Essay

<北海道にカジノ設置を-Cyberchat>

 98年の3月にスポーツ振興投票法案(サッカーくじ法案)が参議院で成立した。賛否両論が戦わされている。反対論も根強いようだが、筆者は資金が有効なことに使われるという前提で、賛成である。実は無論個人的な意見であるが、今日はもう一つ突っ込んだ提案をしたいと思う。

〔北海道、および北方領土へのカジノ設置〕

  経済的に極めて厳しい環境に置かれている北海道経済を蘇生させるため、日本という国の経済に活力を取り戻させるため、さらには国民が今後来るであろう「自己責任原則」の世の中にうまく適合できるようにするために、「カジノ」の北海道、北方領土への設置を是非提案したい。一つだけある前提は、「ヤクザの介入を許さない」ということ。

 これは私の持論ですが、経済をあまりピュアなものと考えるのは間違いだと思う。経済とは欲望の固まりであり、その総和がGDPである。とすれば、経済活動の中に国民の様々な「欲望」「夢」「期待」を取り込んでいく必要がある。確かに資本主義の元の考え方はピューリタニズムや日本にも見られた一種の禁欲主義かもしれないが、その一方で現世を楽しみ、今のためにお金を使うことに美意識を与えたからこそ、経済は発展した。経済が順調にいっている国は、「禁欲主義」と「享楽主義」をうまく使いこなしている。個人のレベルでも、社会でも、国でも。

 昨年の暮れに北海道に出張しましたが、それはそれは暗かった。メインバンク(北海道拓殖銀行)がつぶれ、道経済の柱だった公共事業が抑制気味となり、農業も厳しい環境に置かれていて、かつこれといった産業がないとなれば、道経済が衰退傾向にあるのは明らかである。観光と言っても、まだまだである。九州が比較的元気がよいのは、産業があること、アジアへの窓口になっているからである。しかし、北海道にはそれがない。

「カジノ」は地域経済に活力をもたらし、雇用を生む。人が来て、資金を落とす。観光事業も潤い、今まで作った無駄な「森林道路」も新たな役割を持つかもしれない。いずれ「北方領土」が戻ってくる。しかし、何もない場所だ。漁業では島の連中は食べていけない。ロシア人も残るだろう。そこに国際的な雰囲気を持ったカジノを作るのである。今の日本は重心が下(南)にある。北は寂しい。東北から北海道にかけては何もない。これでは、せっかくの国土がもったない。収益金の一部は国庫に入れても良い。ロシアの極東部でお金をもうけた成金達も来るであろう。外貨収入にもなる。「カジノ」はまた、「自己責任」を養う場所としても有用だと思う。すべての勝負事(ビジネスもそうだが)と同じように、入り方とやめどきが肝心である。カジノはそれを学べる場である。

 北海道と、その一部の北方領土に「カジノ」を作るのは、一石二鳥どころではない経済効果があると思う。        (ycaster 98/3/15)


 ところで、この文章を書いてから5年。カジノ論議は高まりを見せておりますが、2003年の2月に非常に興味深い方のカジノ賛成論を発見しました。らしくない本の中に。政治家では東京都の石原さんなどが熱心な賛成者ですが、こうした形で賛成論が増えることを期待します。以下は、2003年2月05日のday by dayのコーナー文章です。

2003年02月05日(水曜日)

 (09:14)昨日ネットを読んでいたら、「国内六地方自治体が、カジノ場運営に関して共同研究を始める」というニュースを読みました。たぶん、東京都とかいろいろの都市が参加しているのでしょう。

 で、このニュースが頭に残っているところに、先に紹介したこの本の35ページに非常に面白いことが書いていることに気がついた。世界で初めてフラーレンとならぶ炭素の希望の星である「カーボンナノチューブ」の発見者である飯島さん(飯島澄男 ノーベル賞に一番近い男と言われる)の言葉。35ページに載っていた。

 この本によると、飯島はいまナノテクノロジー開発のリーダー役を日本で求められているらしいのです。そこでもっとも苦心するのが研究者の人選。日本の国家プロジェクトは何らかの成果を欲しがるそうで、そのために学会で認められた人材が選ばれやすいそうだ。で、冒険はしない。しかし、一匹狼である飯島がリーダーになることでその体質が変わることが期待されている....とした上で、「突然、飯島は突拍子もないことを言った」と彼の発言が引用されている。

 「東京のお台場にラスベガスを作らなきゃだめなんですよ。アメリカのシリコンバレーの人たちは、日頃からラスベガスに行ってギャンブルを楽しみ、リスクに対する感覚を身につけている。損をしても文句は言わない。自分の責任で全部やる。賭けたら全部儲かるなんて事はないんです。博打といっても日本はパチンコぐらいですからね。危険なところに行く人がいないと、新しいものはつかめない」
  と。素晴らしい。私も98年の3月からサイトでこう主張しているが、飯島さんの見方は私のそれに極めて近い。私は最近はラジオ、テレビで日本にカジノを作る場所として、北海道、お台場を含む首都圏、宮崎か沖縄の三つを当面の設置場所として挙げている。そういう意味でも、鴻池さんが「横にのけた」のは非常に残念なのです。

 それにしても、飯島さんのような方からこういうカジノ賛成論が出てくるのは、心強い限りです。