今週の市場は、米雇用統計が木曜日に発表されるという珍しい週です。これは金曜日が7月4日となったため。同日は独立記念日で、アメリカは当然すべて休み。そのため、通常各月の第一金曜日に発表される雇用統計が木曜日に前倒しになった。
30日(月曜日) 5月の新設住宅着工(建設省)
5月の米個人所得・支出1 日(火曜日) 米連邦公開市場委員会(FOMC、2日まで)
6月の全米購買部協会(NAPM)景気指数
5月の米景気先行指数
5月の米建設支出2 日(水曜日) 5月の米製造業新規受注
3 日(木曜日) 5月の家計調査(総務庁)
6月の米雇用統計4 日(金曜日) 米独立記念日で休場
主な予定は以上の通りですが、今週の一番大きなイベントとしてはやはり「香港」の中国への返還でしょうか。イギリスが香港を租借したときに、最初から「返還」を本当に念頭に置いていたかどうかは知りませんが、ついにその日が来たということです。世界でも最もタームの長い国家間契約が、いよいよ実行される。イギリスも中国も「息が長い大国」という印象が強い。
中国の人達には、沖縄が返還された時に日本人が感じた時以上の感慨があるような気がします。自らの記憶として当時のことを実際に覚えている人はいないでしょうが、発端がアヘンがらみの忌まわしい事件だっただけに、中国にとっては西欧に対する劣等感を払拭し、世界経済に一段と深く関与するきっかけになる。香港がその窓口になるわけです。中国は「一国二制度」を50年間は維持すると言っている。マーケットはそれを信頼しているようで、香港の株などは高値を追う形。50年というのは、また息の長い話です。ただし、この「一国二制度」の下でも紆余曲折はあるでしょう。経済では、「中国の香港化」が進んでいましたが、これが続くかどうか。
今年はロシアがサミットに参加しましたが、来年かそうでなくても極めて早い時期に中国が入ってくる可能性があると思います。今のままでは、サミットはますます形式化してしまう。
《 FOMC 》
経済関係では、2日間に渡って行われる米連邦公開市場委員会(FOMC)が注目です。今回のFOMCに関しては、既に先週のこのニュースで「利上げなし」との見方を示しました。その見方は変えていません。今回のFOMCで討議される最新のベージュ・ブック(先々週発表)を見ても、「利上げの緊張感」は感じられない。
しかし、FOMCは当然ながら「現在のアメリカの景況」に冠する討議が活発に展開されるはずです。ベージュ・ブックでも示されているのですが、「pockets of weakness」が出てきてまだら模様になってきている。今年初めの数ヶ月とは違う環境です。アメリカ経済の三分の二を占める個人消費(自動車などの耐久財を含め)に一時の勢いが無くなっている。
米景気の先行きに対しては、「下期に再び強くなる」との見方がある。今年第一・四半期の成長率は最終統計で5.9%(先週末発表)になったあと今期は鈍化するものの、下期は再び成長率が高まるとの見方。しかし巡航速度への減速を見る向きもある。FOMCはこうした相対立する見方がある米経済の先行きに対して、一定の判断を下すでしょう。株価の動向も当然議題に上るはずです。
アメリカ経済に一時の明確なトレンドが見えなくなったのに加えて、日本経済にも気迷い気分が強まっている。短観が発表されて主要製造業の景観の強さは確認されましたが、依然として日本経済にも「pockets of weakness」がたくさんある。結局株式市場の株価の動きにも示されているように、「強いところあれば、弱いところもある」ため、全体を表現する言葉としては「緩やかな回復」程度のことしか言えないというのが実状ではないでしょうか。
「緩やかな回復」の中には、急成長しているセクターもあれば、引き続き日本経済経済における重要性を落としているセクターもある。全体の数字で経済の多様な動きを表すのが難しい時代です。
日本の金利も再びボックスに入ってきている。アメリカの金利も動きそうもない、ということで外国為替市場はやや動意薄の気配。このレベルなら当局の意図もマーケットに覆い被さる空気でもない。今朝読んだニューヨーク・タイムズの記事には、今後のドル相場を左右する材料として、
の三点を挙げていた。Aについては、先週の段階で今年のフランスの財政赤字は対GDP比で3%を上回るとの観測が出ていた。
《 Have a nice week ! 》
日曜日は朝までの台風の風と雨で空気がきれいに清浄されて、気持ちの良い一日でした。木々の緑が輝いていた。外に出られた方は、気分が良かったのではないでしょうか。土曜日と日曜日では、雲泥の差でしたから。今朝はもういつもの空に戻っていて、ちょっとかすんでいる。暑そうです。
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ケ小平は、香港の返還を見たかったのではないでしょうか。奥さんや娘さんが返還式に臨むらしい。日本でも式典は見られる。日本で起きているいろいろな事件とはまた違ったスケールが香港の中国返還にはある気がします。