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住信為替ニュース

THE SUMITOMO TRUST & BANKING CO., LTD FX NEWS

第1285号 1996年06月14日(金)

MOVING SIDEWAYS
 今週一週間にいくつかの市場から受けた第一印象は、こういう言葉があるかどうか知りませんが、「横這ってきたな」というものでした。為替はドル・円、ドル・マルクとも本当に小さいレンジの動きでしたし、株も昨日夕刻に配られてきたインターナショナル・ヘラルド・トリビューンの「INVESTER'S...........」を見ると、アジア、欧州、それにアメリカで全般的に横這い傾向。一時激しく上下していた商品相場もちょっと動きが止まった。

 相場が「横這い」になった理由は各市場で違うのでしょう。ドル・円についていうと、日本の経常収支黒字の減少傾向や円の低金利状態の継続見通しからするとドルの堅調、円の軟調は変わりそうもない。しかし110円を越えたとしてどこを着地点に見いだそうとするのか分からず、足踏み状態ということでしょう。ドル・マルクは印象としてはドル・円よりもっと膠着状態が強いのですが、ブンデスに完全にうまく操られている感じもする。

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 無論小波乱はあちこちで起きています。昨日のニューヨーク市場を例に取ると、アメリカが日本の写真フィルム市場慣行に関して「世界貿易機関」(WTO)に3件の提訴をした際にはドルは108円50銭まで落ちた。今朝のウォール・ストリート・ジャーナルのINTERACTIVE版には久しぶりに

  「The dollar fell sharply....................

 という表現が出てきている。

 しかし、カンター商務長官が、

  「水曜日のホワイトハウスでの米自動車メーカー首脳と政府高官との会談で

 円に対するドルの強さが話し合われた」

 との報道を否定した段階でドルはすぐ戻り基調になり、今朝は108円70銭見当。一度リアクトしたあとの動きは鈍かった。昨日の東京市場の午後当たりから、110円に結局今週トライできなかったことへの失望感からドルは調整局面入りの様相でしたから、日本の写真フィルム市場慣行を巡る米政府のWTO提訴がなくても、ドルは高値調整していたと思われます。まったく予測範囲内の動きだったと言える。

 久しぶりに出てきた日米間の個別商品を巡る貿易係争ですが、日米間の全体的な不均衡が急速に縮小している中での個別係争ですから、相場材料としては迫力はかなり落ちる。しかも、コダックについている弁護士たちはそれ(貿易係争)を職業にしているような連中ばかり。提訴があった段階から着地点が見えている空気がしないでもない。

NOT POWERFUL STATEMENTS FROM U.S. AUTO MAKERS
 コダック問題より興味がもてるのは、カンターも触れている「ホワイトハウスと米自動車メーカー首脳の会談」です。今週水曜日に行われた。夕べの日経には、ベタ記事で

  「対日輸出にドル高は障害―米自動車業界」

 という記事がありました。米自動車業界側は

  「最近のドル高が対日輸出の障害になる」

 との懸念を伝えたようですが、クライスラーのイートン会長はこれに続けて

  「政府は為替相場をコントロールできないし、それは双方が理解を示している」

 といやに物わかりの良いことを言っている。「110円の手前だから言ってみた」という範囲を出ていない印象。なにせ米自動車は日本市場で快調な売れ行きを示していますから、不満に迫力を持たそうとしても無理だったでしょう。何度も取り上げているように、今のアメリカ政府はドル安を望んではいない。

 ただし、相場として考えると、ドル・円はこれで2週間110円の手前で足踏みした状態が続いている。このままではなかなか上がれない。少し調整が必要でしょう。

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 今週末の大きな予定と言えばロシアの大統領選挙でしょうか。選挙そのものはフランスの大統領選挙に近い方式で行われる。つまり、最初の投票で過半数を取れた候補者がいたらその人の勝ち、いなかったら上位二人による決戦投票。

 しかし、我々が想像している「選挙」とは相当違うようです。例えば、昨日のインターナショナル・ヘラルド・トリビューンの一面の中央には、14〜15人の黒装束の人間が、暗い草原の上で投票している写真があって、「何だろう」と思ったら、既にロシアの極東部などでは16日の全国投票を前に、遠隔地での投票が始まっているようです。都市部の投票は16日ですが、開票にまた時間がかかって結果が出てくるのが相当先になりそう。

 加えて、選挙結果も極めて読みにくいようで、昨日読んでいたニュースには

 

「ロシアの選挙結果を予想しようとするのは、無駄な努力だ.....」

 とか書いてありました。目立たないが、票の操作もあるかも知れない。週末に選挙があって月曜日の市場が反応する、というのが欧州などでのこれまでのパターンでしたが、今回のロシアの選挙のように開票結果がぱらぱら出てくるようでは、なかなかリアクトしにくい。ドル・マルクの相場を見ていると、現時点では相場はあまりロシアの選挙を材料視していなようです。

 しかし、極東と欧州に大きな存在感を残している国の選挙ですから、こっちも時間をかけて見ていきたい。

HAVE A NICE WEEKEND
 完全に梅雨入り模様。しばらくははっきりしない天気が続きそうです。この季節、やはり「サウナ」が良い。東京駅の下にある「東京温泉」は、フルコースをやると結構の運動にもなるし、お勧めです。韓国に行かなくても、あれができる。ただしここには女性版がない。

 今週は「食」についていました。行きたかったものの、なぜか今までチャンスがなくて行けなかった二つのレストランに行けた。

 一つは銀座の「ダリエ」(03-3571-5462)。ルーマニア料理。店の色調は民族衣装でよく見る赤。変わった料理が多くて楽しめます。特に最後に出てきたドーナツのようなデザート(店の人にそう言えば分かります)が最高でした。ワインも色々変わったものがある。場所は銀座中央通り沿いの7丁目のウエンディーズの下。

 もう一つは、赤坂のロスプラトス(03-3505-5225)。スペイン料理。内部がいくつかの部屋に分かれていて、一つ一つの部屋の雰囲気が違っている。天井もワインのコルクでできていたりとなかなか考えられている。メニューが多い。当然全部食べたわけではありませんから推奨はしませんが、デザートは確かにおいしかった。何回か行って、またご報告しましょう。でも食事はやはりメンバーのウエイトが大きい。

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 木曜日、つまり昨日の夕方ですが、やっと住友信託銀行のホームページ
http://www1.meshnet.or.jp/STB/)から私のホームーページ
http://www2.gol.com/users/ycaster)へのリンク張りが完了しました。住信のページからは「住信為替ニュースの最新号」にハイパーリンクします。

 それでは、皆様には良い週末を............   <ycaster@gol.com>