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2012
05/15
Tue

2012年05月15日(火曜日) ドイツの海賊党

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(23:29)緊縮政策反対、成長路線への政策シフトを主張してフランス大統領選挙に勝ったオランド氏の就任の日(15日)に、ギリシャでは連立政権樹立のための話し合いが最後の「大統領調停」まですべて失敗。”決裂”の判明は日本時間の午後10時半過ぎでした。

この結果、ギリシャは16日にcaretaker 内閣を作った上で、恐らく6月17日(10日の可能性も)に総選挙のやり直し、となる。5月6日の総選挙直後には、

  1. 旧連立2党に対するパニッシュは終わった、と国民が考え
  2. 故に旧連立2党に支持が戻ってくる
とも囁かれていた。つまりギリシャがEUなどと合意した「緊縮財政路線」に戻ってくるシナリオだが、今はその可能性も薄くなっている。選挙だから直前まで分からないが、直近の世論調査だと連立樹立の全ての動き(大統領の実務者内閣の構想を含めて)を「緊縮路線の継続で飲めない」と主張した急進左派連合(Syriza)が第一党になる勢い。

この一貫した緊縮政策反対の政党は、ツィプラス党首の若さ(37才)がウリの一つだ。ギリシャに行っていろいろな人に話を聞くと、彼等は「手垢の付いていない政治家」を欲しがっていた。今のギリシャ人にとって、「手垢の付いた政治家」は憎しみの対象だ。次がドイツ。

ツィプラス党首とその若さは国民の欲求に合致する。だから彼は個人的人気があり、Syrizaは世論調査での支持率で先の総選挙で108議席を取って第一党になった新民主主義党(ND)を上回っているのだ。

と言うことは、Syrizaが100議席近くを取って第一党になる可能性も高まったということだ。先週の総選挙では確か56だったと思った。6月中旬の再総選挙までは、EUなどはギリシャ国民に、「そんなことになったら大変ですよ」と警告を続けるしかない。

その中でももしSyrizaが総選挙で実際に勝利したら、EUとの話し合いは最初から至難の業になる。Syrizaは151(ギリシャ議会での過半数)を上回るとは思われないので、再び連立樹立の動きとなる。しかし新たな枠組みで連立政権ができたとしても、話し合い(EUなどとの)の決裂はかなりの角度で運命づけられる。

なぜなら、Syrizaが勝ったと言うことはギリシャ国民が、「我々は妥協しない」「EUが勝手に我々を助けるべきだ」「我々は義務を負わない」と主張していることになるからだ。これはEUも飲めない。前回の総選挙で108議席を取った新民主主義党、旧連立のパートナーである全ギリシャ社会主義運動(PASOK、その両党合計議席は149)が、第2党、第三党になりながら151を上回る可能性は限りなく少ない。  ということは、昨日も私が話題にした「Grexit」の可能性が限りなく高い、ということだ。実はSyrizaという政党、またはその党首たるツィプラス氏はギリシャのユーロ離脱には反対だ。以下の文章を読むと分かるが、「ブリュッセルとベルリンは、ギリシャをユーロからの離脱に追い込むべきではない」と言っている。

Alexis Tsipras, Syriza’s charismatic 37-year-old leader, who emerged as a kingmaker following his party’s surge to second place at last Sunday’s inconclusive general election, is gaining in support. Opinion polls published at the weekend showed Syriza would win first place in a second election, with 20-25 per cent of the vote.

Mr Tsipras insists Brussels and Berlin will not force Greece out of the euro because of the contagion effect this would have on Portugal, Ireland and Spain. He has demanded a reversal of salary and pension cuts imposed by the bailout, as well as the hiring of 100,000 new public sector workers to reduce the impact of a 21 per cent unemployment rate.

しかし、彼が主張する「a reversal of salary and pension cuts imposed by the bailout, as well as the hiring of 100,000 new public sector workers to reduce the impact of a 21 per cent unemployment rate」をEUやドイツが飲む訳がない。ということは、Syrizaが多数を占めるギリシャの新政権とEUとは衝突コースということだ。

私が載せている文章は、FTのこの記事から採取しましたが、この記事は今後を考える上で参考になる。

ところで、ドイツの地方選挙(ノルトライン・ウエストファーレン)の結果を見ていて、面白い名前の政党が大きく躍進(総投票総数の7%強)していることを発見しました。その名は「海賊党」。調べたら、北欧などに広く存在し、政治的主張としては、「著作権・特許・商標といった知的財産権の現行運用が不当なものであるとして、著作権の保護期間を5年間に制限する事」など。

ネット上にはドイツの海賊党の党大会(?)のユーチューブ画像などあり、それを見ていたら「全てのドイツ人に最低生活保障」といった主張があるようだ。メルケル率いるCDUの大敗は「今の緊縮財政にある」とされるが、「全てのドイツ人に.....」の主張まであったとは。

失業率が5%台(若者で8%)と突出してヨーロッパでは低いドイツにしてこの主張(政府の役割増大、国民に富の分配を主張する)が勢いを増す現実。アメリカの「ウォール街占拠運動」は代表を国の議会に送らないのが特徴のスタンスだが、こっちは「議員を増やしたい」と。

あちことで面白い政治運動が始まっている。

23:25
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