住信為替ニュース

THE SUMITOMO TRUST & BANKING CO., LTD FX NEWS

第1282号 1996年06月03日(月)


MANY SCHEDULES

 今週も盛りだくさんの週です。早々の月曜日から、アメリカでは「5月の全米購買部協会(NAPM)景気指数」「4月の米景気先行指数」の発表がある。先週のニューヨーク市場を考える上で最も特徴的だったことは、フィリップス連邦準備制度理事会(FRB)理事、ミネハン・ボストン連銀総裁、パリー・サンフランシスコ連銀総裁、ブローダス・リッチモンド連銀総裁が、賃金や物価の上昇に警戒感を示して、落ち着きだしていた市場の「インフレ懸念」に逆に火を付けたこと。この結果、米長期債利回りは大幅に上昇。

 少し前はまったっく逆でした。「インフレ懸念」を強めた市場に対して、FRB関係者は「懸念のし過ぎ、労働賃金も上昇していないし…・」となだめ役だった。それが、立場を180度変えての、インフレに対する警戒感の表明。市場が戸惑うのも無理はない。

 このニュースでも何回も取り上げてきましたが、FRBの理事たちはアメリカが再びインフレ経済になるかどうかは「労働賃金」がポイントであると述べていた。ここに来てFRBの理事たちがインフレ懸念を本当に吹聴しているとしたら、それは「労働賃金」の上昇を懸念し始めたと考えるのが自然です。そういう意味でも、週末金曜日の雇用統計は、非農業部門就業者数以上に「賃金の動き」に関心が集まるでしょう。時間当たり賃金の動きなどです。

 非農業部門就業者数に関しては、今朝の日経金融新聞に「5月の米雇用増、20万人に」という記事がある。最近外しまくっているアナリストの観測ですし、なんと言っても「AMERICNA STATISTICS」(これは悪い意味ではなく、とにかく「速く」という)ですから着地点を事前に予想するのは難しいのですが、参考にはなる。最近の失業保険申請者数の大幅な減少を見て、「雇用は大幅に増加」と見ている向きが多いようです。いずれにせよ、今回の雇用統計の数字に対する為替市場の反応は難しくなるでしょう。雇用が多くて米債券が「すわ〜利上げか」という反応を示したときに、為替(ドル)が一緒に「下げ」の方向で反応するかどうかは難しい議論。その逆もまた同じように難しい。金曜日まで、ゆっくり考えましょ。

OPEC MEETING

 石油輸出国機構(OPEC)の総会も注目です。今朝のTHE NANDO TIMESなどによれば、OPECの関係閣僚などはウィーンで既に非公式折衝を始めているようです。

 最大の焦点は、国連から「食糧・薬を購入するために、今後6ヶ月間に20億ドル相当の原油を輸出しても良い」と輸出に承認をもらったイラクの原油。この新しい原油の市場への流入に対して、OPECとしてどう対処するか。1990年から世界市場にほとんど出ていなかったイラク原油が流れてくるのですから、ただでさえ軟調な相場にとっては、打撃となります。あと12加盟国の中で数カ国あると言われている「抜け駆け増産国」の輸出量をどう枠内に納めるかという点。以前はサウジが「SWING PRODUCER」として振る舞っていて、需給の調整をしていましたが、今はそれも難しい。

 OPECサイドの期待は、「世界経済の拡大ペースが速くなる中で、イラクの輸出量の増量分は市場の自然需要増大によって吸収されるのでは」というものです。サウジを含めて12加盟国が財政危機などで輸出量の削減を飲める状況ではない中で、希望的観測にしがみつこうとしている。1970年代、80年代の世界的なインフレは全部「石油がらみ」でした。今の状況は、当時とはまったく違う。インフレで調整すると、今の原油価格はかなり低い水準になっていると思われます。

 FRBの理事たちが言う「インフレ懸念」の一つの大きなポイントはここにあります。OPEC関係では、INET上のTHE NANDO TIMESの「OPEC PINS HOPES ON DEMAND TO SOP UP IRAQ'S OIL」などが良くまとまっている。
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 あとは、金曜日に発表される日銀短観ですか。発表は午後の早い時間。日銀がNIFTY上に出しているページでは、確か「14:00」となっていた。日本の金利の上下も激しい。インフレ懸念がないのは誰もが分かっているので、それほど上がらないと言う点では一致しているのですが、景気の強さをどう見るかで見方が分かれていて、今はまた弱気に傾いている。注目の指標です。

HAVE A NICE WEEK

 大分暖かくなってきました。というより、暑くなってきた。週末は栃木県の烏山城でゴルフをしたのですが、無論半袖。それでも暑くて、午後の早い時間には、日陰が恋しかった。今回初めてこのコースの「三の丸」を回りましたが、上がりの9番はテレビで見た通りの確かに綺麗なホールです。1打がまずまずで、残った175ヤードのやや打ち上げを5番アイアンで狙ってみましたが、力が入ってグリーン右のバンカーに。でも惜しくもパー逃しの5で、結構満足。1ヶ月以上やってなかった割にはバーディーも出たし、スコアは自己満足レベル(勝手に想像してください…・)。ちょっと調子が落ちている人は、やめれば戻るかも……(^_^;)

 ちょうど二枚目の最後。今日はちょっと短めに。皆様には、良い一週間を…・  
ycaster@gol.com