INTERNET EDITION

第1347号 1997年03月24日(月)


《 rate increase..so what 》

 今週一番注目されるのは、やはり火曜日の連邦公開市場委員会(FOMC)でしょう。今週は月曜日には大きな指標の発表はないため、先週発表分の指標(消費者物価など)とグリーンスパンFED議長証言の評価を終えたままの状態で、FOMC決定を待つことになる。今からFOMC決定を変える可能性があるものとしては、月曜日のニューヨークの株価急落くらいか。今週の指標で大きいのは、FOMC決定後に出る26日の耐久財受注。今週は日本が期末週で、またアメリカなど多くの国の金融市場が木曜日の午後から金曜日のGOOD FRIDAYにかけて商い低調、または休場となりますから、全体的には静かかもしれない。

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 FOMCは、上げるにしても、据え置くにしても「その後」が重要です。据え置きの場合は、「次の5月には」という見方になって、その間の指標や証言の出具合を次から次へと評定するという今までの展開の繰り返しになる。問題は、0.25%でも上がった時に、そのあとのFEDの動きをどう読むかです。94年から95年初めにかけての場合は、3%のフェデラルファンド金利を6回に渡って引き上げて倍の6%とした。

 今回の場合は、このような矢継ぎ早で大幅な引き上げはないと思われます。

  1. 今回の引き上げは予防的なものである 
  2. 現在あるインフレ・リスクを力で押さえつける性格のものではない
  3. 世界の物価状況は、依然としてデフレ環境であり
  4. 今のグローバル・エコノミーでアメリカだけがハイパーインフレになることは考えられない

 などが考えられる理由です。しかし、過去の例からいうとある国の中央銀行がある方向で動き出したときは、政策金利の操作は一回では済まずに何回かやるというのが通例ですから、マーケットの方は身構えることになる。

 94年の引き締めの際には、上げ幅が大きかったこともあって、同年の末から95年の初めにかけて大きな資本の動きがあり、為替市場も大きな変動を見せました。欧州の債券が大幅に売られ、メキシコ危機でペソが二週間ほどの間に対ドル相場で半分近くになったりした。むろん外為市場も大荒れで、95年の4月にはドルは対円で史上最安値を付けた。

 しかし、今回は直ちにこうした危機が生ずる可能性は薄い。今年の引き上げ幅が94年ほど大幅になることは考えられないこと、利上げ間隔も開くと思われること、世界的に株高・債券高の中で資金が偏って投資されている先はないと思われること、などである。この問題に関しては、日曜日の日経9面の「米国金融」欄に、「利上げ、新興市場へ影響薄い」という記事がある。「利上げがあっても、(米機関投資家による中南米投資などの)資金が米国内に引き揚げられる懸念はない」と述べている。ただし、この記事が最後で指摘している通り、アジアの新興市場の動きは注視する必要がある。

 なお、グリーンスパンFED議長は22日に独立銀行家協会で講演し、

 「"Some modest underwriting laxity has a tendency to emerge during good times."」

 「"The generally favorable macroeconomic conditions we have been facing for the past few years suggest that bankers should now take pause and reassess the appropriateness of their lending decisions."」

 と述べて、アメリカの銀行家に対して、もっと貸し出しを慎重に行うよう要請した。これは、2月26日の議会証言で言っていたことと同じ趣旨である。

 なお、今朝のNANDO TIMESによると、FOMCは米東部時間の午前9:00時からの開始となり、各地方連銀の総裁・理事から各地の景況などを聞いたりしたあと、利上げをするかどうかの討議をして、会議の結果は最近の例だと午後2時15分(日本時間26日午前4時15分)ごろ公表される予定という。「利上げ」という点では、同じアングロ・サクソンの国であるイギリスで、「5月1日の総選挙後に利上げ」という観測が高まっている(サンデー・タイムズなどから)。

 

《 range for trading will be tight 》

 利上げありなしにかかわらず、今週のドル・円相場のレンジは比較的狭いと考えます。火曜日までは動けないこと、金利操作があっても0.25%の引き上げなら、かなり相場は織り込んでいると思われること、週末はGOOD FRIDAYの休みにはいることなど。FEDが0.5%の引き上げをした時には、株や債券市場に大きな影響がでるでしょう。しかしこの点については、ワシントン・ポストの「グリーンスパン議長に最も近い」という記者が、「0.25%以上の上げはない」と述べている。

 通常は、米金利引き上げはドルに強材料ですが、ドル・円については日程的に見ても、4月3日にルービン財務長官が来日することになっており、先週木曜日の市場で

 「U.S. Federal Reserve Board Vice Chairwoman Alice Rivlin, in a speech on Thursday, had warned  against excessive strength in the dollar and said that Treasury Secretary Robert Rubin had set "limits" to the U.S. administration's strong dollar policy.」

 とブリッジ・ニュースで流れた後だけに、ドルを買い上げるのは難しい。もっとも、米連邦準備制度理事会は財務省がこのようなドルの上限を決めているとの報道を否定している。

 むしろ利上げがあって動くのは、マルクになるでしょう。上げ幅が0.25%だったら、材料一巡からドルは売られる可能性もありますが、一方では日本の機関投資家のドル買い意欲は強く、身動き取れない状態が続くとみたい。利上げを受けたマーケットの動きという点では、株式市場や債券市場の方が大きいと見る。一番不安定なのは、株でしょうか。ただし、先週金曜日にマーケット全体は下げましたが、市場を先導するNASDAQは大きく反発していて、それほど弱いわけではない。

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 FOMCを含めて、今週の主な指標は次の通りです。

 24日(月)          景気動向指数(日本)

 25日(火)          2月の米消費者信頼感指数
                 2月の米中古販売

 26日(水)          2月の米耐久財受注
                 松下日銀総裁会見

 27日(木)          米失業保険申請件数
                 ミシガン大学消費者信頼感指数

 28日(金)          米第四・四半期GNP確定値

《 have a nice week !! 》

 週末はずっと雨でしたね。でどうしても屋内が多くなる。土曜日でしたか、荻窪にまたまたボーリングに出かけてしまいました。大人8人、子供8人という大人数で。ボーリング場もいろいろ考えている。同じところに昨年行ったときはなかったのに、レーンの上にスロットルがついていて、ストライクだとそれが回る。「222」など3並びだと例えばジュース一本とかハウスからもらえるわけです。つい、スペアの数よりも、ストライクで並び数字がそろうかどうかが気になったりして、ゲーム数が増えてしまいました。いろいろ考える奴がいる。

 それにしても、ボーリングも安くなった。2000円を一人で使おうと思ったら、疲れるくらいやらなくてはならない。最近は、子供用にガータ防止のガード付きのレーンもある。
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 アカデミー賞の発表は今日でしたっけ。あんまり「これ」ってのがないですね。読売新聞がアカデミー賞には熱心で、読売のサイトにはアカデミー特集ページというのがあって、候補作がずらっと並んでいましたが、あまり知っているのはなかった。

 今朝の東京はえらく天気が良い。週末にこの天気が欲しかった人も多いかもしれない。皆さんには良い一週間を。            


ycaster@gol.com