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2007
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2007年11月27日(火曜日) 年越しのカネが..

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 (06:54)アメリカ、欧州の金融市場で、「年越し資金」の調達が大きな課題になってきている。「年越しのカネ」というと江戸の庶民の話のように聞こえるが、これが世界の金融機関で起きているということになる。ちょっと異常な事態だ。あとで触れるが、ニューヨーク連銀はこれに対する特別な声明まで出した。

 欧米の金融市場を中心に、「年越し資金」だ課題になっているのは、サブプライムローン関連証券問題をきっかけに金融機関の間での疑心暗鬼が高まって、資金の出し渋り、特にタームの長い資金の出し手が極端に減っているため。この結果金融市場の一番根幹のところである短期金融市場で金利が大幅に上昇。これが株式市場を含めて世界全体の金融市場を動揺させている。ニューヨーク連銀は週明けも確認されているだけで20億ドルの流動性の供給を行った。

 週明け26日のニューヨーク株式市場は、午前中はもちあい圏で推移したが、午後になってHSBCの発表をきっかけに急落。結局ダウは237.44ドル、1.8%も低下して、12743.44となった。先週末の181-pointの反発を全部消した。Nasdaqは55.61ポイント、2.1%の下落。S&P 500は33.48の、2.3%の下げで1407.22。

 この週明けの下げで、ニューヨーク三市場の10月高値からの下げ幅は累計で軒並み10%を超えた。これはニューヨーク市場で「調整」と言われる幅である。市場を動揺させたのはまたしても金融機関からの発表。きっかけは「HSBC plans to take onto its balance sheet structured investment vehicles struggling to raise money in the capital markets」というもの。

 これだけで見ると、今まで米銀の影武者と言われたSIV(structured investment vehicles)を自行のバランスシートの中に取り込むと言っているように見える。ということは、銀行の決算そのものが大きく悪化すると言うことだ。この日はシティグループの株価が最近では初めて30ドルを割ったことがニューヨーク市場で大きな話題になった。

 ウォール・ストリート・ジャーナルには、その健全性に疑念が持たれた金融機関として、Citigroup、Fannie Mae、Freddie Mac、E*Trade Financialなどの名前が挙がったと書いてある。

 もっとも安定していなければいけない金融機関の株価が大きく下げて、金融市場では「flight to quality」が起きている。この結果指標10年債の米国政府債の利回りは、週明け26日には過去2年でもっとも低い3.81%に低下したという。

 日本でもサブプライムローン関係の金融機関の損失が報じられ続けている。今朝のNHKは、農林中央金庫が保有しているサブプライムローン関連証券5000億円分で、今年9月までに400億円の損失が発生したと発表したと報じている。来年3月までの年間では600億円になる可能性があるという。もっとも捨てる神有れば拾う神あり。農林中央金庫は米国債も大量に保有しているので、「flight to quality」で値上がりした米国債で、「全体的には増益基調」と言っているという。投資多様化の成果か。

 短期金融市場の疑心暗鬼に対応する措置を発表したのは、ニューヨーク連銀です。26日に同連銀は以下の声明を発表した。参考までにサイトはここです。声明文は以下の通り。

Statement Regarding Repurchase Agreements Covering Year-End

November 26, 2007

In response to heightened pressures in money markets for funding through the year-end, the Federal Reserve Bank of New York’s Open Market Trading Desk plans to conduct a series of term repurchase agreements that will extend into the new year.

The first such operation will be arranged and settle on Wednesday, November 28, and mature on January 10, 2008, for an amount of about $8 billion.The timing and amounts of subsequent term operations spanning the year-end will be influenced by market and reserve developments.

In addition, the Desk plans to provide sufficient reserves to resist upward pressures on the federal funds rate above the FOMC’s target ratearound year-end.

 「through the year-end」というのが重要です。普通ニューヨーク連銀の市場への資金供給はオーバーナイトが原則。まあ長くて2週間です。これは今回の危機に際して米金融当局が「長めの資金供給」で始めた。それでも足りないと、噂になっている「年越し資金不足」に今からニューヨーク連銀が取り組んでいると言うことになる。この声明文には、「year-end」とか「new year」という単語が4回も出てくる。「年末」が課題なのは、欧州の金融市場でも同じです。

 ウォール・ストリート・ジャーナルの記事を見ると、このニューヨーク連銀の声明は午後2時19分くらいにアップされていますから、ニューヨーク株式市場はこのニューヨーク連銀の発表(多分昼頃)があっても下げたということになる。とりあえずは「効果なし」だったということだ。まあしかし、今後当局のこうした努力を市場がどう評価するのか。

 まだまだ動揺が続く世界の金融市場、ということです。なによりも、世界の主要金融機関の健全性に対する安心感が市場に醸成されねばならない。今はそれがない。

07:37
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