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住信為替ニュース

THE SUMITOMO TRUST & BANKING CO., LTD FX NEWS

1996年07月08日(月)

 本日は、所用で出社しておりません。従って正式な住信為替ニュースは書きませんが、今週のポイントを思いついたままに書くと以下の通りです。

  1. 米雇用統計(6月)の影響を市場がどう吸収するか
  2. それとの関係で、米資産市場の動き
  3. 日独の金利にどうはねかえるか
  4. 上昇した米金利に対して、日本の機関投資家がどう反応するか

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 アメリカの雇用市場は「サービス業中心に低賃金労働が増えているだけ」という批判的な声をよそに、極めて強い拡大を続けています。非農業部門就業者数や失業率よりも6月の統計で注目されたのは、時間当たり労働賃金などFEDが一番気にしている労働賃金の指標に「上昇」の兆しが出ていること。FEDがインフレの先行きに警戒感を強めることは言うまでもありません。

 そこから二つの見方が出てきます。AFEDは8月20日の次回FOMCを待たずに利上げする B)利上げの幅は0.25%ではなく、0.5%になるーーー。アメリカの金利先物価格の動きなどを見ると、既に0.25%の利上げは織り込んでいました。金曜日に既に新たな織り込みを始めましたが、今後は「0.5の利上げ」を視点に据えた動きになるはずです。

 金曜日のニューヨークの株の下げは大幅でした。ドル・ペースでは史上7番目。しかし、率(2.01%)にすると、下げ幅は100位にも入らない。多分KNEE-JERK REACTIONだと思います。株は調整局面の域を出ないと思います。インフレは債券と違って必ずしも株に良くないとはいえない。残るのは、金曜日の段階で7.19%まで上がった米金利が今後どう動くかです。

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 既に金曜日の段階で、ドイツ、日本の金利も上昇の気配を示しています。この両国の金利がどう動くかも重要です。ただし景況から見て、また両国が直面している構造的な問題からして、アメリカの金利よりは上げ幅は小さくなるでしょう。ということは日独とアメリカとの金利差は拡大するはずです。これは為替相場にも影響を与えるでしょう。米資産市場がみじめな落ちにならなければ、金利差の拡大はドル高に働くと見ます。

 110円を越えたドル相場の今後に決定的影響を与えるのは日本の機関投資家の動きです。金利差の拡大にどう出てくるか。依然とヘッジ率が高いところもある。日本の貿易収支の動向については、日曜日の東京マーケット・フォーカスで取り上げた通り、今後も「黒字」は減少し、大場・国際金融情報センター理事長によれば、「3年」で赤字になる可能性が強い。とすれば、日本の産業界の希望にもかかわらず、もう少しドル高に進む可能性が強いと思われます。

 大場理事長が出演した東京マーケット・フォーカスに関しては、「CHAT」のコーナーに「収録後記(7/7/7)として掲載して有ります。そちらをお読みください。                                 <ycaster@gol.com>