(03:05)最近では比較的ワクワクするニュースかな。日経新聞による英FTの買収。
日経がこの事実を日経ネットに載せた時間は午前零時20分。日本の新聞がこの「ちょっと驚く」(ドメな日本のマスコミ関係者が驚いているだろうという意味で)ニュースを自社のネットサイトに載せたのが午前1時前後。だから各社がどの程度で扱うかは別にして(日経は間違いなく1面、トップかその次)、24日の朝刊には間に合う。
しかし例えば朝日のサイトを見ても、「日経新聞がフィナンシャル・タイムズ買収 1600億円」「日経新聞、世界相手にデジタル戦略加速か」といった当たり前の事しか書いてない。
そこで、「当のFTはなんと書いているのか」と見たら、それが実にダイナミック。世界的なメディア(NYタイムズ、WSJなど)の報道なども参考にすると、以下のようなドラマが....
などが指摘できる。文化の衝突はないのか。ニューヨーク・タイムズには、「(ピアソンが教育事業への注力故にFTを手放す方針である中では)日経に買われる方がオリガーキ(ロシアの新興財閥)よりはまし」というFT関係者の言葉も載っているが、両者は既に論説の翻訳(主に日経がFTのそれを掲載)などで関係を築いてきたこと、などが指摘できる。こうした関係の中で日経は、「ドイツ社によるFT買収の動きを感知した」可能性もある。
そういう意味では、ドメ丸出しだった日本のメディアが海外に出て行くという「インターナショナルな驚き」はあるが、日経が「マーケットとしては頭打ちだった日本からの飛躍」を試みようとしたなら十分理解できるし、格からしても当然対象として出てきたのがFTだったというのは頷ける。
しかし今後いろいろな議論が出てくると思う。日経は「社員持ち株のプライベート・カンパニー」だから、株価にその評価が出ると言うことはない。だから、「では実際に日経の事業にどのような変化が出てきて、それが読者をグリップする力を増せるのか」が大きなポイントになると思う。
いろいろ問題は出るでしょう。日本の企業の例に漏れず、というより日本のメディア企業は国際化が遅れており"村・ムラ"の側面を持つので、FTのような優れてインターナショナルな文化を持つ企業と事業をうまく展開できるのか、など。
FTの最近の業績を見ると、2014年の売り上げは3億3400万ポンド(641億円)、営業利益(operating profit)は2400万ポンド。日本円にすると46億3200万円。ま、日経さんはFTに収益での貢献ではなく、「もっと別なもの」を期待したんでしょうね。1600億円の投資が妥当だったかどうかは、これから問われる。しかし私は「ちょっと拍手」だし、応援したい気持ちです。