住信為替ニュース
INTERNET EDITION

  

第1314号 1996年10月18日(金)

dollar advanced against mark

 海外市場では、ドルがポンドなど一部を除く多くの国の通貨に対して上昇しました。特にマルクに対して上昇しましたが、その背景は

  1. エリツィンによるレベジ安全保障会議書記兼大統領補佐官の解任で表面化したロシア情勢不安
  2. この日発表された指標を含めてアメリカ景気の鈍化見通しが高まり、「インフレはないしFEDの利上げも当面ない」との見方から、米資産市場(株、債券)が堅調だった

ことによる。

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 「レベジ解任」と報じられている事態は、正確には「レベジが辞任を申し入れ」、それを「エリツィン大統領が受諾した」となっていて、「解任」が直ちに例えば「逮捕」といった事態にまで進む兆候はまだ見られない。レベジもたいして動揺していないようで、ウォール・ストリート・ジャーナルによれば

         "I'm going to have some sleep first and then I
        will start to develop a political structure to
        prepare for possible future elections," Mr. Lebed
        said this evening at a news conference. He added
        that he would not start his campaign while the
        president was alive. "Today he's an elderly and
        ill person," Mr. Lebed said. "It's not for me to
        kick the one who is down."

 「まず寝る」
 「それから次の選挙に備える」
 「エリツィンが生きているうちは動かない。病気の年寄りを蹴落とすのは私の役割ではない」

 などと言っている。チェチェン紛争を解決に導いた人間として国民の人気も高いだけに、これでレベジの政治生命がたたれたと考えるのはまだ時期尚早でしょう。(ただし今朝の朝日新聞の取材を受けている袴田・青山学院大学教授は、「レベジ氏復権は困難か」と見ている)

 ということは、ロシアの政治情勢は一ヶ月後にエリツィンの心臓手術を控えて、極めて不安定な状況が続くと言うことです。

an internal affair for the Russian government and the Russian people

 レベジ解任の直接的な原因は、「レベジはクーデターを画策している」(クリコフ内相)といった見方まで広がる中で、エリツィンを中心とする権力サイドが、急速に台頭するレベジを大統領の心臓手術の前までに「排除」しておこうとしたためと思われます。レベジ書記が、実際にクーデターを画策していたかどうかは不明です。また、「有力な後継者」と見られていたレベジがとりあえず排除されたことで、エリツィンが仮に倒れたときに、権力がどう継承されるかもわからなくなった。

 レベジが政権内で孤立したのは、 「行き過ぎた権力欲と大統領に相談もなく決める不遜な態度」(エリツィン)が、同大統領を中心とする権力構造から嫌われたということでしょう。財界、軍を含めてエリツィン大統領を中心とする利権構造が出来ていると言われるロシアでは、レベジは「何をするか分からない存在」と警戒されたようです。チェチェンでは「ロシア軍を売った」という非難のされかたもした。

 しかし、レベジの「強すぎる権力欲」が衰えることもないでしょうし、近いと思われるエリツィンの退陣の後を狙って水面下の動きは続きそうです。

 各国はこの動きをどう見ているか。今まで様々な機会にエリツィンを支援してきたアメリカは、

         In Washington, State Department spokesman
        Nicholas Burns said only that Mr. Lebed's
        dismissal was "an internal affair for the Russian
        government and the Russian people."

 と傍観姿勢を一応とっている。しかし、実際にはもう一方の核大国の政治動乱ということで、極めて注目して見ているはずです。

chasing new high

 アメリカの金融市場は、ロシアでの政治危機にも関わらず、極めて安定した動きを示しました。

         The economy appears to be cooling and may
        not need higher interest rates to keep it from overheating
        and igniting a fresh round of inflation, new government
        reports suggest.

 との見方が高まったため。 「インフレ懸念の後退」「利上げ見通しの後退」ということでしょうか。new government reportsとは

  1. 9月の住宅着工高が6%の大幅減少となり、季節調整済み年率で144万戸となり、昨年12月(143万戸)以来の低い水準になった
  2. The National Association of Home Buildersが、10月の「住宅市場指数」が現行売り上げ、販売期待指数、展示場訪問者数などすべての分野で低下したと発表した
  3. 連邦準備制度理事会の発表によれば、9月の米鉱工業生産指数が0.2%の増加にとどまり、前月の0.4%の伸びの半分にとどまった
  4. 同理事会によれば、9月の設備稼働率は83.3%で、7、8月の83.4%を下回った
  5. 企業在庫は8月に0.5%増加。一方、販売は0.3%減少
  6. 最新の新規失業保険申請者数は、18,000人増加して340,000人になった

 など。あと、住宅着工許可申請件数なども減少している。住宅産業の落ち込みは、今までの金利上昇がようやく同産業に影響を及ぼし始めたためと見られる。今年1月に7%前後だった固定30年住宅金利は、最近数ヶ月は8%前後になっていた。さすがに落ちてきたということでしょうか。

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 これを受けて、債券市場では金利が急低下しました。指標30年債の利回りは6.8%前後になった。これを受けて株価も上昇しました。引けはダウで、38.39ドル高の6059.20ドル。むろん新高値です。ニューヨークの株の上昇ペースは速いのですが、市場には資金の流入は続いているようです。

have a nice week

 大分秋らしくなってきました。朝起きるともう寒い。がゆえに、食事がおいしいですね。この時期食事がおいしくない人は、体調がちょっと悪いんじゃないんでしょうか。是非チェックを。または運動不足かな。

 「不足」いう気持ちがあったからか、昨日は高樹町の「開化亭」(中華料理、3406-3657)に久しぶりに行くのに青山のオフィスから青山3丁目を通り西麻布交差点を右折して行くという「歩行ルート」を取り、ついでにおいしそうな、気分の良くなりそうなレストランがあるとそこでちょっと立ち寄ってカード集めをしました。いやあ、あそこら辺はおいしそうなレストランが増えている。青山三丁目から西麻布に抜ける右側には「Monsoon Caf*」というちょっと変わった面白そうな店がありましたし、ちょうど茶楼の手前には「LaESCONDIDA」(隠れ家 ?)というなかなかおいしそうなメキシコ料理店があった。 昔良く行った開化亭の手前(西麻布より)の「わさび」はもう店がなくっていて、「虎萬元」という中国家庭料理の「菜庵」が出来ていました。「開花亭」そのものも2年ぶりくらいに行ったのですが、あのトーンは残しながら店の内装を変えていて、マスターも出てきてくれて、話に花が咲きました。結構楽しかった。

 そういえば、「アクアパッツア」もあの近くですし、「北海園」も「ベンジーナ」もある。「ベンジーナ」をちょっと先に星条旗通りを行けば「月の庭」があるし、「Kichen 5」もある。また新しい店を発見したら、紹介しましょう。いまだ探検してないのが、西麻布交差点から見て六本木サイドの坂の左側。

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      日本シリーズは楽しみですね。球場に行きたいが、結構チケットの入手は難しそう。選挙は20日です。それでは、良い週末を..............

                    
                                  <ycaster@gol.com>