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2011
11/04
Fri

2011年11月04日(金曜日) 宇宙の始まり !

day by day

(06:35)昨日はまた筑波での取材でしたが、取材先は高エネルギー加速器研究機構(KEK)。「なんじゃそれは」と思われるかもしれませんが、結構身近です。同機構に関わる最近の話題としては、「はやぶさ」が持ち帰った「いとかわ」の粒子が持ち込まれて解析が行われているのがこの機構の中のフォトン・ファクトリー。

加速器を取材する我々取材班 一番向こう側が私 しかし今回は”高エネルギー”関連に絞った取材で、このHPの中央にある写真の中では「SuperKEKB加速器」「フォトン・ファクトリー」などが取材の対象だった。電子、陽電子の加速器はテレビなどでは見ていましたが、今回地下11メートルで全長3キロにループ状に設置されたパイプ(輝く銅の色が鮮やかな箇所が目立つ そこを真空にして電子、陽電子を磁石でコントロールしながら走らせる)を見て、「この中を電子、陽電子が束になって走っているのか」と感慨に浸りました。(電子が-、陽電子が+)

何のためにやっているのかというと、宇宙の始まりの謎に迫ること。具体的にはエネルギーが質量を生み出す瞬間に近づくことです。それを電子と陽電子を高速でぶつけることで生み出そうとしている。

それは「エネルギーが質量を生み出す」という不思議の世界の話ですが、それはまた今の宇宙、太陽系の謎を解き明かすことに繋がる。言ってみれば、回り回って「なぜ我々はここにこうしているのか」の理由に迫ることです。

「加速器」は今世界には、欧州のジュネーブに一つと、日本にここを含めて二つ(もう一つは東海村と聞きました)しかない。アメリカは今運用停止中だと。それだけでKEKの加速器は実に貴重なモノですが、その関連で例えば太陽の光を触媒(酸化チタンなど)を使って地上のエネルギーに転換していくプロセスを解析する実験も行われている。「結構現実の経済や生活に役立つ研究が行われているんだ」と思う内容でした。

番組の最後になる部分で触れたのですが、宇宙の始まり(ということは”終わり”を予想することでもある)は神秘に満ちているし、それを解き明かそうとするプロセスは、哲学的・創造的思考に溢れていなければダメだ、と思いました。素粒子は見えないので、「理論→立証」と進む。そこで重要なのは実は創造力なんですね。その世界で、日本人は7個もノーベル賞を頂いている。ナイス。

そう言えば、ノーベル賞の受賞者である小林誠さんはここの所長さんでしたが、益川さんとの共同受賞の切っ掛けとなった論文が展示されてあったので見せてもらったのです。そしたら6ページの短い英語の論文でした。しかもその英文を書いた小林さんは、そこに書き込まれたアイデア(クオークの個数に関するもの)を風呂から上がるときに気がついたというのです。不思議な、かつ結構身近な世界です。改めて「基礎研究は大事だ」と思いました。

予想外の収穫もありました。それは、日本で初めてhtmlでインターネット(当時の規模は実に小さい)上にHPを作成した人がなんとなんと我々を機構の諸施設(トリスタンとか、日光とか筑波とか 笑えた)に案内してくれた森田洋平さん(高エネルギー加速器研究機構広報室長 准教授)だったことです。

ここに日本で初めてhtmlを使って書かれたサイトのアーカイブがありますが、この各項目に渡っていけば全貌が分かります。その時に使われたhtmlが写真です。簡便で、今の複雑なhtmlとは違いますが、どこかに「日本初」ということもあって親しみがわくし、短いが故に力強さを感じる。

森田さんが日本で初めてHPを作成したのが1992年。私がHP(http://www.ycaster.com/ 当時はhttp://www2.gol.com/users/ycaster/)を立ち上げたのは1996年の連休。そうだあの頃はウェブの爆発期だったんだ。そしてこの「day by day」を書き始めたのは1996年の7月17日です。懐かしい。私も今もhtmlで書いてます。しかし森田さんは、その約4年前にはHPを作成。

森田さんは取材でいろいろと親切に教えてくれました。感謝。難しい問題(しかし楽しいですよ)ですから、分かりやすく説明してくれる人でないと、そもそも番組が硬くなってしまう。どんな質問にも、無茶ぶり(あんな、れいなの)にも対応していただけて感謝しています。この手の番組としては非常に分かりやすく、興味深い内容に出来上がると思いますから、ご期待下さい。

10:51
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