(23:43)今日は午前中から車で厚木市の日産自動車の先進技術開発センター(NATC)に。以前「リーフに乗りたい」とこのコーナーで書いたら、知り合いの方から「チャンスはあると思います」「その場合、行かれますか」という話を頂き、今回実現したもの。
私が乗ることになったのは(用意していただいたのは)、今年12月に発売されるリーフそのものではない。しかし「乗り心地などは限りなく実物に近い「テストカー」。このリーフのサイトにも「Concept」という文字が見えますが、まだ実物は生産もされていない。しかし既に価格は発表されていて、補助金込みで299万円と300万を切る価格となった。これは以前ニュースになりました。
テストカーは、普通車にしてみると3000CCクラスの車でしょうか。最終仕上がり(デザインを含めて)がどうなるか分かりませんし、日々改良が行われているというので、仕上がりは分かりませんが、内部構造はシフトギアーが非常に小さく、プリウス並かそれよりも小さい。前座席の真ん中にある。サイドブレーキの位置が面白かった。運転手席と補助席の間のボックスの後ろ側に付いている。ボタン一つ。
まあその辺は最後の最後に変わるので、「恐らくあまり変わらない」(案内してくださった日産の方)と思われる乗り心地を紹介すると
いつもハイブリッドを運転している私ですが、完全電気自動車とハイブリッドとの違いは大きい。加速と音が違うのです。電気自動車の方が遙かに加速力があり、かつ静か。当たり前ですが。これはハイブリッド車でも同じですが、後ろから接近しても、前を歩く人は気がつかない。よって場合によっては音を出す必要があるんでしょう。
(1)については、私は以前から実際に電気自動車乗るたびに書いているのですが、一般にもたれている「とろい自動車」のイメージは完全に間違っています。実にパワフルです。その究極は慶応大学の淸水教授のグループが作ったエリーカですが、あれは実用には設計されていない。8タイヤのインフォイール・モーター車を直ぐに実用化するのは難しい。
私は試乗車を運転し、しげしげと見ながらこう考えました。「買いたい。しかしそれには前提がある」と。その前提とはまず「社会インフラの整備」です。タウンカーとして使うなら十分です。今の満充電走行距離で。しかし3000CCクラスの車に「タウンカー」だけの性能を求めるのは無理。やはり時には足を伸ばして外に出たい。
となると、少なくとも全国的に充電網の建設が不可欠です。何らかの原因で電気が欠乏しても、近くに充電出来る施設が必要です。しかも各社の給電口を統一しての。以前の日本の携帯のように、充電口が全部違うなどという馬鹿げたことをしてはならない。電気は非常に安いので、今のガソリンスタンでは対処が出来ないでしょう。例えばファミレス、コンビニなどのサービスとしての充電網の整備が有望だと思う。レストランは急速充電でも最低30分はかかるのだから、その間に食事をしてもらえばよい。
次は電池の性能向上です。プリウスが最初に使ったニッケル電池も最初はいろいろと問題があったそうだ。しかしその後プリウスの電池は急激に性能向上した。同じ事がリチウムイオン電池にも起きる可能性がある。いや、起こさねばならない。そうしないと、電気自動車はスタート時点で魅力を大きく減じてしまう。
私としては、今回のリーフのテストカー試乗で「電気自動車は一応全部チェック出来たな」という印象です。車自体はもうあまり変わらないでしょう。変わらねばならないのは、社会のインフラのサイドなのです。
要するに内燃機関の自動車から電気自動車に主力が変わると言うことは、一種の社会革命なのです。自動車工場の形が変わる、関連業界の形が変わるという以上に、我々の生活パターンの大きな変化が起きる。英語で言う「sea change」です。
社会全体が直ちに電気自動車時代に移行するのか、それともハイブリッドやプラグイン・ハイブリッドの時期を経て移るのか、それとも電気と内燃機関の同時並行的な進行となるのか。実は今はまだ分からないところが多い。電池の性能次第、新技術の開発次第のところがある。しかしそこに居あわせた3人の方々ともお話ししたのですが、明らかに電気自動車は一番の有望株です。
可能性として、電気自動車はインドや中国で爆発的に伸びる可能性がある。なぜなら、この二カ国は石油産出国でないからだ