2007
02月

2007年02月の日記

日記

2007年02月28日

 (22:44)発表されたアメリカの昨年最終四半期のGDP伸び率改定値は、2.2%と予想よりもやや弱かった。市場予想は2.3%。この数字は、当初発表の3.5%からの大幅下方修正。第三・四半期は2.0%だった。この統計だと、アメリカ経済は強さを取り戻していないとも言える。

 この数字に株式市場がどう反応するのかは分かりませんが、少なくともドルはこの数字を受けて118円台の後半から前半に下がった。まあいずれにせよ、ここ当面の世界の市場は少し波乱含みで推移するんでしょう。

 ロンドンの今西君と話していて思ったのですが、今回の危機は今までとはちょっと違うかもしれない、と。それは、「中国人投資家」という今まで世界の市場にあまり登場してこなかった連中の行動様式に予期しがたいことがある点。大部分の中国人投資家は、市場と向き合うのは比較的最近の話しです。オプションの売り買いなどで先進国の投資家と顕著な違いがあるという。市場との取引に不慣れと言えば、中国の当局もそうです。

 それと思うのは、やはり今の世界はブローバライゼーションがあらゆるところで進んだ状況において、世界的な危機に対処する枠組みを今の世界は欠いているのではないか、という点。経済も資金も国境を越えて動く。しかし、危機に対処するのは各国の政府です。政府の力が及ぶのは、基本的には国境の内側。

 もっとも、政府が連合してきっちりと対応体制を整えていれば良い。しかし考えてみると、今回のインド、中国の株式市場の動揺はG7の枠組みの中でも、サミットの枠組みの中でも発生はしていない。その外で発生していて、しかもこの両国の規模は、経済の規模はこれからであるにしても、巨大な人口を抱えているという意味では実に大きい。政治力もある。

 例えばG7。中国は正式メンバーではない。インドもそう。危機がインドや中国発で出てくる時代には、G7の存在価値はこの両国を欠くことによって深刻になってしまう。G7には、なぜかカナダが入っている。改組が必要なのは明らかだ。この問題はまた考えてみようと思います。「世界的枠組みの不備」に関しては、「報道ステーション」で言い切れなかったので、ここに記しておきます。

2007年02月28日

 (09:44)そう言えば、このコーナー2月19日執筆分、G7、バーナンキなど世界経済の運営に当たる人々の声明や発言に潜む慢心に警告し、今の世界経済が直面するリスクを取り上げた中で、次のような指摘をしておきました。残念ながら当たった。

 もう一つだけバーナンキやG7が指摘していない問題を挙げておくとしたら、それは「過剰流動性」の問題だろうか。欧大陸諸国は円安の問題をまるで「日本の問 題」のような論じたが、金融市場に少し詳しい人間なら、これが日本の問題と言 うよりは、少しでも高い金利があれば大量に動く資金の存在であることは十分 知っている。国際商品相場の値動きを荒くしているのも、こうした資金だ。こう した資金は、時に「インフレの局地戦」を演出する。全体的なデフレ傾向で相殺 されているものの、そこでは常に小バブルの生成と崩壊が繰り返される。今の円 安を「バブル」と呼ぶ人もいる。

 「小バブル」で「限定的」なうちは良いが、それが「中規模」だったり「連鎖 的」であったりすれば、それは世界経済に大きな影響力を持ちうる。もっとも資 金は基本的には臆病な性格を持っており、確信が過ぎた動きがないうちはそれほ ど世界経済を攪乱するような要素にはならないかも知れない。しかし、日本の金 利引き上げなどをきっかけに大きな、かつ連鎖的な資金移動が起きる可能性はあ り、筆者はこれも世界経済にとってリスクであると考える。

 今の世界経済が抱える問題の第一に世界各国での経済の形、繁栄の形への不満(言ってみれば広い意味での民衆の不満、日本で言えば格差問題など)を取り上げた後に、この過剰流動性を指摘したもの。

 インフレの局地戦は、インドの株式でも、中国の株式でも、アメリカを初めとする先進国の株式市場でもみられたし、円安でも言ってみれば「過剰(excess)」が見られた。今回の小バブルの破裂は連鎖的にこうした「エクセス」を潰していくでしょう。

 しかしこの程度の連鎖、各市場の行き過ぎの解消の連続が世界経済の終わりであったり、システム全体の脆弱性に繋がる可能性は低い。数日の時の経過と、ポジションの行き過ぎの整理の後では、一端落ち着くことは充分にあり得る。重要なのは、この程度の(ニューヨークの株価の5%未満の下げなど)にあたふたしないことです。Life goes on......Market goes on.......

2007年02月27日

 (26:44)事の始まりは、先週の金曜日にインド・ムンバイの株価が急落したことでしょうね。SENSEXで600ポイント以上下げて、それまでと明らかに違う動きを見せた。これまでもSENSEXは一日で300ポイント程度の下げはよくありました。しかし、私の記憶では一日で600ポイント下げることはなかった。金曜日はちょうど私がニューデリーのチャタルジーさんに電話をした日です。

 「きっかけ」に関する議論は置くとして、世界の金融市場は「かなり大きな調整」に直面する環境は整っていた

  1. インドや中国の株が、前者でのインフレ懸念や予算編成を巡る不安感、後者の当局による株バブル警戒発言などで上値を追えない状況が明確化してきていた。にもかかわらずの、「新興国市場の株価の上値追い予想の強さと、それに伴うユーフォリアの存在」、それに先進国株価のやや急ピッチでの高値追い

  2. 人々が記憶から消し去ろうとしていた前連邦準備制度理事会議長のグリーンスパンによる米景気後退予測。「米経済は軟着陸」との予想が強まっており、かつバーナンキなどもその見方を強めていて、市場がそれに慢心し始めた時点での警告

  3. 世界の市場のどこかで傷ついた投資家は、自分のポジションの及んでいる範囲で、必ずその損失を取り戻しに掛かる。つまり、儲かっている市場で今までのロングを手じまい、大きく動いた市場(今回はインドや中国)での損失のカバーに走るという原則
 今投資家のやや動揺した「リスク・アバース」の動きは、円安待望、金利差益取得狙いの円キャリートレードの巻き戻し(よって円はかなり火曜日の夕方から円高に移行)、史上最高値追いを続けていた市場(ニューヨーク証券取引所やその他市場)での利食いの動き、新興国市場での焦った投資家(市場に不慣れな)によるリクイデーションという形で進行している。

 確かに上海総合指数の一日での9%の下げは大きい。10年ぶりの大きな下げだそうですから。また、グリーンスパンの「米経済景気後退入り」の警告の直後に出た米1月の耐久財受注の7.8%の下落も大きい。市場の予想は3.2%減でしたから。しかし私は遠因は、今週に入っての世界の市場の動揺は、先週金曜日のインドの株価大幅下落にあったと思う。先週の金曜日からSENSEXは続落していて、火曜日も170ポイント程度下落して、引けは 13478.83。前日比170.69ポイント、率にして1.24%の下落。

 動揺した市場が何を切っ掛けに落ち着くのか。一番目先考えられるのは、日本時間の水曜日夜10時半過ぎに発表になる米10−12月のGDP統計。これが市場の予想より強めに出れば、グリーンスパンの「景気後退予測」は色あせる。米2月シカゴ購買部協会景気指数、米2月個人所得・支出、米2月ISM製造業景況指数なんて統計もあるな。

 まあ世界中でポジションの偏りが見られた。過剰流動性も世界にはあった。それがいつも見られる世界の市場の「修正作業」として進むのでしょう。ある意味では、健全な調整です。これが世界の金融の当局者が「沈静化」に乗り出す必要があるところまで行くかどうかは分からない。が、一端沈静化したあとの戻りは速いと思う。

2007年02月25日

 (23:44)菊池凛子さんは残念でした。受賞した人の作品は見ていないので何とも言えないのですが、一つ言えるのは同じ映画に二人の助演女優賞候補がいたことが響いたのではないか、という点。

 菊池さんが出た映画は「バベル」ですが、この映画には菊池さんのような助演の立場で、メキシコの女優が出ていた。アドリアナ・バラッザという人ですが、この人も実に良い演技を見せていた。特に映画の最後の方でより多く出て、私は見たときに「この人の演技は素晴らしい」と思ったのです。うーん、彼女がいなければ、つまり票が割れなければ菊池さんの可能性もあったと思ったのですが。

 それにしても驚いたのは、渡辺さんと一緒に出てきたカトリーヌ・ドヌーブさんです。迫力でしたね。まあ久しぶりに見ましたから、そう思っただけかも。「親戚の子供は早く大きくなる」という言葉があった。

2007年02月25日

 (19:44)道路沿いのガソリンスタンドの価格表示を見ながら、「この価格下落がどう影響するかだな....」なんて考えていました。いえ、私の記憶だと昨年の後半のガソリン価格は、レギュラーで一時は134円くらいあった。それが今は場所によって違うのですが、116円とか118円になっている。

 リットル当たり18円とか16円の価格下落。私が見た範囲ですが。相当下がってきたという印象。2月、3月の日本の消費者物価は「もしかしたら下落」とされていて、これが「(日銀による2月の)利上げなし」という見方の根拠になっていた。

 まあしかし、日銀はもっと長い目で日本の物価の動きを見ているのでしょう。ガソリンだけを見ると、少し下げ幅が大きい印象がするので、もしかしたら実際のところ日本の消費者物価の再度のマイナスの要因になるかもしれない。しかし最近はまた、原油価格は上昇気味です。

 ガソリン価格の動向を見る余裕があったのは、長くクルマに乗っていたため。まったく久しぶりに、確か半年ぶりくらいにゴルフをしたのです。好き者に誘われて。気軽にokしたのですが、寒かった。今年一番の寒さで、特に最後の18番なんて午後4時前後で、風も出てきてもう死にそうでした。今日の夜は今年一番の寒さとか。しかし、「今晩雪が降らなかったら、今年の関東地方は東京を中心に無雪冬だな」なんて話をしていました。

 行ったのは、東名富士カントリークラブというのです。どえらいゴルフ場でした。一番高いところにクラブハウスがある。だからアウトもインも初めの数ホールは凄い打ち下ろし。そしてエンドの数ホールは凄い打ち上げ。ははは、朝は「今日は歩こう」と思っていたのですが、途中で「こりゃとても無理だ」と。上がりのホール(確か9番)は、カートでかなり上がってもまだかなりの打ち上げですからね。

 まあ、今年最初の芝打ちは、試練でした。

2007年02月23日

 (23:45)久しぶりにニューデリーのチャタルジーさんに電話したら元気な声が。彼はいまちょっと面白いITがらみ、検索がらみのプロジェクトを行っていて、その進捗状況をチェックしたい気持ちもあったし、またいつ日本に来るのかと。

 そしたら、3月の初めか終わりに一回日本に来るとか。ハハハ、彼の奥さんは日本の方ですから、年に2回くらいは日本に来ている。またNHKの仕事が入っているとか。金曜日のボンベイ証券取引所での株価の大幅下落(600ポイント以上)に話が及んだら、「予算の関係でちょっと動揺しています」と。

 トラックが落ちそうになったところを今日の昼通りかかったら、綺麗に片付けられていました。しかし改めてあそこを見たら、橋脚に引っかかったのは全くの偶然で、きわめてラッキーだったことが分かった。霞ヶ関トンネルを出たトラックは大きな、かつ急な右カーブを切りきれずに左に飛び出た、という印象。

 下まで落ちなかったのは、大きく右に出た橋脚があったからですが、橋脚がなかったら完全に下の道路に落ちていた。下に落ちていたら、トラックは燃料の具合ですが爆発したかもしれない。危ない話です。

 今朝乗ったタクシーが面白いサービスをしていた。助手席の席の後ろに一本の黒い線が延びていて、その先に携帯電話充電口が三個。私の携帯にも当ててみましたが、その一つでちゃんと充電できるようになっている。

 「これはすばらしい」と思って、「御社のタクシーは全部こうなっているのですか」と運転手さんに聞いたら、「はい、うちの車にはすべて....」と。HPはここにありました。まあティッシュをもらうよりはいいですよ。まあ、都内に120台くらいしかないそうですが。

 今朝itunes store を見たら、ポッドキャストのビジネス部門で、私の二つの番組がワンツーに。ワンツーでも全体のランキングを見たら、ビズポッドキャストが26位、ラウンドアップが54位でした。ということは、全体の中で見ると、ビジネス部門の1位と2位の間には、ちょっと差があるということになる。まあ番組の性格の違いもある。全体の55位がヤマヒロのアナpod cafeでした。

2007年02月22日

 (15:45)たまたまお昼ご飯は約束があったのでニューオータニの中の石心亭でいただいたのですが、そこのシェフの方がこのホテルのすぐ近くであった事故(トラックの首都高からの脱落事故)についておもしろいことを言っていました。彼の発言です。

 私の記憶だけで、あそこではもう三回目の事故です。一回は豚肉が下に散乱し、一回は材木。そして今回です。カーブがきついんですよね。
 と。確かに。新宿方向からあの地点に向かうと、トンネルを出てすぐに左回りの結構きついカーブになる。トンネルを出た直後だから、ちょっと心の準備が出来ていないうちに曲がらねばならない。だから今回もそうですが、トラックは右にはみ出た。実は、やじうまプラスを終わった後通り道なので、通りかかったのです。そしたら、通行止めになってました。しかし、トラックが高速道路からはみ出ているのははっきりと分かった。

 しかもカーブを曲がりきるとまたトンネルに入る。つまり、霞ヶ関の方から出てきても、新宿から行っても、あそこは「トンネルに挟まれた急カーブの一角」となっている。うーん、そういうことを考えると、改造しないとまたしばらくしてあそこでは事故が起こるんでしょうな。

 話は変わりますが、ロケフリで午後1時ごろ市場動向を見るために日経CNBCを見ていたら、えらく出演者の会話がぎこちない。お互いに「かみ合っていませんね」と。笑ったな、テレビではああいうのは滅多にないので。劣勢になっていた方が、その直後に言葉を失い、その後出てきた出演者は「仲良くやりましょう.....」と。

 まあええんじゃないですか。普段はあまりおもしろくない経済番組ですから、あの程度の波乱があっても。しかし、彼らの人間関係は壊れないのか....とちょっと心配。

2007年02月22日

 (05:45)ウォール・ストリート・ジャーナルの日銀の利上げに関する記事にあった最初の説明は、世界の人々が今回の利上げを見るときの代表的な見方なんでしょうな。

 In an effort to prevent the country's super-easy monetary policy from distorting world financial markets, the central bank raised its target for short-term rates by 0.25 percentage point to 0.5%. The action indicated that the bank thinks the economy now is strong enough to withstand a rate increase and that it isn't, for now, focused on the danger of price declines, which ceased only last year
 つまり、今の日銀の超低金利政策が世界の金融市場を歪めているという認識が先にある。だから、「それ(歪み)を阻止するために....」という考え方です。

 G7での欧大陸諸国の批判ではないが、それは確かに言えるのです。日本の金融政策ですから日銀は「景気は十分に強い」とか、「(短期的にはそうでなくとも)いずれ物価上昇圧力は強まる」と国内要因を挙げているが、腹づもりの中では「世界の中での日本の金利が果たしている役割(悪影響)」に関する認識があったはずです。G7での欧大陸諸国の発言は、明らかに日銀に利上げを決意をさせる誘因となった。

 ところで、ワシントン在住の梅本さんから「シャワー」に関して以下のようなメールをいただきました。彼の経験だと、ヨーロッパではハンドシャワーの方が普通だそうです。

 私の経験した限りではありますが、ドイツはじめヨーロッパ各国では、家庭でもホテルでもたいがい、日本同様、シャワーの蛇口は手で外せます。住宅でもホテルでも、徹底して固定式なのはアメリカだけじゃないでしょうか? インドとか中国は知りませんけど。

 松井秀喜選手が住むマンハッタンの超高級コンドミでも、やっぱりシャワーは固定なんですな。アメリカに来て一番不便に思ったのがこれですね。特に子供や赤ん坊を風呂に入れる時、アメリカのシャワーは全然役に立たない。それとお風呂のお掃除にも役に立たない。それでいてアメリカのキッチンの蛇口は、ハンドシャワーのように伸ばせるのが多いです。こんなところはどうでもいいから、風呂場のシャワーを可動式にせよ、と私は声を大にして言いたい。ハハハ、そう思うアメリカ人もきっといるんでしょう。日曜大工量販店の「ホーム・デポ」辺りに行くと、この取り外せるシャワーを売ってます。借家だし、自分で改造はしませんけど。

 そういわれてみると、ドイツのホテルもハンドシャワーだったような。そうですよ。松井君もホームデポに行って、ハンドシャワーを買ってきて取り付ければ良いのに。仮に借りているとしても、そのくらいは彼なら払えるでしょう。

 彼はもう一つ、私が日本の金利について書いたことにレスしてくれていて、「ドイツ連銀の月報の中には、金利が高いときの方が消費が活発になる」という論文がある、と知らせてくれた。是非その論文は読みたいな。

 90年代後半フランクフルトにいた時、ブンデスバンクの月報の中に、「ドイツでは(政策)金利が高いときの方が個人消費が活発になる」ことを実証した論文があったのを憶えております。要するに、家計が借金をしているか、貯蓄をしているかの違いなんでしょう。日独のように家計に借金嫌いの体質があって、借金したとしても長期固定住宅ローンが中心のところでは、高金利は所得増につながる。アメリカみたいに、クレジットカードのローンが普及したりして、家計が短期変動の借り入れを好む国では、中央銀行の金利操作は消費について教科書通りに作用するということなんでしょうね。
 日銀にはそういう論文はないんでしょうか。あまりにも、杓子定規な、学校で教わっただけの昔の経済学的発言を行う人が多すぎる。日本の企業の中には全く借金をしておらず、資産を巨額に持つ会社も多い。こうした会社にとっては、資産運用には利上げは有利です。あと一つ言えば、今の世界経済においては、短期金利を上げても長期金利(企業の借金のベース金利である)はそれほど上がらない。アメリカを見れば、それは分かります。

2007年02月21日

 (14:45)「8対1」で利上げ決定と聞いて、反対したのは誰だろう、審議委員の誰かかな...と思ったら、反対票を投じたのは二人いる副総裁のうち、岩田一政さんでした。珍しい。総裁・副総裁の間で投票態度が割れたのは新日銀法下では初めてだと思います。

 次の総裁の一番手候補である武藤さんは総裁に足を揃えて賛成でしたから、日本政府・自由民主党の中の「利上げ反対派」は一票の反対に胸をなで下ろしているのでしょう。まあ下馬評は「利上げが決まるなら6対3」というものでしたが、私はもっと賛成が9に近づくと思っていた。岩田さんの反対票の中身はあとでチェックしたい。まあもともと慎重派でした。

 この票差は、福井さんさえ決断していれば、1月でも今回と同じような票差で利上げが決まっていた可能性が強い。19日に書いた文章で、日本銀行は利上げすべきだし、するだろうとの見方でしたから、驚きではないし、日本経済の正常化への前進だと思っている。今の日本の金利と為替は、どうみても異常な状況にある。

 「利上げすると景気に打撃」という古い経済学を信奉している人もいる。しかし、資産大国である日本で金利が上がることは、消費者の手元に従来より多くの利子が入ることを意味する。0.5%預金金利が上がるだけで、5兆円以上の消費者の手取りが増えるという説もある。今の日本では、その面で「利上げは景気刺激的」です。

 また私が取材している範囲では、「0.25%の利上げが企業活動に大きな打撃になる」という経営者はあまりいない。古い経済学を振り回すのはやめて欲しいと思います。そういう意味では、1月のガタガタの後ですが、日本銀行の利上げは評価できる。

2007年02月20日

 (23:45)ヤンキースの松井もいよいよキャンプインしたらしいが、既に数日前に紹介した「不動心」を読み終える中で、本当に身をよじって笑った部分に次のようなところがあった。彼が去年怪我をして、家で過ごした時の話です。

 一番苦労したのはシャワーです。日本の風呂にあるシャワーは、大抵、取り外しが出来ますよね。シャワーを手に取って、お湯を浴びたいところに当てられます。しかし、アメリカでは、ほとんど壁に固定されているタイプのシャワーです。僕の自宅のマンションもそのタイプでした。これだと、両手が自由の時でも、うまく洗えません。

 ピンポイントで目標にお湯を当てられず、バスルームで身もだえしてしまいます。左手が使えないと、さらに困難を極めました。右手だけでは背中をうまく洗えず、苦労しました。

 ハハハ、その通り。僕も出張したときなど、「なんて不便なシャワーなんだ」といつも思っている。日本のシャワーは大部分がハンドシャワーで、ホテルなどは多くのケースにおいて壁にシャワーを固定できる器具ついている。  壁固定で使うときのシャワーは、両手を自由にしてたとえば頭を洗うときや上半身を洗うのに便利です。対して、ハンドシャワーは自由にお湯を当ててシャワーを堪能するのに便利。そのハンドシャワーが日本以外の国ではない。確か長い海外、たびたびいく海外出張生活の中で、ハンドシャワーが日本以外であったのは、ロンドンの一部、その他海外年のごく一部のホテルだけだったような。

 松井君が言うように、これは実に不便です。何かシャワーに入った気がしない。どうして海外の連中は「(ハンドシャワーがないのは)不便だ」と感じないのか。あと、日本にあって海外にないのは、ウォッシュレットですかね。外国人の中には日本でこれを発見して、買って持って帰る人もいるらしい。

 まあでも私はこうも考えたのです。「おーい松井、お金はあるんだし、暇もあったのだから自宅くらい改装工事したら......」と。年間10億以上もらっているのだから、改装したらいいやん....と。

 本全体は、あまり面白い本ではない。「本当に真面目なんだな」という印象が残る。彼が一番好きな言葉hが、「人間万事塞翁が馬」らしいのですが、問題設定として

  1. もし5打席連続して敬遠されなかったら
  2. もしも希望通りに阪神に入団していたら
  3. もしも本来の右打ちを続けていたら
 などの問題設定は面白いが、肝心の結婚問題にもあまり触れていない。もし自分が結婚したらといった問題設定もしてみると良いのに。ま、余計なお世話ですが、この本を読んで松井もイチローも凄い選手は例外なく、徹底して求道的なんだな、そうでなければ一流の選手にはなれないな、ということを再確認したということです。一見、松井の歩いている道と、イチローの歩いている道は別のように見えますが。この本を読んで思ったのはその点かな。

2007年02月18日

 (23:45)日銀が利上げを躊躇する一つの大きな要因は、「消費が弱い」だが、私はずっとこの見方には疑問があると思っていた。自分自身もそうだが、消費のルートが複雑化しているのに、日本の統計はそれを拾えていないと思っていたからだ。

 そう思っていたら、日経ビジネスの2月19日号の「進む消費者、追う統計」という面白い記事があった。この記事は、日本の消費統計の実体、欠陥を明確に示していて面白い。「消費が盛り上がっているホットスポットが消費統計から漏れている」で始まるこの記事の指摘は興味深い。日本の消費のレベルを指し示す一つの有力な統計としては「商業販売統計」があるが、この記事は

  1. この統計は百貨店、スーパーなどの小売店が対象で、急成長するテレビ通販やインターネット通販はそもそも対象外。通販での売上高を毎月集計する政府統計は存在しない

  2. 通販を補足する政府統計は2〜3年に一度。全国の小売店(通販や無店舗販売も含む)や卸売店の売上高などを細かく調査する「商業統計」があるが、日本最大のネット書店「アマゾンジャパン」は対象外である。アマゾンは通販事業者ではなく、「他に分類されない専門サービス業者」だからだ。「楽天」も対象外である

  3. 今急速に伸びている「駅ナカ」も商業販売統計や商業統計の対象外である。商業統計の調査員は担当地域をつぶさに回るが、駅の中に行ってまで調べない。またショッピング・センター(SC)も商業販売統計から漏れている部分がある。小規模の店舗の売り上げが政府統計に入るのは2〜3年後だ

  4. サプライサイド(モノを売る側)が不備なら、デマンドサイド(モノを買う側)の統計も不備だ。サンプルが8000世帯(日本の世帯数は確か4500万前後)と少なく、全世帯数の3割近くを占める単身世帯は対象から外れている。単身世帯は別に四半期ベースで行われるが、やはりサンプル数は700と一段と少ない
 と。良い指摘ですね。こういうことを無視して、昔ながらの統計で「消費が弱いので.....」では話にならない。その次のページの記事は、「膨張する不可視消費」。日本人は海外でも大量の買い物をしているし、そもそも統計の対象とならないような零細企業の集まりである秋葉原やネット空間でも買い物をしている。さて、どこを経済活動の実体とするのか ? 日銀はこういう点も配慮すべきでしょう。

2007年02月18日

 (00:45)うーん、きっと彼女は今日は「ソフトシェル伊勢海老」の味が忘れられなかったんだな.....。ハハハ、番組中2回くらい3秒ほどの空白があって、「ありゃ」と。

 まああるんですよ。アナウンサー(といっても彼女は記者でもあるんですが)の方も時々混線する。次の次を考えていて、次がちょっと希薄になるとか。それにしても、彼女は本当に私の周りの男性陣には評判が良い。取材もしているし、なかなか努力家でもある。最近はゲーテに登場していたな。最後はちょっと強引に私が話題を変えてしまいましたが、それほどあのソフトシェルは美味そうだった。

 アナウンサーも最近はいろいろなことに挑戦している。毎週会っている関西テレビのニュース・アンカーの山本浩之アナが今挑戦しているのはポッドキャスト。私のポッドキャストは「ビジネス」のところに分類されていて、今は1位(伊藤洋一のビジネストレンド)と5位(伊藤洋一のRoun Up World Now)の二本ですが、彼のは「テレビ/映画」の分類で今は4位。一度はトップになったんでは。

 「ヤマヒロのアナ Pod cafe」というのが番組のちょっと変な名前。ウリは「ある時は真面目にニュースを斬り、またある時は抱腹絶倒の爆笑ネタを披露」ということだが、全部聞いたが今のところヅラネタと村西利恵さんとの対談が面白かったな。そのうち対談でもしようかと。大阪弁で言えば、「まあ、頑張ってや.....」と言ったところ。

 ポッドキャストのリストを見ていると、実に色々な人が番組を提供している。しかし番組の音をそのまま使っているようなのはなかなか順位を上げられないでいる。やはりポッドキャストはそれ用に録音したものの方が受けが良いように思う。一つのまとまった番組として存在しますから、途中を切り取ったようなのはちょっと聞いた印象が悪いのかも知れない。

 話は変わりますが、東京マラソンの事を書いたらさっそく「うちの主人(本当は名前でした)が出ます....」と。ご夫妻を知っているので、「へえ、彼がね....」と思ったのですが、体型からもマラソンに挑戦する資格が残っているスポーツマン・タイプ。いけるかもしれない。最後まで。知り合いが出るとなるとさらに親近感が増す。雨が上がることを祈ります。私がテレビ東京から帰ってくるときには、雨は上がりかけていましたから、大丈夫だと思いますが、また降るかも。

2007年02月17日

 (17:45)「あ、君もう終わったのね」とちょっと馬鹿にしていたら、冬様に逆襲されたという感じですかね。午後外に出たら、いやに寒かった。雨も降ってきているようだし。まあ、雪にはらなないのでしょう。なって欲しいのですが。

 ちょっと明日の東京マラソンはえらいことになりそうですね。辞退者が出そうな。寒くて、雨が降っていたら事故も起きそうだし。お医者さんと看護婦さんが100人も伴走するそうで、お疲れさんと。

 木曜日だと思ったのですが、浅草に会食の予定があって行ったのです。雷門の前の道路に大きく「2007 2.18」の表示。「ああここも通過点か」と。確か中間ではないが、折り返し点のようになっていたと思った。場所によっては7時間も通行止めになるそうな。

 それでも私はこの大きなマラソン大会には賛成だな。世界の主要都市が持っているということだけでなく、毎年やれば風物詩になる。風物詩になれば、季節的に「冬から春を知らせる行事」となる。

 日本は冬のスポーツイベントが少ない。青梅マラソンが参加者が減ったとかいろいろ副作用も出ているようですが、まあ経済なんてのは「祭り」の要素が大きい。祭りが増えることは、ある意味で経済の活性化に役立つ。機会があったらいつか参加したいとも思っているのです。

 まあ寒そう。出場する人は、体調に気をつけて欲しいと。

2007年02月16日

 (25:45)私が松井ファンであることを知っている知り合いから、「不動心」をもらったので、読み始めました。

 「5.11を乗り越えて」
 「コントロールできること、できないこと」
 「努力できることが才能である」
 「思考で素質をおぎなう」
 .......

 と続く。凄く読みやすい本で、既に2章ほど読みましたが、彼がそれぞれの時に何を考えていたかが分かる。彼はあちこちの雑誌やインタビューで書いたり、喋ったりしていますから、「聞いたことある」という部分もあるのですが、一冊の本はそれはそれでまとまっているので「そうだったのか」というところがある。

 それにしても松井もきましたよ。いや、歳の話です。お兄ちゃんも結婚して、彼自身も確か33。打者の平均引退時期は、頑張って40手前。例外はあるでしょうが、もし「40前」ということだと、あと活躍して5年そこそこということになる。

 打者のピークはどこにあるのでしょうか。人によってむろん違う。松井の場合は。もし今だとすれば、去年の怪我は痛いと思うのだが、彼はこの本の中で「あの怪我があったので良かった」というふうにしたいと述べている。そうなって欲しい。特に今年。

 お兄ちゃんの結婚式のあとに結婚について聞かれて、「兄が結婚したことは別問題です」と。相変わらずガードが堅い。うーん、勝手にそろそろどうかしたら、と思っているのですが。

 今年は日本人選手がいっぱい行っていて楽しみ。松坂もむろん気になるし、岩村の活躍も見たい。しかし、松井が一番気になるし、やはり早めにワールドチャンピオンになって欲しいと。

2007年02月15日

 (09:45)自分の書いた本を多くの方に読んでいただける、というのは本当に嬉しいことです。昨日日本経済新聞社の堀口さんから電話があって、「ITとカースト:インド・成長と苦悩」に関して、「2000部の増刷が決まりました.....」と。まあ増刷になれば、著者としても出版社の期待に添えたという気持ちもあるし、書いて良かったという自分に対する気持ちも強くなる。

 「カウンターから日本が見える」についても、今週関西テレビの番組で一緒になった江弘毅さんと話していたら、随分と業界の方々の間で話題になったそうで、良かったなと。業界の方も知らなかったこと、ということでしょうか。江さん自身も、いつくかのエッセイで私の本を取り上げてくださったとのこと。今は「今年はどうしようか」と考えている最中。何冊かのアイデアとかプランはあるのですが、どうなることやら。

 話は変わって、私にとって「一歩前進」という話。今までは、たとえば大阪などに出張した時に、急にテレビ番組を予約しようと思ってもそうはいかずに、見たかったテレビ番組が思うように見られない、という問題があった。ホテルに「テレビ番組予約サービス」といったメニューがあればと思っても見たのですが、なにげにPCの説明書を見ていたら、PCについているワンセグに「予約機能」がついていることを発見した。考えてみればそうです。PCはテレビにもなるが、当然DVDにもなる。

 で今朝「やじうま」を収録しておいたのです。すぐ再生できるかどうか。ははは、完璧でした。面白かったのは、「6時」で予約したのに、録音は少し前から始まっている。これは機能としてあるんでしょうな。むろん、ワンセグだから、BSの番組を収録するというようなことは出来ない。しかし、たとえばですよNHKのスペシャルなんてのは、問題なく録画できるし、それをホテルに帰ってから時間差で見ることが出来る。これは便利。

 「予約管理ツール」を使えば、かなり先の予約が出来るし、録画を当然ですが削除も出来る。ナイス。

2007年02月14日

 (00:45)つらつら考えるに、今回の6カ国協議における合意の持つもっとも大きな意味合いは、北朝鮮の命運をある意味で握っている中国が「合意の監督者」として参加したことにあると思う。アメリカと北朝鮮の二カ国合意だったら、北朝鮮は前回合意のように「わしゃ知らん」「アメリカが敵視政策をとるからだ」と言い出しかねない。しかし中国が担保者になっている今回の合意は、北朝鮮として「そんなことではなかった」となかなか言えない。

 それにしても、考えればおかしな話です。北朝鮮が自ら引き起こした危機で、100万トンもの原油がもらえる。「そうか。じゃ俺も」という国がこれから出てきてもおかしくない。先日も書いたように、仮にその100万トンの原油を使い切ったら、これと言った輸出品もない北朝鮮はその後どうするのか。また危機を作り出して、「今回もちょうだい」と言うのか。

 これは従来のブッシュ政権の立場とは大きく違う。不法国家に代償は与えないとするのがこれまでの同政権の立場だった。ブッシュはその自らの立場を変えた。これは世界に対する危険なシグナルです。あまり好きな人物ではないが、前の米国連大使のボルトンが次のように言っているのはよく分かる。

But the agreement drew strong criticism from John Bolton, a former United States ambassador to the United Nations, who urged President Bush to reject it.

He called it a “charade” and a “hollow agreement.”

“I am very disturbed by this deal,” Mr. Bolton told CNN. “It sends exactly the wrong signal to would-be proliferators around the world: ‘If we hold out long enough, wear down the State Department negotiators, eventually you get rewarded,’ in this case with massive shipments of heavy fuel oil, for doing only partially what needs to be done.”

He added that the agreement focused too narrowly on Yongbyon.

“That is not nearly the entire threat,” Mr. Bolton said, adding that the agreement says nothing about the stock of nuclear weapons North Korea already possesses.

 ニューヨーク・タイムズからの引用です。「charade」というのは、「こっけいな茶番」という意味です。彼が「the agreement focused too narrowly on Yongbyon.」と言っているのも、重要な指摘です。なぜなら、同地以外にも北朝鮮には核施設がかなりあると思われる。IAEAの査察官は、寧辺(ヨンビョン)の核施設以外の各施設についても、査察を実施すべきです。

 私は今回の、どうみても不備だらけの合意が成立した背景は、今の北朝鮮の体制が崩壊することが恐怖の、中国、韓国、ロシア、それにイラクで足を取られているアメリカが「問題の先送り」に出たからだと考える。それこそが問題の本質で、これといった外貨獲得手段のない北朝鮮は、原油を何年間かで使い終えればまた騒ぐ。すでに北朝鮮は六カ国協議の他の5カ国とは合意に関して違うことを国内用に伝えている。「初期段階だけの措置で100万トンの原油を貰える」と。他の5カ国の理解は、「寧辺について必要な措置が始まった段階で5万トンの援助」というものだ。

 日本がイニシャルの5万トンの原油支援に加わらないというのは賢明な立場です。世界も「そりゃそうだろう」と。この立場に文句をいいそうなのは、盧武鉉率いる韓国ぐらい。つながりでニューヨーク・タイムスの関連記事の頭を見たら次のようになっていた。  

BEIJING, Feb. 13 ? North Korea agreed today to close its main nuclear reactor in exchange for a package of food, fuel and other aid from the United States, China, South Korea and Russia.

North Korean negotiators applauded as the deal was announced today in Beijing. The breakthrough, which was announced by the Chinese government after intense negotiations and welcomed by the White House as a “very important first step,” comes four months after North Korea tested a nuclear bomb.

The partner nations agreed to provide roughly $400 million worth of various kinds of aid in return for the North starting the process of permanently disabling its nuclear facilities and allowing inspectors into the country.

(中略)

Japan has not agreed to join the other four countries in providing the aid package to the North, saying that it cannot take part until some bilateral issues between Japan and the North are worked out. Abductions of Japanese citizens by the North over the Cold War years are the main issue.

 最初から日本は入っていない。そりゃそうでしょう。自国の国民を誘拐・拉致され、その問題が解決しないのに当事国に援助をするなど論外です。古い話ではない。誘拐・拉致された人たちがまだ生きていると思われる、つい最近の話だ。日本が北朝鮮を援助するとしたら、この問題が解決に向かう誘因になる場合だけです。日本として重要なのは、「拉致問題が解決しなればテロ支援国家の指定を解除しない」という日米合意をアメリカが守るように働きかけることです。

 日本が、今の北朝鮮の体制を維持させることに利害関係を持つ4カ国と同一歩調を取る必要性は何もない。

2007年02月13日

 (12:45)今朝見たニュースでおもしろかったのは、米ハーバード大学で最初の女性学長になったファウストさんという方が、「私はハーバードの学長であって、女性学長ではない」と述べている点。なぜこれが興味を引いたかというと、週末に読んだ文藝春秋の巻頭のエッセイ集の中に国谷裕子さんのフィオリーナに対するインタビューの前後談が載っていて、それが面白かったことを思い出したから。

 まあそうなんでしょうな。聞く方からすれば、「あなたは有力企業の社長にしろ、有名大学の学長にしろ、最初の女性ですよ」と言いたいし、聞きたい。なぜなら、記事を読んだり、番組を見る人の興味がどこにあるのかある程度推測が出来るから。紹介もし易いわけです。

 しかし地位に就いた女性にしてみれば、「女性だからなれた」わけでもないし、「女性であってもなれた」わけでもないと思っているに違いない。なったばっかしだから、「その地位で何をするのですか」ということを一番聞いて欲しいはずです。しかし聞く方は、「女性で初めて」「どんな苦労を乗り越えてきたのですが」「我々が想像も出来ない苦難があったのでは」と聞きたい。

 国谷さんによれば、フィオリーナは公式のインタビューの間はおとなしく受け答えしていたが、終わった後は「女性であることに関する質問が多すぎる」と切れたという。どういうインタビューだったか知りませんが、あまり度が過ぎれば、そりゃ切れますよ。国谷さんは「それでも聞きたいことがある」と確かエッセイをまとめていた。

 これからもしばらく「女性初」というのが出てきますよ。フランスとアメリカのトップは女性が就任する可能性がある。世界にはすでに数多くの女性大統領、首相がいるが、有力国で出現したのはイギリスのサッチャーくらいだった。そういえば、サッチャーはこの手の質問をうまくこなしていた。しばらくしたら、世界中の人が彼女を「イギリスの首相」と見なした。「鉄の女」という呼び名を残りましたが。

 女性のインタビューする人が、「(私と同じ女性なのに」凄いですね、女性初ですよ」というのは、女性サイドにも性別に対する意識が根強く残っている証拠かもしれない。それが良い悪いは別にして。今までの役割からすれば、もっともな意識です。しかし、男であろうと女であろうと、ある地位に就いたら「何をしたいか」「どういうトップになりたいか」というのがおそらく一番聞いて欲しいことなんでしょう。そう考えると、「女性初」とかいう質問は聞くにしても最後の方が当然いいんでしょうな。私だったらそうしたいと。

 まあそんなことを考えながら、二つの女性初に関するエッセイと文章を読みました。

2007年02月12日

 (23:45)最近では一番生きていて欲しかったあの警察官の方が亡くなられました。残念ですね。不祥事ばかりが多い時代に、気になるニュースだったので。まあ世の中には、美談にならなくても当然ながらの仕事をこなしている警察の方は多いと思います。宮本さんは、ご近所の方にも評判がすこぶる良かったとか。

 海外の為替市場の動きを見ていたら、朝方は円安に動いてい、その後は円がじりじりと反発するという展開。まあそうなんでしょうな。「名指しはなかった」と最初は円安に動きやすい。しかし、しばらく考えて、「中央銀行があそこまで言うなら」となる。「あそこまで」というのは、先日も取り上げた声明の最初のパラの日本の景況に関する文章です。しかし全体的には動きは小さい。

 月曜日も新宿の量販店をうろうろしてしまいました。どうも最近自分のネット環境が最適ではないのではと思ったことから。たとえばエッジは出始めから使っている。しかし最近W03Hを使い始めて、「エッジが従来のスピードであるはずがないな」と思ったのです。

 行ってみたら、いろいろな新しいタイプが出ている。で、今まで使っていたのを機種交換して使うことにしました。「×8」でかなり早い。W03Hと違って従量制ではないので、つなぎっぱなしが出来る。結構長い時間使うという場面は多い。エッジはそういう時に良い。

 エッジの最上位機種のAX520Nはビスタにも対応するドライバーが出ている。W03Hはauのショップの人によれば「早くて4月」と言っているので、対応は早い。ビスタはモバイル性が劣っていましたから、「×8」で繋がるのなら、少しバリアを超えた形になった。

2007年02月11日

 (02:45)G7はなかなかうまい表現を使って、円安に賭けている世界中の投資家に警告を発した。しかし、「その警告に投資家が耳を貸すかどうかは分からない。当面は日銀の出方次第」というエンディングだ。G7は毎度の各国経済に言及した中で、今回は以下のように述べた。  

In a statement issued after talks in Essen, Germany, the Group of Seven said the U.S. economy was solid and Europe rebounding broadly.

 "Japan's recovery is on track and is expected to continue. We are confident that the implications of these developments will be recognized by market participants and will be incorporated in their assessments of risks," it said.

 当然ながら、肝心なのは日本に関する部分。「日本の回復は軌道に乗っており、今後も回復が続く見通しである。こうした日本経済の明るい見通しの意味するところが市場参加者に認識され、彼等のリスク評価の中に組み込まれることを確信している」と。回りくどいが、これは「円安一辺倒に賭けていると(日本経済の回復から生ずる将来の円高でいつか)火傷をしますよ、またはさせますよ」という警告である。

 為替の部分は毎度の書き方で、予想通り円安に対する直接的な言及は避けて、日本やアメリカに欧州が歩み寄る形で、「ファンダメンタルズからして円安がそんなに行き過ぎて良い筈がないでしょう」と市場参加者に声明冒頭で警告したということだ。うまいことを考えたものだ。実際のところ、今の円安はちょっと度を超している。

 しかし、ではその警告から想起される当局サイドの動きとしては、せいぜい「日銀による0.25%の金利引き上げ」に過ぎない。これは弱い。欧州はまた来月利上げの意向。逆に言えば、日銀は金利上げの国際的な圧力のまっただ中に座ったことになる。なぜなら、G7声明が「日本経済の回復は順調であり、今後も続く」という認識を示したからだ。日銀は国際的に利上げ環境の熟成を認めたことになる。

 今から言ってもせんないことだが、こうした環境を考えれば1月にやっておけば「日銀はどっちにしても外圧で動いた」という評価を免れたかも知れないが、もう遅い。2月に利上げすれば、「国際的圧力で動いた」となる。1月は「国内政治の圧力」だ。

 実際には景況に今ひとつ自信が持てなかったのだろう。しかし、状況は日銀が何をしても高い評価を得られる状況ではなくなりつつある。

2007年02月10日

 (23:45)ほぼ一日かけて大掃除と大幅な整理を行いました。何かというと、ダイアルアップ回線、ISDN、ADSL、そして光と、我が家のネット環境は時代の流れをすべて受け止めてきた。その結果、デスク周りの回線の数やターミナルの数がもの凄いことになってしまったからです。

 使っていない回線や各社のターミナルまで積み重なっていた。どうみてもこりゃ良くないと思ってはいたのですが、今回電話回線がちょっとおかしくなって、NTTの方が見えられて警告されたのを機に、必要ない回線(コード)やその他TAなどなどを整理したのと、PCタップを新たに4個(6個口)くらい買ってきて、今までのタップを全部新しいのと交換した。

 というのは、電源も「ちょっとこれは」というくらいたこ足状態だったので、それをなるべく電源に近い形にして、接続部分で埃などが付いても危険なことにならないようにしたかったのと、古いものにはちょっと負荷がかかりすぎていたと思うので、ちょっと変わっていただこうと。

 かなり整理したつもりでも、やはり回線は凄いんですよ。いえ「コード」は。コンピューター周りの機器は全部独自に電源が必要な形になっている。スピーカーまでそうですからね。プリンターから外付けのハードディスクから何から何まで。そうすると、必要なコンセントの数も、そのコンセントとマシンを繋ぐコードの数も増える。

 ちょっとすっきりしたのですが、企業のように最初からフロアを底上げして、床下との間に回線を隠すと言った芸当が出来るわけではない。いつ見ても自分の机の下はいろいろなコードが右に左にと走っているという状況にある。どうにかならないものかと。

2007年02月09日

 (23:45)まあ、これだけ安いとあちこちからクレームが来ますよ。今度はアメリカの議会から。いつものことですが。FTが一面で報じている。見出しは、「Congress puts pressure on Bush over yen weakness」

 ポールソンの立場は、このサイトで説明した通りで、その後の変化はなく、FTも「この議会の主張にポールソンが立場を変えることはないだろう」と予測している。

 最近のFTの主張は少しおかしい。最近の社説がそうで、その社説は以下の通りだった。備忘の為に残しておく。

Japan should buy yen Published: February 7 2007 02:00 | Last updated: February 7 2007 02:00

 Intervention in currency markets is a bad thing: China's fixed exchange rate, for example, has created a dangerous global imbalance. But Japan now has the chance to get rid of the unnecessary foreign currency reserves it built up in previous interventions and boost the weak yen at the same time.

 The yen now trades around Y120 to the dollar and has fallen even further against the euro. Its trade-weighted index is at an eight-year low. The falling yen upsets Japan's competitors because it makes their own industries less competitive. It also increases the risk of a sharp and disorderly rise in the yen at some point in the future.

 On fundamentals the yen looks cheap. The normal yardstick - purchasing power parity - means little because Japan's non-tradeable sector is so inefficient. But profitable exporters and large trade surpluses point to an undervalued currency. Trade surpluses normally push a currency up, not down. The yen is falling, however, because returns on capital in Japan, with interest rates at 0.25 per cent, are low. The result is sales of yen in order to invest in higher-yielding assets overseas.

 Some of these sales are carry trades: hedge funds borrowing in yen to buy higher-yielding currencies like sterling. Their scale is hard to judge because many deals are done using derivatives. But Japan's domestic investors are probably just as important: high street banks in Tokyo advertise time deposits in pounds, euros and dollars. Japanese corporations, meanwhile, can buy foreign assets more easily than foreigners can buy in Japan.

 The fall in the yen is not a pressing economic problem, despite efforts by some European officials to put it on the agenda of the G7 finance ministers' meeting later this week. But with some simple measures Japan could boost the yen and its economy at the same time.

 The Bank of Japan should not raise interest rates: given weak economic data and the lack of inflationary pressure that would be folly. But it could start to reduce the $875bn in foreign exchange reserves it built up in earlier years to stop the yen appreciating.

 Those reserves are dead money that the BoJ could better employ elsewhere: other central banks, like that of China, would love such an opportunity. But most of all, selling down reserves would demonstrate to the world that Japan's currency interventions work both ways, and that it is interested in the stability of the yen rather than in keeping it permanently undervalued.

 Selling reserves would be a one-off measure: the long-term solution is more domestic consumption, which would lead to higher interest rates and a lower trade surplus. That means getting Japanese corporations to reduce their high levels of saving, perhaps by exposing them to takeovers, or changing the corporation tax to favour dividends. But for now, carefully managed sales of Japan's foreign exchange reserves would do a lot of good.

 「介入は悪いことである」で始まるこの文章が、しかし最後には「carefully managed sales of Japan's foreign exchange reserves would do a lot of good.」で終わるのが笑える。

 しかし、このFTの社説は、資産国家である日本は短期金利を上げ、預金金利が上がった方が景気が良くなる可能性が高いという私の意見とは真っ向から対立する。今は短期金利を上げても、企業への貸出金利が連動している中長期の金利がその分だけ上がるとは限らない世界です。アメリカを見れば分かる。そういう意味では、FTの主張はおかしくて、円安対処は時間がかかるかもしれないが、日本における金利の上昇をじっくりと待つべきであって、その間の介入はポールソンが言うように避けるべきだと私は思う。

 まあでも「思う」というのと、実際にそうなるかどういうのはまた違う。ポールソンは立場を変えないと思うので、G7でもFTの考え方がプリベールすることはないでしょうが。

2007年02月08日

 (18:45)銀座のスタジオでいつも通り収録があったので、ちょと早めに行って歩いたのです。で、「そりゃそうだよな.....」と。

 飾ってあるものがすべて春物。薄く、そして色合いは明るくなっている。例年通りなのか、それともこの陽気でいつもの年より早めなのか。それは知りません。しかしはっきりと明示的に「季節が春」に移行しているのが街の様子からも分かる。タクシーの運転手さんによると、「上野では桜が咲いている」とか。知りません、本当かどうか。しかし、梅の話は聞くな。

 ネットの新聞社のサイトでおもしろいニュースを発見しました。朝日新聞のサイトだったと思った。読みながら、そりゃそうだ、と。

「iPod禁止法」を検討 NY州、道路横断者が対象

 米ニューヨーク州議会で、道路を渡る歩行者に、アップルの「iPod」に代表されるデジタル携帯音楽プレーヤーなどの使用を禁じる法案可決に向けた動きが浮上した。注意力が散漫になり事故に遭う危険度が高まるというのが理由で、違反者には罰金100ドル(約1万2000円)を科す内容だ。地元メディアが7日伝えた。

 それによれば、ニューヨーク・ブルックリン選出のカール・クルーガー議員が、道路横断の際は音楽プレーヤーのほか、「ブラックベリー」などの携帯情報端末、携帯電話、携帯型ゲーム機の使用を禁じる州法の必要性を提唱した。(時事)

 アップルのマシン用にも当然あると思うのですが、最近はノイズキャンセラレーション機能がついたヘッドフォンが広く普及してきている。それだと本当に外の音が聞こえないのです。聞こえないというか、そういう雑音の種類の音を消している(キャンセラレーション)。よって、本当に閉じこもった形で歩いたり、自転車に乗ったりする形になる。これはずっと危ない、と思っていました。

 メーカーもいろいろなマシンを作っている。ソニービルのショップに寄ったら、ジョギング用のウォークマンまでできていました。体調もみれるような。しかし、機械は使いようですから。ウサギの耳がなぜ大きいかと言えば、「危険を察知する能力」を高めるため。人間も耳が持つ重要性はウサギほどではないが、大きい。それをふさぐことによるデメリットは非常に大きい。

2007年02月07日

 (22:30)うーん、皆さんから頂いたメールを参考にさせて頂くと、「ひゃっきん」はどうも全国区のようですね。私が知らなかっただけ。ははは、いかん。

 百円ショップは数年前だったと思ったのですが、東京駅の八重洲口にあってたまに寄っていました。今はそれはスーツカンパニーになっていると思った。また変わったかもしれませんが。正直、今はあまり百円ショップには行かない。

 今見たFTには、「US signals fast-track easing of N Korea sanctions」という気になる記事がある。北朝鮮が以前の約束通り朝鮮半島の非核化に動き出すよう促すために、同国が核武装解除を完了する前にアメリカは北朝鮮との関係正常化を開始する用意がある、と報じている。

 これはあるブッシュ政権の高官の発言を引用する形で報じているもので、ワシントンは北朝鮮をテロ支援国家のリストから外すことも検討する意向があるという。北朝鮮の核実験以来、アメリカは国内から「北朝鮮との取引」を進める圧力を国内的に受け、一方の金正日体制は制裁から逃れたいという気持ちがあるし、また中国からも妥協を迫られているという。

 8日から開かれる六カ国協議。日本の代表は今テレビで「分水嶺」と言っていましたが、ちょっと重要な分かれ道になるかもしれない。これとの関係では、アメリカもそしてロシアも、「日朝協議の重要性」に言及しているのが気になる。

2007年02月07日

 (18:30)新幹線移動で一番良いのは、やはり夕方ですね。晴れた日の。暮れなずむ街や山を見ながら。暗くなりきるまでが良い。ははは。

 ところで、今日一つ気が付きました。それは東海道から山陽道、博多まで続く東海道・山陽新幹線の中で一番サービスが劣化するのはどこか。私の印象ですが、それは新大阪だと思うのです。というのは、新大阪で登りにしろ下りにしろ大部分の列車で乗務員の交代が行われる。つまり新大阪では、乗客と一緒に乗務員も乗り降りするのです。

 それがサービスとどう関係するかというと、例えば京都の駅で誰かが降りたとする。そうすると大体においてJR東海の乗務員が降りた人の席を片づけたり、席のポジションを直す。そして次に乗ってくる人を迎えるという作業をする。これが気持ちが良い。

 しかし、新大阪では乗務員自体が乗り降りするので、いっさいゴミ集めとか、席の整理整頓をしない。仕方がないといえ、一番肝心な駅でちょっと悲しい気がするな。どうにからないものかと。あとこれも印象に過ぎないのですが、JR東海担当部分とJR西日本担当部分では、やはり東海の担当部分のサービスが優れていると。

 今日は東京に帰る前に岡山に3時間ほど寄りました。大阪からは47分。近い。久しぶりに行って、駅が綺麗になっているのにはビックリ。駅ビルがしっかり綺麗になっているのです。数ヶ月前の話しだそうです。グランビアが出来ていて、駅からホテルまで繋がっていて上階を歩ける。以前はどちらかというと岡山の駅はのぞみが止まるにしては控え目な駅でした。

 岡山は講演会だったのですが、一番驚いたのは私の二つのポッドキャストをずっと聞いているという方が質問に立たれたこと。メールを頂く回数から言っても、「ポッドキャスト放送の重み」というようなものが見えてきた印象がしました。メディアもテレビ一辺倒だったのがネットの登場で多様化している。そしてそのネットも、活字から音、映像と多様化している。雑誌まで紙印刷をやめて、ネットに移行する時代です。efでしたっけ。

 岡山では何も見れずに帰りののぞみに乗りましたから、次は是非綺麗になった岡山を楽しみたい、と。いつになるか分かりませんが。東京の街もそうですが、ちょっといかないうちにどこでも街が大きく変わる。そう言えば、大阪でも「福島」(と書くのですかね)という街が大きく変化していると聞きました。大阪の人が、「凄く発展している」と。どういう意味か知りませんが。

2007年02月06日

 (23:45)大阪では時々、ぎょっとするような言葉に遭遇する。今日は「ひゃっきん」でした。最初「しゃっきん」かなと思った。つまり「借金」です。しかし話しの前後から、人様からお金を借りて買うようなものと違う。よくよく聞いてそれが「百円ショップ」であることが判明しました。

 私はこれは東京では聞いたことがない。もしかしたら、東京でも言うかもしれませんが、私には初めてだった。なぜ、「ひゃっきん」というのか。それは、お店に「百円均一」と書いてあるから、というのです。つまり、「百円均一」の「百」「均」を取り出して言っていることになる。「なるほどな」と。「大阪では何でも短くするのです」と。

 逆に大阪で急速に廃れている呼び方も発見しました。それは、「レーコー」です。確か初めて大阪の喫茶店で「アイスコーヒー」を頼んだとき。ウェイトレスさんが、私の注文を聞いて「レーコーですね」と聞き返した。私にはそれが分からなかった。ちょっとやりとりをした記憶がある。大阪の友達に聞いたら、「レーコー」が大阪では「アイスコーヒー」の事で、「誰でもそう言う」と聞いて驚いた。

 少し聞いてみると、この表現は一定年齢以上の人は知っており、「確かにそう言った」と言います。が、今の大阪の若い人は「レーコー」と言っても分からない。「レーコーって何?」と本当に全く知らない様子なのです。そこで今度はこちらが説明する立場になる。着実に時代は動いている。

 「不都合な真実」を見ました。フロリダで数百票の行方がスイングしていたら、世界は変わっていたかもしれない、と本当に思わせられる映画です。かなりふっくらしたアル・ゴアが、もっぱら世界で一番CO2を輩出しているアメリカの人々に警告する映画。もちろん、日本に居る我々にも警告になる。

 統計としては、「あ、これも見た」という印象のする数字が一杯出てくる。それを彼の自叙伝を含みながら、そして映像をふんだんに使いながら説明してくれる。ゴアがタバコ農場の経営者の息子で、お姉ちゃんが喫煙による肺ガンで死んだなんて知らなかった。見ている最中から、「エンディングはどうするのかな」と思っていました。

 待っていたのは、実際にそうなのかもしれませんが、ちょっと驚くほどの楽観論。それがアメリカ的で面白かった。最後に一杯メッセージが出てくる。そして変わる他の画面の中で、一貫して映画が「ここを見ましょう」と表示していたのが、

 http://www.climatecrisis.net/

 上記のサイトです。車は「なるべくハイブリッドに乗りましょう」とか、「できたら歩くか、自転車に乗るかしましょう」など一杯メッセージが出てきて、「地球のCO2の量は劇的に減少する」と説く。自分から、家族から、地域から、そして国レベルで「やれることをやろう」というのがこの映画のメッセージでした。

 まあそうなんでしょうね。小さいことの固まりが変化を生む。今年の冬はことのほか「不都合な真実」がもしかしたら「否定しようのない真実」かもしれないと思わせられる。特に昨日の昼の陽気などそう思いました。コートももう春物にした。

 私が実施しているのは、「階段健康法」(階段とエスカレーターの両方があるところでは、決してエスカレーターを使わない)とかなるべく自分の足で歩くとかですが、まあそれも一歩か、と。この映画を実に多くのアメリカ人が見ている現実から見て、大統領が代われば、アメリカも大きく変わるかもしれない、と思いました。なにせアメリカは、日本では想像も出来ない「禁酒法を成立させた国」ですからね。

 アメリカと言えば、「超・格差社会 アメリカの真実」もちょっと読み始めました。なかなか説得力がある。

2007年02月05日

 (23:45)まあはっきり言って、ビスタ・パソコンは少なくとも4月までは使い物になりませんね。なぜなら、

  1. 証券会社や銀行の中には自らのHPをまだビスタ対応にしていないところもあって、刻々と変わる相場の表示が出来ないなど取引に支障が出ている

  2. 周辺機器(プリンター、各種通信機器など)のドライバーが出揃うのが、早くて4月に入ってから
 などの理由による。ちょっと量販店の方に聞いたら、ビスタ対応のウィルス対策ソフトでも、ノートンは今月10日以降の対応だという。他の二社(マカフィーとトレンド・マイクロ)は対応しているが、完全に出揃ったとは言えない。

 私はPCは大部分ノートを使っているので例えばエッジとかW03H(auが売っている)がどうなっているかが非常に気になるが、エアエッジの中で私が使っているAH-H403Cはまだドライバーが出ていないらしいし、WO3Hについて言えば、「出るのは4月になってから」と。つまり、家の外に持ち出して使えないということ。

 見ていると、ブラウジングは確かに便利になった。それはエアロを含めて、開けている複数のページを効率よく切り替えることが可能になっているから。それは他のソフトを含めて。エアロだけでなく、上のタブでもかなり効率よく切り替えが出来る。しかし、秀丸とか、各種のFTPなどはまだ揃っていない。生体認証USBメモリーもビスタでは動かない。

 まあこれから買う人は、こういう使用環境が整ってから購入した方が良いのでしょうね。でないと、今までのPCをVISTAにバージョンアップして使い始めると、仮にPCがそれ一台しかないとすると、そのPCは実に大きな、しかも非常に多くの障害に直面することが明確だからだ。

 新しいモノはそれなりきの良い面を持っている。しかしPCやブラウジングが社会のシステムとして組み込まれている現状では、スムーズな橋渡しが非常に重要になる。マイクロソフトはそれに成功しているとはとても言えない。

2007年02月04日

 (23:23)テレビ朝日に行くときに必ず左に見える国立新美術館をどんなものだろうと思って見に行きました。面白い形をしているのです。設計したのは黒川紀章さんで、同氏の展覧会が行われていた。確か二階だった。

 それほど大きくない建物です。一番上が3階。ここにポール・ボキューズのレストランがあって、この建物の中で一番人が集まっている、というか列を作っている。それは驚くほどでした。1階、2階にもちょっとした店があるのに、そこはあまり人がいない。2階は確かボーグの茶店だった。

 この美術館の面白い点は、「在庫を持たない」ということ。つまり、「所有」をしないということ。これはなかなか近代的な発想だと思う。美術館というと直ぐに「なになにを持っています」ということになる。コレクションというやつです。古い美術館はそれで良い。しかし新しい美術館が「所蔵」を充実させようと思ったら大変なことになる。また美術品の奪い合い。

 「所蔵しない」ということは、必要に応じて借りてくるということです。または場を持たない出展希望者に場を貸すと言うことです。これはなかなか良い発想だと思う。「所蔵」ではなく「退蔵」の美術館もいっぱいありますから。それらを世に出すだけで良いことだと思う。

 一階の展示物を見るためにお金が必要で、そこが「国立新美術館開館記念展」としての「20世紀美術探検―アーティストたちの三つの冒険物語―」。入り口から全部見ましたが、結構長い。「なるほど」というのと「えっ」というのがある。まあ20世紀の「モノ」中心の世界がある意味でうまく捉えられている。

 面白いのは2階のABだったと思ったのですが、「日本の表現力」コーナー。ここには年代別に日本のマンガ文化の紹介があったり、面白い機器が並んでいる。ここは楽しめる。

 全体的に言うと、「国立新美術館」といういかめしい名前の割には中はざっくばらんで、楽しいスペースになっていると思う。まあ、建物の直ぐ隣が米軍のヘリポートですから。そういえば、この美術館が面している上の道路は、「星条旗通り」。米軍の新聞のスター∩ストライプスはお隣さんです。

 あれ、もう移転したんでしたっけ。

2007年02月03日

 (23:23)興味はあったが読み切れずにとっておいた新聞記事の中に、「徳川将軍 寡黙の権威」というのがあった。金曜日の読売新聞の記事で、これがなかなか面白い。江戸東京博物館に「御意之振」と題された冊子が出陳されているというのだ。その中に、将軍(家治)の言葉が収められている。

 それによると将軍は、「息才そふ二見へて一段な」「いよいよねんを入れて勤ひ」「骨を折た」などと述べたという。大名や家来に対してだ。将軍も大奥などでは普通にしゃべっていたというが、職務として喋るときには突然寡黙になった。何故か。

 この記事は、「言葉が少なければ少ないほど、将軍と大名の距離は遠くなる。そのことは、将軍権威を高める方向に作用した」と解説している。そういう状況の中で、親しい言葉をかければ、かけられたものは感激し....と続く。

 これと全く同じ主張を、徳川将軍家の演出力という本で読んだ。この本も面白かったが、よくまあこれだけ似た主張をする人がいるものだと。むろん分量が全然違うので、本の方が長く楽しめる。

 江戸幕府のこうした姿勢も、末期になってくるとかなり変容を迫られたようだ。むしろ将軍を人々の目に晒すことによって求心力を高めようとしたという。まあそれぞれの大名は大名で、それぞれのお城の中で同じようなことをして、一番上の姿勢というのが徐々に日本全国に広まったというのが実情でしょう。

 ということは、日本の映画やテレビドラマに将軍が頻繁に登場して、大名や家来に饒舌に話しかけているのはすべて嘘.....ということになるが。ハハハ。

2007年02月02日

 (12:23)「生む機械」とは英語で何というのかと思って、ニューヨーク・タイムズを見たら「baby making devices」と。デバイスね。結構強烈ですな。こんな言葉を使った大臣は、やはり資格がない。それはそれとして、野党の審議拒否もあり得ない態度だ。明日の東京新聞のコラムに書きます。

 今朝のFTの一面は、「G7 splits to prevent big push on weak yen」は、ネットにはこの記事となっている。見出しが違う。円安問題に関しては、この分析を既に今週初めに出しておきましたから、予想通り。ただしポールソンがあれほど明確に円安容認姿勢を示すとは思わなかった。市場というものが分かっている。しかし、何回も述べていますが、今の円安はちょっと行き過ぎです。2月の政策決定会合は今までより不透明な中で行われる。

 スポーツ新聞に面白い記事があった。iPodが大リーガーの必需品になっているという記事は面白かった。音楽を聴くためではない。彼等は移動(主に航空機)の合間に、チームのデータマンなどが収録した相手選手のビデオを見ているというのです。

 日本の音楽再生マシーンと違って、iPodが良いのは機種によってちゃんとスクリーンがあって、そこで映像ファイルを再生できること。縦割りの日本の会社が製品化できなかった製品です。

 今週の日経ポッドキャストは、「日本の製造業が危ない !」としました。依然として日本の製造業の強さを信じている。しかしいろいろ心配なことが起こってもいる。そこで日本の製造業の弱さを指摘し、今のうちに再生を図ったもらおうという気持ち。来週の月曜日にリリースです。楽しみに。

2007年02月01日

 (04:23)FOMCは一見して「最近では一番短い、そして淡泊な文章」と思われる声明を伴って、FF金利の誘導目標を5.25%に据え置きました。ざっと読んで感じる印象は

  1. 「経済成長がしっかりしてきた」「住宅市場が安定してきた前触れ的な兆し」との表現を使い、今までのような景気鈍化や住宅市場の冷却に対する懸念がない、全体的に楽観的な表現となっており、FRBの「米経済、軟着陸への自信」が伺える
  2. インフレについては、「落ち着きは見られる」となっていて、「今後インフレ圧力は減退する可能性が高い」となっているものの、「設備稼働率の高さ故にインフレ圧力が残る可能性」を指摘し、インフレ警戒姿勢を崩していない
  3. 今後の政策に関しては、「The extent and timing of any additional firming that may be needed to address these risks」という表現を使い、次ぎに動くとしたら「依然として利上げ」であることを示している
 FOMCが発表した声明の全文は以下の通り。
For immediate release

The Federal Open Market Committee decided today to keep its target for the federal funds rate at 5-1/4 percent.

Recent indicators have suggested somewhat firmer economic growth, and some tentative signs of stabilization have appeared in the housing market. Overall, the economy seems likely to expand at a moderate pace over coming quarters.

Readings on core inflation have improved modestly in recent months, and inflation pressures seem likely to moderate over time. However, the high level of resource utilization has the potential to sustain inflation pressures.

The Committee judges that some inflation risks remain. The extent and timing of any additional firming that may be needed to address these risks will depend on the evolution of the outlook for both inflation and economic growth, as implied by incoming information.

Voting for the FOMC monetary policy action were: Ben S. Bernanke, Chairman; Timothy F. Geithner, Vice Chairman; Susan S. Bies; Thomas M. Hoenig; Donald L. Kohn; Randall S. Kroszner; Cathy E. Minehan; Frederic S. Mishkin; Michael H. Moskow; William Poole; and Kevin M. Warsh.

 この声明を読んで、「FRBはゴールディ・ロックス」の絵を描いているのかな、と思うほど。楽観的です。その楽観論は株式市場に伝わったようで、ニューヨークの株式市場は私がこの文章を書いている現在、ダウ指数で115ドル以上の上昇になっている。しばらくアメリカの金融政策は、「据え置き」が続くんでしょうな。

 もしそうだとすると、アメリカが据え置きを続けている間に、日銀は利上げを決断できる時期を探すと言うことになる。