、「ドル安は望まない」ということを明確にしなかったことだ。明確にしなかったが、少し事情を知っている人間なら常識だ。今のアメリカは毎日10億ドルだったか20億ドルだったか、いずれにせよ多額の資金流入がなければ回っていかない経済になっている。持続的ドル安が起きれば、誰も資金を入れなくなる。それが一番アメリカは怖い。長期金利が大幅に上がるからだ。

 第一のターゲットが全般的なドル安にではなく、人民元にあったことは明確だ。しかし、G7以降人民元は突如として切り上げのペースを緩くする。これはある意味では、国際的に自分の国を追い込もうとしてアメリカに対する中国の逆襲にも私には見える。「IMFの監視に晒すだと....」というわけだ。ブッシュ・胡錦濤会談かG7前後にはあると思われていた1ドル=8人民元の水準突破(元高)も実現してない。

 G7声明(と付属文書)とアメリカが最も動かしたかった人民元が逆に止まったことから、アメリカが言い出した「国際的な不均衡」に対する市場の懸念再燃は、「ではドルを安くする方向で間違いないだろう」という形で顕現化した。一番驚いたのは言い出したアメリカだ。5月1日の日経夕刊には、「(G7声明でドル売り強まる)米、火消しに躍起」という面白い記事がある。この記事には二人の米通貨当局者の言葉が並んでいる。

「G7会議で人為的なドル安を協議したという報道があるが、それは誤りだ」(バーナンキ、27日に議会で)

「アメリカは強いドル政策を変えていない」(スノー、28日にテレビで)

 本当に言うべき事を最初に言っておくべきだったのにそれを言わなかったので、一番望まない形でドルがジリジリ下方修正してもしかしたら歯止めがきかなくなる可能性が出てきた。それで焦ったというのが実情だろう。アメリカの満たされぬ欲求を言うならば、「アメリカへの資金の流入が止まらない形で、ドル安が進んで欲しい」ということだが、これは資金を入れる側からすれば、「あり得ない話」だ。

 そこで問題は、「じゃアメリカはIMFに何を期待したの?」と言うことになる。恐らく最近人民元の引き上げを強く主張しているIMFが、中国に対する人民元切り上げ圧力を代行してくれる(いや、代行させる)のだろうと思ったのだろう。しかし実際を言うと、G7が通貨調整をIMFにしてもらおうと思った過去はない。1985年のプラザ合意の時に、IMFの関係者が呼ばれていたという事実はない。だから、次のようなエコノミスト誌の「Would a second Plaza agreement make sense?」という記事の最後の指摘になる。

The Plaza Hotel closed last year. Many of its rooms are being converted into flats. The IMF may find that the political fashions that made the Plaza agreement possible are also a thing of the past. The Americans are quite receptive to the fund's new role, but largely because they think the fund will do some of their China-bashing for them. America's Treasury has explicitly rejected the idea of current-account targets of the sort envisaged by Mr Cline, and it is hardly going to raise taxes just because the IMF asks it to. This week the Chinese, less pliant than the Japanese of yesteryear, were also keen to point out that it was not the fund's job to tell them what value the yuan should be―not that the fund could answer that question even if it wanted to. The fund should make the most of its role as master of ceremonies, but it will never be the master of currencies.
 一刀両断的に冷たい。そうですな。あの舞台になったプラザ・ホテル(セントラルパークから見て、セントラルパークサウスの一番左にあった)も昨年の閉鎖され、その大部分は高級アパートになった。過去の話です。スノーは「増税はしない」とワシントン・ポストの記事では言っていたし(明確ではなかったが)、中国もIMFの言うことなんか聞かない。アメリカは対中国で手の出し場所を変えたが、バックラッシュにあっているというのが実情。

 そういう意味では、市場もちょっと神経過敏だったと言える。もっとも、ドル高にも天井感(特に対円で)があったので、一回下に行かないともう一回上を試せないという事情もあった。そして今回のドル安には、「アメリカの金利も頭打ちかも」「日本や欧州の金利は上がるかも知れない」という相対的金利格差縮小思惑があった。

 しかし筆者は、「それは違うだろう」と思っていた。特にアメリカの金利天井説に対しては。当のバーナンキが27日の議会証言で、

In particular, even if in the Committee's judgment the risks to its objectives are not entirely balanced, at some point in the future the Committee may decide to take no action at one or more meetings in the interest of allowing more time to receive information relevant to the outlook.? Of course, a decision to take no action at a particular meeting does not preclude actions at subsequent meetings, and the Committee will not hesitate to act when it determines that doing so is needed to foster the achievement of the Federal Reserve's mandated objectives.?」
 と言っているのだから。マーケットは?にばかり注目しているが、私は?も重要だと思う。なぜなら、利上げを休んでも、その後は今の原油高からしてまた上げになることは明らかだからだ。バーナンキが言っているのは、「金融政策の効果が出てくるにはラグがある。それを見たい」と言っているに過ぎない。

 と思っていたら、この週末にCNBCの記者Maria Bartiromoに対してバーナンキは、「the media misinterpreted his comments in congressional testimony last week as too lenient toward inflation.」と述べたという。どこでこんなことを言ったのかと思ったら、「a White House correspondents' dinner」だという。まあ、ホワイトハウス詰めの記者の食事会にバーナンキが出てきたのでしょう。そして彼女は隣に座ったと理解できる。

 グリーンスパン時代にはあまり見掛けない光景なんでしょうが、ホワイトハウスの記者には特ダネを取るチャンスが出てきたことになる。まあ、バーナンキの本音でしょう。そしてもし市場の米金利を巡る判断の中でバーナンキが言うように市場がバーナンキ発言を「too lenient」(lenientは「大目に見る」)に理解しているとしたなら、市場の二つの誤解(G7、バーナンキ証言)によって生じた今のドル安は、疑心暗鬼を残しながらも巻き返す可能性が高いとも言える。