(06:04)「攻めの農業」を提唱している私としては、今年1ー9月の日本の農林水産物輸出が対前年同期比で19.1%も増えた、というのは嬉しいニュースです。金額は3061億円と農林水産物の輸入額に比べれば小さいが、伸び率には勇気づけられる。
これは農水省が先週発表した数字で、増えたのは主にアジア向けだという。アジア全体で見て経済発展により富裕層が増え、こうした需要層に対して売り上げが伸びたためだという。内訳は、農産物の輸出額は13.0%増の1560億円。仕向地別では、香港には牛肉や牛乳、台湾にはリンゴやナシといった果物の輸出が増えたという。
コメの輸出を再開した中国向けも増えているという。水産物も香港や韓国を中心に1426億円と27.2%も増えたという。木材など林産物も11.0%の増加。アジアの経済発展以外には、世界的な日本食ブームも背景にあるとの見方もある。
農水省は今年5月に策定した品目ごとの輸出戦略をベースに、国内の農家などに海外のニーズを提供したり、大使館などを通じて日本の農産物の良さをアピールしたりするなどして輸出を後押しする考えだというが、これは当然でしょう。工業製品の良さを世界にアピールした日本は、農林水産物でも世界にその存在を示せると私は考えているのです。農産物輸出では、特に北海道に頑張ってもらいたいと思っています。
ところで、昨日見たFTで気になったニュースは、中国のインフレ率上昇でしょうか。数字にすると10月は昨年同月比で上昇率は6.5%に達したという。主に値上がりが激しいのは、食料品。10月の6.5%の中国のインフレ率上昇は「10年来の大幅な上昇」とFTには書いてある。これは二つのことを意味する。
FTによれば、10月は食料品が対前年同月比17.9%、豚肉に至っては54.9%も上がったという。さらに、野菜は29.9%、鶏卵は14.3%も上昇したという。これでは貧しい家庭は生活できなくなる。
だから、温家宝首相もわざわざ北京の貧困家庭を訪れた。民衆の不満の高まりを今のうちにガス抜きしておく必要性を感知しているということです。ただし価格統制すれば、今の市場経済が体制として強まっている中国で、需給関係が崩れる可能性がある。中国経済はインフレ率の上昇の中で、よりいっそう難しい舵取りを迫られるということです。
加えて、中国の富裕層の頼みの綱である株価が落ちれば、中国経済の矛盾は拡大することになる。