第1375号 1997年07月28日(月) 


《 higher dollar against European currencies 》

 為替市場の今週の焦点は、対マルクで6年ぶり、対スイス・フランで4年ぶりの高値になっているドルが対欧州通貨でどこまで高値を追えるか、その余波が円相場にどの程度及ぶかでしょう。月曜日の東京朝の状況では、ドルは対円でも上値追いをしており117円台に乗っている。ドルの対欧州通貨での当面の上値目標としては、1991年の対マルク高値である1.8430マルク(今朝の段階で突破)で、その次は1.8500マルクとの見方が強い。

 市場が注目しているのは、国内経済の弱さと“弱いEURO”見通しから売られているマルクのみならず、先週はドルが対スイス・フランでも高値を追ったこと。金曜日のドルの対スイス・フラン高値は、1.5182フランで、これは1993年の8月16日以来。約4年ぶりと言うことになる。マルクに対してばかりでなくスイス・フランに対しても上値を追い始めたことから、「ドルの強さは本物」という見方が台頭しつつある。

 ただし、欧州の通貨当局の動きには関心を払った方が良い。前回のブンデスの警告が全く無視されたように、市場はヨーロッパの経済状況の悪さやEUROが弱くならざるをえない状況を見て、積極的にドル買いを進めている。対抗措置は利上げができない状況では数少ないのですが、ドル買いがユーフォリックになりつつある現状では、やや警戒的になった方が良いかも知れない。円についても120円に接近する過程では、当局からの発言が出てくるでしょう。

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 今週は多くの指標が発表になる。そのいくつかは極めて重要なものです。どちらかといえば、米国経済の堅調を示すもの多いとの見方が体勢。

 29日(火曜日)         第二・四半期の米雇用コスト指数

                  7月の米消費者景気信頼感指数

 30日(水曜日)         6月の日本の鉱工業生産指数(通商産業省)

 31日(木曜日)         6月の新設住宅着工(建設省)

 1 日(金曜日)         米第二・四半期のGDP統計(advance figures

                  6月の完全失業率(総務庁)

                  有効求人倍率(労働省)

                  7月の新車販売台数(日本)

                  7月の米雇用統計

                  7月の全米購買部協会(NAPM)景気指数    

 

《 ECI and unemployment figures 》      

 いくつかの指標について「予想」を取り上げると、雇用コスト指数に関してはダウ・ジョーンズ社のエコノミスト調査では、「0.8%の上昇」となっている。第一・四半期は0.6%の上昇だったから、多少雇用コストは上昇していることになる。しかし、「この程度の上昇だったら、債券相場にも打撃にならないのでは」との見方が強い。

 米第二・四半期のGDP統計(advance figures)に関しては、2.4%の伸び率が下がるとの見方が強いようです。これは、第一・四半期の5.9%に比較して、大幅な鈍化。しかしこれは大方予想されたことであり、第三・四半期からの経済がどうなるかの方に既に関心は向かっている。

 同じく金曜日の雇用統計に関しては、非農業部門就業者数は6月の21万7000人から22万5000人に増加したと見られている。また失業率は6月の5.0%から7月は4.9%と再び4%台に低下するものと見られる。

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 アジア通貨に関しては、今日のMonday Nikkeiの「シナリオ」覧に「アジア通貨、安定するか」とのまとまった記事がある。世界で今一番強い経済を持つ米ドルにリンクしているだけで、これら諸国の為替相場は対円などで大きく上昇していた。この為替相場は、これら諸国には大変な重荷になっていたはず。アジア各国の通貨が5〜23%の下落になったことで、かなり実勢に接近したと考えることが出来る。

 今後これらの通貨が落ち着くかどうかのポイントは、これらの諸国が構造調整をどのくらい速やかに実施し、インフレ抑制と経常収支の均衡を取り戻すかでしょう。92年のイギリスでもそうだし、94年のメキシコもそうですが、最近の例を取ると通貨の下落に見舞われても、その後きちんと国内政策を実施した国は著しく経済環境を改善している。

 かつては、「通貨安→インフレ」で経済運営は難しくなった。しかし、90年代の世界経済では、インフレは起きない。イギリスがメカニズムからはずれて一度為替相場を完全フロートにしたあとに、同国経済は力強い回復を開始した。アジア諸国の通貨価値の動揺は、「over due」だったものが来ただけだと思慮します。今後の安定は、各国の政策次第ということでしょう。

 

《 HAVE A NICE WEEK 》

 本当によく台風が来る年ですね。テレビの気象情報が盛んにこの問題を取り上げ始めている。エルニーニョの影響との見方が強いようですが、あといくつ来ることやら。土曜日は新潟でゴルフだったのですが、暑かった。涼しいだろうと思って行ったら大間違い。フェーン現象とかで、えらく焼けました。

 日曜日は東京駅の近くや新宿に行ったのですが、ゆかたを着た女性が多かった。「なぜだ」と思ったら、土曜日から延期された隅田川花火が予定されていたようです。緑が基調のゆかたを着た女の子が多かった。「紺と白」がほとんど無かった。聞くところによると、昔は考えられなかった色のゆかたが今は流行なんだそうです。ピンクとか、ベージュとかの色も使われているらしい。涼しそうでしたよ。緑のゆかたも。私も、今年一度は大きな花火大会を見に行きたいものです。

 それでは、皆さんには良い一週間を。

               

 
                 ycaster@gol.com