住信為替ニュース
《 REGAINING STRENGTH - U.S. FINANCIAL MARTS
》
先週一週間の市場を振り返ってみると、特徴だったのは米国の有価証券市場が再び力強さを取り戻したことです。株はSP、NASDAQ、AMEXなど多くの株価指標で史上最高値を更新した。ダウも新高値にあと一歩の所。債券相場も週間では買い戻されて、週末には利回りは6.85%まで下落しました。
こうした有価証券市場の堅調を受けて、ドルも強含み推移。先週金曜日に3月の貿易収支が、史上最高にまでなった輸入増を背景に大幅に赤字増大(89億2000万ドル)となったにもかかわらず、ドルは一瞬売られただけであと反発。ドル・円では一時107円台を付けました。もっとも円は対マルクでも安く、一時70円台。
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アメリカの有価証券市場の堅調は、「インフレ懸念の後退」によるもの。先々週と先週のマーケットの地合は全く違う。二つの物価統計や、ミシガンの消費者景気信頼感指数低下、それに今年第一・4半期の米労働者の生産性2.6%上昇などが市場センチメントを大きく変えた。生産性向上は、インフレなき景気拡大を可能にすると言う点で重要です。
今週予定されている連邦公開市場委員会(FOMC、21日開催)については、先々週には一時「利上げも」との予想が出ていましたが、今朝の段階では
「U.S. Fed expected to hold interest rates steady」(Nando times)
との見通しが圧倒的。多分そうなるでしょう。FEDの理事たちの言い方をそのまま聞くと、「労働賃金」が変調しない限り、金融政策をいじるつもりはないようです。
《 U.S. TRADE DEFICITS 》
3月の米貿易統計に目を戻すと、同月の赤字急増は「自動車」「石油」という二つの大物が減少したにもかかわらず発生したもの。ただし同月の対日赤字は5.5%の増加にとどまった。日米貿易の不均衡は、全体的に見ればかなり是正されてきている。アメリカが急速に赤字を膨らましているのは、今緊張している対中国です。
今年1―3月を通じてみると、アメリカの対日赤字は前年同期比で大幅に減少。市場は、あえてこれに目を転じ、発表直後の「ドル売り」から一転してあと「ドル買い」に向かったようです。実際にそれを理由に巨額の資金を動かしてドル買いを行った投資家がいたということ。
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そこで今週のポイントは、アメリカの有価証券市場が力強さを取り戻すと予想される中で、ドルが高値追いをするかどうかです。先週末のニューヨーク市場について言うと、107円台に乗ったものの、売りオーダーの厚さに押されてすぐ反落している。今朝の日経金融新聞の「プロの読み」欄の松永選手のような「(円が)下値を探る」との見通しが多いのでしょうが、この厚いオーダーをこなして上がるには相当力がいる。もっとも松永選手も、「下値」といっても108円といつもより控えめ。ドル・マルクの動きを見ても、ドルが爆発的に上昇する環境にはない。北朝鮮とか政治的なファクターがなければ、ドルは強含みもみあいの展開かもしれない。
日本の有価証券市場は、アメリカより不安感が残ります。「超低金利」の解除は先延ばしとの見通しが強いのですが、昨日の「東京マーケット・フォーカス」の斉藤さんの話ではないのですが、(6月7日の短観発表直後はなくなったとしても)日銀が国際的にその立場を説明できるサミットのあとには「超」の解除があってもおかしくない。その時の景況判断にもよるのでしょうが、「いつかは来るもの」についての「それはいつか」というguess
gameは続きそうです。
今朝の日経には「企画庁、日銀をいさめる」という刺激的な見出しの記事がある。この記事によれば、「早過ぎる政策変更が長期金利上昇、円高、株価下落のスパイラルを招く」ことを経企庁は懸念。過去4回ほどの避難訓練の結果は、確かにこの3現象が現れた。
もしそうだとすると、日銀が短期金利を引き下げないことが長期金利の上げを促し、円高、株安になるようなら、経企庁としても短期金利の上げを推奨せざるを得なくなるということでしょう。ただし、こうした事態は相当先と経企庁は見ているようです。長期債市場が「インフレ懸念」に敏感なアメリカの金融市場では、短期金利の過度な低め維持は、長期債相場を押し下げるケースもありますが、日本ではどうか。日銀法の改正問題とからんで、綱引きは当面続きそうです。
《 BOJ STATED NEW ONLINE SERVICE 》
ところで、日本銀行はネットワーク(具体的にはNiftyserve)上で新しいサービスを開始しました。サービスの名称とメニューは、ネット上の表示をそのまま使うと
日本銀行情報 BOJ
1. ご案内 2. 政策関連情報
3. 統計情報 4. 論文や講演記録
5. 日銀やお金に関する豆知識 6. 公表物およびサービスのご案内
7. 掲載情報ダウンロードコーナー
となっており、たとえば「7.掲載情報ダウンロードコーナー」のところでは、
『「統計情報」「論文や講演記録」に掲載した情報の全文をwordもしくはexel形式により、公表時刻の暫く後に掲載します』
とある。これをこのまま理解すると、たとえば松下日銀総裁が重要な講演をした場合、その全文テキストが講演終了から「暫く後」にはネットワーク上から簡単にデジタル信号で自分のコンピューターにダウンロードできるということになる。これは、テキスト入手の手間と、そのテキストを利用した報告書、分析文書作成が著しく容易になることを意味します。私も週末に入ってみましたが、
Niftyserveにログインして「GO BOJ」と「GOコマンド」を使えば簡単に入れる。
一つ不満だったのは、たとえば先週の重要な松下総裁の記者会見(水曜日でした)は、「講演」ではないので入っていない。アメリカなどでは多少時間がかかりますが、重要人物の記者会見はのちに文章におこし直されて利用できる。是非、サービスを拡充して欲しいものです。講演と違ってちょい手間暇がかかりますが。
Niftyserve上から入手できる日本銀行の今後の<公表予定>と<公表実績>をダウンロードすると以下の通りとなります。既に短観(5月調査結果)発表予定は、「6月7日午後2時」とある。これは日銀の今後の政策運営、それを受けた市場の動きを予測する際に、極めて重要です。
5月20日(月)16:00 卸売物価指数(5月上旬)☆
21日(火)17:00 金融経済概観◆
23日(木)16:00 製造業部門別投入・産出物価指数(4月)
28日(火)12:15 資金需給見込み(6月)☆
16:00 卸売物価指数(5月中旬)☆
30日(木)16:00 企業向けサービス価格指数(4月)☆
31日(金)14:00 全国銀行預貸金調査結果(3月末)
18:30頃 資金需給実績速報(5月)☆*
6月 3日(月)13:00 資金需給実績(5月)☆
7日(金)14:00 短観(5月調査結果)◇
11日(火)17:30 貸出・資金吸収動向等(5月速報)☆◇
13日(木)17:45 卸売物価指数(5月)☆◇
〈最近の公表実績〉(5/10〜5/17日公表分)
5月10日 決済動向(3月)◇
13日 国際収支状況(3月、7年度中)
14日 貸出・資金吸収動向等(4月速報)☆◇
16日 G10D報告書「The Resolution of Sovereign Liquidity
Crises」について
パソコン通信を利用した情報提供の開始について☆
日本銀行事業年度決算について(7/下期)
卸売物価指数(4月)☆◇
17日 金融市場動向(4月)◆
マネーサプライ(4月速報)☆◇
《 HAVE A NICE WEEK 》
週末はいかがでしたか。昨日は陽が当たってまだしもでしたが、土曜日は本当に寒かった。急ぎ冬物を引っぱり出して着た方も多かったのではないでしょうか。土曜日の朝は金曜日からの部の旅行で箱根にいましたが、寒かった。
日曜日は、赤坂プリンスで以前ともに為替カスタマーだった後藤君(現国際金融情報センター)と旧姓石井さんの結婚式。仲人さんの言葉を借りれば、「汝、隣人を愛せよ」という近距離結婚。式に出席した人もほとんど知り合いで、落ち着いた良い結婚式でした。二人とも大柄なのが栄えました。披露宴のあとの二次会(?)も良かった。そうそうカスタマーと言えば、三浦が部内異動となりました。近くにはいますが、仕事の内容がちょい変わります。彼に対するこれまでのご支援、有り難うございました。
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蕎麦については、引き続き情報が集まってきている。住商の「ろく」さん(ハンドル名、油脂部の方だそうです)から、『横浜在住(西区)の私の家の近くの「角平」(平沼橋を高島町方面に丁度わたったところ)』は良いというメール。『店主曰く、日本で初めて「つけ天」を始めた蕎麦屋』だそうです。「タケノコ入りの親子丼」も良いとか。近くの方はどうぞ。しかし、私は試してありません。
カスタマーの足立(蕎麦にうるさいと自称している)が紹介してくれた店は、
あと、神谷町の「巴町砂場」や恵比寿の「竹やぶ」、目黒の「一茶庵」を推薦してく
れる人もいた。でも私は、蕎麦屋では「卵焼き」にこだわりたい。
ycaster@gol.com