2006
09月

2006年09月の日記

日記

2006年09月30日

 (24:40)ホテル(全日空)の内部の機能はだいぶ回復したが、一歩外に出ると台風13号の影響がすさまじく残っている、というのが現状でしょうか。ちょうどこの日からインターネットが通じてADSL回線が繋がったのでこうやってアップが出来ている状態。だから、日々回復はしているのですが。

 驚くのは、島の南洋食物の木々に葉っぱが全くないものが多いと言うことです。葉っぱというか、枝がなくて幹だけが残っている。台風で飛ばされたのだとか。人口は石垣市にほぼ固まってあとは牧場とか緑地が広がっている島のですが、島内で台風により「電柱200本が倒れた。だから停電も長引いた。台風がこんなに強烈になるのだったら、送電システムも考えないとね.....」とタクシーの運転手さん。

 台風慣れした島の人達にとってもあまりにも強烈な力で、皆揃って「70はあったのでは」とおっしゃる。風速の事です。なにせホテルの角部屋のガラスがそれだけで割れるのですから、それは強烈な力だっただろうし、少し高い木も時々倒れているのを見ると、その凄まじさが想像できる。止めてあった普通車がひっくり返ったというのです。

 「台風には慣れっこになっていたのですが、こんなことはなかった」と島の人々。「こんなのがこれから来るのでは、配電システムの変更も」と彼等は言うのです。電柱の地中化を言っているのです。

 ネットを見ると、「フィリピンの台風、死者60人」とある。台風やハリケーンは世界的に猛威化しているのでしょうか。「九州に台風が来ると大きなニュースなのに、全国的にはニュースにならなかった」とある女性タクシー運転手。「いやいや、大きなニュースでしたよ」と私。

 もっともホテルの海岸などはかなり整備し直されて、綺麗な海が戻ってきています。魚も海岸のすぐ近くで見られる。今でも綺麗ですが、台風が来る前はもっと綺麗な島だったのだろうか、という印象。石垣島は私が見た資料では島の人口は4万2000人となっていましたが、今は4万7000人で、「あとは幽霊人口が相当多い」(タクシー運転手)らしい。だから5万人はいるかもしれない。

 「幽霊」とは、この島に遊びに来たのを切っ掛けにアルバイトか何かを始め、そのまま住民登録を移さないで住んでいる人達の事を言うらしい。まあそうですね、石垣市という比較的大きな街もあるし、南の島だし、冬でも朝晩で10度を下回ることはまれで、日中は直ぐに暖かくなる.....という状況では、「しばらくここにいたい」と思う人は居るでしょう。

 そういう人達にとって、今後の最大の敵は台風でしょうか。物価は安いですよ。タクシーの初乗りが確か390円だったと思う。塩がうまそうですな。知っては居ましたが、八重山諸島中の塩が街のあちこちで売っている。塩の専門店があるのが面白い。10月まで泳げ、海開きは3月ごろとか。

2006年09月29日

 (24:40)うーん、ニューヨークや東京の株価の上昇は何か危ういですな。アメリカの経済は着実に成長率を落としている。今は潜在成長率と考えられる3%台を下回っている。このまま2%の水準を悪とは思っていないが、「強い」とは言えない。

 個々の企業を見ても、強い企業もあるが、弱い企業も目立つ。自動車会社はぼろぼろだし、デルなどにも陰りが見える。住宅市場は弱くなっているし、原油が高値から落ちてガソリン価格も低下し始めたが、まだ消費者の財布に打撃になる水準であることは間違いない。そうした中での株高はやや疑念が残る。「もうFRBの利上げは年内ない」という理由だけで上がっているとしたら脆弱だと思う。

 日本の株高もどう考えても「エネルギー不足」。金曜日の出来高など13億株台。市場をずっと見ている人間にとって非常に少ない。20億株に近い水準があって初めて、「足場のしっかりした」と言える。5月に史上最高値(確か2000年の1月14日の1万1722.98ドル)に接近した後、そこから1000ドル以上一端下げている。全体では底堅い展開なんでしょうが、一気に抜いていく雰囲気ではない。商品に回っていたお金が株に戻ってきているのかも知れない。

 忙しくしていたら、もう来週は10月ですか。昼と夜の温度差があって、着るものなども難しい時期です。風邪気味の人が多い。身体が冷えたら風呂にゆっくり入り、少し温かくして寝るなどの工夫をしないと、ちょっとした油断で風邪を引く。難しい時期です。

 土曜日からちょっと石垣島に行こうと思っているのです。まだ台風13号の打撃が大きいらしいが、春に屋久島に行って以来、日本を取り巻く島々を見たいと思っていて、今回は石垣に。初めてです。西表島などにも行ってみたい。

 ちょうど朝のラジオ番組で一緒の小沢遼子さんが今週いらっしていて、随分と情報を頂きました。良さそうな食べ物も教えてもらったし。楽しみ。

2006年09月27日

 (17:40)中国における最近の動きは興味深い。明らかに胡錦涛が江沢民の根城を根こそぎにしようとしていると思える。上海の党のトップが不正を働いていたとしても、江沢民の権力が残っている間は今回の動きは出来なかったでしょう。

 そういう意味では、「胡錦涛の権力固め」という今の日本でのマスコミ報道は正しいと思う。しかし問題は、「権力基盤を固めた胡錦涛が何をするか」です。経年と共に江沢民の権力が低下してくることは明らかです。今回の動きはそれを加速した。

 権力基盤を強めたプーチンが、とても民主主義に沿っているとは思えない動きをしていることを考えれば、そもそも共産党一党独裁の中国ではあっても、情報管理などで胡錦涛が強硬手段に出ることは歓迎できない。私はそれこそが今回の動きのポイントだと思っているのです。

 その意味では、江沢民がどう反撃するかなどはあまり興味のない問題で、「胡錦涛がこれから何をするか」が最大の関心事です。

2006年09月26日

 (23:40)関西テレビのスタジオで閣僚名が入ってくるたびに、「へえ」とか「やっぱり」と思っていたのですが、全体的には「仲良し内閣」という印象。気心の知れた人をなるべく入れ、あとは参議院とか島津派とか、公明党の要望に従ったという印象。

 一つ興味を持って見ていたのは、先日52歳になった安倍さんより年下の人が何人入るか、でした。しかしちらっと見た範囲ではどうも高市早苗さんしかいない。彼女は45。太田弘子さんは52だが、安倍さんほど同年齢になりたてではないでしょう。あとは安倍さんより10歳くらい上の60歳代の前半が多いし、尾身さんは塩じい並みの高齢者。

 だからといって、閣議で安倍さんの指導力が落ちると言うことはないでしょうが、年長者が回りを固める中で、なかなか難しい内閣運営になることも予想される。補佐官を含めて目立つ女性を多く登用したことは、一種の選挙対策かもしれない。総裁指名選挙を見ていて「こりゃ大変だ」と思ったのは、参議院の投票総数240、過半数121に対して、「安倍晋三」と書いた人の数が136だったこと。わずか15票差。

 改めて、来年の参議院選挙の自民党にとっての厳しさが目に見える。この時期に、公明党の党首も代わった。小泉時代よりは、公明党は自民党に対する姿勢を「やや独自」に変えると私は思う。薄氷の上の多数を参議院で確保できるかは、安倍政権が短命で終わるのか、長期を維持できるのかの分かれ道。今日発表された閣僚名簿で戦うのでしょうが、結構厳しい。

 政権の発足にあったっては、冷やかしだけではなく期待している面もあります。今の日本はいろいろな面で曲がり角に立っている。人口でもそうだし、戦後システムの見直しの時期という面もある。「再チャレンジ」は良い制度だと思う。

 問題は、その再チャレンジを何を通じて行うのか。お金だけならバラマキだ。「教育」が一番重要だが、その教育に対する関心が「教育基本法の改正」問題だけに集約されて欲しくない。日本の教育が抱えている問題は深刻です。今日来ている京都は伊吹さんの地元ですが、伊吹さんはどのくらい力を入れてやるのか見てみたい。

 一つの懸念は、歴史観を安倍さんが曖昧にしているのが、この政権にとってプラス材料にはならないだろうという点。それには、政権発足当初から積極的に歴史認識でも立場をはっきりさせることが必要だと思う。つまり国民が安倍政権に対するイメージを明確化出来るかどうかが、来年の参議院選挙にとって非常に重要だと思う。それと成果を早く出さないといけない。

 京都に来ているのは、組閣特番の前にこの番組が繰り上がり、エンドがいつもより2時間も早かったため。京都にはカウンターの本を書く上でお世話になった人や店がある。で、夕方から来ているのです。

 祇園浜作に行ったら、「間違った本が送られてきていました」と。ははは、赤面ものですな。出版社の送付担当者がどうやら別の本を送っていたらしい。ですから、4冊ほど献上してきました。森川さんも「絶対的料理、相対的料理」などを中心に本を出すことを検討中だという。

 その後はたん熊に。この店も本に登場する。しばらくご主人や女将と話していて面白かったのは

  1. 「たん熊」の名前の由来は、「丹波の熊三郎」から来ているが、京都では平仮名の「ん」が付くのを「運が良い」という風潮があり、最初「丹熊」にしていたのを「丹」を「たん」と平仮名にした
  2. 当代の「熊三郎」さんの祖父がそもそも店を開いたのは、今の北店がある場所だが、その場所を伯父譲って今の木屋町に移ってきた
 など。ご主人と意見が一致したのは、「時代とともに人々の味覚も変わる」、だから「老舗も味を変えなければ生きていけない」ということ。それは最近本当に思うのです。客にわからんように、客が静かに納得するように味を変えないと生き延びられない。だから店というのは難しいんですよ。今月閉店した「月の庭」のように「10年で閉店」と決めることも一つの方法です。しかし何代も続ける店はそうはいかない。

 「変わらずに同じでいるためには、変わらなければならない」は、国でも会社でも、そしてレストランでも、そして個人でも同じ事かもしれない。老舗はしばしばそれに失敗する。だから、時代の切れ目、味覚の切れ目には多くの老舗が潰れるのです。

 最後に今日一番興味を持ったニュースは、「EdyやSuicaなど4陣営、決済端末を共通化へ」でしょうか。これは良い。便利になります。

2006年09月25日

 (23:40)珍しい雑誌のインタビューを受けました。GQ JAPANというのです。最初電話がかかってきたときに良く聞き取れなかった。しかし、雑誌を見せられて「ああ、この雑誌か」と。

 話題は、クルマ。ダイムラーとクライスラーが合体したことで良いクルマ、美しいクルマが生まれているのかというのが問題意識だったようです。まあ私はGMやフォードが今陥っている苦境に比べれば、相対論としてダイムラー・クライスラーの持つ(育ちつつある)カルチャーはまだしも消費者のニーズを満たしているかも知れない、と思っているのです。

 まあそういう話をしながら、今のトヨタの置かれている立場とかを。そういえば、先週だったと思ったのですが、東京新聞のコラムに以下のような文章を書きました。決して奇をてらったわけではなく、その可能性ありと思っているのです。

 もしかしたら、10年後にはGMやフォードはなくなっているかもしれないな、と真剣に考えている。それは自動車産業が、産業としての母国であるアメリカから消えることを意味する。

 決して冗談ではない。「経営」の国アメリカで、GMもフォードも経営者さえ見付けられないでいるのだ。この二つの会社とも目を付けていたのは、ルノーの会長兼最高経営責任者(CEO)で、ルノー傘下の日産自動車のCEOも兼ねるブラジル人実業家、カルロス・ゴーンだった。しかしそれでいいのだろうか。

 社債市場で見るGMとフォードの価値は地に落ちている。両者の社債とも、機関投資家が買えないジャンク(投資不適格債)だ。業績は真っ赤で、株価の低迷も甚だしい。ともに指摘されているのは、「売れる車が作れない」ということだ。売れに売れているハイブリッドをトヨタが出したのは1997年なのに、両社ともまだ市販ベースでは出せていない。

 GMが強いレンタカー市場向けを除く一般消費者向けでは、トヨタはGMとほぼ肩を並べている。アメリカは欧州の労働市場の非柔軟性を非難してきたが、アメリカの自動車メーカーに重荷になっているのは、「産業別組合」としてのUAW(全米自動車労組)の硬直的な姿勢である。

 カラーテレビ、おもちゃ。アメリカが失ってきた産業は多い。政府は自動車業界であろうと救いの手は差し伸べないだろう。アメリカからの、米国オリジンの自動車メーカー喪失は、充分に現実味がある。

 何故そうなったのかを、しばらく調べようかなと思っているのです。ま一応のアイデアは雑誌社の人には話しておきましたが。

2006年09月24日

 (24:40)なかなか面白かったな。久しぶりに朝から野外運動で富士山の麓まで行ったのですが、今回はただ回るだけではなく、ちょっと面白い試みを実施。

 富士桜カントリークラブに勤める会社の先輩の津田さんの発案で、同カントリークラブ所属の高橋千晶プロと、我々6人が一緒に回るという試み。3人、3人に分かれて午前前半の4ホールは前の組、残る5ホールは後ろの組、午後は前半5ホールは前の組、残る4ホールは後ろの組という具合で、合計9ホールを参加者がプロに見てもらいながら、勉強しながら、そしてプロのプレーを見ながらラウンドするというセッション。

 通常のプレー費に加えてレッスン料がかかりますが、6人で負担するわけですから、それほど高いわけではない。正直言って、私はプロと回るのは初めてでしたが、勉強になりましたね。男子プロとは違って、女子プロは「これは全然違う」というレベルではない。

 例えば高橋プロは、ドライバーの飛距離は平均220ヤードで、女子プロの仲間内ではまあアベか、ちょっぴり平均より飛ばないクラスだそうですが、私がキッチリ当たると大体彼女と同じ距離になる。それはドライバーでも、8番アイアンでもそうでした。むろん良いショットを出す確率は彼女の方がめちゃ高いが、それほど力の差があるわけではない。

 あれこれ教えてもらいましたが、一度にすべてを直すことなど出来ない。私は三つだけメモに残しました。

  1. スタンスをややハンドダウンに構える
  2. 左の肩を抜くようにする
  3. 腰が打つときに立ち上がらないようにする
 です。実際に彼女の言うように打つと、今までよりスムーズに打てる。なるほどと納得。まあ問題は、ずっとそれが出来るかどうかなのですが、身体に覚えさせながらそれが出来たらなと思いました。まあ練習セッションですから、最初からスコアを付けなかったのですが、それでもいろいろ覚えたし、その成果だと思うのですが、1ホールだけですがバーディも出たし、良かったかなと。

 それにしても昨日は良い天気でした。冴えない天気が続いていましたから、快適でした。発案者の津田さんには感謝。

2006年09月23日

 (10:40)朝起きてテレビを見たらヤンキースの試合をやっていて、もう最終回。マウンドにはリベラがいるじゃないですか。「ああ、戻ったんだ」と。もう少し見ていたら、シェフィールドの顔も見える。

 どうやらタンパベイとの試合では松井は出ていなかったようですが、リベラが防御率1.88で戻り、シェフィールドが、ある程度予想されたことですが、一塁で戻ってきた。外野はライトがアブレイユ、センターがデーモン、そしてレフトはいずれ松井になる。シェフの居場所はない。

 あれだけの選手でも、守備位置のコンバートを素直に受け入れる大リーグというのも凄い。結構無難にこなしていました。地区優勝は既に達成しているので、残りはポストシーズンに備えて選手の体調を整えていくというプロセス。松井の守備の様子を見るというのも、大きな課題でしょう。カブレーラを用意しながら、ということだと思う。

 王建民が18勝を挙げて好調なのは心強いのですが、17勝だっけな、勝ち数は問題ないものの、投球やゲーム運びに脆弱性が顕著なランディ・ジョンソンがどうなるかがこれからのポイントでしょうな。彼は明日先発する。

 ランディの調子が戻らないと、ポストシーズンはちょっと不安になる。先発させないわけにはいかないし、しかしいつ崩れるか分からないという問題がある。あとはヤンキースは揃ってきた。リベラは調子が良さそうだった。あとは、来週に予想されている松井の守備デビューが見物です。

2006年09月21日

 (06:18)まあこんなもんですかね。前回と比べて大きく変わったのは第二パラグラフだけ。「経済成長の鈍化が続いている」という認識は、最近のベージュブックの中味と同じ。あとは、この「moderation」がどこで止まるか。加えて、「Readings on core inflation have been elevated」とうたわれたインフレが、どこで止まるか。二つの「止まり」がポイント。

 一つ思うのは、今の景況が続けばFOMCの「据え置き」は少し長くなるかもしれないという点。

For immediate release

The Federal Open Market Committee decided today to keep its target for the federal funds rate at 5-1/4 percent.

The moderation in economic growth appears to be continuing, partly reflecting a cooling of the housing market.

Readings on core inflation have been elevated, and the high levels of resource utilization and of the prices of energy and other commodities have the potential to sustain inflation pressures. However, inflation pressures seem likely to moderate over time, reflecting reduced impetus from energy prices, contained inflation expectations, and the cumulative effects of monetary policy actions and other factors restraining aggregate demand.

Nonetheless, the Committee judges that some inflation risks remain. The extent and timing of any additional firming that may be needed to address these risks will depend on the evolution of the outlook for both inflation and economic growth, as implied by incoming information.

Voting for the FOMC monetary policy action were: Ben S. Bernanke, Chairman; Timothy F. Geithner, Vice Chairman; Susan S. Bies; Jack Guynn; Donald L. Kohn; Randall S. Kroszner; Frederic S. Mishkin; Sandra Pianalto; Kevin M. Warsh; and Janet L. Yellen. Voting against was Jeffrey M. Lacker, who preferred an increase of 25 basis points in the federal funds rate target at this meeting.

2006年09月20日

 (24:18)松井のHRをテレビで確認後に、大阪西区の区役所に。「カウンターから日本が見える」の取材でお世話になったので、本を二冊もって「出来上がりました。ありがとうございました...」とお礼を言いに。またまた同区に関する資料をもらいました。大阪は調べれば面白いと思う。今後調べたいのは米などの先物取引所成立の経緯や、江戸時代の経済に大阪がどのような位置を占めていたのか。

 その後は天神に戻って繁昌亭で漫才でも聞こうと思って行ったら、チケットは「売り切れ」と。うーん、しょうがないので来週かな。平日の昼間なのによう入っている。暫く続くのでしょうか。

 東京に戻ってFTを見たら一面の下にロシアのサハリン2に対する環境許可の撤回と、それに対する日本や欧州の憤慨を伝えている。面白かったのは、何故か安倍さんが抗議の筆頭に挙げられていることで、この時点ではまだ彼は「front-runner to be tne next prime minister」となっている。

 その「front-runner」は私が新幹線の中に居る間に自民党総裁となって、来週には総理大臣確実。お仲間党大会の雰囲気もあったが、安倍さんの票が安倍陣営の予想より25票ほど少なかったのがちょっとした予想外。幹部が「バランス感覚が働いた」と解説。ラジオで聞いてました。麻生、谷垣のご両人はよく頑張ったという印象。

 ポイントは「戦後生まれの初の総裁」ということでしょうか。しかし疲れているのかちょっと顔色が悪いのが気になる。疲れているのでしょう。総裁が決まると直ぐに地元がテレビで出てくる。これはいかがなものか。総理大臣は地元の総理大臣じゃなくて、日本の総理大臣の筈ですから。

 安倍さんの総裁選出は予想通りですが、ちょっと御輿に乗りすぎた印象でしょうか。であるが故に、これからの政策運営は大変になる。担いだと思っている人は、それなりきの担ぎ賃が欲しいでしょう。今日発売の週刊誌には、「もう政治家には会いたくない」と安倍さんが言ったという話が載っている。

 安倍さんは総裁になる前にあまり政策について語らなかった。有利なのに事前に自分を縛りたくなかったのでしょう。しかし実際に舵を取ったらそうはいかない。言っていることには、その通りだとしたら賛成できることも多い。問題はどのような実際の政策になるかです。

 その安倍さんに朝日新聞で新潮新書の三重編集長が一言述べている。

2006年09月19日

 (24:18)タイの情勢がいったいどっちに有利に動いているのか、そして何よりも重要な今後のタイの行方がどうなるのかは全く不明ですね。現地は今深夜ですから、何が起こっているのかも外からはよく分からない。タクシン首相がニューヨークから帰ったのか、まだ国外にいるのかさえも分からない。

 タイの情勢は今年初めからずっと不安定だった。タクシンは選挙で負けたけれども、では誰が代替するのかで有力な候補もなく、実質的には彼が実験を握り続けるという状況。つまり国民の支持を失った首相が、引き続き政務を担当するという矛盾。

 なぜ国民の支持を失ったかと言えば、今年1月の首相一族による株売却疑惑が発端。もう政局迷走は7ヶ月近くも続いていた。しかしタクシンに代わる人間はいなかった。しかし今回の反タクシン派のクーデターと、タクシン首相の「非常事態宣言」で政局は重大局面を迎えたと言える。

 ただし一つこの国に安定剤があるとすれば、「月曜日は国王の誕生曜日ということで黄色いシャツを国民の多くが着る」とも言われるタイにあって、「国王がどういう態度に出るか」でしょう。国王も事態の推移を見つめているに違いない。

 海外の政治という意味では、スウェーデンの政変も興味深い。社民党の敗退は直ちに高負担・高福祉のこの国の方針の大変換ではないが、トーンは明らかに変わってくる。日本の格差社会論とのからみから言っても、「どの国も(所得の再配分機能の)落としどころに悩んでいるな」という印象。スウェーデンの新政権は、「野党4党の連合」だそうだが、その連合はどの程度結束が固いのかどうか。

 20日は自民党の総裁の選出。盛り上がりに欠けたというか、論点がはっきりしないまま安倍さんが選ばれそう。民主党に至っては選挙なし。安倍さんと小沢さんの二人の本を二週間前くらいに読んだが、あまりピントこなかった。

 安倍さんについては、ワシントン・ポストが「Japan's Abe, Poised to Lead, Offers Nation Vision of Pride」という記事を書いている。まあ一つの典型的な海外的「安倍像」だと思う。
 

2006年09月18日

 (24:18)ははは、凄い行列でした。

 この連休は大きな予定はなかったので一日に一つくらい用事を足しに外出してお袋のところに行ったり、お寺さんに行ったりしていたのですが、月曜日に新井薬師の和尚さんに久しぶりに会いに行った帰り。中野通りのサンプラザの反対側にある吉野家がタクシーの窓から見えた。

 びっくりしましたね。人が、特に若い方々が何重にも並んでいる。直ぐに思い出しました。「今日だけの牛丼」。タクシーの運転手さんと、ひとしきりその話をしました。気持ちは分かりますよ。もうちょっと列が短かったら、私も並びたかった。あの独特の味には、懐かしさがある。

 まあね、「安全を期す」というのは重要なことだと思う。しかし、世の中「完全に安全」っていうのもあまり無いことも確か。私もアメリカに出張に行ったら牛肉はまず食べるでしょうから、今日吉野家の牛丼に並んだ人の気持ちは分かる。

 それより、ソニーからちょっと情けない手紙。銀座のソニービルの5階だかにあった「クオリア」のコーナーを閉鎖すると。実際には数ヶ月前に大幅に縮小していたので、「時間の問題かな」と思っていたのですが、あれだけ力を入れて始めたのに。なんという終わり方でしょうか。確か製品もまだあまり出ていなかった。コンセプトが間違っていたんでしょう。

 外国為替市場では、円安が進んでいる。そうでしょうな。G7は予想通りの「何もなし」会議。声明の内容まで先週後半のラジオ番組では予測しましたが、ほぼ思った通り。先週一番面白かったのは、ポールソンの中国観かな。13日に彼は結構長く中国について喋っていて、それが面白かった。

 それはさておき、今覗いたウォール・ストリート・ジャーナルには驚愕すべきニュースがトップに。最近GMとフォードが「両社間の提携を話し合った」と。しかし、「dropped」したと。しかし、話し合った事実は重い。独禁法抵触は明らかなのに、話し合った。この両社の迷走ぶりは、日本で見ていても気の毒なくらい。

GM, Ford Motor Discussed Alliance but Idea Was Dropped

General Motors Corp. and Ford Motor Co. briefly discussed the concept of an alliance between the two auto makers but have dropped the idea and plan no further talks, two people familiar with the matter said on Monday.

GM and Ford are both trying to turnaround from massive losses in North America. Their chief financial officers, Frederick "Fritz" Henderson of GM and Don LeClair of Ford, met recently and discussed the idea of working together, these people said.

GM, however, is focused on furthering its own turnaround plan, which is beginning to show positive results, one person said. GM is also exploring the idea of a three-way alliance with Renault SA and Nissan Motor Co., although it is unclear if these talks will bear fruit, either.


 フォードが最近発表したリストラ策は相当きつい。どちらかというと、チャプター11の可能性はフォードにあると考える。

2006年09月15日

 (24:18)本を出した後は何かと忙しい。取材でお世話になった店を回らなければならないし、そうでなくても本をこちらから私自身で届けたい店も結構ある。メールもたくさん来る。

 朝はラジオ番組や東京新聞の原稿書きの仕事があって出られなかったので、夕方の番組の少し前に新潮社から送られてきた本を10冊以上抱えてまずトトキに。十時さんはじめ、皆さんで開店の用意か何かをしておられました。

 しばし話して、今度は銀座交詢ビル・趙楊に。今回の本には全く関係ないんですが、しばらく行ってなかったし、趙さんの顔を見たいな、と。あいにく居なかったので、奥様に本を渡して、そしてその直ぐ近くの本店浜作に。塩見さんがいらっして、しばらく立ち話。

 そこから今後はワシントン靴店に。今履いている「シングル・モンクストラップ」の靴は新宿のデパートにはなかなかなくて、この大きな靴店にはあるだろうと思って行ったら、男性用は地下二階しかない。上はユニクロが入っていました。本当は「World Footware Gallery」のが良かったのですが、似たやつはあった。

 その後は新橋の「京味」にちょっと寄り、ラジオを済ませた後は一端マッサージに行って、あとは西麻布のキッチン5に寄って優子さんとしばらく話をし、その後は直ぐそばの「とく山」へ。野崎さんに。

 うーん、来週の大阪・京都もちょい忙しい。1ヶ月か、二ヶ月か、たまたまその店で食事をするときに渡してもいいんですが、一種の「新鮮さ」が大事だと思うのです。自分の店が出ているのに、お客さんから「出てましたよ」と言われるのも可哀想。まあでも、あと数日で終わる。

2006年09月14日

 (19:18)あらら、植草さんは二度目ですか。最初の時は、「いや、政権の陰謀だ」とかいろいろ説があったのですが、二度も現行犯逮捕となるともうこれは個人の性癖ということでしょう。どうしちゃったんでしょうか。

 「裏」「表」に関しては、引き続きメールをもらっています。今回は新潮社の新書を担当してくれた内田さんから。

  伊藤様 こんにちは。

 「Day by Day」に表神保町、裏神保町の話がありましたが、私の実家、埼玉県さいたま市岩槻区(旧埼玉県岩槻市)にも、表と裏のつく地名があります。

 慈恩寺という、坂東札所十二番のけっこう由緒のある天台宗のお寺があるのですが、そこの住所表記が岩槻区慈恩寺で、その北側が裏慈恩寺、南側が表慈恩寺です。

 なぜそこが表と裏と表記されるようになったのかまでは、調べてませんが、地図を見て類推してみると、慈恩寺の、ほぼ真南に岩槻城があり、岩槻城から見て、慈恩寺の本堂手前にある一帯が「表慈恩寺」、裏手にあたる一帯が「裏慈恩寺」となっているようです。

 江戸時代には寺領13万坪もあったそうで、表慈恩寺も裏慈恩寺も、どちらも慈恩寺の寺領だったようです。おそらく、何かを基準にして「表」と「裏」のつく地名は、日本全国探せば相当ありそうですね。

 神保町の話を読んで、「そういえば……」と思い出したので、メールしました。

 なるほど。もっと調べれば面白いかもしれない。その後に業務連絡があって、『いよいよ14日、「カウンター」が取次に配本されます。八重洲ブックセンターや紀伊國屋本店などの都内の大型書店には明日中に搬入され、明日の午後から夕方には店頭に並ぶと思います』『通常は、15日の午前中から順次、一都三県の書店店頭に並び始めると思います』と。

 昨日は忙しくて本屋を覗けませんでした。今日時間があったら、ちょっと本屋でも覗こうかな、と。

2006年09月13日

 (19:18)松井つながりでもう一つ。目原君から借りていたヒデキマツイをそろそろ返さないとと思って大阪に持って行き、大阪からの帰りに新幹線の中で読んでいたのです。そしたら、270ページに「やっぱりそうか」という松井の言葉があった。彼の巨人退団に関して、私には「そうではないか」と思っていたことがあったのです。本の中の松井の言葉です。巨人について聞かれて。

 ジャイアンツは読売新聞の広告塔に過ぎないんじゃないですか。初めてそう思ったのは、僕が日本にいた最後の年です。ジャイアンツのユニフォームは、ホーム用はジャイアンツ、ビジター用は東京です。伝統あるユニフォームですよ。最後の年、それが読売になった。あれはがっかりしましたね。60何年という日本で最も歴史のあるチームなわけでしょ。そのユニフォームを変えちゃうということには、すごいショックを受けました。
 既にこのコーナーで書いたかもしれませんが、あの年の春に松井がユニフォームが変わったことを凄く嫌がっていたという話は聞いていた。そして私はそれが巨人を去り、ヤンキースに行った一つの理由だと思っていたのです。本の中での松井の言葉が、それを象徴していると改めて思ったのです。実は2〜3週間前に、東京新聞の毎週土曜日に書いているコラムに「背負うもの」と題して以下のように書いた。
 決勝再試合を甲子園のレフト・スタンドで見ながら考えた。「高校野球もこんなに面白く、日本が世界一になった春の世界一決定戦(WBC)もあれほどワクワクしたのに、なんで日本のプロ野球には興味がわかないんだろう・・・」と。

 思いついたことがある。WBCも高校野球も「背負っているもの」がはっきりしている。WBCは明らかに国を背負っていた。イチローの30年発言を初めとして「国」ということを思う場面がいっぱいあった。サッカーのワールド・カップも同じく「国」を背負った戦いだった。「国を」背負うと、とたんにスポーツ中継の視聴率が50%近くに上がる。それが今年分かった。

 高校野球は、今年の夏は最初から面白い試合が多かった。逆転が多く、そしてHRも60本出た。しかし、決勝戦を見ながら思ったのは「高校生も背負っているものがあるな」と。学校を背負い、「代表校」として地域を背負っている。早稲田実業は第一回大会出場という伝統も背負っていた。

 プロ野球は何を背負っているのだろうか。記録、個々の選手の生活、プライド。それではファンの共感度は低い。もっと何かが必要だ。パトス的なものが。今年のマリナーズは弱い。しかしスタンドには結構ファンがいる。シアトルを背負っているからだ。阪神も背負っているものがあるからファンが離れない。下手に全国区を標榜するチームは受難の時だ。手遅れになる前に日本のプロ野球も、早く「背負うもの」を作った方が良い。

 松井がジャイアンツというチームが背負っているものが「読売の広告」だと考えているとしたら、このチームに対するファンの熱い気持ちが盛り上がらないのは充分に頷ける。勝者に対する尊敬の念だけがこのチームへのパトスだったのだから、弱くなったら「背負っているもの」もない中では、人気は離散する。

 で思ったのです。ジャイアンツというチームがはっきりと「読売の広告塔」を脱しない限りは、よほど強くならなければ、人気は復活しないだろうし、テレビでの巨人中継時間は削減される一方だろう、ということです。

2006年09月13日

 (11:18)やっとヤンキースの試合を見る気がしますね。松井が居て、そしてシェフィールドが戻ってきて。

 「松井が帰ってきてくれて、本当に嬉しい」
 「当面は中軸を打てるかどうか様子を見る」
 「ポストシーズンを前に彼が戻ってきたことは大きい」

 と松井復帰についてトーリ監督。松井は8番指名打者(DH)での対タンパベイ戦スタメン出場。ヤンキー・スタジアムでの復帰第一戦。表はムッシーナが危なげなく3人で処理。その裏の1回裏ヤンキースの攻撃は3番アブレイユが第一打席から目の醒めるようなライトへのスリーラン。松井への祝砲!。

  1. 第一打席。1回裏。1アウト1、3累。観客総立ちで拍手。つまりスタンディング・オベーション。松井、一度打席に入った後、この歓声にヘルメットをとって挨拶。少なくとも私はHRを打った後のカーテンコールは見たことがあるが、こうした形で選手がお祝いをされた例をほんの少数しか知らない。見逃しとファールで2ストライクになったあと、多分4球目だと思ったがやや鈍い当たりのセンター前への浅いフライ。最初センターが取るかなと思ったが、その前に落ちてヒット。打点1。その後の打者のヒットでベンチに戻ってきてジーターらが何かを松井に言っている。楽しそう。1回が終わった段階で既にヤンキースは9点。

  2. 第二打席。3回裏。先頭打者。また凄い拍手。1ボールのあと、今度は内角やや低めをまっ芯で捕らえてライトやや左にライナーのヒット。軌道がちょっと上ならHRだった。松井ヒットのあと、観客の3割はまた立って拍手。この回3点が入ってヤンキース12対0。

  3. 第三打席。4回裏。カノーがレフトフライのあとの二人目。まだ結構な拍手。またヒット。センターのやや右前。3−3。ジーターの打席には必ず観客席から「MVP」の声がかかる。オルティーズなどとの競争激化。今現在松井はHR5、打点20とテレビの表示。打率は0.277だったと思う。4回を終わって12対0。

  4. 第四打席。6回裏。カノーがセカンドゴロに倒れた後。また凄い拍手・歓声。二球目に大ファール。その後にピッチャーの右、二遊間を抜いてセンター前ヒット。4−4。ベンチが写る。ジーターが笑いながら何かつぶやいている。「尋常な奴じゃない」という風情。スタンドは大歓声で、観客は総立ちとなる。凄いやっちゃ。まるで復帰を楽しんでいるかのように、軽くバットを振り、それがヒットになっている。ナイス。この時点で松井の打率は0.285。

  5. 第五打席。8回裏。残っていた観客は大歓声。フルカウントから4球。打ちたかったが、外だったな。松井は5打席全部出て、これでお役ご免。ベンチに下がった。その時にまた観衆が歓声。ベンチも暖かい歓迎。この時点の松井の成績。打率0.285、HR5、打点20。ちょっと寂しいが、ヤンキースの残り試合は19。今年のヤンキースは、ポストシーズンも期待できると思う。リベラがちょっと心配なくらい。
 楽しい試合観戦でした。これから東京に移動しますが、改めて松井という打者のすごさを感じました。綺麗に単打4本であとは四球を選んだというのが松井らしい。ジーターやトーリ監督はじめ、「ベンチも驚いた」という印象でしょう。見事仕事を終えた松井が、ベンチの中で回りの選手と談笑。ほっとして、そしてうれしさがこみ上げてくる時間だったのでしょう。彼の隣はトーリ監督。試合後にインタビューを受けた松井の言葉。
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(復帰を聞かれて)ありがとうございます。
(4−4を聞かれて)びっくりしました。
(観客の歓声と拍手が凄かったことについて)非常に嬉しかった。一日ずっとそうだったし。ずっと忘れないと思います。グランドに立つ日を待っていた。信じていた。つらいことはなかった。残り少ない中で、良いプレーをしたい。
(日本のファンに一言)そうですね、ヤンキース戦を見にニューヨークに来た人もいるのに、4ヶ月も寂しい思いをさせてしまった。その分残り少ない試合ですが、お返しをしたい。
 Nice and congratulations to Matui.

2006年09月12日

 (24:42)「表」と「裏」の神保町については、このサイトの運営者が今は「古本」でその名前を知られている街の名前の変遷に関するサイトを教えてくれました。tks

 なるほど、やはり実際にあったのですね。「裏」と名付けられた神保町に住む人々は、あまり心地よくはなかったのでは。旗本の名前ですか。そう言えば昔ですが、私の部下に「神保」という名字の人がいたな。彼は縁戚 ?

 USBメモリーに関しては、やはり私の知識不足を補ってくれる人がいました。MS96さんが、二つのサイトを紹介してくれました。ありがとうございました。

  1. http://www.jp.sonystyle.com/Qnavi/Detail/USM512FL.html
  2. http://buffalo.jp/products/catalog/item/r/ruf2-fs/index.html
 そういう私自身がUSBメモリーを主なデータ運搬手段としているので、これらの商品のメリット、デメリットを勘案して購入を検討してみようと思っています。何よりも欲している製品なので。

 本が出来上がり始めたので、このコーナーに、カウンターな店店というページを作りました。せっかく本を書いたのだし、本の中では一つ一つの店に関しては詳しく紹介、コメントできない。しかし、ネットなら容量はほぼ無限だからいろいろ書ける。

 これから徐々に写真もふんだんに使いながら充実させていきます。ここしばらくは、デジカメを手放せない日々が続きそう。

2006年09月11日

 (24:42)あれ、重要データをUSBメモリーで持ち運んでいる人は、気を付けて下さいね。IT業界の人と話していたら、「さもありなん」という事情が明らかになりましたので。

 何かというと、最近の泥棒の話です。車上荒らしを含めて。昔は彼等の狙いは現金だった。ところが最近は、USBメモリーを狙うのだそうです。最近のUSBメモリーは最高4ギガ程度まで容量が膨らんでいる。通常の人間が一生掛かっても書ききれないほどの文章が入る。その中には機密文書も入っているでしょう。

 狙われるのは、学校の先生とか警察官。USBメモリーの中に、いろいろ外に出せないものが入っているじゃないですか。現金はあるだけ。しかし、「あなたのUSBメモリーを持っていますよ.....」と脅せば、現金以上の収入になる。

 実は「なになにが流出した」とニュースになるのは、実際発生した事件の100分の一程度らしい。あとは、何らかの取引をして取り戻しているのだそうです。お金を渡して取り戻している人もいるでしょう。恐ろしい話ですな。

4代前のおじいちゃんの新書と、私の新書  しかしもっと言えば、別に盗む必要はない。USBメモリーのデータは、2.0だったら非常に短時間に接続したPCに移植される。メモリーを戻しておけば、別に不審がられることもない。うーん、外付けのHDDには暗号化技術が使われているものがかなり出てきている。しかし、フラッシュメモリー型のUSBメモリーでは私はまだ見ていないような。もっぱら、使用している人間が管理を気を付けないといけない。皆さん、十分にお気を付け下さい。
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 ところで、この週末から月曜日にかけては私は新書を一挙に2冊もゲットしました。一冊は予定通り新潮社の内田さんから頂いたカウンターから日本が見えるの試し刷りの10冊。思っていたよりちょっとコンパクトというか、薄目に出来上がっている。読みやすいかも知れない。

 もう一冊の新書は、週末に諏訪の実家に残っている古い様々な文書を探していて見つけたものです。私の4代前の伊藤定太(さだた)という祖先は和算家だった。それは知っていた。下が五つ玉とか上が二つ玉とかの算盤がいっぱいありましたから。走り書きのような文章は見たことがあったが、きちんと製本になって残ったものは今まで探したこともなかったし、気付いてもいなかった。

算法利率新書の序文  ところが、「算法利率新書」という彼が書いて出版した本が3冊ほど出てきたのです。写真の通り、薄い紙に被われている。そこから出して読む形になっている。出版したので、数冊を手元に残したのでしょう。右の写真の通りです。まあ考えてみれば、「新書」とはなんぞやということですよね。中を見たら、私の4代前の祖先の本は明治33年の2月に書き上げて、6月に出版されている。

 出版社は東京上原書店(代表者名は上原才一郎さん)とあって、最後を見たら住所は「東京市神田区裏神保町六番地」と明記してある。今のどの辺でしょうか。あとで調べようと思います。

 「裏」がおかしいと思って何回も見たが、そう書いてある。しばらくして「間違いじゃない」と分かったのですが、その理由は印刷者が「藤澤外吉」という人で、その人の住所は「東京市神田区表神保町二番地」となっている。神保町はその昔は「表」と「裏」があったんですな。これも面白から調べてみましょう。

 この「新書」の序文は、別の写真の通りです。うーん、いろいろな金利を一目瞭然に計算した本というような意味でしょうか。ようわかりません。古文書は少し慣れれば読めるそうですが、駄目ですね私は。まったく不器用で。しかし、そのうちせっかくだから少しは読めるようになれればと思っているのですが、どうでしょうか。

 今手元の手帳で「明治33年」が西暦何年か調べたら、ちょうと1900年でした。笑えますね、我が家の祖先は106年も前に私が今週出そうとしている「新書」をもう出していた。なんということでしょうか。

2006年09月10日

 (08:42)一瞬驚き、そしてしばらくして「そうかなあ、やっぱり」と思うニュース。中国の新華社が伝えている。

 中国科学技術省の尚勇次官は9日、独自の知的財産権を持つ中国企業は全体の0.03%しかないと語った。売上高のうち研究費に回るのは0.56%。政府は技術開発を促しているが効果が出ず、コピー製品が溢れている。
 日本企業の売上高に占める研究開発費に割合は、確か10%を上回っていたと思った。それだけの努力をしているからこそ、独自製品が出来る。それが0.56%では、独自の製品を作ることが出来ず、じゃなにができるかというと「他国の製品をコピーする」ということだ。

 中国は貧しく国民は豊かになりたいために一生懸命働く。だから経済力を付けてきているし、日本など海外資本の進出は中国に資本と雇用をもたらしているし、それが輸出に振り向けられている。だから、外貨準備も近々1兆ドルを超えそうだ。

 しかし、一定程度に豊かになった後の中国はどうだろうか、と考えている。もし知的財産権が増えずに、研究開発費も増えないようなら、中国企業の、そして中国経済の成長は国民一人当たりGDPで一定のところで停止するのではないか、とも思える。なぜなら、労働賃金の面での中国の優位性はそのころには失われると考えられるからだ。今の中国は、「貧しいから成長できる」という構図で、その構図を変えるのは独創性であり、具体的に言えば知的財産などをいかに多く持つか、いかに多く研究し、開発するかにあると考えられるからだ。いつまでも技術を他の国に頼っているようでは、今の成長ペースを維持できない。

 まあそれは、インドやロシアにも言えることなのですが。日本は今まで通り研究開発に力を注ぐべきでしょう。その意味でも教育への投資が欠かせないと思うのです。

2006年09月10日

 (06:42)諏訪に移動してきています。日中は暑かったらしいのですが、夕方になるとがたっと涼しくなる。特に今いる蓼科は1000メートルを超える高地なので、夕方はかなり涼しい。15度くらいですかね。

 私は知らなかったのですが、高校の同級生らがセットしてくれて蓼科三井の森ロッジというところに泊まっているのですが、この施設はなかなか良い。落ち着いていて、あまり大きくなく、そして直ぐ目の前が竜神池というちっちゃな湖。その湖の畔でバーベキューが出来る施設がある。

 結構混んでいましたが、その一因はどこかの大学の何かスポーツのクラブの男子学生が一挙に40人くらいいたため。こいつらがうるさいのです。イッキをやったり。まあでもお品はあったので、我々8人は笑顔で見ていましたが。ケイタイは通じるが、ピッチの電波は飛ばない。

 日曜日には彼等とゴルフをし、月曜日に商工会議所かなにかの講演会をしてその日のうちに帰りますが、その間にもやることがいろいろある。満月は過ぎましたが、湖に映る月の綺麗だったこと。高原の初秋、うーんちょっと早いな、高原の晩夏という雰囲気。朝はちょっと早起きして、この湖の周りを一種しました。気持ちが良かったですよ。

2006年09月09日

 (00:42)さて問題です。「ロシアには一体いくつのゴルフ場があるでしょうか・・・・・・・・・?」

 いや昨日は笑いました。放送の直前になにげにニューヨーク・タイムズのHPを見たのです。秋篠宮家の第三子ご誕生以来、海外メディアをいままでよりちょっと注意深く見ていることもあって。そこに「 MOSCOW JOURNAL; They May Say, ‘ Tiger Who?’ but They Like His Sport 」という記事があった。

 なんだろうと思って軽く読み始めたら、ロシアのゴルフ事情に関する記事だったのです。写真の下の説明がふるっていて読み込んでいったら、仰天事実が書いてある。面白かったんですよ。

 ロシアはオリンピックで大量の金メダルを取り続けてきていることでも分かるとおり、またシャラポアがテニスで大人気であることでも分かる通り、スポーツ大国。しかし、「ゴルフとロシア」は結びつかなかった。それもその筈。なんと、今年の夏までロシアにはモスクワ近郊に2つ、セントベテルスブルク郊外に一つ(しかも6ホールの)の合計三つのゴルフ場が無かったというのです。全土にですよ。

Until this summer, Moscow, the largest city in Europe, with a population of around 10 million and billionaires by the bushel, had only two golf courses.

Until this year, in all of Russia, a country that spans 11 time zones and occupies a sixth of the land surface area of Earth, there were only three courses ? the two in Moscow and a six-holer outside of St. Petersburg, the nation’s second largest city. In contrast, the United States has 16,052 golf courses.

 ははは、地球上の陸地面積の6分の一を占めるロシアに....というニューヨーク・タイムズの書き方が面白い。対して文章に寄れば、アメリカには1万6052のゴルフ場があるという。そこで「日本のゴルフ場の数は」と調べたら、2046でした。あの広い国土にゴルフ場が三つ......というところで笑ってしまったというわけ。

 そういえば、ロシアのゴルフの選手は少ない。というか思い浮かびません。理由があったというわけです。しかし今ゴルフは、石油の輸出で大量の外貨が入ってきているロシアで、「Golf is exploding now」という状況らしい。人気も、実際のゴルフ場建設も。

 面白かったのは、ではなぜロシアで今の今までゴルフが盛んじゃなかったのか。「Partly, Russia’s golf gap stemmed from the Soviet authorities’ single-minded focus on Olympic sports, of which golf is not one, and their disdain for golf because of its association with wealth, according to Konstantin Y. Gribkov, a trainer at the Moscow Country Club. 」と。

 なるほど。確かにゴルフはオリンピック種目じゃない。東ドイツなども国家の威信のためにオリンピックでのメダル数にこだわったことは知られているのですが、ロシアもそうだったということです。また日本でも以前はゴルフというと、「ブルジョアの....」という見方をする人が多かったのですが、社会主義のロシアでも当然そうだったろうと。

 今現在60ものゴルフコース建設がロシアで計画されているというのが面白い。この記事には女子選手で二人の有望選手の名前が出てきている。女子テニス界におけるシャラポアのような選手がロシアから現れるかも知れませんな。

 ところで、昨日は「もう最後」と思って西麻布の月の庭に5人で。男ばっかしで、周囲の人にうるさがられたのでは。最初ベランダを考えたのですが、なくて一階を予約。しかし行ったら「空きました」というので、ベランダで。風が涼しくて良かった。直ぐ近くにヒルズの大きなビルが。以前はあれはなかった。

 もう好きな「汲み上げ豆腐」をまずイントロにプレーンで、蕎麦の前のエンドにもう一回「アボカド添え」で。合計二回も食べちゃいました。あの独特の味がいいんですよ。あの店もあと2週間ちょっとでエンド。汲み上げ豆腐は系列店で食べられるのですが、あの庭が良かったのに。ほんまに残念です。

2006年09月08日

 (00:35)日本時間の7日夕方から海外市場で大幅に円高を引き起こしたドイツのミロ財務次官の発言、その後の外国為替市場の動きに関するロイター通信の記事は以下のようなものだったようです。

Yen, on G7 agenda, jumps vs dlr, euro

LONDON, Sept 7 (Reuters) - The yen jumped versus the dollar and the euro on Thursday after Germany's deputy finance minister said yen weakness and China's yuan currency would be discussed at a Group of Seven meeting later this month.

Thomas Mirow told reporters in Berlin the "yen had clearly weakened against the euro and the dollar" -- an issue that would be discussed at the mid-September meeting in Singapore. Analysts said the comments reflected euro zone governments' unease about the euro's strength against the Japanese currency.

"Obviously it's becoming a source of concern that euro/yen has hit record highs day after day. It's a topic that a lot of the European ministers would like to talk about," Bank of America currency strategist Kamal Sharma said.

"Obviously they are going to talk about the Chinese currency as well. There is ongoing concern about Asian currencies needing to be more flexible and China is obviously at the centre of that," Sharma added.

By 1010 GMT the yen had firmed half a percent to 116.18 per dollar JPY=, just off the day's high of 116 and recovering from a three-day low of 117.05 just before Mirow's comments.

Against the euro the yen gained more than half a percent to 148.51, paring gains from a high of 148.27 EURJPY=. It recently hit a record low against the euro beyond 150.70.

Caution over the near-term outlook for Japanese rates after a slew of weak economic data has prompted some analysts to scale back short-term forecasts for the yen while global investors are continuing the trend for borrowing the low-yield currency to fund riskier investments.

The Japanese central bank is seen leaving rates steady at 0.25 percent at its two-day policy meeting that started on Thursday.

But the single currency has been supported as euro zone interest rates are expected to rise further from the current 3 percent, a view that was reinforced by European Central Bank Governing Council member Yves Mersch on Thursday.

Mersch said the ECB will show the greatest vigilance towards inflation beyond the immediate future.

Interest rate expectations in the United States also received a boost after data on Wednesday showing a surprisingly big jump in U.S. labour costs suggested that the two-year long rate tightening cycle may have further to go.

The 5 percent jump in unit labour costs during the second quarter raised the prospect that rising wage pressures would prompt the Fed to resume the string of rate increases after it kept them unchanged at 5.25 percent at its meeting last month following 17 consecutive hikes.

That data helped the dollar steady against the euro, trading slightly firmer at $1.2782 EUR=.

"The dollar looks very rangebound," said Teis Knuthsen, head of FX and fixed income research at Danske Markets in Copenhagen.

"What has been driving currencies for the last month has been absolute rates."

 ミロ財務次官が実際に言ったこととしてこのニュースが取り上げているのは、要するに本文中で赤くしたところだけです。「円はユーロとドルに対して明確に下落した。この問題は来週末にシンガポールで開かれるG7で、中国の人民元の問題とともに話し合われるだろう」という点。「話し合われる」のなら、「G7として円安に関して何かするかもしれない」と思うのは当然で、その結果117円10銭くらいだった円は約1円円高になって116円台のローに、ユーロやポンドに対しても円は上げたという展開。

 通貨当局が為替相場に影響を与える方法としてはいくつかあります。「口先介入」「実弾介入」「金利操作」などです。史上最も強烈だった当局の為替介入としては、70年代後半のカーター政権のドル防衛策(米金利の1%引き上げと介入)、1985年のプラザ合意(G7による声明発表と、各国の介入)があるが、ではこうした合意がシンガポールG7で行われるのかどうか。

 「今のところ、その可能性は極めて低い」というのが私の印象です。ミロ財務次官の発言は、まずは「口先介入」と呼べるものでしょう。明らかにヨーロッパの通貨当局者は対ドル、対円でのユーロ高が輸出にとっての障害になりつつあるとの懸念を抱いている。彼等が懸念を抱く水準は、対ドルでは1.3ドル、対円では150円だったと思われる。150円台は先週から今週にかけて示現した。G7を控えて今週から来週にかけては、この手の発言がまたぞろ出ることは予想できる。

 では「口先介入」以上に、中央銀行が全体として何ができるか。そもそもそういう合意(円は安すぎるという)が形成されるのか。それともヨーロッパの不満表明に終わるのか。難しいが、多分無理と筆者は考える。日本が介入を通じて円安を誘導しているという事実はない。金利を為替を安くするために低く抑えているという事実もない。円安をもってヨーロッパやアメリカが日本の通貨当局を名指しで非難できる環境にはない。

 では実際に動けるのか。難しい。ECBの介入 ?。介入は各国中央銀行が協調して行わないと意味がない、というのが過去の教訓。しかし、ブッシュ政権ははなから市場への容喙に興味がない。日本も景気が微妙なこの時期に円高誘導するメリットはない。ということは、「協調介入」はまずない、と考えられる。ヨーロッパのサイドは、そこまで日本やアメリカを説得する材料には事欠くでしょう。ヨーロッパの対外収支の赤字がそれほど膨らんでいるわけではない。

 ではもっぱら為替要因で金利を動かせるか。今の為替相場が、特に金利要因を背景に円安になっていることは誰もが認めている。その背景は、0.25%という日本の低金利と、上昇しつつある海外金利の差が拡大していることである。政策金利をいじるとしたら、

  1. 日本の利上げ
  2. 海外諸国の利下げ
 の単独、ないし組み合わせが必要である。しかしこれはともに難しい。アメリカは労働賃金の上昇ペースが高い上に、物価の動きも利下げを正当化できるような状況ではない。3%以上だった成長率がどうやら2%台に落ちてきたという「経済成長の鈍化」の過程にある。それは昨日書いたとおりです。ヨーロッパは既に、「10月には利上げ」とトリシェが明言している。

 では日本が「円安」を理由に金利を引き上げられる状況にあるのか。それもノーでしょう。市場が利上げを読んでいたら、長期債はあれほど買われない。消費者物価の上昇ペースも鈍い。ということは、今のG7は対人民元でも対円でも、「語ることは可能だが、実際の行動は難しい」という状況だろう。7日の夕方から一時足早な円高進行が見られた後は、外国為替市場は対ドルで116円台のロー、対ユーロで148円台のロー、対ポンドで218円台のローで比較的静かに推移している。

 来週に掛けても外国為替市場は神経質な動きになるだろう。それは、今年1月と同じ状況。あのときは米財務長官はスノーだった。今はポールソン。インフレ懸念がある今のアメリカが、「自国通貨安」を自ら主導する形で演出するのはなかなか難しいだろう。一方G7の接近で、中国は人民元の対ドルレートの切り上げペースを速めている。

 「懸念は示される。しかし具体的には、特にヨーロッパのサイドからの口先介入のみ」というのが、来週のG7の展開かもしれない。多分円安が名指しで声明に盛り込まれる可能性も薄いと思う。

2006年09月07日

 (24:20)アメリカ経済の現状判断がなかなか難しい状態になってきている。ガソリン価格が高水準を続け、労働賃金も上がってインフレ圧力は強まりつつある。しかし、ベージュブックによれば、住宅市場の冷え込みなどを背景に12地区連銀のうち5地区で経済成長の鈍化がみられる。この二重現象を表現しようとすれば、それは「スタグフレーション」だ。

 ベージュブックにはあとで触れるとして、労働コストははっきり上がってきている。アメリカにおける賃金の指標とされる非農業部門の単位労働コストは前期に比べ4.9%も上昇。これは速報値に対して0.7ポイントの上方修正。1―3月期の単位労働コストは9.0%の上昇で、速報値に対し6.5ポイントの大幅な上方修正になった。

 単位労働コストの高まりは製品価格にはね返る可能性がある。ガソリンなど製品価格高の中での労働市場の逼迫で賃金が上がれば、米連邦準備理事会(FRB)は金融政策を引き締め気味にしなければならない。

 しかしその一方で、景気は鈍化している。ベージュブックはそれを明確に示しており、この結果4−6月に続いて7−9月も2%台の成長率になる可能性が高い。1−3月は5.6%に達していた。ということは、景況から見れば利上げは難しいことになる。

 これとの関係で言うと、今週はIMFが「世界経済に severe worldwide slowdown」の可能性ありとの見方を示した。その理由は、

  1. アメリカの住宅市場の急激な鈍化の可能性
  2. 各国中央銀行に利上を強いるかもしれないインフレ期待の高まり
 を挙げている。「2」は今の世界で進んでいる長期金利の低落傾向を見るとちょっと当たっていないように思うが、アメリカ経済に対する懸念は的はずれではない。もっともベージュブックも、「12地区連銀のうち5連銀で経済成長が鈍化」と表現していて、あくまでも「成長の鈍化」との捉え方だ。

 例え成長が2%台の半ばだとしたら、それは「stagnation」(停滞)とは言えないでしょう。従って筆者はアメリカの新聞などに出ている「stagflation」の表現は行き過ぎだと思う。インフレもそれほど高いわけではない。この辺が今後統計でどう出てくるかがポイントだと思う。

2006年09月06日

 (24:20)大阪のホテルのフロントには、号外が二つ置かれていました。一つは読売新聞の号外、もう一つはジャパン・タイムズのそれ。海外のメディアを見ても、日本の皇室での41年ぶりの男子誕生は大きな扱いになっています。ご誕生を心からお祝いしたいと思います。母子ともにすこやかというのが良いと思う。名前がどうなるのか楽しみですね。

 海外の新聞も昨年来の皇位継承論議には当面終止符が打たれるという点が大きなポイントですが、あくまで「当面」なんでしょうね。お二人の妃殿下の年齢を考えても、皇位継承者が将来極めて少なくなるのは目に見えている。

 それにしても、アメリカの自動車メーカーはいったいどうしちゃったんでしょうね。フォードのCEOはボーイング出身者になった。私の記憶ですが、今まで米自動車メーカーが他の業界から最高経営者を迎えたことはなかったと思う。GMではカーコリアンがゴーンさんに秋波を送っているし、「経営者も出せなくなった米自動車産業」というイメージが強い。

 昨日の米国市場参入の主な自動車メーカー各社の株価を比べると、GMが30.44ドル、フォードが8.39ドルであるのに対して、トヨタのADRは109.14ドル。時価総額の差はもっと歴然としている。フォードが154億ドル、GMが173億ドル。対してトヨタの時価総額は1970億ドル。円安にもかかわらずの、この差。

 自動車は極めて大きなすそ野を持つ産業です。ということは、アメリカの、そして世界の自動車メーカーであったGMとフォードの相前後しての不振は、アメリカの産業が抱えている問題点をいくつか指し示している可能性が高い。これは検証するに値する。アメリカの自動車業界が問題を抱えているのは石油ショックが二回起きた70年代からですが、ではなぜそれを是正できなかったのか。日本人が経営書で読むほどに、アメリカの企業の経営方式は参考になるのか ?

 ここで延々とこの問題を扱うつもりはありませんが、検証するに値する問題だと思う。アメリカの製造業の先行きを考える上でも。

2006年09月05日

 (20:20)今日の大阪の各紙夕刊を見て面白いな、と。というのは、元気印が3個、そして不元気印が一つ。

☆サンケイ新聞=大阪の都心でマンション続々、教室が足らん

☆朝日新聞=大阪ミナミが元気、そごう効果で人出10%増加

☆毎日新聞=そごうふんばり、大丸ニンマリ

☆読売新聞=月刊「大阪人」廃刊の危機、市”直営”に

 となる。大阪の新聞といえども、これほど大阪ダネ一色になるのは面白いし(普段は全国ニュースが多い)、元気印と不元気印の比率も面白い。まあそういう雰囲気なのかもしれませんね今の大阪は。新聞社同士で打ち合わせたと言うことはないでしょうから、今の大阪の空気です。ミナミのそごうね。ははは、機会があったら行ってみることにします。

 大阪の元気は、名古屋、東京、福岡などについで4番目くらいでしょうかね。自分が毎週通っている街には元気になってほしいと。そういえば番組もそういうネタを仕入れているという。アイデアを絞らねば。
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 新潮社の内田さんから、出版予定などが。カウンターから日本が見えるについてです。今まで思っていたより素早く出てくるようです。

  1. 9/11(月)に著者見本が10冊出来ます。 →夕方になりますが、お届けすることも可能ですし、郵送も可能です
  2. 9/14(木)が取次配本日です。 →公式の発売日は9/20ですが、15 (金)には都内全域、16(土)には首都圏には行き渡ります。
 と。そうか、もう来週には一部出来てくるのですな。まあ、最終ゲラが入ったらあとは印刷と製本ですから、それほど大変な作業ではない。楽しみ。本屋さんにも20日以前に並ぶようです。
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 ところで、この本に関しては既にいろいろな方からメールを頂いています。このページを持つ昔からの知り合いである firfox さんから、以下のメールを頂きました。ニューヨーク駐在から、最近ですが日本に帰ってこられた。
 「Day by Day」でこの本に関する部分を読んでいて、NYにいた頃を思い出しました。

 私は、独身でNYでも1人暮らしだったので、食生活はどうしても外食中心でした。 オフィスで働く人数が私も含めて3人だけだったこともあり、私1人だけで食事に 行くことが多かったのです。(後述しますが、まったく寂しくなかったですよ。) すると、どうしても料理カウンターのあるレストランに行く回数が増えてくるのです。 自分1人だけでテーブルに着くと、NYのレストランのテーブルはたいてい小さい とはいえ、そのテーブルを独占するわけで、会話もなく、新聞か本でも読みながら でもないと、料理が運ばれてくるまでの間など、間が持たない。ただ腹を満たす だけのつまらない食事になってしまうのです。

 けれども、カウンターに着くと、伊藤さんのおっしゃるとおり、料理人やバーテンダー、 バーメイドといったお店の人と仲良くなるし、NYに行って間もない頃は、街の情報など、 いろいろ教えてもらいました。それに、カウンターというのは、横長のテーブルを何人か のお客とシェアしているようなもので、おっしゃるとおり上下がなく、隣の人との距離が 近くなる気がします。お店の人に近隣に座っている人を紹介してもらったり、隣に座って いた米国人から出された料理についていろいろ尋ねられたり、隣の人と時事問題で意見が 合致して話が弾んだりと、エピソードには事欠きませんが、偶然隣に座った人とその場で 仲良くなって、様々な話をしながら食事ができて、結構楽しかったし、そのような情報交換を 通じていろいろ勉強にもなりました。

 むろん、NYという多様な人種のいるエリアなので異文化に対して寛容だったことや、 異国の地にいる同じ日本人同士だったという場合もあり、必ずしも日本のレストランの カウンターに当てはまらないかもしれませんが、カウンターにいると、お店とお客、 またお客同士がそれぞれ近い関係になれるような気がします。 本の内容とは、いささか異なる内容かもしれませんが、Day by Dayの「カウンターから日本が見える」の記載を拝見して、ちょいとそのようなことを思い出した次第です。 ご本が出版されましたら、ぜひ読ませていただきます。 ではでは...。

 私もニューヨークに居たからこの方の感想はよく分かるな。メールありがとうございました。

2006年09月04日

 (24:20)所用があって竜土町に行ったので月の庭の閉店も近いことを思い出して、あの辺を歩いてみました。変わってましたね。星条旗通りを降りると右側に国立新美術館がまずあり、その先に政策研究大学院大学があって、街が非常に綺麗になった印象。

 月の庭にも行きました。もしかしたらもう閉店しているのかと思ったら、まだやっていて、以前よく行ったバーで軽く飲んで、またベランダにも上がってみました。昔のままでしたな。バーテンさんと話していたら、今の庭の「鯉と植木」を持って行ってくれる人を募集しているとのこと。

 しかし、鯉や植木をもらってもどうしようもない。誰か希望する人はもらいに行ったらどうでしょうか。池には大きな鯉が一匹と小さな鯉が二匹いました。もっとも、店は今月後半までやっていますから、そこまでは鯉も植木も動かさないのでしょう。

 竜土町だけでなく、青山でもどこでも歩くと店が変わってきているのが良く分かる。表参道も店の並びがかなり違ってきている印象がする。東京自体がすごく変わってきている証拠で、レストランも入れ替えが激しい。

 ある店で冗談に、「儲かるのは改装屋さんだけでは」と言ったら、「賛成です」という人がいたな。そう言えば、旧防衛庁の跡地には三井の大きなビルが完成間近でした。いつ完成だかしりませんが。

2006年09月02日

 (24:20)読もうと思って手元に置いてちらちら見ながら行動していたので、土曜日の朝日の夕刊を見て、「なんだ....」と。「全く同じ話題じゃないか....」とも。この本と。

 ははは、ちんちん電車好きなんですよ。松山に行くと必ず全日空など宿泊中のホテルから朝6時ごろ抜け出して、道後温泉に行くのが楽しみだし、今でも早稲田に行くと「乗ってみようかな」と思う。車も乗らねばならないので乗りますが、普段は地下鉄、電車全般、新幹線好き。

 朝日の指摘している富山の試みは面白いな。「ライト・レール・トランジット」「ライト・レール・ビークル」の二つの言葉は覚えておきたい。路面電車ルネッサンスが指摘している路面電車の六つの利便は面白い。語呂が「MAFFIA」なんですよ。

  1. Medium Capacity Transit=mass ではなく、中規模の人を移動させる輸送能力。しかも今の路面電車はスピードも上がっているという。上がっても人々に脅威になるようなものではないでしょう

  2. Accessibility=乗り降りの容易さ。そりゃそうだ、六本木駅で大江戸線に乗ろうとしたら、相当な苦難です。JRの駅も言ってみればビルの2階部分。上がらねばならない。路面電車は地面と同じところにあって、しかも今の電車はよっこらしょと大きく足を上げなくても良いというバリアフリーに近い

  3. Frequency=地下鉄でも圧倒的に銀座線(次に丸ノ内線)が素晴らしいと思うのは、その本数の多さですが、路面電車も全般的に頻度が高い。もっと頻度を高くすると、今のバスに比べれば随分と便利になると思う

  4. Flexiblity=東京は地下鉄がネットワークになっているが、地方都市では旅に行ってちょっとどこかにと移動しようとすると車しかないケースが多い。地方都市も柔軟なシステムが路面電車で出来上がって欲しいと

  5. Inexpensive=常識でも地下を掘るよりちょっと道路を変えて地上に線路を乗せる方が安いことは想像できる。ドイツなどでは、路面電車でも地下に潜ることもあるという。まあ柔軟に、そして経済的に

  6. Amenity=これは重要ですよね。路面電車に乗ると、どこかお金のかからない、地球に優しい乗り物に乗っているように思える。その「思える」というところが、実体を伴って、しかも「美意識」にかなうところがある。それがいいんですな
 そう言えば、ネットを見たら朝日の記事に「未来の鉄道」という記事がある。道路でも使える路面電車の話は面白いな。リニアには全く関心がありません。あんなの乗ったら非常に不愉快な電車なんでしょうから。

 まあこれは単なる予感なんですが、「いろいろな種類の鉄道」は新たなビジネスにもなるのかも知れませんな。一人当たり専有面積の大きい、閉塞的な、エネルギーの使いすぎる車が人々の美意識から外れるのもそれほど遠いとは思えない。多分私が電車好きなのは、それが街の一部なんですな。いろいろな人がいろいろな格好をして乗っている。楽しいじゃないですか。

 車は言ってみれば、「ホテルの部屋が移動している」ようなものです。外観が商品カタログ通りで見ても面白くない。中はよく見えない車も多い。路面電車は、駐車場がない地方都市の都心再生の鍵になるかも知れませんな。電車、路面電車の復権には賛成です。

2006年09月01日

 (12:20)昨日でしたかね、新潮社の内田さんから「すべて終了しました」と連絡。編集段階の作業は最後の最後まで終わって、印刷工程に入ったということです。あとは、多分9月20日の少し前に出てくる試し刷り、そして正式印刷を待つばかり。楽しみです。それにしても、私が「波」に書いた原稿(リンク先の下にあります)を読んで大笑いした、という人が多い。

 昨日の地震には驚きましたね。久しぶりの直下型。ちょうど今日が防災の日というのも、「神様は見ているのでは」とも思ってしまう。銀座のスタジオにいるときで、地震はすぐ収まったのですが、「あれもこれも持っていない」と反省。水なし、ラジオなし。本当の地震が起きたら、携帯電話など直ぐに使えなくなってしまうでしょうね。行政の対応などいろいろ問題点はあるが、個人の対応も非常に重要です。

 ところで、今日初めてタクシーでエディーを使いました。安全タクシーというタクシー会社のタクシーに乗ったら、窓に「edy」のマーク。運転手さんに「エディーが使えるの」と聞いたら、使えますと。そりゃ面白いというので、エディーで支払いましたが、簡単でいい。クレジットカードでタクシーに乗るのが嫌いなのは時間がかかるからですが、エディーだったらあの音とともに一瞬ですから許せる。

 カードがらみで気づいたことと言えば、スイカの入金限度がいつの間にか20000円になってました。前は確か15000円だったと思った。エディーに揃えたと言うことでしょうか。スイカはビッグカメラでも使えるようになったのですから、ちょっと金額を上げないと。しかし上げると窃盗の対象になる。難しいところです。