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住信為替ニュース

THE SUMITOMO TRUST & BANKING CO., LTD FX NEWS

  第1294号 1996年07月22日(月)

UNSTABLE NEW YORK MART
 今週も引き続き、米資産市場の動きを眺めながらの展開になりそうです。木曜日のグリーンスパン連邦準備制度理事会(FRB)議長証言で一度は「利上げ」を巡る懸念は薄らいだと見られていましたが、金曜日は再び「いつ、どのくらい」という不安感が出ていた。今後も指標が出る度に、また誰かが何かを発言する度に、「米利上げ」の市場心理は揺れそうです。私自身のグリーンスパン証言に関する理解は先週末のこのニュースでお伝えした通りですが、今後の指標の出方が重要であることは確かです。

 ニューヨークの株式市場について言うと、5年半以上に渡って10%以上の調整もなしにここまで来た相場ですから、まだ高値不安は残るはずです。先週末の引値でも高値から恐らく7%前後の調整にとどまっている。10〜15%の調整が欲しいという人が多い。ニューヨーク株式市場の懸念の一つは「利上げの時期と幅、それにその後のペース」ですが、もう一つは業績、特に株式市場を引っ張ってきたハイテク企業の業績懸念。

 今週は水曜日にコンパックが第二・四半期の業績を、その翌日にはIBMが業績を発表する。今週はまたマイクロソフトが業績発表を予定しており、今週で大所はほぼ終わる。なお先週のニューヨークの株式市場の出来高は、週間で24億9000万株と史上最高と報じられている。これまでの最高については、先週の日経夕刊には今年3月のある週の数字が載っていましたが、別のニュースソースを見る限りでは、87年10月19―23日の23億株がこれまでの最高とある。いずれにせよ、先週のニューヨーク市場の出来高は、日本の関係者が羨むほど多かったようです。株価は一週間を通じては83.74ドルの下げ。

DOLLAR UNDER PRESSURE
 ニューヨークの債券・株式市場の不安定な動きを受けて、先週一週間のドル相場も不安定な動きを示しました。ドルもニューヨークの株と同じように上昇局面が続きましたから、調整が起こっても不思議ではないと見られている。言って見れば、「PALE BULL」の揺り落としが続く可能性があります。

 問題は、ドルの底の深さです。グリーンスパン証言でも明らかなとおり、今のアメリカ経済は金融市場が不安定なこととは裏腹に、非常に順調です。インフレは低く、経済成長率は巡航速度で、雇用は増え、生産・消費も活発。やや対外赤字が増え始めたことくらいです。従って、ドルに対する信頼が大きく崩れることはなさそう。

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 各国政府の立場を考えると、105円を下回るドルはアメリカも日本もそしてドイツも嫌がるでしょう。ドイツは無論その時のドル・マルク相場を嫌がるという意味です。アメリカは大統領選挙を前にした「ドル安」というイメージの広がりと、ドルが実際に下がることによるアメリカの金利、およびインフレ期待への影響を、日本は景気、企業収益への打撃を、ドイツも景気への打撃をです。

 従って、アメリカの金融市場ががたがたしている中でのドルの急激な下げには、中央銀行サイドとしても歯止めを掛けようと言う考え方は当然出てくるはずです。

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 今朝の日経新聞の記事を取り上げていますが、その面で注目されるのは今週木曜日のドイツ連銀理事会です。日経の9面の記事は、「独短期金利下げ説 強まる」となっている。確かにドイツでは、先週発表されたM3も久しぶりに一桁の伸びにとどまった。何よりも先週ティートマイヤー連銀総裁は、

 「情勢が許せば、穏やかな金利低下を望んでいる」

 と述べている。また日本の黒字が着実に減少しており、市場を取り巻く基本的な環境は、長期で深いドル安を示唆してはいない。

 今週の主な予定では、23日にグリーンスパンが下院で証言する。先週の上院の続き。グリーンスパン証言が時間通りにインターネット上にアップされるホームページは連邦準備制度理事会のホームページと判明。そのURLは、

  http://www.bog.frb.fed.us/

 非常に分かりやすいURLです。外貨資金証券室の斉藤に教えてもらった。彼によれば上院の証言は、12時ぴったりにアップされたそうです。こうしたリンクを集めたURLを私のホームページ(http://www2.gol.com/users/ycaster)の「LINK」のページに大量に収めてあります。

 あと、25日の耐久財受注(6月)も注目。日本では、景気動向指数(5月)が23日、消費者物価(全国6月、東京7月)が26日。

HAVE A NICE WEEK 》 
 日曜日の朝の雨はすごかったですね。おかげでさしもの東京も少し冷えた感じがする。日曜日は、草野球チームのレクレーションでプールに行く予定でしたが、あの雨でボーリング大会に。4ゲームやったらさすがに右腕がいたくなりました。

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 ところで、先週ある食事会である方から突然「DOVE」と「PIGEON」の違いを聞かれて、「ウーン」とうなってしまいました。イメージはおぼろげ。結局調べました。皆さんにも結果を。

DOVE」にはこう書いてある。

→「PIGEON」と同義であるが、特に小さい種類を指すことが多い。英国では飼い鳩
   にも野生の鳩にもPIGEONが好まれる。「DOVE」は、「平和、無邪気、温順、  
   柔和の表彰として用いられる」

PIGEON」を見ると

→ハト科の鳥の総称。特に家鳩を改良した鳩=例えば伝書鳩を指す。DOVEより大き
   く、家鳩と野生の鳩の両方に用いられる。

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 それでは、皆様には良い一週間をお過ごしください。
                                  <ycaster@gol.com>