(10:25)何か考える素材が不足しているな....と思ったら、英国ポンドとユーロの最近の値動きが分かっていないことに気がついた。普通見ていないでしょう。なのでiPhoneの「株価」に「GBPEUR」と入れて、今まで私が見ていなかったこの通貨関係を入れて、iPhoneを横にしてみると....
となった。つまりEU離脱でイギリスもピンチ、EUもピンチという報道が多いが、通貨関係で見ると今は「イギリスがやばい」とマーケットは見ていることが分かる。ポンドの対ユーロ購買力が低下。
今朝で主要格付け"会社"のイギリスへの格下げが揃った。ムーディとフィッチが1ノッチ、SPが2ノッチ。SPは果断です。「In our opinion, this outcome is a seminal event, and will lead to a less predictable, stable, and effective policy framework in the U.K. We have reassessed our view of the U.K.'s institutional assessment and now no longer consider it a strength in our assessment of the rating」 seminal とはこの場合「インパクトが大きい」といった意味です。
国に対して格付け会社が2段階一気に引き下げるというのは、私の記憶にはあまり無い。途上国のクーデター(ま、そんなもんか)後とか。格付け会社は英以外のユーロ圏の国々対しては格下げをしていないので、格付け会社の判断と為替市場の相場の動きは軌を一にしていることになる。
これは1ヶ月チャートですが、過去10年にチャートを動かしてみると、ポンドは今の1ポンド=1.2ユーロ以上に弱かった時期もあったので、今の相場は直近に比べると急落はしているが、それほど異常な相場ではない。しかし下げが続けばイギリスの輸入物価は上昇し(貿易関係が深いので)、相場に底入れが見えないと、EU諸国(のみでなくて、世界からもですが)からの対英投資は低迷する。
次にポンドとドル、それに円に対する相場の動きを同じターム(一ヶ月)で見て見る。
円は民主党時代にとびっきり高かった時期があったので、今の130円台の半ばはそれほど驚くポンド安ではない。しかしこのチャートでも直近だけでポンドは対円で20円も値を失っていることが分かる。こりゃ危機の直前に日本への旅行を計画し、そして今日本に来ているイギリスの人達は大変だ。クレジット払いにすると、旅行費用が恐らく全体で1割ほど値上がりする。
もっと衝撃的なのは、ポンド・ドルです。直近でもポンドが対ドルで値を失っていることは明確だが、iPhoneのチャートは10年まで。しかし英ポンド・ドルは伝えられているとおり1985年以来のポンド安・ドル高。アメリカ人がイギリスに殺到する ? 使用前のイギリスの最後を見に ?
つまりこうです。今のままポンドが急落するようなら、英国は最悪こうなる
といったことが危険性として見えてくる。そのリスクを知っているオズボーンは「ここにいるよ」と英通貨当局として声明をマーケットに対して出した。しかし27日の世界のマーケットは聞く耳を持たなかった。
多分、EUとG7の助けがなければ、英国は独力では今の危機にうまく対処できない。ロシアや中国は当面は静観だろう。中国はチベットと新疆ウイグル自治区を抱える。ロシアはフランス、ドイツを見る。
アメリカやEU、それに日本の「支えますよ」といった声明は絶対に必要だ。だから、英保守党も労働党も「分断」を乗り越えてまずEUとの交渉のテーブルにつかないといけないが、ボリス・ジョンソンはのんびりしている。
離脱交渉開始がキャメロンの言う「10月」だとすると、ちょっと時間が空きすぎている感じがする。マーケットは週に5日も開く。マーケットは自律調整するから、ポンドは近く反発する。しかしそれはポジション調整だ。本当にポンドを買うには、
が必要だ。「健闘を祈る !」って感じかな。おかげで「株価」のリストが三つも長くなった。